2025年6月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります

(単一セグメント)
  • 売上
  • 利益
  • 利益率

最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています

セグメント名 売上
(百万円)
売上構成比率
(%)
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
(単一セグメント) 10,919 100.0 1,502 100.0 13.8

事業内容

3【事業の内容】

当社は、事業者と消費者を結ぶ決済サービスの提供を中心とした決済・認証事業を行っております。

当社の事業内容は次のとおりであります。なお、当社は単一セグメントであるため、サービス別に記載しております。

 

マルチペイメントサービス

 マルチペイメントサービスは、請求書・払込取扱票など紙を使って代金請求及び回収を行うビリングサービス、請求書・払込取扱票など紙を使わず代金回収を行うE-ビリングサービス等から構成されております。マルチペイメントサービスは、当社と提携しているコンビニエンスストア(以下「コンビニ」という。)において24時間365日の決済が可能であり(注1)、必要なソフトウエアは当社より無償使用許諾いたしますので、事業者はシステム開発に係る経費と時間を大幅に軽減できます。また、当社が頂く手数料は固定制と従量制で構成されておりますので、事業者の初期投資の低減を実現しています。

 当社が受取る手数料は、初期設定料、月額基本料金、決済毎の手数料などで構成されます。

①ビリングサービス

当社のバーコード付払込取扱票付請求書を発行するシステムと当社が契約するコンビニなどの請求代金回収経路(注2)を通じて、売掛金の回収業務を代行するサービスであります。発行は当社クラウド上で事業者自身または当社が行い、支払者はコンビニまたは郵便局で支払います。なお、収納データは支払いがあった翌営業日(郵便局からの振込は2営業日後)に配信され、入金消込処理が自動化されます。現在、通信販売をはじめ燃料代金・各種会費等の主として後払い代金収納に利用いただいております。当社はこのサービス利用事業者に対してシームレスにペーパーレスへ移行できるサービスを提供しております。

②E-ビリングサービス

ビリングサービスと異なり、支払に必要な請求書の作成・郵送を行うことなく、支払用の番号・バーコードなどをお客様に電送で届けし、Kiosk端末・ATM・POS端末・クレジットカード・ファミリーマートでサービスインしたスマホバーコード決済「stanp」・電子マネー・ネットバンク等、お客様の好む支払方法で決済できるしくみです。2017年8月より、決済手段に「支払秘書」アプリの支払もできるようになりました。これらのサービスは、国内のほとんどの航空会社の航空券や鉄道会社、100社以上のバス事業者が販売するチケットの購入、ネット通販などさまざまな決済に利用されておりますが、事業者は個々の収納機関(コンビニ、銀行等)との接続開発・契約を個別に行う必要がなく、当社との契約のみでさまざまな決済手段をお客様に提供できます。決済情報は当社のコンピューターを介してリアルタイムに事業者に伝えられますので、請求書や払込票を作成、送付する手間とコストが掛からず、即時に支払いを確認することができます。

 

送金サービス

 事業者からコンシューマへの送金代行を行うサービスです。このサービスを利用すると従来送金に必要だった情報(銀行・支店名・預金口座種別・口座番号・指名)などを収集する必要がなくなります。具体的には送金事業者は送金金額とコンシューマの送信先をウェルネットサーバーにセットするだけで、送金に必要な情報は受取人自身が入力します。その際、入力された口座の実在確認後に送金を行うため、組み戻しがないこと、着金スピードの速さが大きな特徴です。また、銀行口座を持たない人はコンビニで現金を受け取ることもできます。

 

電子マネーサービス

スマートフォンアプリ「支払秘書」を活用することで、コンビニや銀行ATMへ行く必要がなく、その場で各種支払いを完了させることができるサーバー型電子マネーサービスです。生活密着型のフィンテックサービスとして普及しており、主に電気料金等の公共料金や通信料金、バスや鉄道、ECサイト等の支払いに利用ができます。

 

交通系事業者向DX化ソリューション

 スマートフォンアプリ「バスもり!」は、バス事業者・利用者双方の利便性を飛躍的に高めることができる革新的なサービスです。バス利用者は、安心・確実にいつでもどこでもスマホアプリひとつでバス便を予約・購入でき、バス事業者も、チケットの電子化による効率的な運用を行うことができます。また、バス会社での実績を評価され、鉄道会社への提供も拡大しています。

 

