2023年12月期有価証券報告書より
  • 社員数
    535名(単体) 23,532名(連結)
  • 平均年齢
    41.2歳(単体)
  • 平均勤続年数
    16.4年(単体)
  • 平均年収
    11,142,087円(単体)

従業員の状況

5【従業員の状況】

(1)連結会社の状況

 

2023年12月31日現在

セグメントの名称

従業員数(人)

日本

9,551

[651]

アジアパシフィック

7,390

[273]

欧州

3,471

[120]

米州

3,008

[65]

本社(共通)

112

[-]

合計

23,532

[1,109]

(注)従業員数は就業人員数であり、臨時従業員数は[ ]内に年間の平均人員を外数で記載しています。

 

(2)提出会社の状況

 

 

 

2023年12月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

535

41.2

16.4

11,142,087

 

セグメントの名称

従業員数(人)

日本

423

本社(共通)

112

合計

535

(注)1.従業員数は、当社から他社への出向者を除き、他社から当社への出向者を含む就業人員数です。なお、臨時従業員数は従業員数の100分の10未満であるため記載していません。

2.平均勤続年数は、サントリーグループにおける勤続年数を通算して記載しています。

3.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでいます。

 

(3)労働組合の状況

 当社に籍をおく従業員(1,070名)がTHE SUNTORY UN!ONに属しています。また、一部の子会社には労働組合が組織されています。

 労使関係については特記すべき事項はありません。

 

 

(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

 当社グループでは、同一の労働における賃金体系に差異はありませんが、男女間における平均年齢、在籍年数の違いにより差異が生じています。

 また、連結子会社については事業特性により従業員全体に占める男性比率が高い傾向にあります。

 今後も多様な人材、多様な価値観を積極的に取り入れ、新たな価値を絶えず創造していくことを目指し、男女問わず安心してイキイキと働くことができる環境整備や、女性活躍推進の取組みを進めていきます。

 

①提出会社

当事業年度

管理職に占める女性労働者の割合(%)

(注)2

男性労働者の育児休業取得率(%)

(注)3

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注)2

全労働者

正規雇用労働者

パート・有期労働者

8.7

113.0

62.9

62.9

103.0

(注)1.集計対象には当社から他社への出向者を含み、他社から当社への出向者を除いています。

2.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。

3.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものです。

 

②連結子会社

当事業年度

名称

管理職に占める女性労働者の割合(%)

(注)2

男性労働者の育児休業取得率(%)

(注)3

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注)2

全労働者

正規雇用労働者

パート・有期労働者

サントリービバレッジソリューション㈱

2.1

53.3

63.3

83.8

45.4

サントリープロダクツ㈱

2.8

52.6

76.5

78.1

59.1

㈱ユニオントラスト

0.0

66.3

68.3

67.9

(注)1.集計対象には対象会社から他社への出向者を含み、他社から対象会社への出向者を除いています。

2.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。

3.サントリービバレッジソリューション㈱については、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものです。サントリープロダクツ㈱については、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものです。

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1)サステナビリティ全般

①ガバナンス

 当社グループでは、サステナビリティ委員会が、当社グループ全体のサステナビリティ経営を推進する役割を担い、社会と事業の持続的な発展に向けて、サステナビリティ戦略の立案・推進を行っています。

 また、リスクマネジメントコミッティが、当社グループ全体のリスクマネジメント活動を推進する役割を担い、サステナビリティに関する種々の課題を含むリスクの抽出、対応策の立案及び対応状況の進捗確認を行っています。

 サステナビリティ委員会とリスクマネジメントコミッティは、常に連携をとっており、重要な意思決定事項については、取締役会で更なる議論を行い、審議・決議を行います。サステナビリティ戦略の進捗や事業のリスクと成長機会は、適宜取締役会に報告を行っています。また、取締役会では、外部の専門家を講師とした研修、生産研究開発施設等における取締役会の開催や意見交換等を実施することで、サステナビリティに関する知見を深める機会を設けています。

 また、役員報酬の決定に用いる目標には「サステナビリティ」の項目が設定されています。

 

②戦略

 当社グループでは、中長期的なマクロ環境の変化を踏まえたサステナビリティ経営を推進していくため、当社グループにとっての重要課題(マテリアリティ)を特定し、サステナビリティ戦略へと反映しています。

