2026年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    245名(単体) 8,154名(連結)
  • 平均年齢
    44.6歳(単体)
  • 平均勤続年数
    12.8年(単体)
  • 平均年収
    9,749,814円(単体)
  • 平均年収の
    対前年増減率
    4.8%(単体)

従業員の状況

人材戦略に関する基本方針等

(1) 【人財戦略に関する基本方針等】

① 人財戦略に関する基本方針

 当社グループの人財戦略の概要については、「第2 事業の状況 2.サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)重要なサステナビリティ項目 ②人的資本への取組み」に記載しております。

② 連結会社の給与その他の給付の額及び内容の決定に関する方針

 当社グループでは、従業員が活き活きと働き続けるためには、Life & Workの充実が不可欠であるとの考えのもと、「人財グランドデザイン2030」の L(Life & Work)に掲げる「従業員の物心両面の充足」の実現に取り組んでおり、その一環として、エンジニアリング関連4社において、継続的な処遇改善を実施しております。また、2040年ビジョンの実現には従業員一人ひとりの挑戦が不可欠であるとの認識のもと、報酬制度においては「Pay for Value」を基本方針とし、職務価値及び成果に基づく処遇の実現を図っております。具体的には、人財ポートフォリオで定義する求める人財像に基づき、マネジメント職務、高度な専門性を発揮するエキスパート職務、プロジェクト遂行をリードするプロジェクト職務等、役割特性に応じた職務体系を構築しております。各職務においては、その役割が担う職務価値を明確化し、当該価値に応じた給与水準及び手当を設定しております。また、中期経営計画における利益目標と連動した業績連動賞与や、プロジェクトの採算改善に貢献した場合にプロジェクト単位で支給する 「JOB 貢献者報奨」など、経営指標と連動した報酬の仕組みを導入しております。このように、従業員が発揮した価値や成果に応じて昇給や賞与額が決定する仕組みとすることで、担う役割と創出価値の双方を処遇に反映しております。さらに、部長以上の役職者には5年後に当社株式に転換できる権利(Restricted Stock Unitによる事後交付型株式報酬)を付与するなど、企業価値の更なる向上と従業員の貢献の連動を図る報酬制度も導入しております。

 

 

(2) 【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

2026年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(人)

総合エンジニアリング事業

6,054

(2,135)

機能材製造事業

1,172

(288)

その他の事業

487

(72)

全社(共通)

441

(132)

合計

8,154

(2,627)

 

(注)1.従業員数は、就業従業員数を記載しております。

2.「従業員数」欄の( )内は、外数で平均臨時雇用者数(派遣受入者数等)を記載しております。

3.全社(共通)として記載されている従業員数は、持株会社である当社及び当社グループより委託される人事、財務、情報技術、法務等に係る業務及び管理を行う日揮コーポレートソリューションズ株式会社の従業員数であります。

 

(2) 提出会社の状況

2026年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

平均年間給与の対前

事業年度増減率(%)

245

(80)

44.6

12.8

9,749,814

4.8

 

(注)1.従業員数は就業人員数であり、関係会社等への出向者33名は含めておりません。なお、執行役員14名のうち、代表取締役副社長執行役員及び取締役常務執行役員を除く12名は、従業員数に含めております。

2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

3.「従業員数」欄の( )内は、外数で平均臨時雇用者数(派遣受入者数等)を記載しております。

4.提出会社の従業員は、全て全社(共通)に属しております。

 

(3) 最大人員会社の状況

 ア 当事業年度における従業員数が最も多い会社

 日揮グローバル株式会社

2026年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

平均年間給与の対前

事業年度増減率(%)

1,334

(497)

41.9

15.1

10,494,848

4.7

 

(注)1.従業員数は就業人員数であり、関係会社等への出向者197名は含めておりません。なお、執行役員24名のうち、代表取締役社長執行役員及び取締役副社長執行役員並びに関係会社等への出向者を除く18名は、従業員数に含めております。

2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

3.「従業員数」欄の( )内は、外数で平均臨時雇用者数(派遣受入者数等)を記載しております。

 

 イ 上記アの会社の次に従業員数が多い会社

 日揮株式会社

2026年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

平均年間給与の対前

事業年度増減率(%)

1,226

(940)

43.5

14.0

10,059,547

8.9

 

(注)1.従業員数は就業人員数であり、関係会社等への出向者15名は含めておりません。なお、執行役員13名のうち、代表取締役社長執行役員及び取締役専務執行役員並びに関係会社等への出向者を除く10名は、従業員数に含めております。

2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

3.「従業員数」欄の( )内は、外数で平均臨時雇用者数(派遣受入者数等)を記載しております。

 

 

(4) 労働組合の状況

労働組合は結成されておりません。

 

(5) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

当事業年度

 

管理職に占める

女性労働者の割合

(%)

(注)2、3、4

男性労働者の

育児休業取得率

(%)

(注)5、6

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注)2、7

全労働者

正規雇用労働者

パート・

有期労働者

(注)8、9

当社

3.0

70

61.2

61.0

69.7

日揮コーポレートソリューションズ㈱

15.0

60.8

62.7

35.3

日揮グローバル㈱

2.8

77

70.6

71.0

日揮㈱

1.8

66

64.1

64.2

青森日揮プランテック㈱

29

70.1

71.5

66.4

日揮触媒化成㈱

2.7

62

79.9

84.9

60.3

日本ファインセラミックス㈱

100

71.3

88.7

51.2

JFCマテリアルズ㈱

89.8

87.4

127.7

日揮ビジネスサービス㈱

55.6

100

61.9

77.4

47.1

日本エヌ・ユー・エス㈱

13.3

83

77.7

81.4

60.2

 

