リスク
3 【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況及び経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社の株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載内容も併せて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
なお、以下の記載のうち将来に関する事項は、別段の記載がない限り、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであり、不確実性を内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。
また、以下の記載は、当社株式への投資に関連するリスクを全て網羅するものではありませんので、ご留意下さい。
(1) 葬儀施行価格の低下傾向の影響等について
当社グループのフューネラル事業が対象とする葬儀業界においては、高齢化社会が一段と進行する中でマーケット自体の拡大が見込まれるものの、会葬者の減少により、葬儀施行価格が全般的に低下傾向にあります。当社が取扱う遺影写真等の葬儀施行価格全体に占める割合は相対的に低く、葬儀施行価格の低下の影響は限定的なものと考えており、また、遺影写真自体の高品質化による他社との差別化や葬儀演出関連の新サービスの提案により販売単価の低下を抑制するよう努めております。さらに、画像加工業務の効率化などにより利益率向上にも努めております。しかしながら、このような施策を行ったにもかかわらず、全体的な葬儀施行価格の低下の影響を受け、遺影写真の販売単価の低下が余儀なくされた場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、昨今、お亡くなりになった方を葬儀を行わず直接火葬場へ送る、いわゆる直葬が増加傾向にあり、直葬におきましては遺影写真を作成しないことが多くあります。現在のところ、全体に占める割合は僅少でありますが、将来大きく増加した場合、当社グループの業績や財政状態に影響を与える可能性があります。
(2) 競合の影響について
当社グループが、フューネラル事業において主として行っている、遺影写真等画像のデジタル加工、通信出力サービスは、当社が独自に他社に先駆けて開発したものであり、長年培ってきた技術やノウハウによって高い品質を維持するとともに、全国的な自社サポート拠点の設置による安定的なサービス供給体制を構築しており、他社の追随を許さないものとなっております。当サービスにおきましては、全体の遺影写真に対する、フルリモートコントロールによる通信出力を活用したデジタル画像加工が占める割合は現在のところまだ相対的に低く、今後とも同方法への切り替え需要が見込めるものと認識しております。現在のところ、当社と類似したサービスを提供している会社はありますが、品質、サポート体制、顧客基盤、新サービス開発力において当社に優位性があるものと認識しております。従いまして、当事業を推進していくうえで、他社との競合が激化するような可能性は低いものと考えておりますが、将来において、新たな技術、手法による遺影写真等の画像加工サービスが開発され、当社が提供するサービスに置き換わるような事象が生じた場合には、当社グループの業績や財政状態に影響を与える可能性があります。
また、フォトブック事業において提供しております、高品質なオンデマンド写真印刷による、少ロット、低価格の個人向け写真集の作製は、フューネラル事業で蓄積してきた高い画像処理ノウハウや、高度なカラーマネジメント技術、特殊印刷機制御技術など広範囲にわたる技術やノウハウを基として確立した事業であります。当社と同様の事業を行う会社は存在しますが、品質、営業・サポート体制、顧客基盤、新製品開発力において当社に優位性があるものと認識しております。しかしながら将来において、技術開発とマーケティングの両面において能力の高い企業が市場に参入し、競争の激化によって当社の優位性が失われた場合には、当社グループの業績や財政状態に影響を与える可能性があります。
(3) システム障害について
当社グループの事業はインターネットなど通信ネットワークを利用しているため、地震や水害等の自然災害、火災・電力供給の停止等の事故あるいはコンピューターウィルス等の外部からの不正な手段によるコンピューターへの侵入等により、通信ネットワークの切断、ネットワーク機器等の作動不能や誤作動等の事態が生じた場合に、当社の事業に大きな影響を与える可能性があります。
当社グループにおいては、このようなリスクを回避するため、自動バックアップシステムの構築や、緊急時のシステム対応の徹底、自家発電設備の導入等の対策を講じておりますが、このような対策にもかかわらず何らかの要因でシステムに障害が発生した場合、当社グループの業績や財政状態に影響を与える可能性があります。
(4) 情報資産の管理について
当社グループは、事業を遂行するにあたり、個人情報や顧客情報をはじめとする多様な情報資産を取扱うことになります。
