人的資本
OpenWork(社員クチコミ)-
社員数265名(単体) 28,173名(連結)
-
平均年齢44.6歳(単体)
-
平均勤続年数1.0年(単体)
-
平均年収12,181,758円(単体)
従業員の状況
5【従業員の状況】
(1)連結会社の状況
|
2024年12月31日現在 |
|
セグメントの名称 |
従業員数(名) |
|
日本 |
10,815 |
(4,382) |
欧州 |
10,582 |
(982) |
オセアニア |
4,226 |
(179) |
東南アジア |
1,684 |
(224) |
その他 |
397 |
(-) |
全社(共通) |
469 |
(17) |
合計 |
28,173 |
(5,784) |
(注)1 従業員数は就業人員であります。
2 臨時従業員数は( )内に期中平均人員を外数で記載しております。
(2)提出会社の状況
|
|
|
|
2024年12月31日現在 |
従業員数(名) |
平均年齢(歳) |
平均勤続年数(年) |
平均年間給与(円) |
|
265 |
(4) |
44.6 |
1.0 |
12,181,758 |
(注)1 従業員数は就業人員であります。なお、上記に含まれる提出会社への出向者は、184名であります。
2 臨時従業員数は( )内に期中平均人員を外数で記載しております。
3 平均勤続年数は、提出会社への出向者については、出向日を起算日としております。なお、出向元での勤続年数を含めた通算勤続年数は、13.8年になります。
4 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
5 当社は純粋持株会社であるため、セグメント別の従業員数は記載しておりません。
6 前連結会計年度末に比べて従業員数が73名増加しております。主な理由は、必要となるケイパビリティ(戦略を実現するために必要な組織的能力)の獲得のためのグループ内人材の活用や外部人材の獲得によるものであります。
(3)労働組合の状況
一部の子会社には労働組合が組織されております。
なお、労使関係については、特記すべき事項はありません。
(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異
① 提出会社
当事業年度 |
補足説明 |
||||
管理職に占める 女性労働者の割合(%) 注2 |
男性労働者の 育児休業取得率(%) 注3 |
労働者の男女の賃金の差異(%) 注1 |
|||
全労働者 |
うち正規雇用 労働者 |
うちパート・ 有期労働者 |
|||
23.1 |
66.7 |
55.4 |
57.6 |
64.1 |
- |
② 連結子会社
当事業年度 |
補足説明 |
|||||
名称 |
管理職に占める 女性労働者の割合 (%) 注2 |
男性労働者の 育児休業取得率 (%) |
労働者の男女の賃金の差異(%) 注1 |
|||
全労働者 |
うち正規雇用 労働者 |
うちパート・ 有期労働者 |
||||
アサヒグループジャパン㈱ |
22.5 |
77.8 |
90.5 |
91.4 |
107.2 |
注4 |
アサヒビール㈱ |
9.4 |
100.0 |
81.7 |
90.5 |
68.5 |
注4 |
ニッカウヰスキー㈱ |
4.9 |
- |
58.4 |
59.1 |
84.0 |
|
エノテカ㈱ |
26.5 |
66.7 |
74.3 |
79.1 |
62.8 |
注3 |
アサヒ飲料㈱ |
10.3 |
81.3 |
78.7 |
81.2 |
71.1 |
注3 |
アサヒグループ食品㈱ |
19.3 |
100.0 |
80.0 |
80.9 |
80.3 |
注4 |
アサヒロジ㈱ |
3.9 |
73.3 |
63.0 |
70.4 |
66.0 |
注3 |
アサヒプロマネジメント㈱ |
15.3 |
- |
- |
- |
- |
|
アサヒドラフトマーケティング㈱ |
0.6 |
- |
68.8 |
78.8 |
102.4 |
|
エービーカーゴ東日本㈱ |
5.3 |
- |
- |
- |
- |
|
エービーカーゴ西日本㈱ |
0.0 |
- |
- |
- |
- |
|
ニッカディスティラリーサービス㈱ |
30.0 |
- |
- |
- |
- |
|
(注)1 労働者の男女の賃金の差異は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)(以下、「女性活躍推進法」)の規定に基づき、男性の賃金に対する女性の賃金の割合を示しております。なお、同一労働の賃金に差はなく、等級別人数構成の差によるものであります。
2 管理職に占める女性労働者の割合については、「女性活躍推進法」に基づき算出したものであります。正規雇用の従業員のみを対象としております。
3 男性労働者の育児休業取得率については、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものです。
4 男性労働者の育児休業取得率については、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものです。
5 「-」は、「女性活躍推進法」及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略していることを示しております。
③ 提出会社および連結子会社の合計
当事業年度 |
補足説明 |
||||
管理職に占める 女性労働者の割合(%) |
男性労働者の 育児休業取得率(%) |
労働者の男女の賃金の差異(%) |
|||
全労働者 |
うち正規雇用 労働者 |
うちパート・ 有期労働者 |
|||
12.3 |
88.3 |
70.7 |
76.4 |
70.4 |
注1 |
(注)1 上記の指標は、提出会社および上記国内連結子会社12社の指標を集約したものであり、記載を省略している指標を除いて算出しております。
サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)
2【サステナビリティに関する考え方及び取組】
(1)サステナビリティ
アサヒグループは『中長期経営方針』のコア戦略のひとつに、「サステナビリティと経営の統合による社会・事業のプラスインパクトの創出、社会課題解決」を掲げています。その実現に向けてサステナビリティ・ガバナンス体制の実効性を高めるとともに、マテリアリティに基づいた取り組みを推進しています。
①ガバナンス
[サステナビリティ・ガバナンス]
アサヒグループではサステナビリティの推進を重要な経営課題と捉えており、アサヒグループホールディングス(株)の代表執行役社長Group CEOが委員長となる「グローバルサステナビリティ委員会」を設置して、サステナビリティ推進を包含したコーポレートガバナンス体制を構築しています。
「グローバルサステナビリティ委員会」で決定した内容は、「グローバルサステナビリティリーダーズ会議」「サステナビリティタスクフォース」を通じてグループ全体の戦略として落とし込む仕組みになっており、グループ一体となってサステナビリティを推進する体制を組んでいます。
組織体 |
役割 |
構成 |
開催頻度 |
サステナビリティ アドバイザリー 委員会 |
●専門的な見地から、サステナビリティと経営の統合のさらなる推進、サステナビリティに関する重要なテーマについて取締役会に提言 |
委員長: アサヒグループホールディングス(株) 代表執行役社長Group CEO 委員: ●アサヒグループホールディングス(株) 社内取締役 1名 ●アサヒグループホールディングス(株) 社外取締役2名 |
年2回 |
グローバル サステナビリティ 委員会 |
戦略の決定 ●グループのサステナビリティ方針の策定 ●サステナビリティ戦略・方針、グループ目標の承認 ●実績管理 ●サステナビリティ関連リスクの特定と低減 |
委員長: アサヒグループホールディングス(株) 代表執行役社長Group CEO 委員: ●アサヒグループホールディングス(株) 社内取締役 2名 ●アサヒグループホールディングス(株) Group CGO、Group CSO、Group CR&DO、Corporate Secretary ●Asahi Global Procurement Pte. Ltd. CEO ●Regional Headquarters CEO、 サステナビリティ担当役員※ |
年1回 |
グローバル サステナビリティ リーダーズ会議 |
戦略の実行 ●グローバルサステナビリティ委員会で決定した戦略、方針の実行 ●ベストプラクティス、イノベーション事例の共有 ●関連部門と連携した事業のあらゆる面へのサステナビリティの統合 |
議長: アサヒグループホールディングス(株) 代表執行役社長Group CEO メンバー: ●アサヒグループホールディングス(株)Sustainability 部門長 ●Asahi Global Procurement Pte. Ltd. CEO、 サステナビリティ担当役員 ●Regional Headquarters サステナビリティ担当役員・関係部署部門長 |
年2回 |
サステナビリティ タスクフォース (各マテリアリティ) |
課題の取り組み ●特定のサステナビリティに関する課題、プロジェクトへの取り組み ●影響力の大きい環境、社会課題への取り組み ●多様な部門・分野の専門家が結集した取り組み |
リーダー: アサヒグループホールディングス(株) Sustainability 部門・関連機能部門 各マテリアリティ担当者 メンバー: ●アサヒグループホールディングス(株) 各マテリアリティ担当者、関係部署担当者 ●Asahi Global Procurement Pte. Ltd. 各マテリアリティ担当者 ●Regional Headquarters 各マテリアリティ担当者 |
適宜開催 |
※その他委員長が指定する者
2024年の開催実績
組織体 |
開催月 |
主な議題 |
|
サステナビリティアドバイザリー委員会 |
6月 10月 |
●超長期トレンドから見る、将来の当社ビジネスにおけるリスクと機会 ●社会におけるアルコールの役割 |
|
グローバルサステナビリティ委員会 |
12月 |
●気候変動、責任ある飲酒のグループ目標に関する討議と決議 |
|
グローバルサステナビリティ リーダーズ会議 |
5月 |
●アサヒグループのサステナビリティ3ヵ年計画に関する討議 ●気候変動、人権などの取り組みに関する討議 |
|
11月 |
