2026年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    9,472名(単体) 18,031名(連結)
  • 平均年齢
    42.0歳(単体)
  • 平均勤続年数
    15.9年(単体)
  • 平均年収
    12,393,648円(単体)
  • 平均年収の
    対前年増減率
    8.7%(単体)

従業員の状況

人材戦略に関する基本方針等

(1)【人材戦略に関する基本方針等】

① 当社グループの人材戦略

 当社グループは、「国内建設事業を中核とし、それ以外の事業が国内建設と同等以上の業績を創出する」ことを目指し、中期経営計画2022において「建設事業の基盤の強化と深化」と「持続的成長のための事業ポートフォリオの拡充」を経営戦略に掲げている。その実現を担う人材を重要な人的資本と位置付け、2022年12月に「大林グループ人材マネジメント方針」を策定し、人材の確保・育成・活躍促進を中核とした人材戦略を推進している。

 「建設事業の基盤の強化と深化」に向けては、責務と処遇が見合った組織編成を行うとともに、若手世代から組織を率いるリーダーを計画的に育成・登用し、技術の伝承や世代交代を加速させることが課題となっている。また、将来のロールモデルやキャリアパスを示し、働き方や価値観の変化を踏まえた環境整備を通じて、全従業員のエンゲージメント向上を図る必要がある。「持続的成長のための事業ポートフォリオの拡充」に向けては、イノベーションやグローバル経営を担う人材の確保・育成が課題であり、高度専門人材の獲得や、海外事業を牽引するグローバル人材を中長期的に育成する必要がある。

 当社において、これらの課題に対応するため、約20年ぶりに人事制度を再構築し、2025年度からその一部を、2026年度から全面的に運用を開始した。管理職については、マネジメント人材とエキスパート人材の役割を明確化し、職務主体の評価・処遇体系へ移行するとともに、抜擢人事や経験者採用を通じて管理職の強化を図っている。さらに、管理職に株式報酬制度を導入し、会社と一体となって中長期的な企業価値向上に取り組む仕組みを整備した。加えて、工事現場勤務や転勤に対するインセンティブの支給、海外給与制度の見直し、シニア人材の活躍促進に向けた多様な働き方の整備等を通じ、国内外で多様な人材が能力を最大限発揮できる体制構築を進めている。

 

② 当社の従業員給与等の決定方針

当社は、給与を人的資本への重要な投資と位置付け、担い手確保や従業員の自律的成長を促すことで建設業の魅力を高めることが社会的責務であるとの判断のもと、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指している。

当社の給与は、主に賃金と賞与で構成している。

非管理職の賃金は、職務遂行能力の伸長と経験を重視した職能資格制度に基づき安定して昇給させることで、自身のキャリアの方向性を見出し、自己の成長に向けて研鑽を促すものとしている。賞与は、賃金に応じた基本部分と各期の職務遂行実績の評価に基づく実績部分を加えた構成としている。非管理職の年収に占める固定給与と実績評価に基づく変動給与の割合は、おおよそ9:1である。

管理職の給与制度は、経営戦略の遂行に合致するよう2026年度より抜本的に再構築した。その賃金は、職能資格制度に基づく能力部分に加え、職務・職責に応じた職務部分を重視した構成としている。賞与は、職務部分と個人の実績評価及び会社業績に連動する実績部分で構成し、再構築前から実績部分の比率を高めている。今般の再構築により、管理職の年収に占める固定給与と、職務や評価に基づく変動給与の割合は、おおよそ4:6としている。また、会社業績に連動した賞与は、年収の約5%程度の割合としている。さらに管理職に対して導入した株式報酬制度は、会社の成長を「結果として享受するもの」ではなく「主体的に創り上げていくもの」として捉え、自身の意思決定や行動と結びつけることを目的とし、会社と一体となって企業価値向上に取り組む管理職の役割や責任の重さを制度面から裏付けるものである。

また、従業員の賃金等の水準の決定については、物価上昇を適切に賃金へ反映させることを前提に、事業環境、中長期的な生産性の動向や経営方針、人材の確保・定着及び成長促進の観点ならびに同業他社や他産業の水準を総合的に勘案し、持続的な企業成長と従業員のモチベーション向上の両立を図ることを基本方針としている。この方針のもと、当社は2026年4月に6%のベースアップを実施した。2022年4月以降、5年連続でベースアップを実施しており、同期間の累計は19.3%である。賞与については、短期的な会社業績と個人成果を適切に反映し、従業員の成長と貢献に報いる仕組みとしている。

このほか、建設業の魅力の向上やものづくりへの動機づけとして、工事現場勤務や転勤に対しインセンティブとしての金銭を追加支給し、人材の確保とエンゲージメント向上に寄与するものとしている。

 

(2)【従業員の状況】

① 連結会社の状況

 

2026年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(人)

国内建築事業

8,373

[1,245]

海外建築事業

3,662

[1,257]

国内土木事業

3,539

[450]

海外土木事業

1,601

[551]

建設事業 計

17,175

[3,503]

不動産事業

331

[35]

その他

525

[60]

合 計

18,031

[3,598]

