2025年3月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります

(単一セグメント)
  • 売上
  • 利益
  • 利益率

最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています

セグメント名 売上
(百万円)
売上構成比率
(%)
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
(単一セグメント) 2,549 100.0 230 100.0 9.0

事業内容

3【事業の内容】

 当社は、ブラジル連邦共和国パラー州のトメアス総合農業協同組合(以下、「CAMTA」(注)という。)の日本総代理店として、アサイー(注)をはじめとするアマゾンフルーツ冷凍パルプ(注)を輸入し、加工販売しております。当社は、「健康・本物」を基本に据えて、主力商品であるアサイーを中心に、まさに天然のサプリメントといえるアマゾンフルーツをわが国に普及、拡大すべく事業を展開しております。

 また、当社の取り扱うアマゾンフルーツ原料の一部は、アグロフォレストリー(注)という農法を使用したもので、アマゾンの森林荒廃地を再生させる効果があることから、直接的に熱帯雨林再生へ貢献することができます。当社は、『自然と共に生きる』を企業理念とし、地球温暖化対策に貢献するべく、“経済が環境を復元させる事業モデルの構築~グリーンエコノミーの実現~”を企業コンセプトとして推し進めております。

 

(注)1.CAMTAは、ブラジル・アマゾン川の河口の町でパラー州の州都であるベレンから約230km離れたトメアス地区にあり、日本人移住者によって作られた農協です。

アマゾンフルーツを安定的に供給するには、持続的農業と加工設備の両立が不可欠で、それを実現させているのがCAMTAです。CAMTAは、アマゾン地域で持続的農業を行うためにアグロフォレストリー農法を独自に確立し、実践しております。

また、アサイーをはじめとしたアマゾンフルーツは、品質の劣化や移送コストの問題等により果実そのものを地域外へ持ち出すことが困難で、搾汁加工及び冷凍処理をして初めて域外移動が容易となります。CAMTAは、品質管理が行き届き、かつ地域有数のフルーツ搾汁加工工場及び冷凍倉庫を有しております。酸化が早いアサイーを上質な状態で保持・販売するため、当社は冷凍果肉を直輸入し、ジュース加工・製造・販売を国内及び台湾でも行っています。

 

2.アサイーは、ブラジル連邦共和国・アマゾン地帯の水べりに生育するヤシ科の植物で、その果実は、ポリフェノール、食物繊維、カルシウム、鉄分、アミノ酸及び不飽和脂肪酸等を豊富に含み、栄養価の高さから「スーパーフルーツ」とも言われています。

スーパーフルーツとは、一般的にORAC(オラック)値の高いフルーツを指します。ORACとは、日本では「サビないチカラ」とも言われている「抗酸化力」、つまり「活性酸素吸収能力」を数値化したものです。アメリカでは、パッケージにその数値を記載しアイキャッチにしている商品もあるほど、普及している「指標」の一つです。

アサイーはブラジル農務省にて、固形分比率ごとに3グレードに規格化されています。当社は最上級グレードのグロッソのみを使用しています。

 

3.パルプとは、フルーツを搾汁加工しパックした製品を言います。

 

4.アグロフォレストリーとは、一般的な単一栽培ではなく、荒廃した土地に様々な種類の樹木や果樹を植え、草原が遷移して森になる自然のシステムを模倣するように農場を構成していく農法(生産システム)です。世界では東南アジア、中南米、アフリカなどで多くの事例があり、それらの多くは伝統農法として地域に根付いています。その中でも、CAMTAが実践しているアグロフォレストリーは、商業的に成り立っている数少ない成功例であり、持続可能な農業として世界から注目されています。

 

 なお、当社は、輸入食品製造販売事業の単一セグメントでありセグメント情報を記載していないため、事業部門別に記載しております。事業部門は、リテール事業部門、業務用事業部門、ダイレクト・マーケティング事業部門及び海外事業部門の4つの事業部門を柱としております。

 

(1)リテール事業部門

 リテール事業部門は、量販店、プレミアム・スーパーマーケット等リテール向けに、アサイー等のアマゾンフルーツを主原料とした自社ブランド等の製品及びPB製品を販売する事業です。現在、主に、フルッタアサイーシリーズなどの冷蔵品並びにアサイー冷凍ピューレやお家でアサイーボウルなどの冷凍品、プレミアム・スーパーマーケット等へのPB製品の販売をしております。