(注)1.提出会社及び主要な国内連結子会社を対象としております。

2.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

3.2026年3月31日時点の数値であります。

4.一部の連結子会社については、管理職の女性労働者はおりません。

5.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

6.一部の連結子会社については、育児休業等を取得した男性労働者はおりません。

7.職群及び等級の男女構成比の差によるものであります。

8.相対的に勤務時間が短い、業務範囲が限定的等の理由により平均賃金が低い嘱託及びパートタイム労働者に女性が多いことによります。

9.一部の連結子会社については、該当する男性労働者がいないため、記載しておりません。

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループは、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(1)基本方針」に記載の「JGC's Purpose and Values」に基づき、サステナビリティに関する取組みを通じて企業価値の持続的な向上を図るために、「サステナビリティ基本方針」を定め、環境、社会、ガバナンス、品質、安全、健康の分野での活動において、サステナビリティを積極的に追求しております。

当社グループでは、2026年4月より開始した中期経営計画「BSP2030」(2026~2030年度)の策定を契機として、当社グループの持続的な成長に向けて中長期的にリスク又は機会として重要と認識する経営課題(以下、「マテリアリティ」という。)を再定義のうえ、関連する検討を行っています。当社グループが、パーパスである「Enhancing planetary health」を道標に「人と地球の健やかな未来づくりに貢献していく」という基本姿勢のもと、長期経営ビジョン「2040年ビジョン」の実現に向けた取組みを推進していくという方向性に変更はありませんが、中期経営計画「BSP2030」との同期を図ることにより、サステナビリティに関する取組みの実効性をより高める観点からマテリアリティを再定義し、実効性の管理の仕組みを含む対応の見直しを進めております。マテリアリティの再定義にあたっては、SASBスタンダード及び欧州サステナビリティ報告基準(ESRS)等を参照の上、サステナビリティの観点から上流・下流のバリューチェーン全体を含む当社グループに関係するリスク及び機会を幅広く洗い出し、「環境・社会が当社グループの企業活動・財務に与える影響」(財務マテリアリティ)を基本軸とし、財務マテリアリティに間接的に影響を与える可能性のある「当社グループの企業活動が環境・社会に与える影響」(インパクトマテリアリティ)も考慮の上、総合的な分析・評価を実施しました。その結果、2026年5月の取締役会において、マテリアリティとして掲げる項目を以下のとおり決定しております。

 

<再定義した日揮グループの「マテリアリティ」>

・ 地球と人の健やかな未来づくり

・ 持続的成長に向けた人的資本・組織力の強化

・ 安心・安全なものづくりの追求

・ 多様なステークホルダーとの関係における責任

 

 なお、本書提出日現在においてマテリアリティの再定義は完了しておりますが、取組みの実効性を確保する観点から、各マテリアリティに紐づく具体的なリスク・機会の特定や指標・目標の設定、具体的な対応方針の見直し等については、2026年度内の策定を目標として、引き続き検討を進めてまいります。

 

(1)サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理

当社グループでは、サステナビリティ全般に責任を負う代表取締役会長を委員長とするサステナビリティ委員会(事務局:当社戦略企画オフィス経営企画ユニット)を設け、年3回の定例開催に加え、適時の臨時開催を通じて、気候変動や人的資本を含むサステナビリティ分野に関する方針や行動計画の策定、推進、評価並びに改善にかかる審議を行うとともに、当社取締役会への年1回の定期報告に加え、内容に応じた適時の附議・報告を行うこととしております。

また、当委員会が策定した方針や行動計画の実施を推進するため、当委員会の委員である当社グループ各社社長の指名により、各社にサステナビリティ推進委員を置き、推進委員間の連絡・調整・意見交換を目的に、サステナビリティ推進連絡会議を設置しております。

リスク管理については、機会も含め、サステナビリティ委員会にて審議の対象とする他、代表取締役副社長執行役員が委員長を務める原則年2回開催のグループリスク管理委員会において、サステナビリティに関するリスクを含むグループ全体のリスクの把握・整理、リスク管理システムの維持・構築、改善の提案・審議を行っております。これら委員会の詳細については、「第4 提出会社の状況 4.コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要 ② 企業統治体制の概要」に記載しております。

なお、サステナビリティ項目への対応と役員報酬の関連については、「第4 提出会社の状況 4.コーポレート・ガバナンスの状況等 (4)役員の報酬等」に記載のとおり、ESGへの取組みを含む長期経営ビジョン及び中期経営計画実現のために果たすべき職責等を踏まえ、業績連動報酬額決定に必要な個人評価を総合的に行っております。

 


 

(2)重要なサステナビリティ項目

当社グループは当連結会計年度において、上記のガバナンス及びリスク管理体制の下、再定義後のマテリアリティにおいても重要となる以下4つのトピックについて、前年度に引き続き取組みを推進しました。なお、4つのトピックのうち、「②人的資本への取組み」及び「④労働安全衛生」に関するガバナンス及びリスク管理については、事業内容によって適切な対応が異なり、各社において既存の体制が整っていることから、一義的には各社又は事業セグメント毎による対応を基本とし、上記ガバナンス及びリスク管理体制においては、主にそのモニタリングを行っております。また、機能材製造事業については、当社機能材製造事業オフィス機能材製造事業ユニットが総合的な窓口となり、同事業に関する情報が適時かつ適切に、上記ガバナンス及びリスク管理体制へ報告される仕組みを整備しています。

また、文中に記載された将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 気候変動への対応

気候変動については、様々な議論や動きがあるものの、当社グループとしてはマテリアリティ「地球と人の健やかな未来づくり」に係る重要な経営課題と認識しております。こうした認識の下、当社では、CDP報告をはじめとして、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)のガイドラインを踏まえた情報開示を継続的に行っております。

