リスク
3【事業等のリスク】
以下において、当社の事業の状況及び経理の状況等に関する事項のうち、リスク要因となる可能性があると考えられる主な事項及びその他投資者の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる事項を記載しております。当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、本項以外の記載内容も併せて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
なお、以下の記載のうち将来に関する事項は、特段の記載がない限り、本書提出日現在において当社が判断したものであり、不確実性が内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。
(1)DX投資の動向の影響について(発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
当社の事業は国内市場に依存しており、国内顧客企業のDX投資の動向に影響を受けます。当社はDX投資における顧客ニーズにあった付加価値の高いサービスの提供、新しいサービス開発を行っておりますが、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化や為替相場の変動などにより、国内外の経済情勢の悪化や景気動向の減速等することで、顧客企業のDX投資意欲が減退した場合、当社の業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(2)特定の取引先への依存について(発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
当社は株式会社セールスフォース・ジャパンとの間で、Salesforce プラットフォームを仕入れ、その上にアプリケーションを追加して販売することのできるOEMパートナー契約、及びSalesforce プラットフォームに当社サービスを連携して提供することができるISVforceパートナー契約を締結しております。提出日現在において当社サービスの売上のうち9割程度が同社と連携したサービスとなっており、当社が当該契約の各条項において重大な違反を発生させた場合や、当社が契約内容の円滑な履行が困難となった場合には、同社から解約をすることができることとなっております。当該契約の継続に支障を来す要因が発生した場合には、同社と連携したサービスを提供できなくなり、同社からの当社サービスの提案もなくなるため、当社の事業活動に重大な影響を及ぼす可能性があります。なお、これらの契約の内容については、「第2 事業の状況 5 経営上の重要な契約等」に記載のとおりであります。
また、同社は日本において同社のサービスを継続的に利用している多くの顧客を持っており、日本からの撤退の予定はなく、今後の当社との関係は安定して継続する見込みでありますが、仮に同社の事業方針の変更等により、取引関係の解消又は取引条件の大幅な変更がなされた場合や、株式会社セールスフォース・ジャパンの競争力が低下し、市場規模が縮小した場合には、当社の業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
提出日現在において、上記契約の継続に支障を来す要因の発生はなく、同社の事業方針の変更、同社の競争力の低下、取引関係の解消又は取引条件の大幅な変更に関する情報はございませんので、中期的には同社との連携サービスを増やすなど関係性をより強化していきますが、長期的には同社への依存度を下げるべく同社以外の他社サービスとの連携サービスを継続的にリリース・検討してまいります。
(3)技術革新への対応について(発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
当社が属しているソフトウエア業界の特徴として、変動費となる原材料仕入が少なく人件費等の固定費水準が高いため、限界利益率が高いことがあげられます。そのため、売上高が増加した場合の増益額が他の産業に比べ大きい一方、売上高が減少した場合の減益額も他の産業に比べて大きく、利益の変動額が大きい傾向にあります。このような環境の中、急速な技術革新により、現在保有する技術・ノウハウなどが陳腐化した場合、当社の業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
また、当社の主要な事業領域は、IT技術の進化及びそれに基づく新サービスの導入が頻繁に行われており変化の激しい業界となっております。そのため、継続的に新しい技術要素をITエンジニアに習得させてまいりますが、何らかの理由で技術革新への対応が遅れた場合、当社が提供するサービスの競争力が低下する可能性があります。また、予定していない技術要素への投資が必要となった場合、当社の業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(4)優秀な人材の確保及び育成について(発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
当社が事業拡大を進めていくためには、優秀な人材の確保、育成及び定着が最重要課題であると認識しております。当社では、将来に向けた積極的な採用活動、人事評価制度の改善や研修の実施等の施策を通じ、新入社員及び中途入社社員の育成、定着に取り組んでいます。当社では今後もこれらの施策を継続していく予定ではありますが、これらの施策が効果的である保証はなく、必要な人材が十分に確保・育成できなかった場合や、採用後の人材流出が進んだ場合には、当社の業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(5)レピュテーションリスクについて(発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