 当社の製品は、他の飲料に比べて高価格帯となりますが、アマゾンフルーツの持つ高い栄養価と砂糖・保存料・香料・着色料不使用の特徴をもち、健康・本物志向の高い消費者を中心に高い評価を受けております。

 

(2)業務用事業部門

 業務用事業部門は、外食店や食品メーカー等に対して冷凍フルーツパルプやその加工品等を販売する事業と、アグロフォレストリーの畑でできる冷凍フルーツパルプ以外の産物を原料として種々の企業に販売する事業に区分されます。

 外食店は、大手チェーン店から個人経営の小規模飲食店までカバーしており、小規模飲食店向けには、業務用通販サイト「FRUTA BIZ WEB」により、取引先の拡大と業務の効率化に努めております。

 また、飲料用原料、乳製品用原料、製菓用原料、サプリメント用原料として、食品メーカー等にアサイー等を提供しております。当ビジネスを展開するために、冷凍フルーツパルプをそのまま販売するだけでなく、濃縮エキスやフリーズドライ等の加工品も取り扱っております。

 その他に、スポーツジム向けに冷凍フルーツパルプや自社ブランド製品等を販売しております。

 

(3)ダイレクト・マーケティング事業部門(以下、「DM事業部門」という。)

 DM事業部門は、自社サイトや各プラットホームなどのECチャネルを通じて販売を行う事業です。

 自社ECやプラットフォームを通じて、自社商品販売や最新の情報発信、二酸化炭素削減量の可視化ポイント制度など、小売店ではカバーしきれないエリアやサービス内容を充実させています。自社ECにおいては自社でしかできない、気分や栄養素に応じた商品提案にも取り組んでいます。

 

(4)海外事業部門

海外事業部門は、主にアグロフォレストリー農法で生産されたカカオ豆や胡椒等の輸入販売と海外事業展開を推進する事業です。

大手食品メーカーに対してCAMTAの生産するカカオ豆を販売しております。アグロフォレストリーの森で育つ多種多様な植物のなかでも、カカオは代表的な植物です。そのカカオをチョコレート原料として使用することで、アマゾンの森の再生に貢献しております。

アグロフォレストリーの畑では、アマゾンフルーツのほか、木材、香辛料、樹脂、油脂等が生産されております。菓子メーカー、化粧品メーカー、建材・紙材メーカー、香辛料メーカー、自動車メーカー等が、既存商品の原材料をアグロフォレストリー産の原材料に切り替えることで、企業としてCSR的効果が期待できるというメリットがあります。

 

[事業系統図]

 

業績

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

a 財政状態

当事業年度末の資産の残高は、前事業年度末より1,903百万円増加して、3,547百万円となりました。

当事業年度末の負債の残高は、前事業年度末より76百万円減少して、592百万円となりました。

当事業年度末の純資産の残高は、前事業年度より1,980百万円増加して、2,955百万円となりました。

 

b 経営成績

当事業年度の事業成績は、売上高、売上総利益、販売管理費を事業成績の指標として掲げておりましたが、各指標において当初の計画を達成し、売上高、売上総利益について、前年比で増収、黒字化となりました。

 

 

 

 

 

(単位:千円)

 

前事業年度

(自 2023年4月1日

 至 2024年3月31日)

当事業年度

(自 2024年4月1日

 至 2025年3月31日)

増減額

増減率

売上高

1,136,859

2,549,465

1,412,605

124.2%

売上原価

780,455

1,589,328

808,873

103.6%

売上総利益

356,404

960,136

603,732

169.4%

販売費及び一般管理費

619,493

730,492

110,999

17.9%

営業利益又は営業損失(△)

△263,088

229,643

492,732

経常利益又は経常損失(△)

△306,982

234,275

541,258

当期純利益又は当期純損失(△)

△306,442

270,978

577,421

 

売上高は2,549,465千円(前年同期比224.2%)と大幅な増収となりました。これはアサイー関連商品が引き続き好調であること、大手外食企業での原料採用が進んだこと及びECサイトの売上拡大が大きく貢献しております。原料不足の反省から大幅増量にて実施した2025年度向け新規調達が完了したことで、新規収穫のアサイー原料が国内へ到着し、商品供給量の回復、在庫の確保が進みました。十分な供給量の回復により、国内外食店舗でのアサイー需要増加及びアサイーを自宅で日常的な食事とすることでの需要増加に応えたことで、一層顕著に表れております。