(注)1 従業員数は、執行役員、フェロー、副会長、顧問及び社友を含んでいない。

2 各セグメントに共通管理部門の従業員を配分している。

3 臨時従業員は、[ ]内に年間の平均人員を外数で記載している。

 

② 提出会社の状況

 

 

 

 

 

2026年3月31日現在

従業員数(人)

平均年令(才)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

平均年間給与の

対前事業年度増減率

(%)

9,472

[1,133]

42.0

15.9

12,393,648

8.7

 

セグメントの名称

従業員数(人)

国内建築事業

6,572

[801]

海外建築事業

152

[12]

国内土木事業

2,380

[278]

海外土木事業

91

[6]

建設事業 計

9,195

[1,097]

不動産事業

142

[7]

その他

135

[29]

合 計

9,472

[1,133]

(注)1 従業員数は、執行役員、フェロー、副会長、顧問及び社友を含んでいない。

2 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでいる。

3 各セグメントに共通管理部門の従業員を配分している。

4 臨時従業員は、[ ]内に年間の平均人員を外数で記載している。

 

③ 労働組合の状況

 労使関係について特に記載すべき事項はない。

④ 使用人その他の従業員のみを対象とした役員・従業員株式所有制度の内容

 当社は使用人その他の従業員のみを対象とした役員・従業員株式所有制度を導入している。当該役員・従業員株式所有制度の内容について「第4 提出会社の状況 1 株式等の状況 (8)役員・従業員株式所有制度の内容」に記載している。

⑤ 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の額の差異

ア 提出会社

当事業年度

管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合(%)(注1)

男性労働者の育児休業取得率(%)(注2)

労働者の男女の賃金の額の差異(%)(注1、3)

全労働者

うち正規雇用労働者

うちパート・

有期労働者

6.9

116.7

69.3

69.9

61.5

(注)1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものである。

2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものである。

3 労働者の男女の賃金の額の差異は、男性の賃金の額を100%とした際の女性の賃金の額の割合を記載している。

 

正規雇用労働者のうち、95.0%を占める「職員」(特段の事由により社外から招へいした「常勤顧問」や「参与」、「嘱託」等を除く)については職務遂行能力を基準とした職級(1~8級職)に基づき処遇を決める職能資格制度のもと、勤務地域を限定しない「全国型」と、勤務地域を特定し地域に応じた係数(全国型を1とし勤務地域に応じて0.8~0.9の間で係数が設定されている)が乗じられた賃金となる「拠点型」に区分している。「職員」に限定した男女の賃金差異は全体では74.4%、全国型では73.4%、拠点型では83.2%となっている。同一の職員区分(全国型/拠点型)及び職級において、男女で賃金差異は発生しない制度設計となっているが、差異の主な要因は以下のとおりである。

・「管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合」は上記記載のとおり6.9%であるが、女性の正規雇用労働者の85.5%を占める「職員」のうち、管理職の割合は17.4%であり、男性の同管理職割合45.3%に比べて低いため、役職の任用に応じて支給される職務給等の支給の有無が賃金差異に影響している。総合職、専門職及び一般職の職員区分を総合職に統一した人事制度改正(2003年)以前は、総合職には男性が比較的多く、専門職及び一般職には女性が比較的多く採用されていたため、その職務に応じて女性の管理職登用が進んでいなかった。しかしながら、同人事制度改正以降、男女を問わず総合職としての採用を継続しており、管理職の割合の男女差異は改善する見込みである。

・男女で法定時間外労働時間の実績値に差があり、時間外勤務手当の合計額に差が生じている。

・同人事制度改正時(2003年)に、男性が比較的多く区分されていた総合職は全国型に、女性が比較的多く区分されていた専門職及び一般職は拠点型に移行したことにより、拠点型の女性構成比率が依然として高い。

パート・有期労働者については、事務補助職等として職員とは異なる職務に応じた賃金体系の従業員の区分に女性の割合が高く、賃金差異の要因になっている。

女性活躍を含め従業員一人ひとりの多様な能力を最大限に発揮できる「ダイバーシティ&インクルージョン」の推進を企業グループの成長ドライバーとして位置づけ、グローバル経営戦略室のもとに「ダイバーシティ&インクルージョン推進部」を2021年4月に新設し、女性特有のライフイベントに対する支援やキャリア開発支援等の取組みを進めている。2003年の同人事制度改正以降、男女を問わず職員としての採用を継続しており、男女の賃金差異は今後、縮小する見込みであるが、「大林グループ人材マネジメント方針」に沿って、人物本位の評価・昇進審査を継続するとともに、柔軟な働き方と働きやすい職場環境の整備・拡充を図っていくことにより女性活躍を推進し、男女賃金差異の解消を図っていく。

 

イ 連結子会社(国内連結子会社のうち、常時雇用する労働者が100人以上の事業者を記載)

当事業年度

補足説明

会社名

管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合(%)

(注1)

男性労働者の育児休業取得率(%)

(注2)

労働者の男女の賃金の額の差異(%)

(注1、3)

全労働者

うち正規雇用労働者

うちパート・有期労働者

大林道路㈱

3.0

73.7

62.7

62.4

65.1

 