当社グループの気候変動対応の責任者は代表取締役会長兼社長であり、上記サステナビリティ委員会の主宰等を通じ、気候変動関連のリスクと機会を評価・管理するとともに、当社グループの経営戦略や経営目標に反映させる責任を負っております。具体的には、気候変動への対応に関しては、サステナビリティ委員会のもとに「GHG算定分科会」と「CO2削減分科会」の2つの分科会を設け、当社グループの温室効果ガス(以下、「GHG」という。)排出の現状及びCO2削減に関する対応状況についての報告を受けるとともに、気候変動に関するリスクに対する低減と未然の防止にかかる審議を行っております。

また、当社グループでは、前中期経営計画「BSP2025」の策定時(2021年度)に気候変動関連のシナリオ分析を実施し、その結果識別されたリスク・機会も踏まえ、「BSP2025」を推進してきましたが、今般、中期経営計画「BSP2030」(2026~2030年度)の策定を契機に当該シナリオ分析を更新しました。更新に当たっては、いわゆる1.5℃シナリオ、BaU(Business as Usual)シナリオ、4℃シナリオの3つのシナリオについて、対象範囲をバリューチェーン全体に拡げ、総合エンジニアリング事業と機能材製造事業のセグメント別の視点を入れて分析しております。中期経営計画「BSP2030」は、今回の分析結果であるリスク・機会を踏まえて推進していきますが、気候変動を巡る内外の議論や政策動向等を注視しつつ、2050年までの長期の時間軸に基づく気候関連のレジリエンス評価を実施の上、移行計画の策定も検討してまいります。

本シナリオ分析について、本書提出日現在においては、気候変動に係る当社グループの中長期的なリスク・機会の識別は完了しているものの、これらを踏まえた当社グループへの財務インパクトの算定及びレジリエンス評価については未了であり、2026年度内の完了を目標に引き続き検討を進めてまいります。なお、本シナリオ分析における前回シナリオ分析からの主な前提条件の変更及び本書提出日現在において認識している当社グループのリスク・機会の概要については以下のとおりです。

 

<前回シナリオ分析からの主な前提条件の変更>

① 分析に採用するシナリオの変更

・移行リスク:国際エネルギー機関(IEA)World Energy Outlook 2025 におけるNZE(1.5℃シナリオ)及び    STEPS(BaUシナリオ)を採用

・物理リスク:気候変動政府間パネル(IPCC)第6次報告書のSSP5-8.5(4℃シナリオ)を採用

② 分析対象となる時間軸の変更

・前回のシナリオ分析では2040年までの期間のみを分析対象としていたが、本更新では、2030年(中期)及び2050年(長期)を対象とする時間軸を新たに設定し、分析を実施

 

 

<気候変動に係る当社グループのリスク・機会の概要>

移行リスク

政策・法規制

カーボンプライシング制度の導入・拡充

カーボンプライシング制度の導入・拡充により、自社の排出量にかかる炭素価格が発生し、コストが増加する可能性がある。また、総合エンジニアリング事業においては、プラントの原材料である鉄やセメントなどの原材料価格に炭素価格が転嫁されることで、調達コストが増加することが想定される。

技術

脱炭素関連技術への移行

CCS(CO2の回収・貯留)及びCCUS(CO2の回収・有効利用・貯留)、水素、アンモニア、小型モジュール原子炉(以下、「SMR」という。)、廃プラスチックケミカルリサイクル、廃繊維リサイクル、持続可能な航空燃料(以下、「SAF」という。)などの脱炭素関連技術に関する研究開発費用が増加することが想定される。

市場

化石燃料需要の減少

化石燃料の需要の減少が見込まれることにより、オイル&ガスプラントの新設プロジェクトや、既存プラントのメンテナンスの需要が減少する可能性がある。

物理リスク

急性リスク

洪水や高潮の激甚化

洪水リスクの増加に伴い、事務所や建設中のプラントの被災により、建物等の資産の毀損額や操業停止に伴う損失が増加する可能性がある。また、洪水などのリスクが高まることにより、事務所や輸送にかかる保険料が増加し、コスト負担が増える可能性がある。

慢性リスク

平均気温の上昇

平均気温の上昇に伴い、建設現場での労働生産性が低下し、工期延長にかかる建設コストが増加する可能性がある。

機会

製品・サービス

脱炭素関連技術の需要拡大

国内外で複数の実績を有するCCS及び他社と共同で開発を進めているCCUSの技術をオイル&ガス分野に応用することにより、同分野のプラント需要を喚起し、受注機会の増加につながることが期待できる。

太陽光発電、バイオマス発電などの再生可能エネルギー発電設備について、当社グループは多数の実績を有しており、脱炭素化に向かう国際社会の流れのなかで受注機会の増加が期待できる。

脱炭素社会に向けて、CO2を排出しない水素、アンモニア、SMRなどの分野において当社グループは技術開発含め様々な取組みを進めてきており、今後受注機会の増加が期待できる。

当社グループが開発を進めている、廃プラスチックケミカルリサイクル、廃繊維リサイクル、SAFなどの技術に関して、世界的な資源循環ニーズの高まりに伴う需要の拡大が期待できる。

レジリエンス

物理リスク増加に伴う補修工事・レジリエンス設計の需要拡大

物理リスクの増加に伴い、被災したプラントの補修や建て替えなどの需要が増加する可能性がある。また、極端気象を前提とした耐災害・耐候性を組み込んだレジリエンス設計に対する需要が増加する可能性がある。

 

 

 

 

