2025年3月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります

(単一セグメント)
  • 売上
  • 利益
  • 利益率

最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています

セグメント名 売上
(百万円)
売上構成比率
(%)
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
(単一セグメント) 14,206 100.0 2,480 100.0 17.5

事業内容

3【事業の内容】

 当社は、女性向けのライフスタイルに関する動画配信サービスの運営及び当該サービスを通じた広告配信を主たる事業として、事業を開始しました。その後、一般的に属人化しやすい広告運用業務を自動化、効率化するため、自社開発AIシステム「SELL(セル)」を開発し「AIマーケティング事業」を開始しました。

 当社はこの「AIマーケティング事業」を通じて「SELL(セル)」に蓄積したノウハウやデータを自社ブランドのマーケティングに活用し(図1)、加えて「SELL(セル)」に「D2C(*1)ブランド事業」に関わる機能拡張を行い、自社ブランド商品の販売を行う「D2Cブランド事業」を飛躍的に成長させております。

 なお、効率的な事業成長のため、現在当社の事業は「D2Cブランド事業」の単一事業としております。

 

(図1)「AIマーケティング事業」のノウハウを「D2Cブランド事業」に活用

 

[D2Cブランド事業]

(1)「SELL(セル)」について

「AIマーケティング事業」でクライアント企業の新規顧客獲得のための広告運用を、効率的に行うために開発した「SELL(セル)」を自社ブランドのマーケティングに活用するとともに、自社ブランドの運営を通じて得た、商品開発、需要予測、広告クリエイティブ(*2)作成、広告運用、CS(*3)対応、CRM(*4)施策までのブランド運営を取り巻く一連の業務データ等を分析し、これらを基に「SELL(セル)」の機能拡張を行っております。これにより「D2Cブランド事業」の生産性向上を推進し、現在は化粧品や美容家電領域を中心に商品開発を行い、連続的にヒット商品を生み出すことを追求しております。「D2Cブランド事業」における「SELL(セル)」の活用領域は図2のとおりです。

 

(図2)「SELL(セル)」の活用領域

 

 

(2)販売方法

「D2Cブランド事業」では、「自社ECサイト販売」「ECモール販売」「店頭卸販売」の販売チャネルを通じて、自社で企画・開発し、OEMに製造委託した商品を顧客に販売しております。主力ブランドである「Yunth」の「生VC美白美容液」は延べ500万個以上(2025年3月現在)出荷しております。販売方法別の収益イメージは図3に記載のとおりです。

特に「自社ECサイト販売」においては、顧客に一定間隔で継続的に商品をお届けする、定期購入サービスを中心とした販売活動を行っており、新規の定期購入者を増やしていくこと及び定期購入者のLTV(*5)を維持・向上させることで継続的な収益が見込まれるストック型ビジネスモデルとなっております。なお、自社ECサイトへの顧客誘導は主にSNS広告を中心に行っております。

 

(図3)販売方法別の収益イメージ

 

「ECモール販売」は、楽天市場、Amazon等のECモール内に自社店舗を出店し、商品の販売を行っております。商品ページの表示や商品の詳細説明に注力し、分かりやすい表示を心がけております。加えて、自社ECサイト販売同様の丁寧な顧客対応や、商品そのものの魅力をご評価いただき、Yunthは「楽天市場」で生VC美白美容液が「楽天ベストコスメ2024総合大賞1位」「楽天ベストコスメ2025上半期総合大賞1位」やその他多数の賞やランキング上位を獲得、BrighteはEREKI BRUSHが「Amazon」で「美顔器・美容器ランキング1位」、その他多数の賞とランキング上位を獲得する実績があり、ECモールのランキング上位に位置することにより、更なる集客力の向上を図っております。

 

「店頭卸販売」は、自社のECサイトやECモールでの直接販売に加え、販売チャネルの強化や認知度の向上を目的として行う、店頭販売のための販売代理店に対する卸販売です。当社が販売代理店に対して販売した商品は、全国のドラッグストアやバラエティショップ等、合わせて10,232店舗(2025年3月現在)の小売店を通じてお客様にご購入いただいております。

 

「D2Cブランド事業」全体の事業系統図は図4に記載のとおりです。

 

(図4)「D2Cブランド事業」 事業系統図

 

(3)展開ブランド・商品

 スキンケアブランドの「Yunth」、美容家電ブランドの「Brighte」を主要ブランドとして、これらのブランド内で商品のラインナップを拡大しております。

 

 「Yunth」は、youth(若さ)にかけた造語で、スキンケアブランドとして、商品のラインナップを拡大させており、今後も同ブランドでの商品開発を予定しております。

 主力商品である「生VC美白美容液」は、メラニンの生成を抑制しシミやそばかすを防ぐことで、美白効果が認められる美容成分アスコルビン酸を配合した商品です。一回使い切りで、新鮮感のある個包装の商品パッケージや、商品の使用感が特徴的です。SNSを中心に認知拡大を行っており、現在当社の業績を牽引する商品となっております。

