2024年3月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

① 事業内容に関するリスク

(a)アマゾンフルーツ仕入のCAMTAへの依存について

当社は2002年12月に初回の締結が行われ、その後2021年10月に最新の更新が行われたCAMTAとの取引基本契約により、CAMTAが生産するアサイー及びその他のフルーツの冷凍パルプの日本における独占販売権及び米国、オーストラリア、中国、韓国、ニュージーランド及びオセアニア諸国において商品を販売する権利を有しております。

当社は同取引基本契約に基づき、当社が扱うアサイーを含むアマゾンフルーツ冷凍パルプについて全てをCAMTAから購入する義務を負っており、当社の製商品のほとんどに、それらアマゾンフルーツ冷凍パルプが用いられております。

当社の製商品にはこれらのアマゾンフルーツに他の果物等を加えるため、2024年3月期の当社の製品売上原価のうち材料費に占めるCAMTAからの仕入金額は7割以上、商品売上原価のうち商品仕入高に占めるCAMTAからの仕入金額は9割以上となっております。

このように、現時点での当社の事業活動は、同取引基本契約に基づくCAMTAからのアマゾンフルーツ仕入を前提とし行われております。

同取引基本契約の有効期限は、更新日より5年間(現契約は2026年10月まで)となっております。また、その更新は両者間において更新に異議がない場合は、自動的に5年間の契約延長がなされることとなっており、契約解除条項は存在しません。

当社は創業時よりCAMTAとの絆を大切にしてまいりました。当社は本社から年数回CAMTAを訪問する等CAMTAとの良好な関係維持に努めつつ、品質の確認、生産・財務状況の確認等を行っております。また、アサイー冷凍パルプの購買にあたっては、同取引基本契約に基づいて、毎年個別購買契約を締結し、購入数量の確保及び価格の安定化を図っております。

今後においても、原料の安定確保のためCAMTAとの関係強化を図ってまいりますが、CAMTAとの関係の変化、取引縮小、原料等の価格引き上げ、本地域における自然災害などがあり、CAMTAからアサイー等を計画通りに仕入れることができない場合、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(b)売上高におけるアサイーの依存について

当社の売上高実績に占めるアサイー関連事業の売上高(当社全体の売上高からカカオ豆の卸販売や、アサイー以外の冷凍フルーツパルプの販売といった、アサイーに直接関係しない事業分を除いた売上高)の割合は、2024年3月期において6割以上となっております。

当社としましては、アサイービジネスの一層の拡大に注力する一方、アサイー以外のアマゾンフルーツを用いた商品の開発、販売等にも取り組み、当社全体としての事業の拡大を図っております。世界的な消費者の「健康志向」「本物志向」という潮流の中でアサイー認知度が急激に向上したことなどから、最近においてアサイー関連市場は拡大しましたが、消費者の嗜好の変化等によってアサイー関連市場の大幅な縮小を余儀なくされる等、予期せぬ事態が発生した場合、当社の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(c)アサイーの仕入について

当社は、アサイー及びアサイーを原料とした製品販売を主体としており、安定的なアサイーの確保のための灌水設備等の現地投資や、他のアマゾンフルーツの売上比率の向上などを検討し、リスク低減を図っております。しかしながら、天候不順等によるアサイー価格の高騰、品質劣化等により、アサイーを適正価格で仕入れることができない場合、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(d)食の安全性について

当社の仕入先であるCAMTAは栽培から製造まで一貫して品質管理を行っており、それ以外の原料・外注委託については、当社が品質の確認を行っております。また、表示についても当社で確認するとともに、保健所等の行政機関に対しても確認を依頼しております。しかしながら、万が一大規模な商品回収を実施した場合、もしくは当社の商品に直接の問題がない場合であっても、食品業界全体やブラジル産食品、アサイー等に対する風評などにより当社商品に影響がある場合、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

 

(e) 健康機能性表示取得について

アサイーの造血機能研究は造血に関わるメカニズムを解明し、臨床試験や関与成分の追加研究により、最終的に機能性表示取得を目指していますが、臨床試験や研究結果によっては取得できない可能性があり、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(f)競合について

当社は、“経済が環境を復元させる事業モデルの構築~グリーンエコノミーの実現~”を企業コンセプトとし、アマゾンフルーツをわが国に普及、拡大すべく事業を展開しておりますが、フルーツ飲料を含む飲料市場においては、大手企業を含む多くの企業が事業展開していることもあり、今後有力な競合先が現れる可能性があります。今後、新規参入等により競争が激化した場合には、当社の事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

   (g)為替相場の変動について

当社は、CAMTA及び海外OEM工場への製商品代金の支払いはドル建てで行っており、為替相場の変動の影響を受けております。直物為替等の活用により、為替リスクを回避する努力を行っておりますが、業容の拡大に応じて適時にすべての為替リスクをヘッジできる保証はなく、為替相場の変動が短期間に乱高下した場合には、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(h)訴訟に関するリスクについて