当連結会計年度においては、長期経営ビジョン「2040年ビジョン」及び前中期経営計画「BSP2025」の下、各種の取組みを推進しました。

具体的には、総合エンジニアリング事業において、技術開発及びオープンイノベーションに関する主な取組みとして、福島県浪江町において旭化成株式会社と共同で取り組む「大規模アルカリ水電解水素製造システムの開発及びグリーンケミカルプラントの実証」事業において、完成した実証プラントでアンモニアの製造を開始しました。今後は、本プラントにおける実証試験を通じて得られる知見を活用し、効率的かつ安定的なグリーンアンモニア製造技術の確立を目指してまいります。さらに、SLB Capturi社(ノルウェー)及びその親会社SLB社(米国)とCO2回収技術分野の戦略的協業検討に向けた覚書(MOU)を締結したほか、CO2バッテリー技術を有するENERGY DOME社(イタリア)とも、日本市場における協業検討を目的としたMOUを締結しました。これらの取組みを通じて、協業先企業が有する先進的な低・脱炭素関連技術と、当社グループが有するエンジニアリング力や顧客・取引先との基盤等を組み合わせることにより、社会実装の加速を図ります。また、当連結会計年度においては、2024年度に受注したクリーン電力を使用する大型低炭素LNGプラント(アラブ首長国連邦)や、タングーEGR(天然ガス増進回収)/CCUSプロジェクトにおける陸上設備(インドネシア)のEPC遂行にも取り組みました。

加えて、2023年9月発行のグリーンボンド対象プロジェクトとして、当社が共同出資する「合同会社SAFFAIRE SKY ENERGY」が運転・運営を行う国内初となる国産SAFの大規模製造プラントにおいて、国内外航空会社向けにSAFの供給を開始するとともに、原料となる廃食用油の安定確保を進めております。また、当社は、バイオものづくり事業の確立に向けた「統合型バイオファウンドリ®」の研究基盤となるバイオプロセス研究所を竣工し、日本ファインセラミックス株式会社は、電気自動車等に用いられるパワー半導体向け高熱伝導窒化ケイ素基板の増産に向けた新工場を竣工し操業を開始しました。これらグリーンボンド対象プロジェクトの進捗状況等については、当社ウェブサイトに掲載のグリーンボンド・レポーティング(当社ウェブサイト サステナビリティ>環境への取り組み>グリーンボンド(第8回無担保社債)に掲載)をご参照ください。

当社グループは、これらの取組みを着実に推進することにより、顧客及び社会における低・脱炭素化の実現に貢献するとともに、事業機会の拡大を通じて企業価値の向上を図ってまいります。

※統合型バイオファウンドリは、株式会社バッカス・バイオイノベーションの登録商標です。

 

また、気候変動関連のリスク及び機会に関する最重要指標であるGHG排出量に関し、前中期経営計画「BSP2025」において、下表のとおり、GHG排出量(Scope1+2)について「2050年ネットゼロ」を宣言するとともに、2030年度までの売上高当たり排出量の2020年度比30%削減を目指すこととしております。


 

2024年度GHG排出量実績については、信頼性向上の一環として、①当社及び日揮株式会社において、測定対象排出源を追加、また②日揮グローバル株式会社及び日揮株式会社において、GHGプロトコルに定める経営支配力基準に基づきGHG排出量の集計範囲を精査した結果、従来対象に含んでいた建設協力会社による排出分を2024年度GHG排出量測定より除外し、Scope3として測定する等の算定方法の見直しを実施しました。その結果、Scope1+2排出量の2024年度実績は、2023年度実績(開示値)133,695t-CO2に対し115,743t-CO2となりましたが、2024年度GHG排出量測定と同一条件で算定した試算値109,007t-CO2と比較した場合、日揮グローバル株式会社における大型建設プロジェクトの工事が最盛期であったことを主要因として増加となっています。なお、下表の2020年度(基準年)及び2023年度実績における、2024年度GHG排出量測定と同一条件による試算値は、過年度分のデータの制約により推算を含んでおります。また、各排出量実績はいずれも、主要な排出主体である当社、日揮コーポレートソリューションズ株式会社、日揮グローバル株式会社、日揮株式会社、日揮触媒化成株式会社、日本ファインセラミックス株式会社及び日本エヌ・ユー・エス株式会社における排出源と排出量を特定し、削減策などを検討することを目的として各社が独自に算定した排出量の合計を参考として開示したものに留まることから、グループ統一の算定枠組みの整備や連結会社への展開を含む網羅性の改善など、その信頼性の向上に引き続き取り組んでいくとともに、報告対象年度の会計年度との一致についても取り組んでまいります。

 

<GHG排出量の実績>

年度

2020年度 (基準年)

2023年度

2024年度

 

開示値

試算値

開示値

試算値

Scope1+2(トン)

132,546

(111,381)

133,695

(109,007)

115,743

うちScope1

84,325

(70,906)

83,729

(65,115)

73,462

うちScope2

48,221

(40,475)

49,966

(43,892)

42,281

原単位ベース排出量
(t-CO2/売上高・億円)

30.55

(25.67)

16.06

(13.09)

13.49

原単位ベース排出量の

基準年比

-

-

△47%

(△49%)

(△47%)

Scope3(トン)

開示なし

-

1,497,309

(1,524,862)

1,569,452

 

・ 2024年度と同一条件による試算値及び試算値をもとに原単位ベース排出量を比較した結果を、上記表の( )内に示しています。

・ Scope3は、カテゴリー11(販売した製品の使用)及び当社が関連性がないと判断したカテゴリーについては、排出量に含めていません。

 