また、主力の冷凍アサイーピューレやお家でシリーズ、フルッタアサイーシリーズが、健康志向の高まりやサステナブルな消費への関心の高まりを背景に、小売およびECチャネルを中心に販売を大きく伸ばしております。この背景の一部にも、前述のアサイー人気の火付け役と同じく、自らの行動で環境や社会課題の解決に貢献するといった志向が強いZ世代のサステナブル・エシカル消費が関係しており、消費のあり方を変えようとする力が、当社ビジネスの後押しとなっております。

今後もこれらの盛り上がりを見せる国内需要を確実に捉えつつ、主力商品であるアサイーの拡販、事業の根幹であるアグロフォレストリーのプラットフォーム化に向けて、コアビジネスの強化・拡大を図ってまいります。

 

売上原価は、1,589,328千円(前年同期比203.6%)となりましたが、売上高の増加に伴うものであり、売上総利益は960,136千円(前年同期度比269.4%)と大幅に増加いたしました。

 

販売費及び一般管理費は730,492千円(前年同期比17.9%増)となりました。これは、売上高増加に伴い物流コスト(倉庫料、荷造運賃発送費)が95,202千円増加しましたが、物流コストの上昇が続く中で、在庫回転率の上昇に伴い倉庫料を圧縮することができ、売上高の増加率と比較すると抑制的な範囲に留まっております。

 

これらの結果、営業利益は229,643千円(前会計年度は263,088千円の営業損失)、経常利益は234,275千円(前会計年度は306,982千円の経常損失)、当期純利益は270,978千円(前会計年度は306,442千円の当期純損失)と、いずれも黒字転換を達成いたしました。

 

②成長戦略概況

当事業年度、当社は短・中期的な成長戦略の柱として、① アサイーの事業展開、② サステナブルマッチングプラットフォームの2つの成長戦略を掲げて取り組みを進めてまいりました。2025年6月20日に公表した「事業計画及び成長可能性に関する事項成長戦略」の計画に沿って実施しております。

短中期成長戦略

主要取組みの内容(一部抜粋)

1 アサイーの事業展開

アサイー及びアマゾンフルーツの原材料調達

2 サステナブルマッチングプラットフォーム構築

プラットフォームの開発、プロモーション

 

(a) アサイーの事業展開

当社の2025年3月期の売上高が2,549百万円(前年度比224.2%)と伸長していることも示すようにアサイーの国内需要が大幅に増加しております。当社は本格的な国内市場の拡大を業績拡大のチャンスと捉え、さらなる販売、商品拡充の強化を図っており、これに伴い今後潤沢な原料の仕入れが不可欠となっております。大手企業とのコラボなどによりアサイーの国内需要増に伴い原料の必要量が増加していることに加え、原料の仕入単価が上昇していること、また、輸入元であるCAMTA(ブラジル連邦共和国パラー州のトメアス総合農業協同組合)に十分な在庫を確保してもらうためには、先立つCAMTAから生産者への支払いが増加するため、CAMTAに対して当社の年間の仕入予定額のうち一定額を前金で支払うことが必要となることから、アサイー原材料の仕入資金の増加が見込まれます。

また、当社は、アサイー以外のアマゾンフルーツについても販売を強化してまいります。例として、アマゾン産のピタヤ(レッドドラゴンフルーツ)にザクロをブレンドした『ピタヤスムージー』を2025年3月下旬より全国の小売店、量販店にて順次発売を開始しております。ピタヤの世界市場規模は2023年時点で約43億米ドルと評価されており、約5.0%の年平均成長率で成長し、2032年までに約66億米ドルに達すると予測されています。世界のピタヤ市場には健康志向の消費者、特に世界のピタヤ消費者の60%を締めるミレニアル世代とZ世代の間で需要が前例のないほど高まっているとされています。

また、ピタヤ以外のアマゾンフルーツについてもアサイーボウルと掛け合わせて使用する提案により販売を強化することを検討しております。大手飲食店においてもアサイー×グアバの商品が販売されるなど、今後拡大が見込まれます。

 

