2025年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    295名(単体) 17,231名(連結)
  • 平均年齢
    42.7歳(単体)
  • 平均勤続年数
    18.5年(単体)
  • 平均年収
    9,098,000円(単体)

従業員の状況

5【従業員の状況】

(1)連結会社の状況

 

2025年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(人)

食品

10,061

〔3,967〕

医薬品

6,871

〔2,771〕

全社(共通)

299

〔41〕

合計

17,231

〔6,779〕

 (注) 従業員数は就業人員数(当社グループから当社グループ外への出向者を除き、当社グループ外から当社グループへの出向者を含む)です。また、臨時従業員数は〔 〕内に年間の平均人員を外数で記載しており、派遣社員を除いております。

 

(2)提出会社の状況

 

 

 

 

2025年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

295

〔28〕

42.7

18.5

9,098

 

セグメントの名称

従業員数(人)

全社(共通)

295

〔28〕

合計

295

〔28〕

(注)1.従業員数は就業人員数(当社グループから当社グループ外への出向者を除き、当社グループ外から当社グル

      ープへの出向者を含む)です。また、臨時従業員数は〔 〕内に年間の平均人員を外数で記載しており、派遣社員を除いております。

    2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

3.平均勤続年数の算定にあたっては、㈱明治、Meiji Seika ファルマ㈱、KMバイオロジクス㈱及び㈱明治ナイスデイから出向により当社で就業している従業員は、各社における勤続年数を通算しております。

4.前連結会計年度末に比べて従業員数が179名増加しております。主な理由は、グループとしての効率化及び機能強化に向けて㈱明治より一部コーポレート機能を統合したことによるものです。

 

(3)労働組合の状況

 当社グループには主として明治労働組合(2025年3月31日現在、組合員数5,407名)とMeiji Seikaファルマ労働組合(2025年3月31日現在、組合員数1,153名)があります。

 明治労働組合は日本食品関連産業労働組合総連合会、Meiji Seikaファルマ労働組合は医薬化粧品産業労働組合連合会に加盟しております。

 

(4)管理職に占める女性従業員の割合、男性従業員の育児休業取得率及び従業員の男女の賃金の差異

 当連結会計年度の多様性に関する指標は、以下のとおりであります。

① 女性活躍推進法、育児・介護休業法に基づく開示

名称

管理職に占める女性従業員の割合(%)

男性の育児休業取得率(%)

男女の賃金の差異(%)

全従業員

従業員

臨時雇用者

㈱明治

5.3

103.0

49.3

68.4

54.2

Meiji Seika ファルマ㈱

12.2

100.0

68.9

72.4

61.2

KMバイオロジクス㈱

8.3

106.3

47.6

56.2

70.9

明治フレッシュネットワーク㈱

0.9

100.0

39.5

65.2

26.9

四国明治㈱

-

100.0

49.8

78.1

71.3

明治ロジテック㈱

-

116.7

54.1

60.3

53.6

Meiji Seikaファルマテック㈱

9.1

166.7

59.9

72.7

88.2

明治アドエージェンシー㈱

-

100.0

61.1

62.5

36.6

明治チューインガム㈱

29.4

-

69.9

90.7

48.5

東海ナッツ㈱

12.5

-

66.5

68.6

71.4

日本罐詰㈱

6.7

*

49.2

84.8

72.7

栃木明治牛乳㈱

12.5

-

79.0

88.4

89.7

大蔵製薬㈱

13.3

-

-

-

-

 

② 連結会社の状況

 

管理職に占める

女性従業員の割合(%)

男性従業員の育児休業取得率(%)

男女の賃金の差異(%)

全従業員

 

従業員

 

臨時雇用者

管理職

当社及び

国内連結子会社

7.25

102.4

51.7

67.5

96.6

55.6

(注)1.従業員は、正規雇用の従業員を含み、非正規雇用の従業員を除いております。

2.臨時雇用者は、パートタイマー及び嘱託契約の従業員を含み、派遣社員を除いております。

3.全従業員は、従業員と臨時雇用者を含んでおります。

4.出向者は出向元の従業員として集計しております。

5.管理職に占める女性従業員の割合及び男女の賃金差異については、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出、開示しております。「-」は非開示を示しております。

6.男性従業員の育児休業取得率については「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき開示しております。「-」は非開示を示しております。「*」は対象となる従業員がいなかったことを示しております。

7.男性従業員の育児休業取得率は、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものであります。

 

女性活躍の一つの指標である男女の賃金差異について、当社グループは51.7%となっております。当社グループでは、同一雇用形態において男女の賃金に差は設けていないため、この差は、等級別人数構成の差によるものであります。具体的には、短時間で働く臨時雇用者において女性比率が高いこと、また、給与の高い職群である管理職において男性比率が高いことによるものであります。

そのため、現在推進している女性活躍推進の取り組み等により、管理職に占める女性比率を適正に高めていくことが、男女の賃金差異の解消にもつながっていくと考えております。詳細は第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 ●明治グループにおける人的資本への取組に記載のとおりであります。

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループは、サステナビリティに関連するリスクと機会を含む重要課題を、経営の中核テーマと位置づけ、事業及び機能横断で連携する体制を構築・運用しています。サステナビリティ戦略と経営の統合を図るとともに、各組織の役割と権限を明確化し、実行責任を担保する運営体制を構築しています。なお、本項における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが合理的に判断した内容に基づいています。

 

(1)ガバナンス

 当社グループは、サステナビリティ戦略の実行力を高めるため、CSO(Chief Sustainability Officer)が議長を務める「グループサステナビリティ事務局会議」を月次で開催し、社会課題の解決に向けた取組の企画・実行・進捗の確認を定期的に実施しています。同会議では、主に7つの下部会議体の協議結果がCSOに報告されます。戦略と実務の整合性を図るとともに、計画・実行・評価の連携を強化し、サステナビリティ経営の実効性を高めています。

 また、代表取締役社長CEOが委員長を務める「グループサステナビリティ委員会」を年2回開催し、グループ全体のサステナビリティ活動の進捗状況をモニタリングしています。重要事項については、経営会議において審議され、最終的に取締役会が監督する体制を整えており、これにより、サステナビリティと経営の統合を、実行力をもって着実に推進しています。

 なお、取締役のスキルや専門性に関する情報は、2025年6月更新予定のコーポレートガバナンス報告書をご参照ください。

 さらに、経営陣の持続可能な成長へのコミットメントを強化するために、役員報酬制度のうち株式報酬については、ROEなどの財務指標に加え、外部ESG評価機関によるスコアなどの非財務指標も考慮し、支給水準を決定しています(詳細は「4 コーポレートガバナンスの状況等(4)役員の報酬等 c. 非金銭報酬等に関する事項」参照)。

<ガバナンス体制図>

 

 

 当社グループは、リスク管理体制においても、サステナビリティを経営の中核に位置付け、全社的に展開しています。グループサステナビリティ委員会にはリスクマネジメント部門の管掌役員が参画し、サステナビリティ関連リスクを、全社的なリスクマネジメント体制に統合しています。

 さらに、外部の多様な知見を得る仕組みとして、年2回「ESGアドバイザリーボード」を開催しています。2024年度には、「カカオ事業におけるサステナブルな訴求」「酪農の環境負荷低減」などをテーマとし、社外有識者4名による実務的かつ建設的な意見を踏まえ、戦略や施策の妥当性・改善点について社内で検討しました。今後も、こうした知見を積極的に取り入れ、取組全体の透明性と実効性の向上に努めてまいります。

 

(2)リスク管理

 当社グループは、2026中期経営計画の策定にあたり、サステナビリティに関連するリスクと機会を統合的に特定・評価しました。このプロセスは、国際的な開示基準を参照し、構造的かつ透明性の高い方法論に基づいて実施しています。これにより、グループの持続的成長と社会価値の創出を両立する基盤を構築しています。

 

<STEP①: リスク・機会に関する課題の網羅的リストアップ>

 国際的に信頼性の高い基準(SASB、GRI、国連GCなど)を参照し、環境・社会・経済の三側面から多様な課題を抽出しました。抽出された課題は、食品事業及び医薬品事業それぞれの事業特性を踏まえ、リスク・機会の二軸で分析対象としました。

 

<STEP② :リスク・機会の抽出及びマテリアリティの重要度評価>

 各課題について、定量スコアリング手法(ステークホルダー:4段階、事業影響度:5段階)に基づきマトリクス化し、両方とも高い評価となったものをマテリアリティとして選定しました。

・「ステークホルダーにとっての重要度」は、2026中期経営計画で新たに定義した6つの主要ステークホルダー

(お客さま、株主・投資家、社員、ビジネスパートナー、地域社会、政府機関・業界団体)ごとに4段階で評価

・「明治グループの事業における重要度」は、IIRC(国際統合報告協議会)のフレームワークに基づき、企業価値

創造に資する6つの資本(財務資本、製造資本、知的資本、人的資本、社会関係資本、自然資本)ごとに5段階で
評価

 