 当社グループは、当連結会計年度において、2017年に実施したマテリアリティ分析の結果の見直しを行いました。今回のマテリアリティ分析では、ダブルマテリアリティの概念のもと、当社グループの財務へのインパクト及び環境・社会への外部インパクトを特定し、評価を実施しました。また、マテリアリティ分析の結果を踏まえ、「サントリー食品インターナショナルグループ サステナビリティビジョン」を制定しました。

 「サントリー食品インターナショナルグループ サステナビリティビジョン」に掲げる7つの重要テーマは、“NATURE”(水、容器・包装、気候変動、原料)と“PEOPLE”(健康、人権、生活文化)から構成されており、当社グループは、“NATURE”と“PEOPLE”は、相互依存関係があることを意識し、双方が「響きあう」社会の実現を目指してステークホルダーの皆様とともに活動を行っています。

 

 

③リスク管理

 当社グループでは、リスクマネジメントコミッティにおいて、毎年当社グループ全社を対象にした重要リスクの抽出・評価を行い、当社グループにとって優先的に取り組むべきリスクを特定し、当社グループ全体でリスクの低減活動を推進しています。これらの活動につきましては、その内容を取締役会において定期的に報告しています。

 リスク抽出・評価のアプローチ及び特定したリスクの管理方法は、次のとおりです。

■リスク抽出・評価のアプローチ

 抽出されたリスクに対し、「リスクエクスポージャー(発生可能性×影響度)」及び「対策レベル(対策の準備の度合い)」の二軸で評価し、優先的に取り組むリスクを特定しています。

■特定したリスクの管理方法

 特定した優先的に取り組むリスクについては、責任者及びモニタリング機関を任命のうえ、リスクへの対応策を実施します。対応状況はリスクマネジメントコミッティにおいて報告・議論し、対応結果を踏まえて次年度の重要リスクを選定することで、抽出・評価・対策・モニタリングのPDCAサイクルを回しています。

 

④指標及び目標

 当社を含むサントリーグループでは、サステナビリティの課題の中でも特に事業への影響が大きいと想定している水及び気候変動について、2050年を目標年とする長期ビジョン「環境ビジョン2050」を設定しています。当社グループでは、2030年を目標年として、水及び気候変動に関する「環境目標2030」及び容器・包装に関する目標を設定し、活動を推進しています。

 また、人的資本に関する指標及び目標については、後記「(3)人的資本 ④指標及び目標」に記載のとおりです。

 

■「環境ビジョン2050」及び「環境目標2030」

※1 製品を製造するサントリーグループの工場

※2 2015年における事業領域を前提とした原単位での削減

※3 製品を製造する当社グループの工場

※4 コーヒー等

※5 目標の100万人はサントリーグループの人数

※6 当社グループの拠点

※7 2019年の排出量を基準とする

 

■水、気候変動及び容器・包装に関する2030年目標並びに進捗

重点分野

2030年目標

2023年実績

工場節水

自社工場※1の水使用量の原単位をグローバルで20%削減※2

特に水ストレスの高い地域においては、水課題の実態を評価し、水総使用量の削減の必要性を検証

基準年比21%削減※2

水源涵養

自社工場※1の半数以上で、水源涵養活動により使用する水の100%以上をそれぞれの水源に還元

特に水ストレスの高い地域においては全ての工場で上記の取組みを実施

全世界の自社工場※1の32%で水源涵養を実施。水ストレスの高い地域にある工場においては、その33%で活動を実施

原料生産

水ストレスの高い地域における水消費量の多い重要原料※3を特定し、その生産における水使用効率の改善をサプライヤーと協働で推進

ブラジル・セラード地域のコーヒー農家に対して、再生農業を通じた水利用の評価・支援等を行うパイロットプログラムの構築を開始

水の啓発

水に関する啓発プログラムに加えて、安全な水の提供にも取り組み、合わせて100万人※4以上に展開

累計107万人※5に展開

・次世代環境教育「水育」等の水啓発プログラム:71万人

・安全な水の提供:36万人

気候変動

GHG排出削減

自社拠点※6でのGHG排出量を50%削減※7

基準年比22%削減※7

バリューチェーン全体におけるGHG排出量を30%削減※7

2024年7月末に当社サステナビリティサイトにて開示予定

容器・包装

ペットボトルのサステナブル素材使用率※8

グローバルでのペットボトルの

サステナブル素材使用率※8100%

33%

※1 製品を製造する当社グループの工場

※2 2015年における事業領域を前提とした原単位での削減

※3 コーヒー等

※4 目標の100万人はサントリーグループの人数

※5 累計の107万人はサントリーグループの人数

※6 当社グループの拠点

※7 2019年の排出量を基準とする

※8 ペットボトル重量のうちサステナブル素材(リサイクル素材あるいは植物由来素材等)の比率

 