当社は、研究開発をはじめその事業活動において第三者の知的財産権を侵害することのないように細心の注意を払っております。しかしながら、知的財産権を侵害したとして第三者から不測の訴訟を提起され、その結果によって損失が発生する場合、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(i)情報の漏えい等に関するリスクについて

当社は、事業運営に必要な、お客様を含む個人情報や経営にかかわる重要情報等の機密情報を多数保有しております。当社は、これらの情報管理の重要性を十分認識し、JAPHICマークも取得しております。また、従業員に対する教育の実施など、システム管理を含めた適切な対策を実施しております。しかしながら、現時点で予期しえない不正アクセスやコンピューターウィルスの感染等による機密情報の漏えい、改ざん、消失等が起こった場合は、当社の信用失墜に繋がり、今後の営業活動に影響を及ぼし、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

② 事業体制に関するリスク

(a)代表者への依存について

当社の創業者であり、事業推進者である代表取締役の長澤誠は、経営方針や経営戦略等、当社の事業活動全般において重要な役割を果たしており、同氏に対する当社の依存度は高くなっております。

当社においては、同氏に過度な依存をしない経営体制を構築すべく、執行役員制度の導入等により権限移譲を進めておりますが、何らかの理由で同氏の業務遂行が困難になった場合には、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(b)小規模組織であることについて

当事業年度末現在における当社組織は、取締役3名(うち社外取締役1名)、監査役3名(うち社外監査役2名)、従業員23名の小規模な組織であり、内部管理体制や業務執行体制はこの規模に応じた組織で対応しております。このため、業容拡大に応じた人員を確保できず役職員による業務遂行に支障が生じた場合、あるいは役職員が予期せず退社した場合には、内部管理体制や業務執行体制が有効に機能せず、当社の事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ その他のリスク

株式の希薄化に関するリスク

当社は、2023年11月13日開催の取締役会において、第11回乃至第13回新株予約権並びに第14回及び第15回新株予約権の発行決議を行っており、行使期限を2030年12月17日としており、2024年3月末時点で未行使の新株予約権が合計で878,800個となっております。それまでに本新株予約権の行使による発行株式合計87,880,000株が発行されることとなります。

本新株予約権の行使により、当社普通株式の1株当たりの株式価値及び持分割合が希薄化し、当社株価に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

④継続企業の前提に関する重要事象等について

当社は、前事業年度まで継続して営業損失、経常損失、当期純損失を計上しており、当事業年度においても営業損失263,088千円、経常損失306,982千円、当期純損失306,442千円を計上していることから、継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。

 

当該状況を改善・解消すべく、以下の業績並びに財政状況の改善に取組んでまいります。

 

(a)リテール事業

好調に推移しているアサイー関連商材のさらなる販路拡大に加え、製品へCO2削減マーク記載を武器として、定番採用増につなげてまいります。

 

(b)業務用事業

外食向け原料販売については、アサイーの代替肉における血液代替原料となり得る価値の訴求を武器として、成功事例を積み上げてまいります。

メーカー向け原料販売については、造血機能研究をフックとして、健康食品向け原料への新規採用を図ってまいります。

 

(c)DM事業

販売チャネルごとの役割を明確にし、自社ECにおいてはチャネル特性に合った新商品の開発や、CO2削減量可視化の取組の強化など、価格に左右されにくい当社独自の価値提供により、EC市場全体での拡売・収益確保に取り組んでまいります。

 

(d)海外事業展開への取組み

引き続きCAMTAと協力しながら増産に向けて取り組んでいくと共に、アグロフォレストリーを中心としたサ ステナブルマッチングプラットフォーム構築に向けた取り組みを進めてまいります。また、アジア地域でのアサイー及びアマゾンフルーツ等の原材料販売に取組んでまいります。

 

(e)機能性分析への取組み

機能性分析による消費者への訴求及び動機付けに起因した売上拡大に取組んでまいります。

 

(f)財務基盤の安定化について

アサイー原材料の資金化と新規取組みで利益改善を図るとともに、新株予約権の行使等も含めた資本政策により財務基盤安定に取組んでまいります。

 

当社は、これら事象を解消するため、各施策に取組むものの、現時点においては継続企業の前提に関する重要な不確実性が存在することを否定できないものと認識しております。

 

配当政策

3【配当政策】

 当社は、創業以来、財務体質の強化及び将来の事業展開に備えるため、配当可能利益を全額内部留保とし、配当を実施しておりません。当社は重要な営業損失を計上していることで、誠に遺憾ではございますが、当面の間配当による株主への還元は見送ることとしております。

 今後、新株予約権の行使等を含めた自己資本の補完と業績が回復し財務体質が強化され、且つ企業規模や収益が安定期に入ったと判断された時点で、経営成績・財政状態を勘案しながら、配当による株主への利益還元に努める所存であります。

 なお、当社は剰余金を配当する場合には、期末配当の年1回を基本的な方針としております。配当の決定機関は、株主総会であります。

 また、当社は中間配当を取締役会決議にて行うことができる旨を定款に定めております。

 なお、当期につきましては無配とさせていただいております。