<STEP③ :外部有識者による検証と最終決定>

 マテリアリティの妥当性については、ESGアドバイザリーボードでの助言・提言に基づき、分析手法及び結果の妥当性について検証を行い、当社のマテリアリティ評価及び戦略策定に反映しました。その後、グループサステナビリティ委員会での審議を経て、取締役会に報告を行い、最終的に12のマテリアリティを特定・決定しました。これらのマテリアリティは、2026中期経営計画における指標及び目標の設計・管理プロセスに反映されています。

 

<マテリアリティ・マトリックス>

 

 

 

 

 

(3)戦略

当社グループは、マテリアリティ分析を踏まえ、2026中期経営計画におけるサステナビリティ戦略を策定しています。特定した12のマテリアリティは、「こころとからだの健康に貢献」「環境との調和」「豊かな社会づくり」「持続可能な調達活動」の4つのテーマに体系化しています。

各マテリアリティに対しては、2030年及び2050年を見据えた中長期の目指す姿を明確にし、2026中期経営計画の期間中は、その実現に向けた具体的施策を計画的に推進しています。2024年度は中計初年度として、個別マテリアリティに対応するKPIの設定・進捗レビューを実施し、進捗状況に応じた施策の見直しや部門横断での取組強化を図ることで、戦略を着実に実行しました。2025年度以降は、KPIの進捗状況を踏まえた柔軟な対応を通じて、実効性の向上に、引き続き取り組んでまいります。

 

活動

テーマ

マテリアリティ

中長期の目指す姿

こころとからだの健康に貢献

健康と栄養

食のリーディングカンパニーとして、地域やライフステージごとに異なる健康と栄養の課題に向き合い、科学的なアプローチで栄養価値を評価し、人々の健康な食生活に貢献している。

新興・再興感染症の脅威

感染症領域におけるアジアのリーディングカンパニーとして、予防から治療にわたる医薬品を中心としたソリューションを提供し、感染症の高まる脅威から人々を守っている。

堅牢なサプライチェーン構築

による医薬品の安定供給

国内とグローバルに堅牢なサプライチェーン体制を確立し、高品質で経済的な医薬品を安定的に提供する。

製品品質の安全性・信頼性

食薬の領域でグローバルに事業拡大をする中で、品質保証と安全管理の業務を適切に実施し、製品回収ゼロを継続的に実現している。

環境との調和

気候変動

省エネ・創エネ活動の強化、再生可能エネルギーの利活用、酪農分野でのGHG排出量削減などによりサプライチェーン全体のCO排出量の削減を図り、2050年までにカーボンニュートラルの実現を目指す。

資源循環

3R(Reduce, Reuse, Recycle)+Renewableの取り組みに加え、資源投入量・消費量を抑えながら付加価値を生み出す活動を推進することで、製品価値の最大化、資源消費の最小化、廃棄物の発生抑制などを図り、サーキュラーエコノミーへの移行を目指す。

水資源

水使用量の継続的な削減に加え、水源涵養など水源保全活動への積極的な取り組みによりウォーターニュートラルを実現している。

生物多様性

事業活動に伴う生物多様性・自然への依存と影響を把握し、生物多様性の損失に歯止めをかけ、自然環境に対してポジティブな影響を与える取り組みを積極的に行うことで自然との共生を目指す。

豊かな社会づくり

バリューチェーンにおける

人権の尊重

自社のバリューチェーン上における人権課題を認識し、社員一人一人が自分ゴトとして捉え、その対応に取り組んでいる。

高い倫理観に基づいた

マーケティング

サプライチェーン下流でのマーケティングによる影響を理解し、人権や環境に配慮した適切なコミュニケーションを実施している。

多様な人財の成長と活躍

社員と会社が共に成長している。

~ イキイキと働く多様な人財が新たな価値を創出 ~

共通

人権・環境に配慮した

サプライチェーンの構築

サプライヤーと連携・協力してサプライチェーン全体で人権・環境などの社会的責任に配慮した調達活動に取り組み、責任あるサプライチェーンを確立している。

個々の原材料についてトレーサビリティの確立に努め、原材料生産地での人権・環境などに関わる社会課題を把握し、その課題解決により持続可能な原材料調達を実現している。

 

(4) 2026中期経営計画における指標及び目標

 2026中期経営計画においては、戦略(前項(3)戦略)で示したマテリアリティごとの中長期の「目指す姿」の実現に向け、関連する「主な取り組み」と、その進捗・成果を測定・管理するための「指標」及び「目標」を定めています。以下に、2024年度における各マテリアリティに対応するKPIの実績を一覧で示します。

 

マテリアリティ

主な取り組み

指標(KPI)

実績/進捗(2024年度)

目標

(2026年度)

健康と栄養

明治栄養プロファイリングシステム(Meiji NPS)による自社商品の栄養価値の評価実施および今後の栄養価値向上に向けた基礎データの整備

Meiji NPSによる自社商品評価比率(売上高比率)

㈱明治が国内で製造販売する商品のうち、業務用の商品、特殊な栄養設計を行っている商品、受託製造品を除く全商品

31.8%

対象商品の売上高比率90%以上

Meiji NPSにおける評価対象ライフステージの拡大

完成のターゲット年度

開発中

2026年度

健康な食生活・食文化の普及・啓発に向けた食育活動の拡充

3年間の食育活動の参加人数

29.3万人

累計80万人

体験型イベントの実施回数

10回

累計30回以上

健康志向食品などサステナブルな取り組みを重視するブランド群の拡大

KPIに関しては、食品セグメントの「明治ROESG対象のブランド群」の指標 (売上高年度計画の達成)と同一

“咀嚼~嚥下”のプロセスにおける、嚥下運動の可視化、新たな模擬装置の開発、実験方法の確立

スワロービジョンにより可視化・分析した医用画像の事例数

開発中

嚥下運動
事例数:10例

加齢に伴う咀嚼特性変化を反映した模擬実験法の確立

開発中

高齢者の咀嚼を模擬する実験法に関する論文公表

模擬送り込み装置による食塊の閉塞因子を評価する方法の確立

開発中

食塊の閉塞因子
評価方法に関する論文公表

新興・

再興感染症の
脅威

レプリコンワクチン「コスタイベ筋注用」の上市および国内供給体制の整備

国内製造供給比率

19.0%

30%以上

小児を対象とした安全で有効な不活化ワクチン「KD-414」の上市および国内供給体制の整備

ワクチン供給量

(生産能力ベース)

実際の供給量は感染状況で変わるため、生産能力ベースの指標とする

計画通り進捗

150万回分

先進的研究開発戦略センター(SCARDA)の公募事業への参画による、デングワクチン「KD-382」の開発

開発Phaseの進捗

計画通り進捗

臨床試験Phase2

(人での用量確認試験)

の開始

2032年度の上市を目指す

カルバペネム耐性腸内細菌に対するβ‐ラクタマーゼ阻害剤「OP0595」の開発

承認を取得する国数

Phase3進行中

承認取得1カ国
以上

 

 

マテリアリティ

主な取り組み

指標(KPI)

実績/進捗(2024年度)

目標

(2026年度)

堅牢な

サプライチェーン

構築による

医薬品の安定供給

安定確保医薬品 カテゴリA製品(「バンコマイシン」「メロペネム」「スルバシリン」「タゾピペ」)の在庫月数のコントロールによる安定供給体制の確立

安定供給を確保できる在庫月数

平均3カ月

各製品6カ月

海外依存度の高いペニシリン原薬の国内生産体制の構築(岐阜工場における製造設備導入)

岐阜工場の生産稼働開始ターゲット年度

計画通り進捗

2025年度後期

ワクチンおよび血漿分画製剤の安定供給
体制の確立

製品欠品回数

欠品の定義:自社起因の欠品に限定

0回

0回

製品品質の

安全性・

信頼性

明治グローバル品質方針(Meiji’s Quality Policy)に基づく「明治品質コミュニケーション(Meiji Quality Comm)」活動の推進による品質への取り組み強化

重大品質事故件数

重大事故の定義:法令違反による回収および表示ミスや品質不良による自主回収を行った案件(海外含む)

1件

0件

協力会社(製品の委託/仕入れ先)
全拠点でのGFSI承認規格取得率

94.2%

100%

重点管理原料サプライヤーの工場
監査率

80.9%

100%

・新分野およびグローバル展開に対応した信頼性保証体制の強化

・製品ライフサイクル全般にわたる信頼性保証システムの変革

・品質マネジメントレビューの着実な
実施と信頼性保証活動(製造所監査、安全管理業務など)の徹底による未然防止

製販品目における回収などの重大
不適合の発生件数

0件

0件

規制当局対応における重大な指摘
件数

0件

0件

 

 

 

マテリアリティ

主な取り組み

指標(KPI)

実績/進捗(2024年度)

目標

(2026年度)

気候変動

省エネ・創エネ活動の強化、カーボンクレジットの活用などによるScope1、2におけるCO₂排出量の削減

Scope1、2排出量削減率

(基準年2019年度比)

25.0%

32%以上

酪農分野でのGHG排出量削減、容器包装材料の使用量削減、サプライヤーとの連携強化などによるScope3におけるCO₂排出量の削減

Scope3排出量削減率

(基準年2019年度比)

範囲(調達・物流・廃棄カテゴリ
1,4,9,12)

11.1%

15%以上

太陽光発電設備の導入拡大、再エネ由来電力の活用強化による再生可能エネルギーへの移行推進

再生可能エネルギー比率

(比率:総使用電力量に占める割合)

