2025年3月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります

セキュリティ事業 FM事業等 介護事業 海外事業 その他
  • 売上
  • 利益
  • 利益率

最新年度

セグメント名 売上
(百万円)
売上構成比率
(%)
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
セキュリティ事業 392,019 71.0 40,327 79.9 10.3
FM事業等 80,171 14.5 9,164 18.2 11.4
介護事業 53,373 9.7 1,497 3.0 2.8
海外事業 26,833 4.9 -547 -1.1 -2.0

事業内容

3【事業の内容】

当社グループは、当社、連結子会社92社(海外子会社18社を含む。)、持分法適用会社15社(海外持分法適用会社3社を含む。)で構成されており、セキュリティ事業、FM事業等、介護事業及び海外事業を展開しております。その他海外で同様の事業を展開する台湾新光保全股份有限公司は、連結子会社又は持分法適用会社ではありませんが、営業及び運用面において、当社グループと相互協力体制を確立しております。セグメント別の事業の内容は、以下のとおりです。

(1)セキュリティ事業

ア 機械警備事業

通信回線を利用して異常信号の送信を行う警報機器をご契約先に設置し、侵入・火災・設備異常等の情報の遠隔監視をALSOKガードセンターで行い、異常発生時には訓練を受けたガードマンが現場に駆けつけ、適切な処置を行う業務です。

法人向けサービスとしては、先進的な画像解析技術を取り入れた画像監視サービスを標準装備したセキュリティシステム「ALSOK-G7」を展開しております。本サービスは当社が磨き上げてきた高品質かつ堅実な警備サービスに最先端の映像セキュリティ機能を付加したオンラインセキュリティシステムであり、お客様はいつでもどこからでも現地の映像確認を行うことができます。また、「ALSOK情報提供サービス」では、相互通話も可能な「ライブ画像確認サービス」や、警備情報(開始/解除)の閲覧、警備セット忘れや警報発生のメール通知機能など、様々な追加機能をご利用可能です。さらに、ALSOK-G7のオプションサービスとして、カメラ映像をクラウド上に保存できる「画像蓄積サービス」や、出退勤操作をした際の履歴とともに操作者の画像をWebで閲覧可能な「出退勤情報サービス」などをご用意しており、セキュリティ面の強化のみならず労務管理や業務効率化にも役立つシステムとなっております。

ALSOK-G7以外にも、中~大規模施設向けにファシリティマネジメント機能を強化し、低コストで施設価値の向上を可能にする「ALSOK-FM(ファシリティマネジメント)サポート」や、キャッシュコーナーを無人管理する「アマンドシステム」等があります。また、2023年3月からパソコンをはじめとするIT機器関連のトラブルが発生した際に警備員が急行して応急処置を行う「ALSOK ITレスキュー」のサービスを開始いたしました。さらに、2024年2月からはマンションやビル等の対象となる設備機器からの異常を受信した際や設備の障害における確認依頼があった際に、ガードマンが現地を確認し原因究明と応急処置を実施する「ALSOK設備レスキュー」を開始いたしました。そのほか、ヘルス・セキュリティとして産業医の選任義務がない50名未満の事業場向けに最適化された、従業員の健康管理をサポートするための産業医サービス「ALSOKオフィスドクターパック」、企業の従業員様向けに、健康相談・メンタルヘルス・ハラスメントの電話相談をパッケージ化した「ALSOK相談窓口サービス」を提供しております。

イ HOME ALSOK事業

個人向けサービスでは、2024年に多発した「匿名・流動型犯罪グループ」による連続強盗事件の影響もあり、当社への問い合わせが増加しました。それに伴い、ホームセキュリティの導入を検討するお客様が増加し、主力商品である「HOME ALSOK Connect」の販売が堅調に推移いたしました。特に、異常を感じた際にボタン一つで通報できる『非常ボタン』や外出及び帰宅時のスマートフォン忘れを音や液晶画面でお知らせする操作器『スマホゲート』は大変ご好評いただいております。

高齢者市場については、高齢者向けの見守りサービスとして「HOME ALSOK みまもりサポート」を展開しており、緊急通報、ガードマンの駆けつけ、健康相談等のサービスを提供しております。高齢者人口の増加に伴い導入実績は増加傾向にあり、近年では高齢者ご本人やその親族等個人のお客様とのご契約だけでなく、高齢者市場に関連する法人企業との契約も増加しております。また、自治体との高齢者見守りに関する事業においても、委託業者として順調に受託件数を伸ばしております。今後も高齢者の安全・安心な暮らしの実現に向けて取り組んでまいります。

ウ 常駐警備事業

ご契約先の施設に警備員を配置し、出入管理、巡回、監視を行い、各種事故の予防と緊急時や事故発生時に対応する業務です。また、国際会議やスポーツ競技大会、花火大会やお祭り等各種イベント讐備と、国内外の著名人や企業の役員などに対する身辺警護など、幅広いニーズに対応しております。さらに、「見える警備」の提供を目指し、常駐警備隊員にモバイルデバイスを中心にガスセンサー・電光掲示板アプリ・サーモカメラ・外国語翻訳機等のデジタル機器を装備し、お客様へのレポーティングのためのDX化を推進しております。近年では、各地での大規模な再開発の推進や、インバウンドの回復による需要の増加、また、少子高齢化による働き手不足が喫緊の課題であり、各種資機材(AIカメラ、出入管理の自動化など)、アバター、讐備ロボット、巡回ドローンなどを活用した省人化により、一層効率的かつ効果的な警備を提供しております。

エ 警備輸送事業

ご契約先の指定場所に現金、有価証券等の貴重品を現金輸送車等により輸送する業務です。現金、有価証券等を安全に輸送する現金輸送サービスのほか、店舗売上金管理を警備輸送ネットワークでトータルサポートし、お客様の業務効率化に資する「入(出)金機オンラインシステム」、金融機関やコンビニエンスストアに設置されたATM等への現金等の補充・回収、及び障害時の対応等、運営をトータルで行う「ATM管理サービス」を提供しております。また、金融機関のバックオフィス業務なども受託しております。