●アサヒグループのサステナビリティ3ヵ年計画の共有 ●気候変動、責任ある飲酒のグループ目標に関する討議 |
||
サステナビリティ タスクフォース |
環境 |
1、4、7、 10月 |
●「アサヒグループ環境ビジョン2050」の実現に向けた取り組みに関する討議 ●Regional Headquartersのベストプラクティスの共有 ●2024年計画の進捗共有など |
コミュニティ |
2、7、10月 |
●コミュニティ戦略の基本活動であるグローバル共通施策「RE:CONNECTION for the EARTH」の事前計画の共有及び実施後の振り返り ●2024年計画の進捗共有など |
|
責任ある飲酒 |
2、4、5、8、10、12月 |
●グループ目標に関する討議 ●「IARDデジタル・ガイディング・プリンシプル」への対応率などの進捗確認 ●Regional Headquartersのベストプラクティスの共有など |
[取締役会におけるサステナビリティの議論]
アサヒグループでは、『中長期経営方針』のコア戦略に位置付けられているサステナビリティ戦略について、取締役会においても重点的に議論を行っています。「グローバルサステナビリティ委員会」で議論した戦略や目標値はExecutive CommitteeやCorporate Management Boardで審議し、取締役会に報告してモニタリングされています。また、各Regional HeadquartersのCEOが毎年2回、各地域でのサステナビリティに関する具体的な取り組みや進捗について、取締役会に報告しています。
サステナビリティに関する直近の取締役会報告内容
|
議題 |
内容 |
2024年9月 |
サステナビリティの取り組み |
気候変動への対応など、主要グローバル目標の達成に向けた取り組み |
2024年9月 |
BMS(母乳代替品)の取り組み |
ESG外部評価機関FTSEの評価項目適合に向けた、BMSマーケティングポリシーの改定やガバナンス機能の強化 |
2025年3月 |
TCFD/TNFD分析報告 |
TCFD/TFNDを統一したシナリオ分析結果 |
[取締役会のサステナビリティスキル・能力]
アサヒグループホールディングス(株)は「取締役会スキルマトリックス」に照らし、豊富な経験、高い見識、高度な専門性・能力を有する人物により取締役会を構成することとしています。
「取締役会スキルマトリックス」は、役員に求める要件をグループ理念“Asahi Group Philosophy”(以下、AGP)や経営戦略などから導いて策定したもので、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に必要な取締役会全体としての知識・経験・能力のバランス、多様性を確保することを目的としています。この中では意思決定スキルとして「サステナビリティ」も設定しており、「事業を通じた社会インパクト創出をリードするスキル」「ESGの知識と見識に基づき経営を方向付けるスキル」と定義しています。具体的には、サステナビリティの重点テーマである「気候変動への対応」「持続可能な容器包装」「人と人とのつながりの創出による持続可能なコミュニティの実現」などの監督経験があることや、「不適切飲酒の撲滅」「新たな飲用機会の創出によるアルコール関連問題の解決」への対応を踏まえ酒類事業の経験があることなどを指しています。
取締役会スキルマトリックス
|
長期戦略 |
グロー バル |
サステナ ビリティ |
非連続 成長 |
シニア リーダー シップ |
財務・ 会計 |
法律・ コンプライアンス |
リスク ガバナンス・内部統制 |
人材・ 文化 |
業務 プロセス |
大八木 成男 |
〇 |
〇 |
|
|
〇 |
|
|
〇 |
〇 |
〇 |
勝木 敦志 |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
|
|
〇 |
〇 |
谷村 圭造 |
|
〇 |
〇 |
|
|
|
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
﨑田 薫 |
〇 |
〇 |
|
|
|
〇 |
|
〇 |
|
〇 |
福田 行孝 |
|
|
|
|
〇 |
〇 |
|
〇 |
|
〇 |
大島 明子 |
|
〇 |
|
|
|
|
〇 |
〇 |
|
〇 |
佐々江 賢一郎 |
〇 |
〇 |
|
|
〇 |
|
|
〇 |
〇 |
|
大橋 徹二 |
〇 |
〇 |
|
〇 |
〇 |
|
|
|
|
〇 |
松永 真理 |
|
|
〇 |
〇 |
〇 |
|
|
|
〇 |
|
田中 早苗 |
|
|
〇 |
|
|
|
〇 |
〇 |
〇 |
|
佐藤 千佳 |
|
〇 |
|
〇 |
〇 |
|
|
|
〇 |
|
メラニー・ブロック |
|
〇 |
〇 |
|
〇 |
|
|
|
〇 |
|
宮川 明子 |
|
〇 |
|
|
|
〇 |
|
〇 |
|
〇 |
*「取締役会スキルマトリックス」は各取締役の役割に照らして発揮が期待されるスキルを記載しており、各取締役が保有するすべての知見・経験を表すものではありません。
「取締役会スキルマトリックス」に定めるスキルの定義
スキル |
定義 |
長期戦略 |
●長期あるいは超長期の社会の変化を洞察するスキル ●洞察した将来をバックキャストして戦略に導くスキル |
グローバル |
●グローバルの視点・視座で戦略の監督を行うスキル ●ローカルとグローバルを融合し最適化するスキル |
サステナビリティ |
●事業を通じた社会インパクト創出をリードするスキル ●ESGの知識と見識に基づき経営を方向付けるスキル |
非連続成長 |
●事業構造や稼ぐモデルを変革するスキル ●イノベーションを促し、新規領域を探索するスキル |
シニアリーダーシップ |
●的確な執行状況の把握と課題提起するスキル ●リーダーシップチームの業務遂行を評価するスキル |
財務・会計 |
●業績・経営指標から経営状況、資源配分の状況を把握し課題提起するスキル ●財務・会計に関する専門的な知識と見識に基づき監督するスキル |
法律・コンプライアンス |
●法律に関する専門的な知識と見識に基づき監督するスキル ●コンプライアンス体制の整備、運用状況を監督するスキル |
リスクガバナンス ・内部統制 |
●リスクコントロール状況、執行ガバナンスの状況を把握し課題提起するスキル ●内部統制システムの整備、運用状況を監督するスキル |
人材・文化 |
●多様な人材の能力発揮の状況を評価するスキル ●企業文化の状況を把握し課題提起するスキル |
業務プロセス |
●企業経営経験や当社経営・執行経験に基づき、業務プロセスの適正性を監督するスキル |
[役員報酬への社会的価値指標(サステナビリティ指標)の組み込み]
アサヒグループホールディングス(株)は、取締役及び執行役の報酬は責任と業績貢献に応じて設定しております。サステナビリティへの中長期的な取り組みを含む経営戦略と業績に連動したものであり、報酬委員会で内容を検討したうえで、透明性及び客観性を高めて公正なプロセスで決定しています。報酬委員会は取締役会の諮問機関として社外取締役が委員長を務めるとともに過半数が社外取締役で構成されており、公正な判断を保証するため、必要に応じて外部の客観的データを活用しています。
取締役の報酬は、社内取締役は基本報酬と賞与(年次・中期)及び株式報酬で構成し、社外取締役は基本報酬のみとしています。社内取締役の賞与のうち3年ごとに支給される中期賞与は、業績指標のうち40%が社会的価値指標によって決定されます。サステナビリティ戦略における重点方針及び事業・社会への影響を踏まえ、グループとして取り組むべき領域を選定して社会的価値指標としています。
2024年は、サステナビリティ戦略のマテリアリティのうち「気候変動への対応」「持続可能な容器包装」「持続可能な水資源」「責任ある飲酒」そして「人的資本の高度化」の5領域を選定しました。
これらの各指標は中期計画KPIと連動しており、領域に応じてウェイトを設定しています。ウェイトを考慮し、目標達成度合いに応じて50~150%の範囲で、各指標の進捗及び達成状況を総合的に評価して決定します。
②戦略
アサヒグループは、サステナビリティに取り組む理由、取り組み方、取り組む内容を示した「サステナビリティ・ストーリー」に基づき、サステナビリティと経営の統合を推進しています。事業成長と社会価値の創出の最大化を目指して、私たちの商品・サービスで人々のサステナブルな生活を実現することを重点方針として定めているほか、経営課題として取り組む領域を特定したマテリアリティ・取り組みテーマについて、点検・見直しを毎年行い、適切で実効性のある取り組みにつなげています。
③リスク管理
[リスクマネジメント体制]
アサヒグループは、グループ全体を対象に、エンタープライズリスクマネジメント(ERM)を導入しています。
ERMには、サステナビリティ関連のリスクも含んでおり、詳細については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。
④指標及び目標
[2025年指標・目標]
テーマ |
対象組織 |
指標・目標(2025年現在) |
|
環境 |
気候変動への 対応 |
グループ全体(共通)※1 |
2040年までに、Scope1,2,3においてGHG※2排出量ネットゼロを達成する(排出量の削減が90%以上、炭素除去※3は最大10%) |
グループ全体(平均)※1 |
2030年までに、Scope1,2においてGHG※2排出量を70%削減する(2019年比) |
||
グループ全体(平均)※1 |
2025年までに、Scope1,2においてGHG※2排出量を40%削減する(2019年比) |
||
グループ全体(平均)※1 |
2030年までに、Scope3においてGHG※2排出量を30%削減する(2019年比) |
||
持続可能な 容器包装 |
グループ全体(共通) (AB、ASD、AEI、AHA、AHSEA) |
2025年までに、プラスチック容器※4を100%有効利用可能※5な素材とする |
|
グループ全体(共通)(ASD、AEI、AHA、AHSEA) |
2030年までに、PETボトルを100%リサイクル素材、バイオ由来の素材等に切り替える |
||
グループ全体 (共通) |
プラスチックに替わる持続可能な新素材の開発・プラスチック容器包装を利用しない販売方法を推進する |
||
持続可能な 農産物原料 |
グループ全体(共通) |
2030年までに大麦とコーヒーについて、認証を活用して、100%持続可能に生産された原料の調達を実現する |
