2024年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    249名(単体) 8,865名(連結)
  • 平均年齢
    44.8歳(単体)
  • 平均勤続年数
    14.4年(単体)
  • 平均年収
    10,834,442円(単体)

従業員の状況

 

5 【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

2024年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(人)

総合エンジニアリング事業

6,904

(2,254)

機能材製造事業

1,083

(285)

その他の事業

444

(65)

全社(共通)

434

(116)

合計

8,865

(2,720)

 

(注)1.従業員数は、就業従業員数を記載しております。

2.「従業員数」欄の( )内は、外数で平均臨時雇用者数(派遣受入者数等)を記載しております。

3.全社(共通)として記載されている従業員数は、持株会社である当社及び当社グループより委託される人事、財務、情報技術、法務等に係る業務及び管理を行う日揮コーポレートソリューションズ株式会社の従業員数であります。

      4.従業員数が当連結会計年度において989名増加した主な理由は、総合エンジニアリング事業において新   

     規連結子会社が増加したことなどによるものであります。

 

(2) 提出会社の状況

2024年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

249

(46)

44.8

14.4

10,834,442

 

(注)1.従業員数は、就業従業員数であり執行役員(副社長執行役員を除く)(11名)を含み、関係会社等へ

の出向者(136名)を含んでおりません。

2.従業員数が前事業年度に比べ64名減少したのは、2023年4月1日付で日揮コーポレートソリューションズ株式会社に当社のコーポレート機能を移管したことなどによるものであります。

3.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

4.「従業員数」欄の( )内は、外数で平均臨時雇用者数(派遣受入者数等)を記載しております。

5.提出会社の従業員は、全て全社(共通)に属しております。

 

(3) 労働組合の状況

労働組合は結成されておりません。

 

(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

当事業年度

 

管理職に占める

女性労働者の割合

(%)

(注)2、3、4

男性労働者の

育児休業取得率

(%)

(注)5、6

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注)2、7

全労働者

正規雇用労働者

パート・

有期労働者

(注)8、9

当社

3.3

63

57.8

60.5

34.6

日揮グローバル㈱

1.9

50

63.6

64.4

32.1

日揮㈱

1.9

48

63.3

65.2

48.1

青森日揮プランテック㈱

5.0

80.3

79.7

日揮触媒化成㈱

2.6

58

82.9

89.0

62.3

日本ファインセラミックス㈱

100

88.8

88.0

22.7

JFCマテリアルズ㈱

74.3

72.2

日揮ビジネスサービス㈱

38.9

50.5

61.4

35.2

日本エヌ・ユー・エス㈱

10.3

100

72.9

78.0

41.3

 

(注)1.提出会社及び主要な国内連結子会社を対象としております。

2.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

3.2024年3月31日時点の数値であります。

4.一部の連結子会社については、管理職の女性労働者はおりません。

5.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

6.一部の連結子会社については、育児休業等を取得した男性労働者はおりません。

7.職群及び等級の男女構成比の差によるものであります。

8.相対的に勤務時間が短い、業務範囲が限定的等の理由により平均賃金が低い嘱託及びパートタイム労働者に女性が多いことによります。

9.一部の連結子会社については、該当する女性労働者がいないため、記載しておりません。

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループは、企業理念である「JGC's Purpose and Values」に基づき、サステナビリティに関する取組みを通じて企業価値の持続的な向上を図るために、「サステナビリティ基本方針」を定め、環境、社会、ガバナンス、品質、安全、健康の分野での活動において、サステナビリティを積極的に追求しております。

「サステナビリティ基本方針」を実現するため、当社グループでは、GRIガイドライン、ISO26000、SDGsなどの国際ガイドラインの内容や世界のマクロトレンドの分析を踏まえ、社会的課題の抽出を行いました。そのうえで、社会・ステークホルダーにとっての重要度と当社にとっての重要度を総合的に評価し、当該社会的課題から優先的に取り組むべき6つの重要課題(以下、「マテリアリティ」という。)を以下のとおり特定いたしました。これらのマテリアリティに関して、当社グループでは下記(2)にて後述する項目が当社グループにとっての重要なサステナビリティ項目と考え、対応しております。

なお、当社グループは、2024年1月9日に国連グローバル・コンパクトへ署名し、同イニシアチブが定める人権・労働・環境・腐敗防止4分野10原則を遵守・実践していくことを宣言しております。

 


 