キャッシュレス社会の進展への対応のため、キャッシュレス決済事業者として、QRコード決済を中心に1つのアプリ1つの端末で複数のペイメントに対応可能な「ALSOKマルチQR決済ソリューション」を提供しております。さらに、サイバー攻撃による被害やなりすましメールの対策として重要性が高まっている情報端末管理のための「ALSOK PCマネジメントサービス」など、様々な情報セキュリティソリューションを提供しております。2024年1月には、お客様の大切なPCへのマルウェア攻撃を瞬時に検知・自動復旧させる「ALSOK EDRサービス」を開始しました。

 

(2)FM事業等

各種建物設備の修繕・リニューアル工事、管工事、電気工事や防火・防災業務、設備管理業務、清掃業務、衛生管理業務、電話応対業務などのビル・マンション等の各種施設における維持、管理、運営を通じて、建物管理コストの低減から資産価値の維持・向上まで、建物の運営・管理をトータルサポートする事業です。関西エリアにおいては2024年12月に株式会社カンソーが新たにグループに加わり、FM事業の提供体制がさらに強化されました。また、災害対策用品、AEDをレンタル・販売しているほか、食品検査事業を営むALSOKエムビック研究所株式会社ではアスベスト検査等も行っております。

防災事業においては、総合防災メーカーであるホーチキ株式会社及び日本ドライケミカル株式会社との資本業務提携及び持分法適用関連会社化により、防火・防災分野における事業推進体制の強化を図っております。

 

(3)介護事業

居宅介護支援(ケアプラン作成)や、ご自宅での生活を支援する訪問介護・訪問看護・デイサービス等の在宅介護サービスから、特定施設入居者生活介護(介護付き有料老人ホーム)・認知症対応型共同生活介護(グループホーム)、サービス付き高齢者向け住宅等の施設介護サービスまで、幅広いサービスを提供しております。また、福祉用具の販売・レンタル事業のほか、訪問医療マッサージサービスも提供しております。

 

(4)海外事業

日系企業の進出の多い東南アジアを中心に、タイ、ベトナム、インドネシア、インド、ミャンマー、バングラデシュの6か国で事業を展開しています。

現在では、常駐警備サービスや機械警備サービスの提供にとどまらず、防災、清掃、ビル施設管理などのファシリティマネジメント分野にまで事業領域を拡大しています。

各国の治安や経済状況に応じたお客様のニーズに応え、国内で培ったサービスを連携させることで、お客様の事業継続をサポートしています。

 

〔事業系統図〕

当連結会計年度末における当社グループのセグメントごとの主要会社並びに系統図は以下のとおりであります。

なお、取引は代表的なものについてのみ記載しております。

 

 

 

 

(注)1.2025年4月1日付にて、ALSOKライフサポート株式会社をALSOKジョイライフ株式会社に吸収合併いたしました。また、ALSOKジョイライフ株式会社にALSOK介護株式会社の関西本部事業及び株式会社メディカルケアコンフォートの全事業を事業譲渡し、ALSOK介護株式会社が持つ株式会社アニストの全株式を株式譲渡しました。

(注)2.当社は、2025年4月1日付にて、当社の完全子会社であるALSOK関東デリバリー株式会社を吸収合併いたしました。

※1 当社は、2024年10月1日付にて、当社の北海道における事業所である北海道支社及び警送北海道支社の事業を会社分割(簡易吸収分割)の方法により、当社の連結子会社であるALSOK北海道株式会社へ承継させました。

※2 当社は、2024年12月1日付にて、主としてFM事業等を営む株式会社カンソーの全株式を取得し、同社及び同社の子会社1社を連結子会社といたしました。

業績

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は、次のとおりであります。

 ア 財政状態及び経営成績の状況

 (業績等の概要)

当連結会計年度における我が国経済は、物価高の影響により個人消費が伸び悩む一方、企業収益の改善や設備投資の持ち直し等により、緩やかな景気回復が継続しました。先行きにつきましては、春闘の賃上げなど雇用・所得環境の改善が期待できるものの、他方で、米国の相互関税導入等通商政策による影響や国内物価上昇の継続が個人消費に及ぼす影響等が懸念されます。

警備分野においては、政府の「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」に示されているように、昨年1月に発生した令和6年能登半島地震等を念頭に、自然災害からの復旧・復興に取り組むことはもとより、防犯対策の強化等に取り組むとされているほか、サイバー空間の脅威、高齢者、女性、子ども等の社会的弱者の安全・安心への懸念、街中での犯罪や事故の増加、インフラ老朽化などを背景に、警備業界に対する社会の期待は高まっており、当社グループに対しては、警備を含むトータルでの安全・安心に関するサービス提供が求められております。加えて、2022年以降、刑法犯認知件数が増加傾向にあるほか、全国で相次ぐ強盗事件や一部外国人による犯罪の発生等を受けて国内の体感治安が悪化しており、安全・安心を提供する当社グループの役割は増大していると言えます。

このような情勢の中、当社グループは、持続可能な社会への貢献を目指し、社会の安全・安心に関するサービス(セキュリティ事業、FM事業等、介護事業、海外事業)を行う事業者として、適切にサービス提供を継続してまいりました。中期経営計画「Grand Design 2025」に掲げておりますとおり、「社会の多様な安全・安心ニーズに対応する強靭な綜合安全安心サービス業」を目指して、リスクが多様化する中で拡大するお客様と社会の安全・安心ニーズに応えるべく、警備・設備・介護等の多様なサービス機能を組み合わせた新たなサービス提供に取り組んでおります。また、物価上昇が続く中、コスト上昇に対応するためお客さまに価格改定をお願いしております。

以上のような取組みを続ける中、当連結会計年度における当社グループの連結業績は、前期と比較して改善し、売上高は551,881百万円(前年同期比5.8%増)、営業利益は40,201百万円(前年同期比5.6%増)、経常利益は43,107百万円(前年同期比4.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は27,105百万円(前年同期比1.8%増)となりました。

 当社グループの連結損益計算書を項目別に対前年度で比較すると、次のとおりであります。

項目

前連結会計年度

当連結会計年度

前年同期比

金額

百分比

金額

百分比

増減額

増減率

(百万円)

(%)

(百万円)

(%)

(百万円)

(%)