当社は、顧客への販売活動、IR、広報等のあらゆる情報発信においてコンプライアンスに沿った対応をすることを研修指導しておりますが、クレーム等の発生によりインターネット上の掲示板への書き込みや、それを起因とするマスコミ報道等によって、何らかの否定的な風評が広まった場合、その内容の正確性にかかわらず、企業イメージの毀損等により、当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があるため、重要なリスクと認識しております。当社では、取締役会、経営会議やリスク・コンプライアンス委員会において風評の発見や対策等を行っており、リスクの低減に努めてまいります。
(6)感染症等の蔓延について(発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
当社が事業を展開する事業領域においては、技術者による専門的な技術の提供が主要な業務であるため、新型コロナウイルス感染のほか、伝染性疾患、インフルエンザ等の季節性感染症等の蔓延により、事業活動の停止や制限等の影響を受けます。
当社では、従業員の健康は直接業績に影響するものと考え、日頃より健康管理の重要性を従業員に指導し、健康診断の定期受診や予防接種の受診を奨励しておりますが、当社が事業展開する地域において、感染症の流行及び拡大が発生した場合、並びにこれに伴う政府及び行政による緊急事態宣言又はまん延防止等重点措置が発出された場合には、当社又は当社の取引先の事業活動に悪影響をもたらし、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、新型コロナウイルスの感染が世界的に拡大した際には、当社は感染拡大を防止するため、従業員の時差出勤やテレワークの実施、従業員とその家族を含めた衛生管理の徹底等を実施してまいりました。
今後新たな感染症の蔓延が発生した場合は、顧客のIT投資等の中止や延期等により、当社又は当社の取引先の事業活動に多大な影響をもたらし、当社の業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(7)競合について(発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
当社の事業は、既存の競合企業数は多く、高額な投資も不要であり許認可も必要としないことから、新規企業の参入障壁も低い業界であります。当社では、市場環境の変化やニーズ、同業他社の動向をタイムリーに把握し、常に機能強化または新サービスを積極的に提供することや、特許や商標の出願・登録を積極的に進めるほか、価格だけでなく付加価値で対抗できるブランディングを図っておりますが、今後、同業他社による新商品や新サービスの出現等によって価格競争が激化する結果、当社の業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(8)情報セキュリティについて(発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
当社は、当社サービスに顧客が入力する情報を取り扱うことはありませんが、当社の業務遂行の一環として、機密情報を取り扱うことがあります。当社では2016年5月に情報セキュリティマネジメントシステム(ISO27001)のISMS認証並びに2018年5月にクラウドセキュリティ(ISO27017)の認証を取得しており、情報管理に取り組んでおります。しかしながら、これらの情報について、サイバー攻撃等による情報セキュリティ事故が発生した場合、当社の社会的信用やブランドイメージの低下、発生した損害に対する賠償金の支払い等により、当社の業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(9)個人情報の取扱いについて(発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
当社は、当社サービスに顧客が入力する個人情報を取り扱うことはなく、自ら個人情報を収集する業務を行っておりませんが、当社の管理業務、並びに当社が事業を展開する顧客先における一部業務においては、名刺情報などの個人情報を取り扱う場合があります。当社は、当社の管理業務、並びに顧客の業務に対する安全性と信頼性に重点を置くため、個人情報マネジメントシステムを構築し、プライバシーマークの認定を受け、部門ごとに個人情報保護部門管理者を設置し、個人情報の安全な管理と運用に十分配慮しておりますが、個人情報が外部に漏えいするような事態となった場合には、当社の信頼失墜による売上の減少及び損害賠償等により、当社の業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(10)協力会社の活用について(発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
当社では、必要に応じてシステムの設計、構築等について協力会社等に外注しております。現状では、協力会社と長期的かつ安定的な取引関係を保ち、エンジニアの確保に注力しておりますが、協力会社において技術力及び技術者数が確保できない場合及び外注コストが高騰した場合には、サービスの円滑な提供及び積極的な受注活動が阻害され、当社の業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(11)クラウド売上のランニング利用料について(発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小)
当社の売上は主にクラウド売上であり、その中でもクラウドサービス利用の対価であるランニング利用料が多くを占めております。このランニング利用料は、受注金額が契約期間にわたり按分されて売上計上されるため、その正確性を確保するために業務手順の自動化等、社内業務とシステム両面から改善を図っております。しかしながら、もし異常な取引や処理の誤りが生じた場合、売上が月別に分散されることから特定の月単位での誤りが表面化しにくく、異常の発見が遅れることにより、的確な経営判断の妨げや会計処理を誤るリスクがあり、発生した場合には当社の業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(12)不採算案件の発生について(発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小)
