2024年3月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります

菓子事業 食品事業 不動産賃貸事業
  • セグメント別売上構成
  • セグメント別利益構成 セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
  • セグメント別利益率

最新年度

セグメント名 セグメント別
売上高
(百万円)
売上構成比率
(%)
セグメント別
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
菓子事業 27,497 72.8 2,625 77.3 9.5
食品事業 9,443 25.0 389 11.5 4.1
不動産賃貸事業 830 2.2 382 11.3 46.1

事業内容

 

3 【事業の内容】

当社が営んでいる主な事業内容は、次のとおりであります。なお、区分方法についてはセグメント情報における事業区分と同一であります。

 

(1) 菓子事業

当社が和菓子類、洋菓子類及びパン類を製造販売しております。

(2) 食品事業

当社が業務用食材類、市販用食品類及び調理缶詰類を製造販売するほか、レストランの経営を行っております。

(3) 不動産賃貸事業

当社が商業ビル及び土地の賃貸事業を行っております。

 

以上の事項を事業系統図によって示すと、次のとおりであります。

 


業績

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(経営成績等の状況の概要)

当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。

 

(1) 財政状態及び経営成績の状況

当期におけるわが国経済は、新型コロナウイルスが5類感染症へ移行し、行動制限が緩和されたことにより個人消費やインバウンド需要などが持ち直し、景気は緩やかな回復基調で推移しました。一方で、国際的な原材料・エネルギー価格の高騰や円安、地政学リスクなどの影響による値上げが相次ぎ、消費マインドの冷え込みが懸念されました。

このような状況の中、当社は経営理念「真の価値を追求し、その喜びを分かち合う」の実現を目指し、『2022年-2024年 中期経営計画』に掲げた戦略に基づき、変化する経営環境へ対処することで、経営目標達成に向けた取組みを進めました。

具体的には、中華まんビジネスでは、冬季商品という従来のイメージを取り払うために新しい食のシーンを提案するなど、全社をあげて年間を通じた拡販に取り組みました。食品ビジネスでは、レトルトカレー類・中華調理用ソース類の品質・簡便性をさらに高めるとともに、積極的なプロモーション活動を行うなど、認知度向上につながる施策を実行しました。菓子ビジネスでは、高付加価値商品の開発と主力ギフト商品のカジュアル化を進め、取扱いエリアと店舗数の拡大に努めました。

これらの取組みに加え、原材料価格の高騰をはじめとする様々なコストアップ要因に対し、価格の改定や商品規格の見直しを実施するとともに、自社工場の平準化生産や商品の絞り込みなどを推進し、収益体質の強化を図りました。

以上のような取組みにより、当事業年度における売上高は、37,769,960千円、前年同期に対し2,215,649千円6.2%の増収となりました。

利益面につきましては、売上増収に加え、収益体質の強化を図った結果、営業利益は830,473千円(前年同期は営業損失245,541千円)、経常利益は995,582千円(前年同期は経常損失77,641千円)、当期純利益は405,109千円(前年同期は当期純損失28,169千円)となりました。

 

 

セグメントの経営成績を示すと、次のとおりであります。

 

① 菓子事業

菓子類では、個人的に親しい間柄で贈り合うギフト市場の動向に応え、手軽に利用できる商品の開発と展開に注力し、主力商品である「月の菓」「うすあわせ」「なめらかクリーム チーズケーキ」「とろける濃厚ガトーショコラ」の品質・パッケージを改良して商品力を高めました。また、新たに米菓「おこのみあられ 花ごよみ」を発売することで品揃えを強化しました。

日常使いのデイリー菓子類においては、「ご褒美喫茶」シリーズのラインナップの充実や、素材や製法にこだわった「逸品どら焼」などの拡販に努めました。さらに、独自のパイ製造技術を活かした「幸せのサクサクパイ」を新発売し、売上拡大を目指しました。

中華まん類では、個包装のまま電子レンジで温められる簡便性を積極的にアピールするとともに、朝食として楽しむ習慣を提案するなど、量販店販路を中心に通年販売の強化及び拡販に取り組みました。また、主力商品「肉まん」「あんまん」の品質改良を行い、商品力の強化に努めました。

コンビニエンスストア販路では、「肉まん」「ピザまん」などの基幹商品類を改良したほか、「明太チーズポテトまん」や「まるでお芋」などバラエティ豊かな商品を計画的に発売しました。

新宿中村屋ビル地下1階「スイーツ&デリカ Bonna(ボンナ)」では、レストラン仕込みの総菜商品が好調に推移したことに加え、インバウンドをはじめとする観光需要などに応じ、ギフト利用に適した商品を積極的に販売することで、売上の向上を図りました。