|
グループ全体(共通) |
2030年までに、サプライチェーンにおける人権リスクを効果的に特定、評価、軽減、是正するために、リスクベースのデューデリジェンス・プロセス※6を実施し、持続可能な原料の調達を目指す。このアプローチを、人権侵害のリスクが最も高い、コーヒー、サトウキビ、パーム油、カカオ、茶の5つの主要原料のサプライチェーンにおいて優先的に取り組む。 |
||
持続可能な 水資源 |
グループ全体(平均)(AB、ASD、AEI、AHA、AHSEA) 優先流域(平均)(AEI、AHA、AHSEA) |
2030年までに水使用量の原単位をグローバル平均3.2m3/kl以下、優先流域の主要な生産拠点※7では平均2.7m3/kl以下にする |
|
グループ全体(平均) |
2030年までに水リスクの高い地域※8にある生産拠点100%で、流域の各課題※9改善に貢献する取り組みを実施する |
||
その他環境の 取り組み |
グループ全体(共通) (AGJ、AEI、AHA、AHSEA) |
2030年までに、自社生産拠点の埋立廃棄ゼロを達成する |
|
コミュ ニティ |
人と人との つながりの創出による持続可能なコミュニティの実現 |
グループ全体(共通) |
基本活動「コミュニティ支援活動」において、グローバル施策「RE:CONNECTION for the EARTH」を実施し、全RHQが参画する |
責任ある飲酒 |
新たな飲用機会 の創出による アルコール関連 問題の解決 |
グループ全体(平均) |
2030年までに主要な酒類商品※10に占めるノンアルコール飲料・低アルコール飲料※11の販売量構成比20%以上を達成する |
人権 |
人権の尊重 |
グループ全体(共通) |
2030年までに自社従業員※12及び直接材一次サプライヤー※13の100%において人権デューデリジェンスを実施し、各事業会社・機能部門が継続的にPDCAをモニタリングができている |
*略称で記載している会社の正式名称は以下のとおりです。
AGH:アサヒグループホールディングス(株)
AGJ:アサヒグループジャパン(株)
AB :アサヒビール(株)
ASD:アサヒ飲料(株)
AGS:アサヒグループ食品(株)
AEI:アサヒヨーロッパアンドインターナショナル
AHA:アサヒホールディングスオーストラリア
AHSEA:アサヒホールディングスサウスイーストアジア
*本年よりグループ全体の目標のみの開示に変更
※1.対象範囲は、SBTi基準に則り、事業活動に伴うGHG排出量の大部分(Scope1,2は95%以上、Scope3は90%以上)を網羅する組織が対象。なおScope1,2・Scope3それぞれで規定水準を満たす必要があり、Scope1,2・Scope3において対象企業は異なる。
※2.2025年の指標・目標よりCO2排出量をGHG排出量に表記を変更
※3.炭素除去:SBTイニシアチブに準拠し、ネットゼロ目標時点における残余排出量、及びそれ以降に大気中に放出されるすべてのGHG排出量について、大気中から炭素を除去し、永続的に貯蔵することで中和する
※4.対象とするプラスチック容器:PETボトル、プラボトル、PETボトル・プラボトルに使用する一部のキャップ、プラカップ(販売用)など
※5.有効利用:リユース可能、リサイクル可能(研究段階でのリサイクル可能性を含む)、堆肥化可能、熱回収可能など
※6.リスクベースのデューデリジェンス・プロセス=現地のサプライヤーとのエンゲージメント、リスク特定、モニタリングするためのデータ主導型ツールの活用、そして最も高いリスクが認められる場所での実地監査の実施。サプライヤーやステークホルダーと協働し、透明性、トレーサビリティ、農業慣行の継続的改善を確保する。
※7.優先流域の生産拠点は水リスク評価ツール(Aqueduct, Water Risk Filter, Integrated Biodiversity Assessment Tool(IBAT))の結果及び各生産拠点で行っている水リスク詳細調査に基づき選定(対象:9生産拠点)
※8.水リスクの高い地域とは水量、水質、Water Sanitation and Hygiene(WASH)等に関するリスクのある流域または世界的に認知されている流域(例えばCEO Water Mandate priority basins)を加味し、選定(対象:7製造生産拠点)
※9.流域課題は、水量、水質、Water Sanitation and Hygiene(WASH)などに関するリスク含む各流域固有の課題
※10.主要な酒類商品:ビール類、RTD、ノンアルコール飲料(ノンアルコールのアルコールテイスト(風味)飲料)
※11.ノンアルコール飲料の定義は各国の法規制に準ずる。低アルコール飲料はアルコール度数3.5%以下とする
※12.ディストリビューターを通じた輸出事業を除く事業展開国が対象
※13.原材料・包装資材の年間取引金額10万米ドル以上の既存サプライヤー
[取り組み進捗状況(2023年‐2024年)]
2023年‐2024年の取り組み状況は以下のとおりです。サステナビリティ推進体制のもと、未達の項目についてはその原因を把握し、達成に向けて推進していきます。
テーマ |
対象組織 |
指標・目標 (2024年現在) |
2023年実績 |
2024年実績 |
|
環境 |
気候変動への 対応 |
グループ全体(共通)※1 |
2040年までに、Scope1,2,3においてCO2排出量ネットゼロを達成する(排出量の削減が90%以上、炭素除去は最大10%) |
Scope1,2,3の排出量:8,623千t-CO2 |
集計中 |
グループ全体(平均)※1 |
2030年までに、Scope1,2においてCO2排出量を70%削減する(2019年比) |
Scope1,2の排出量:660千t-CO2、2019年比32%削減 |
集計中 |
||
グループ全体(平均)※1 |
2025年までに、Scope1,2においてCO2排出量を40%削減する(2019年比) |
Scope1,2の排出量:660千t-CO2、2019年比32%削減 |
集計中 |
||
グループ全体(平均)※1 |
2030年までに、Scope3においてCO2排出量を30%削減する(2019年比) |
Scope3の排出量:8,028千t-CO2、2019年比12%削減 |
集計中 |
||
持続可能な 容器包装 |
グループ全体(共通)(AB、ASD、AEI、AHA、AHSEA) |
2025年までに、プラスチック容器※2を100%有効利用可能※3な素材とする |
有効利用可能な素材の比率:99%(事業国により、有効利用の考え方が異なる) |
集計中 |
|
グループ全体(共通)(ASD、AEI、AHA、AHSEA) |
2030年までに、PETボトルを100%リサイクル素材、バイオ由来の素材などに切り替える |
環境配慮素材の比率:25% |
集計中 |
||
グループ全体(共通) |
プラスチックに替わる持続可能な新素材の開発・プラスチック容器包装を利用しない販売方法を推進する |
・日本でラベルレス商品の拡大 ・欧州・豪州でプラスチック製シュリンクフィルムから段ボールへの切替えを実施 ・日本のアサヒユウアス(株)で、「森のタンブラー」などのリユースカップにより、スポーツ施設やイベントにおける使い捨てプラスチックカップを削減 |
集計中 |
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持続可能な農産物原料 |
グループ全体(共通) |
2030年までに大麦とコーヒーについて、認証※4を活用して、100%持続可能に生産された原料の調達を実現する |
2024年に目標設定 |
集計中 |
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グループ全体(共通) |
2030年までに、サプライチェーンにおける人権リスクを効果的に特定、評価、軽減、是正するために、リスクベースのデューデリジェンス・プロセス※5を実施し、持続可能な原料の調達を目指す。このアプローチを、人権侵害のリスクが最も高い、コーヒー、サトウキビ、パーム油、カカオ、茶の5つの主要原料のサプライチェーンにおいて優先的に取り組む。 |
2024年に目標設定 |
集計中 |
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持続可能な水資源 |
グループ全体(平均)(AB、ASD、AEI、AHA、AHSEA)優先流域(平均)(AEI、AHA、AHSEA) |
2030年までに水使用量の原単位をグローバル平均3.2m3/kl以下、優先流域の主要な生産拠点※6では平均2.7m3/kl以下にする |
水使用量原単位:3.2m3/kl |
集計中 |
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その他環境の 取り組み |
グループ全体(共通)(AGJ、AEI、AHA、AHSEA) |
2030年までに、自社生産拠点の埋立廃棄ゼロを達成する |
埋立廃棄率:1% |
集計中 |
テーマ |
対象組織 |
指標・目標 (2024年現在) |
2023年実績 |
2024年実績 |
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コミュ ニティ |
人と人との つながりの創出による持続可能なコミュニティの実現 |
グループ全体(共通) |
基本活動「コミュニティ支援活動」において、グローバル施策「RE:CONNECTION for the EARTH」を実施し、全RHQが参画する |
グローバル施策「RE:CONNECTION for the EARTH」を実施し、全RHQが参画 |
グローバル施策「RE:CONNECTION for the EARTH」を実施し、全RHQが参画 |
責任ある飲酒 |
不適切飲酒の 撲滅 |
グループ全体(共通) |
2024年までに「IARDデジタル・ガイディング・プリンシプル」への対応率100%を達成する |
対応率:95% |
対応率:100% |
グループ全体(共通) |
2024年までに、すべてのアルコール飲料ブランド(そのブランドで販売されるノンアルコール飲料を含む)の製品に、飲酒の年齢制限に関する表示をする |
日本はすでに100%達成。他のRHQは、2024年内に完了予定。 |
集計中 |
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新たな飲用機会 の創出による アルコール関連 問題の解決 |