大林ファシリティーズ㈱

9.0

81.3

68.2

82.8

62.2

 

㈱内外テクノス

15.2

200.0

79.0

76.5

74.5

 

オーク設備工業㈱

5.4

100.0

70.8

72.7

53.8

 

㈱オーク情報システム

14.5

150.0

80.3

79.3

100.9

 

大林新星和不動産㈱

16.9

100.0

76.4

75.2

87.0

 

㈱サイプレス・スナダヤ

0.0

33.3

81.1

81.1

男性のパート・有期労働者がいないため賃金の額の差異を記載していない。

(注)1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものである。

2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものである。

3 労働者の男女の賃金の額の差異は、男性の賃金の額を100%とした際の女性の賃金の額の割合を記載している。

 

連結子会社各社において「大林グループ人材マネジメント方針」に沿って、女性活躍を推進し、男女賃金差異の解消を図っていく。

 

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループは、企業理念に『「地球に優しい」リーディングカンパニー』を掲げ、持続可能な社会の実現を目指している。

創業以来受け継がれてきた精神である三箴「良く、廉く、速い」と「企業理念」、そして企業理念を実現するための指針である「企業行動規範」から成る「大林組基本理念」を全社員で共有し、社員一人ひとりが「大林組基本理念」を実践することこそが企業活動そのものであるという考えの下、企業活動を通じて社会的責任を果たすことで、持続可能な社会の実現に貢献し、企業価値の向上に努めている。

また、企業理念に基づき長期ビジョン「Obayashi Sustainability Vision 2050」(OSV2050)を策定し、2050年のあるべき姿を地球・社会・人と自らのサステナビリティの実現と定め、さまざまな社会動向や当社グループを取り巻く事業環境の変化を捉え、ESG経営を基盤としてグループ一体で事業を通じた企業価値の向上と社会課題の解決に取り組んでいる。

ESG経営の推進にあたっては、「大林組基本理念」に基づき6つのESG課題(マテリアリティ)を特定している。OSV2050の実現に向けて、中期経営計画の事業施策にマテリアリティを組み込み、ESGの各分野と関連付けて活動することで、中長期的な成長企業価値向上と持続可能な社会の実現を目指している。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。

 

(参考)

◇基本理念

https://www.obayashi.co.jp/company/philosophy.html

◇Obayashi Sustainability Vision 2050

https://www.obayashi.co.jp/sustainability/vision.html

◇ESG課題(マテリアリティ)

https://www.obayashi.co.jp/sustainability/esg.html

 

(1) ガバナンス

① 監督機関

当社グループでは、取締役会がグループ全体のサステナビリティ関連のリスク及び機会を監督する責任を負っている。環境・社会のサステナビリティ課題に関する取締役会の諮問機関として「サステナビリティ委員会」を、企業のサステナビリティ課題(企業統治や経営戦略等)に関する取締役会の下部組織として「取締役座談会」をそれぞれ設置し、それらの課題の検討、議論等を行う。両会議体での検討・議論結果を踏まえて取締役会で議論することにより、サステナビリティ課題に関する取締役会の実効的かつ効率的な監視・監督・関与を実現するとともに、事業環境を的確にとらえた経営方針の決定を実現する。これらの取締役会の役割・権限・義務については、「取締役会会則」に定めている。

② 指標・目標の監督

取締役会は、サステナビリティ関連リスク・機会の見直し及びそれらに関連する指標・目標の設定にあたっては経営会議から報告を受けている。また、設定した指標・目標の進捗については、サステナビリティ委員会から年2回報告を受けることで、指標・目標の設定や進捗状況を監督している。なお、取締役の報酬の一部である中長期業績連動株式報酬について、支給額算定の基礎となる業績指標としてESG指標(CO2排出削減量、死亡事故・重大災害発生件数及び従業員満足度)を採用し、インセンティブとすることでESG経営の一層の推進を図っている。詳細については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (4)役員の報酬等」に記載している。

③ 業務執行における管理

当社グループでは、サステナビリティ関連リスク・機会の業務執行の管理を経営計画委員会に委任している。業務執行においては、代表取締役社長 兼 CEOから委嘱をうけた経営計画委員会及び同委員会に設置する各サステナビリティ分野の専門委員会において、具体的な施策の立案、推進及び実施状況の把握を行い、経営会議を経て、取締役会に諮る体制としている。

 

 

<サステナビリティ推進体制>

(参考)

◇主な委員会の情報

https://www.obayashi.co.jp/sustainability/organization.html

◇取締役の専門性と経験(スキルマトリックス)

https://www.obayashi.co.jp/company/governance/statement.html

 

(2) 戦略および指標と目標

当社は、長期ビジョンOSV2050に定めた地球・社会・人と自らのサステナビリティの実現に向け、ESG課題(マテリアリティ)を特定し、各課題に紐づけて具体的なアクションプラン及びKPIを設定している。各アクションプラン・KPIについては半期毎に進捗状況を確認し、PDCAサイクルによる推進活動を行っている。また、中期経営計画においては2050年のあるべき姿実現に向け、カーボンニュートラルとウェルビーイングを中期的な社会課題であると同時にビジネス機会と捉え、省エネのさらなる推進やグリーンエネルギーの利活用、ダイバーシティ&インクルージョンの推進とともに革新的な技術開発を進めている。併せて、事業領域の深化・拡大とグローバル化を進めるため、各事業・各エリアの成長性と収益性、当社グループの技術やネットワークの優位性、リスク等を検証して最適な事業ポートフォリオを検討し、人的資本への投資や技術開発投資を含む将来に向けた投資配分の最適化を図っている。