② 人的資本への取組み

当社グループは、マテリアリティの一つとして掲げる「持続的成長に向けた人的資本・組織力の強化」のとおり、人的資本や組織力の強化は経営上重要な取組みと位置付けています。当社グループでは、2022年度に取締役会の指名を受けて任命されたCHRO(Chief Human Resource Officer)が、グループ全体の経営戦略と連動した人事戦略及び推進体制の整備・運用を統括しています。

当社グループは、総合エンジニアリング事業と機能材製造事業を主な事業セグメントとして構成されており、両事業は事業内容及びビジネスモデルが異なることから、最適な人財活用の考え方も異なっております。現在の持株会社体制に移行する以前には、当社、日揮グローバル株式会社、日揮株式会社及び日揮コーポレートソリューションズ株式会社が同一会社であったため、これら4社(以下、「エンジニアリング関連4社」という。)に共通する総合エンジニアリング事業に適した人事制度体系と、機能材製造事業を構成する日揮触媒化成株式会社及び日本ファインセラミックス株式会社(以下、「機能材製造2社」という。)に適した人事制度体系は、事業特性に応じた異なる運用を継続しています。

 

エンジニアリング関連4社においては、CHROを議長とし、各社の社長並びに当該社長が任命した「HRO(Human Resource Officer)」により構成される「HRO会議」を設置し、月次で開催しております。同会議では、CHRO及び当社人事部門が中長期的な観点を含む人事戦略・施策の提案や共有を行い、各社の事業戦略や実態を踏まえた議論を経て方針を決定しております。人的資本に係るリスクについても、グループリスク管理委員会の枠組みに加え、HRO会議の場を含む中長期的な人事戦略の検討過程において議論されており、後述の人財構成や組織状態等に関する各種データを定期的にモニタリングしながら、必要に応じて人事戦略や施策内容に反映しています。そのうえで、合意された人事戦略や施策については、各社の人事部門に加え、部長をはじめとする管理職層に展開され、各組織が実施主体として機動的に推進していく体制としております。

また、人財マネジメント(重要な人事制度の新設・改定、従業員の評価、表彰等)をはじめとする具体的な運用に係る事項については、各社に設置されている「HRM(Human Resources Management)委員会」が主体となり、各社で個別に審議・決裁することを基本としています。一方で、4社横断で取り組むべき重要な事項については、当社代表取締役会長を委員長とし、各社社長及び副社長が委員を務める「グループHRM委員会」において審議し、所要の機関決定を行う体制としています。

なお、こうした経営戦略と連動した人事戦略上の取組みについては、当社取締役会においても審議・報告を行っており、特に重要な事項については適宜決裁を行っています。当連結会計年度においては、人事戦略の進捗状況のほか、中期経営計画「BSP2030」における人事戦略及び人事施策について審議・報告を行いました。

 

機能材製造事業においては、前述の通りエンジニアリング関連4社とは異なり、機能材製造2社において、各社の事業特性を考慮しつつ、各社に適した人事制度体系のもとで運用を継続しています。これに加えて、当社グループ全体の長期経営ビジョン「2040年ビジョン」に基づき、エンジニアリング関連4社及び機能材製造2社を含めた日揮グループ全体の人事戦略及び人事施策について、2026年3月に「拡大HRO会議」を設置し、各事業それぞれの特性を踏まえた課題認識や考え方をグループ内で共有するとともに、グループとしての方向性や連携のあり方に関する協議を開始しました。

 

当社グループの人事戦略は、「2040年ビジョン」の実現に向けて2022年度に策定した「人財グランドデザイン2030」が中心であり、これに基づく各種施策について当社取締役会の承認を得たうえで、エンジニアリング関連4社を中心に展開しております。「人財グランドデザイン2030」では、以下の図に示すとおり、2030年時点で目指す組織像を「統合力で未来を切り拓きやり遂げるプロ集団」として定め、その姿を実現するためには、M(Management System):「タレントマネジメントシステムの構築」、O(Onboarding):「多様な人財の採用と即戦力化」、D(Development):「自律成長を促す人財開発・職場環境整備」、E(Engagement):「会社と個人の共通目的発見と理解促進」、L(Life & Work):「社員の物心両面の充足」の5つ(MODEL)を達成することが必要と考え、そのための具体的な施策を策定し、推進しております。

 


 


 

 

 

エンジニアリング関連4社の人財育成については、「人財グランドデザイン2030」で定めた目指す組織像「統合力で未来を切り拓きやり遂げるプロ集団」を実現するため、「自ら変化を起こし続ける人財」を継続的に輩出することを人財育成方針として掲げております。本育成方針の実現に向けて、以下のとおり戦略的なOJT制度や、各種Off-JT研修及び自己啓発を促進する制度を設けて推進しています。

 

・若手社員の早期育成に向けては、OJT制度を基軸とした目標管理制度、キャリアディベロップメントプラン(CDP)、指導員制度、現場派遣制度等の各種成長支援制度を整備・運用しております。当連結会計年度においては、若手社員の自律的なキャリア形成を支援する新たな施策として「Career Development Forum」を開催し、社内における組織・キャリアパスの紹介やキャリア1on1面談を実施するなど、若手社員が自身のキャリアを主体的に考える機会を提供しました。

また、キャリア採用者に向けては、入社後の早期定着と活躍を支援するオンボーディングプログラムを実施しております。当連結会計年度においては、キャリア採用者へのアンケート結果を踏まえ、同プログラムの見直しと強化を行いました。具体的には、入社時オンボーディング研修の実施強化に加え、任意参加型の指導員制度(サポートランナー制度)の導入、ネットワーキングプログラムの継続的な実施、定期的なサーベイや面談を通じたフォローアップを行うなど、サポート体制を強化しました。