グループ全体(平均) |
2030年までに主要な酒類商品※7に占めるノンアルコール飲料・低アルコール飲料※8の販売量構成比20%以上を達成する |
販売量構成比:10.5% |
販売構成比:12.8% |
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人権 |
人権の尊重 |
グループ全体(共通) |
2030年までに自社従業員100%※9及び直接材一次サプライヤー100%※10において、人権デューデリジェンスを実施し、各事業会社、機能部門が継続的にPDCAをモニタリングができている |
2024年に目標設定 |
自社従業員については、過去の国別リスク評価で高リスクとされた3か国において、外部機関の自己評価質問票を用いたリスクアセスメントおよび第三者専門家による現場監査を実施。結果について是正措置の実施を開始。 直接材一次サプライヤーについては、リスクの高いサプライヤーをパイロットグループとし自己評価質問表を用いたリスクアセスメントを実施 |
*略称で記載している会社の正式名称は以下のとおりです。
AGH:アサヒグループホールディングス(株)
AGJ:アサヒグループジャパン(株)
AB :アサヒビール(株)
ASD:アサヒ飲料(株)
AEI:アサヒヨーロッパアンドインターナショナル
AHA:アサヒホールディングスオーストラリア
AHSEA:アサヒホールディングスサウスイーストアジア
※1.対象範囲は、SBTi基準に則り、事業活動に伴うCO2排出量の大部分(Scope1,2は95%以上、Scope3は90%以上)を網羅する組織が対象。なおScope1,2・Scope3それぞれで規定水準を満たす必要があり、Scope1,2・Scope3において対象企業は異なる。
※2.対象とするプラスチック容器:PETボトル、プラボトル、PETボトル・プラボトルに使用する一部のキャップ、プラカップ(販売用)など
※3.有効利用:リユース可能、リサイクル可能(研究段階でのリサイクル可能性を含む)、堆肥化可能、熱回収可能など
※4.原料ごとに活用する認証・基準を2024年に最終化する
※5.リスクベースのデューデリジェンス・プロセス=現地のサプライヤーとのエンゲージメント、リスク特定、モニタリングするためのデータ主導型ツールの活用、そして最も高いリスクが認められる場所での実地監査の実施。サプライヤーやステークホルダーと協働し、透明性、トレーサビリティ、農業慣行の継続的改善を確保する。
※6.優先流域の生産拠点は水リスク評価ツール(Aqueduct, Water Risk Filter, Integrated Biodiversity Assessment Tool(IBAT))の結果及び各生産拠点で行っている水リスク詳細調査に基づき選定(対象:9生産拠点)
※7.ビール類、RTD、ノンアルコール飲料
※8.ノンアルコール飲料の定義は各国の法規制に準ずる。低アルコール飲料はアルコール度数3.5%以下とする。
※9.ディストリビューターを通じた輸出事業を除く事業展開国が対象
※10.原材料・包装資材の年間取引金額10万米ドル以上の既存サプライヤー
(2)その他の項目
a.気候変動への対応
地球温暖化による気候変動は、干ばつや洪水といった異常気象の激化を引き起こし、世界中の人々の生活や多様な生態系に大きな影響を与えています。気候変動による生態系への被害は年々激化しており、社会全体の脱炭素化の実現が叫ばれています。そのため、「自然の恵み」を享受して事業を行うアサヒグループにとって、気候変動問題への対策は重要な課題と認識しています。アサヒグループは、大切な「自然の恵み」を地球温暖化から守り、次世代につなげるために、事業の脱炭素化を実現しなくてはいけません。
アサヒグループは、気候変動を看過できない事業上のリスクと認識しています。リスクの1つとして、脱炭素社会において既存の事業構造を継続した場合のコスト増加が考えられます。TCFD・TNFD分析を実施した結果、将来的に炭素税が導入された場合、2030年に86億円の製造コストが上昇すると試算しました。そのため、事業継続の観点からも、アサヒグループ全体のCO2排出(Scope1,2,3)の削減が急務であると認識しています。一方、気候変動への対応は、アサヒグループにとって、製造方法の抜本的な見直しや新技術の実証試験を加速させ、コスト競争力向上とさらなる効率化を推進させる機会になるとも捉えています。また、「CO2を食べる自販機」や「ラベルレスボトル」などの商品を販売することで、脱炭素社会への移行に貢献し、新たな事業機会を生み出すことができると考えています。
これらの世界的な状況やアサヒグループの動向を考慮し、グループ全体の方針である「アサヒグループ環境ビジョン2050」を2023年に改定し、昨年、Scope1,2,3の脱炭素目標として、2040年にCO2排出量ネットゼロに前倒しをしました。Scope1,2では再生可能エネルギーの活用や製造方法の刷新、ヒートポンプ技術やCO2分離回収装置の実証試験の推進によりCO2排出量を削減します。また、Scope3では、原材料(容器包装、農産物原料など)や輸送配送といった排出規模の大きい領域を中心に、削減策をサプライヤーや取引先と共創して取り組むことで、サプライチェーン全体の脱炭素化を加速します。
また、アサヒグループは、2040年ネットゼロ目標が、パリ協定で示された「1.5度目標」※1と科学的に整合する目標であることを保証するためにSBTi(Science Based Targets)イニチアチブからSBTネットゼロ認定を取得しました。また、農産物原料などの土地利用で発生する温室効果ガス排出量を対象としたFLAG※2排出量を含めた短期・長期目標においても、日本の企業として初めてのSBT認定取得となりました。
※1 1.5℃目標:気候変動による21世紀末の世界の平均気温上昇を産業革命前と比べ1.5度未満に抑える目標
※2 FLAG:Forest, Land and Agricultureの略称で、農業や林業、その他土地利用に関連するセクターのこと。FLAG排出量は、このセクターにおける非エネルギー起源の温室効果ガスを表す。
■リスクと機会
リスク
●炭素税課税に伴うコスト増加
機会
●製造方法の見直しや新技術開発に伴う競争力向上と効率化推進
●CO2排出量削減策による気候変動の緩和
①ガバナンス
アサヒグループは、アサヒグループホールディングス(株)の代表執行役社長Group CEOが委員長を務めるグローバルサステナビリティ委員会で、グループ全体の環境を含むサステナビリティ課題に対して取り組む体制を構築しています。環境マネジメントの対象は、アサヒグループジャパン(株)、Asahi Europe and International Ltd.、Asahi Holdings (Australia) Pty Ltd.、Asahi Holdings Southeast Asia Sdn. Bhd.です。日本では、アサヒグループジャパン(株)社長をトップマネジメントとした「グループ環境会議」やISO 14001グループ統合認証「ISO事務局連絡会」を組織し、グループ全体の方針である「アサヒグループ環境ビジョン2050」達成に向けた目標策定及び環境活動の進捗把握・評価を行っています。
※アサヒグループホールディングス(株)のSustainability(部署)
②戦略
アサヒグループは、2040年までにCO2排出量ネットゼロを目指す中長期目標「アサヒカーボンゼロ」を設定しています。また、バリューチェーンを越えて社会全体のカーボン排出量削減に貢献できるよう「Beyondカーボンニュートラル」の目標を掲げています。この2つの目標実現のため、多岐にわたる取り組みを積極的に進めています。
脱炭素目標達成に向けて、再生可能エネルギーの早期導入完了、製造工程における燃料の脱炭素化、CO2排出量の削減・吸収・回収に関連する技術の開発と展開など、さまざまな施策を実施しています。また、サプライヤーやパートナーの皆様と協力し、バリューチェーン全体のCO2削減と生態系保全を目指します。
アサヒグループ由来のCO2排出量(Scope1,2)削減のため、短期的には施設の省エネルギー化と電化を進め、活用エネルギー全体における熱及び燃料の利用割合を削減します。そのうえで、再生可能エネルギーを活用し、電力由来のCO2排出量(Scope2)を削減する計画です。アサヒグループとして、2030年までに脱炭素関連施策に500億円以上の環境投資を実施し、アサヒグループ内での再エネ化の早期導入完了を達成する方針も掲げています。長期的には、再生可能な熱及び燃料の導入に向けた検証実験を重ね、2040年を目途に燃料由来のCO2排出量(Scope1)の脱炭素化を実現する予定です。
アサヒグループ以外のサプライチェーン上のCO2排出量(Scope3)削減については、短期的には、全体の80%以上を占める「原料・資材」「輸送(上流・下流)」由来のCO2排出量を削減優先領域と定め、削減を進めます。具体的には、原料・資材においてはアルミ缶、PETボトルなどの容器包装の軽量化やリサイクル素材の活用を推進し、量と質の両面から取り組みを進めます。また、実証実験中の燃料電池トラックなどCO2排出量の少ない輸送手段を導入します。長期的には、既存の取り組みに加え、業界全体や政府、自治体と協力した脱炭素施策やCO2排出量の吸収・回収技術を、サプライチェーンを越えて推進し、社会全体のCO2排出量削減に貢献します。また、各施策の削減効果を排出量算定時に確実に反映できるように、サプライヤーからの一次データを活用した、アサヒグループ排出量算定の手法にも切り替えていきます。さらに、一部の製品において、製品単位でCO2排出量を算定するための算定ツールを作成しました。今後、算定する製品を拡大してCO2排出量削減のための有用な情報として活用していきます。
アサヒグループとして、科学的・客観的な根拠に基づくアサヒグループの脱炭素目標設定やCO2排出量削減進捗確認と報告の重要性を認識しています。そのため、SBTイニシアチブに準拠した目標を掲げ、第三者検証を取得した年間CO2排出量に基づいた削減進捗を毎年確認し、開示する予定です。一方、現時点で多くの脱炭素技術・ソリューションは、技術開発やブレイクスルーが必要な領域が多くあることも認識しています。そのため、アサヒグループは、脱炭素領域を「共創領域」と位置づけ、パートナーシップや外部イニシアチブへの積極的な参加を通じて、自社の枠を越えた取り組みを進め、「アサヒカーボンゼロ」、及び「Beyondカーボンニュートラル」達成を目指します。
③リスク管理