 

<ESG課題(マテリアリティ)>

 

 

 

 

 

 

(参考)

◇アクションプランおよびKPI

https://www.obayashi.co.jp/sustainability/esg.html

 

① 気候変動

気候変動に関するリスク及び機会については、2020年7月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同を表明し、関連リスクと機会を特定・評価し、気候変動関連問題が事業に与える中長期的なインパクトを把握するため、シナリオ分析を実施のうえ、2020年11月に同提言に沿った情報を開示した。また、ISSB「IFRSサステナビリティ開示基準」の公開など、社会からの要請に応じるため、2024年4月に情報を更新した。

ア リスク及び機会の特定

当社グループは、事業・戦略・財務計画の検討を行う際に、短期・中期・長期(「短期」:3年以内、「中期」:~2030年、「長期」:2031年~2050年を想定)の気候関連リスク及び機会による影響を判断する一連のプロセスの中で、気候変動の影響についても考慮している。影響度は大(100億円以上)・中(10億円以上100億円未満)・小(10億円未満)の3段階で評価している。

イ シナリオ分析

TCFD提言に基づき、リスク及び機会を特定・評価し、気候関連問題が事業に与える中長期的なインパクトを把握するため、シナリオ分析を実施している。

分析においては、産業革命前に比べ2100年までに世界の平均気温が4℃前後上昇することを想定した4℃シナリオと、1.5℃前後上昇する1.5℃シナリオを採用し、各シナリオにおいて政策や市場動向の移行(移行リスク・機会)に関する分析と、災害などによる物理的変化(物理リスク・機会)に関する分析を実施している。

 

<シナリオ分析結果のまとめ>

重要なリスク/

機会

2030年における影響

影響時期

対応策

概要

シナリオ

4

1.5

移行

リスク

脱炭素化政策および法規制の強化

・事業活動に伴い排出されるCO2への課税によるコストの増加

・エネルギー消費が多い建設資材の価格が上昇することによる調達コストの増加

・再生可能エネルギーの導入によるエネルギー調達コストの増加

中~長期

・施工段階における省エネルギー推進(省燃費、省電力)

・施工段階におけるCO2削減(軽油代替燃料、再エネ電力の導入)

・サプライチェーンとの協働による建設機械の脱炭素化(ハイブリッド建機、電動建機など)

・再生材および低炭素型資材の活用、建設廃棄物のリサイクル率向上

・木造中高層建築に係る設計・施工技術の確立および国産木材に関するサプライチェーンの強化

機会

省エネルギー・再生可能エネルギー技術のニーズ拡大

・ZEB(※)などの低炭素建築物の需要増加

・既存のエネルギーから再生可能エネルギーへの置き換え促進

・グリーンビルディングの認証に対応したオフィス需要の拡大

短~長期

・ZEBなどの環境性能に優れた高付加価値な建築物の供給

・ZEB技術、低炭素型資材(低炭素型コンクリートなど)の開発・実用化推進

・カーボンニュートラルや木造・木質化建築などの専門組織による提案力・営業力の強化

・再生可能エネルギー事業や水素事業、PPA事業の推進と知見の活用

・保有技術を活かした既存施設のバリューアップや省エネルギー改修の営業強化

物理的

リスク

夏季気温上昇

・建設現場の技能労働者の熱中症をはじめとする健康リスク増大

・建設現場の就労環境悪化による作業者不足の深刻化

中~長期

・作業員の安全に細心の注意を払った施工プロセス管理

・省力化技術・ICTを活用した生産性・施工安全性の向上

・熱中症対策や働き方改革などによる建設現場の就労環境改善の推進

・作業員の入職・定着率向上や、協力会社の事業および技術の継承支援に向けた取り組み推進

リスク

自然災害の激甚化

(台風・豪雨・洪水など)

・自然災害による工事中の建築物やインフラなどへの被害や作業の中断、建設資機材のサプライヤー被災などへの対応リスク増大

・保有不動産の自然災害リスクの増加

中~長期

・サプライチェーンとの強固なネットワーク構築による災害時のBCP対応力の強化

・ハザードマップやICTを活用した災害対策の推進

・環境性能、防災性能、事業継続性能の向上を実現する再開発事業の推進

機会

国土強靭化の取り組み

・防災・減災、国土強靭化のためのインフラ建設や維持修繕の需要拡大

短~長期

・防災、減災、強靭化技術の開発・実用化推進

・インフラ建設や維持修繕に対する営業強化

・ICTを活用した調査・点検から評価・診断、補修・補強工事までのワンストップビジネスの推進

※ 室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギー化を実現した上で、再生可能エネルギーを導入することにより、エネルギー自立度を極力高め、年間の一次エネルギー消費量の収支をゼロとすることを目指した建築物。