24.2%

30%以上

資源循環

環境配慮型素材の研究開発を進めながら、プラスチック容器包装のリデュース推進

プラスチック使用量(総量)の削減率

(基準年2017年度比)

22.1% ※1

25%以上

再生プラスチック、バイオマスプラスチックの活用強化によるバージンプラスチックの使用量削減

バージンプラスチック使用量の削減率

(基準年2017年度比)

集計中

40%以上

PETボトルに使用する再生プラスチック使用比率の拡大

再生PETの使用比率

集計中

2025年度目標

70%以上

需給精度の向上による不良在庫削減、賞味期間の延長、賞味期限の年月表示化などによる食品ロスの削減

食品事業における製品廃棄量の削減率

(基準年2016年度比)

26.8% ※1

2025年度目標

50%以上

生産(原料廃棄など)から販売(返品製品の廃棄)までのサプライチェーン上における食品廃棄物削減の推進

食品ロス発生量の削減率

(基準年2023年度比)

発生量対売上高原単位

集計中

2030年度目標

50%以上

工場での排出物の発生抑制などによる最終処分量の削減

再資源化率

85.3%

90%以上

動植物性残渣の再資源化(飼料化、肥料化、メタン発酵等)などによる食品廃棄物の削減

食品事業における食品リサイクル率

96.0%

※1

95%以上

水資源

水の効率的な使用、節水型設備の積極的導入などによる水使用量の削減

水使用量の削減率

(基準年2020年度比)

売上高原単位あたり

27.1%

20%以上

工場の水源地での森林保全などによる水源涵養活動の拡大

水源涵養率

190.3%

80%以上

生物多様性

自然共生サイトへの認定登録の推進

(OECM国際データベースへの登録)

新規認定区域数

新規登録1件

(累計2件)

森林保全活動を行うための保守管理契約の締結

保守管理契約をする森林面積

15ha

40ha以上

・生乳、カカオを対象とした、TNFDフレームワークに沿った分析、対応策の策定

・カカオ、パーム油など主要原材料の森
 林減少への取り組み推進

KPIに関しては、次ページ「人権・環境に配慮したサプライチェーンの構築」の「(カカオ)GPSマッピング等の実態把握率」及び「(パーム油)森林減少に関与していないパーム油の調達比率」と同一。

 

 

マテリアリティ

主な取り組み

指標(KPI)

実績/進捗(2024年度)

目標

(2026年度)

バリューチェーンにおける

人権の尊重

人権尊重に関する人権教育の実施

国内グループ会社社員に対する人権教育の実施率

受講率94.7%

受講率90%以上

年1回の受講

海外グループ会社(23社)に対する人権教育の実施率

34.8%(8社)

100%

海外における人権デュー・ディリジェンスの強化

海外リスク国の人権影響評価実施国数

0カ国

2025年度1カ国

実施予定

3カ国

高い倫理観に

基づいた

マーケティング

責任あるマーケティングコミュニケーションポリシーの制定および社員教育の実施

ポリシー制定のターゲット年度

未制定

2024年度中

ポリシー内容周知のための勉強会実施回数

1回(子ども向けマーケティングポリシー)

年1回以上

多様な人財の

成長と活躍

「●明治グループにおける人的資本への取組 (3) 指標及び目標」に記載をしております。

 

 

 

マテリアリティ

主な取り組み

指標(KPI)

実績/進捗
(2024年度)

目標

(2026年度)

人権・環境に配慮した

サプライチェーンの構築

サステナブル調達アンケートの結果分析によるリスク評価、監査を含むエンゲージメントの実施

重要サプライヤーへの監査実施数

2社

累計30社以上

海外グループ会社サプライヤーに対するリスク評価実施

リスク評価対象先を選定

15社以上

メイジ・デイリー・アドバイザリー(Meiji Dairy Advisory:MDA)※2を通じた、酪農現場の人材マネジメントによる人の成長および人権、アニマルウェルフェア、GHG排出量削減などの社会課題の解決支援

Meiji Dairy Advisory
(MDA)取り組み戸数

累計56戸

累計100戸以上

酪農家におけるGHG排出量削減に向けた取り組みの推進

〈生乳〉GHG排出量削減に取り組む酪農家戸数

4戸(2,100頭)

累計30戸以上

メイジ・カカオ・サポート(Meiji Cocoa Support:MCS)※3を通じ、農家支援を実施した地域で生産された明治サステナブルカカオ豆の調達拡大

〈カカオ〉明治サステナブルカカオ豆の調達比率

100%

100%

全ての調達先における農園までのトレーサビリティの確立

〈カカオ〉カカオ農園までのトレーサビリティ比率

97.7%

100%

児童労働監視改善システム(CLMRS)もしくは同等のシステムの導入による、児童労働ゼロに向けた取り組みの推進

〈カカオ〉児童労働監視改善システム導入率

ガーナの調達先:
98.7%

100%

全ての調達先:

59.4%

2030年度目標

100%

GPSマッピングなどによる農園の実態把握と森林の保護・回復を目的とした取り組みの推進

〈カカオ〉GPSマッピング等の実態把握率

ガーナの調達先:
91.2%

100%

全ての調達先:

88.6%

2030年度目標

100%

森林モニタリングを通じたサプライチェーン上の森林減少のリスクの特定・検証による、森林減少に関与していないパーム油の調達推進

〈パーム油〉森林減少に関与していないパーム油の調達比率

N/D

2025年度中
(上期)に
目標設定

大豆および大豆製品のうち、分離大豆たんぱくに対して、第一集荷所※4までのトレーサビリティを確立

〈大豆〉分離大豆たんぱくの第一集荷所までのトレーサビリティ比率

90.8%

100%

製品の容器包装の環境配慮紙100%維持および事務用品や定型発行物の環境配慮紙への切り替え

〈紙〉環境配慮紙の比率

製品包装:100%

製品以外
(事務用品、定型発行物):99.4%

100%

※1 2023年度実績を記載しています。

※2 酪農現場の人材マネジメントに焦点を当て、「持続可能性のある酪農経営」を支援する活動です。

※3 2006年に始まった「カカオ農家支援活動」のことです。

※4 生産地域の複数の農家から最初に搬入される場所のことです。

※5 KMバイオロジクス㈱及び明治アニマルヘルス㈱は除く

 

最新の実績は当社Webサイトを参照願います。

https://www.meiji.com/pdf/sustainability/stance/materiality-kpi.pdf

 なお、本表に記載された各指標及び目標の進捗状況については、各マテリアリティを主管する部門が年1回を基本に確認し、その状況を踏まえて必要に応じてグループサステナビリティ委員会において協議・見直しを行います。2025年度以降も、外部環境やステークホルダーの要請を踏まえ、KPIの柔軟かつ実効性の高い運用に努めてまいります。

●気候変動に関する考え方及び取組(TCFD提言に基づく開示)

 

 当社グループの事業は、豊かな自然の恵みの上に成り立っており、地球環境と共に生き「自然と共生」することが責務であると考えております。しかし、近年、地球環境の持続可能性が危ぶまれており、気候変動が中長期的に事業活動に与える影響も大きく、重要な経営課題であると認識しております。また、「パリ協定」や「持続可能な開発目標(SDGs)」でも気候変動への対応強化が求められており、当社グループはこうした国際的な枠組みに貢献すべく、脱炭素社会の実現に向けて気候変動への対応を推進しております。

 なお、気候変動に関しては、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の枠組みに基づいて記載しています。

 

(1)ガバナンス及びリスク管理

 当社グループは、サステナビリティ戦略を推進するために、責任者であるCSO(Chief Sustainability Officer)が議長を務めるグループサステナビリティ事務局会議を毎月開催し、気候変動をはじめとする社会課題解決に向けた取り組みを強化しています。また、当社CEO(Chief Executive Officer)が委員長を務めるグループサステナビリティ委員会では、半期ごとにサステナビリティ活動全般の進捗状況を報告し、新たな取り組みについて審議しています。特に、気候変動は重要な課題と位置づけています。

ガバナンスに関して、当社グループは、気候変動によるリスク・機会の分析と対応策について、グループTCFD会議(2024年度2回実施)において議論した後、その結果を経営会議で審議し、取締役会が監督し、経営に反映しております。

 

 リスク管理に関して、当社グループは、企業活動に重大な影響を及ぼすリスクに適切に対処するため、グループ全体でリスクマネジメントを推進しております。この中で、「気候変動」は主要な経営リスクと位置づけております。気候変動によるリスクや機会が時代とともに変化する事を認識し、グループTCFD会議では、TCFD提言に沿ったシナリオ分析を活用し、定量的な分析と評価を行い、優先度の高い主要インパクトを特定しています。これに基づいて、リスク管理フローに沿って対応策を検討しております。グループTCFD会議は、当社リスクマネジメント部も参画し、気候変動の影響をグループ全体の重大なリスクとして認識し、それに対応できる体制を構築しております。

 

(2) 戦略

 当社グループは、気候変動によるリスクと機会を重要な経営課題の一つであると認識しており、短・中期的には「明治グループサステナビリティ2026ビジョン」、長期的には、明治グループ長期環境ビジョン「Meiji Green Engagement for 2050」に基づき「気候変動」や「資源循環」などのマテリアリティとKPIを設定し、将来にわたって自然と共生していくための取り組みを推進しております。