売上高

521,400

100.0

551,881

100.0

30,480

5.8

売上原価

396,264

76.0

420,926

76.3

24,661

6.2

売上総利益

125,135

24.0

130,954

23.7

5,819

4.7

販売費及び

一般管理費

87,056

16.7

90,752

16.4

3,696

4.2

営業利益

38,078

7.3

40,201

7.3

2,122

5.6

営業外収益

6,035

1.2

6,071

1.1

35

0.6

営業外費用

2,944

0.6

3,165

0.6

220

7.5

経常利益

41,169

7.9

43,107

7.8

1,938

4.7

特別利益

945

0.2

1,551

0.3

605

64.0

特別損失

265

0.1

926

0.2

661

249.1

法人税等

13,428

2.6

14,725

2.7

1,297

9.7

非支配株主に帰属する当期純利益

1,790

0.3

1,901

0.3

110

6.2

親会社株主に帰属する当期純利益

26,630

5.1

27,105

4.9

474

1.8

 

 

当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度と比較して30,480百万円増加し、551,881百万円(前年同期比5.8%増)となりました。

売上原価につきましては、従業員の処遇改善等により労務費が14,206百万円、経費が9,826百万円増加したことにより、420,926百万円(前年同期比6.2%増)となりました。

販売費及び一般管理費につきましては、給料諸手当が2,089百万円増加したことにより90,752百万円(前年同期比4.2%増)となりました。

経常利益につきましては、営業利益の増加に伴い1,938百万円増加し、43,107百万円(前年同期比4.7%増)となりました。

特別利益の増加は、負ののれん発生益が392百万円、事業損失引当金戻入額が289百万円増加した結果であります。

特別損失の増加は、段階取得による差損が448百万円、投資有価証券売却損が293百万円増加した結果であります。

親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、経常利益の増加に伴い474百万円増加し、27,105百万円(前年同期比1.8%増)となりました。

 

なお、包括利益につきましては、30,556百万円減少の24,550百万円(前年同期比55.4%減)となりました。退職給付に係る調整額の期中変動額が27,463百万円、その他有価証券評価差額金が3,236百万円減少した結果であります。

セグメントごとの経営成績の状況につきましては、「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ア 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容」に記載のとおりであります。

 

(連結貸借対照表項目の比較分析)

当社グループの連結貸借対照表を項目別に対前年度で比較すると、次のとおりであります。

項目

前連結会計年度

当連結会計年度

前年同期比

金額

構成比

金額

構成比

増減額

増減率

(百万円)

(%)

(百万円)

(%)

(百万円)

(%)

資産の部

流動資産

252,061

44.1

256,722

44.8

4,660

1.8

固定資産

319,402

55.9

315,679

55.2

△3,722

△1.2

資産総額

571,463

100.0

572,402

100.0

938

0.2

負債の部

流動負債

100,489

17.6

108,892

19.0

8,403

8.4

固定負債

93,219

16.3

87,509

15.3

△5,710

△6.1

負債総額

193,709

33.9

196,401

34.3

2,692

1.4

純資産の部総額

377,754

66.1

376,000

65.7

△1,754

△0.5

当連結会計年度末の資産総額は、前連結会計年度末と比較して938百万円増加し、572,402百万円(前年同期比0.2%増)となりました。うち流動資産は、4,660百万円増加の256,722百万円(前年同期比1.8%増)、固定資産は3,722百万円減少の315,679百万円(前年同期比1.2%減)となりました。

流動資産の増加につきましては、警備輸送業務用預金が7,357百万円、原材料及び貯蔵品が1,659百万円増加した一方、現金及び預金が8,329百万円減少した結果であります。

固定資産の減少につきましては、繰延税金資産が3,555百万円減少したことが主たる要因であります。

当連結会計年度末の負債総額は、前連結会計年度末と比較して2,692百万円増加し、196,401百万円(前年同期比1.4%増)となりました。うち流動負債は、8,403百万円増加の108,892百万円(前年同期比8.4%増)、固定負債は5,710百万円減少の87,509百万円(前年同期比6.1%減)となりました。

流動負債の増加につきましては、短期借入金が5,510百万円、未払法人税等が2,194百万円増加した結果であります。

固定負債の減少につきましては、繰延税金負債が3,860百万円、リース債務が1,220百万円減少した結果であります。

当連結会計年度末の純資産の部総額は、前連結会計年度末と比較して1,754百万円減少し、376,000百万円(前年同期比0.5%減)となりました。

 

 

イ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は60,018百万円(前年同期比13.2%減)となりました。

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

前年同期比

(%)

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

営業活動によるキャッシュ・フロー

56,063

42,647

△23.9

投資活動によるキャッシュ・フロー

△16,913

△15,550

△8.1

財務活動によるキャッシュ・フロー

△21,503

△36,309

68.9

現金及び現金同等物に係る換算差額

△56

68

現金及び現金同等物の増加額

(△は減少)

17,591

△9,144

現金及び現金同等物の期首残高

51,571

69,162

34.1

現金及び現金同等物の期末残高

69,162

60,018

△13.2

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の営業活動の結果増加した資金は42,647百万円(前年同期比23.9%減)であります。資金の主な増加要因は、税金等調整前当期純利益43,732百万円、減価償却費による資金の内部留保20,103百万円であります。これらに対し、資金の主な減少要因は、法人税等の支払10,671百万円、退職給付に係る資産の増加6,897百万円であります。

なお、警備輸送業務に係る資産・負債の増減額には、警備輸送業務用現金、及び短期借入金のうち警備輸送業務用に調達した資金等の増減が含まれております。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の投資活動の結果使用した資金は15,550百万円(前年同期比8.1%減)であります。有形固定資産を14,854百万円取得した結果であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の財務活動により減少した資金は36,309百万円(前年同期比68.9%増)であります。自己株式の取得により15,000百万円、配当金の支払により13,525百万円、リース債務の返済により5,785百万円の資金が減少した結果であります。

 

 

ウ 生産、受注及び販売の実績

(生産実績)

当社グループは生産活動を行っておりませんが、当連結会計年度末日現在実施中の契約件数をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

前連結会計年度末

(2024年3月31日)

当連結会計年度末

(2025年3月31日)

前年同期比

(%)

セキュリティ事業

 

 

 

機械警備事業   (千件)

579

591

2.0

HOME ALSOK事業  (千件)

505

521

3.2

常駐警備事業   (千件)

4

4

3.4

警備輸送事業   (千件)

86

90

4.6

報告セグメント計   (千件)

1,176

1,208

2.7

FM事業等       (千件)

127

130

2.0

介護事業       (千件)

27

28

2.7

海外事業       (千件)