(2)サステナビリティに関する重点テーマの取組み

①気候変動関連課題への対応(TCFDに基づく開示)

 地球温暖化による水資源への影響は、飲料製品の安定供給にも影響を及ぼすと考えられます。また、資源の枯渇により、生産コストの増加も大きなリスクとなる可能性があることから、当社グループでは、気候変動を事業継続のうえで重要な課題の一つと認識しています。このことから、地球温暖化の緩和を目指す政府や地方自治体の環境取組みと連携するとともに、バリューチェーン全体での環境負荷低減を目指し、グループ一体となって気候変動対策に取り組んでいます。

 当社を含むサントリーグループでは、気候変動によるリスクや事業への影響を特定し、適切に対応していく必要があると考え、金融安定理事会(FSB)により設置された「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言への賛同を2019年に表明し、以降、毎年TCFD提言に基づく重要情報を当社サステナビリティサイトにおいて開示しています。

 本項目では主要な情報を記載しています。

 

(ⅰ)ガバナンス

前記「(1)サステナビリティ全般 ①ガバナンス」に記載のとおりです。

 

(ⅱ)戦略

 当社グループでは、シナリオ分析を通じて特定したリスク・機会の中でも、カーボンプライシングの導入による生産コストの増加、生産拠点への水の供給不足による操業影響、農産物の収量減少による調達コストの増加の3点が、特に大きな財務的影響を及ぼす可能性があることを認識し、これらの影響額の試算及び開示を行っています。

 

 

1.主要なリスク・機会の抽出

2.各リスク・機会の事業への影響を評価

(最重要リスクは事業に対する影響額を試算)

3.対応策の検討/実施

リスク・機会の種類・分類

想定される事業への影響

リスク軽減・機会取り込みへの

対応策

移行

リスク

新たな

規制

カーボンプライシング導入による生産コスト増

・炭素税の導入や税率の引き上げによる財務上の負担増

・事業に対する試算影響額95億円(2030年)、180億円(2050年)※1

・内部炭素価格を導入し、投資意思決定の際に考慮

・2030年までに脱炭素を促進する投資(再生可能エネルギーへの転換・ヒートポンプの活用等)を実施予定

・「環境目標2030」「環境ビジョン2050」で設定した目標を達成した場合には、47.5億円(2030年)、180億円(2050年)の削減効果

物理的

リスク

慢性

リスク

生産拠点への水供給不足による操業影響

・グループにとって最も重要な原料である水の供給不足で工場が操業停止することによる機会損失

・事業に対する試算影響額65億円※2

・当社グループ工場の全拠点を対象に、工場流域の利用可能な水資源量に関するリスクを評価

・工場での水総使用量の削減の検討や、水源涵養活動により工場で使用する水の100%以上還元する目標を掲げて取組み実施

農産物の収量減による調達コストの増加

・現状と同品質の原料調達のためのコスト上昇

・事業に対する試算影響額51億円(RCP8.5シナリオ、2050年)

・原料産地別に気候変動による将来収量予測等の影響評価を行い、原料の安定調達のための戦略を策定

・持続可能な農業に向けたパイロットの開始

急性

リスク

大型台風やゲリラ豪雨を

要因とした洪水等の発生

・洪水被害による浸水、バリューチェーン分断等による操業停止

・リスクマネジメントコミッティにおいて、全ての当社グループ生産拠点のリスク評価を行う仕組みを構築

機会

商品/

サービス

気温上昇に伴う健康への影響

・平均気温の上昇や猛暑等により、熱中症対策飲料や水飲料へのニーズが高まる

・生産能力増強や安定供給体制構築のための設備投資を実施

・消費者ニーズを捉えた商品開発

環境意識の高まりによる顧客行動の変化

・水資源を大切にする企業姿勢が社会に認知されることによるブランド価値の向上

・科学的データに基づく水源涵養活動、工場での節水・水質管理の取組み、水に関する啓発プログラム「水育」等を継続・強化するとともに、社外に情報発信

資源効率

新技術導入によるコスト削減

・新技術開発による石油資源の使用量とCO2排出量の削減

・ワンウェイプラスチック関連課税に対するコスト削減

・PETプリフォーム製造プロセスの効率化を目的とした新たな技術開発(「FtoPダイレクトリサイクル技術」等)