(1)サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理

当社グループでは、代表取締役会長を委員長とするサステナビリティ委員会を設け、気候変動や人的資本を含むサステナビリティ分野に関する方針や行動計画の策定、推進、評価並びに改善に係る審議を行うとともに、取締役会への年1回の定期報告に加え、内容に応じた適時の附議・報告を行うこととしております。

また、当委員会策定の方針や行動計画の実施を推進するため、当社グループ各社社長の指名により、各社にサステナビリティ推進委員を置き、推進委員間の連絡・調整・意見交換を目的に、サステナビリティ推進連絡会議を設置しております。他方、リスク管理の観点では、代表取締役社長が委員長を務めるグループリスク管理委員会を別に設け、気候変動等のサステナビリティに関するリスクを含むグループのリスク全体の把握・整理、リスク管理システムの維持・構築、改善の提案・審議を行っております。これら委員会の詳細については、「第4 提出会社の状況 4.コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要 ② 企業統治体制の概要」に記載しております。


 

(2)重要なサステナビリティ項目

当社グループでは、上記のガバナンス及びリスク管理体制の下、以下の4項目を当社グループにとっての重要なサステナビリティ項目として対応しております。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 気候変動への対応

持続可能な社会の実現に向けて、気候変動への対応は世界的な課題となっております。当社グループは、気候変動への対応はマテリアリティの1つである「環境調和型社会」への対応となるとともに、「エネルギーアクセス」及び「生活の質の向上」にも貢献するものと考えております。なお、当社は、CDP報告をはじめとして、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)のガイドラインを踏まえた開示を行っております。

当社グループの気候変動対応の責任者は代表取締役会長であり、上記サステナビリティ委員会の主宰等を通じ、気候関連のリスクと機会を評価・管理するとともに、当社グループの経営戦略や経営目標に反映させる責任を負っております。特に、CO2の削減に関しては、サステナビリティ委員会のもとに「CDP回答」と「CO2削減計画策定」の2つの分科会を設け、当社グループのCO2排出の現状とともに、CO2削減策について報告を受けております。また、前述のリスク管理の枠組みのもと、気候変動を含む様々かつ具体的なリスクに対して低減と未然の防止に努めております。

当社グループでは、国際エネルギー機関(IEA)のWorld Energy Outlook 2020年版のデータをベースとし、STEPS(物理シナリオ)及びSDS(移行シナリオ)に準拠する複数のシナリオ等を前提に2040年をターゲットとして行った分析を通じて、以下のとおり気候変動に関するリスク及び機会の影響を評価し、戦略に反映しております。

 

<気候変動に関する主なリスク>

新たな規制リスク

グローバルなカーボンプライシングの導入は資機材コストや燃料の高騰につながり、将来、事業コストに影響を及ぼす可能性がある。

また、炭素税の導入、各国の炭素排出目標の強化などは、オイル&ガス分野におけるプラント需要の減少によって受注機会が減少するリスクになり得ると認識している。

技術リスク

電気・燃料電池自動車の普及によるガソリン需要の減少や脱炭素素材の普及、また、高性能蓄電池の普及によって再生可能エネルギーへのシフトが進むことは、オイル&ガス関連プラント需要の減少につながる可能性がある。

法的リスク

プラント建設プロジェクトの入札の資格要件として、将来気候変動対策に関する情報開示等の要求が高まることが想定され、対応できない場合、失注やレピュテーション低下のリスクがある。

市場リスク

オイル&ガス関連プラント需要の減少によって、受注機会が減少する可能性がある。

また、金融・資本市場の化石燃料関連ビジネスに対する忌避がプロジェクトの成立に影響を及ぼすリスクもある。

レピュテーションリスク

低炭素化、再生可能エネルギー、水素関連など気候変動対策に貢献する技術力を有する企業としての評価の維持・向上を怠った場合には、受注機会、資金調達、人財確保などの諸側面で悪影響が生じるリスクがある。

緊急性の物理的リスク

豪雨や暴風雨、台風、洪水など、地球温暖化に起因するとされる極端な気象現象が増加することによって、資機材・当社グループの施設への物理的被害、従業員に対する人的な被害に加え、資機材調達の遅延も含め事業に影響を与えるリスクがある。