高度化、複雑化、短納期化するソフトウエア開発等の業務においては、開発途中での要件変更、品質の低下、納期遅延などの問題が発生するリスクがあります。当社では、業務管理部門、品質管理部門は各プロジェクトの品質、コスト及び納期等の状況を見極め、異常を検知・予測し、早期に対策を講じて不採算案件の発生防止に努めております。しかしながら、このような取り組みにもかかわらず障害が防止できない場合、追加費用が発生して採算が悪化し、当社の業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(13)ソフトウエアの減損について(発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小)
当社はクラウドサービス事業に関わるソフトウエアを開発しており、現時点でソフトウエアを無形固定資産に計上しております。当社は、ソフトウエアの減損に係るリスクを低減するために、事業の収益力強化に努めており、ストック売上及びストック売上比率を重要な経営指標に含めております。データオプティマイズソリューション及びセールスマネジメントソリューションにおけるランニング利用料は、リカーリングレベニューであり、契約が継続される限りは毎年継続的に売上が計上され、契約数が増加すればその分売上も増加します。当社は、事業の安定と収益力の強化のため、このリカーリングレベニュー及びリカーリング比率の拡大を図っております。しかしながら今後、事業環境の変化により保有するソフトウエアの収益性が著しく低下し投資額を回収できなくなった場合には、減損損失が発生し当社の業績に影響を与える可能性があります。
(14)代表者依存度について(発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
創業以来、代表取締役社長を務めている里見一典は、当社の経営方針や事業戦略構築等において重要な役割を果たしております。当社は、事業拡大に伴い代表者に依存しない経営体制の構築を進めておりますが、現状においては何らかの理由により代表者が退任するような事態が生じた場合には、当社の業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(15)新株予約権の行使による株式価値の希薄化について(発生可能性:低、発生可能性のある時期:新株予約権行使時、影響度:小)
当社では、当社の取締役及び従業員に対するインセンティブを目的として、新株予約権を付与しております。本書提出日の前月末日現在の新株予約権による潜在株式総数は141,100株であり、発行済株式総数2,285,300株の6.17%に相当します。これらの新株予約権が行使された場合、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。
(16)係争や訴訟について(発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
本書提出日現在において当社の業績に重要な影響を及ぼす係争や訴訟は提起されておりませんが、取引先とのトラブルの発生等、何らかの問題が生じた場合には係争や訴訟に発展する可能性があります。当社は、他社の持つ特許権、商標権等の知的財産権を侵害しないよう各事業部門が管理部の法務業務担当者と連携して細心の注意を払って事業を遂行しておりますが、係争や訴訟に発展した場合、その内容及び結果によっては、当社の業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(17)自然災害等の発生について(発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
当社では、大規模な地震や台風等の自然災害に備えてテレワークの導入や事業継続計画(BCP)の策定による事業の復旧や継続を速やかに遂行する体制を構築しておりますが、自然災害の規模によっては事業活動が停止あるいは著しく制約される可能性があり、その内容によっては、当社の業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(18)配当政策について(発生可能性:低、発生可能性のある時期:中期、影響度:小)
当社は、経営基盤の長期安定に向けた財務体質の強化及び事業の継続的な拡大発展のための内部留保を確保しつつ、経営成績や配当性向等を総合的に勘案し、安定的かつ継続的な配当を維持することを基本方針としております。
しかしながら現段階においては、当社は成長過程であると認識しており、今後の事業戦略に応じて、新製品の開発や市場開拓等事業領域拡大のために、内部留保の充実を優先するため、配当を行っておりません。将来的には、業績及び財務状態等を勘案しながら株主への利益の配当を目指していく方針でありますが、配当実施の可能性及びその実施時期等については、現時点において未定であります。
配当政策
3【配当政策】
当社は、現在成長過程にあり、経営基盤の長期安定に向けた財務体質の強化及び事業の継続的な拡大発展を目指しております。そのため、内部留保の充実が重要であると考え、会社設立以来配当は実施しておらず、当事業年度においても配当は行っておりません。
しかしながら、株主利益の最大化を重要な経営目標の一つとして認識しており、今後の株主への利益配当につきましては、業績の推移・財務状況、今後の事業・投資計画等を総合的に勘案し、内部留保とのバランスを図りながら検討してまいります。内部留保資金につきましては、今後の事業戦略に応じて、新製品の開発や市場開拓等事業領域拡大のための投資資金として有効に活用していく方針であります。
なお、剰余金の配当を行う場合、期末配当の決定機関は株主総会となっております。また、当社は年に1回の剰余金の配当を行うことを基本方針としておりますが、会社法第454条第5項に規定する中間配当を取締役会決議によって行うことができる旨を定款に定めております。