リスク
3【事業等のリスク】
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項につきまして、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下のとおり記載しております。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、将来において発生の可能性がある全てのリスクを網羅することを保証するものではありません。
(1)事業環境・事業内容について
①市場動向の変化と競合の激化
発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大
当社事業が主に属する化粧品市場は、国内外問わず大小の競合企業が存在しており、また、商品の製造を請負うOEM企業等の存在により製造設備を持たずに事業展開が可能であることから、参入障壁が低く、新規参入事業者も出現しております。このような競争環境のもと、当社は、顧客ニーズを踏まえ、商品の改良を行いブランドの価値の向上に努めるとともに、顧客データベースやAIマーケティングのノウハウを活用した顧客との関係性構築を行っております。しかしながら、既存の競合他社との競争の激化や、同業他社の不祥事等による業界イメージの悪化、大規模な資本や高い知名度・ブランド力のある企業等の新規参入、類似商品の販売等により、当社の顧客の流出やそれに対処するための様々なコストが増加した場合には、当社の財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
②特定のブランド及び商品への依存
発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大
当社の主力ブランドである「Yunth」の「生VC美白美容液」は、2025年3月期において売上高の約50%を占めております。当社は、「Yunth」ブランド内の商品ラインナップ拡張に努めるとともに、同ブランド以外にも2024年2月に美容家電ブランドの「Brighte」をローンチすることで、特定のブランドや商品への依存の低減を図っております。しかしながら、当該商品が品質不良等によりブランド価値が毀損され販売量が大きく低下した場合、また、同商品に次ぐ商品の開発につき当初意図した成果が得られない場合には、当社の財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
③顧客ニーズの変化
発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大
新規ブランド及び商品の開発、育成並びにマーケティング活動の顧客ニーズへの適合状況は、当社の売上及び利益に大きな影響を及ぼします。当社では、顧客ニーズに応えるため、コールセンターに寄せられる顧客の声を広く収集する等して、顧客ニーズの変化に合わせて商品の改良を継続的に行っております。しかしながら、商品の開発はその性質上、様々な要因による不確実性が伴うため、当初意図した成果が得られない場合には、当社の財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
④商品の製造委託について
発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大
当社が展開する商品の製造については、製造委託先に外部委託しております。製造委託先のうち、TOA株式会社への依存度は2025年3月期において約50%を占めております。当社は特に適正な製造管理及び品質管理の確保のため、製造委託先に定期的に実地で確認を行い、衛生管理、製造体制等のチェックを行うことで製品品質の維持、改善を行っております。厳正な製造管理及び品質管理を徹底することに加え、製造拠点を複数の工場に分散することでリスクを軽減するよう努めています。また現時点において、当社と同社の関係性は良好であり、同社の不適合製品による問題や、当社の支払い遅延といった解約事由及び継続に支障をきたす要因は発生しておりません。しかしながら、今後何らかの理由で契約解消される場合や同社からの安定的な商品供給が滞った場合、当社から顧客に対する販売活動に支障が出るため、当社の財政状態及び経営成績等に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、経営上の重要な契約等については、「第2 事業の状況 5 重要な契約等」に記載しております。
⑤商品の販売又は提供について
発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大
当社は、製造委託先で製造した商品を仕入れた上で、顧客へ販売しております。当社は、製造委託先における品質管理体制の確認又は検品体制を整備する等、顧客へ提供する商品の品質管理を徹底しております。しかしながら、当社では発売以降、問題が生じた商品を提供したことはないものの、将来、顧客に対し不良品又は瑕疵のある商品を提供してしまう可能性があり、そうした場合において顧客が損害を被ったときは、その損害賠償請求等によって、当社の財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑥在庫の滞留又は欠品について
発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大
当社は、在庫の保有状況をモニタリングしながら発注数量の調整を毎月実施し、滞留が予測される商品について販売施策を追加で立案することで在庫リスクの最小化を図っております。しかしながら、需要動向を見誤ったことによる欠品、ないし滞留在庫が生じた場合には、当社の財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑦自社開発AIシステムの利用について
発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
当社は、自社開発AIシステム「SELL(セル)」を用いた事業運営を行っております。
「SELL(セル)」は市場トレンドデータを活用した新商品の開発、顧客の購買データを活用した需要予測と在庫管理・発注管理、過去の広告配信データを用いた出稿広告の効果予測等の機能を有しております。