 

各リスクと機会への対応策を推進するため、以下の環境関連のKPIを設定し、進捗をモニタリングしている。2022年10月には、SBT(Science Based Targets)の認定を取得し、2030年度までに2019年度比で、Scope1+2を46.2%、Scope3を27.5%とするCO2排出量削減目標を掲げ、着実に取り組んでいる。

 

 

アクションプラン

KPI(目標とする指標)

2024年度

2025年度

2025年度

2026年度

2030年度

実績値

目標値

環境配慮型事業の推進

設計施工案件におけるZEB化率

55%

69%

50%以上

60%

100%

設計施工案件におけるZEB認証件数

9件

15件

7件

7件

当社グループが保有する国内賃貸物件への再生可能エネルギー電力導入率

賃貸オフィスビル

90%

97%

2026年度までに100%

全賃貸物件

90%

97%

2030年度までに100%

グリーンエネルギー事業の推進

再生可能エネルギー事業による安定供給年間発電量

663,759

MWh

1,013,467

MWh

1,053,000

MWh

1,250,000

MWh

1,300,000

MWh

脱炭素の

推進

CO2排出量削減率(2019年度比)(Scope1+2)

▲22.9%

▲25.8%

(※)

2030年度までに▲46.2%

CO2排出量削減率(2019年度比)(Scope3)

▲1.5%

算定中

2030年度までに▲27.5%

※ 第三者保証取得前の速報値

 

 

(参考)

◇気候関連の情報開示(TCFD提言に基づく開示)

https://www.obayashi.co.jp/sustainability/environment/tcfd.html

◇脱炭素社会

https://www.obayashi.co.jp/sustainability/environment/action.html#section1

 

② 自然資本

自然資本に関するリスク及び機会については、2023年6月にTNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同を表明した。TNFD提言で推奨されるLEAPアプローチに沿って、バリューチェーンでの自然への依存・影響の分析を行い、以下のとおり特定・評価のうえ、2025年2月に同提言に沿った情報を開示した。

 

LEAP分析の概要

 

L(Locate)

自然との接点の発見

E(Evaluate)

依存と影響の診断

A(Assess)

リスクと機会の評価

P(Prepare)

開示

TNFD

要求事項

・対象事業の選定

・対象バリューチェーンの選定

依存・影響の特定・評価

リスク・機会の特定・評価

開示およびリスク・機会に対応するための準備

当社実施内容

・バリューチェーンの特定

・工事種類別の建設現場および調達資材原材料採取地の抽出

・自然との接点の発見

・ENCORE(※1)を用いた依存・影響を診断

・IBAT(※2)を用いた保護地域・重要な生物種との隣接状況の確認

ENCOREで特定した依存・影響をもとにリスク・機会の特定と対応策の策定

・開示の実行

・リスク・機会への対応

※1 自然に対する依存・影響評価ツール。選択肢から、自社の事業が該当するセクター、サブ産業、生産プロセスなどを選択することで、潜在的な自然への依存・影響のリストや図のアウトプットを得ることができる。

※2 生物多様性評価ツール。対象地点の周囲にある保護区やKBAなど保全のために指定された地域、絶滅危惧種の分布などを統括して地図上に表示する。

 

L:自然との接点の発見、E:依存と影響の診断

当社グループの連結売上高のうち、7割程度を占める国内建設事業(建築・土木)に注目した。国内建設事業のバリューチェーンにおいて、自然への影響度が大きい『設計・施工』および調達のうち主要調達資材の『原材料採取地』について、ENCOREを用いて自然資本に対する依存と影響度を抽出した。

 

A:リスクと機会の評価

抽出した依存と影響度をもとに、リスクに関する項目として「生態系の利用」「温室効果ガス」「水資源」を、機会に関する項目として「グリーンインフラ」、「木材」を特定し、対応策を策定した。

なお、自然関連のリスク及び機会については、発生可能性や時間軸の分析も実施したが、現時点では開示に十分な客観的根拠データが得られていないため、本開示では定性的な整理にとどめている。今後、分析の高度化を進めるとともに、自然関連のリスク及び機会が当社グループの事業及び財務に与える影響について、段階的に評価を行っていく。

 

 

<自然関連のリスク・機会>

 

 

依存/影響

対象

リスク・機会

発生可能性

時間軸

対応策

移行リスク

(政策)

生態系の利用・攪乱

調達原材料

鉄鉱石、

石炭、

石灰石

原材料採取地における採取後のアフターケア(埋め戻し、植林など)が一層求められ、調達コストが増加

中~高

中~長期

・サプライチェーンエンゲージメントの強化によるサステナブルな調達体制の構築

・トレーサビリティが確保された資材や資源保全・人権配慮などを満たす認証材の利用促進

・資源循環に資するリサイクル資材・代替資材に関する技術開発とその利用促進

・建設廃棄物のリサイクル率向上など建設事業におけるサーキュラーエコノミーの推進

・木造・木質化建築などネイチャーポジティブに寄与する設計・施工技術の確立およびサプライチェーンの構築

・伐採期を迎えた国産木材について、サプライチェーン全体でのサステナブルな利用や適切な森林管理による国内外の森林資源の保全

・ネイチャーポジティブ、グリーンインフラ関連の技術開発と利用促進

原材料採取地における自然保護・規制強化により、調達先変更や代替資源の探索などが必要となり、調達コストが増加

短期

木材

木材調達に関する自然保護・規制強化により調達先の変更や調達コストが増加

中~長期

(政策)