アサヒグループは、地球温暖化により、気候の変化や、異常気象が起こることによって、アサヒグループの事業継続が難しくなるとともに社会へさまざまな悪影響を及ぼすことをリスクと捉えています。
これらのリスクについては、グループ全体で実施しているエンタープライズリスクマネジメント(ERM)体制下において代表執行役社長Group CEOが委員長を務めるリスクマネジメント委員会が管理すべき主要リスクと位置付け、リスク評価、対応計画の策定・実行・モニタリングを継続的に実施しています。
④指標及び目標
「(1)サステナビリティ ④指標及び目標」をご参照ください。
b.持続可能な容器包装
容器包装は、お客様に価値ある商品を提供するうえで重要な役割を担っています。品質保持や輸送強度を担保するとともに、デザインや表示によりコミュニケーション手段としての機能を果たすほか、使いやすさ、原料資源の持続可能性が求められています。一方で、不適切に廃棄されたプラスチック製の容器包装による海洋汚染や、河川・海で生息する動植物がプラスチックを取り込んでしまうというような悪影響が喫緊の社会課題となっています。また、化石燃料由来の資源やバージン材(新品の素材だけを使って製造した材料)から製造した容器包装に起因するCO2排出量は、Scope3において大きな割合を占めています。
アサヒグループは、環境負荷低減に寄与しない容器包装への規制や、リサイクル素材やバイオ由来の素材の需要増加に伴うコスト増加、素材不足への対応が遅延することによる調達への影響を想定しています。また、プラスチックに対する消費者の忌避感によって売上が減少するリスクがある一方、リサイクル素材やバイオ由来の素材の積極的な使用は、より環境負荷が低い商品を買いたいというお客様のニーズに応え、売上が拡大することにもつながります。
容器包装にリサイクル素材やバイオ由来の素材を使用することは、化石由来原料の使用量とCO2排出量の削減につながり、気候変動問題への対応にも寄与します。また、リサイクルのバリューチェーン※の一端を担い、リサイクル素材の導入や品質の向上、需給の安定化に努めることで、長期的には廃棄物発生をなくし、資源が循環する社会の構築に貢献します。
アサヒグループは、グループ全体の方針である「アサヒグループ環境ビジョン2050」において、容器包装の領域における2050年の世界のありたい姿を「容器包装廃棄物のない社会」とし、「使用される容器包装の資源利用最小化と、使用後の容器包装再利用化による循環型社会の構築への貢献によって、海洋生態系が保全された世界」と定義しました。2050年までにアサヒグループのすべての容器包装(三次包装まで)の資源循環を完成することを目指し、容器包装サプライヤー各社、消費者の皆様とともに、環境負荷の低い容器包装への転換やリサイクル・リユースを起点とした消費につなげられるよう、取り組みを推進していきます。このような事業活動、共創を通して、生態系回復にも貢献していきます。具体的には2030年に向けて、PETボトルのリサイクル素材またはバイオ由来の素材への転換を推進しています。また、地域のニーズに応じて、スロバキアなど欧州市場では、複数社との共創により、アルミ缶の回収スキーム構築を実現しました。地域のニーズに応じた取り組みを進めることで、今後もありたい姿の実現に向けて取り組みを進めていきます。
※ リサイクルのバリューチェーン:使用した資源を回収、再資源化し、リサイクル素材として活用する循環型経済の一連の仕組み
■リスクと機会
リスク
●リサイクル素材やバイオ由来の素材などの需要増加に伴うコスト増加
●素材不足への対応遅延による調達への影響
●プラスチックに対する消費者の忌避感によるプラスチック容器使用商品の売上減少
機会
●環境負荷を低減する商品需要への対応に伴う売上拡大
●環境負荷を低減する商品展開に伴う容器包装廃棄物削減による資源循環型社会への貢献
①ガバナンス
「(2)その他の項目 a.気候変動への対応 ①ガバナンス」をご参照ください。
②戦略
アサヒグループは、グループ全体の方針である「アサヒグループ環境ビジョン2050」において「2050年の世界のありたい姿」として掲げた「容器包装廃棄物のない社会」の実現に向けて、2050年までにアサヒグループのすべての容器包装(三次包装まで)の資源を循環させて、容器包装廃棄物を出さないことを目指します。「3R+Innovation」のもと推進してきたプラスチックの課題への対応を継続し、2030年までにPETボトルを100%、リサイクル素材またはバイオ由来の素材などへ切り替えることを目標とします。また、リデュースの取り組みや、環境負荷低減に寄与する新容器の開発にも取り組んでいきます。缶、びん、樽、紙など、その他の容器包装資材についても、3Rの観点から、省資源・軽量化・リサイクル性向上に努めます。
容器包装については、循環型社会の構築に向けて、各国・地域で急速に資源循環に関する要請が高まり、規制の策定が進んでいます。同時に、新たな素材・容器包装に対するニーズは機会と捉えられ、積極的な技術革新も見られます。アサヒグループは業界団体と積極的に連携し、サプライヤーとの技術の共同開発にも取り組むことにより、容器包装を通じた価値提供を進めるとともに、容器の使い捨てという消費行動の変革を目指した取り組みも実施していきます。また、短期・中期的な社会・経済動向を注視しながら、缶、びん、樽、紙など、その他の容器包装資材に関するグループ目標設定に向けて、議論を進めていきます。
③リスク管理
アサヒグループは、不適切に廃棄された容器包装により、海洋汚染や生態系への影響が出てくることによって、アサヒグループの事業継続が難しくなるとともに社会へさまざまな悪影響を及ぼすことをリスクと捉えています。
これらのリスクについては、グループ全体で実施しているエンタープライズリスクマネジメント(ERM)体制下において代表執行役社長Group CEOが委員長を務めるリスクマネジメント委員会が管理すべき主要リスクと位置付け、リスク評価、対応計画の策定・実行・モニタリングを継続的に実施しています。
④指標及び目標
「(1)サステナビリティ ④指標及び目標」をご参照ください。
c.持続可能な農産物原料
「自然の恵み」を享受して事業活動を行う企業として、持続可能な農産物原料調達を実現することはアサヒグループの事業の根幹を成しています。一方で、農産物原料のバリューチェーンでは、人権、コミュニティ、環境、の観点からさまざまな課題が起こりえます。
人権やコミュニティの観点からは、関係しているさまざまなステークホルダー(農産地から生産拠点、市場に至るまでの農産物生産者、加工業者、輸出入業者、サプライヤーなど)に対して、人権配慮やコミュニティへの貢献が欠かせません。また、環境の面では、農産物の生産、収穫、加工、物流の工程を通じてCO2を排出し、水・土壌を利用しています。このようなバリューチェーン上の営みは、農産物生産地の近隣生態系維持に必要な水の不足、土壌汚染などの理由による生物の生息へのインパクトといった生態系への悪影響を引き起こす可能性があります。また気候変動により収量や品質が大きな影響を受ける作物もあります。
2023年に実施したTCFD・TNFDを統合した分析では、異常気象による自然災害の影響によって生じる急性物理リスクにより、原料の調達額が10~129億円増加する可能性があることを確認しました。このような状況により、アサヒグループの農産物原料である穀物や果実などについて、将来的に調達先の変更や代替調達品の確保を迫られる恐れがあり、対策が必要です。さらに、農産物原料を生産する地域が活性化し、生産者が心身ともに健康で、地域社会とのつながりを持ちつつ豊かな生活を送り、次世代に誇りをもって事業を継承していけるよう、生産者のWell-being向上に貢献することも重要だと考えています。
当社グループは、2023年2月にグループ全体の方針である「アサヒグループ環境ビジョン2050」を改定しました。新たに、農産物原料の領域における2050年の世界のありたい姿を「命を育む持続可能な農産物原料」とし、「環境配慮、人権尊重、地域活性化が実現された農業が行われ、安定的な生産と生態系の維持が両立した世界」と定義しました。
この実現を目指すため、環境・人権に配慮した農産物原料の調達を推進し、生産地までのトレーサビリティを確保することを目指します。また、ビール製造工程で発生する副産物や当社グループの環境関連技術を活用し、農業・酪農における環境負荷低減に貢献していきます。生態系回復の機会を捉え、これからも将来にわたって農産物原料を枯渇させずに安定して確保する取り組みを各地で進めるとともに、ステークホルダーとの共創を通じて大切な「自然の恵み」を次世代につなげることができる「持続可能な農産物原料」の実現を目指していきます。
■リスクと機会
リスク
●農産物原料の収量・品質の変動に伴う、調達先変更・代替調達品の確保
機会
●農産物生産者の支援を通じた持続可能な農産業及び調達の実現
①ガバナンス
「(2)その他の項目 a.気候変動への対応 ①ガバナンス」をご参照ください。
②戦略
2023年2月に改定したグループ全体の方針である「アサヒグループ環境ビジョン2050」において、農産物原料における2050年の世界のありたい姿を「命を育む持続可能な農産物原料」とし、「環境配慮、人権尊重、地域活性化が実現された農業が行われ、安定的な生産と生態系の維持が両立した世界」と定義しました。この実現に向けて、アサヒグループでは、2023年に「環境」「コミュニティ」「人権」のマテリアリティを横断した検討チームを立ち上げ、各RHQのサステナビリティ・調達部門も含めて戦略、中期目標、取り組みを検討し、目標達成に向けたロードマップを策定しました。そのロードマップにおいて、アサヒグループとして初めてグローバル全体で推進する農産物原料に関する2030年目標を策定しました。具体的には、第一に、「2030年までに大麦とコーヒーについて認証を活用して100%持続可能に生産された原料調達を実現する」ことです。第二に、「2030年までに、サプライチェーンにおける人権リスクを効果的に特定、評価、軽減、是正するために、リスクベースのデューデリジェンス・プロセスを実施し、持続可能な原料の調達を目指す。このアプローチを、人権侵害のリスクが最も高い、コーヒー、サトウキビ、パーム油、カカオ、茶の5つの主要原料のサプライチェーンにおいて優先的に取り組む。」ことです。加えて、2030年までに農産物生産者のWell-being向上を実現することを検討しています。2030年目標の達成に向けて、サプライヤー、農産物生産者との連携が欠かせません。そのためグローバルな調達戦略機能を有するAsahi Global Procurement Pte. Ltd.を中心に、対応策を進めていきます。