 その後の商品においても、アスコルビン酸を配合した商品には名称に「生VC」を付しており、顧客からYunth=生VCという一定の認知も得られていると考えております。

 

(「Yunth」商品ラインナップ)

 

 2024年2月にローンチした「Brighte」は、bright(明るい、光る)にelectronic(電子)を連想させる「e」を付け加えブランド名としました。中価格帯の美容家電ブランドとしての位置づけであり、今後も同ブランドで商品を展開していく予定です。著名タレントを起用したブランディングも行い、顧客への認知拡大を推進しております。販売については、これまでのECサイトを中心とした販売に加え、家電量販店向けの卸販売も行っております。

 ブランドのローンチとともに、3つの異なるモードを搭載し多機能が特徴のELEKI LIFT、流行のブラシ型美顔器ELEKI BRUSHの2機種の美顔器を販売しております。現在、ELEKI BRUSHについては、大幅に機能を向上させたELEKI BRUSH+へマイナーチェンジを行っております。2025年3月には“乾くのに、乾かない”をコンセプトとした、風とともに美容成分の入ったミストを噴霧するSHOWER DRYERをラインナップに追加しております。

 

(「Brighte」商品ラインナップ)

 

(4)「SELL(セル)」の活用領域の詳細

①商品開発

 製造工程を除き商品の企画・開発から販売までを自社で行うことにより、顧客の反応や要望をダイレクトに汲み取り、商品の企画・開発に活用できる仕組みを構築しております。また、「SELL(セル)」を活用し、口コミデータ、広告配信データ、自社商品の販売データ等の市場トレンドデータをテキスト解析、分類、スコアづけの技術を用い、自動分析することで、数値化し、人気商品となる可能性の高い商品の開発に活かしております。

 開発された試作品は、社内でテストを実施し、改良を加え、発売しております。発売後は、顧客の反応や要望を汲み取り、適宜、商品改良を行いつつ安定的に販売量を増やし顧客に長く好まれるように運営を行っております。

 2024年2月にローンチした「Brighte」においては、美容家電領域の市場トレンドデータや競合商品の分析を「SELL(セル)」にて実施し、美容家電領域での新商品開発の検討、競合商品との差別化ポイントを洗い出すことで、商品開発に活用しております。

 

②需要予測

 「SELL(セル)」に蓄積している顧客の購買データを機械学習により分析・解析することで、季節要因や成長可能性を加味した将来の需要予測を行っております。これにより精度の高い在庫管理・発注管理を実現しております。

 

③CR(クリエイティブ)作成

 「SELL(セル)」に素材画像を登録するだけで、商品情報や過去の広告配信結果データを分析し、広告効果の高いバナー画像や広告記事といったCR(クリエイティブ)を自動生成することができます。本機能を利用することにより、効率的に、効果の高い広告作成が可能となっております。

 

④広告運用

 「SELL(セル)」が過去の広告配信データから、効果の高いクリエイティブの傾向を機械学習し、出稿する広告の効果予測を行います。これにより高い効果の見込まれる広告を効率的に出稿することができます。作成されたクリエイティブは出稿担当者のチェックを経て出稿されますが、媒体と「SELL(セル)」をAPI連携することで、出稿作業や広告効果のレポーティングも自動で行われ、担当者の作業が効率化されております。

 

⑤CS対応

 顧客からのお問い合わせメールの内容を「SELL(セル)」がテキスト解析等により分類、判断し、返信文生成やエスカレーション判定を行っております。顧客からのお問い合わせ内容を区分して対応することで、対応品質を担保しながら、オペレーターのリソースを削減し、効率的なCS対応を実現しております。

 

⑥CRM施策

 全ての期間の顧客の購買データを「SELL(セル)」が分析・解析することにより、継続的にご購入いただける見込み顧客に対する販促施策や、当社商品を利用したものの利用を休止した休眠顧客の取引再開に向けた施策を成功確度高く講じることができます。

 

[用語の説明]

 

用語

説明

*1

D2C

Direct to Consumer(ダイレクト トゥ コンシューマー)の略で、消費者に対して商品を直接的に販売する仕組みのことを指す。

*2

クリエイティブ

画像やテキストを組み合わせたバナーや広告記事のことを指す。

*3

CS

Customer Satisfaction(カスタマー サティスファクション)の略称で、自社の商品やサービスに対して顧客がどのくらい満足しているかを指す。

*4

CRM

Customer Relationship Management(カスタマー リレーションシップ マネジメント)の略で、顧客情報や行動履歴、顧客との関係性を管理し、顧客との良好な関係を構築・促進することを指す。

*5

LTV

Life Time Value(ライフタイムバリュー)の略で、ある顧客が自社と取引を開始してから終了するまでの期間にどれだけの利益をもたらしてくれるかを指す指標である。

 

 