GHG排出

鉄鉱石、

石炭、
石灰石

炭素税導入による原材料調達価格への転嫁により、調達コストが増加

中~高

短~長期

木材

GHG吸収源としての森林保護政策の強化により、木材の流通量が減少し、調達コストが増加

短期

(レピュテーション)

生態系の利用・攪乱

砂、木材

原材料採取地における生態系へのインパクトが大きい場合や合法性が確認できない調達が行われた場合、レピュテーションが低下

短~長期

(市場)

生態系の利用・汚染物質・固形廃棄物

設計施工

ネイチャーポジティブの高まりにより、施工中の現場周辺における環境モニタリングがより一層求められ、モニタリングや環境管理のコストが増加

また、施工や構築物そのものによって周辺環境の変化が生じることで、自然調整機能の損失に対応するコストが発生

中~長期

・環境負荷を低減・除去する工法や管理技術の確立で、競争力向上

・企画から解体の各フェーズでの生物多様性の定量評価・環境モニタリング技術および関連技術の開発を促進

・ネイチャーポジティブやグリーンインフラに資する技術開発を推進し、ステークホルダーへの情報発信や顧客への技術提案を積極的に実施

物理的リスク

(慢性)

供給サービス/生態系の利用

調達原材料

鉄鉱石、砂

建設事業における主要調達資材の資源枯渇により、代替資源の探索や新たな工法・技術の開発が必要となり、調達コストの増加や事業規模が縮小

短~長期

・資源循環に資するリサイクル資材・代替資材に関する技術開発とその利用促進

・サステナブルな代替資源やネイチャーポジティブな資源活用に資する工法・技術の開発推進

(慢性)

水の使用

設計施工

水資源の枯渇による水の使用制限により、建設事業への支障やコストが増加

中~長期

・水の循環利用など水使用量が少ない工法・施工技術の確立

・水ストレスマップなどを利用し、水資源の利用制限や枯渇地域を事前把握し、施工上の水リスクを管理

(急性)

生態系の利用

自然災害の多発・激甚化による建設現場における自然関連被害の増加

短期

・建設機械の遠隔操作など災害対応・復旧のための技術開発

・サプライチェーンとの強固なネットワーク構築による災害時の当社の事業継続能力の強化

機会

市場

ネイチャーポジティブ・グリーンインフラのニーズの高まりにより、事業機会が拡大

中~長期

・自然共生や資源循環に配慮した設計・施工の実施

・建設廃棄物のリサイクル率向上など建設事業におけるサーキュラーエコノミーの推進

・ネイチャーポジティブやグリーンインフラに資する技術開発を推進し、ステークホルダーへの情報発信や顧客への技術提案を積極的に実施

レピュテーション

環境負荷の低減・除去に資する工法・管理技術やグリーンインフラ対応技術の認知の高まりによるレピュテーションの向上

中~長期

資源効率/自然資源の持続可能な利用

サステナブルな木材の活用技術ニーズが高まり、事業機会が拡大

中~長期

・木材の利活用において、OBAYASHI WOOD VISIONのもと、最適なサプライチェーンを含めた循環型モデル(Circular Timber Construction®)の構築をめざし、川上(植林・育林)から川中(加工・調達)、川下(建設、発電、リユース・リサイクル)までの3つのフェーズで、技術開発および事業化を推進

 

P:開示

フレームワークに沿って、「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」を開示。「指標と目標」では、グローバル中核開示指標に対応する当社グループの目標と実績を開示している。

自然の変化の要因である「気候変動」、「汚染/汚染除去」、「資源使用/資源補充」に対応させて測定指標を開示しており、「気候変動」では②気候変動で前掲したCO2排出量削減率を、「汚染/汚染除去」では以下のKPIを設定している。また、全研究開発費用に占める自然共生関連費用の比率を指標とし、自然共生を推進している。

 

アクションプラン

KPI(目標とする指標)

2024年度

2025年度

2025年度

2026年度

2030年度

実績値

目標値

循環型社会の実現への貢献

建設廃棄物に占める混合廃棄物の割合

3.2%

2.9%

3.0%以下

3.0%以下

3.0%以下

 

<全研究開発費用に占める自然共生関連費用の比率>

 

(参考)

◇TNFD提言に基づく自然関連の情報開示

https://www.obayashi.co.jp/sustainability/environment/tnfd.html

◇自然共生社会(生物多様性)

https://www.obayashi.co.jp/sustainability/environment/nature.html

 

③ 人材マネジメント

当社グループは、事業に関わるすべての人を大切にすることを企業理念に掲げており、多様性を受け入れ相互に尊重し合える企業(組織)風土をこれからも変わらない当社グループの守るべきDNAと捉えている。この企業風土の下、仕事を通じた成長機会の提供や働きがいのある職場をつくり、働く人のエンゲージメントを向上させることを目指し、「大林グループ人材マネジメント方針」を定めている。

