2025年3月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

 当社グループの事業等に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項は以下のとおりであります。

 なお、以下の記載のうち将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)派遣社員の確保について

 当社グループの営む事業の性質上、顧客の求めるスキルや経験を有する求職者を速やかに選任できる体制を整えることが、事業拡大には不可欠な要素であると考えております。しかしながら、雇用情勢の変化等により顧客が要望する求職者を十分に確保できない場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 このようなリスクに対応するため、全国に研修のための施設を設け、求職者を教育・養成する注力するとともに、2022年4月以降は、継続的な報酬のアップを行い、派遣社員の確保に努めております。また、報酬アップに加え、正社員型派遣においては、配属エリアを限定したスタッフの採用を実施し、派遣スタッフの希望に出来るだけ応えること、登録型派遣については営業体制を強化し、求職者のニーズにマッチする求人をより多く取り揃えることで、採用数の増加や退職率の低減に努めております。

 

(2)法的規制ならびに関連法規の改正について

 人材派遣事業は、「労働者派遣法」、「労働契約法」を中心とした、労働に関する各種法令の適用を受けます。また、人材紹介事業は、「職業安定法」の適用を受けます。万一当社グループが法令違反などを行った場合、労働者派遣事業および人材紹介事業を行えない、もしくは一時的に停止する状況となり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、今後法改正が実施された場合、その改正内容によりましては、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 しかしながら、当社グループは法令順守を重視した事業運営を行っており、現在までに労働者派遣法および職業安定法の欠格事由(注)に該当する事実や業務停止命令を受ける法令違反の事実はありません。

 なお、労働者派遣法および関連諸法令については、これまでにも労働市場をとりまく状況の変化等に応じて、改正が適宜実施されており、当社グループでは、その都度、当該法改正に対応するための諸施策を講じております。

 

(注)人材派遣事業の欠格事由は労働者派遣法第6条に、人材紹介事業の欠格事由は職業安定法第32条にそれぞれ定められております。

 

(3)企業買収に伴うリスクについて

 当社グループが企業買収を行った後、計画通りに事業展開が進まなかった場合には、減損会計の適用に伴うのれんの減損処理が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 買収に際しては、対象企業に対する十分なデューデリジェンスを実施し、買収後についても定期的なモニタリング体制を整えることで、リスクの特定・抑制を図るとともに、買収効果を最大化することで持続的な成長を目指しております。

 

(4)個人情報の管理について

 当社グループは、人材サービス関連事業を行っているため、多数の社員および求職者の個人情報を有しております。万一個人情報の漏洩や不正使用等の事態が発生した場合、企業イメージが悪化し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 これらの個人情報保護と派遣先企業、派遣労働者からの信頼の向上のため、当社グループでは年間3回の社員研修を行い、情報管理に関する教育を行うとともに、情報漏洩を防ぐシステム上の仕組みを数多く設けております。なお、2001年9月には財団法人日本情報処理開発協会(現一般財団法人日本情報経済社会推進協会)より個人情報の適切な取扱事業者に付与される「プライバシーマーク」の認定を、WDB株式会社が取得しております。

 

(5)自然災害等の影響について

 当社グループの想定を大きく上回る規模での台風・地震・洪水・疫病等の自然災害や事故により、当社グループや主要顧客の事業活動の停止又は事業継続に支障をきたす事態が発生した場合には、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 これらの事態に備え、当社グループでは従業員の被災リスクを把握しつつ、電子データの分散管理を行うことで、災害発生時にも事業運営を継続できる体制を整備しております。なお、過去に起こった災害時には、代表取締役社長が中心となった対策本部を設置し、状況の把握と被災した社員、派遣社員への対応を行ってきた実績があります。

 

(6)海外事業の拡大に伴うリスクについて

 当社グループは、CRO事業において、欧州および米国での事業展開を行っております。これらの国々において政治・社会体制の急激な変化などが発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 これらのリスクに対しては、進出先国の政治・社会情勢を定期的に把握し、リスクの兆候を早期に認識できる体制を整え、タイムリーに情報収集することで、事業運営に反映させています。

 

(7)社会保険(健康保険および厚生年金保険)の改定に伴う影響について

 制度改革に伴う社会保険料の料率改定や、社会保険加入要件の見直し等により、雇用事業主である当社グループの社会保険料負担が増加した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 このリスクに対応するため、当社グループは、コスト管理を徹底して効率的な経営を心掛けるとともに、サービスの質を維持・向上させ続けることで、派遣料金の定期的な改定につなげております。

 

(8)技術革新に伴う省人化・無人化について

 AIやロボットをはじめとした技術革新に伴い、顧客の省人化・無人化が進むことで、人材サービスの需要が大きく減少した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 そのような未来を見据えた事業展開に取り組むとともに、事業環境に応じた柔軟な経営判断ができるよう、社員のスキル向上や専門知識の強化を図ってまいります。

 

配当政策

3【配当政策】

 当社は、株主の皆様への長期的利益還元を経営の重要な課題の一つと位置付けており、利益水準、業績見通し等を踏まえたうえで、安定的かつ継続的な利益還元を実施していくことを基本方針としております。

 当社の剰余金の配当は、中間配当及び期末配当の年2回を基本的な方針としております。配当の決定機関は、中間配当が取締役会、期末配当が株主総会であります。なお、当社は中間配当を行うことができる旨を定款に定めております。

 2025年3月期の配当につきましては、上記の基本方針のもと、1株当たり普通配当62.5円(うち中間配当金24.0円)の配当を実施する予定であります。

 内部留保資金につきましては、今後も予想される経営環境の変化に対応すべく、システム開発、人材採用、社員教育、新規事業、海外事業などに有効投資してまいりたいと考えております。

 

(注) 基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額

(千円)

1株当たり配当額

(円)

2024年11月8日

471,337

24.0

取締役会決議

2025年6月26日

756,100

38.5

定時株主総会決議(予定)