業績

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

a.経営成績の状況

 当事業年度における我が国経済は、個人消費も徐々に持ち直しの兆しを見せた一年でした。物価上昇への対応としての賃上げや、日銀による金融政策の転換が注目される中、消費者の購買行動にも変化が見られました。当社が主に事業展開を行う、スキンケア、美容市場に関しては、引き続き美容への意識の高まりは継続しており、需要が底堅く推移しました。

 業界全体では、コロナ禍以降、リアル店舗での購買が徐々に回復する一方で、EC(電子商取引)市場も引き続き拡大しており、多様なチャネルを通じた販売戦略の重要性が増しています。

 このような市場環境の中、当社はより多くの消費者に商品を手に取っていただけるよう、品質にこだわりながらも価格・デザインのバランスに優れた商品提供に注力してまいりました。

 当社の主力ブランドである「Yunth」では、当事業年度において、新たに7つの新商品の発売を開始し、ブランドラインナップを拡大しております。「生VC美白美容液」については、楽天ベストコスメ総合大賞第1位を獲得しており、依然として大変ご好評いただいております。Yunthブランドのその他商品についても各方面の賞をいただいており、堅調にご愛顧いただいております。

 2024年2月にローンチした美容家電ブランドの「Brighte」についても、「ELEKI BRUSH」がAmazonや楽天のランキングで1位を獲得する等、大変好調に販売数を伸ばしております。2025年3月には当ブランドより新たにヘアドライヤー「SHOWER DRYER」の販売を開始し、商品ラインナップを拡充しております。

 以上の結果、当事業年度の売上高は14,206,033千円(前年同期比101.2%増)、営業利益は2,480,288千円(前年同期比97.3%増)、経常利益は2,422,741千円(前年同期比96.3%増)、当期純利益は1,703,320千円(前年同期比106.4%増)となりました。

 

b.財政状態の状況

(資産)

 当事業年度末における資産合計は6,966,482千円となり、前事業年度末に比べ2,411,288千円増加いたしました。これは主に、利益と借入により現金及び預金が914,643千円、事業の拡大により売掛金が504,077千円、商品数の増加により棚卸資産が591,391千円、タレント契約料等の前払費用が121,646千円、本社事務所を拡張したことにより有形固定資産が220,604千円増加したことによるものです。

 

(負債)

 当事業年度末における負債合計は3,656,505千円となり、前事業年度末に比べ230,488千円増加いたしました。これは主に、商品仕入タイミングにより買掛金が75,692千円、広告費やプロモーション等に係る未払金が262,641千円、課税所得が増加したことによる未払法人税等が293,807千円、課税売上が増加したことによる未払消費税等が197,287千円増加し、運転資金の調達のための有利子負債が594,012千円減少したことによるものです。

 

(純資産)

 当事業年度末における純資産合計は3,309,977千円となり、前事業年度末に比べ2,180,799千円増加いたしました。これは、当期純利益の計上により利益剰余金が1,703,320千円増加したこと及び2024年9月に実施した公募増資等により資本金が238,757千円、資本準備金が238,757千円増加したことによるものであります。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、3,932,150千円となり前事業年度末に比べ1,014,643千円増加しました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は、1,314,356千円となりました。これは主に売上債権の増加額504,077千円、棚卸資産の増加額591,391千円、法人税等の支払額423,040千円による資金減少があったものの、税引前当期純利益

2,422,741千円、未払金の増加額261,466千円、未払消費税等の増加額197,287千円による資金増加があったことによるものであります。

 

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果支出した資金は、156,696千円となりました。これは主に定期預金の払戻による収入100,000千円があったものの、有形固定資産の取得による支出254,082千円があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果支出した資金は、143,016千円となりました。これは主に長期借入による収入313,000千円、新株の発行及び新株予約権の行使による株式の発行による収入477,515千円があったものの、長期借入金の返済による支出419,012千円、社債の償還による支出488,000千円があったことによるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社の提供する事業の性格上、生産実績の記載に馴染まないため、記載を省略しております。

 

b.受注実績

 当社の提供する事業の性格上、受注実績の記載に馴染まないため、記載を省略しております。

 

c.販売実績

 当社は、D2Cブランド事業の単一セグメントであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自2024年4月1日

至2025年3月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

D2Cブランド事業

14,206,033

201.2

合計

14,206,033

201.2

(注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績の10%以上の相手先がないため、記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。

この財務諸表の作成にあたっては、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。当社は、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

②経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況分析(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に含めて記載しております。

 

③キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

 キャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況分析(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

④資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社の主な資金需要は、商品仕入、広告投資、人件費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。また、D2Cブランド事業の新ブランド開発や新商品開発等の新たな投資に係る資金需要が生じております。

 当社は、財政状態と投資のバランスを重視しつつ、事業活動に必要な運転資金及び投資コストは、主として手許の自己資金、金融機関からの借入や社債発行及び新株式発行により調達いたします。

 

⑤経営者の問題認識と今後の方針

 経営者の問題認識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

⑥経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。