店舗展開では、キャラメルスイーツ専門店「CARAMEL MONDAY(キャラメルマンデー)」において、季節限定商品を新発売するとともに、ターミナル駅構内や商業施設での催事出店を継続的に実施することで、ブランド認知度の向上並びに人流回復に伴う土産需要への対応に努め、売上拡大に努めました。

以上のような営業活動を行った結果、菓子事業全体の売上高は27,496,939千円、前年同期に対し1,381,579千円5.3%の増収、営業利益は2,624,644千円、前年同期に対し820,281千円45.5%の増益となりました。

② 食品事業

市販食品では、より簡単・便利でありながら、おいしさを重視する消費者のニーズにあわせて、主要商品の品質向上を図り、売上拡大を目指しました。

レトルト食品では、昨年度好評だった電子レンジ調理に対応したパッケージへのリニューアルを、「インドカリー」シリーズの「ベジタブル」「濃厚ビーフ」、洋食カテゴリーの「ビーフハヤシ」「クリームシチュー」の4アイテムで実施し、簡便性の高いラインナップを充実させることで、拡販を推進しました。「本格四川」シリーズでは、「辛さ、ほとばしる麻婆豆腐」「コクと旨み、ひろがる麻婆豆腐」の調理工程を見直し、風味豊かな味わいに改良しました。また、大阪の梅田で試食体験イベントを開催するなど、関西エリアでのブランド認知度の向上に取り組みました。

2024年2月には、素材の旨味を凝縮し、味わいの濃さ・深さを追求したレトルトカレー「THE 濃厚」シリーズを新発売し、競合の多いレトルトカレー市場で差別的優位性を発揮することによって、新たな顧客層の獲得に努めました。

業務用食品では、顧客ニーズの把握とともに、レストランで培ってきた調理技術をいかした開発・提案に取り組み、外食販路に加えて、中食・内食販路へ向けた施策を強化しました。その結果、弁当用カレーソースは、納品先のコンビニエンスストアチェーンが企画した大型販促施策と相まって拡販が実現しました。また、PB商品として開発したオリジナルレトルトカレーは、テレビ番組に取り上げられ、高い評価を得たことで大きな反響となり、売上に貢献しました。

直営レストランでは、新宿中村屋ビル8階「カジュアルダイニングGranna(グランナ)」、地下2階「レストラン&カフェManna(マンナ)」において「純印度式カリー」を中心に主力商品の品質向上を図りました。また、「オリーブハウス」では季節にあわせたおすすめメニューを積極的に販売しました。これらの取組みをとおして、お客様の満足度向上に努めることで、客数が増加しました。

以上のような営業活動を行った結果、食品事業全体の売上高は9,443,420千円、前年同期に対し510,704千円5.7%の増収、営業利益は388,850千円、前年同期に対し140,439千円56.5%の増益となりました。

 

③ 不動産賃貸事業

不動産賃貸事業では、商業ビル「新宿中村屋ビル」において快適で賑わいのある商業空間の提供に努め、満室稼働を維持しました。

また、武蔵工場内の一部遊休地について、事業用定期借地権を設定契約したことによる地代収入に加え、8月には旧東京事業所跡地の再開発に伴う一般定期借地権設定契約を締結するなど、保有する土地を有効活用しました。

以上のような営業活動を行った結果、売上高は829,601千円、前年同期に対し323,365千円63.9%の増収、営業利益は382,491千円、前年同期に対し270,235千円240.7%の増益となりました。

 

(2) 当期の財政状態の概況

資産、負債及び純資産の状況

 

当事業年度末における総資産は、建物の減少513,003千円、リース資産の減少493,815千円、機械及び装置の減少463,636千円等があったものの、投資有価証券の増加1,671,555千円、売掛金の増加942,818千円等により、前事業年度末に比べ1,037,165千円増加し、43,517,528千円となりました。

負債は、短期借入金の減少3,800,000千円等があったものの、長期前受収益の増加2,902,568千円、繰延税金負債の増加609,511千円、賞与引当金の増加311,601千円等により、前事業年度末に比べ173,490千円増加し、16,911,811千円となりました。

純資産は、自己株式の取得による減少480,713千円等があったものの、その他有価証券評価差額金の増加1,237,292千円等により、前事業年度末に比べ863,674千円増加し、26,605,718千円となりました。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