 

<2024年度の取り組み及び開示内容のポイント>

・「Meiji Green Engagement for 2050」の達成に向けて、太陽光発電設備の導入など移行計画(トランジションプラン)に基づく対応策の強化

・2021年時点で策定した対応策への具体的な取り組みの推進

・前回特定した気候変動における事業機会に対する具体的取り組み事項の例示
 

1)リスクの財務インパクト評価

 

 当社グループを取り巻く気候関連リスク・機会の財務的影響を評価するため、シナリオ分析を実施しました。2つのシナリオ(1.5℃・4℃シナリオ)での分析結果のうち、影響の大きい主要インパクトの分析結果は次のとおりであります。

 

〈分析対象範囲〉当社グループ全体

対象事業セグメント

食品、医薬品

対象原材料

主要原材料[乳原料、カカオ豆、パーム油、砂糖、木材(紙)]

分析基準年

現状、2030年(中期)、2050年(長期)

 

〈分析結果の概要〉

<1.5℃シナリオ(移行リスク)における当社グループへの影響>

気候変動に関わる変化

主要インパクトと具体的な影響

当社グループへの影響

関係するサプライチェーン

影響額(億円)

2030年

2050年

政府の環境規制の強化

カーボンプライシング導入による影響額

製造

44

100

調達

物流

465※

475※

再生可能エネルギー普及に向けた設備投資の拡大

電力購入金額による影響額

製造

105

△48

※ 当影響額については、当社グループだけでなくサプライチェーン全体で負担するものと考えております。

 

<4℃シナリオ(物理的リスク)における当社グループへの影響>

気候変動に関わる変化

主要インパクトと具体的な影響

当社グループへの影響

関係するサプライチェーン

影響額

2050年

台風・豪雨などの激甚化や発生頻度増加

洪水被害による機会損失

製造

物流

国内外15拠点浸水リスクあり

年間リスク増分8.3億円※

気温上昇や水リスクなどによる原材料の生育環境変化

原材料調達コストの増加

調達

-

-

※ 国土交通省の「TCFD提言における物理的リスク評価の手引き」に基づき、洪水被害における財務インパクトを算出しています。年間リスク増分とは、2050年までの時間軸で想定される将来リスクの増分を一年間に換算した金額です。詳細は、後続の「<4℃シナリオ>・洪水被害による操業停止などの機会損失」の項目をご覧ください。

 

〈分析方法及び結果の詳細〉

 

□ 主要インパクトと具体的影響

<1.5℃シナリオ>

・カーボンプライシング導入による影響額(自社)

2030年は、省エネ活動、創エネ活動、再エネ由来電力の購入などにより16億円の削減を見込めるものの、44億円のコスト増加を想定しています。2050年は、新たな技術や次世代エネルギーの積極的導入など移行計画(トランジションプラン)に基づき、24億円の削減を見込んでいます。しかし、現在の技術では2050年にCO₂排出量をゼロにすることが困難なため、50億円のカーボンクレジットの購入が必要となり、100億円のコスト増加を想定しています。

 

   (単位:億円)

影響の内容

2030年

2050年

対応策未実施のカーボンプライシング負担額

60

74

対応策によるカーボンプライシング削減額

△16

△24

カーボンクレジット購入金額

-

50

合 計

44

100

 

 

 

・カーボンプライシング導入による影響額(主要原材料)

 主要原材料を調達する各国のカーボンプライスを基にした影響額は、原材料ごとに上昇するも、各種対応策の実施により、最終的には2030年は465億円の増加、2050年は同様に475億円の増加を想定しています。

 

 ※ 1.5℃シナリオにおけるカーボンプライシング導入による影響額については、国際エネルギー機関
(IEA)のWorld Energy Outlook (WEO) 2023で公表されているNZEシナリオのカーボンプライス(2030年、2050年)を基に算出しています。

 

・電力購入金額による影響額(自社)

2030年は、省エネ活動や創エネ活動などにより44億円の削減を見込んでいますが、電力価格の上昇や再エネ由来電力のプレミアム価格によるコスト増加があり、105億円のコスト増加を想定しています。一方、2050年は、技術の革新により電力価格は現状並みに下がり、省エネ活動などによる電力使用量削減が影響し、48億円の減少を想定しています。

   (単位:億円)

影響の内容

2030年

2050年

電力単価上昇に伴う増加額

140

1

省エネ活動、創エネ活動等による電力使用削減額

△44

△64

再エネ由来電力購入に伴う増加額

10

14

合 計

105

△48

 

 ※ 1.5℃シナリオにおける電力購入金額による影響額は、気候変動リスク等に係る金融当局ネットワーク
  (NGFS)のNet Zero2050シナリオの情報を基に算出しています。

 

 

<4℃シナリオ>

・洪水被害による操業停止などの機会損失

 洪水による被害額は、国土交通省の「TCFD提言における物理的リスク評価の手引き」に基づき、財務インパクトを算出しました。国内外の生産拠点51拠点を対象としてリスク評価を実施した結果、国内13拠点、海外2拠点で浸水リスクが想定されました。財務インパクトは、各拠点で想定される浸水深などを元に、資産の被害額や操業停止による機会損失額を、年間のリスク増分として算出しています。2050年において、100年に1度の洪水規模での15拠点合計の年間リスク増分は、8.3億円/年を想定しています。

 

 

年間リスク増分(億円)

物件被害額

営業停止
損失額

償却資産
被害額

在庫資産
被害額

合計

国内

0.8

2.6

3.7

1.1

8.2

海外

0.1>

0.1>

0.1

0.1>

0.1

合計

0.8

2.6

3.8

1.1

8.3

 

・主要原材料調達への影響

原材料の生産地においても、気候変動による気温上昇や水リスクによって農作物の収量減少に伴う原材料単価の上昇が想定されます。主要原材料の生産地における収量変化や水リスクの分析を実施し、その結果の概要は以下のとおりです。

 

~想定される収量変化~

・カカオ豆や砂糖の調達国では、将来的に収量が減少すると予測されます。

・乳原料への影響は、2030年、2050年においても数%の減少に留まると予測されています。

 

~想定される水リスク~

・洪水リスクは、将来的にほとんどの地域でリスクが高くなると想定されるため、各生産地の洪水リスクを確認した上で、改善策の検討が必要であると考えています。

 

※ 4℃シナリオにおける主要原材料調達への影響については、FAOが公表しているGAEZv4データベース(RCP8.5)や文献調査に基づいた将来の収量予測情報を基に算出しています。

 

なお、原材料として調達する農作物は気候変動のみならず、自然資本・生物多様性の保全と密接に関係しています。自然関連財務情報の開示フレームワーク(TNFD)のLEAPアプローチを活用し、当社グループの重要原材料であるカカオ豆と乳原料の自然への依存と影響を分析しました。

 

~カカオ豆や乳原料の生産地での自然関連リスク分析~

・カカオ豆や乳原料の生産活動は、自然への依存度が高いため、主要な生産拠点における依存・影響状況を把握するための調査を行いました。

<カカオ豆>

「土地利用転換、大気汚染、水質汚濁、土壌汚染、土壌浸食の抑制、自然災害の影響緩和」という6項目について、特に重要度が高いということが分かり、そのうち、「土地利用転換・大気汚染」の2項目については、リスクが特に高い拠点数が多い結果となりました。

 ・土地利用転換のリスクが非常に高い拠点数      12ヵ所

 ・大気汚染(焼き畑など)のリスクが非常に高い拠点数 11ヵ所

 

<乳原料>

「水ストレスの脅威、水質汚濁、土壌肥沃度の維持、地下水・地表の利用」という5項目について、特に

重要度が高いということが分かり、そのうち、「水質汚濁」については、リスクが特に高い拠点数が多い

結果となりました。

 ・水質汚濁のリスクが非常に高い拠点数:26カ所

 

カカオ豆及び乳原料ともに、今後は生産地でのギャップ分析等を行う中で収量減少の回避に向けた取り組みを推進してまいります。

 

2)リスク低減に向けた取り組み

 当社グループは、気候変動の移行リスク・物理的リスクへの対応策として、GHG排出量削減の緩和策と、物理的リスクに対する備えである適応策を推進しています。

緩和策については、IEMA(Institute of Environmental Management and Assessment)のGHG管理ヒエラルキーに基づき、GHG排出量削減への取り組みを推進しています。

ⅰ Eliminate(回避)    :ビジネスモデルや事業ポートフォリオの変更等を通じライフサイクルを通じてGHGを排出しない事業構造へ転換

ⅱ Reduce(削減)        :製造工程や輸送の効率化等を通じ、エネルギー使用量やGHG排出量を削減

ⅲ Substitute(代替)    :再生可能エネルギーの活用、低炭素素材の調達等を通じ、よりGHG排出量の少ないエネルギー・調達物品への変更

ⅳ Compensate(補償・相殺) :削減しきれなかったGHG排出量に対し、カーボンクレジット購入等のオフセットによって相殺

 

 

・自社拠点の緩和策(GHG排出量削減に向けた取り組み)