③リスク管理
アサヒグループは、気候変動などの環境影響により、農産物原料の収量や品質に大きな影響が出ることによって、アサヒグループの事業継続が難しくなるとともに、大切な「自然の恵み」としての農産物を次世代につなげることができなくなることをリスクと捉えています。
これらのリスクについては、グループ全体で実施しているエンタープライズリスクマネジメント(ERM)体制下において代表執行役社長Group CEOが委員長を務めるリスクマネジメント委員会が管理すべき主要リスクと位置付け、リスク評価、対応計画の策定・実行・モニタリングを継続的に実施しています。
④指標及び目標
「(1)サステナビリティ ④指標及び目標」をご参照ください。
d.持続可能な水資源
世界人口の増加や開発途上国の経済成長、気候変動などにより、世界規模での水資源問題が発生しています。世界の水需要は年々増加し、今後、さらに水不足の状態となるエリアが拡大するだけでなく、降水量の変動により洪水や干ばつが増加する恐れがあります。水は、地球環境にとってかけがえのない大切な資源であるとともに、「自然の恵み」を享受して事業を行うアサヒグループにとっても欠かすことのできない大切な資源です。アサヒグループは、大切な「自然の恵み」を次世代につなげるため、持続可能な水資源利用を実現しなくてはいけません。
当社グループは、主要原料の生産地域について、事業への影響が大きいサプライヤー・生産地を特定し、干ばつリスク、洪水リスク、評判リスクなどをそれぞれ特定しています。また、水害による生産拠点の操業停止をリスクとして想定し、操業停止の可能性が高い生産拠点を10ヵ所と特定し、機会損失額を36億円と試算しました。また、生産工程で水資源を利用する際、水不足地域において水を過剰に消費することは、地域住民の水アクセスの悪化や水を利用する生態系が水を得られない、生息する場所がなくなるなどの悪影響にもつながる可能性があります。
水に対する課題は自社だけでは解決できませんが、共創によって各地域の水資源に起因する問題の解決に寄与することができると考えています。グループ全体の方針である「アサヒグループ環境ビジョン2050」で定めた2050年の世界のありたい姿である「健康、生活環境、生物多様性が保たれる適切な水質・水量、土壌の機能が維持されており、自然災害へのレジリエンスが向上した世界」を実現するため、各地域の水課題に対する取り組みを通じて、水リスクの大きい当社グループのサプライチェーン上(特に農産物原料の生産)で使用する水の総量以上のポジティブインパクトを地球に与えることを目指す姿としました。
■リスクと機会
リスク
●水害による生産拠点の操業停止
●水の過剰使用による地域住民への悪影響・生態系の悪化
●水不足による取水制限
機会
●BCPの確実な実行に伴う生産拠点の安定稼働
●水問題解決に伴う、地域住民の水アクセス問題解決、生物多様性が保たれる世界への貢献
①ガバナンス
「(2)その他の項目 a.気候変動への対応 ①ガバナンス」をご参照ください。
②戦略
アサヒグループは、人と自然のための健全な水環境の実現のため、グローバル共通で「水使用量の削減」「水リスクのある生産拠点流域における課題改善への貢献」という目標を掲げ、取り組みを行っています。
水使用量の削減では、酒類・飲料を製造するグループ自社生産拠点での水使用量原単位をグローバル全体で平均3.2m³/kl以下に、また、優先流域の主要な生産拠点の水使用量原単位では平均で2.7m³/kl以下にすることを目指し、水使用量の削減のためにさまざまな取り組みを実施しています。水を扱うすべての拠点において、製造設備の洗浄工程における水使用の適正化や、用途に応じて同じ水を多段的に利用するカスケード利用など、利用の効率性の向上を追求し、取水・排水においては環境への負荷をできる限り小さくできるよう適切な対応・管理に努めています。対象事業会社の46ヵ所の生産拠点では、水管理計画を策定し、水使用量の削減に取り組んでいます。また、生態系保全を考慮し、排水においては環境への負荷をできる限り小さくできるよう適切な対応・管理に努めていますが、より環境負荷を低減できる排水方法を検討していきます。
「水リスクのある生産拠点流域における課題改善への貢献」に向けて、生産拠点とその流域のリスク調査を実施し、リスク低減の対応策を実施しています。また、アサヒグループの商品は、世界中で生産される多種多様な農産物原料を用いているため、それらの水リスクを把握することも不可欠と考え、農産物原料の水リスクの把握と低減に努めています。今後、現在実施している水源保全活動の拡大や、ほかの組織との協働などにより、流域課題の改善に貢献していきます。
③リスク管理
アサヒグループは、世界的な水需要の高まりによる水不足が引き起こされることによって、アサヒグループの事業継続が難しくなるとともに、大切な「自然の恵み」としての水を次世代につなげることができなくなることをリスクと捉えています。
これらのリスクについては、グループ全体で実施しているエンタープライズリスクマネジメント(ERM)体制下においてアサヒグループホールディングス(株)サステナビリティ部門や各Regional Headquartersが管理すべきリスクと位置付け、リスク評価、対応計画の策定・実行・モニタリングを継続的に実施しています。
④指標及び目標
「(1)サステナビリティ ④指標及び目標」をご参照ください。
e.人と人とのつながりの創出による持続可能なコミュニティの実現
経済発展とともに人口の流動化が加速し、世界各地で都市部への一極集中や過疎化などの人口分布の偏りが発生することで、地縁的な「つながり」や共通の価値観を持った「つながり」が希薄化しています。このような「つながり」の希薄化は社会的孤立、治安の悪化、地域愛着度の低下、地域社会の担い手不足などのさまざまな社会課題を生み出し、コミュニティ活力低下の要因の1つになっています。
調達・生産・販売などの事業活動を通じてさまざまなコミュニティに支えられてきたアサヒグループは、改めて「つながり」を見直して進化させることが重要だと考え、マテリアリティ「コミュニティ」の活動スローガンを「RE:CONNECTION」と定めて取り組みを推進しています。
■リスクと機会
リスク
●事業展開地域や原料産地などの地域コミュニティが脆弱になった場合の、安定操業や安定調達への悪影響
機会
●重点活動である「持続可能な農産業」に取り組むことによる、農産物生産者のWell-beingの向上、アサヒグループの安定調達の実現
●基本活動「従業員が参画するコミュニティ支援活動」に取り組むことによる地域の活性化、当社グループへの信頼の獲得
①ガバナンス
アサヒグループは、サステナビリティの推進体制におけるタスクフォースの1つとして「コミュニティタスクフォース」を設置し、グローバルでの推進体制を構築しています。本タスクフォースではアサヒグループホールディングス(株)とRegional Headquarters(RHQ)が、施策の協議やベストプラクティスの共有を通じてグループ全体の活動レベルを向上させることを目指しています。
※アサヒグループホールディングス(株)のSustainability(部署)
②戦略
アサヒグループは、コミュニティ戦略において、重点活動を「持続可能な農産業」、基本活動を「従業員が参画するコミュニティ支援活動」と定めています。
■重点活動「持続可能な農産業」
当社グループは、「自然の恵み」である農産物を活用して商品・サービスを生み出しており、農産業と深い関わりを持っています。その農産業は、雇用創出や特産・伝統の継承など、コミュニティにおいて人の「つながり」を生む場としての大切な役割を果たしてきました。そこで、アサヒグループの事業、及び社会に与えるインパクトが大きいコミュニティとして、事業の根幹を担う農産物原料への取り組みを強化することを定めました。持続的な事業成長を目的とした原料の安定調達とともに、当社グループの独自技術を活用して、農産業を通じた「地域活性化」「環境負荷低減」「人権尊重」などに取り組み、“ステークホルダーとの「つながり(共創)」による農産物生産者のWell-being向上”に貢献します。
■基本活動「従業員が参画するコミュニティ支援活動」
コミュニティの「つながり」を見直し、進化させるためには、従業員自らが地域の抱える課題を考え、その解決に向け行動することが重要であると考えています。基本活動として、従業員がコミュニティ支援活動に参画することを定め、事業との関連性の高い「食」「地域環境」「災害支援」の領域で積極的に活動することで、コミュニティとのつながりを強化することを目指しています。
食:アサヒグループの主要事業領域は酒類・飲料・食品であり、「食」はこれらと密接なつながりがある
地域環境:アサヒグループの商品は「自然の恵み」を享受して事業を展開しており、「地域環境」への配慮は事業継続の要である
災害支援:災害が発生した場合、「災害支援」はその地域で事業を展開する企業として当然の行動と考えている
③リスク管理
アサヒグループは、事業展開地域や原料産地などの地域コミュニティが脆弱化することによって、グループの事業の安定操業や安定調達に影響を及ぼすことをリスクと捉えています。
これらのリスクについては、アサヒグループホールディングス(株)のサステナビリティ部門が、各RHQから持続可能な農産業の取り組みや従業員が参画するコミュニティ支援活動などの進捗報告を受けるなど、グループ全体の地域社会における活動を管理しています。
当社グループは地域社会から信頼を獲得することで事業の安定操業や安定調達を継続しており、これからも持続可能なコミュニティ活動を推進していきます。
④指標及び目標
「(1)サステナビリティ ④指標及び目標」をご参照ください。
f.不適切飲酒の撲滅
酒類は、長い人類の歴史の中で、日々の暮らしに喜びと潤いをもたらすとともに、冠婚葬祭など人生の節目においても、大きな役割を果たしてきました。私たちは、そのような酒類の生産や販売に携わっていることを、大変誇りに思います。一方、不適切な飲酒によって、個人や家庭そして社会にさまざまな問題を起こすこともあります。
そこでアサヒグループは、酒類を扱う企業グループとしての飲酒に関する基本方針のもと、不適切な飲酒を撲滅し、アルコールが起因の社会課題の解決を目指していきます。
■リスクと機会
リスク
●不適切な飲酒による人々の健康や社会に与える悪影響
●不適切な飲酒による、世界規模での酒類販売に関する規制強化や当社グループのレピュテーション・ブランド価値の棄損
機会
●不適切飲酒の課題解決による酒類文化の健全な発展