(b) サステナブルマッチングプラットフォーム構築

アグロフォレストリーを 「ネイチャーポジティブ」と「CO₂削減」を両立させるソリューションと位置づけ、事業を通じて課題解決に向け貢献してまいります。その一環として、アグロフォレストリーで栽培された作物をはじめとした、サステナブル商材に特化して取引するサステナブルマッチングプラットフォームの開発を行う予定です。プラットフォーム内では、現状当社が取り扱っております約40品の商材だけでなく、プロモーションを行い他社にもプラットフォームで出店していただくことで、サステナブルに関連する他社の商材も取り揃えることを想定しており、最終的には「サステナブルに関連するものはここに来れば揃う」と認識されるプラットフォームとしていくことを目指しております。COP30が2025年12月にブラジルのパラ州の州都ベレンでの開催されることが決まり、アグロフォレストリーがサステナブルソーシングとして国際的に注目される可能性も高くなっている中で、民間企業として、サステナブルマッチングプラットフォームの構築及び稼働  を実現させることで、海外においては2030年に7,294億ドル(約102兆円)に達する見通しとなっている海外エシカル食品市場において約500億円、国内においては2030年には2兆6,556億円~6兆円に達する見通しとなっている国内サステナブルフード市場において約200億円の合計約700億円の取引高を2031年3月期までに達成することを目標とし、その取引高から得られるプラットフォーム利用料を収益としていきたいと考えております。

 

③資本政策の進捗

当社は、EVO FUND(Cayman Islands、代表者:マイケル・ラーチ、リチャード・チゾム)との資本政策をすすめたことで、新株予約権の行使等も含めた資本政策により財務基盤の安定化に取り組んでまいります。今後も引き続き有効と考えられる施策につきましては、積極的に実施してまいります。

 

 

 

④事業別の取組み

当社は輸入食品製造販売事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。事業別の売上高は次のとおりであります。

 

 

 

 

 

(単位;千円)

 

前事業年度

(自 2023年4月1日

 至 2024年3月31日)

当事業年度

(自 2024年4月1日

 至 2025年3月31日)

増減額

増減率

リテール事業部門

548,788

1,096,471

547,683

99.8%

業務用事業部門

417,665

1,132,658

714,992

171.2%

DM事業部門(注1)

151,676

301,860

150,183

99.0%

海外事業部門

18,729

18,475

△254

△1.4%

合計

1,136,859

2,549,465

1,412,605

124.2%

 

 

 ⅰ.リテール事業部門

スーパーマーケットを中心とした小売店について、上半期はお家でアサイーシリーズのフラッグシップモデルとなるカップ入りアサイーボウルの「お家でアサイーボウルプレミアム」の新商品が好調に推移する一方で、下半期においては冷凍アサイーピューレやお家でアサイーボウル、フルッタアサイーシリーズが好調に推移し、売上高に大きく貢献しました。

家庭で簡単にアサイーを楽しめることを促進して、アサイーをさらに日常の中に取り入れる動きを加速させる取り組みとして、アサイーとヨーグルトの組み合わせを積極的に提案しクロスセルの販売を実現させるべく、スムージーを「飲む」だけでなく「食べる」目的でも訴求を行ってまいります。

また、シーンを問わず毎日飲みやすいスムージーとして、新たに、アマゾン産のピタヤ(レッドドラゴンフルーツ)にザクロをブレンドした『ピタヤスムージー』を2025年3月下旬より全国の小売店、量販店にて順次発売いたしました。レッドピタヤは見た目の華やかさとともに特有の栄養素が含まれることから、近年世界ではスーパーフードとして注目が集まっております。世界のピタヤ市場は2032年までに約100億円の収益を生み出すと予測されており、アサイーに並ぶ可能性を持つ商品であると位置づけております。

これらの結果、当会計年度のリテール事業部門の売上高は1,096,471千円(前年同期比199.8%)となりました。

 

 ⅱ.業務用事業部門

個店向けの業務用通販サイトBIZWEBの売上高は前年同期比387.5%と伸長し、アサイーボウルやスムージーのベースとして活用されている商品やアサイーグロッソアイスを中心に大きく貢献いたしました。