・Off-JT施策においては、各階層や役割に求められる知識・能力の向上を目的に、階層・役割別の研修を体系的に実施しています。なかでも、マネジメント層に対する施策の強化を進めています。人事戦略を着実に実行するためには、経営方針や人事戦略を各組織の運営に具体的に展開し、その実行を担う部長層が重要な役割を果たします。また、人財の多様化が進む中、一人ひとりに応じたキャリア形成や育成支援の重要性も高まっており、部長に求められる役割は一層拡大しています。こうした背景から、2024年度以降、エンジニアリング関連4社においては、従来の部長研修に加え、経営視点、組織マネジメント力、人財育成力の強化を目的とした「部長アップグレードプログラム」を導入・実施し、戦略実行力及び人財育成力の強化を図っています。

・自己啓発支援としては、自律的に学び合う風土醸成とネットワーク構築に資する「日揮テクノカレッジ」を展開し、社内のチーフエンジニアやプロジェクトマネージャーなどの講師から技術を教わることに加え、社外の有識者を招き、日常業務では習得しにくい幅広い分野の知見を得る機会や、従業員同士が学び合う場を提供しています。その他、技術力及び遂行力向上を目的とした自社e-Learning「JGC University」や、幅広いビジネススキルの習得を支援するe-Learning、通信教育、動画配信サービス等を導入・拡充し、従業員が主体的に学べる環境を整備しています。

 

そのうえで、当社グループでは、すべての従業員が能力を最大限に発揮し、組織として高いパフォーマンスを創出できる風土を醸成するため、各種施策を推進しております。社内環境整備の方針は、「Inclusion & Diversity基本方針」(当社ウェブサイト 会社情報>各種方針に掲載)であり、多様な人財一人ひとりが、能力と活力を最大限に発揮し、自分らしく活き活きと働ける環境の実現を目指しております。本方針の実現に向けては「人財グランドデザイン2030」に掲げる各領域において施策を展開しており、当連結会計年度における主な取組みとして、D(Development)に関する施策においては、多様性及び相互理解の促進を目的に、エンジニアリング関連4社の全役員・従業員を対象としたI&D全社研修(e-Learning)を実施しました。本研修では、当社グループにおけるI&D推進の意義や基本方針、本施策を通じて目指す姿を従業員と共有すると共に、インクルーシブな組織文化に必要な意識の醸成を行いました。E(Engagement)に関する施策としては「Net’s Hub(ネットワーキングプログラム)」を定期的に実施しており、キャリア採用者や女性等、共通のバックグラウンドを有する従業員同士の交流機会を設けています。これにより、共感を通じた相互理解や情報共有を促進するとともに、コミュニティ形成を通じた組織横断的なネットワークの構築・強化を図っています。また、人と組織をテーマとした当社主催のイベント「People Day」を2024年度から開催しており、機能材製造2社を含む日揮グループの役員から従業員まで幅広く参加し、人と人、人と組織の繋がりの強化を通じて、当社グループの一体感の醸成を図っています。当連結会計年度の開催においては、参加者の約8割が次年度の開催を期待するなど、従業員からも支持を得る取組みとなっています。これらの施策は、当社グループが重視する繋がりの強化に資する取組みであり、その積み重ねを通じてI&D基本方針の実現を図っていきます。

なお、人財育成や社内環境整備に関する取組みを含む「人財グランドデザイン2030」に基づき実施する、これらエンジニアリング関連4社の人事施策については、人財ポートフォリオに基づく従業員の属性データや採用人数の推移、退職率、組織診断サーベイの結果等、全体における人財構成や組織状態の変化を定期的にモニタリングし、必要な対策や施策の検討・調整を行っています。また、各施策においては、目的に応じた評価指標を設定し、これに基づくモニタリング及び効果の検証を継続的に行い、その結果を踏まえ、必要に応じて施策の見直しを行っています。

また、これらの取組みを通じて、多様性の尊重・理解や社内環境整備を推進し、多様な働き方が受容されるようになることを目指しており、その状況を測る指標の1つに男性労働者の育児休業取得率を用いております。その実績は「第4 提出会社の状況 5 従業員の状況等 (2)従業員の状況」に記載のとおりです。人財の多様性の観点からは、女性管理職者数について、エンジニアリング関連4社に所属する従業員を対象に、2025年度末時点の女性管理監督者数を2020年(30名)の2倍に増やすことを目標として掲げ、その実績は、目標最終年度である当連結会計年度末時点で63名となり、目標を達成いたしました。今後においても、女性を含む、多様な人財の更なる活躍につながる環境及び文化を醸成していきます。

当社は「労働基準法」(昭和22年法律第49号)の「管理監督者」の定義に従った目標設定をしており、「第4 提出会社の状況 5 従業員の状況等 (2) 従業員の状況」に記載の「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の「管理職」の定義とは異なります。

 

機能材製造事業における人財育成や社内環境整備については、触媒・ファインケミカル製品の開発・製造を行う日揮触媒化成株式会社では、同社が目指す「技術立社」の実現に向けて、社内教育プログラム「モノづくり大学」や「育成計画」を設け、若手・中堅人財の育成に注力しています。ファインセラミックス製品の開発・製造を行う日本ファインセラミックス株式会社では、今後の生産能力の拡大に向けて、階層別のOff-JT研修や工場でのTPM(Total Productive Management)活動の推進によるOJTなどによる育成施策の強化に加え、工場で勤務する従業員の働きやすさを重視した休暇制度等の人事制度の見直しに取り組んでいます。

 

 

③ 人権対応

当社グループが手掛ける事業は、当社グループ内外の数多くの「人」が直接または間接に事業活動に関与しています。このため、サプライチェーンを含む人権の尊重は、マテリアリティ「多様なステークホルダーとの誓い」において認識される重要な経営課題です。