●ノンアルコール飲料・低アルコール飲料など、新たな飲用機会の創出による市場・売上の拡大
①ガバナンス
アサヒグループでは、アサヒグループホールディングス(株)のサステナビリティ部門が事務局を担い、各Regional Headquarters(以下、RHQ)の担当役員や担当者が参加するグローバルアルコールポリシー会議を隔月で開催しています。同会議がサステナビリティタスクフォースの役割を担い、グループ全体における酒類関連の課題対応の協議や成功事例の共有などを実施するとともに、同体制の中で、責任ある飲酒の目標達成に向けた協議を行っています。2022年は、責任ある飲酒の中長期的な方向性や目標について、Executive CommitteeやCorporate Management Board、及び、グローバルサステナビリティ委員会で複数回にわたって討議しました。
具体的なグローバルKPIやRHQレベルのKPIは、グローバルアルコールポリシー会議で議論を進め、四半期ごとの業績報告の中で各RHQのCEOからExecutive CommitteeやCorporate Management Boardに進捗を報告し、必要に応じて議論しています。
また、各事業会社は、中長期の方向性や目標、さらには酒類を扱う企業グループとしての飲酒に関する基本方針に基づき、各国・各地域のアルコール関連課題や消費者ニーズを捉えながら具体的な施策を展開しています。
※アサヒグループホールディングス(株)のSocial Impact &Affairs(部署)
②戦略
アサヒグループは、酒類を扱う企業グループとしての飲酒に関する基本方針に基づき、不適切な飲酒の撲滅を目指し、従来から各地域の課題を考慮しながらさまざまな活動に取り組んできました。
2022年からは、世界保健機関(WHO)が採択したグローバルアルコールアクションプラン2022-2030の内容を踏まえて、その中で設定されたグローバル目標の指標となる2030年までに「大量飲酒」や「一人当たりの純アルコール摂取量」の低減に貢献する取り組みを強化しています。
政府によるアルコールに関するマーケティング・営業活動の規制や課税以外の対策で不適切飲酒の課題を解決できることを実証し、その取り組みを進めることでアルコール業界の健全な成長を目指します。そのためにも多くのステークホルダーとともに有害なアルコール使用の低減を社会全体で実現すべく、多様なステークホルダーとの対話を重ねながら具体的な課題解決への貢献を目指します。
③リスク管理
不適切な飲酒は、人々の健康や社会に悪影響を及ぼす可能性があります。また、今後の社会の潮流によっては急速に世界的な規模で酒類販売に関する規制が強化されることも考えられます。これらの影響で、アルコールを製造・販売するアサヒグループのレピュテーション及びブランド価値が毀損される、もしくはアルコールに対する消費者需要の縮小などにより、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があることをリスクと捉えています。
これらのリスクについては、グループ全体で実施しているエンタープライズリスクマネジメント(ERM)体制下において、代表執行役社長Group CEOが委員長を務めるリスクマネジメント委員会が管理すべき主要リスクと位置付け、リスク評価、対応計画の策定・実行・モニタリングを継続的に実施しています。
同時に、サステナビリティ部門においても、International Alliance for Responsible Drinking(IARD)などの業界団体と連携しながら、幅広く業界やアサヒグループにとって今後起こりうるリスクに関する情報を収集し、常にリスクの見直しを行っています。
④指標及び目標
「(1)サステナビリティ ④指標及び目標」をご参照ください。
g.新たな飲用機会の創出によるアルコール関連問題の解決
アサヒグループは「酒類を取り扱う企業グループとしての飲酒に関する基本方針」(以下、グループ飲酒基本方針)のもと、当社グループの知見と技術を結集して新たに革新的な商品を展開し、新たな飲用機会を創出していきます。
人と酒類の関係の革新に挑戦し、人々の豊かな生活の一翼を担う酒類文化の健全な発展に寄与しながら、不適切な飲酒による社会課題に取り組み、アルコールが起因の課題が減少している社会の実現を目指していきます。
①ガバナンス
「(2)その他の項目 f.不適切飲酒の撲滅 ①ガバナンス」をご参照ください。
②戦略
アサヒグループは、酒類を扱う企業グループとしての飲酒に関する基本方針に基づき、不適切な飲酒の撲滅を目指すと同時に、従来から酒類そのものを革新するだけではなく、人と酒類の関係の革新を目指し、酒類文化の健全な発展に向けて取り組んできました。
アルコール関連問題撲滅に向けた取り組みとして適正飲酒の促進を重要視しています。多くの人の飲酒シーンで適正飲酒を促し、多量飲酒者の純アルコール量を低減するために、ノンアルコール・低アルコール商品の開発と展開を進め、新たな飲用機関を創出していきます。また、ノンアルコール商品は、これまでの飲酒運転や妊産婦飲酒の防止等に寄与するアルコールの代替品という考え方から、飲酒をしない機会を自ら選択する人々に向けた多様な選択肢の提供という需要も生まれています。
そのためにも当社グループの知見と技術を結集して、ノンアルコール・低アルコール商品の開発と展開に努めることで、新たな選択肢の提案を進めていきます。新たな飲用機会の拡大によって不適切な飲酒の低減を実現し、具体的な課題解決への貢献を目指します。
③リスク管理
「(2)その他の項目 f.不適切飲酒の撲滅 ③リスク管理」をご参照ください。
④指標及び目標
「(1)サステナビリティ ④指標及び目標」をご参照ください。
h.健康価値の創造
消費者の健康意識の高まりとともに、食に対する健康志向が高まっています。
アサヒグループはこれまでに培ったさまざまな技術や知見を活用し、商品・サービスを通じて人々の健康に貢献していくことを目指します。具体的には、酵母、乳酸菌や微生物などの知見を活かした付加価値を高めていくほか、砂糖や塩分の過剰摂取による健康面での負の影響を抑制するなど、健康に配慮した商品・サービスの展開を進めていきます。
■リスクと機会
リスク
●砂糖・塩分使用量が多い商品による消費者の健康悪化
●砂糖・塩分使用量が多い商品を展開することへのレピュテーション低下
機会
●アサヒグループの独自素材・技術を活用した商品による売上拡大
●砂糖・塩分使用量を削減した商品の拡販による健康課題の解決への貢献
①ガバナンス
飲料と食品を扱うアサヒグループにとって「健康」は欠かせないテーマであり、健康価値の創造は、アサヒグループの事業の成長の中心的な役割を担っています。
マテリアリティ「健康」で取り組む主な領域は、特定原料の過剰摂取による健康被害の減少や、酵母や乳酸菌などの研究による新たな健康価値の創造です。なお、アルコールに関わる健康課題はマテリアリティ「責任ある飲酒」で管理、また品質に関わる健康課題はサステナビリティから切り離し、グループの品質保証体制で管理しています。
グループ全体の戦略は、アサヒグループホールディングス(株)のマネジメント体制で決定しています。健康に配慮した商品・サービスの展開などの具体的な取り組みは、事業会社の事業そのものとなるため、事業会社における通常の事業管理プロセスの中でマネジメントしています。
②戦略
消費者の健康意識の高まりによって、商品に対する選択眼も厳しくなっています。また、特定原料の過剰摂取による健康被害を懸念する各国政府が、砂糖などの原料を使用した商品への課税や、マーケティング規制を始めています。アサヒグループは、常に社会の動向の兆しを見極め、商品開発やマーケティング活動において、必要なリスクと機会への対策を講じていきます。
さらに、グループが持つ酵母や乳酸菌などの独自素材の健康機能について、研究や発酵技術の知見と消費者の新たなニーズとを結び付けた商品開発を行うことで、新たな健康価値を提供できる商品の拡充を目指していきます。
③リスク管理
アサヒグループは、砂糖や塩分の過剰摂取による健康被害や世界的な砂糖に関する規制強化への対応の遅れによってグループの経営面に悪影響を及ぼすことをリスクとして捉えています。これらのリスクについては、グループ全体で実施しているエンタープライズリスクマネジメント(ERM)体制下においてアサヒグループホールディングス(株)サステナビリティ部門やRegional Headquartersが管理すべきリスクと位置付け、リスク評価、対応計画の策定・実行・モニタリングを継続的に実施しています。
④指標及び目標
最新の取り組みは、2025年6月発行予定のサステナビリティレポートをご確認ください。
i.人権の尊重
新型コロナウイルス感染症や紛争の勃発、気候変動などの環境問題の深刻化により、脆弱な立場の人々における人権に対しての負の影響がさらに深刻化し、企業の人権尊重への取り組みが注目されています。アサヒグループはグローバルに事業を展開する企業として、自らの事業活動によって影響を受ける人々の人権を尊重することを責務として認識しています。事業を行ううえで、個人の人権と多様性(ダイバーシティ)を尊重し、差別や個人の尊厳を損なう行為を行わないこと、強制労働や児童労働を行わないことを「アサヒグループ人権方針」(以下、人権方針)の中で明示しています。
現在、人権デューデリジェンスの実施、人権尊重の教育の徹底、人権侵害の被害者への救済の仕組みを構築しています。
■リスクと機会
リスク
●バリューチェーン上のステークホルダーや自社従業員などの人権侵害
●バリューチェーン上のステークホルダーの人権への負の影響に対応しないことによる、アサヒグループのレピュテーション低下・ブランド価値の毀損
機会
●人権尊重への真摯な対応による企業価値向上、安定した原料調達
①ガバナンス
事業活動全体の人権侵害リスク低減に向け、サステナビリティの推進体制における「サステナビリティタスクフォース」の1つとして、2020年に「アサヒグループ人権会議(以下、人権会議)」を設置しました。同会議で議論された人権課題は、責任者であるGroup CSOに報告され、Executive CommitteeやCorporate Management Boardで議論をしています。
人権方針、人権尊重に対する取り組みはアサヒグループホールディングス(株)の取締役会が監督責任を負い、同方針の遵守状況や取り組みの進捗を取締役会で定期的に確認することを定めており、毎年報告しています。最終の意思決定責任は代表執行役社長Group CEOが担っています。