当事業年度末の現金及び現金同等物は、前事業年度末に比べ、81,312千円減少し、1,136,514千円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、4,707,494千円の収入(前事業年度は658,084千円の収入)となりました。これは主に、売上債権の増加額△942,818千円、退職給付引当金の減少額△683,142千円等があったものの、長期前受収益の増加額2,902,568千円、減価償却費1,598,372千円等があったことによるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、109,963千円の支出(前事業年度は605,147千円の支出)となりました。これは主に、投資有価証券の売却による収入640,491千円等があったものの、有形固定資産の取得による支出△816,344千円等があったことによるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、4,678,877千円の支出(前事業年度は17,355千円の支出)となりました。これは主に、短期借入金の減少額△3,800,000千円、自己株式の増加額△480,713千円等があったことによるものです。

 

 

(4) 生産、受注及び販売の状況

① 生産実績

当事業年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

生産高(千円)

前年同期比(%)

菓子事業

13,688,131

△3.9

食品事業

4,083,013

1.8

合計

17,771,144

△2.7

 

(注) 金額は製造原価によっております。

 

② 受注状況

当社は受注生産をしておりません。

 

③ 販売実績

当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

菓子事業

27,496,939

5.3

食品事業

9,443,420

5.7

不動産賃貸事業

829,601

63.9

合計

37,769,960

6.2

 

(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前事業年度

当事業年度

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

㈱セブン-イレブン・ジャパン

12,087,020

34.0

14,178,365

37.5

 

 

 

(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

① 経営成績の分析

(売上高)

売上高は37,769,960千円、前事業年度と比較し2,215,649千円6.2%の増収となりました。

菓子事業においては、需要が増えている手軽に利用できるギフトへの対応強化や、量販店販路において、中華まんの通年販売店舗拡大のための春夏の取り組みを強化するなど事業拡大に努めました。また、コンビニエンスストア販路では、中華まんの基幹商品の改良を行ったほか、バラエティ商品も計画的に発売した結果、前事業年度と比較し1,381,579千円5.3%の増収となりました。

食品事業においては、主要レトルト商品について品質改良を行うとともに、電子レンジ調理対応商品を拡大し、簡便性の高いラインナップを充実させ、拡販を推進しました。また、大阪での試食体験イベントを通してのブランド認知度向上への取り組みや、レストラン調理技術をいかした業務用食品の開発提案、中食販路への提案強化、直営レストランでの品質改良など事業拡大に努めた結果、前事業年度と比較し510,704千円5.7%の増収となりました。

不動産賃貸事業においては、新宿中村屋ビルの満室稼働に加え、武蔵工場内の一部遊休地について、事業用定期借地権を設定契約、旧東京事業所跡地の再開発に伴う一般定期借地権設定契約を締結するなど、保有する土地の有効活用を行った結果、前事業年度と比較し、323,365千円63.9%の増収となりました。

(売上原価)

売上原価は、原材料価格の高騰をはじめとする様々なコストアップ要因に対し、価格の改定や商品規格の見直しによる価値向上を実施するとともに、自社工場の平準化生産や商品の絞り込みなどを推進することで原価率のコントロールを図った結果、対売上高比率は63.6%と前事業年度より1.7ポイントの低減となりました。

(販売費及び一般管理費)

販売費及び一般管理費は、社内ネットワークシステムを有効活用し、リモートワークなど多様な働き方が浸透したことに加え、不要な業務・経費の削減に努めた結果、対売上高比率は34.2%と前事業年度より1.2ポイントの改善となりました。

(特別損益)

特別損益は、固定資産売却益12,718千円、投資有価証券売却益511,129千円を特別利益に、固定資産売却損30千円、固定資産除却損21,835千円、減損損失704,197千円、環境対策費89,770千円を特別損失に計上し、当期純利益は405,109千円(前事業年度は当期純損失28,169千円)となりました。

 

② 経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

③ 資本の財源及び流動性についての分析

当社の資金の状況は、当事業年度末には1,136,514千円となりました。

営業活動によるキャッシュ・フローは、長期前受収益の増加等により、資金の収入は4,707,494千円となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出等により、資金の支出は109,963千円となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の減少等により、資金の支出は4,678,877千円となりました。

 

当社の資本の財源及び資金の流動性については、主として自己資金によって充当し、必要に応じて外部から資金調達を行っております。

 

 

 

(2) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成しております。財務諸表の作成にあたって、経営者により、一定の会計基準範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りは不確実性を伴うため、実際の結果は異なることがあります。

 

(繰延税金資産)

「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

(固定資産の減損処理)

当社は、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少金額を特別損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。