リスク
3【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が経営成績等に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
当社グループでは、「日清製粉グループリスクマネジメント規程」「日清製粉グループクライシスコントロール規程」を制定し、リスクに対する適切な対応を確保し、リスクの予防・制御を目的とした日常的なリスクマネジメント活動を強化しております。また、当社社長を委員長、各事業会社社長等を委員とするリスクマネジメント委員会を設置し、当社グループ全体のリスクマネジメントを統括しているとともに、グループの主要事業会社においてリスクマネジメント委員会を設置し、各事業におけるリスク管理を実践しております。さらに、リスクマネジメント委員会の下部組織として、企画部会、災害部会、海外安全対策部会を設置し、課題ごとの具体策を検討・提言する体制を整備しております。
この体制のもと、リスクマネジメント委員会とその下部組織は、当社グループの事業運営において想定される様々なリスクを認識し、そのリスクへの具体的な対応策を整え、重大クライシス発生時等には確実に対策本部を立ち上げるなどの役割を果たし、当社グループの事業継続と安全・安心な製品の安定供給という使命を果たしてまいります。
以上述べた事項をリスクマネジメント体制図によって示すと次のとおりであります。
(米国を含めた世界各国の政治判断による影響について)
米国関税政策等を巡る各国の対応により、従来の国際協調の枠組みは転換期を迎えており、当社グループを取り巻く環境の先行きは極めて不透明な状況となっております。
当社グループとしては、世界情勢を見極め、適切に対応を進めてまいります。米国を含めた世界各国の動向については引き続き注視してまいります。
(ウクライナ情勢の影響について)
2022年2月24日に開始されたウクライナに対する軍事行動は、長期化しております。当社グループの業績に影響を及ぼしうるリスクは顕在化しておりませんが、紛争両国は世界有数の小麦輸出国であり、小麦の国際相場に影響を及ぼすリスクは継続しているため、情勢については引き続き注視してまいります。
以下の主要なリスクについては、そのリスクが将来的に顕在化する可能性の程度、顕在化した場合の影響度をそれぞれ3段階で評価しております。この評価は上記リスクマネジメント委員会で判断したものであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 国際貿易交渉の進展と麦政策の変更 可能性の程度:高 影響度:大
CPTPP協定(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定)、及び日EU・EPA、日米貿易協定等、国際貿易交渉の進展により貿易の自由化に向けた潮流は加速しております。今後国内事業においては、小麦関連製品の国境措置低下に伴う需要変動、競争激化、主要先進国の政策変更の影響により、当社グループの製粉、加工食品事業を始めとする小麦粉関連業界に影響が及ぶことが予想されます。
また、国内での麦政策の見直し等により、現行の国家貿易のあり方など小麦の管理手法(調達・在庫・売渡方法など)の変更、国内小麦粉・二次加工品市場の混乱、関連業界の再編など製粉事業、加工食品事業においてリスクの発生の可能性があります。
<主要な対応策>
このような貿易自由化・麦政策変更等のリスクに対応するため、当社グループはグローバルな生産体制の整備や国内小規模工場の閉鎖と大型臨海工場への生産集約、新技術の活用によるローコストオペレーション、顧客ニーズの変化への適応、海外事業拡大の一層の加速等に取り組んでおり、今後もより強固な企業体質を構築してまいります。
② 製品安全 可能性の程度:低 影響度:大
食の安全・安心についての社会的関心が年々高まっており、食品業界におきましては、より一層厳格な対応が求められるようになっております。当社グループは、自社工場、及び生産の外部委託先に対して製品安全に関する取り組みを継続的に実施しておりますが、外的要因も含め、当社グループの想定範囲を超えた事象が発生した場合、製品回収、出荷不能品が発生する可能性があります。
<主要な対応策>
このような製品安全上のリスクに対応するため、当社グループは「消費者視点での品質保証」を基本とし、開発から製造・物流・営業まで、全ての業務に携わる従業員への教育・指導、新規原材料・新製品に対する安全性の総合的評価(セイフティレビュー)、食品防御(フードディフェンス)の取り組み強化、食品安全マネジメントシステムの国際規格であるISO・FSSC等の認証取得と継続的な実効性検証、生産の外部委託先に対する自社工場と同様の管理の徹底等、製品の品質保証体制の維持・向上に取り組んでおります。
