2025年3月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります

デジタルイノベーション事業 ICT事業 ライフサイエンス事業 その他
  • 売上
  • 利益
  • 利益率

最新年度

セグメント名 売上
(百万円)
売上構成比率
(%)
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
デジタルイノベーション事業 2,238 24.3 180 10.6 8.0
ICT事業 5,017 54.5 1,234 73.1 24.6
ライフサイエンス事業 1,922 20.9 279 16.5 14.5
その他 34 0.4 -4 -0.2 -11.8

事業内容

3【事業の内容】

 当社の主たる業務は、創業時からの、海外ICTメーカー・医療機器メーカー・化学分析メーカーの日本市場参入を、専門的な技術サービスでサポートするアウトソーシング事業と、アウトソーシング事業で培った知見を自社サービスとして提供するソリューション事業であります。顧客の要求に的確に対応するために「デジタルイノベーション事業」「ICT事業」「ライフサイエンス事業」「その他事業」の4つのセグメントに分けて、サービスを提供しております。また毎年技術方針を定め、最新技術習得を全社員で取り組んでおります。これらにより、より信頼性のある高度なサービス供給体制を整備しております。

 

セグメント区分

主な事業内容(技術サポート)

デジタルイノベーション事業

IT技術者向け学習データ活用プラットフォーム「Learning Booster(ラーニングブースター)」を提供する人財育成ソリューションサービス、企業の内部脅威対策ソリューションを提供するセキュリティサービス、企業のDX推進を支援するDX開発サービスの3つのサービスで構成されております。

ICT事業

ICTシステムの設計・構築・運用・保守サービスを提供しております。

ライフサイエンス事業

医療機器、化学分析装置などの保守サービスと海外医療機器メーカー向けのコンサルティングサービスの提供及びライフサイエンス分野のICTサービスを提供しております。

その他事業

上記に属さない事業としてインド支店、海外プロジェクト案件が含まれております。

 

[事業系統図]

 

 

 (注)点線は当社が行っている業務ではありません。

 

業績

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

本項における将来に関する事項については、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。

経営成績等の状況の概要

(1)経営成績

 当期におけるわが国経済は、食料品やエネルギー価格を中心とした物価上昇や、アメリカの政策動向に伴う金利変動および為替動向等の影響はありましたが、個人消費や設備投資といった内需を中心に底堅く推移しました。日本経済の先行きにつきましては、雇用・所得環境が改善する下で、継続的な財政政策や金融政策の効果もあり、緩やかながらも回復基調が続くことが期待されます。ただし物価の上昇の継続が、消費者マインドの下振れ等を通じて個人消費に及ぼす影響や、通商政策などアメリカの政策動向による影響が、日本経済を下押しするリスクになっています。また金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある状況となっております。

 なお、当社が属するICTサービス市場におきましては、顧客企業におけるICT投資は幅広い業種で拡大基調が続いており、事業拡大や競争力強化を目的としたICT投資は引き続き力強いものがあります。

 当社においては、当期は第2次中期経営計画の2年目にあたります。2030年に目指す姿として「業界随一のイネイブラー」になることを目指し、以下の点に注力いたしました。

 

ア.顧客企業のDX推進を支援する自社ソリューションの開発を強化しました。

 具体的には、当期においては、以下の点をリリースいたしました。

・AIインテグレーションサービス「Third AI(サードアイ)生成AIソリューション」において、最新の生成AIモデル「GPT-4o」への対応完了(5/15リリース)(デジタルイノベーション事業)

・クラウドトータルソリューション「Kyrios(キリオス)」のラインナップとして、IaC・CI/CD導入支援サービスを提供開始(5/22リリース)(ICT事業)

・クラウドトータルソリューション「Kyrios(キリオス)」のラインナップとして、クラウドのマルチアカウント統制を行う「AWS Control Tower 導入支援サービス」提供開始(5/28リリース)(ICT事業)

・AIインテグレーションサービス「Third AI(サードアイ)生成AIソリューション」において、Amazon Web Service(AWS)が提供する生成AIサービス「Amazon Bedrock」での実装を完了(6/11リリース)(デジタルイノベーション事業)