自社におけるGHG排出量を削減するため、現在実施している省エネ活動、創エネ活動、再エネ由来電力の購入などに加え、新たな技術や次世代エネルギーの積極的な導入などを織り込んだ移行計画(トランジションプラン)を策定しました。概要は以下のとおりです。

 

※ Scope1 事業者自らによるGHGの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)

  Scope2 他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴うGHGの間接排出

 

 緩和策については、当社工場等に太陽光発電設備や省エネ設備の導入をはじめ、RE100対応の再生可能エネルギー由来電力の購入等、様々な取り組みを行っています。移行計画を基に各取り組みを推進し、その結果、2024年度において、総使用電力に占める再生可能エネルギー比率が24.2%となりました。引き続き、2050年の100%達成を目指して取り組みを推進していきます。

 

緩和策の例〈守谷工場における太陽光パネルの導入〉

 守谷工場において、太陽光パネルを導入しました。2025年1月より稼働し、年間約1,200tのCO₂を削減する見込みです。

 

・サプライチェーンの緩和策(GHG排出量削減に向けた取り組み)

主要原材料におけるGHG排出量については、CO₂だけでなく酪農業由来のメタンなどGHG全般での排出量削減が重要な課題と捉えています。GHG排出量削減に向けて、酪農を中心としたScope3における移行計画を策定しました。GHG排出量削減を効果的に行うために、サプライチェーンにおけるGHG排出量の多いプロセスを特定すべく、まずは牛乳のカーボンフットプリント(CFP)を算定し、次にそのプロセスでの排出量削減策を策定し取り組みを開始しました。さらに、その他の原材料における対応策も検討すると同時に、GHG排出量削減に向けたサプライヤーとのエンゲージメント(対話)を実施することで、サプライヤーの排出量削減、ひいてはサプライチェーン全体の排出量削減を促進していきます。

 

Scope3削減の移行計画(トランジションプラン)の概要は以下のとおりです。

図中の1~5については、以下に対応策詳細を記載しております。

※ Scope3 Scope1、2以外のGHG間接排出(購入した原料・包材等の生産・製造・輸送から、それらを加工した製品の販売・輸送・使用・廃棄に至るまでの企業活動におけるサプライチェーン上で発生するGHG排出)のこと。

対応策1 乳牛由来のGHG削減施策 (乳牛の呼気メタン削減に向けた実証実験)

2024年5月にはスイス・オランダに本拠を置く飼料・食品添加物大手のdsm-firmenich社の協力のもと、酪農に伴うGHGの中でも最大の課題である、牛のゲップに含まれるメタンの削減プロジェクトに着手しました。同社が開発した「ボベアー®」を牛に投与することで牛の消化管由来のメタンの排出を平均約30%削減できると見込んでいます。「ボベアー®」を投与した乳牛から採取した生乳の品質を検査し、大きな悪影響がないことを確認しました。

 

対応策2 カーボンファーミング(炭素貯留農業)に関する取り組み

カーボンファーミングは、大気中のCO₂を土壌に取り込むことで、農地土壌の質を向上させると同時に、GHG排出量削減を目指す農法です。2023年8月、酪農家や別海町と共に道東カーボンファーミング研究会を立ち上げ、別海町の土壌のCO₂貯留量を測定しました。2024年度は、その結果を基にカバークロップ、堆肥の有効利用などCO₂貯留量を増加させる農法の確立を目指し検証しました。

 

対応策3 カカオに関する取り組み

気候変動への対応として、ガーナにおいて気候変動に適応する栽培法を指導したり、アグロフォレストリーを通じて森林伐採地に多品種の作物を植え、森を再生したりしています。また、気候変動に伴い生産量の減少が想定されるため、その対策として、カカオ細胞培養スタートアップ(California Cultured Inc.)に出資し、持続可能なカカオの調達を推進します。

 

対応策4 プラスチック資源循環の取り組み

容器包装材料の主たる原料である石油由来のプラスチックを削減することはGHG排出量の削減にも繋がります。石油由来原料のプラスチックの削減策として、「明治おいしい牛乳」のキャップや注ぎ口にバイオマスプラスチックを使用しています。また、リデュースを推進する取り組みとして、「明治ブルガリアヨーグルト」カップの軽量化などを行っております。さらに、「R-1ドリンクタイプ」に順次リサイクルプラスチックを採用しています。2024年度には、サントリーグループや各自治体と「ボトル to ボトル」水平リサイクルに関する協定を締結しました。この産官民の三位一体のスキームを通じて使用済みペットボトルをペットボトル容器として再生・使用します。この取組を通じて石油由来原料プラスチックの新規使用量の削減を目指します。

 

 プラスチック使用量推移、目標

年度

2017年度
(基準)

2023年度

(実績)

2030年度
(目標)

実績 (t)

30,807

24,003

21,567

(うち、再生プラスチック・バイオマスプラスチックの使用量(t))

1,601

削減量(t)

6,804

9,240

削減率(%)

22.1

30.0

 

 

対応策5 サプライヤーエンゲージメントの実施

サプライチェーンにおけるCO₂排出量削減努力をScope3に反映させるために、サプライヤーとのエンゲージメント(対話)を通じて、サプライヤーの実際の排出量に基づく1次データの取得に取り組んでいます。

 

 

対象サプライヤー

エンゲージメント内容

2024年度実績

・GHG排出量が多いサプライヤー22社

 

2025年度計画

・上記に加え、コンシューマーグッズフォーラムでの協働エンゲージメントで対象を拡大

依頼事項

・明治グループが調達する原材料ごとの排出量の算出

・GHG排出量の実績算出、削減目標の設定

 

課題事項

・サプライヤーから入手した排出量データのScope3への反映

 

・適応策(洪水リスクの低減に向けた取り組み)

洪水リスクへの対応策として次の取り組みを実施しています。

・リスクの高い拠点において、現地と連携しリスク評価結果のギャップ分析を行い、実態を把握しています。

・特に優先度の高い事業所に対しては、詳細な調査を行い、浸水エリアや浸水深を想定したハード面での対策を検討し、実施しています。例えば、ボックスウォール(仮設止水版)や防水壁の設置などがあります。

 

3)事業機会の創出

気候変動は、社会や生活に変化をもたらし、新たなニーズや機会創出に繋がると考えています。また、気候変動の緩和に取り組むことがコスト削減などの機会に繋がると認識しています。当社グループでは、現在の事業基盤を活かし、新たな資源を取り入れることで以下のような機会獲得の可能性を想定しています。

 

<事業機会の概要>

機会要因

当社グループへの影響

低エネルギー・

資源効率

緩和策の推進による自社の事業コスト(電気料金・カーボンプライスなど)の低減

2030年度:60億円、2050年度:88億円

(未対策の場合と比較したコスト削減額を記載)

技術・市場

気候変動の直接的影響により社会や生活への影響が生じ、製品・市場のニーズが向上

下記のような製品・市場へのニーズが拡大

・生活様式の変化による巣ごもりなどへの対応

・環境意識の高まりへの対応

・新興・再興感染症への対応

 

 

   <緩和策による事業コスト(電力購入金額・カーボンプライスなど)の低減>

1.5℃シナリオの分析において示すとおり、今後CO₂排出量に応じて事業コストが見込まれる一方、緩和策に取り組むことはそれらのコストの削減につながります。

    (単位:億円)

影響の内容

2030年

2050年

緩和策によるカーボンプライス削減額

16

24

省エネ活動、創エネ活動等による電力購入金額削減額

44

64

合 計

60

88

 

   <気候変動の影響による製品・市場のニーズの高まり>

次のプロセスを通じて事業への影響を検討しました。

 ・グループTCFD会議の事務局メンバーが、機会検討に関係する組織に個別にヒアリングを実施しました。

 ・グループTCFD会議にて、「機会の方向性」を審議しました。

 ・既存事業との関係、現状の自社アセットでの対応可否、実現可能性等の観点から、定性的に整理しました。

 ・機会獲得のポイントを実現可能性の高いものに絞り込み、事業機会を特定しました。

 

気候変動の直接的影響

気候変動による社会や生活への影響

・平均気温の上昇

・災害の激甚化

・降水パターンの変化

・生物多様性毀損

・農産物の収量減少

・海面の上昇

・永久凍土の溶解

  など

・気温上昇での生活様式変化(外出・移動自粛、巣ごもり、止渇・熱中症など)

・食品・エネルギー価格の上昇、生産者の支出の変化

・GHG排出規制の強化や水リスク(渇水、水質悪化)顕在化

・環境負荷を低減させる生活の推進(ロスや廃棄削減、省エネ、エシカル消費など)

・医療ひっ迫の恒久化や感染症予防意識の高まり

・災害対策の意識の高まり

・開発途上国の栄養不足深刻化

 

機会獲得のポイント

高まることが想定されるニーズ

明治グループにおける機会

生活様式の変化による

巣ごもりなどへの対応

・気温上昇による止渇、熱中症対策

・家庭内で生活を完結できる商品や仕組み

・栄養バランスの改善による健康維持

・暑さ対策商品の拡大

・カスタマイズ型栄養支援ビジネス

環境意識の高まりへの対応

・環境負荷の小さい商品

(植物由来、細胞培養、循環型農業など)

