リスク
3 【事業等のリスク】
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に最大限の努力をしてまいります。また、当社グループとして必ずしも重要な事業上のリスクに該当しないと考える事項につきましても、投資者の判断上、あるいは当社グループの事業活動を理解する上で重要であると考えられるものについては、投資者に対する積極開示の観点から記載しております。当社株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)事業環境について
①経営環境の変化について(顕在化可能性:低 発生時期:特定時期なし 影響度:大)
当社グループの主要な事業領域である住宅ローン市場は、日本銀行の継続的な低金利政策や日本国政府による減税措置の継続等の追い風により、長期的な市場拡大が見込まれておりますが、日本銀行の金融政策の大きな転換や日本国政府による税制改定や政府方針の転換などの影響により、市場の成長鈍化や縮小した場合、若しくは当社グループの成長予測を下回った場合には、住宅ローン審査申込件数の減少や、投資用不動産仲介件数の減少等によって当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当リスクについては事業計画をモニタリングし、経営環境の中長期的な動向変化の兆候の把握と収益源の多角化等によってリスクの低減に向けた対応を行っております。
②技術革新への対応について(顕在化可能性:低 発生時期:特定時期なし 影響度:小)
当社グループは、住宅ローン提案サービス「モゲチェック」を活用することで、住宅購入予定者に対して、最適な住宅ローンの提供を可能としており、今後もサービスの改善に加えて不動産会社や保険代理店等の提携会社の増加等の様々な可能性を検討しておりますが、「モゲチェック」がサービスを展開しているインターネット環境は、技術進捗が速く、当社グループが想定する以上の技術革新により、当社グループの技術やサービスが競争力を失うような事態が生じた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③競合について(顕在化可能性:中 発生時期:特定時期時なし 影響度:小)
当社グループの主要事業であるモゲチェック事業が属する住宅ローン業界においては、テクノロジーを活用した住宅ローン提案サービスを提供する競合は少ないものの、今後、同様のビジネスモデルを有する他社の参入などにより十分な差別化ができなくなり、競争が激化した場合には、広告出稿価格の増加や住宅ローン審査申込数の減少等により当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当リスクについては、特許の取得による参入障壁の構築、継続的なサービス改善、収益源の多角化等によってリスクの低減に向けた対応を行っております。
(2)事業及びサービス展開について
①銀行との関係について(顕在化可能性:低 発生時期:特定時期なし 影響度:中)
当社グループは、モゲチェック及びINVASEの顧客の送客を銀行に行っております。銀行にいかに顧客を送客できるかが、銀行との関係性において重要となっております。そのため、銀行と定期的に送客の状況に応じて、手数料の交渉等を行っております。銀行との関係は良好でありますが、今後、何らかの理由により取引の継続が困難となった場合、手数料の単価変更の要請を受ける可能性含め当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当リスクについては、融資承認確率のスコアリングモデルの改善による住宅ローンの審査申込みに繋がる質の高い顧客の送客、Webマーケティングの強化による送客数の増加等を通じて、銀行との良好な関係の構築に努めており、リスクの低減に向けた対応を行っております。
②検索エンジンからの集客について(顕在化可能性:中 発生時期:特定時期なし 影響度:中)
当社グループは、GoogleやYahoo! JAPAN等の検索サイトからの集客が重要であります。検索サイトにおける検索アルゴリズムの大幅な変更が行われ、これまでの検索エンジン最適化対策が有効に機能しなかった場合、当社の広告の表示回数の減少や当社サービスサイトの表示回数の減少等によって、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当リスクについては、検索アルゴリズム変更に関する情報の取得、検索キーワードにおける順位変動のモニタリング、サイトのアクセス解析、検索結果の上位サイト分析をもとに検索アルゴリズムの変更に応じたSEO対策を継続することにより、リスクの低減に向けた対応を行っております。加えて、検索エンジンからの集客からの広告宣伝効果が減少した際には、不動産会社経由、保険代理店経由等のオフラインでのユーザー獲得を代替施策として、リスク低減に向けた対応を行っております。
③提携不動産会社との関係について(顕在化可能性:低 発生時期:特定時期なし 影響度:小)
当社グループは、モゲチェックパートナーである提携不動産会社等を通じてモゲチェックをユーザーにご紹介いただいております。モゲチェックの認知拡大においてはモゲチェックパートナーである提携不動産会社との良好な関係の構築及び維持・強化が重要であると認識しており、モゲチェックに関する勉強会や支払手数料の適正化等を通じて良好な関係の構築に努めております。
しかしながら、提携不動産会社との契約内容・取引条件に大きな変動が生じる等の何らかの事情により、各社との関係に大きな変化が生じた場合には、当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④組織規模について(顕在化可能性:低 発生時期:特定時期なし 影響度:小)