・ガバメントクラウドの導入支援を行う統合運用管理補助者向けサービス「ガバクラ支援ソリューション」を提供開始(6/19リリース)(ICT事業)

・AIインテグレーションサービス「Third AI(サードアイ)生成AIソリューション」において、Googleが提供する生成AIモデル「Gemini Pro」および「Gemini Flash」の実装が完了(6/25リリース)(デジタルイノベーション事業)

・臨床検査室の信頼性を証明するISO15189に準拠した「環境モニタリングシステム」の導入・運用支援サービスを提供開始(6/27リリース)(ライフサイエンス事業)

・AIインテグレーションサービス「Third AI(サードアイ)生成AIソリューション」において、OpenAIの最新モデルGPT-4o miniへの対応を完了(7/19リリース)(デジタルイノベーション事業)

・AIインテグレーションサービス「Third AI(サードアイ)生成AIソリューション」において、OpenAIの最新モデルo1-preview、o1-miniへの対応を完了(9/13リリース)(デジタルイノベーション事業)

・パーソルクロステクノロジーにITスキルのマネジメントプラットフォーム「Learning Booster」を導入(9/30リリース)(デジタルイノベーション事業)

・ガバメントクラウドのファイル連携アカウント導入サービスの提供を開始(10/30リリース)(ICT事業)

・「Third AI 生成 AI ソリューション」に生成AI活用の可能性を最大化する新機能「Plugins」「WebAPIs」「Voice」を搭載(11/6リリース)(デジタルイノベーション事業)

・「Third AI 生成 AI ソリューション」、コンテンツクラウド「Box」との連携に対応(11/27リリース)(デジタルイノベーション事業)

・「Third AI 生成 AI ソリューション」、最新の生成AIモデルOpenAI o1に対応完了(12/24リリース)(デジタルイノベーション事業)

・生成AIアプリ開発ツール「Dify」の環境構築を支援する「Third AI Dify構築支援ソリューション」をリリース(1/22リリース)(デジタルイノベーション事業)

・「Third AI 生成AIソリューション」、Microsoft Azureで利用可能な最新生成AIモデルDeepSeek R1に対応完了(1/31リリース)(デジタルイノベーション事業)

・「Third AI 生成AIソリューション」、最新の生成AIモデルo3-miniに対応完了(2/3リリース)(デジタルイノベーション事業)

・「Third AI 生成AIソリューション」、マルチAIエージェントシステムの機能を追加(2/4リリース)(デジタルイノベーション事業)

・「Third AI 生成AIソリューション」、最新の生成AIモデルGPT-4.5に対応(2/28リリース)(デジタルイノベーション事業)

・「Third AI 生成AIソリューション」、最新の生成AIモデルo1-proに対応(3/26リリース)(デジタルイノベーション事業)

 

イ.利益率の高いシステム設計・構築及びコンサルティング領域への進出を加速させるため、エンジニア及びコンサルタントの採用及び教育の投資を更に拡大しました。

 具体的には、当期においては、エンジニア向けにクラウド技術習得を全社で推進した結果、以下の認定を取得しました。

・「AWS 300 APN Certification Distinction*1」認定を取得(5/13リリース)(ICT事業)

・「2024 Japan AWS Jr. Champions*2」「2024 Japan AWS All Certifications Engineers*3」に社員が選出(6/21リリース)(ICT事業)

・「AWS 400 APN Certification Distinction*1」認定を取得(2/13リリース)(ICT事業)

 

*1.「AWSパートナーネットワーク (APN) Certification Distinction」(認定数達成表彰) は、APNのパートナー企業におけるAWS認定資格の合計取得数が一定値に達するごとに、AWSから認定を受けることができる制度です。

*2.APN参加企業に所属し、AWSを積極的に学び、コミュニティのリードなど自ら起点となって周囲に影響を与え、アウトプットを通じて周囲へ貢献している、社会人歴1~3年目の若手エンジニアを対象とした表彰プログラムです。

*3.APN参加企業に所属し、「AWS認定資格を全て保持している」AWSエンジニアを対象にした表彰プログラムです。

 