慢性の物理的リスク

上昇する平均気温により、温帯・熱帯地域での建設現場の労働生産性の低下による工期延長が一般化する可能性がある。
また、労働安全リスクの増加による対策費用及び災害補償費用の増加も懸念される。加えて、沿岸地域での海面上昇が発生した場合、港湾が使えなくなることによる輸送コストの上昇リスクがある。

 

 

<気候変動に関する主な機会>

製品・サービス

太陽光発電、バイオマス発電などの再生可能エネルギー発電設備について、当社グループは多数の実績を有しており、脱炭素化に向かう国際社会の流れのなかで受注機会の増加が期待できる。また、需要の拡大が見込まれている洋上風力発電分野についても専門組織を設立し、受注の拡大を目指している。

国内外で複数の実績を有するCCS(CO2の回収・貯留)、及び他社と共同で開発を進めているCCUS(CO2の回収・有効利用・貯留)の技術をオイル&ガス分野に応用することにより、受注機会の増加につながることが期待できる。

脱炭素社会に向けてCO2を排出しない水素、アンモニア、小型モジュール原子炉(SMR)などの分野について、当社グループは技術開発含め、様々な取り組みを進めてきており、今後受注機会の増加が期待できる。

当社グループが開発を進めている、廃プラスチックケミカルリサイクル、廃繊維リサイクル、持続可能な航空燃料(SAF)などの技術に関して、世界的な資源循環ニーズの高まりに伴う需要の拡大が期待できる。

 

 

前述のシナリオやリスク・機会の評価を踏まえ、長期経営ビジョン「2040年ビジョン」においては、エネルギートランジション、資源循環及び高機能材のうち下記の注力分野を「環境調和型社会」の実現に資するビジネス領域と位置付けております。

 


 

また、中期経営計画「BSP2025」において、下表のとおり、グループ企業の自社拠点での事業活動に伴う温暖化ガス(GHG)排出量(Scope1+2)について「2050年ネットゼロ」を宣言するとともに、2030年度までの売上高当たり排出量の2020年度比30%削減を目指すこととしております。実績については、前事業年度である2022年度(2022年4月~2023年3月)のScope1+2のGHG排出量は134,004トンCO2で、売上高当たりの原単位ベースで2021年度から28%の削減となりました。同じく2022年度のScope3排出量(カテゴリー11は除く)は975,775トンCO2でした。なお、 Scope1+2の排出量実績はいずれも、グループ内の主要な排出源と排出量を特定し、削減策を講じることを目的として算出したものであり、主要な排出主体である6社(当社、日揮グローバル株式会社、日揮株式会社、日揮触媒化成株式会社、日本ファインセラミックス株式会社及び日本エヌ・ユー・エス株式会社)による各社独自の算定に基づく排出量の合算です。これら排出量実績については、グループ統一の算定枠組みの整備や網羅性の改善など、その信頼性の向上に引き続き取り組んでまいります。また、本排出量実績算出の前提や内訳など詳細については国際的な気候変動関連の情報開示の枠組みであるCDPへの当社からの2023年7月の報告をご参照ください。

 


 

② 人的資本への取組み

「人権の尊重・働きがい」をマテリアリティと認識し、人的資本を重要な経営基盤と位置付ける当社グループにおいて、人的資本への取組みは経営戦略と連動する重要テーマです。本テーマに対し、取締役会の指名を受け戦略的な人事施策の策定と実装を牽引するCHRO (Chief Human Resource Officer) のイニシアチブのもと、2023年度においては、経営戦略や事業戦略実現のために必要な人財要件や人財数を特定するための人財ポートフォリオ策定と、人財ポートフォリオ実現のための新たな人事戦略である「人財グランドデザイン2030」を策定しました。「人財グランドデザイン2030」では、以下の図に示すとおり、2030年時点で目指す組織像を「統合力で未来を切り拓きやり遂げるプロ集団」として定め、その姿を実現するためには、M(Management System):「タレントマネジメントシステムの構築」、O(Onboarding):「多様な人財の採用と即戦力化」、D(Development):「自律成長を促す人財開発・職場環境整備」、E(Engagement):「会社と個人の共通目的発見と理解促進」、L(Life & Work):「社員の物心両面の充足」の5つ(MODEL)を達成することが必要と考え、そのための具体的な施策を策定し、推進しております。なお、当連結会計年度末時点では、本人事戦略は当社グループの中核となる当社、日揮グローバル株式会社、日揮株式会社及び日揮コーポレートソリューションズ株式会社を対象としておりますが、各社の状況を考慮しながら、順次、他の当社グループ会社にも拡大していく予定です。