外食部門においてはアサイーがあらゆる素材と組み合わせやすいことから、当社原料及び商品を採用する動きが一層顕著に表れております。

2025年1月には株式会社ロック・フィールドが運営するジューススタンドの「ベジテリア」では、2024年10月に発売された「アサイー&ベリー」に続く第2段として、「アサイーバナナ&ヨーグルト」のが発売されました。

タリーズコーヒージャパン株式会社からは、植物性ミルクの代表格である豆乳を使用したドリンクシリーズの一つとして2025年3月に「豆乳アサイーバナナスワークル」が発売され、アサイーとプラントベースフードとの相性の良さを示しております。

前述2社のようなアサイーをドリンクベースとして使用するのみではなく、他の素材と組み合わせるソースとしての採用例もうまれております。株式会社ドトールコーヒーでは「アサイーヨーグルン」に当社の濃厚なアサイーがソースとして採用され、食事がわりとなるアサイー×ヨーグルトの展開が行われております。

また、コロワイドグループが運営するかっぱ寿司では、2024年11月に間限定で展開された第1弾の「サステナスイーツ」が多くの反響を呼んだことで第2段の販売が開始されました。第2段では当社のピンクグァバも採用され、アサイーの国内需要の盛り上がりが引き続いていることだけでなく、CO₂削減に対するお客様の意識の高まりに応えるために、当社事業の根幹であるアグロフォレストリー原料及び商品を各企業が採用する関心の高さがうかがえます。当社の強みであるメニュー開発力を武器に、アサイーやアマゾンフルーツを活用したメニュー提案など積極的なアプローチを行っており、今後も店舗でのオペレーション効率と品質・味の安定を考慮した、より使いやすい商品の開発のみならず、アサイーのパイオニアでありリーディングカンパニーとして各店舗での活用方法を拡大させるメニュー及び販促提案を提供することで、業務用の軸をさらに拡大させてまいります。

メーカー向け原料販売については、引き続く市場の盛り上がりによって自社品から他社品へと広がりをみせており、アサイー5倍濃縮エキスやフリーズドライパウダーなどサステナブル原料に関する問い合わせは日に日に増加しております。前述の「CO2削減マーク」の他社製品への使用事例を武器に、近年特に重要な課題となっている「責任ある調達(サステナブル調達)」に対応した付加価値型原料としてさらなる拡大に努めてまいります。

これらの結果、当会計年度の業務用事業部門の売上高は1,132,658千円(前年同期比271.2%)となりました。

 

 ⅲ.ダイレクト・マーケティング事業部門(DM事業部門)

一部商品においては、出荷制限を設けながらの販売となっておりましたが、原材料調達が進み、供給体制が整ったことで安定供給による販売拡大が示されております。商品をお得にお届けする継続購入施策などを行っている自社ECサイトの売上高は前年同期比295.1%と伸長し、お家でシリーズ大ヒット商品である「お家でアサイーボウル」を7日間セットにした「お家でアサイーボウル7パック」が売上高に大きく貢献いたしました。

また、近年、女性の健康課題に特化した製品やサービス「フェムテック」への注目が高まっています。お家でシリーズの中でアサイーと並ぶ姉妹品でありヒット商品となっている「お家でピタヤボウル」と新商品である「ピタヤスムージー」によってピタヤがもつ鮮やかな色と豊富な栄養素のポテンシャルを最大限に活かし、QOL向上に貢献する新たな価値提供のアプローチを行ってまいります。

この結果、当会計年度のダイレクトマーケティング事業部門全体の売上高は301,860千円(前年同期比199.0%)となりました。

 

 ⅳ.海外事業部門

引き続き全世界的なカカオ豆原料の不足や、カカオ先物価格が高騰する上昇基調の状況となっておりますが、当社のカカオビジネスはCO₂削減量の観点からも大きな役割を担っているため、当社の特徴である現地生産者と直接繋がっているという利点を活かし、引き続きCAMTAと協力しながら安定的な供給に向けて取り組んでまいります。

また、近年、次世代型食料供給産業に注目が集まる中で、近い将来、アグロフォレストリーが国際機関の目指す「温暖化ガス削減」や「ネイチャーポジティブ」の数少ない成功事例となり得ることを鑑み、2025年11月のCOP30に向けて、アグロフォレストリーを中心としたサステナブルマッチングプラットフォーム化に向けた取り組みを進めております。当社にしかできないソリューションを提供することで、売上拡大を図ってまいります。