そうした情報資産の機密保持につきましては、情報を取扱うデータベースへのパスワードによるアクセス制御等セキュリティ対策を整えるほか、徹底した社員へのモラル教育実施や内部監査の強化などを行うことで、当社グループ内部からの漏洩防止に努めるとともに、個人情報に関してはプライバシーマークを取得するなど管理体制を整備しております。あわせて、将来的なISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)の認証取得を目指して、ISMS認証基準に準拠した管理体制の構築を進めており、さらなる情報資産の管理体制の強化を推進しております。また、顧客資産の管理につきましては、管理手法の徹底、教育、付保などの対策を講じております。こうした対策にもかかわらず、不測の事態により情報資産の漏洩または紛失が発生した場合、当社グループの社会的信用の低下や賠償の支払などにより、当社グループの業績や財政状態に影響を与える可能性があります。
(5) サービスの展開について
当社グループは、新しい写真文化の創造を目指して、常に他社に先駆けて積極的に新サービスを展開する方針であります。新サービスの展開にあたっては、当社において研究開発やシステム開発を行う必要があり、当該開発が様々な要因により時間を要して対応が遅れた場合や、必ずしも当初の想定どおりに進捗しなかった場合には、当社グループの業績や財政状態に影響を与える可能性があります。
また、開発が想定どおりに進捗した場合であっても、販売網の構築や新サービスの認知に時間がかかることや顧客ニーズに十分応えることができないなどの原因により、収益獲得が想定どおりに進捗しなかった場合には、当社グループの業績や財政状態に影響を与える可能性があります。
(6) 空中ディスプレイ事業について
当社グループは、映像画像の新しい表現方法として、空中結像技術を取得し、空中ディスプレイ事業として、事業を開始しました。非常に斬新でユニークな技術であるがゆえに、さらなる技術開発に想定より時間がかかったり、コストがかかる可能性があります。また、空中結像を可能にするプレートの少量生産には成功しており、本格量産段階への移行を進めていますが、量産化が想定どおりに進まない可能性があります。マーケティングが上手く行えなかったり、販売パートナーの開拓や製品・技術の認知に時間がかかったり、顧客ニーズに十分応えることができない可能性があります。これらの原因により、収益獲得が想定どおりに進捗しなかった場合には、当社グループの業績や財政状態に影響を与える可能性があります。
また、当技術は、高輝度、高精細、高い飛び出し距離など優位性を持っておりますが、当技術より優れた技術が出現し、当技術が陳腐化する等の原因により、収益獲得が想定どおりに進捗しなかった場合には、当社グループの業績や財政状態に影響を与える可能性があります。
(7) 海外での事業展開の進捗について
当社グループは、フォトブック事業においては、新しい写真文化の創造を目指して、アメリカなど海外に事業を展開する方針であります。また、空中ディスプレイ事業においても、海外市場を含めて営業展開を図っております。海外への事業展開にあたっては、文化、言語、習慣の違いなどからマーケティングに想定以上の時間がかかったり、適切な代理店網の構築が十分にできないことやサービスの認知に想定以上の時間がかかるなどの原因により、収益獲得が想定どおりに進捗しなかった場合には、当社グループの業績や財政状態に影響を与える可能性があります。
(8) 販売代理店との関係について
当社グループは、海外におけるフォトブック事業及び空中ディスプレイ事業の展開においては、各エリアごとに販売代理店を設置し、販売代理店と協働して市場の拡大を図っております。現時点では、販売代理店と友好的かつ安定的な関係を維持しておりますが、今後何らかの理由により有力な販売代理店との関係が悪化した場合、当社グループの業績や財政状態に影響を与える可能性があります。
(9) 為替変動の影響について
当社グループは、フォトブック事業及び空中ディスプレイ事業においては、主に海外代理店を通じての海外展開を図っており、海外向け売上も一定の規模があります。海外向け売上は外貨建て取引が中心であり、急激な円高となった場合は、海外向け売上の採算が悪化し、当社グループの業績や財政状態に影響を与える可能性があります。
(10) 知的財産権について
当社グループは、積極的に特許権、商標権等の出願を行い、知的財産権の保全を図っていく方針でありますが、これらの登録出願が認められない可能性があり、そのような場合には当社グループの今後の業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社の知的財産権が侵害された場合には、解決までに多くの時間及び費用が発生するなど、当社グループの業績や財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループではこれまで知的財産権に関しての侵害訴訟等を提起されておりません。しかしながら、当社グループの事業分野における知的財産権の現況を完全に把握することは非常に困難であり、当社グループが把握できないところで知的財産権を侵害している可能性は否定できません。また、今後当社グループの事業分野における第三者の特許権など知的財産権が新たに成立し、損害賠償または使用差止等の請求を受ける可能性があり、そのような場合には当社グループの業績や財政状態に影響を与える可能性があります。
(11) 生産能力の集中について
当社グループは、フューネラル事業の生産能力の約3分の2、フォトブック事業の生産能力のほとんどが広島県広島市の本社及びその周辺に集中しております。これは生産能力の集中による生産設備の高稼動や、効率的な生産体制の構築、生産人員の教育の容易さなど集中させているメリットが十分にあると判断しているためであります。フューネラル事業では、オペレーションセンターを国内3か所(広島・千葉・滋賀)に分けて設置するなど、そのリスクを分散すべく対策をとっておりますが、地震や水害等の自然災害、火災・電力供給の停止等の事故、物流網の障害などが生じた場合、製品・サービスの供給が滞り、当社グループの業績や財政状態に影響を与える可能性があります。