ウ.AI等を開発強化・利活用を促進し、業務の徹底的な効率化を行いました。

 具体的には、当期においては、上記「ア」に記載のAIインテグレーションサービス「Third AI(サードアイ)生成AIソリューション」のサービスリリース前から、全社の取り組みとして全社員がいつでも利用できる環境を整え、業務の効率化を推進しました。

 

 以上の結果、当社の当事業年度の売上高は9,211,357千円(前期比13.4%増)、営業利益は820,158千円(同29.9%増)、経常利益は828,649千円(同24.4%増)、当期純利益は562,703千円(同16.6%増)となりました。なお、人財育成ソリューションサービスにおけるIT技術者向け学習データ活用プラットフォーム「Learning Booster(ラーニングブースター)」について、「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき、当社の保有する固定資産について将来の回収可能性を検討した結果、ソフトウエア等について一部減損処理を行ない、当期において減損損失72,314千円を特別損失にて計上いたしました。

 

 各セグメントの状況は、以下の通りです。

 

①デジタルイノベーション事業

 当事業は、IT技術者向け学習データ活用プラットフォーム「Learning Booster(ラーニングブースター)」を提供する人財育成ソリューションサービス、企業の内部脅威対策ソリューションを提供するセキュリティサービス、企業のDX推進を支援するDX開発サービスの3つのサービスで構成されております。

 当期において、人財育成ソリューションサービスは、ICTメーカー向けの教育アウトソーシングは減少したものの、顧客企業と直接取引形態のICTトレーニング請負が増加したことから、前期比で増収増益となりました。セキュリティサービスは、顧客企業と直接取引形態の内部脅威対策ソリューション販売が伸びたため前期比で増収増益となりました。DX開発サービスは、OEM形態の生成AI関連サービスが増加したため前期比で増収となりました。

 以上の結果、デジタルイノベーション事業の売上高は2,237,709千円(前期比24.1%増)、セグメント利益は179,778千円(同23.9%増)となりました。

 

②ICT事業

 当事業は、ICTシステムの設計・構築・運用・保守サービスを提供しております。

 当期において、システム構築サービス(ICTシステムの設計・構築)は、クラウド関連及びガバメントクラウドの大型スポット案件の受注が重なったことで、年間を通じてエンジニアの稼働が高く推移した結果、前期比で大幅な増収増益となりました。システム運用サービス(ICTシステムの運用・保守サービス)は、一部ICTシステムの運用業務の終了が発生したものの、エンドユーザとの直接取引形態のクラウド運用サービス「Kyrios(キリオス)」とヘルプデスク業務が伸長したことにより、前期比で減収増益となりました。

 以上の結果、ICT事業の売上高は5,017,442千円(前期比10.8%増)、セグメント利益は1,234,496千円(同34.4%増)となりました。

 

③ライフサイエンス事業

 当事業は、医療機器、化学分析装置などの保守サービスと海外医療機器メーカー向けのコンサルティングサービスの提供及びライフサイエンス分野のICTサービスを提供しております。

 当期において、保守サービスとコンサルティングサービスは前期比で減少となりましたが、今期注力しているライフサイエンス分野の企業向けのICTサービスが伸長したため、前期比で増収増益となりました。

 以上の結果、ライフサイエンス事業の売上高は1,922,319千円(前期比8.7%増)、セグメント利益は279,440千円(同4.6%増)となりました。

 

④その他

 当事業は上記3事業に属さない、その他の事業となり、インド支店、海外プロジェクト案件が含まれます。

 当期においては、グローバル人財紹介サービス「Reinforce HR(レインフォースエイチアール)」の売上高が増加いたしました。

 以上の結果、その他の売上高は33,885千円(前期比70.5%増)、セグメント損失は4,012千円(前期は10,753千円のセグメント損失)となりました。

 

(2)キャッシュ・フロー

 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の残高は、前事業年度末と比し463,385千円増加し3,292,861千円となりました。