・効率的な使用済みプラスチックの再資源化技術開発(㈱アールプラスジャパン)

※1 2019年の当社グループ排出量(Scope1、2)をもとにIEA NZEの予測値から独自に推計した炭素税価格を使用し試算(為替は1ドル=145円で計算)

・2030年 日本、欧州、米州 140ドル/t、APAC 90ドル/t

・2050年 日本、欧州、米州 250ドル/t、APAC 200ドル/t

※2 水ストレスが高いエリアに立地する全当社グループ工場において、取水制限を想定した場合の利益インパクトを試算。なお、工場所在地の水ストレス評価は、世界資源研究所のAqueduct 3.0と世界自然保護基金(WWF)のWater Risk Filter 6.0を使用

(為替は1ドル=145円で計算)

 

(ⅲ)リスク管理

前記「(1)サステナビリティ全般 ③リスク管理」に記載のとおりです。

 

(ⅳ)指標・目標

 前記「(1)サステナビリティ全般 ④指標及び目標 「環境ビジョン2050」及び「環境目標2030」」に記載のとおりです。

 

②水の取組み

 水は当社グループにとって最も重要な原料の一つであり、かつ、貴重な共有資源であるため、水に関するリスク評価に基づきグループの事業活動や地域社会、生態系へのインパクトを把握することは持続的な事業成長のために不可欠です。

 当社グループでは、地球の環境と開発の問題に関するグローバルな非営利研究団体である世界資源研究所(World Resources Institute)が開発したAqueduct Baseline Water Stress及び2040 Water Stress、世界最大規模の自然環境保護団体である世界自然保護基金(WWF)が開発したWater Risk Filterを使用して、当社グループの製品を製造する当社グループ工場を対象に、水の供給のサステナビリティに関するリスク評価を実施しています。

 リスク評価の結果に基づいて1次選定した拠点に対して、水マネジメント(取水と節水)及び地域との共生の観点から各拠点に対して質問票による個別評価を行い、リスク低減対策の状況把握と進捗管理を行っています。

 また、「環境目標2030」の達成に向け、バリューチェーン上の各拠点の属する流域における自然環境の保全・再生活動等、水に関わる様々な取組みをグローバルに推進しています。当社を含むサントリーグループは、日本において、2003年から水を育む森を育てる「天然水の森」の活動を進めており、2023年12月末時点では「天然水の森」を全国15都府県22ヵ所、約1万2千ヘクタールまで拡大し、国内工場で汲み上げる地下水量の2倍以上の水を涵養する森林面積の整備活動を進めています。また、2023年11月にはスペインのトレド工場の水源にあたるグアハラス貯水池の流域において、貯水池に流れ込むラヨス川の水質環境改善を目指し、ラヨス川の河畔やその周辺の植生回復に向けた活動を2024年から本格的に開始するための協定をラヨス市と締結しました。

 更に、当社を含むサントリーグループでは、水の保全やスチュワードシップ(管理する責任)をグローバルに推進する国際標準の権威ある機関「Alliance for Water Stewardship(AWS)」による国際規格に基づくAWS認証を、「サントリー天然水 奥大山ブナの森工場(鳥取県)」、「サントリー九州熊本工場(熊本県)」、「サントリー天然水 南アルプス白州工場(山梨県)」の3工場で取得しています。また、当連結会計年度において九州熊本工場でAWS認証のレベルの中で最高位にあたる「Platinum」を取得しました。2021年に、当社を含むサントリーグループは、AWSと日本企業等へのウォーター・スチュワードシップの浸透を目的とした連携協定を締結し、日本で初となるAWS会議をAWS国際事務局、WWFジャパンと共同で開催し、産業セクターを超えて、様々な企業、NGOや行政機関の参画を呼びかけ、日本で初となる日本企業向けのAWS公式のトレーニングセミナーの開催を支援する等、啓発活動を推進しています。