(12) 特定取引先への集中について
当社グループは、フォトブック事業において、株式会社NTTドコモへのOEM供給を行っており、一定以上の販売比率となっております。
当連結会計年度末現在、株式会社NTTドコモとは良好かつ安定的な関係を構築しておりますが、同社との取引条件の変更等があった場合、当社グループの業績や財政状態に影響を与える可能性があります。
(13) ベンチャー企業への投資について
当社グループは、持続的な成長を実現するために、優秀な技術を有するベンチャー企業に投資を行い、シナジー効果により当社事業が進展することや、ベンチャー企業の成長を通して当社の業績に寄与することを期待しております。そのために、経営者との面談、保有技術の評価、市場性や事業計画の吟味など必要な手続きをとっております。
しかしながら、ベンチャー企業との相乗効果が想定ほど得られなかったり、ベンチャー企業の成長が想定以上の時間がかかるなどの原因により、投資からの収益獲得が想定どおりに進まなかった場合には、当社グループの業績や財政状態に影響を与える可能性があります。
(14) M&Aについて
当社グループは、事業拡大等を目的として、M&Aを一つの選択肢として考えております。M&Aの実行に際しては、ビジネスや財務、法務等に関する詳細なデューデリジェンスを行い、リスクの低減に努める方針であり、その方針に基づき2024年4月期において、株式会社BETの全株式を取得いたしました。
しかしながら、これらのデューデリジェンスで想定・確認がされなかった事項がM&A等の実行後に判明あるいは発生した場合、市場環境の変化等により事業展開が想定どおりに進まない場合、のれんの減損処理の必要が生じた場合等には、当社グループの業績や財政状態に影響を与える可能性があります。
(15) 小規模組織であることについて
当社グループは、当連結会計年度末現在、取締役5名、監査役3名並びに従業員440名と規模が比較的小さく、社内管理体制もこの規模に応じたものになっております。今後につきましては、事業拡大に伴い人員増強を図り、社内管理体制もあわせて強化・充実させていく方針でありますが、事業の拡大及び人員の増加に適時適切に組織的対応ができなかった場合は、結果として当社グループの事業遂行及び拡大に悪影響を与える可能性があります。
また、小規模な組織であるため、業務を特定の個人に依存している場合があります。2018年5月より執行役員を設け、権限委譲を進めており、今後も、さらなる権限委譲や業務の定型化、代替人員の確保・育成などを進める予定でありますが、特定の役職員の社外流出などにより、当社グループの業績や財政状態に影響を与える可能性があります。
(16) 新型コロナウイルス感染症の影響について
新型コロナウイルス感染症の影響は軽減傾向にありますが、個人の働き方や生活様式、行動様式に大きな影響を与えております。
このような状況の中、当社グループは、この変化をチャンスととらえ、具体的には空中ディスプレイ事業にて推進しております空中結像による非接触操作は大きな注目を受けており、その事業化に努めてまいります。また、冠婚葬祭業界や写真業界においてもこの変化を的確に捉えたサービス提供に努めてまいります。
こうした対応にも関わらず、冠婚葬祭や写真撮影の在り方などが変容し、その結果当社サービスの価値が減少してしまう場合には、当社グループの業績や財政状態に影響を与える可能性があります。
(17) ダイバーシティについて
当社グループは、持続的な成長を実現するためには、多様な考え方、バックグラウンドを持つ人材がそれぞれの個性を発揮して活躍することによる新たな価値創造が不可欠であり、それを可能にする環境整備が重要と考えております。多様な人材がパフォーマンスを発揮できる制度や環境を醸成できない場合には、当社グループのレピュテーションが損なわれる可能性、優秀な人材を確保できず、多様性がもたらすイノベーション創出が達成できない可能性があり、その結果、当社グループの業績や財政状態に影響を与える可能性があります。
なお、当社グループの人材育成方針及び社内環境整備については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)重要なサステナビリティ項目 ①人的資本」に記載のとおりです。
配当政策
3 【配当政策】
当社は、株主に対する利益還元を重要な経営課題として認識しており、配当につきましては、将来の事業展開と経営体質の強化のために必要な内部留保を確保しつつ、配当性向30%以上を目安に、業績に応じた配当を継続して実施していくことを基本方針としております。
当社の剰余金の配当は、年1回の期末配当を基本的な方針としております。配当の決定機関は、中間配当は取締役会、期末配当は株主総会であります。
上記方針のもと、当事業年度の配当につきましては、1株当たり7.00円といたしました。
内部留保資金の使途につきましては、今後の事業展開への備えと、設備投資、研究開発投資として、投入することとしております。
なお、当社は中間配当を行うことができる旨を定款に定めております。
基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。