その他サービス

 当社が提供するマルチペイメントサービスを特定の事業者向けにカスタマイズし、運用まで含めたサービス提供を行っております。また、マルチペイメントサービスと連係し、紙のチケットの発券のほか、スマートフォンなどに表示する二次元コードなどの電子チケットを認証するソリューションを提供しています。その他、コンビニの店舗に設置されているPOSレジ・KIOSK端末と当社サーバー間のネットワークを利用し、プリペイドカードをオンラインで販売するサービス、検定試験や大学受験などの各種申込を行うサービスを行っています。

 

(注)1.払込場所と時間について

払込票を使った払込みは、当社が提携している主要コンビニチェーンが展開する全国の約55,200店舗(2025年6月時点)で、そのほとんどが24時間365日営業しております。郵便局または銀行での払込みは、営業時間内となります。

マルチペイメントサービスによるペーパーレス決済についても、KIOSK端末設置済またはタッチパネル付きPOSレジが導入されている主要コンビニで24時間365日ご利用頂けます。ATMでも稼働時間内であればご利用いただけます。

2.請求代金回収経路について

当社が行う請求代金の回収は、直接当社名義の金融機関口座を払込指定先とする方法と、当社が提携するコンビニ店舗を払込場所とする方法があります。このうちコンビニ店舗に払い込まれた回収代金については、所定の期日に取り扱いを行ったコンビニ本部から当社の金融機関口座へ送金されます。その後、当社の金融機関口座に集まった回収代行代金は、所定の期日に事業者の指定する金融機関口座へ送金いたします。

 

 

[事業系統図]

 上記の事業の内容の事業系統図は次のとおりであります。

 

業績

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要

① 財政状態及び経営成績に関する説明

当事業年度におけるわが国経済は、不安定な国際情勢や政情、関税問題などにより不透明な状況が続いております。このような状況のなか、様々な業種業態においてDX(デジタルトランスフォーメーション)が積極推進されており、今後もこの傾向は続くものと思われます。

当社も「ペーパーレス化」「キャッシュレス化」などに取り組み、重点施策「電子請求・電子決済」「交通業界向けDX化プロジェクト/MaaS」などを推進、その文脈上にある生活密着フィンテック・プラットフォームを見据えた施策を行っております。「ekaiin.com(e会員ドットコム)」、電子請求書発行・保存を行う「しまえーる」など、「決済+αプラットフォーム拡大」に注力しております。

当事業年度においては、「札幌生活応援プレミアム商品券」において当社支払ポータルサイトと送金システムの活用、様々な機能を提供いただく会社との連携によるトータルサービスを実現いたしました。また、日本通信株式会社(証券コード:9424)の認証基盤を活用して安全・安心・快適・便利な『本人認証付き電子マネー』の仕組みを最大効率で実現する協業を開始、2025年7月にリリースし、社会実装へのチャレンジを開始いたしました。

2024年6月よりサービスを開始した「スルッとQRtto(クルット)」は順調に稼働、4月には兵庫県、北大阪地域にも拡大、利用件数も増加しております。この基幹システム「アルタイルトリプルスター」は湘南モノレール、JR北海道など関西地域以外へも拡大いたしました。「電子マネー」につきましては、各企業が自社マネーとして決済を内製化できるサービス提供も視野に入れた準備を進めております。また、地域密着営業を強化するため、2025年8月に新たに九州営業所を設け、札幌・東京・大阪・福岡の4拠点体制を整えました。

これらの活動を行うなか、当社の主力商材である「マルチペイメントサービス」「送金サービス」「アルタイルトリプルスター」の需要拡大、投資事業組合運用益などにより、当期の経営成績は以下の通りとなりました。

(単位:百万円)

 

2024年6月期

2025年6月期

前期差

前期比

業績予想※

業績予想差

売上高

10,132

10,918

786

107.8%

10,800

118

売上原価

7,992

8,399

407

105.1%

売上総利益

2,140

2,518

378

117.7%

販売費及び一般管理費

917

1,016

98

110.8%

営業利益

1,222

1,502

279

122.9%

経常利益

1,223

1,664

440

136.0%

1,600

64

当期純利益

836

1,077

241

128.8%

1,050

27

ROE(%)

10.3

12.6

2.3

※ 業績予想は2025年4月30日公表値です。

 

② キャッシュ・フローの状況

当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は17,495百万円(前年同期比5%増)となりました。