4

4

5.7

合計     (千件)

1,336

1,371

2.7

(注)上記件数は、当社グループがサービスを提供している対象先の数ではなく、お客様と約定している長期契約(一定期間継続的にサービスを提供する契約)の数を集計したものであります。各セグメントに含まれる代表的なサービスは、次のとおりであります。

機械警備事業

法人向けのALSOKガードシステム各種

HOME ALSOK事業

個人向けのホームセキュリティ各種

常駐警備事業

ご契約先施設等に警備員を配置する常駐警備

警備輸送事業

現金、有価証券等を輸送する現金輸送サービス、入(出)金機オンラインシステム

FM事業等

設備管理、清掃管理、電話対応、施設の維持、管理、運営業務、消防用設備の点検、AEDのレンタル等

介護事業

訪問介護、デイサービス、有料老人ホーム、グループホーム等

海外事業

海外子会社が実施するセキュリティ事業、FM事業等、人材派遣等

 

(販売実績)

販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

前連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

前年同期比

(%)

セキュリティ事業

 

 

 

機械警備事業   (百万円)

168,384

173,610

3.1

HOME ALSOK事業  (百万円)

23,074

24,661

6.9

常駐警備事業   (百万円)

118,578

123,191

3.9

警備輸送事業   (百万円)

69,254

70,483

1.8

報告セグメント計   (百万円)

379,291

391,946

3.3

FM事業等       (百万円)

75,386

79,736

5.8

介護事業       (百万円)

50,961

53,364

4.7

海外事業       (百万円)

15,761

26,833

70.2

合計     (百万円)

521,400

551,881

5.8

(注)販売実績が総販売実績の10%以上の相手はありません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、本報告書提出日現在において判断したものであります。

 

ア 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(経営者の視点による分析・検討内容)

当連結会計年度における当社グループの連結業績は、「(1)経営成績等の状況の概要 ア 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであり、売上高は、15期連続の増収で、14期連続で過去最高を更新し、利益についても増益となりました。当社グループは、M&Aの活用等によりセキュリティ事業を強化するとともに、セキュリティ事業と親和性の高いFM事業等や介護等生活支援事業を拡大し、リスクが多様化する社会の中で、拡大する安全・安心ニーズに的確に応えることに注力しております。

当社グループは、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、売上高経常利益率とROE(連結自己資本当期純利益率)を重視しております。中期経営計画「Grand Design 2025」においては、両指標とも10.0%以上を目標として掲げ、当連結会計年度は、売上高経常利益率7.8%、ROE7.9%となりました。

 

セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。

 

売上高のセグメント別の増減

セグメントの名称

前連結会計年度

当連結会計年度

前年同期比

金額

(百万円)

構成比

(%)

金額

(百万円)

構成比

(%)

金額

(百万円)

増減率

(%)

セキュリティ事業

 

 

 

 

 

 

機械警備事業

168,384

32.3

173,610

31.5

5,226

3.1

HOME ALSOK事業

23,074

4.4

24,661

4.5

1,586

6.9

常駐警備事業

118,578

22.7

123,191

22.3

4,613

3.9

警備輸送事業

69,254

13.3

70,483

12.8

1,228

1.8

セキュリティ事業計

379,291

72.7

391,946

71.0

12,655

3.3

FM事業等

75,386

14.5

79,736

14.4

4,350

5.8

介護事業

50,961

9.8

53,364

9.7

2,403

4.7

海外事業

15,761

3.0

26,833

4.9

11,071

70.2

合  計

521,400

100.0

551,881

100.0

30,480

5.8

セグメント別の主要な変動要因は次のとおりであります。なお、当連結会計年度より、報告セグメントを従来の「セキュリティ事業」、「綜合管理・防災事業」及び「介護事業」から「セキュリティ事業」、「FM事業等」、「介護事業」及び「海外事業」に変更しております。これに伴い、各セグメントの前年同期比につきましては、前年同期の数値を変更後の報告セグメントの区分に組み替えたうえで算出しております。

セキュリティ事業につきましては、売上高は391,946百万円(前年同期比3.3%増)、営業利益は40,327百万円(前年同期比4.5%増)となりました。

機械警備事業においては、法人向けサービスとして、ライブ画像確認を標準装備し、画像蓄積や遠隔地からのオプションを充実させ、お客様の省人化ニーズにも貢献する「ALSOK-G7(ジーセブン)」の販売を推進しており、今後お客様のニーズに合わせてその活用範囲を更に拡大してまいります。昨年7月には、「ALSOK ITレスキュー」と「ALSOK設備レスキュー」のサービス提供エリアを全国に拡大しました。これらのサービスは、ALSOKの機械警備の既存インフラを活用し、IT機器やビルの設備等に障害等が発生した際にガードマンが駆けつけて専門家による業務支援のもと原因究明や応急措置等を行うサービスです。また、ソーラーパネルの点検、各種施設の点検・調査等ドローンを活用した事業の拡大に取り組んでいるほか、今年4月には、お客様が運用するシステムの脆弱性の有無を検査する「脆弱性診断」サービス及び、実際の脅威を模した疑似攻撃を行うことで脅威に対する対策状況を評価する「ペネトレーションテスト」サービスの提供を開始し、サイバーセキュリティ事業の拡大にも取り組んでおります。

HOME ALSOK事業においては、「HOME ALSOK Connect」の販売拡大もあり、受注を伸ばしました。この商品は、強盗事件の増加等体感治安が悪化する中で幅広いお客様に安全・安心を提供するものであり、異常の際にALSOKが駆けつける従来型の「オンラインセキュリティ」に加え、ご依頼に応じてALSOKが現場確認するサービスをオプションとして月額料金を抑えた「セルフセキュリティ」のプランを用意しており、セルフセキュリティはいつでもオンラインセキュリティにアップグレードが可能です。昨年5月には、スムーズなスマホ認証による警備の開始/解除操作を可能とし、スマホ忘れ防止機能を搭載した、「HOME ALSOK Connect」用コントローラー「スマホゲート」の提供を開始し、更なる販売拡大に努めております。その他、高齢者向け見守りサービス「HOME ALSOK みまもりサポート」等の販売も推進しております。