当社グループの従業員数は58名(2024年6月30日現在)であり、小規模な組織であると認識しております。現時点においては、当社グループの規模に対して適切な人員体制が構築できているものと考えておりますが、今後の事業拡大に応じて、人員増強、内部管理体制の充実を図っていく必要があると考えております。
しかしながら、事業の拡大に応じた人員増強が順調に進まなかった場合や内部管理体制の充実がなされなかった場合、プロダクト開発に係る人員あるいは営業に係る人員の短期的かつ大量の離職等が発生する場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、本書提出日現在までに人員面については一定程度の基盤を整えたことから、2025年6月期においては、当社グループでは若干名の採用を予定しております。
⑤創業者への依存について(顕在化可能性:低、発生時期:特定時期なし 影響度:中)
当社グループの代表取締役である中山田明は、創業者であり、創業以来継続的に代表取締役を務めております。中山田明は、当社グループの強みである事業モデルの創出や経営方針及び経営戦略の策定において中心的な役割を果たしております。当社グループでは取締役会や定例の経営会議において、役員及び幹部社員との情報共有や経営組織の強化を図り、中山田明に過度に依存しない経営体制の整備を進めておりますが、何らかの理由により中山田明が当社グループの業務を行うことが困難となった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑥人材の確保や育成について(顕在化可能性:中 発生時期:特定時期なし 影響度:中)
当社グループが継続して事業拡大を進めていくためには、優秀な人材の確保、育成及び定着が不可欠であると認識しております。そのため、継続的な人材採用や育成に加え、定着率向上に向けた各種施策を行っております。
しかしながら、優秀な人材が必要な時期に十分に確保・育成できなかった場合や人材流出が進んだ場合等には、経常的な業務運営及び事業拡大等に支障が生じ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ソフトウエアの減損について(顕在化可能性:中 発生時期:特定時期なし 影響度:小)
当社グループは、将来の収益獲得あるいは費用削減が確実であると認められた開発費用についてはソフトウエア(ソフトウエア仮勘定含む)に計上しております。このソフトウエアについて将来の使用状況の変更やサービスの陳腐化等により収益獲得、費用削減効果が大幅に損なわれた場合、ソフトウエアの償却や減損が必要になり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑧システムトラブルについて(顕在化可能性:低 発生時期:特定時期なし 影響度:中)
当社グループが顧客に提供しているサービスはオンライン上に立脚しており、当該アプリケーションはクラウドという特性上、インターネットに接続するための通信ネットワークやインフラストラクチャーに依存しております。当社グループはシステムトラブルを最大限回避すべく、クラウドプラットフォームとして信頼されているAmazon社が提供するクラウドプラットフォーム上にアプリケーションを構築しております。
しかしながら、自然災害や事故、プログラム不良、不正アクセス、その他何らかの要因により予期しえないトラブルが発生し、大規模なシステム障害が起こるような場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑨情報管理体制について(顕在化可能性:低 発生時期:特定時期なし 影響度:大)
当社グループは、提供するサービスに関連して多数の個人情報を取り扱っております。これらの情報資産の保護や漏洩リスクを回避するため、情報セキュリティ基本方針を定め、関連規程を整備・運用しております。しかしながら、何らかの理由により重要な情報資産の漏洩、消失、不正利用等が発生した場合、当社グループの信用失墜、損害賠償請求の発生等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑩法的規制、許認可について(顕在化可能性:低 発生時期:特定時期なし 影響度:大)
当社グループが行う事業につきましては、以下の法令及び貸金業法等による規制を受けております。しかしながら、今後、これらの法令等の解釈の変更及び改正が行われた場合、また、当社グループが行う事業を規制する法令等が新たに制定された場合には、事業内容の変更や新たなコスト発生等により、当社グループの業績及び今後の事業運営に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループが取得している以下の許認可(登録)及び貸金業法にかかる貸金業登録につき、これらの許認可を受けるための諸条件及び関連法令の遵守に努めており、本書提出日現在において、事業主として欠格事由及びこれらの許認可(登録)の取消事由に該当する事実はないことを認識しておりますが、今後、欠格事由又は取消事由に該当する事実が発生し、許認可(登録)取消等の事態が発生した場合には、当社グループの主要な事業活動に支障をきたすとともに、事業遂行に支障が生じ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(許認可等の状況)
⑪訴訟等について(顕在化可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
当社グループは、本書提出日現在において提起されている訴訟はありません。適宜、顧問弁護士と情報共有を図り、訴訟リスクの低減に努めておりますが、将来何らかの事由の発生により、訴訟等による請求を受ける可能性を完全に回避することは困難であり、このような事態が発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります。
⑫知的財産権の侵害について(顕在化可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