当事業年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度末において営業活動により獲得した資金は2,406百万円(前年同期比9%減)となりました。主な増加要因は税引前当期純利益1,595百万円、減価償却費の計上318百万円、収納代行預り金の増加980百万円であり、主な減少要因は預け金の増加557百万円であります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度末において投資活動により支出した資金は831百万円(前年同期は333百万円の資金の獲得)となりました。主な増加要因は保証金の返還による収入1,000百万円であり、主な減少要因は保証金の差入による支出1,600百万円であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度末において財務活動により支出した資金は737百万円(前年同期は392百万円の資金の支出)となりました。減少要因は配当金の支払による支出417百万円、自己株式の取得による支出299百万円であります。

 

③ 受注及び販売の状況

a. 受注状況

当事業年度の受注状況は、次のとおりであります。

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

69

19.0

14

6.4

(注)1.当社における受注の内容は、相手先からの受託開発であります。

2.金額は販売価格によっております。

b. 販売実績

当事業年度の販売実績は次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自 2024年7月1日

  至 2025年6月30日)

前年同期比(%)

決済・認証事業(百万円)

10,918

107.8

(注)最近2事業年度の主要な販売先及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前事業年度

(自 2023年7月1日

至 2024年6月30日)

当事業年度

(自 2024年7月1日

至 2025年6月30日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

株式会社DEGICA

1,261

12.4

2,101

19.2

アマゾンジャパン合同会社

2,173

21.4

1,781

16.3

 

(2) 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

① 重要な会計方針及び見積り

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づいて作成されております。この財務諸表の作成にあたって、決算日における資産・負債及び収益・費用の計上に関連して、種々の見積りを行っております。実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

詳細は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。

 

② 経営成績の分析

当事業年度の経営成績は、売上高10,918百万円(前期比7.8%増)、営業利益1,502百万円(前期比22.9%増)、経常利益1,664百万円(前期比36.0%増)、当期純利益1,077百万円(前期比28.8%増)となりました。

 

③ 財政状態の分析

(資産)

当事業年度末の流動資産は23,250百万円となりました。主な内訳は現金及び預金17,495百万円、預け金4,198百万円、売掛金及び契約資産661百万円であります。現金及び預金には回収代行業務に係る収納代行預り金12,407百万円が含まれておりますが、これは翌月の所定期日には事業者に送金されるものであります。固定資産は6,052百万円となりました。主な内訳は建物1,930百万円、土地1,602百万円、差入保証金1,549百万円、ソフトウエア392百万円であります。以上の結果、資産合計は29,302百万円となりました。

(負債)

当事業年度末の流動負債は18,683百万円となりました。主な内訳は収納代行預り金12,407百万円、預り金4,939百万円であります。また、固定負債は1,758百万円となりました。主な内訳は長期借入金1,500百万円であります。以上の結果、負債合計は20,441百万円となりました。

(純資産)

当事業年度末の純資産は8,860百万円となりました。主な内訳は株主資本8,779百万円であります。

(参考)バランスシート概況

(単位:百万円)

 

2024年6月期

2025年6月期

前期差

前期比

流動資産

21,746

23,250

1,503

106.9%

 うち現金及び預金

16,657

17,495

838

105.0%

固定資産 a

5,394

6,052

657

112.2%

総資産

27,141

29,302

2,161

108.0%

負債

18,762

20,441

1,679

109.0%

 うち収納代行預り金

11,427

12,407

980

108.6%

 うち長期借入金 b

1,600

1,500

△100

93.8%

純資産 c

8,378

8,860

481

105.7%

実質現預金 c+b-a

4,584

4,308

△275

94.0%

 

④ 資金の財源及び資金の流動性についての分析

a. キャッシュ・フロー

キャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析] (1) 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

b. 資金需要

当事業年度における当社の主な資金需要は、サーバ設備やソフトウエアの取得による設備投資等であります。

 

⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社におきましては、コンビニインフラへの依存、システムトラブル及び事務リスク、競合他社との競争激化、新サービスへの対応、新規事業への投資、知的財産権、個人情報の管理などが経営成績に重要な影響を与える要因と認識しております。

 

⑥ 経営者の問題意識と今後の方針について

キャッシュレス社会に向けた大きな時代の変革期が予測されております。当社はこの変革期を大きなビジネスチャンスに変えるべく、積極的な経営姿勢に転換しております。かつてコンビニ決済など斬新なアイディアで現在の地歩を確立したように、強い思いをもってチャレンジを続けてまいります。

当社の目指すサービスプラットホームは「ストック型」であり、一旦収益ラインを突破すると一気に拡大する可能性を秘めております。重要なことは、ビジネスボリューム拡大に伴う人件費増加を避けることで、そのために運用など後方処理自動化に相当額の投資を継続的に行っております。