・廃棄ロスやエネルギー使用を低減した商

 品や生活様式

・原材料の持続可能な調達

・環境負荷低減型商品の拡大

・環境配慮、支援型ビジネス

・持続可能な原料活用商品の拡大

新興・再興感染症への対応

・感染症予防のための行動の習慣化

(うがい、手洗いの励行、マスク着用、免

 疫力強化など)

・感染症に対するセルフメディケーション

・開発途上国における感染症対策

・グローバルでの抗感染症薬、免疫

 力強化商品の拡大

・自然免疫、獲得免疫、治療薬など

 感染症トータルケアビジネス

・開発途上国、原料生産国への感染

 症対策商品の提供や支援

 

 

さらに、これら8つの事業機会を、現在既に手掛けているものから、中長期的に仕掛けていくものへと時間軸で優先順位付けを行いました。

 

事業機会①⑤ 「環境負荷低減商品の拡大」や「持続可能な原料活用商品の提供」の事例

 

「meiji サステナブルプロダクツ社内認定制度」の取組強化による事業機会の創出

 バリューチェーンの各プロセス(開発、調達、生産、物流、消費)において、サステナビリティ活動に積極的に取り組み、社会課題解決型商品としてお客様に訴求することで、新たな価値の創造を目指しています。

事業機会

認定基準

主な要件事項

機会① 環境負荷低減商品の拡大

人権、環境に配慮した

容器包装

プラスチック使用量削減、
再生プラスチック・バイオマス素材使用、
リサイクルしやすい設計など

機会⑤ 持続可能な原料活用商品の提供

人権、環境に配慮した

原料調達

認証原料の使用、
環境配慮農法により生産された原料の使用など

 

事業機会③ 「感染症トータルケアビジネス」の事例

 

<新規モダリティの獲得>

 当社グループでは、新型コロナウイルス感染症に対するワクチン「コスタイベ筋注用」の国内製造販売承認を取得しました。今回の承認は、次世代 mRNAワクチン(レプリコン)として世界初となります。「コスタイベ筋注用」は、新規の sa-mRNA技術を使用しており、少量の mRNAで高い免疫応答が期待できます。当社グループは、先進的なモダリティ技術を獲得し、将来に向けた新たなワクチン開発の技術基盤を築いてまいります。

 

(ⅰ)デングウイルス感染症に対する新規ワクチンの開発

 気候変動による温暖化や降水量の変化に伴い、病原体の媒介生物の生息地や生活環境が変化しつつあります。この結果、デングウイルス感染症の流行地域が拡大しています。

デングウイルスは、ヒトにデング熱、デング出血熱及びデングショック症候群をおこす蚊媒介ウイルスの一種で、WHO報告によると熱帯・亜熱帯地域の100カ国以上で、世界人口の約50%に相当する39億人が感染リスクにさらされ、毎年1~4億人が感染するとされています。年間3.9億人が感染し、9,600万人が発症したとする推計も報告されています。世界経済フォーラムによると今世紀末には、84億人がデングウイルス感染症などの蚊媒介感染症に感染する可能性があるとの調査結果もあります。

 KD-382(弱毒生4価デング熱ワクチン)は、非臨床試験及び健康成人を対象として非流行国で実施した第Ⅰ相臨床試験において良好な安全性と免疫原性・防御効果を示すことが確認されています。デングウイルス感染症は小児の重症化リスクが高いことから、現在、小児における安全性と免疫原性を検討するため、先進的研究開発戦略センター(SCARDA)の支援のもと、第Ⅱ相臨床試験の準備が進められており、さらに、厚生労働省が実施する「ワクチン大規模臨床試験等事業」にも採択され、本事業による助成金を活用し、第Ⅲ相臨床試験を実施していく計画であり、デングウイルス感染症の予防に向けた新たな選択肢として期待されています。

 

(ⅱ)既承認ワクチンによるエムポックス(急性発疹性疾患)流行制圧への国際貢献

 地球規模の気候変動が干ばつなどを通じて各地の気象条件を急激に変化させた結果、動物間の感染にとどまっていたエムポックスなどのウイルスが人に伝播する傾向が強まっており、感染症の拡大がより持続的で頻繁になっているとの見解がWHOにより示されています。

 現在、コンゴ民主共和国を中心にアフリカ諸国では、エムポックスの流行が継続しており、多くの感染者数・死亡者数が報告されています。当社グループの『乾燥細胞培養痘そうワクチンLC16「KMB」』は、2022年8月に「エムポックスの予防」の効能追加承認を得ており、2024年11月にWHO緊急使用リストに登録されています。1回接種で予防効果を発揮でき、乳幼児を含むすべての年齢層に使用可能な弱毒生ワクチンです。2025年1月25日には、日本政府よりコンゴ民主共和国に対して5万回分が無償供与されました。今後、当社グル-プは、WHO事前認証の取得を目指します。また、引き続きWHOや厚生労働省などの関係機関と協力しながら、コンゴ民主共和国を中心とするアフリカ諸国でのエムポックスの深刻な流行の制圧に繋がることを目指し、本ワクチンの流行地域での接種拡大を通じて国際的な公衆衛生上の緊急事態への対応に貢献してまいります。

 

(3) 指標及び目標(進捗状況含む)

当社グループでは、「明治グループサステナビリティ2026ビジョン」、明治グループの長期環境ビジョンである「Meiji Green Engagement for 2050」を策定し、それぞれのビジョンに基づいてマテリアリティとKPIを設定しています。長期環境ビジョンにおいて、気候変動に関するKPIは、パリ協定の努力目標である世界全体の平均気温を1.5℃ に抑えることを目標としています。

気候変動に関わるリスクや機会への対応は、環境負荷低減活動に加えて、原材料調達など多岐にわたります。そのため、以下のKPIを設定し、定期的に進捗状況を確認し、達成に向けて計画的に取り組んでおります。また、これらの取り組みは、明治ROESG指標の一部として評価され、役員報酬に反映されます。

 

※ 明治ROESGのうち気候関連の評価項目に係る部分を区分して割合を示すことは困難であると認識しています。

 

<ESG投資枠の拡大>

Scope1、2、3における移行計画の推進のため、2026中期経営計画において「ESG投資」を500億円と設定し、サステナビリティ施策を着実に推進します。主な施策は、以下の通りです。

 ・酪農業のGHG排出量削減に向けた取り組み

 ・太陽光発電設備の導入

 ・脱フロン対策(例:ノンフロンターボ冷凍機の導入)

 ・脱プラスチック対策(例:小型ペットボトル軽量化に向けた設備導入)

 

<インターナルカーボンプライシング制度の見直し>

2024年度から、インターナルカーボンプライシング制度の炭素価格を1t-CO₂当たり5,000円から15,000円に変更し、カーボンプライシング本格導入後の円滑な対応に向けた準備も進めております。

 

<サステナビリティボンドの発行>

当社のサステナビリティビジョンを達成するための必要資金として、2021年にサステナビリティボンドを発行し、資金調達を実施しています。

サステナビリティ関連の資金調達に関しては、当社のウェブサイト「サステナブルファイナンス」をご参照ください。(https://www.meiji.com/sustainability/stance/finance/

 

 

<2026中期経営計画における気候変動によるリスクと機会に関係するKPI>

中長期の目指す姿

主な取り組み

指標(KPI)

実績/進捗

(2024年度)

目標

(2026年度)

サプライヤーと連携・協力してサプライチェーン全体で人権・環境などの社会的責任に配慮した調達活動に取り組み、責任あるサプライチェーンを確立している。

メイジ・デイリー・アドバイザリー(Meiji Dairy Advisory:MDA)を通じた、酪農現場の人材マネジメントによる人の成長および人権、アニマルウェルフェア、GHG排出量削減などの社会課題の解決支援

Meiji Dairy Advisory

 (MDA)取り組み戸数

累計56戸

累計100戸

以上

個々の原材料についてトレーサビリティの確立に努め、原材料生産地での人権・環境などに関わる社会課題を把握し、その課題解決により持続可能な原材料調達を実現している。

酪農家におけるGHG排出量削減に向けた取り組みの推進

〈生乳〉GHG排出量削減に取り組む酪農家戸数

4戸

(2,100頭)

累計30戸

以上

メイジ・カカオ・サポート(Meiji Cocoa Support:MCS)を通じ、農家支援を実施した地域で生産された明治サステナブルカカオ豆の調達拡大

〈カカオ〉明治サステナブルカカオ豆の調達比率

100%

100%

森林モニタリングを通じたサプライチェーン上の森林減少のリスクの特定・検証による、森林減少に関与していないパーム油の調達推進

〈パーム油〉森林減少に関与していないパーム油の調達比率

2025年度中

(上期)に

目標設定

製品の容器包装の環境配慮紙100%維持および事務用品や定型発行物の環境配慮紙への切り替え

〈紙〉拡張した対象範囲における環境配慮紙の比率

対象範囲:事務用品、定型発行物

100%

100%

 

中長期の目指す姿

主な取り組み

指標(KPI)

実績/進捗

(2024年度)

目標

(2026年度)

省エネ・創エネ活動の強化、再生可能エネルギーの利活用、酪農分野でのGHG排出量削減などによりサプライチェーン全体のCO₂排出量の削減を図り、2050年までにカーボンニュートラルの実現を目指す