 

③容器・包装の取組み

 使用済みプラスチックの不適切な取扱いによって引き起こされる環境汚染や廃棄時のGHG排出量の増加等は大きな社会問題になっており、ワンウェイプラスチック関連課税によるコスト増加等のリスクがある一方で、新規技術の開発・導入により石油使用量の削減が可能となる機会があります。

 当社を含むサントリーグループでは、循環型社会の実現に向けて、「プラスチック基本方針」のもと、“2030年までにグローバルで使用する全てのペットボトルに、リサイクル素材あるいは植物由来素材等のみを使用することで、化石由来原料の新規使用をゼロにする”という「ペットボトルの100%サステナブル化」を目標として掲げて活動を行っています。

 ペットボトルのメカニカルリサイクルの推進に加え、更にGHG排出量を低減する世界初の「FtoPダイレクトリサイクル技術」を開発する等、長年にわたって技術革新にも取り組み、使用済みペットボトルを新たなペットボトルに生まれ変わらせる、「ボトルtoボトル」水平リサイクルを積極的に推進しています。

 

④原料の取組み

 当社グループの製品に不可欠な農作物やその他原料は、気候変動による平均気温の上昇や、干ばつ、洪水といった異常気象の発生により、収量の変動、栽培適域の移動等、当社グループの生産活動に大きな影響を及ぼすものがあります。

 当社を含むサントリーグループでは、国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によるRCP2.6(2℃未満シナリオ)、RCP8.5(4℃シナリオ)及び国際エネルギー機関(IEA)によるシナリオ等を参照しながら、リスクと機会の把握を進めています。

 原料の安定調達のための取組みとして、原料産地別に気候変動による将来収量予測等の影響評価を行い、戦略を策定し、原料由来のGHG排出量削減や気候変動の緩和・適応効果が期待される再生農業を農家等と連携して試験的に実施しています。

 なお、主要原料に関する人権の尊重への取組みについては、後記「⑤人権の尊重への取組み」に記載のとおりです。

 

⑤人権の尊重への取組み

 当社を含むサントリーグループは、人権に配慮した活動を推進するため、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」(UNGPs)等の枠組みに沿った「サントリーグループ人権方針」のもと、人権デュー・ディリジェンスの活動をグローバルに推進しています。また、サプライチェーンにおける人権尊重に関しては、「サントリーグループサステナブル調達基本方針」及び「サントリーグループ・サプライヤーガイドライン」に則り、Sedexのプラットフォームを通じて取引先と連携して、人権・労働基準・環境等の社会的責任にも配慮した調達活動を推進しています。原料における人権リスクについては、グローバルリスクコンサルティング会社のVerisk Maplecroft社と連携し、一般的な国・業界データを用いて当社グループが購買する主要原料における潜在リスク評価を実施しました。評価の結果、潜在リスクが特定されたコーヒー豆については、サプライチェーンを遡ったリスク評価を開始しています。

 

(3)人的資本

 当社グループでは創業以来、「人」こそが経営の最も重要な基盤であるという「人本(じんぽん)主義」に基づき、従業員一人ひとりがイキイキと、やりがいを持って働き、それぞれの個性と能力を最大限発揮して成長し続けることを目指し、様々な取組みを進めています。

 

①ガバナンス

 当社グループでは、人的資本経営の実行体制として、前記「(1)サステナビリティ全般 ①ガバナンス」のガバナンス体制に加え、当社取締役会で、当社グループ全体の人事戦略を審議し、当社グループ全体の重要人事を決定しています。

 当社グループの人事戦略の立案・推進は、当社の人事部門が担っています。当社の人事部門は、サントリーホールディングス㈱の人事部門、及び当社グループ会社各社の人事部門と、定期的に意見交換及び情報共有する場を設け、当社グループ全体で人事戦略を着実に推進・実行できる体制を整えています。

 また、タレントマネジメント、人材育成・キャリア開発、エンゲージメント向上に向けた施策の立案実施、人権問題への対応、DEI及び健康経営に関する方針・戦略の立案実施等、様々な取組みにおいて、国内外のグループ各社と情報を共有し、議論・連携できる体制としています。