③ 災害・事故・感染症 可能性の程度:中 影響度:大
当社グループは、安全・安心な製品を安定的に供給するために工場等の設備維持・安全確保に努めておりますが、地震や風水害などの大規模自然災害、火災・爆発などの事故や新たな感染症の流行が発生した場合、損害発生、顧客への製品供給に支障をきたすなどの可能性があります。
<主要な対応策>
このような災害・事故に係るリスクに対応するため、当社グループは地震・風水害など自然災害の発生時に人的被害・工場等の設備破損が生じないように主要工場の耐震補強、水害対策等を進めるとともに、火災・爆発などの事故発生防止の体制作りの強化(設備・安全監査の実施、設備安全に関する規程整備を含む)、大規模地震に備えたBCP(事業継続計画)及び風水害に備えたタイムライン等を整備しております。そして、当社グループに影響のある大規模自然災害が発生した場合に備え、訓練を適宜実施しており、早期に最高本部(グループ本社役員で構成)を設置し、グループ間の情報共有と初動から事業継続に至るまでの対応に備えております。南海トラフ地震の発生も差し迫ったリスクとして捉えており、気象庁から臨時情報(巨大地震警戒、巨大地震注意)が発令された際の対応について各事業場と共有し、被害が見込まれる事業場において必要な事前準備を進めるよう周知徹底を図っております。加えて火山噴火を想定した対応についても順次進めております。また、発生後の経過と終息を予測することの難しい新たな感染症に対しては、BCP(事業継続計画)及び感染防止対策等を整備しており、今後も新たな感染症の発生等に迅速かつ的確に対応するために、必要に応じて感染症対策会議(仮称)を開催可能な体制を維持します。なお、大規模自然災害対策にあたっては、近年の災害甚大化に伴う国の災害想定見直しを逐次確認し、それに対応した対策見直しを行っております。
④ 他社とのアライアンス及び企業買収、新たな事業展開の効果の実現 可能性の程度:中 影響度:大
当社グループは、事業ポートフォリオの強化を図り、長期的な企業価値の極大化を実現するため、国内外において他社とのアライアンス及び企業買収、また、新たな事業展開のための投資を行っております。アライアンス及び買収後の事業や新たに展開した事業が当初の想定通りに進捗しない場合等には、その効果を実現できない可能性があり、その結果新規事業等が期待されるキャッシュ・フローを生み出さない状況になるなど、収益性低下により投資額の回収が見込めなくなることにより、多額の減損損失を計上する必要が生じた場合、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
<主要な対応策>
当社グループは今後も事業ポートフォリオの強化を進めてまいりますが、他社とのアライアンス及び企業買収、また、新たな事業展開に向けた投資については、独自のガイドラインに基づく案件の事前検証を行ってまいります。また、適切なM&Aチーム体制の構築等を実施することでリスクの低減を図り、確実な事業継承・立上げやPMI活動の充実等に取り組んでまいります。また、リスクが顕在化した場合は、その経緯や状況の把握・分析に努め、実効性のある打ち手を講じるとともに、将来のアライアンスや企業買収、事業展開の実行に際しノウハウとして役立ててまいります。
⑤ 原材料調達 可能性の程度:中 影響度:大
当社グループは、各事業において環境・人権というサプライチェーン上の課題へも配慮しながら安全かつコスト競争力がある原材料の持続的な調達に努めております。一方で、感染症・天災・テロ・紛争等による原材料供給の停滞・途絶、異常気象による小麦を始めとする農産物の不作、新興国の経済成長による需要拡大、原材料生産地域等での地政学的リスクの顕在化等を要因とした主要原材料の高騰や供給不足、人件費及び輸送・物流コストの上昇等により、適正な調達コストの維持困難や既存製品の製造停止・減産等のリスクが発生する可能性があります。また、輸入小麦価格の大幅な引き上げ等による原材料調達コスト及びその他製造・販売・輸送に関するコストの上昇分を小麦粉及び製品の販売価格に織り込めず、価格改定を十分に行えない場合、当社グループの利益に悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、原材料調達に係る環境・人権課題等の社会的課題に適切に対応しなかった場合、社会からの信頼が失墜し、企業ブランド・競争力の低下に繋がるおそれがあります。