常駐警備事業においては、訪日外国人等を受け入れる空港施設の警備、生産拠点の国内回帰に伴う警備等へ対応しております。また、「2025年日本国際博覧会」(大阪・関西万博)関連では、会場警備やパビリオン各館等の警備などを複数受注しており、アバターによる来場者対応を含め、当社グループを挙げて対応してまいります。今後については、DX等による更なる常駐警備の省人化・効率化のほか、「東京2025世界陸上競技選手権大会」等への対応にも注力してまいります。

警備輸送事業においては、金融機関の店舗統廃合等により国内のATM台数は減少している一方、現金管理業務の効率化ニーズは依然根強く、ATM綜合管理サービスや入(出)金機オンラインシステム等の販売を推進しております。また、入出金機オンラインシステムを活用して自治体の派出窓口業務を自動化する「税公金受付システム」を提供しております。その他、昨年7月に行われた新紙幣発行に向けた機器のリプレース等を推進してまいりました。引き続き、地域金融機関等の業務効率化・コスト低減など様々なアウトソースニーズを捉え、サービス提供の拡大に努めてまいります。

FM事業等につきましては、売上高は79,736百万円(前年同期比5.8%増)、営業利益は9,164百万円(前年同期比10.0%増)となりました。2024年12月には株式会社カンソー及びその子会社を新規連結し、大阪地区での事業基盤を拡充しております。引き続きファシリティマネジメント業務等の拡大に取り組むとともに、サステナビリティへの取組み強化の一環としてEV充電設備の販売、設置工事や保守メンテナンス等を提供してまいります。

介護事業につきましては、施設等の入居率の堅調な推移が業績向上に寄与し、売上高は53,364百万円(前年同期比4.7%増)、営業利益は1,497百万円(前年同期比14.3%増)となりました。その他、昨年9月26日付にて、当社と東京科学大学(旧東京医科歯科大学)及び株式会社エヌジェイアイの共同出資による看護・介護分野の研究開発・人材育成を行う株式会社科学的看護・介護研究機構が事業を開始いたしました。引き続き介護支援ロボット活用等DXによる介護業務の高度化、効率化をすすめ、介護事業の統一ブランド『ALSOKの介護』のもとサービス拡充に努めてまいります。

海外事業につきましては、M&Aの効果もあり、売上高は26,833百万円(前年同期比70.2%増)となり、現地法人ベースでは黒字を確保しているものの、本社費やのれんを考慮すると、547百万円の営業損失(前年同期は649百万円の営業損失)となりました。引き続き、日本で培ったノウハウをもとに、国ごとに最適な商品・サービスを提供し、お客様の海外事業をサポートしていくとともに、積極的な事業展開を図ってまいります。

当社グループは、社会の安全・安心に関するサービスを行う事業者としての責務を果たしつつ、新技術の活用や生産性の向上等に引き続き取り組み、今後も拡大する社会の安全・安心ニーズに的確に応えてまいります。

 

(資本の財源及び資金の流動性)

①財務規律に関する基本的な考え方

中期経営計画「Grand Design 2025」では、中期的な財務目標として、ROE10%以上を目標としております。ROEの向上に向けては、安定配当を維持しつつ、中期的に連結売上高経常利益率を10%以上まで高めることを目標に収益性を拡大することが基本的な方針であります。なお配当性向の目安については、40%から50%としております。

こうした中、当社グループの最近5連結会計年度末における自己資本比率は安定的に推移しており、株主と債権者双方にバランスよく配慮し、財務規律の維持に努めた結果と考えております。

 

(最近5連結会計年度末における自己資本比率)

 

2021年3月期

2022年3月期

2023年3月期

2024年3月期

2025年3月期

自己資本比率

[連結](%)

55.3

59.0

58.6

60.2

59.1

 

②資金需要の動向及び資金調達の方法並びにそれらに係る経営者の認識

当社グループにおける自己資金の主たる源泉は、セキュリティ事業を中心としたお客様からの月額料金の収受であり、先行きが見通しやすい安定的な収入を毎月得られております。こうした安定的な自己資金を所与として資金の支出を計画していることから、将来の予測可能な資金需要に対して不足が生じる事態に直面する懸念は少ないと認識しております。また、外部からの資金調達についても、こうした安定的な自己資金の状況や最近の自己資本比率の動向、主要な金融機関との良好な関係により、安定的に実施できると考えております。

このような資金の源泉に対し、当社グループの主要な資金需要及び資金調達の方法については、次のとおりです。

(運転資金需要)

当社グループにおける運転資金需要のうち主なものは、労務費や外注費を中心とする売上原価、人件費を中心とする販売費及び一般管理費、及び警備輸送業務における入(出)金機オンラインシステムによる売上金の入金処理等のための現金であります。

売上原価や販売費及び一般管理費の支払資金については、年間を通して安定的に需要が生じるものが多く、自己資金を充当することを基本としておりますが、必要に応じて金融機関からの短期借入を実施することとしております。

入(出)金機オンラインシステムによる売上金の入金処理等のための資金については、自己資金及び金融機関からの短期借入を併用して対応することとしております。当該短期借入は、当座貸越を通じて、資金需要に即して実行できるものとなっております。売上金の入金処理の金額は、前日にお客様が入(出)金機に売上金を投入した金額となり、日々大きく変動しますが、特に月曜日や国民の祝日の後の営業日においては、その前日までの休日に投入された売上金にもあわせて対応する必要があることから、入金処理金額が増加し、金融機関からの借入への依存度も結果的に高まる傾向にあります。

(投資目的の資金需要)

当社グループにおける投資目的の資金需要のうち主なものとして、M&Aが挙げられます。これについては、まずは自己資金を充当することを基本としながら、必要に応じて金融機関からの短期借入や長期借入を実施し、対応することとしております。

このほか、機械警備に係る警報機器の経常的な取得も設備投資に含められております。警報機器の取得は、1件当たりの金額が少額で、受注に伴って生じるため、運転資本を構成する棚卸資産と類似の性格も有すると考えており、年間を通じて安定的に資金需要が生じることから、運転資金需要と同様に自己資金をもって対応することを基本としております。

当連結会計年度後1年間における資本的支出を含む設備投資計画は、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載のとおりであります。

(株主還元の方針)

当社グループでは、株主に対する利益還元を経営の重要政策として位置づけ、内部留保の充実を図りながら、業績に裏付けられた成果の配分を行うことを基本方針としております。具体的な利益還元の手法としては、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本的な方針としており、現在は配当性向40%から50%を目安に安定配当を維持することを目指しております。なお、自己株式取得についてもキャッシュ・フローの動向等を見ながら機動的に実施しております。