なお、中長期の目標設定や計画策定に注力するにあたり、2023年の人権会議はサステナビリティ部門、HR部門、Procurement部門で集中的に行いました。人権会議で策定した内容をグローバルサステナビリティリーダーズ会議、グローバルサステナビリティ委員会の出席者で議論し、決議を経て、Executive CommitteeやCorporate Management Board及び取締役会で報告しています。
今後、グループ全社で人権尊重に対する取り組みを推進していくにあたり、人権会議などのガバナンス体制のあり方も検討していきます。
※アサヒグループホールディングス(株)のSustainability(部署)
②戦略
アサヒグループでは、人権方針内で定めた重要な人権課題におけるギャップ分析と、バリューチェーンにおける人権課題に基づき、重点を置くべき優先取り組み項目を特定し、各部門の行動計画を策定しています。
〈優先取り組み項目〉
●サプライチェーン
●自社の従業員
●人権侵害の被害者への救済の仕組みの構築・運用
2023年にアサヒグループの主要事業(酒類・飲料・食品)を対象に、バリューチェーン全体の包括的な人権リスクの再検証を実施し、既存の優先取り組み項目に変更の必要がないことを確認しました。見直しに際しては、業務に従事する労働者などのステークホルダーと、ステークホルダーに紐づく人権課題をより具体的に洗い出し、アサヒグループが取り組むべきリスクをバリューチェーン上にマッピングしました。今後、バリューチェーン全体での人権リスク低減に向けた取り組みを検討し実行していきます。
また2023年には、代表取締役社長兼CEOを委員長とするグローバルサステナビリティ委員会において、サプライチェーンと自社従業員に対する人権戦略(2030年目標、2024-2026年計画)を議論、決議しました。今後、機能部門と各RHQへ落とし込んで取り組みを強化していきます。またこの人権戦略は取締役会にも報告しており、今後取締役会がモニタリングしていきます。
③リスク管理
アサヒグループは、人権関連法規制の強化や、人権リスクの高い国・地域での企業活動に対する社会の関心の高まりにより、事業活動に関連した人権侵害が発生した場合の当社グループへの影響は大きいと認識しています。人権尊重に関するリスクについては、グループ全体で実施しているエンタープライズリスクマネジメント(ERM)体制下において代表執行役社長Group CEOが委員長を務めるリスクマネジメント委員会が管理すべき主要リスクと位置付け、リスク評価、対応計画の策定・実行・モニタリングを継続的に実施しています。
また、「アサヒグループリスクアペタイトステートメント」においても、「『アサヒグループ行動規範』『アサヒグループ人権方針』を遵守することはもちろん、これらの遵守を妨げうるリスクもとらない」と宣言しています。
④指標及び目標
「(1)サステナビリティ ④指標及び目標」をご参照ください。
(3)人的資本
■人的資本の高度化
アサヒグループは、『中長期経営方針』において、戦略基盤強化に向けた人的資本の高度化を掲げており、これを通じて事業ポートフォリオとコア戦略の実効性を高めることを目指しています。
①ガバナンス
アサヒグループは、人材戦略を経営課題と位置づけ、執行側の経営戦略会議(Corporate Management Board)で中長期戦略遂行の中で議論し、かつ、取締役会へ報告を行っています。また、世界各地のRegional Headquarters(以下、RHQ)と連携し、様々な人材マネジメント施策を推進することで、経営課題への対応基盤を構築しています。毎月開催するグローバルHRミーティングでは、組織と社員一人ひとりの成長に向け、ノウハウの共有やグループ横断の課題に取り組んでいます。さらに、各RHQでは、経営層の任命、サクセッションプラン、報酬制度などを決議する人事委員会を設置し、アサヒグループホールディングス(株)の経営層が議長もしくは委員として参画しています。
②戦略
アサヒグループは、「ありたい企業風土の醸成」、「継続的な経営者人材の育成」及び「必要となるケイパビリティ※1の獲得」の3つの取り組みを人材戦略として策定しています。これらの取り組みを通じて経営基盤を強化し、競争優位の源泉となる「人的資本の高度化」を実現することで、社員と会社が共に成長し、中長期的な企業価値の向上を推進していきます。
2024年には、人的資本の高度化に向けたアサヒグループの取り組みをまとめた『People & Culture Report※2』を初めて発行しました。本レポートでは、人的資本の高度化がどのような事業・社会インパクトを生み出し、アサヒグループの企業価値向上につながるかの価値連鎖を構造化した連関図を作成しました。この連関図を活用することで、アサヒグループの人的資本経営の全体像を見える化し、人材戦略の効果検証や優先度を明確にすることで、価値創造を最大化するための意思決定に役立ててまいります。
※1 戦略を実現するために必要な組織的能力
※2 詳細は、当社ウェブサイトに掲載しております。
■ありたい企業風土の醸成
アサヒグループを取り巻く複雑化・多様化する様々な課題の解決に向けて、これまでとは異なる多様な経験や発想が不可欠になっています。このような状況を踏まえ、「ピープルステートメント」を基に、「セーフティ&ウエルビーイング(S&W)」、「ダイバーシティー、エクイティ&インクルージョン(DE&I)、「学習する組織」及び「コラボレーション」の取り組みを通じ、“学び、成長し、そして共にやり遂げる”風土醸成の具現化を図っています。
「S&W」では、「グローバルS&Wカウンシル」において、グループ全体のビジョンや戦略の構築、取り組み目標の設定、教育研修の拡充、快適な職場づくりに向けた取り組みを推進しています。また、新たに策定した「グローバルS&Wビジョン」を社員に浸透・定着させるためのセッションを全地域で開催し、安全やウェルビーイングに関する対話を促し、社員一人ひとりが安全やウェルビーイングの文化の発展に貢献する機会を創出しています。
「DE&I」では、コアメッセージとして「shine AS YOU ARE」を掲げ、全世界の従業員への浸透を図っています。また、2030年までに経営層※1の女性比率を40%以上※2とする目標を掲げており、その実現に向けて、人事制度の見直しや昇格、研修、採用等のガイドライン整備を進め、経営層の女性比率向上を推進しています。
「学習する組織」、「コラボレーション」では、「AGP※3」、「Kando※4」、「Supply Chain」の3つのAwardsを、各地域内、及びグローバルで開催しています。この活動では、世界各地の優れた活動について、グローバルでベストプラクティスとして共有し、互いに学び合い称え合うことで、共に成長できる場の構築に取り組んでいます。
※1 役員及び各機能部門をリードする職責を担うアサヒグループの社内グレード21以上の社員が対象
※2 当社、各地域統括会社及び日本国内主要事業会社が対象
※3 Asahi Group Philosophy
※4 期待を超える商品やサービスにより、お客様に感動を与えた活動のこと
■継続的な経営者人材の育成
事業環境の変化がさらに加速する中、持続的な成長を実現するべく、継続的に経営者人材を輩出できる仕組みの強化に取り組んでいます。
人材育成の基盤となる、アサヒグループにおける「優れたリーダーシップ」を明確に定めた「グローバルリーダーシップコンピテンシーモデル(GLCM)」を策定しました。本モデルは、世界中のあらゆるレベルの社員に求められるグローバル共通のリーダーシップを示し、採用や人材育成に活用しています。これにより、ビジネスとカルチャーの両面で優れた成果を生み出す将来のグローバルリーダーの育成を推進しています。
また、経営者人材のサクセッションプランの一環として、キーポジションを担う人材を対象とした「グローバルタレントレビュー」を毎年実施しています。これにより、グループ全体の優秀な人材を可視化し、国や地域を超えた中長期的な適所適材の配置や人材育成などを進め、これまで以上に層の厚いリーダー人材のパイプライン形成に取り組んでいます。
■必要となるケイパビリティの獲得
人的資本の高度化を実現するためには、『中長期経営方針』における「目指す事業ポートフォリオ戦略」、「コア戦略」及び「戦略基盤強化」の観点から必要なケイパビリティを獲得することが不可欠です。そのため、グループ内人材の活用や、専門性に秀でた外部人材の獲得に加え、パートナーシップやアライアンスなどによる社外リソースの活用を推進しています。また、持続的な成長を実現するために必要なケイパビリティの開発に向け、グローバルな取り組みを開始しました。この取り組みを通じて、事業の中長期戦略を支えるケイパビリティを明確化し、人的資本への投資を加速させ、その高度化を図ります。
また、ケイパビリティの獲得とその獲得したケイパビリティを発揮できる基盤づくりとして、グローバルグレーディングなどのグローバル共通人事制度の整備や、異動処遇に関するグローバル共通のガイドラインを示した「グローバルモビリティポリシー」の制定を行いました。これらの取り組みを通じて、グループ全体での人材育成、地域を超えた人材配置の推進、さらには採用競争力の強化を図っています。
③リスク管理
アサヒグループは、中長期人材戦略の柱である「ありたい企業風土の醸成」「継続的な経営者人材の育成」「必要となるケイパビリティの獲得」それぞれについて、これらが毀損されることで、人的資本の高度化が実現できず、戦略の遂行や目標達成が困難になることをリスクと捉えています。これらのリスクは、グループ全体で実施しているエンタープライズリスクマネジメント(ERM)体制のもと、代表執行役社長Group CEOが委員長を務めるリスクマネジメント委員会で管理すべき主要リスクと位置付け、リスク評価、対応計画の策定・実行・モニタリングを継続的に実施し、適切な管理を徹底しています。
④指標及び目標
テーマ |
対象組織 |
指標・目標(2024年現在) |
2024年実績 |
ありたい企業風土の醸成(エンゲージメント) |
グループ全体(共通) |
グローバルエンゲージメントサーベイにおける「持続可能なエンゲージメント」スコア目標 2030年:グローバル高業績企業並み |
「持続可能なエンゲージメント」スコア 80 |
ありたい企業風土の醸成(DE&I) |
グループ全体(共通) |
2030年までに経営層の女性比率を40%以上とする |
「経営層の女性比率」24% |
※なお、その他の取り組みや最新の実績については、2025年5月に発行予定の当社『統合報告書』及び2025年6月に発行予定の『People & Culture Report』や『サステナビリティレポート』をご参照ください。