 なお、当社は、任意の人事委員会を設置しています。人事委員会は、委員の過半数を独立社外取締役とすることで、客観性及び透明性を確保しつつ、当社経営陣及びサントリーホールディングス㈱からの独立性も確保し、当社取締役候補者案、当社最高経営責任者及び社外取締役の後継者計画(プランニング)の策定、並びに取締役報酬水準を審議しています。また、より実効的に当社取締役候補者案の審議を実施すべく、経営幹部候補人材のタレントマネジメントの進捗状況についても、人事委員会へ、適宜報告しています。

 

②戦略

 当社グループは、以下の方針を立て、様々な取組みを進めています。

 

■人材育成方針

 人材育成を「中長期的な視点」で捉え、国籍や年齢等に関わらず、全ての従業員に成長の機会を提供することに努めています。

 

・成長フィールド(事業・リージョン・機能)の拡がりを活用した新たなチャレンジの機会提供

 当社を含むサントリーグループは、創業以来の洋酒事業を起点に、ビール・清涼飲料・健康食品・外食・花等、様々な分野に事業を展開しています。また、日本から世界へフィールドを拡げ、今日では、米州・欧州・アジア・オセアニアにおいて、メーカーとして幅広いバリューチェーン・機能を有しています。グローバル食品酒類総合企業グループへ成長する中、「全社員型タレントマネジメント」の実践を掲げ、従業員が挑戦・成長を続けられる機会を提供できるよう努めています。

全部門育成会議/Talent Review

グローバル共通の指標を活用し、各社・各部門・各組織において年間を通じて育成会議/Talent Reviewを実施。複数・多様な視点で一人ひとりの今後のキャリアの方向性・育成ポイントについて議論を重ね、個人・組織の成長を支援

戦略的ローテーション加速

事業・リージョン・職種を跨いだ戦略的ローテーション加速により、多様なキャリアの拡大を促進。組織の活性化や事業間のシナジーの創出

 

・世界中のサントリー従業員の学び舎「サントリー大学」における企業理念の浸透と能力開発

 当社を含むサントリーグループは人が育つための、日常の学びの仕組み・学びの風土づくりを強化するため、2015年4月に企業内大学「サントリー大学」を開校しました。「サントリー大学」は、「自ら学び、成長しつづける風土の醸成」、「創業の精神の共有と実践」、「リーダーシップ開発」及び「未来に向けた能力開発」の4つの視点からサントリーグループに属する全ての従業員に様々なプログラムを開発、提供しています。

「企業理念・創業精神の浸透」「グローバル経営人材の育成強化」に向けたプログラム

Global Leadership Forum/Suntory Harvard Program/Beyond Borders/Global Leadership Development Program/次世代経営者研修/グローバルチャレンジ/トレーニー制度等、国境を越えた真の“Global One Suntory”を実現し、事業の枠を超えてサントリーグループ全体を牽引するリーダーを育成することを目的としたプログラムの数々を実施

学習プラットフォーム

「MySU(My Suntory University)」

世界中の従業員がいつでもどこでも自発的かつ効果的に学習できる環境を整備

 

 以上の人材育成方針を各現場で浸透・実行できるよう、当社を含むサントリーグループでは、サントリーリーダーシップ考動項目(Suntory Leadership Spirit)(以下「SLS」という。)を設定し、リーダー層に求められる考動をグローバル共通で明確化しています。

 SLSは、「やってみなはれ」「お客様志向 現場発想」「組織の壁を乗り越える」「中長期視点も踏まえた、機敏な判断・考動」「人を育てる 自らも育つ」の5項目からなり、当社を含むサントリーグループならではのバリューやユニークネスを生み出すリーダーシップの基盤となっています。

 とりわけ「人を育てる 自らも育つ」という項目では、中長期視点で部下の育成計画を定め、成長を積極的に支援すること・マネジャー自らの成長を常に意識し、不断の努力を行うことを求めています。

 

■社内環境整備方針

・DEI推進

 当社を含むサントリーグループは、新たな価値を絶えず創造していくためには、国籍や年齢等にとらわれることなく、多様な人材、多様な価値観を積極的に取り入れ、公平性を担保し、活かすことが重要であるという考えのもと、「DEI Vision Statement」と「Strategic Pillars」を制定し、その実現に向けてグループグローバルで様々な取組みを進めています。