(手許資金)

警備輸送業務用現金以外の現金及び預金については、当社グループの資金繰りの実務上明確に最低限維持すべき手許資金の目安を定めてはいないものの、支出に係る資金需要が年間を通して安定的に生じるものが多いことから、月商の1~2か月程度の維持が適切であると認識しております。

警備輸送業務用現金については、当座貸越を通じて、実需に即して調達することとしております。

(先行きの資金需要の動向及び資金調達方法に係る経営者の認識)

当連結会計年度における警備輸送業務を除いた資金需要については、おおむね自己資金の範囲で対応いたしました。当連結会計年度後1年間についても、現時点ではこれまでの資金需要の傾向から大きな変化を見込んでいないことから、同様に自己資金の範囲で対応することが基本となると認識しております。

 

③当連結会計年度におけるキャッシュ・フロー及び資金調達の状況

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 イ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

また、当連結会計年度末日時点における負債による資金調達の状況につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 ⑤連結附属明細表」における社債明細表及び借入金等明細表に記載のとおりであります。なお、同日末時点における主要な借入先別の借入金額は、株式会社みずほ銀行が3,554百万円、株式会社三井住友銀行が1,375百万円、株式会社武蔵野銀行が1,000百万円、株式会社三菱UFJ銀行が993百万円となっております。

 

 

イ 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に当たり、重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。

また、当社グループは、連結財務諸表の作成上、固定資産の減損会計、各種引当金の見積り計算、繰延税金資産の回収可能性の判断等に対し、現在入手可能な前提に基づく合理的な見積りを反映させておりますが、将来、これらの見積りと大きな差が生じる可能性があります。

重要な会計方針のうち、見積りや仮定等による影響が大きいと考えている項目は、次のとおりであります。

 

(固定資産の減損)

固定資産については、「固定資産の減損に係る会計基準」(2002年8月9日)及び「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第26号 2009年3月27日最終改正)に基づき、減損処理の要否を判定しております。将来の企業環境等の変化等により、回収可能価額が帳簿価額を下回ることとなった場合には、減損処理が必要となる可能性があります。

①のれん及び顧客関連資産

(のれん及び顧客関連資産の価値の源泉)

当連結会計年度末におけるのれん29,873百万円は、過去の企業結合により発生したものであり、その主たる発生原因は、結合後企業が当社グループに加入したことにより、同社に期待される超過収益力であります。一部ののれんについては、結合後企業ではなく、当社などにおいて発現されることが期待されるシナジー効果が発生原因となっております。

また、一部の企業結合においては、企業結合時における既存の顧客との契約に係る価値を算定し、顧客関連資産としてのれんとともに計上しております。

(将来キャッシュ・フローの基礎となる事業計画)

当社グループにおけるのれんに係る減損要否の検討は、のれん発生の原因である超過収益力やシナジー効果が将来にわたって発現するかに着目して行っており、平時においてはのれんを発生させた結合後企業の事業計画(当社などに発現が期待されるシナジー効果の計画を含む。)に沿って利益やキャッシュ・フローが計上されているかを毎月モニタリングしております。こうした下、設定された事業計画の達成が危ぶまれる状況など減損の兆候が認められる場合には、事業計画の合理性について見直すこととしております。そしてこのように見直された事業計画に基づく割引前将来キャッシュ・フローによって、減損損失を認識するかを決定し、認識する場合においては割引将来キャッシュ・フローで算定する使用価値に基づき減損損失を測定することとしております。

顧客関連資産に係る減損の検討は、のれんに係る減損の検討と併行して行っており、設定された事業計画に沿って利益やキャッシュ・フローが計上されているかをもって減損の兆候の有無の判定を実施するとともに、減損の兆候が認められる場合は、見直された事業計画に基づき、減損損失の認識・測定の手続を実施することとしております。

事業計画には、次に掲げる重要な仮定を考慮しております。これらについては、その性質上、何らかの見積り・前提を設定した上での判断を伴うものであり、当該見積り・前提は、減損の兆候の有無の判断、認識するか否かの判定、又は測定する減損損失金額に重要な影響を及ぼす可能性があります。

・セキュリティ事業、FM事業等及び海外事業を営む会社

受注の状況、人員計画、売上高の成長率

・介護事業を営む会社

区分

考慮する重要な仮定

在宅介護事業

職員1人当たりの売上高、既存拠点の利益率、人員計画等

施設介護事業

新規施設の開設状況、施設の入居率、人員計画等

高齢者向け住宅事業

新規施設の開設状況、施設の入居率、人員計画等

 

 

当連結会計年度においては、いずれののれん・顧客資産についても今のところ減損損失を計上する必要はないと判断しております。

なお、事業計画は、当社の個別財務諸表に計上されている結合後企業に係る関係会社株式の評価を検討する際にも活用しております。当該関係会社株式の回収可能性が認められなくなった場合には、当社の損益計算書上、評価損が計上されることとなります。

(割引率)

使用する割引率については、当社グループの大部分の会社がグループ内借入を通じて当社とほとんど同様の条件で資金調達が可能であると考えられることから、当社の上場以来の株価や金利に係るヒストリカル・データに基づき算出した年限別の加重平均資本コストをのれんの残存償却期間に応じて使用することとしております。株価が大きく上昇したり金利が高騰した場合は、加重平均資本コストが高く算出されることを通じ割引将来キャッシュ・フローが少額となることから、測定される減損損失金額が多額となる可能性があります。

 

②その他の有形・無形固定資産

(将来キャッシュ・フローの基礎となる事業計画)

のれん及び顧客関連資産以外の有形・無形固定資産についても、事業計画に基づく利益やキャッシュ・フローの状況をもって、減損処理の必要性を判定しております。

有形・無形固定資産に係る減損要否の検討に際しては、経営の実態に即して資産のグルーピングを行っております。主な資産のグルーピングの方法は、次のとおりであります。

区分

主な勘定科目

資産のグルーピングの方法

ガードセンター設備

契約先設置警備用機器

防災設備等

建物及び構築物

機械装置及び運搬具

これらの資産については、エリア別にサービスを展開し、投資意思決定を行っている経営実態に即して管理会計単位を設定している状況に鑑み、当該管理会計単位を資産グループとして設定しております。具体的には、当社については「第3 設備の状況 2 主要な設備の状況 (1)提出会社の状況」が示す本社及び各地域本部を1つの資産グループとし、子会社及び関連会社については個社を1つの資産グループとしております。