当社グループでは、「モゲチェック」、「INVASE」等のサービス名についての商標登録を行っており、今後も知的財産権の保全に積極的に取り組む予定です。しかしながら、当社グループの知的財産権が第三者に侵害された場合には、社会的信用性が他の業界にも増して重要な要素となり、解決までに多くの時間及び費用が掛かる等、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは、第三者の知的財産権侵害の可能性については、専門家と連携を取り調査可能な範囲で対応を行っておりますが、当社グループの事業領域において第三者が保有する知的財産権を完全に把握することは困難であり、当社グループが認識せずに他社の知的財産権を侵害してしまう可能性は否定できません。この場合、損害賠償請求、使用差止請求や当社グループの社会的信用を失うこと等が想定され、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3)その他
①配当政策について(顕在化可能性:低 発生時期:特定時期なし 影響度:小)
当社グループは、株主への利益還元を重要な経営課題の一つとして認識しておりますが、当社グループは現在、成長過程にあると考えており、事業の効率化と事業拡大のための投資等に内部留保資金を充当し、なお一層の業容拡大を目指すことが株主に対する最大の利益還元に繋がると考えております。
そのため、今後の事業展開及び財務基盤強化のために必要な内部留保の確保を優先し、当面は無配を予定しておりますが、今後の経営成績及び財政状態を勘案しながら、利益配当についても検討してまいります。なお、配当実施の可能性及びその実施時期等については、現時点において未定であります。
②過年度の経営成績について(顕在化可能性:低 発生時期:特定時期なし 影響度:中)
当社グループの主要なサービスは、継続的に当社グループサービスを利用する顧客を増加させることで収益を積み上げ、投資回収を図る形態となっております。当社グループは、継続的な成長のため、サービス開発力の強化や優秀な人材の確保・育成、認知度の向上等に努めてまいりました。近年、これらの取り組みを積極的に進めていることもあり、第10期から第15期事業年度において、経常損失及び当期純損失を計上しております。また、第14期及び第15期連結会計年度において、経常損失及び親会社株主に帰属する当期純損失を計上しております。今後も引き続き、サービス開発力の強化や優秀な人材の確保・育成、認知度の向上等に努めてまいりますが、一方で、経常利益や当期純利益を定常的に計上するべく、各種経営指標を注視しながら事業運営を行ってまいります。しかしながら、想定どおりに効果が得られない場合には、当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③繰越欠損金の解消による影響について(顕在化可能性:高、顕在化の時期:中期、影響度:中)
当連結会計年度末において当社グループに税務上の繰越欠損金が存在しております。当社グループの業績が順調に推移し繰越欠損金が解消した場合や繰越欠損金の期限が切れた場合には、通常の税率に基づく法人税、住民税及び事業税が計上されることとなり、当期純利益及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。
④新株予約権の行使による株式の希薄化について(顕在化可能性:低 発生時期:特定時期なし 影響度:中)
当社では、当社グループの役員及び従業員等に対するインセンティブを目的として、新株予約権を付与しており、本書提出日現在における発行済株式総数に対する潜在株式数の割合は6.40%となっております。これらの新株予約権が行使された場合には、当社の株式が発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。
⑤ベンチャーキャピタル等の当社株式保有割合について(顕在化可能性:中 発生時期:特定時期なし 影響度:中)
本書提出日現在における当社の発行済株式総数は9,072,600株であり、そのうちベンチャーキャピタル及びベンチャーキャピタルが組成した投資事業有限責任組合等(以下、「VC等」という。)が保有する株式数は2,658,600株、当社株式の発行済株式総数に対する割合は29.30%であります。
一般的に、VC等が未上場会社の株式を取得する場合、上場後に保有株式を売却しキャピタルゲインを得ることがその目的の一つであり、VC等は今後、それまで保有していた株式の一部又は全部を売却することが想定されます。当該株式の売却によっては、当社株式の需給バランスが短期的に損なわれ、株価の形成に影響を及ぼす可能性があります。
配当政策
3 【配当政策】
(1) 配当の基本的な方針
当社は、株主の皆様に対する利益還元を経営の最重要課題の一つと位置付けており、将来の事業展開のための内部留保を確保しつつ、安定的に配当を行うことを基本方針としております。
(2) 毎事業年度における配当の回数についての基本的な方針
剰余金の配当を行う場合には、中間配当及び期末配当による年2回の配当を行う方針です。
(3) 配当の決定機関
当社グループは剰余金の配当等会社法第459条第1項各号に定める事項については、法令に別段の定めのある場合を除き、取締役会の決議によって定めることができるとしております。
(4) 内部留保資金の使途
内部留保資金については、モゲチェック事業、INVASE事業における人材採用及び広告宣伝費等の当社グループとして必要な成長投資に利用することにより、企業価値の向上に努める方針です。
(5) 中間配当について
当社は、会社法第454条第5項に規定する中間配当ができる旨を定款に定めております。
(6) 当期の配当決定に当たっての考え方
当連結会計年度においては、当社グループ全体で当期純損失を計上していることから、配当は実施しておりません。