省エネ・創エネ活動の強化、カーボンクレジットの活用などによるScope1、2におけるCO₂排出量の削減

Scope1、2

 排出量削減率

(基準年2019年度比)

25.0%

32%以上

酪農分野でのGHG排出量削減、容器包装材料の使用量削減、サプライヤーとの連携強化などによるScope3におけるCO₂排出量の削減

Scope3排出量削減率

(基準年2019年度比)

範囲(調達・物流・廃棄カテゴリ1,4,9,12)

11.1%

15%以上

太陽光発電設備の導入拡大、再エネ由来電力の活用強化による再生可能エネルギーへの移行推進

再生可能エネルギー比率

比率:総使用電力量に占める割合

24.2%

30%以上

3R (Reduce, Reuse, Recycle)+Renewableの取り組みに加え、資源投入量・消費量を抑えながら付加価値を生み出す活動を推進することで、製品価値の最大化、資源消費の最小化、廃棄物の発生抑制などを図り、サーキュラーエコノミーへの移行を目指す

環境配慮型素材の研究開発を進めながら、プラスチック容器包装のリデュース推進

プラスチック使用量(総量)の削減率

(基準年2017年度比)

22.1% ※

25%以上

(海外子会社除く)

水使用量の継続的な削減に加え、水源涵養など水源保全活動への積極的な取り組みによりウォーターニュートラルを実現している。

水の効率的な使用、節水型設備の積極的導入などによる水使用量の削減

水使用量の削減率

(基準年2020年度比)

売上高原単位あたり

27.1%

20%以上

※ プラスチック使用量削減値については、2023年度実績をもとにしています。

 

 なお、当社グループにおける2023年度のGHG排出量(Scope1、2、3)の実績については、下記の当社ウェブサイトで開示しております。(https://www.meiji.com/sustainability/harmony/climate_change/

 

●明治グループにおける人的資本への取組

 

(1)ガバナンス

 グループ全体の人財戦略の推進にあたっては、経営会議の諮問機関として、当社代表取締役社長CEOが委員長を務める「グループ人財委員会」を年に2回開催し、その内容については取締役会に報告しています。本体制は2022年度から始まり、2023年はグループ全体の人財戦略の推進責任者としてCHRO(Chief Human Resource Officer)を設置、現在は「DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)」「人財開発」「健康経営」「労働安全」「スマートワーク」の5つをテーマに掲げ、それぞれ分科会を設置し、グループ横断での取り組みを推進しています。

 

 

(2)リスク管理

 経営戦略に則した人財戦略の推進にあたって、人財・組織風土の課題は企業活動に重大な影響を及ぼす経営リスクの一つであると認識しています。外部環境の変化を見据えた人財・組織風土の課題について、グループ人財委員会にて議論を重ね、グループ全体の経営リスクを所管するリスクマネジメント部とも連携し、以下の3点をリスクとして特定・管理しております。

 

ⅰ 企業成長に必要な人財獲得および能力開発

 ・経営人財・事業マネジメント人財・高度人財等の獲得・育成ができないリスク

 ・DE&Iが推進されないことによる採用力低下、お客さま目線での事業推進力低下のリスク

ⅱ 業務環境による生産性への影響

 ・労働環境・安全衛生の対応不足による生産性低下、離職者増加のリスク

 ・社員の適切な健康課題の把握・改善に向けたアプローチ不足による休職者増加のリスク

 ・時代に合わせた働く環境(職場・IT等)整備の遅延によるクリエイティビティ停滞のリスク

ⅲ 社員エンゲージメント

 ・経営計画や組織目標の理解・浸透不足や階層・部署を跨いだコミュニケーション不足による組織力低下のリスク

 ・会社への共感度低下による離職者増加のリスク

 

 上記リスクについては、顕在化している事例を検証するとともに対応策を検討し、人事部門を中心に関連部署と連携して、リスク低減に努めています。

 

(3)戦略

 人財は、明治グループの価値創造を支えるきわめて重要な資本です。社員の多様性を尊重し、一人ひとりの能力を最大限に発揮させることが明治グループの持続的な成長につながるという考えのもと、経営戦略に則し、戦略的な投資を行ってまいります。

 

2026中期経営計画における、経営戦略に基づく人財戦略コンセプト

 「2026中期経営計画」では、「明治ROESG経営の進化」に取り組み、“市場、事業、行動を変える”ことで成長力を取り戻します。グローバルに事業を拡大し、社会課題解決を通じサステナビリティと事業を融合することで競争優位性を強化し、明治グループの価値を最大化することで、持続的な成長を実現してまいります。この経営戦略に基づく人財戦略において、自律・挑戦・成長・共創し、イノベーションを生み出すことのできる多様な人財の獲得・育成と多様な人財が可能性を最大限引き出すことのできる組織風土および更なるDE&Iの推進と社員の健康が不可欠であると考えます。この「人財・組織風土のあるべき姿」を実現するために、グローバルで戦うための人財・環境づくり、人的資本のサステナビリティ推進、グループ人事機能の実効性向上を掲げ実行してまいります。

 

1)人財育成方針

 明治グループの持続的な成長に向け、戦略を立案・遂行する高い能力を有する人財への投資を強化しています。一人ひとりの持つ知識・スキル・能力を強化し、その力を職務で最大限発揮できるよう取り組んでいます。

 

<新人事制度の導入>

 明治グループでは、社員が意欲的に挑戦と成長を続け、持続的に能力を発揮できる環境づくりを重視し、2025年4月に新人事制度を導入しました。新制度では職務/役割を等級の基軸とし、「適所適財の登用」や「年齢にとらわれない昇格・抜擢の実現」を通じて意欲ある人財の活躍を促すことを狙いとしています。また、リーダー以上に適用する「行動評価」においては、「社会との対話と共創」「挑戦・自己実現の促進」などの項目を盛り込むことによって、ステークホルダーや社会との共創を意識したアクションの創出を求めます。

 

 新人事制度における評価制度では、社員一人ひとりが高い成果をあげるために、組織目標と連動したチャレンジングな業務目標を設定することを推進・賞賛し、上職者がその達成をこれまで以上にサポートしていきます。また、創出した成果・行動は絶対評価での判定とし、各人が納得し、次なる成長に向かうサイクルを運用していきます。

 

<明治グループ能力開発方針>

 明治グループ2026ビジョンの「目指す企業グループ像」、企業価値創造ストーリーに掲げる「人財・組織風土のあるべき姿」を実現するために、明治グループが求める資質や能力を持つ人財を育成するべく、「明治グループ能力開発方針」を定めています。

 

明治グループ能力開発方針

 

 ①挑戦・自律の促進と一歩先を行く専門性の獲得

 ②一人ひとりの成長とキャリア・自己実現の支援

 ③高い視座・視野の醸成と社内外とのオープンな関係構築の促進

 ④会社の目指す姿・グループ理念への共感

 

 

<能力開発体系>

 「明治グループ能力開発方針」に基づき、社員一人ひとりの成長とキャリア開発を図る能力開発体系を整えています。

2024年度研修受講者数 対象(管理職・一般職、平均受講時間、平均受講費用)

※ ㈱明治・Meiji Seika ファルマ㈱・KMバイオロジクス㈱

 

プログラムの目的

受講人数

(延べ人数)

平均受講
時間

(時間)

平均受講
費用
(千円)

次世代リーダー育成

・広い視野と高い視座をもった人財の育成
・戦略的思考、判断力、決断力、発信力の習得

146

75.6

774.0

グローバル研修
ダイバーシティマネジメント

DX人財育成

・世界をフィールドに成果を出せるグローバル
 ビジネス人財育成
・多様な人財が活躍できる風土の醸成

1,756

12.0

8.6

階層別研修

それぞれのステージごとに必要なスキルの習得
・部下/後進を育成する力の強化
・チーム/組織の活力を引き出すマネジメント
 能力の向上
・次世代/経営リーダーを目指す自己革新意識
 の醸成

1,184

22.2

59.8

自主参加型研修・自己啓発

など

・社員の「学びの自律」の促進、自律型人財の

 育成

3,468

21.6

25.4

部門別・グループ会社研修
など

・業務上必要となるビジネススキルの習得

111,372

0.7

2.0

 

<グループ経営人財の育成>

 明治グループ2026ビジョンの実現とその先の成長を見据えて、特にグループ横断的な経営人財の育成に注力しています。各事業における戦略遂行のための知識・スキル・能力だけでなく、グループ経営戦略の策定・推進に欠かせない視座・視野・視点を備える「変革・戦略人財」を中心とした人財を計画的に発掘・育成するべく、2021年度よりグループ経営人財育成プログラムを始動しました。執行役員および上級部長の選抜メンバーを対象に、CEOを座長に据えた開発プログラムを通して、ビジョン実現を強力にリードする明治グループ経営陣に求める人財像(リーダーシップバリュー)に沿ったコンピテンシー・能力の開発を行っています。

<グローバルビジネス人財の育成>

 明治グループがグローバル市場でさらなる飛躍を遂げるためには、グローバルへの事業拡大に貢献できるためのスキル・能力を持った人財が必要不可欠です。グローバルでリーダーシップやコミュニケーション力を発揮しながら、目標達成に向けてやり抜ける人財の育成・開発に向けて、必要なスキル・能力の定義、育成体系・研修プログラムの強化・再構築、海外事業部門への異動公募等を行っています。