当社グループは、このような人権尊重に対する考えのもと、「国際人権章典」、国際労働機関(ILO)の「労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言」等の国際的に認められた人権原則に基づき、当社グループの事業活動において影響を受けるすべての人々の人権を尊重できるよう取組みを進めております。

当社グループの人権対応は、「人権基本方針」(当社ウェブサイト 会社情報>各種方針に掲載)を上位方針とし、当社グループ全体で人権尊重に対する取組みを進めるべく、グループ共通に適用される規程として策定した「日揮グループ人権規程」に基づき、代表取締役社長の監督のもと、当社コンプライアンスユニットがグループ各社と協力のうえ推進しています。また、コンプライアンスユニットは、当社サステナビリティ委員会のもとに設置されている人権分科会の事務局も兼務しております。人権分科会は、エンジニアリング関連4社及び機能材製造2社を含むグループ会社から選出されたメンバーで構成されており、当社グループの人権対応推進に係る事項について、議論や情報共有等を行っております。当連結会計年度に開催した分科会では、人権対応の進捗状況や今後の対応方針を共有したほか、総合エンジニアリング事業におけるEPCプロジェクト建設現場に対する現地調査の実施や建設協力会社、サプライヤー調査等の実施にあたり、分科会メンバーである建設部門や調達部門の担当者との連携・協議を行いました。なお、このような人権分科会での取組みや協議内容は、サステナビリティ委員会にて審議・報告の対象となっているほか、同委員会を通じて取締役会への報告も行われております。

 


 

前連結会計年度まで、当社グループは、政府が定める「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」に基づき、人権リスクマップを活用した人権課題の特定・評価、リスク低減措置の検討・実施、効果検証及び情報開示からなる人権デュー・ディリジェンスプロセスの構築に取り組んでまいりました。

当連結会計年度は、構築したプロセスに基づき、国内外の総合エンジニアリング事業に対する人権リスク低減措置の検討・実施に取り組みました。具体的には、サプライチェーン上の取引先に対しても人権尊重を含む当社グループのサステナビリティに関する方針をより一層理解していただくために、従来使用していた規範を見直し、人権尊重をはじめ、法令遵守、品質管理、安全衛生などの重要分野の内容を充実させた「サプライヤー行動規範」を作成し、展開を開始しました。また、当社グループのサプライチェーンにおける潜在的又は顕在化している人権課題を適時・適切に把握するための取組みも推進しました。具体的には、当社ホームページに掲載していた相談・通報窓口に関して、人権救済相談窓口としての機能も果たすことができるよう、対応事項に人権を含むことを明記したうえで、全てのステークホルダーが利用できるよう拡張を行いました(当社ウェブサイト サステナビリティ>ガバナンス>コンプライアンスに掲載)。

また、総合エンジニアリング事業では、国内外のEPCプロジェクト建設現場を一部選定し、人権に関する現地調査を実施しました。海外においては、多国籍労働者の雇用や労働環境に関する国際的な懸念が指摘される中東地域における建設現場を対象に、「人権リスクマップ(海外EPC事業)」に基づき重要性が高いと特定された外国人・移民労働者の強制労働、労働安全衛生を主な人権課題として、建設協力会社へ事前の質問票を送付のうえ、現地でのインタビュー等の調査を実施しました。加えて、国内建設現場についても、「人権リスクマップ(国内EPC事業)」に基づき、外国人労働者・移民労働者に対する不当な雇用条件や労働安全衛生を重要性が高い人権課題と特定し、工事内容・進捗・労働者の性質等を考慮し調査対象プロジェクトを選定のうえ、海外建設現場と同様の現地調査を実施しました。これらの現地調査の結果、重大な人権侵害の発生は認められませんでしたが、当該調査を通じて得られた知見も踏まえ、2026年度も引き続き人権リスクが高いとみなされる地域・建設現場から優先的に対応するとともに、e-Learningの実施など当社グループ内部に向けた人権啓発活動を行い、人権課題に向けた取組みを強化していく予定です。

なお、機能材製造2社においても人権デュー・ディリジェンスの取組みを開始すべく、当該事業における人権リスクマップの作成に取り組んでおり、引き続き当社グループ全体に人権デュー・ディリジェンスのプロセスを展開してまいります。


 


 


 

 

④ 労働安全衛生

当社グループにとって労働安全衛生は、マテリアリティ「安心・安全・確かなものづくり」において認識される重要な経営課題です。当社グループでは、Health(衛生)、Safety(安全)、Security(セキュリティ)、Environment(環境)(以下、「HSSE」という。)を常に追求すべき企業価値と捉え、当社グループのみならず、協力会社を含む、国内外事業所や建設現場などで働くすべての人を対象に、「すべての人が、健康で安心して働き、家族のもとへ無事帰る」というグループ共通のHSSE基本理念を制定し、当社グループを挙げてHSSEのパフォーマンス向上に取り組んでおります。

本理念に基づき、当社グループでは、従来より主要な事業会社において各々の事業内容・特性に即した安全衛生方針を掲げ、下表のとおり安全衛生委員会又はHSSE委員会を設置し、労働安全衛生管理体制を構築・運用しており、HSSEにかかる重要テーマを識別・評価の上、対処するとともに、安全衛生上のリスクを低減する活動を展開しております。


 