<主要な対応策>
当社グループは原材料調達、生産における継続的なローコストオペレーションを推進するとともに、国内外の原材料原産地の状況把握に努め、調達先の分散化や代替原材料候補の探索を行い、原材料の安定調達に努めております。また、マーケットの変化に適合した新製品開発や高付加価値化戦略等により製品の適正価値維持に取り組むとともに、上昇した調達コストを適切に反映した製品の価格改定を着実に進めてまいります。併せて、サプライヤーの皆様のご協力のもと、サプライチェーンを通じて公正で倫理的な取引を基本とした責任ある調達活動を推進しております。
これらの取組みにより、安全な原材料を安定的かつ持続可能な形で調達することで、小麦粉や小麦粉関連製品を含めた「食」の安定供給を支え、ステークホルダーおよび社会から信頼される企業を目指してまいります。
⑥ 情報セキュリティ・DX(デジタルトランスフォーメーション) 可能性の程度:中 影響度:大
当社グループは、業務効率の最適化を実現するため基幹系を始めとして多くのシステムを活用しておりますが、システム運用上のトラブルの発生、当社グループの予測不能なウィルスの侵入・サイバーテロやグループ内情報への不正アクセスなどによるシステムダウンにより、支払処理を含む顧客対応に支障をきたす可能性や、営業秘密・個人情報の社外への流出などによる費用の発生、社会的信用の低下などにより事業活動に影響を及ぼす可能性があります。一方、生成AIをはじめ新たな情報技術を活用したデジタルトランスフォーメーションへの対応の遅れは、市場の環境変化に伴う事業競争力や不測の異常事態発生時における事業継続の対応力の低下を招く可能性があります。
<主要な対応策>
このようなリスクを低減するため、当社グループでは「情報セキュリティ基本規程」に基づく積極的な情報セキュリティ活動(教育訓練含む)を展開するとともにセキュリティ関連の情報収集に努め、より高度なコンピューターウィルス対策の実行、基幹系サーバの二重化、第三者機関によるセキュリティ診断等、グループ全体として適切なセキュリティ対策、及びIT管理体制の構築に取り組んでおります。また、新たな情報技術の活用においても、機動性重視の対応方針の下、グループ横断で優先順位をつけた業務のデジタル化やデジタルトランスフォーメーションによる事業モデルの変革に取り組んでおります。また、デジタル教育やその基盤となる人材育成等の取組み、生成AI等のデジタルツール類の社内導入・活用等を進めております。
⑦ 環境課題 可能性の程度:中 影響度:大
当社グループは、企業活動を通じて省エネルギー、廃棄物削減など環境負荷低減に積極的に取り組んでおります。しかしながら、当社グループの想定範囲を超えた環境に係る法的規制の変更、強化等の他、ステークホルダーからの環境対応要請の急激な高まり等により、これまでの想定を超える費用が発生する可能性があります。また、気候変動・水問題及び食品廃棄物・容器包装プラスチック廃棄物等のグローバルな環境課題に対して適切な対応ができなかった場合、地球環境保全に貢献できないだけでなく、当社グループの企業ブランド価値が低下し、事業活動に影響を及ぼす可能性があります。
<主要な対応策>
当社グループは地球環境保全を経営の最重要課題の一つとして「日清製粉グループ環境基本方針」を制定しております。ISO14001グループ認証を維持し、食品廃棄物の発生抑制や再利用、環境配慮設計の推進などの「食品廃棄物、容器包装廃棄物への対応」及び事業活動におけるCO2の排出量削減や水使用量削減などの「気候変動及び水問題への対応」を当社グループのサステナビリティ重要課題(マテリアリティ)に位置付け、2021年8月に、気候変動、食品廃棄物、容器包装廃棄物、水資源の4つの環境課題を中長期目標として設定し、環境保全、環境負荷軽減に取り組んでおります。
気候変動への対応といたしましては、目標年に向けた段階的な取組みを見える化するためのCO2削減ロードマップを作成し、また、CO2排出量の財務インパクトを可視化してCO2排出量削減に資する設備投資等を促進するため、インターナルカーボンプライシング(ICP)を導入しております。また、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に基づくシナリオ分析を実施し、炭素価格の上昇、異常気象の激甚化、農産物の生産量低下の影響と対応策について有価証券報告書や統合報告書に開示しております。