介護施設

リース資産

介護施設については、各施設が独立してサービスを展開し、投資意思決定を行っている経営実態に即し、単独の管理会計単位として設定されている状況に鑑み、個々の介護施設を1つの資産グループとしております。

各資産グループに係る事業計画には、のれん及び顧客関連資産の場合と同様、重要な仮定を含めるに際して何らかの見積り・前提を設定しており、当該見積り・前提は、減損の兆候の有無の判断、認識するか否かの判定、又は測定する減損損失金額に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(割引率)

のれん及び顧客関連資産の場合と同様、使用する割引率については、当社の上場以来の株価や金利に係るヒストリカル・データに基づき算出した年限別の加重平均資本コストを使用することとしております。このため、株価や金利動向によっては、加重平均資本コストが高く算出され、測定される減損損失金額が多額となる可能性があります。

 

(退職給付会計)

当社及び当社の関係会社においては、確定給付型の企業年金制度や退職給付制度が設けられております。在籍している従業員数の少ない一部の連結子会社を除き、これらの制度に係る退職給付債務及び年金資産の算定手続きについては、数理計算上の仮定を置いたうえで実施しております。これらの仮定には、割引率、年金資産の長期期待運用収益率、退職一時金選択率、死亡率、退職率、予想昇給率が含まれます。当社グループは、設定したこれらの数理計算上の過程について、直近の実績など現在把握可能な各種のデータを勘案して合理的に判断したものと考えておりますが、実績との間に差異(数理計算上の差異)が生じた場合においては、その発生時における従業員の平均残存勤務期間以内の一定の年数(主として10年)による定額法により発生の翌連結会計年度より費用処理することとするため、当社グループの営業費用等に重要な影響を与える場合があります。

割引率の設定に際しては、連結会計年度末における高格付けの国内社債や日本国債の利回りを勘案して決定しております。また、割引率の変更は、「退職給付に関する会計基準」(企業会計基準第26号 2016年12月16日最終改正)及び「退職給付に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第25号 2015年3月25日最終改正)に基づき、前連結会計年度末に用いた割引率により算定した退職給付債務と比較して、当連結会計年度末の割引率により計算した退職給付債務が10%以上変動する場合において行うこととしております。

長期期待運用収益率の設定に際しては、直近の年金資産のアセット・アロケーションや、株式・社債などの各金融商品グループごとの過去における運用利回りの実績を勘案しております。また、長期期待運用収益率の変更は、「退職給付に関する会計基準」(企業会計基準第26号 2016年12月16日最終改正)及び「退職給付に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第25号 2015年3月25日最終改正)に基づき、変更が翌連結会計年度以降の退職給付費用に重要な影響をもたらすと判断した場合において行うこととしております。

なお、当社及び連結子会社4社において、退職一時金制度に係る退職給付債務について、金額については適切に見積もっておりましたが、その計算結果を誤ってデータ入力したことで、過年度より退職給付に係る負債等を過少に計上していたことが2025年4月に判明しており、過去に提出した有価証券報告書における連結財務諸表及び財務諸表等に含まれる一連の誤謬を修正しております。

 

(繰延税金資産)

当社及び当社の関係会社各社は、個社別に法人税を申告しており、繰延税金資産の回収可能性に関する判断においては、「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」(企業会計基準適用指針第26号 2016年3月28日改正)に基づき、当社及び当社の関係会社各社を収益力により「分類1」から「分類5」に分類しております。会社分類については、連結会計年度末における各社の状況に基づき、毎期見直しております。この分類に際しては、将来の経営環境の変化や一時差異等加減算前課税所得の見積りの上で仮定を置いており、この仮定の設定は、繰延税金資産の回収可能性の判断に重要な影響を与える場合があります。なお、将来に関する事項の見積りにおいては、固定資産の減損に関する判断において用いる事業計画に沿って検討を行うため、見積りと実績が乖離するリスクもおおむね同様と考えられます。

「分類2」から「分類5」に該当する会社については、回収可能性があると見込まれる将来減算一時差異等についてのみ繰延税金資産を計上しております。回収可能性の判断においては、十分な収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得が存在するかを最重要視しており、このほか含み益のある固定資産や有価証券を売却する等のタックス・プランニングに基づく一時差異等加減算前課税所得が存在するかについては、その実行可能性が高いと見込まれるものに限定して考慮しております。また、将来減算一時差異等が解消する時期及び金額についても、解消する可能性が高いものに限定して考慮することとしており、例えば含み損に係る土地再評価差額金の場合においては、売却する契約を締結した事実を認識した場合等に限りスケジューリングに含めております。こうした回収可能性に係る一連の手続きについても、何らかの見積り・前提を設定の上で実施しているため、これらの判断は、繰延税金資産の金額に重要な影響を与える可能性があります。

税効果会計に適用する税率については、「税効果会計に適用する税率に関する適用指針」(企業会計基準適用指針第27号 2016年3月14日)に基づき、決算日時点において国会で成立している税法に規定されている税率を使用しております。このため、税率の変更が行われる場合においては、繰延税金資産の金額に重要な影響を与える可能性があります。

なお、当社の繰延税金資産のほとんどは、日本国内に属する会社に係る将来減算一時差異等を源泉とするもので構成されているほか、連結会社間の移転価格に関する不確実性は、ほとんど該当がないものと評価しております。

 

セグメント情報

(セグメント情報等)

【セグメント情報】

1.報告セグメントの概要

(1)報告セグメントの決定方法

当社グループの報告セグメントは、当社グループの構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものであります。

当社グループは、機械警備事業、HOME ALSOK事業、常駐警備事業及び警備輸送事業を展開する「セキュリティ事業」、管工事、電気工事をはじめとした設備工事、設備管理、環境衛生管理、清掃管理、消防用設備の点検及び工事、各種防災機材の販売等を実施する「FM事業等」、居宅介護支援、訪問介護、通所介護及び施設介護等を提供する「介護事業」並びに海外子会社による事業である「海外事業」の4つを報告セグメントとしております。