この結果、海外事業部門の当会計年度の売上高は18,475千円(前年同期比98.6%)となりました。

 

⑤キャッシュ・フローの状況

当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ1,509,051千円増加し、当事業年度末には1,886,776千円になりました。

なお、当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度において営業活動の結果使用した資金は436,553千円(前事業年度は248,809千円の使用)となりました。

これは主に、仕入債務の増加161,177千円と税引前当期純利益234,275千円がある一方で、棚卸資産の増加619,716千円及び売上債権の増加155,908千円の計上があったこと等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度において投資活動の結果得られた資金は584,912千円(前事業年度は35,659千円の獲得)となりました。

これは主に、投資有価証券の売却による収入589,104千円があったこと等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度において財務活動の結果得られた資金は1,358,842千円(前事業年度は339,447千円の獲得)となりました。

これは主に、社債の償還による支出300,000千円及び資金調達費用の支払いによる支出24,933千円がある一方で、新株予約権の行使による株式の発行による収入1,683,777千円があったこと等によるものであります。

 

⑥生産、受注及び販売の実績

 当社は輸入食品製造販売事業の単一セグメントのため、セグメント情報の記載を省略しております。また、当社は、複数の事業部門で同一種類の商品を取り扱うため、生産実績及び商品仕入実績については、商品群別に記載をしております。

 

(a)生産実績

   当事業年度の生産実績を商品群別に示すと次のとおりであります。

商品群の名称

当事業年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

前事業年度比(%)

チルド商品(千円)

681,151

155.1

冷凍商品(千円)

423,294

338.7

常温商品(千円)

41,224

121.7

合計(千円)

1,145,670

191.6

 

(b)商品仕入実績

 当事業年度の商品仕入実績を商品群別に示すと次のとおりであります。

商品群の名称

当事業年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

前事業年度比(%)

チルド商品(千円)

冷凍商品(千円)

663,419

446.3

常温商品(千円)

47

152.4

合計(千円)

663,466

446.2

 

(c)受注実績

 当社は見込み生産を行っているため、該当事項はありません。

 

(d)販売実績

 当事業年度の販売実績を事業部門別に示すと、次のとおりであります。

事業部門の名称

当事業年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

前事業年度比(%)

リテール事業部門(千円)

1,096,471

199.8

業務用事業部門(千円)

1,132,658

271.19

DM事業部門(千円)(注1)

301,860

199.02

海外事業部門(千円)

18,475

98.64

合計(千円)

2,549,465

224.26

(注1)ダイレクト・マーケティング事業部門

 

 当事業年度の販売実績を商品群別に示すと次のとおりであります。

商品群の名称

当事業年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

前事業年度比(%)

チルド商品(千円)

912,312

156.2

冷凍商品(千円)

1,550,667

327.1

常温商品(千円)

86,485

110.0

合計(千円)

2,549,465

224.3

(注)1.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります

 

相手先

前事業年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

当事業年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

三菱食品㈱

132,238

11.63

400,286

15.70

タリーズコーヒージャパン㈱

105,816

9.31

226,038

8.87

2.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用後の数値としております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

   経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討の内容は以下のとおりであります。

   なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

当社の財務諸表はわが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたり、見積りが必要となる事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。その詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。その作成は、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案して合理的に見積りを行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。

 

②当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

  当社の当事業年度の経営成績は、以下のとおりであります。

 

経営成績の分析

(売上高)

当事業年度の売上高は2,549,465千円(前事業年度比124.2%増)となりました。

主な要因として、全ての事業部門で売上高が増加したことによるものであります。

また、各事業部門の当社売上高に占める割合は、リテール事業部門が43.0%、業務用事業部門が44.4%、

DM事業部門が11.8%、海外事業部門が0.7%となっております。

 

(売上総利益)

当事業年度の売上総利益は、前事業年度より603,732千円増加し、売上総利益960,136千円となり、売上総利益率は前事業年度より169.4%の増加となりました。

主な要因として、当事業年度においては、想定以上の円安による影響と、欠品・品薄の対策として立ち上げた国内製造による加工費の増加により、売上高の伸長率と比べると、売上総利益の伸長率は鈍化したことで低下しました。

 

(営業利益)