 


 

人財育成は、「人財グランドデザイン2030」で定めた目指す組織像を実現するための重要な要素の1つであり、「自ら変化を起こし続ける人財」を継続的に輩出することを人財育成方針とし、国籍・人種・年齢・障がい・ジェンダー・宗教等の違いにかかわらず、すべての従業員に対して能力開発・キャリア開発の機会を公平に提供することとしております。かかる公平な機会提供の結果、人財の多様性は増すと考え、人財の多様性を測る指標の1つに管理職に占める女性労働者の割合を用いており、その実績は「第1 企業の概況 5 従業員の状況」に記載のとおりです。なお、当社グループでは従来から性別にかかわらず適任者を優先的に管理職に登用しておりますが、人財の多様性の観点から、女性管理職者数については当社、日揮グローバル株式会社、日揮株式会社及び日揮コーポレートソリューションズ株式会社の4社に所属する社員を対象に、2025年時点の女性管理職者数を2020年(30名)の2倍に増やすことを目標として掲げております。その実績は、当事業年度末時点で45名となっており、今後も積極的に女性の管理職への登用を図ってまいります。

さらに当社グループでは、長期経営ビジョン「2040年ビジョン」のもと、事業環境の変化に合わせ、ビジネス領域、ビジネスモデル、組織のトランスフォーメーションを進めており、当社グループで働く従業員が、今後益々多様化していくことを想定しております。社内環境整備方針は、すなわち「Inclusion & Diversity基本方針」(https://www.jgc.com/jp/about/policies.html)であり、多様化する従業員一人一人が、能力と活力を最大限に発揮して自分らしく活き活きと働くことができるよう、「日揮グループに集うすべての人に敬意をもって接し、国籍・人種・年齢・障がい・ジェンダー・宗教などを問わず、異なる意見・経験を尊重」すること、「多様な人財一人一人の能力と活力を最大限に引き出す風土を大切にし、それを可能にする制度を拡充」すること等を掲げ、これらを推進しております。2023年度においては、国際女性デーに係るイベントを開催し、Inclusion & Diversityの理解促進・風土醸成を行ったほか、ライフステージを考慮した家族との生活充実支援等を目的に、総合エンジニアリング事業における海外出張・駐在時の魅力度・処遇向上策を実施しました。社内環境整備が進むことで多様な働き方が受容されるようになると考えており、その状況を測る指標の1つに男性労働者の育児休業取得率を用い、その実績は「第1 企業の概況 5 従業員の状況」に記載のとおりです。当社グループには、従来から従業員にとって意見・希望を言いやすく、多様性が受容される風土があり、今後も一人一人のライフステージと希望に合わせ、男性育休取得のサポートを継続します。

 

③ 人権対応

人権対応は、マテリアリティの1つである「人権の尊重・働きがい」と直接結び付く重要テーマです。当社グループは「国際人権章典」、国際労働機関(ILO)の「労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言」等の国際的に認められた人権原則に基づき、当社グループの事業活動において影響を受けるすべての人々の人権を尊重することが、ビジネスの基盤であると認識しております。

当社グループでは、代表取締役会長が委員長を務めるサステナビリティ委員会のもと、グループ横断型の人権対応分科会を設け、当社ガバナンス統括オフィスコンプライアンスユニットが中心となって、下表のとおり人権を尊重する体制を推進しております。その上で、グループ各社の役職員に対し、「日揮グループ行動規範」及び「日揮グループ人権基本方針」を以って人権の尊重の徹底を図っております。

 


 

当社グループは、国連のビジネスと人権に関する指導原則などの国際スタンダードを踏まえて政府が定める「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」に基づき、2022年度から人権デューデリジェンスプロセスの構築に取り組んでおります。2023年度は、前年度に作成した人権リスクマップ(国内及び海外EPC事業を対象に生じうる人権課題の特定を行い、特定された各課題を深刻度及び発生可能性から分類したマップ)に基づき、特定された人権リスクに対する低減措置として、人権尊重の取組みに必要なルールを定める人権規程の作成のほか、海外ベンダー及びサブコントラクター向けCompliance Provisionにおける人権条項の見直し・修正及び国内向け発注契約条件へ人権条項の追加を行うための追加条項案の作成に取り組みました。

 


 