「SELL(セル)」の各機能や分析結果データを活用した意思決定を行うことで、運営に必要な各業務の精度を向上するとともに、効率的な事業運営を行っております。しかしながら、例えば、想定していなかった広告市場の価格高騰や市場環境の著しい悪化等により「SELL(セル)」の分析結果等に重要な誤りが生じ、その誤りを検知できずに業務を執り行った場合等、当社が想定する成果を得ることができず、当社の財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑧法的規制等
発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大
当社は、事業の遂行にあたって、特定商取引に関する法律(特定商取引法)、特定電子メールの送信の適正化等に関する法律(特定電子メール法)、不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)、製造物責任法(PL法)、消費者契約法、不正競争防止法、健康増進法、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)、個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)等の法的規制の適用を受けております。
当社は、リスク・コンプライアンス委員会において、リスク管理及びコンプライアンスについて統制・把握し、役職員に対するコンプライアンスの周知徹底や教育の実施等、これらの法令の遵守に努めておりますが、将来的に当社が規制を受けている法令の変更や新たな法令の施行等があった場合は、当社の事業活動が制限される可能性があります。
⑨知的財産権について
発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大
当社では、商品の開発及び販売に際し、第三者の知的財産権侵害の可能性について弁護士や弁理士等の専門家による事前調査を行い、第三者の知的財産権の侵害を未然に防止できるよう、万全の注意を払っております。今後、意図せずに第三者の知的財産権の侵害を理由とする訴訟やクレームが提起されないという保証はなく、そのような事態が発生した場合には、当社の財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑩顧客とのトラブル及び風評
発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大
当社は、顧客が期待する効能効果が体感できなかった場合や健康被害等が発生した場合に、顧客とのトラブルが生じる可能性があります。このようなトラブルの影響がマスコミ報道やインターネット上の書き込み等により発生ないし流布し、当社の商品イメージが低下する等の事態が発生した場合には、当社の財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。また当社の商品に直接関係がない場合であっても、他社の模倣品等によるトラブルや風評等により当社の商品のイメージが低下する等の事態が発生した場合には、当社の財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクに対しては、製造委託先の品質管理状況を定期的に確認しております。また、当社が行う効果効能の記載については、薬機法、景品表示法を専門とする弁護士に依頼し、事前のレビューを受け、トラブルを未然に防ぐよう努めております。
⑪システム障害
発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大
当社の事業は、インターネット環境により行われており、サービスの安定提供のために適切なセキュリティ対策を施しております。しかし、当社が利用しているハードウェア・ソフトウェアの不具合、人為的なミス、コンピューターウィルス、第三者によるサーバーやシステムへのサイバー攻撃等、想定しないシステム障害が発生した場合は、当社の事業活動に支障が生じ、財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクに対しては、当社セキュリティ環境の脆弱性診断を外部機関に委託し、定期的に検証し問題があればその都度対策を講じております。外部委託先についても、脆弱性に問題がないことを定期的に確認しております。
⑫個人情報の管理について
発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大
当社は、当社が運営するECサイト上での商品販売を行うにあたり、個人情報を保有しており、「個人情報の保護に関する法律」が定める個人情報取扱業者としての義務が課されております。当社は、2023年7月、プライバシーマークの認証を取得し、個人情報の保護には個人情報保護規程及びアクセス管理規程を制定し、これに沿った運用を行い、個人情報の取扱いを厳格に管理するとともに、全従業員を対象とした社内教育も定期的に行っております。しかしながら、外部からの不正アクセス、その他想定外の事態の発生により個人情報が社外に流出した場合、当社の財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2)事業体制について
①広告表示の管理体制について
発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大
当社は全ての広告表示に関して、「広告クリエイティブチェックリスト」を用いた複数名による広告審査を実施しており、その徹底した運用を図ることで法令遵守、公序良俗の維持に努めております。具体的には、不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)等の各種法令により一定の制約があるため、薬機法、景品表示法を専門とする弁護士関与の元、適宜チェックリストの見直しを行い、リスクを排除しております。しかしながら、当社の運用が徹底されず、これに違反するような広告の取扱いが行われた場合には、当社の財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
②人材の採用・育成に関するリスク
発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