 各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次の通りです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度において営業活動の結果、得られた資金は776,378千円(前事業年度は548,238千円)でありました。これは、主として税引前当期純利益756,335千円の計上、前受金の増加132,899千円、減価償却費の計上75,674千円、減損損失の計上72,314千円に対し、売上債権及び契約資産の増加63,349千円、法人税等の支払254,067千円等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度において投資活動の結果、使用した資金は70,893千円(前事業年度は103,587千円)でありました。これは、主として有形固定資産の取得による支出36,793千円、無形固定資産の取得による支出41,873千円、差入保証金の差入れによる支出63,053千円に対し、差入保証金の回収による収入76,066千円等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度において財務活動の結果、使用した資金は242,280千円(前事業年度は145,665千円)でありました。これは、配当金の支払242,280千円によるものであります。

 

生産、受注及び販売の状況

(1) 生産実績

 当社は、保守管理業務を中心とした技術サービスを提供する事業を主としていることから、生産実績はございませんので、記載を省略しております。

(2) 受注実績

 当社が顧客企業と締結している契約で規定されているのは、料金算定の基礎となる単価等であり、受注金額に必要なサービス対応作業時間等については、都度契約等による依頼業務に応じて頻繁に変動します。従いまして、受注金額を確定することが困難な状況であるため、同数値の記載を省略しております。

 

(3) 販売実績

 当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

前期比(%)

デジタルイノベーション事業(千円)

2,237,709

124.1

IC事業(千円)

5,017,442

110.8

ライフサイエンス事業(千円)

1,922,319

108.7

 報告セグメント計(千円)

9,177,471

113.3

その他(千円)

33,885

170.5

合計(千円)

9,211,357

113.4

(注)最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次の通りであります。

相手先

前事業年度

(自  2023年4月1日

至  2024年3月31日)

当事業年度

(自  2024年4月1日

至  2025年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

ソフトバンク株式会社

1,108,311

13.6

1,382,280

15.0

 

経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析、検討内容

(1)財政状態の分析

 当事業年度末の資産合計につきましては、前事業年度末と比し545,987千円(10.2%)増加し5,911,212千円となりました。うち、流動資産は590,528千円(12.8%)増加し5,221,856千円となりました。これは主に、現金及び預金、売掛金、前払費用の増加によるものであります。固定資産は44,540千円(6.1%)減少し689,355千円となりました。これは主に、繰延税金資産の増加に対し、ソフトウエア、差入保証金の減少によるものであります。

 負債合計につきましては、前事業年度末と比し195,682千円(9.5%)増加し2,255,941千円となりました。これは主に、未払費用の減少に対し、前受金の増加によるものであります。

 純資産合計は、前事業年度末と比し350,305千円(10.6%)増加し3,655,271千円となりました。これは主に、利益剰余金の増加によるものであります。

 

(2)資本の財源及び資金の流動性についての分析

 ① キャッシュ・フロー

 キャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 業績等の概要 (2)キャッシュ・フロー」にて記載した通りであります。

 ② 資金需要

 当社の事業活動における運転資金需要のうち主なものは、サービス提供のための人件費、外注費、販売費及び一般管理費等の営業費用であり、投資を目的とした資金需要は新サービス開発及び機能追加に係るソフトウエア開発費等であります。

 

(3)経営成績の分析

 ① 売上高

 当事業年度の売上高は9,211,357千円でありました。

 その主な要因については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 業績等の概要 (1)経営成績」にて記載した通りであります。

 ② 売上原価、売上総利益

 当事業年度の売上原価は7,342,877千円でありました。

 これにより、売上総利益は1,868,480千円となりました。

 ③ 販売費及び一般管理費

 当事業年度の販売費及び一般管理費は1,048,321千円となりました。

 

 ④ 営業利益

 当事業年度における営業利益は820,158千円となりました。

 ⑤ 営業外損益

 当事業年度の営業外損益は、営業外収益14,268千円、営業外費用5,777千円となりました。営業外収益の主な内訳は、受取保険金10,000千円、販売奨励金3,156千円であります。営業外費用の内訳は、為替差損5,777千円であります。

 ⑥ 経常利益

 当事業年度における経常利益は828,649千円となりました。

 ⑦ 特別損益

 当事業年度の特別損益は、特別損失72,314千円となりました。特別損失の内訳は、減損損失72,314千円であります。

 ⑧ 当期純利益

 当事業年度における当期純利益は562,703千円となりました。

 

重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載の通りであります。