当事業年度の販売費及び一般管理費は、前事業年度より110,999千円増加し、703,492千円(前事業年度比17.9%増)となり、売上高販管費率については、25.8ポイント減少し、28.6%となりました。

主な要因として、売上高増加に伴い物流コスト(倉庫料、荷造運賃発送費)が95,202千円の増加となっておりますが、物流コストの上昇が続く中で、在庫回転率の上昇に伴い倉庫料を圧縮することができたことにより、売上高伸長率に比例した一定の率内に抑えることができております。

結果として、営業利益は229,643千円(前事業年度は営業損失263,088千円)となりました。

 

(経常利益)

 当事業年度における営業外収益は、前事業年度より23,232千円増加し、25,348千円(前事業年度比1,097.8%増)となりました。営業外費用は、前事業年度より25,293千円減少し、20,716千円(前事業年度比54.9%減)となりました。

主な要因として、円高の影響による外貨建債務の為替差益を24,353千円計上した一方で、成長投資に必要な資金調達に関する費用を17,452千円計上したことなどによるものであります。

 結果として、経常利益234,275千円(前事業年度は経常損失306,982千円)となりました。

 

(当期純利益)

当事業年度の当期純損失は、前事業年度より577,421千円増加し、当期純利益270,978千円(前事業年度は当期純損失306,442千円)となりました。

 

財政状態の分析

ⅰ 資産

 当事業年度末における総資産の残高は、前事業年度末より1,903,425千円増加して、3,547,978千円となりました。

 

(流動資産)

当事業年度末における流動資産の残高は、2,388,989千円増加して、3,404,526千円となりました。

この主な要因は、現金及び預金が1,509,051千円、商品及び製品が431,282千円、原材料及び貯蔵品が188,433千円増加したこと等によるものであります。

 

(固定資産)

当事業年度末における固定資産の残高は、485,564千円減少して、143,452千円となりました。

この主な要因は、当社が保有している株式会社REVOLUTION株式の投資有価証券が565,352千円減少したこと等によるものであります。

 

ⅱ 負債

当事業年度末における負債の残高は、前事業年度末より76,758千円減少して、592,017千円となりました。

 

(流動負債)

当事業年度末における流動負債の残高は、76,767千円減少して、588,252千円となりました。

この主な要因は、買掛金が161,177千円増加した一方で、1年内償還予定の社債が300,000千円減少したこと等によるものであります。

 

(固定負債)

当事業年度末における固定負債の残高は、3,764千円となりました。

 

ⅲ 純資産

当事業年度末における純資産の残高は、前事業年度末より1,980,184千円増加して、2,955,961千円となりました。

この主な要因は、当期純利益を270,978千円計上したこと、資本金が842,784千円、資本剰余金が842,784千円及びその他有価証券評価差額金が25,429千円増加したこと等によるものであります。

以上の結果、自己資本比率は83.2%(前事業年度末は59.1%)となりました。

 

キャッシュ・フローの分析

当事業年度のキャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社の資本の財源及び資金の流動性については、営業活動によるキュッシュ・フローがマイナスという状況ではありますが、運連資金及び成長投資については、第11回乃至第15回新株予約権により調達しております。

当社の主な資金需要は、原材料の調達、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものです。

また、企業価値向上につながるM&A等、多額の投資を行う場合は、当事業年度において当期純利益が黒字へ転換したことにより、財務の健全性維持を勘案し、金融機関からの新たな借入れによる資金調達の可能性もあります。

資金の流動性については、引き続き調達した原材料在庫を営業活動により早期の資金化を図ることとしています。

当社の当事業年度末の資金は、前事業年度末に比べて1,509,051千円増加して1,886,776千円となりました。

当事業年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、仕入債務の増加161,177千円及び税引前当期純利益234,275千円の計上がある一方で、棚卸資産の増加619,716千円及び売上債権の増加155,908千円があったこと等で、436,553千円の使用(前事業年度は248,809千円の使用)となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却による収入589,104千円があったこと等で584,912千円の獲得(前事業年度は35,659千円の獲得)となりました。

財務活動によるキュッシュ・フローは、社債の償還による支出300,000千円及び資金調達費用の支払いによる支出24,933千円がある一方で、新株予約権の行使による株式の発行による収入1,683,777千円があったこと等で1,358,842千円の獲得(前事業年度は339,447千円の獲得)となりました。