環境課題中長期目標の取組みや新たな課題等については、2023年度に設置したサステナビリティ委員会にて協議、確認し、下部専門委員会である環境委員会にてグループ横断で対応を推進しております。
今後、グループの総合力を結集して環境課題中長期目標の達成に向け取り組み、気候変動影響による自社のリスクと機会への対応を継続してまいります。
⑧ 海外事業 可能性の程度:中 影響度:大
当社グループは、アジア、北米、オセアニアを中心に積極的にグローバル展開を推進し、海外売上高比率は30%超に達しております。また、コスト競争力強化のため、グローバルな最適生産体制の構築にも取り組んでおります。今後も海外事業基盤の拡大に取り組んでまいりますが、海外においては、政治あるいは経済の予期しない変動や法律・規制の変更、訴訟の提起、テロあるいは紛争等の発生、新型感染症の流行による事業活動の制約・停滞などにより、業績悪化、事業継続に支障が生じるなどの可能性があります。
<主要な対応策>
このような海外事業におけるリスクを低減するため、グループ横断のリスクマネジメント委員会の下部組織である海外安全対策部会や外部専門家等を通じて、現地経営環境を継続的にモニタリングし、それを踏まえた事業運営の適切な管理・サポート等の実施や、現地に派遣する従業員への研修などを行うとともに、現地従業員の安全確保に努めております。
⑨ 為替変動 可能性の程度:中 影響度:中
当社グループは、加工食品事業をはじめ各事業において、原材料・製品の一部を海外より調達しており、為替変動により調達コストが増加する可能性があります。また、製粉事業においては副産物のふすま価格が為替で変動する輸入ふすま価格の影響を受ける可能性があります。海外事業においては損益、財務状況の外貨から円貨への換算額が為替変動により悪影響を受ける可能性があります。
<主要な対応策>
このような為替変動によるリスクに対応するため、当社グループではグループ横断の為替委員会を設置し、為替予約ルールの設定、為替に関する情報共有及び対策の協議を行うなど、為替変動により業績が大きく左右されないよう取り組んでおります。
⑩ 人材の確保等 可能性の程度:中 影響度:中
当社グループは、事業競争力強化のため既存事業のモデルチェンジと事業ポートフォリオの強化に取り組んでおり、それらに対応するための多様な人材を確保・育成する必要があります。しかし、労働力人口の減少や雇用情勢の変動等により、当社グループのそれぞれの事業で必要とする人材の確保・育成等ができない場合には、長期的に当社グループの競争力が低下する可能性があります。
<主要な対応策>
このような人材の確保に係るリスクに対応するため、当社グループでは、新卒採用活動におけるグループ一括採用の導入やリファラル採用の導入等、様々な手法によって採用活動を強化するとともに、次世代の経営者、デジタル人材、グローバル人材を育成するための教育・研修の充実に取り組んでおります。また、多様な価値観を持つ従業員一人ひとりが能力を十分に発揮できる、健全で働きがいのある労働環境の確保や業務効率化等による労働時間の削減や適切な労務管理に努めております。また、女性活躍の推進に向け、女性の事業経営者候補に対する個人別育成計画策定、社外メンターを活用したメンタリングの実施等、様々な取り組みを進めております。
⑪ 人権課題 可能性の程度:低 影響度:大
国内外に広く事業領域を展開している当社グループにとって、自社及びそのサプライチェーン上の各種差別、ハラスメント、児童労働、強制労働等の人権諸課題への対応、及び関連法規制の順守は非常に重要な課題と認識しております。人種・国籍・性別・性的指向及び性自認・年齢・障がいの有無をはじめ、価値観・宗教・信条等の違いを認め合い、お互いを尊重し合う多様性に配慮した職場づくり及び企業活動が実現できない場合には、当社グループ及びブランドへのネガティブな評判が拡がるとともに、社員一人ひとりが能力を発揮出来ず、当社グループが求める優秀な人材の確保も困難になり、中長期的に当社グループの競争力が低下する可能性があります。
<主要な対応策>
当社グループは2019年に5つの「サステナビリティ重要課題(マテリアリティ)」を特定し、経営の最重要課題の一つと位置付けております。そしてマテリアリティの一つに「健全で働きがいのある労働環境の確保」を掲げており、従業員の健康や働きがいのある労働環境の確保等にグループ全体で取り組んでおります。人権課題への対応としては、人権に対する意識を高めるために専門部署を設置し、すべての役員・社員を対象に毎年人権啓発研修を実施しております。研修では、同和問題や職場のハラスメント問題をはじめ、LGBTQへの理解促進、ビジネス遂行上の人権問題等、様々なテーマを取り上げ、身近な問題として人権を考えるとともに、人権視点で日常業務に取り組むよう啓発を行っております。また、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づいた「日清製粉グループ人権方針」を制定し、2021年より、サプライチェーンを含む主要事業の人権デュー・デリジェンスに取り組んでおります。