本方針に基づき、経営会議の下、経営計画委員会及び同委員会に設置した人材マネジメント専門委員会が、中期経営計画及び長期戦略に基づき、人事制度の運用、人材活用、ダイバーシティ&インクルージョンなどの推進に向けた方針・戦略の策定を行っている。

 

ア 健康経営の推進

当社グループは、健康経営を人材マネジメント戦略の重要な要素として位置付けている。2022年12月に健康経営方針を策定し、健康経営推進専門部会を設置するなど体制を整備し、健康経営課題、課題に対する最終目標と指標を定めて積極的に推進している。

社長が健康経営責任者となり、人材マネジメント専門委員会傘下の健康経営専門部会が、全国土木建築国民健康保険組合などと連携を図りながら具体的な施策を推進している。同専門部会では、産業医や公認心理師・臨床心理士と協働し、グループ全社員の健康診断データなどの分析、検証を踏まえた職場環境の整備など、社員とその家族の健康保持・増進に向けた施策の立案、推進に継続的に取り組んでいる。取組みの推進状況は健康診断有所見率等をKPIとしてモニタリングしている。

 

(参考)

◇健康経営方針・健康経営推進体制

https://www.obayashi.co.jp/sustainability/employee/hrm.html#section1

 

 

アクションプラン

KPI

(目標とする指標)

2024年度

2025年度

2025年度

2026年度

2030年度

実績値

目標値

健康経営の推進

健康診断有所見率

35.6%

34.6%

35%未満

35%未満

35%未満

 

 

イ ダイバーシティ&インクルージョンの推進

当社グループは人材が最も重要な経営資源の一つであるとの考えのもと、各人が働きがいを持って業務と向き合い、成長を促す環境や機会を整備・提供することによりウェルビーイングの実現を目指している。ジェンダーや国籍、文化、世代、障がいの有無などにとらわれることなく、多様な人材が等しく活躍できる職場環境の整備や、さらなる人材の確保と活躍推進に取り組んでいる。

 

(参考)

◇ダイバーシティ&インクルージョン

https://www.obayashi.co.jp/diversity_inclusion/

 

アクションプラン

KPI

(目標とする指標)

2024年度

2025年度

2025年度

2026年度

2030年度

実績値

目標値

ダイバーシティの推進

女性管理職比率

6.0%

6.9%

7.0%

7.5%

10.0%

技術系女性社員比率

11.4%

11.9%

12.5%

13.0%

15.0%

男性社員の育児休職・

育児目的休暇取得率

102.1%

116.7%

100%

100%

100%

障がい者雇用率

2.6%

2.7%

2.5%以上

2.7%以上

2.7%以上

 

ウ 人材教育

当社グループの持続的な成長を支えるには人材の育成が不可欠であることから、さまざまな教育施策を展開している。年代や職責に応じた階層別研修のほかに、職種別の専門研修、事業・業務領域別の研修を実施している。

新卒採用の社員には、入社後の数週間は職種を問わず、社会人としてのビジネススキルを学ぶ集合研修を実施している。講義やディスカッション、グループワークなどの教育を終えた後、職種別に専門的なスキルを学ぶ教育を実施している。

キャリア採用の社員は、新卒採用の社員と等しく活躍できるよう、入社時には、職種を問わず人事諸制度や情報セキュリティ教育、人権研修などを行った後、職種別に必要な教育を実施している。

実務職層には、職場内において1年を通じてPDCAのサイクルを回すことによって、一人ひとりに即した成長を実現していく。また、同じ職場内で「指導員」を選任し、実務の基礎や知識、技術などを確実に身に付けられるようきめ細やかな指導を受けながら、各人の能力を伸ばしている。

また、全階層を対象に職場外教育として、当社の社員として必要な知識やスキルを階層別に習得していく「共通集合研修」や、事業領域、業務領域に分かれた研修なども実施している。

 

(参考)

◇大林組の教育制度

https://www.obayashi.co.jp/sustainability/employee/hrm.html#section3

 

アクションプラン

指標

2024年度

2025年度

実績値

総活躍推進・

成長機会の提供

1人当たり教育時間数

43.0時間

43.0時間

1人当たり教育コスト

56,954円

60,796円

 

エ エンゲージメント向上

当社グループは、持続的成長のためには、個と組織のパフォーマンスの最大化が不可欠だと考えている。エンゲージメントが高い状態=組織が好活性状態という考えのもと、全社員を対象にエンゲージメント調査を実施し、調査結果から「従業員満足度」を算出することで、その実効性を評価している。なお、2025年度からは従業員満足度のほかビジョンへの共感、協働意欲、成長意欲、評価・承認、報酬・評価の仕組み、成長機会の要素を加えた計7つの指標の平均を「エンゲージメント指標平均」とし、75%以上の達成をKPIに設定している。

 

<エンゲージメント指標の推移>

 

アクション

プラン

KPI

(目標とする指標)

2024年度

2025年度

2025年度

2026年度

2030年度

実績値

目標値

総活躍推進・

成長機会の

提供

エンゲージメント

指標平均

74.4%

75.9%

75%以上

75%以上

80%以上

 