引き続き、人権に関するリスク低減措置の実施への取組みを進めるべく、人権関連質問状の作成やEPCプロジェクトでの実態調査に向けた項目の整理等を順次実施し、2024年度からは人権デューデリジェンスの範囲を当社グループの機能材製造事業会社へも展開する予定です。当社グループ社員をはじめ協力会社で働く労働者、サプライヤー、パートナー、顧客等、すべてのステークホルダーの人権侵害リスクの排除、その維持、侵害が発見された場合の早期の救済に努め、人権尊重に対する取組みをより一層充実させてまいります。

④ 労働安全衛生

労働安全衛生の追及は、マテリアリティである「人権の尊重・働きがい」、そして「ガバナンス、リスク対応」にも関連する重要なサステナビリティ項目と考えております。当社グループでは、Health(衛生)、Safety(安全)、Security(セキュリティ)、Environment(環境) (以下、「HSSE」という。)を常に追求すべき企業価値と捉え、当社グループのみならず協力会社も含め、国内外事業所や建設現場などで働くすべての人を対象に「すべての人が、健康で安心して働き、家族のもとへ無事帰る」というグループ共通のHSSE基本理念を制定し、当社グループを挙げてHSSEのパフォーマンス向上に取り組んでおります。

本理念に基づき、従来よりグループ各社が安全衛生方針を掲げ、下表のとおり安全衛生委員会又はHSSE委員会を設置し労働安全衛生管理体制を構築・運用しており、HSSEに係る重要テーマに関して審議し、対処するとともに、安全衛生上のリスクを低減する活動を展開しております。建設現場においても、建設工事に従事する多数の作業員を動員する協力会社とともに、各建設現場独自の委員会を設置して、協力会社を交えて労働安全衛生のパフォーマンス向上に取り組んでおります。重大災害があった場合は各グループ会社の労働安全衛生管理部門が迅速に対処するとともに、当社関連部門に対して緊急連絡し、必要に応じて当社が支援する体制を取っております。

 


 

労働安全衛生のパフォーマンス向上については、安全衛生意識の向上と安全衛生知識・技術の向上という2つの側面から取り組んでおります。意識向上においては、代表取締役社長主催のグループ全体のHSSE大会など各種イベントの開催、建設現場における協力会社の作業員全員を対象とした安全文化の醸成など、知識・技術の向上においては、新入社員や初めて現場赴任する従業員への安全衛生環境教育、国内外の建設現場に対する労働安全衛生監査などを実施しております。

海外のEPC事業を遂行する日揮グローバル株式会社及び国内のEPC事業を遂行する日揮株式会社では、それぞれのHSSE委員会が国内外の建設現場において、休業災害度数率、記録災害度数率をはじめ労働安全衛生に関するパフォーマンスを測定する複数の指標を定め、モニタリングすることで、継続的な労働安全衛生の管理の徹底と向上に努めております。この労働安全衛生関連の指標の集計や管理については、今後日揮グローバル株式会社傘下の海外グループ会社が主体となって遂行するプロジェクトにもモニタリングを拡大していく予定です。

 

<日揮グローバル株式会社及び日揮株式会社の建設工事における労働安全衛生に係る指標>

本データの集計期間は毎年1月から12月までの合計としております。

 

 

単位

2020年

2021年

2022年

2023年

工事総労働時間数

千時間

40,861

49,334

46,401

43.061

死亡災害件数

0

0

*1休業災害度数率

 

0.034

0.032

0.034

0.023

*2記録災害度数率

 

0.34

0.20

0.23

0.43

 

 

工事総労働時間数の大部分は、建設工事を請け負い、直接工事に従事する協力会社となっております。

*1休業災害度数率及び*2記録災害度数率は、米国労働安全衛生局(OSHA)の労働災害の発生状況を図る指標で、以下のとおりです。

休業災害度数率 = 休業災害件数×200,000÷工事総労働時間数

記録災害度数率 = (死亡災害件数+就労制限件数+専門治療件数)×200,000÷工事総労働時間数

 

2023年は、日揮グローバル株式会社の海外建設現場において、協力会社の作業員2名が死亡する事故が発生しました。また、休業災害は例年より減少したものの、海外建設現場において記録災害が増加しました。こうした状況に対して、日揮グローバル株式会社のHSSE委員会が、臨時の労働安全衛生監査を実施するなどして、建設現場のマネジメント及び協力会社と一体となって事故防止対策を策定し、改善に取り組んでおります。