(2)報告セグメントの変更に関する事項

当連結会計年度より、管理体制を見直し、報告セグメントを従来の「セキュリティ事業」、「綜合管理・防災事業」及び「介護事業」から「セキュリティ事業」、「FM事業等」、「介護事業」及び「海外事業」に変更しております。

なお、前連結会計年度のセグメント情報は、変更後の報告セグメントの区分に基づき作成したものを開示しております。

 

2.報告セグメントごとの売上高、利益又は損失その他の項目の金額の算定方法

報告されている事業セグメントの会計処理の方法は、連結財務諸表作成において採用している会計処理の方法とおおむね同一であります。

報告セグメントの利益は、営業利益ベースの数値であります。

セグメント間の内部収益及び振替高は、市場実勢価格に基づいております。

 

3.報告セグメントごとの売上高及び利益又は損失の金額に関する情報並びに収益の分解情報

Ⅰ 前連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)

 

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

報告セグメント

調整額

(注)1

連結損益計算書計上額(注)2

 

セキュリティ事業

FM事業等

介護事業

海外事業

合計

売上高

 

 

 

 

 

 

 

契約収入

333,720

34,402

50,850

15,033

434,006

434,006

工事収入

7,374

26,301

22

37

33,734

33,734

売却収入

38,196

14,682

88

691

53,659

53,659

顧客との契約から生じる収益

379,291

75,386

50,961

15,761

521,400

521,400

外部顧客への売上高

379,291

75,386

50,961

15,761

521,400

521,400

セグメント間の内部売上高又は振替高

45

329

11

386

△386

379,337

75,715

50,972

15,761

521,786

△386

521,400

セグメント利益又は損失(△)

38,583

8,328

1,309

△649

47,572

△9,493

38,078

減価償却費

14,947

1,388

2,252

116

18,705

22

18,727

のれん償却額

887

29

2,043

176

3,135

3,135

(注)1.セグメント利益の調整額△9,493百万円は、各報告セグメントに配分していない全社費用であり、全社費用は、主に報告セグメントに帰属しない一般管理費であります。

2.セグメント利益は、連結損益計算書の営業利益と調整を行っております。

3.資産については、事業セグメントに配分しておりません。

 

Ⅱ 当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)

 

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

報告セグメント

調整額

(注)1

連結損益計算書計上額(注)2

 

セキュリティ事業

FM事業等

介護事業

海外事業

合計

売上高

 

 

 

 

 

 

 

契約収入

344,432

38,865

53,249

25,585

462,132

462,132

工事収入

7,790

26,984

23

42

34,841

34,841

売却収入

39,723

13,887

91

1,205

54,907

54,907

顧客との契約から生じる収益

391,946

79,736

53,364

26,833

551,881

551,881

外部顧客への売上高

391,946

79,736

53,364

26,833

551,881

551,881

セグメント間の内部売上高又は振替高

72

434

8

515

△515

392,019

80,171

53,373

26,833

552,396

△515

551,881

セグメント利益又は損失(△)

40,327

9,164

1,497

△547

50,441

△10,239

40,201

減価償却費

16,173

1,485

2,238

188

20,085

17

20,103

のれん償却額

698

139

2,040

316

3,194

3,194

(注)1.セグメント利益の調整額△10,239百万円は、各報告セグメントに配分していない全社費用であり、全社費用は、主に報告セグメントに帰属しない一般管理費であります。

2.セグメント利益は、連結損益計算書の営業利益と調整を行っております。

3.資産については、事業セグメントに配分しておりません。

 

【関連情報】

Ⅰ 前連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)

1.製品及びサービスごとの情報

セグメント情報に同様の情報を開示しているため、記載を省略しております。

 

2.地域ごとの情報

(1)売上高

本邦の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超えるため、記載を省略しております。

 

(2)有形固定資産

本邦に所在している有形固定資産の金額が連結貸借対照表の有形固定資産の金額の90%を超えるため、記載を省略しております。

 

3.主要な顧客ごとの情報

外部顧客への売上高のうち、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める顧客が存在しないため、記載を省略しております。

 

Ⅱ 当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)

1.製品及びサービスごとの情報

セグメント情報に同様の情報を開示しているため、記載を省略しております。

 

2.地域ごとの情報

(1)売上高

本邦の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超えるため、記載を省略しております。

 

(2)有形固定資産

本邦に所在している有形固定資産の金額が連結貸借対照表の有形固定資産の金額の90%を超えるため、記載を省略しております。

 

3.主要な顧客ごとの情報

外部顧客への売上高のうち、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める顧客が存在しないため、記載を省略しております。

 

【報告セグメントごとの固定資産の減損損失に関する情報】

Ⅰ 前連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)

報告セグメントに配分された減損損失はありません。報告セグメントに配分されていない減損損失は55百万円であり、その内訳は、土地31百万円、建物及び構築物24百万円であります。

 

Ⅱ 当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)

報告セグメントに配分された減損損失はありません。報告セグメントに配分されていない減損損失は0百万円であり、その内訳は、土地0百万円であります。

 

【報告セグメントごとののれんの償却額及び未償却残高に関する情報】

Ⅰ 前連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)

(のれんの償却額及び未償却残高)

のれん償却額につきましてはセグメント情報に同様の情報を開示しているため、記載を省略しております。

当連結会計年度末におけるのれんの未償却残高は31,442百万円であります。なお、のれんの未償却残高につきましては、事業セグメントに資産を配分していないため、当期末残高は報告セグメントに含まれておりません。

 

Ⅱ 当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)

(のれんの償却額及び未償却残高)

のれん償却額につきましてはセグメント情報に同様の情報を開示しているため、記載を省略しております。

当連結会計年度末におけるのれんの未償却残高は29,873百万円であります。なお、のれんの未償却残高につきましては、事業セグメントに資産を配分していないため、当期末残高は報告セグメントに含まれておりません。

 

【報告セグメントごとの負ののれん発生益に関する情報】

Ⅰ 前連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)

当連結会計年度において、北陸綜合警備保障株式会社を連結の範囲に含めたことにより、負ののれん発生益466百万円を計上しております。当該負ののれん発生益は、報告セグメントに配分しておりません。

 

Ⅱ 当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)

当連結会計年度において、日本ガード株式会社等を連結の範囲に含めたことにより、負ののれん発生益859百万円を計上しております。当該負ののれん発生益は、報告セグメントに配分しておりません。