オ 賃上げ

当社グループの業績や中長期的な成長への貢献に対して、適時適切に報い、各人のモチベーションの維持・向上に努めている。当社は2026年4月の賃金改定において、定期昇給にベースアップ(基本給は従業員平均で月当たり約35,000円の引き上げ)を加え、約7.5%の賃上げを実施した。ベースアップは2022年度以降5年連続となり(2021年度比累計19.3%の上昇)、これらの賃上げは、インフレ経済が定着していく中、政府の「成長と分配の好循環」の達成に資するとともに、物価上昇を上回る賃上げを実施し、建設業の魅力を高めていくことが当社の社会的責務であるとの判断によるものである。

 

④ 人権

当社グループは、企業の社会的責任として多様な人材の活躍につながる人権の尊重を重要な課題の一つとして捉え、「人を大切にする企業の実現」を目指し、「ビジネスと人権に関する指導原則」など国際的な人権規範に則った「大林グループ人権方針」を策定の上、人権尊重の取り組みを実施している。

具体的には、経営計画委員会に設置したヒューマンライツ専門委員会及びサプライチェーンマネジメント専門委員会を中心に、サプライチェーンを含めた人権課題を特定し、その課題解決に向けた各取り組みの実施及び全グループ社員に向けた人権啓発を推進することで、人権デュー・デリジェンスの取り組みを推進している。人権デュー・デリジェンスの取り組みにおいてはサプライチェーン全体での取り組みが不可欠と考えており、2022年度には、グループ会社およびサプライチェーンを含めた人権デュー・デリジェンスのロードマップを作成し、各取り組みを実施している。

また、当社グループが優先的に取り組む人権課題として特定しているものの中でも、サプライチェーンに関する取組みとして「外国人労働者」と「資材調達における人権侵害の防止」を重点課題と捉え、各種調査やヒアリングを実施し、サプライチェーンにおける各社の取り組み状況を把握すると共に、人権侵害の未然防止と対応強化に努めている。

なお、万が一人権問題が発生した場合の救済措置として、通報者が報復の恐れなく人権他に関する懸念等を通報できる制度と対応メカニズムを整えている。同制度は多言語での対応もできる体制を整えており、人権侵害の申立てがあった場合には速やかに調査の上、人権への負の影響を是正する措置を講じる。

 

 

<サプライチェーンにおける各種調査>

調査名

目 的

対象企業

実施状況・補足

CSR調達ガイドラインアンケート

「大林グループCSR調達ガイドライン」の周知・浸透とその遵守状況の確認及びサプライチェーン企業における取り組み推進

主な取引先企業

(2025年度)

約1,400社

ガイドライン遵守状況をスコア化した上で分析し、結果を更なる取り組み推進への参考情報と共に各社へフィードバックしている。

(2025年度国内調達額に占める回答企業からの調達割合約78%)

調達資材のトレーサビリティ調査

事業活動に伴い調達する資材のうち、相対的に人権リスクの高い資材についてトレーサビリティを調査

当該資材についての調達先企業

(2025年度)

木材:108社

太陽光パネル:1社

木材:原産国・森林認証材の使用割合などを調査

太陽光パネル:製造拠点および製造過程での新疆ウイグル自治区の関与の有無などを調査(2025年度は新規契約先に限定)

外国人技能実習生および特定技能の労働者の受入状況に関する調査

技能実習生等外国人労働者の受入状況や人権リスクの把握および是正指導

「CSR調達ガイドラインアンケート」で外国人を受入れていると回答した企業

(2025年度)

アンケート:430社

ヒアリング:4社

受入状況についてアンケート調査を実施の上、是正が必要な企業には是正項目についてフィードバックを実施。また、個別企業(2025年度は4社)を選定して訪問し、会社関係者及び外国人労働者本人へのヒアリングを実施

 

(参考)

◇人権尊重の取り組み

https://www.obayashi.co.jp/sustainability/employee/humanrights.html

◇CSR調達の推進(サプライチェーンにおける取り組み)

https://www.obayashi.co.jp/sustainability/suppliers.html

◇大林グループ企業倫理相談・通報制度

https://www.obayashi.co.jp/sustainability/upload/file/obayashi_rinrituho.pdf

 

 

(3) リスク管理

サステナビリティ関連リスク及び機会に紐付けて設定したアクションプランや指標・目標は各リスク及び機会の主管部門に伝達され、その進捗状況については各主管部門から各サステナビリティ分野の専門委員会、経営計画委員会及び経営会議を通じて取締役会に報告される。また、すべての指標・目標の進捗状況はサステナビリティ委員会にて執行状況のレビューを実施の上、取締役会に報告される。これにより、取締役会にサステナビリティ関連リスク及び機会に係る情報が集約される体制としている。各部門においては、業務プロセスに内在するリスクを把握し、必要な回避策・低減策を講じたうえで業務を遂行するとともに、機能別リスク管理委員会及びサステナビリティ分野専門委員会がリスク情報の報告を受け、指示・監督している。また、監査役会及び内部統制監査室が、各部門のリスク管理状況を監査している。

 

<リスク管理体制図>