総合エンジニアリング事業では、日揮グローバル株式会社、日揮株式会社ともに各々HSSE委員会を月次で開催し、潜在的危険や実際の事故実績に基づく予防策や対応策の検討に加えて、グッドプラクティスの共有等を行っております。また、建設現場においても、建設工事に従事する多数の作業員を動員する建設協力会社とともに、各建設現場独自の委員会を設置して、建設協力会社を交えて労働安全衛生のパフォーマンス向上に取り組んでおります。なお、重大災害があった場合は、当該建設現場に加えて、各社のHSSE委員会及び労働安全衛生管理部門が迅速に対処するとともに、当社トップマネジメントへ速やかに報告される体制となっています。

労働安全衛生のパフォーマンス向上については、安全衛生意識の向上を含む組織の安全文化の醸成と安全衛生知識・技術の向上という2つの側面から取り組んでおります。安全文化の醸成においては、当社代表取締役会長兼社長主催の当社グループ全体における年次HSSE大会など各種イベントの開催のほか建設現場における建設協力会社の作業員全員を含めた安全文化の醸成活動を実施しております。また、知識・技術の向上においては、新入社員や初めて建設現場に赴任する従業員への安全衛生環境教育、国内外の建設現場に対する労働安全衛生監査などを実施しております。

また、海外のEPC事業を遂行する日揮グローバル株式会社及び国内のEPC事業を遂行する日揮株式会社の各HSSE委員会は、国内外の建設現場において、米国労働安全衛生局(OSHA)の基本ルールに基づいた国際的に比較可能な休業災害度数率(LTIR)、記録災害度数率(TRIR)をはじめとする労働安全衛生に関するパフォーマンスを測定する複数の指標(KPI:先行及び遅行指標を含む)と目標を定め、モニタリングすることで、継続的な労働安全衛生の管理の徹底と向上に努めております。上記のようにHSSE基本理念に基づく取組みを継続的に推進してきた結果、国内外の建設現場での休業災害度数率(LTIR)をはじめとする安全成績は、各々の業界平均と比較してそれぞれ優れた結果を維持しております。

 

<建設現場における労働安全衛生に係る指標>

(注)数値は、日揮グローバル株式会社及び日揮株式会社が直接又は間接に請け負い、建設工事を主導する国内外プロジェクトの建設現場を対象としています。

(注)国際的な比較等の観点から本データの集計期間は毎年1月から12月までの合計としております。

 

 

単位

2024年

2025年

工事総労働時間数

千時間

69,782

59,825

死亡災害件数

1

0

*1休業災害度数率(LTIR)

 

0.034

0.027

*2記録災害度数率(TRIR)

 

0.23

0.13

 

 

なお、工事総労働時間数の大部分は、建設工事を請け負い、直接工事に従事する建設協力会社となっております。

*1休業災害度数率(LTIR)及び*2記録災害度数率(TRIR)は、米国労働安全衛生局(OSHA)の労働災害の発生状況を計る指標であり、以下のとおりです。

休業災害度数率 = 休業災害件数×20万時間÷工事総労働時間数

記録災害度数率 = (死亡災害件数+休業災害件数+就労制限件数+専門治療件数)×20万時間÷工事総労働時間数

 

2025年は、国内外において休業災害件数及び記録災害件数が全体的に減少したことから、工事総労働時間数が前年を下回ったにもかかわらず、休業災害度数率(LTIR)及び記録災害度数率(TRIR)は2024年比で改善しました。

日揮グローバル株式会社の海外建設現場においては、建設協力会社を含むすべての工事関係者の安全衛生知識・技術の向上に向けて提供している包括的な教育プログラムの一環として、VR(仮想現実)技術を活用し、建設現場での作業を実体験に近い形で学ぶことができる取組みを開始しております。加えて、「Respect and Care Program(建設現場に関わる一人ひとりに相互尊重の意識を浸透させる教育・啓発活動)」を全社的に展開するとともに、本活動に同社及び各EPCプロジェクトのマネジメント層が主体的に参加し、HSSE活動を牽引することで、現場作業員の安全意識向上及び安全文化の定着に努めました。同社HSSE委員会では、2026年に向けて目標値を引き上げ、デジタル化の推進や「Human Performance(人間の行動特性を踏まえ、ヒューマンエラーの低減を図る考え方)」の概念を取り入れることで、さらなる改善活動に取り組んでおります。

日揮株式会社の国内建設現場においては、同社HSSE委員会の主導のもと、9つの重点実施事項を定め、安全対策の強化に取り組んでおります。そのうち、リスクアセスメントの確実な実施、重点管理災害防止対策及び交通安全運動の実施については、ワーキンググループを組織のうえ、仕組みの見直しや新たなルールの制定を行い、労働災害リスクの低減に努めました。その結果、飛来・落下、挟まれ・巻き込まれ、転倒などの災害については重点的な管理強化が必要ですが、特に新設プラント建設現場においては休業災害ゼロを達成するなど一定の成果を上げることができました。今後もさらなる改善活動に取り組んでいきます。

 

機能材製造事業については、当社グループ共通のHSSE基本理念を基軸としつつ、主要な事業会社である日揮触媒化成株式会社と日本ファインセラミックス株式会社の各社において、それぞれ独自の労働安全衛生管理体制を設けております。日揮触媒化成株式会社では、主要な事業所である北九州事業所と新潟事業所がそれぞれ安全衛生委員会を月次で開催し、労働安全衛生に関する年間計画の策定や労働災害発生状況のモニタリング、産業医による職場巡視報告等を実施しているほか、従業員の安全衛生意識の向上の観点から同社独自の安全・衛生大会の実施や「指差し呼称」運動の展開など、各種施策に取り組んでおります。また、日本ファインセラミックス株式会社においては「労働災害ゼロ」を目指すことを大方針とし、本社にて月次で開催する安全衛生委員会において、各事業部より安全成績や工場現場のパトロール状況の報告等を受ける管理体制をとっております。