⑫ 新技術への対応 可能性の程度:中 影響度:中
当社グループは、それぞれの事業において、急激な市場の変化や技術の進化・変化に適切な対応が取れず、製品開発技術力・生産技術力の低下、及び基盤技術の陳腐化に繋がった場合、顧客ニーズに適合した魅力ある新製品開発ができずに、出荷低迷、企業ブランド価値の低下により経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
<主要な対応策>
このような新技術への対応遅れ等のリスクに対応するため、当社グループでは、グループ横断プロジェクト等を活用した技術の進化と技術者の育成、グループシナジー効果を活用した技術領域の拡大、産官学共同研究等外部からの技術導入の推進等、社内外のリソースを活用し最大化することで継続的に技術力を強化し、市場で求められる製品開発に取り組んでまいります。特にデジタル技術に関しては人材育成が急務となっており、グループのデジタル活用をリードする人材の育成に取り組んでおります。
上記以外にも当社グループが事業活動を展開するうえで、経済情勢や業界環境の変化に伴う主要製品の出荷変動、単価下落リスクの他、国内外での法的規制・訴訟リスク、商標権・特許権等の知的財産権に伴うリスク、取引先(生産委託先を含む)の経営環境の変化によるリスクなど、様々なリスクが当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性がありますが、これらのリスク回避、低減に向けて適切に取り組んでまいります。
配当政策
3【配当政策】
当社は、現在及び将来の収益状況及び財務状況を勘案するとともに、長期的スタンスで安定した配当を継続するために、親会社株主に帰属する当期純利益から非経常的な特殊要因による損益を除外し、連結ベースでの配当性向を基準として配当を行うことを基本方針としております。配当性向につきましては、従来「40%以上」としておりましたが、「日清製粉グループ 中期経営計画2026」最終年度である2027年3月期までに「50%目安」へと引き上げることで、株主の皆様のご期待にこたえてまいりたいと存じます。
当社の剰余金の配当は、中間配当及び期末配当の年2回を基本的な方針としております。配当の決定機関につきましては、会社法第459条第1項の規定に基づき、法令に別段の定めのある場合を除いて、株主総会決議に加え取締役会の決議により定めることができる旨を定款に定めております。また、取締役会の決議により、毎年9月30日を基準日として、会社法第454条第5項に規定する中間配当を行うことができる旨を定款に定めております。
当事業年度の期末配当につきましては、1株当たり30円とする剰余金の配当に関する議案を2025年6月26日開催予定の定時株主総会に付議させていただきます。先に行いました1株当たり25円の中間配当と合わせて、年間配当は前事業年度より10円増額の1株当たり55円を予定しております。これによりまして、株式分割において、1株当たりの配当金の調整を行わず配当総額を増加させた2014年3月期以降、実質的に12事業年度連続の増配となる予定であります。この結果、連結ベースでの配当性向は46.9%(非経常的な特殊要因による損益を除外すると51.1%)、純資産配当率は3.3%となる予定です。
内部留保資金におきましては、「日清製粉グループ 中期経営計画2026」に基づき、持続的成長、EPS成長を実現するために、環境投資、デジタル投資、新規事業開発・M&A投資、研究開発投資、人材育成を含めた成長投資、及び株主還元に適切に配分してまいります。増配はタイミングを見据えて積極的に検討し、投資資金が余剰となった場合等は、更なる株主還元を検討してまいりたいと考えております。
(注) 基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。
決議年月日 |
配当金の総額 (百万円) |
1株当たり配当額 (円) |
2024年10月30日 |
7,438 |
25 |
取締役会決議 |
||
2025年6月26日 |
8,695 |
30 |
定時株主総会決議(予定) |