当社の成長を支えている最大の資産は人材であり、優秀な人材を採用し育成することは当社にとって重要な課題であると認識しております。従って、採用面接の段階で綿密に能力とビジョン等のヒアリングを行い、優秀な人材の確保・育成を推進しております。しかしながら、事業内容の急速な変化、事業規模の急拡大に伴う業務量の増加及び人材マーケットの需給バランスやその他何らかの要因により、必要な人材の確保や育成ができなかった場合、もしくは重要な人材の流出等が発生した場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③小規模組織であることについて
発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
当社は、本書提出日現在、従業員27名と少数精鋭で事業を展開しております。クライアントのニーズに適時に対応できる柔軟な規模でありますが、一方でキーマンの退職、長期病欠等の予期せぬ事態が起こった場合には、当社の財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
④内部管理体制について
発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大
当社は、現在の事業規模に応じた内部管理体制を整備・運用しており、今後は事業規模の拡大に合わせ、内部管理体制も強化させていく方針であります。しかしながら、事業規模の拡大及び人員の増加に合わせ、適時に内部管理体制の強化ができなかった場合、適切な事業運営が行えず、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑤特定人物への依存に関するリスク
発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
当社は、製品の開発や事業戦略の立案等について経営陣に大きく依存しております。特に、当社の創業者であり代表取締役社長である龍川誠は、当社の事業戦略や企業文化の構築、AIサイエンティスト及びエンジニアの獲得にとって極めて重要であり、商品の開発においても中心的な存在です。当社では取締役会、経営会議等を通して役員及び従業員への情報共有や権限委譲を進める等組織体制の強化を図りながら、経営体制の整備を進めており、特定人物への依存に関するリスクを最小限にしておりますが、同氏を含む経営陣に不測の事態が生じた場合や経営陣に人材の流出が生じた場合、当社の財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑥自然災害等のリスク
発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大
商品の製造委託先及び物流業務委託先の拠点地域及び当社が所在する地域に地震等の天災や事故が発生し、物流への影響や、生産及び納品遅延等の事態が生じた場合には、当社の財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクに対しては、災害による生産・納品体制への影響を最小化するため、複数の製造委託先を確保及び製造委託先の分散化に取組んでいます。
(3)その他のリスクについて
①新株予約権の行使による株式価値の希薄化について
発生可能性:高、発生する可能性のある時期:権利行使期間内、影響度:中
当社は、当社の役員及び従業員に対するインセンティブを目的として、新株予約権を付与しております。本書提出日現在、これらの新株予約権による潜在株式数は、1,575,500株であり、発行済株式総数11,678,000株の13.5%に相当しております。これらの新株予約権の行使が行われた場合、発行済株式総数が増加し、1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があり、この株式価値の希薄化が株価形成に影響を及ぼす可能性があります。
②資金調達の使途について
発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
株式上場時の公募増資による資金調達の使途につきましては、今後の事業拡大に向けた人材採用費や人件費に充当する計画であります。しかしながら、経営環境等の変化に対応するため、調達資金を計画以外の使途に充当する可能性があります。また、当初の計画通りに資金が使用された場合でも、想定通りの成果をあげられない可能性があります。なお、上記計画以外の使途に充当することとなった場合、直ちに開示いたします。
③重要な訴訟等
発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大
本書提出日現在において、当社に重大な影響を及ぼす訴訟等は提起されていませんが、将来、知的財産権の侵害や商品に対するクレーム等を理由とする重要な訴訟等が発生し、当社に不利な判断がなされた場合は、当社の財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
配当政策
3【配当政策】
当社は、株主に対する利益還元と同時に、財務体質の強化や事業拡大及び競争力の確保を経営の重要課題として位
置づけております。当社の配当に関する基本方針は、株主の皆様に対する利益還元を重要な経営課題と認識しつつ、業績の推移、財務状況、事業計画に基づく資金需要等を総合的に勘案し、内部留保とのバランスをとりながら、経営成績に合わせた利益配分を基本方針としております。当社は現在、成長過程にあると考えており、そのためまずは内部留保の充実を図り、一層の事業拡大を目指すことが株主に対する最大の利益還元に繋がると考えております。今後においても当面の間は内部留保の充実を図り、優秀な人材の確保や新技術の導入及び新商品開発に向けた投資に充当し、企業価値の向上に努める方針であります。今後の配当実施の可能性及び実施時期等につきましては未定であります。
剰余金の配当を行う場合は、年1回の期末配当を基本方針としており、その他年1回中間配当を行うことができる旨、及び上記の他に、基準日を設けて剰余金の配当を行うことができる旨を定款で定めております。また、当社は会社法第459条第1項の規定に基づき、法令に別段の定めのある場合を除き、取締役会の決議によって定めることができる旨を定款に定めております。