 

2)社内環境整備方針

ⅰ DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)

 明治グループ2026ビジョンの実現に向けてDE&I推進を加速する考え方として、「明治グループ ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンポリシー」を制定しています。多様な社員が、イキイキとやりがいをもって働ける環境を整備し、イノベーションや新たな価値を創出することで、持続的な企業成長を実現します。

 

明治グループ ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンポリシー

 

私たち明治グループは、赤ちゃんからお年寄りまで、それぞれのライフステージで多様な価値観を持つお客さまの気持ちや日々の生活に寄り添うことで、成長を重ねてきました。これからも、そうしたアプローチをグループの強みとし、日本、世界のお客さまに「食と健康」で一歩先を行く価値をお届けするために、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンを推進します。

 

<明治グループにとっての多様性>

性別、性的指向、ジェンダーアイデンティティ、性表現、年齢、国籍、宗教、健康、障がいの有無、雇用形態、
キャリア、育児・介護中などの多様な背景や、一人ひとりの価値観・知見・能力などのあらゆる違い

 

1. ダイバーシティ

多様な人財の採用・育成・登用を推進し、多様な人財が様々な職域で活躍できる環境をつくります。

 

2. エクイティ

多様な人財が能力を最大限に発揮するために、障壁となるものを取り除き、一人ひとりの多様な背景や

志向に合わせて成長・挑戦する機会を一律ではなく公平に提供します。

 

3. インクルージョン

多様な人財が自分らしさを発揮し、互いを尊重して認め合い、多様性を活かし合える組織風土を実現

します。

 

私たち明治グループは、多様な人財がイキイキとやりがいを持って働ける環境を実現し、イノベーションや新たな
価値を創出することで、持続的な企業成長につなげていきます。

 

 グループ人財委員会では、明治グループが目指すべき「DE&Iが実現した姿」を掲げ、重点属性(女性・キャリア採用者・海外人財)への取り組みを強化しています。

 

 

<女性活躍>

 DE&Iの第一歩としての女性活躍推進については、トップのコミットメントのもと、以下の3本柱で取り組みを行っています。リーダーシップパイプラインの構築においては、国際女性デーに合わせて3月にグループ合同女性管理職ネットワーク交流会を開催し、女性役員や部長による講演や座談会等を行い、上級管理職への視座醸成とパイプラインの構築につなげています。また、育児期者社員の活躍支援と上司マネジメントにおいては、育児期社員とその上司に対して研修を実施し、育児期社員については「周囲を巻き込む伝え方」、上司については「個別マネジメントと活躍支援の重要性」を学んだ上で、育児期社員と上司合同の他者理解ワークを実施しました。今後も性別や制約の有無に関わらず、社員一人ひとりがあらゆる職務・階層で能力を発揮し、活躍できる環境づくりを行います。

 

 

<キャリア採用者>

 幅広い知見や新たな視点を取り入れ、一歩先を行く価値を創造するために、新卒採用に加え、他社でキャリアを積んだ人財のキャリア採用にも積極的に取り組んでいます。また、一度退職した社員の再就職を可能とする「カムバック制度」を導入しています。明治グループで得たノウハウや知見を有し、退職後に多様な経験や知識を培った退職者の再雇用を通じて、社内のさらなる活性化や、新たな価値創出を図ります。

 

<海外人財>

 グローバルな視点を意思決定に反映させ、世界で成長し続ける明治グループとなるために、海外人財(外国籍人財を含む海外留学・在住経験等のグローバルな経験を半年以上有する人財)の採用を強化しています。また、複数の海外トレーニー制度を導入し、継続的な取り組みを行うなど、海外人財の育成にも力を入れています。

 

<男性育休>

 男女問わず、誰もが働きやすい職場づくりの一環として、男性育休の取得を推進しています。今般、男性育休の有給休暇日数の上限を28日まで引き上げ、男性もこれまで以上にしっかりと育児参画する取り組みを進めます。乳幼児向けミルク・ワクチンを扱う会社としての自覚の下、こうした取り組みを企業価値向上に繋げていきます。

 

ⅱ 健康経営

 グループスローガン「健康にアイデアを」を体現する企業グループとして、成長し続ける原動力は、社員の“こころとからだの健康”であるとの考えのもと、社員の健康の維持・増進に戦略的に投資をし、生産性の最大化・組織活性化を図っています。「明治グループ健康経営宣言」のもと、健康経営投資から施策の効果までのつながりを明らかにした「健康経営戦略マップ」を策定し、運用しています。

 これからの取り組みが評価され、当社は2023年から3年連続で経済産業省と東京証券取引所が共同で選定する「健康経営銘柄」に選ばれました。なお、「健康経営優良法人」には9年連続で認定されています。

 

<健康経営戦略マップ>

 

2024年度に実施した具体的な取り組み

・個人やチームで健康目標を宣言し、継続的に活動に取り組む「Kenko My Boom宣言」

・朝食喫食習慣化に向けた「朝食サポートBOX」の設置(一部事業所)

・朝のラジオ体操の全社展開

・事業所対抗ウォーキングキャンペーン

・部長クラス喫煙者に対するセミナー&全員面談、役員喫煙率0宣言、禁煙サポートプログラム

・eラーニング(セルフケア・ラインケア、明治グループの健康課題、等)

・ストレスチェック

 

ⅲ 労働安全

 「明治グループ労働安全衛生ポリシー」に基づき、「安全は全てに優先する」の認識のもと、協力会社と連携しながら、職場の安全確保に継続的に取り組んでいます。明治グループでは労働災害ゼロの実現に向け、2026中期経営計画では、「重大災害ゼロ」、「挟まれ・巻き込まれ災害ゼロ」、「重大交通事故ゼロ」といった労働安全に関するKPIを掲げています。具体的には、社員の安全意識醸成に向けた施策や、新設設備の稼働前リスクアセスメントならびに既存設備の安全監査・点検をグループ横断で実施し、安全対策とルールの周知・遵守により労働災害や法令違反の未然防止に向けた取り組みを強化しています。

 

 

明治グループ労働安全衛生ポリシー

 

明治グループは、「安全は全てに優先する」という認識のもと職場の安全確保に継続的に取り組むとともに、従業員の健康維持・増進に努めます。

 

1. 法令・社内規程の遵守

私たちは、職場の労働安全衛生に関する法令、社内規程を遵守します。

 

2. 労働災害の防止

私たちは、職場における危険源の特定・評価、対策によるリスクの除去・低減を通じて、

労働災害の発生防止に努めます。

 

3. 心身の健康管理

私たちは、心身ともに安心して働くことのできる職場環境づくり、健康管理に努めます。

 

4. 従業員教育の推進

私たちは、労働災害・交通災害を防ぐための社内教育を積極的に実施し、従業員の意識向上に努めます。

 

 

ⅳ スマートワーク

 明治グループは、これまで働き方改革を推進し、全社としての労働環境は着実に向上してまいりました。一方で、DE&I推進や健康経営の取り組みを進める上では、共通して「働き方」に課題があることが明らかになっており、「健康にアイデアを」を体現する企業として、多様な社員一人ひとりが心身ともに健康に働き、能力を最大限発揮するためには、より一層の働きやすい環境づくりが肝要と捉えています。

 その上で、明治グループの更なる企業価値向上に向けて、これから実現したいのは、創造的業務へシフトし、社員一人ひとりが自律・挑戦・成長・共創に向かう働き方であり、これこそが「スマートワーク」です。「社員一人ひとりが生産性高く働き、個人・チームの可能性が最大限引き出された状態」の実現に向けて、スマートワークを推進しています。

 

2024年度に実施した具体的な取り組み

① 会社の制度・仕組みの整備

・年休取得推進、 労働時間の把握強化

・全社的な業務改善によるスマート ワークスタイル構築

 

② 職場でのプロセス改善

・タイムマネジメント研修や会議の 改善に挑戦

・部署伴走施策とプロセス改善による効率の追求

 

③ 社員の意識・行動の変革

・タイムマネジメントTipsの配信により意識向上を促進

 

v 社員エンゲージメント

 明治グループは、社員エンゲージメントを中長期の企業価値向上を測る指標の一つに据え、毎年、サーベイでモニタリングしています。経営戦略と人財戦略の連動による人的資本経営をより強力に推進するべく、グループ理念・経営戦略の実現に向けて、社員と会社が一体となって、明治グループの成長に向かう組織風土づくりを推進してまいります。

 

 

2024年度に実施した具体的な取り組み

・経営層からのビジョン発信強化(タウンホールミーティング、「トップと語ろう!」企画)

・「職場ミーティング」の定期開催・meiji Brand Award(2024年度応募数:488件)

 

(4) 指標及び目標

 グループ全体の人財戦略の推進にあたっては、テーマごとに定量的に計測できる目標を設定し、モニタリングを行いながら、施策の効果測定や改善を行っています。

 

2026中期経営計画

(注) 対象範囲:明治ホールディングス㈱、㈱明治、Meiji Seika ファルマ㈱、KMバイオロジクス㈱
 ただし、重大労働災害件数は明治グループ連結(国内のみ)。