女性の登用・活躍推進

・ストレッチ機会提供による意識・考動変革、ライフイベントとの両立に向けた制度・環境整備、グローバルでの啓発活動、部門ごとの状況・課題に応じた目標設定とサクセッション・パイプライン形成

・年に3回程度、DEI推進状況を確認する協議会の実施

男性育休推進

5日間の有給育休制度の活用(ウェルカム・ベビー・ケア・リーブ)、男性従業員の第一子が出生した際のwelcome baby セミナーへの参加必須化、配偶者の出産予定申請制度、出生時の育児休職期間中の就業の条件付き認可

LGBTQ+に関する活動の展開

同性パートナーを配偶者に加える等の制度改定、相談窓口設置、グローバルでの啓発活動、東京・九州のレインボープライドへゴールドスポンサーとして協賛し体験を通じた理解促進を推進

障がい者の活躍推進

職域を限定しない採用活動、「コラボレイティブセンター」の活躍とコラボる体験(コラボレイティブセンターのメンバーの仕事を学ぶ体験)を通じたインクルーシブな風土の醸成

シニア層の多様な働き方支援

制度改定、キャリアワークショップの実施、地方創生人材支援

 

・健康経営の推進

 当社を含むサントリーグループは、従業員・家族の健康がサントリーの挑戦・革新の源であるという考えのもと、全従業員が心身ともに健康でやる気に満ちて働いている状態を目指しています。

 2016年に「健康経営宣言」を掲げ、Global Chief Health Officer(健康管理最高責任者)が中心となり、健康保険組合や労働組合と連携しながら様々な取組みを進めています。

生活習慣病対策

食事、運動、睡眠、禁煙、適正飲酒等の観点で、従業員が主体的、継続的に健康増進に向けて取り組むための支援

メンタルヘルス対策

セルフケア、ラインケア、事業場内産業保健スタッフ等によるケア、事業場外資源によるケアの4つの観点での支援

安全衛生管理体制の整備・推進

事業所ごとに健康レポートを配布。健康課題に対する目標を各事業所が計画し実行するPDCAサイクルを推進

女性の健康支援

女性活躍支援の一環として、女性が健康で安心して働ける環境を整備するため、婦人科専門の相談窓口を設置

 

・エンゲージメントの強化

 世界に4万人超の従業員を有する当社を含むサントリーグループは、様々な個性やバックグラウンドを持つ従業員同士が仲間として積極的に繋がり、ミッションに向かってともに成長していくうえで、「エンゲージメントの強さ」が重要であると考えています。「ONE SUNTORY、One Family」を合言葉に、様々な取組みを進めています。

One Suntory Walk

健康×社会貢献×一体感醸成の3つの価値を持ち合わせた、世界30か国から7,500人以上が参加するユニークなイベント

ソフトバレーボール大会

全国8会場にて、国内グループ会社従業員とその家族約17,000人が参加する一大イベント

アルムナイネットワーク

・社会で幅広く挑戦、活躍しているOB、OG(自己都合退職者)の新たなネットワーク(約130人が登録)

・定年退職した従業員が旧交を温める会員組織(約2,100人が所属)

組織風土調査

エンゲージメント、企業理念の理解、コンプライアンスについてどのような意識を従業員が持っているのかを毎年調査

 

③リスク管理

 リスク管理については、前記「(1)サステナビリティ全般 ③リスク管理」に記載のとおりです。

 

④指標及び目標

 当社を含むサントリーグループは、人材育成を中長期的な視点で捉え、全ての従業員に成長の機会を提供するという方針に基づき、チャレンジの機会創出や、「サントリー大学」における企業理念の浸透と能力開発に取り組んでいます。

 また、新たな価値を絶えず創造していくために、国籍や年齢等にとらわれることなく、多様な人材、価値観を積極的に取り入れ、公平性を担保して活かすことが重要であるとの考えから「DEI Vision Statement」を掲げ、従業員・家族の健康がサントリーの挑戦・革新の源であり、全ての従業員が心身ともに健康でやる気に満ちて働いている状態を目指して「健康経営宣言」を掲げています。世界中の従業員同士が仲間として積極的に繋がり、ミッションに向かってともに成長すべく「ONE SUNTORY、One Family」の精神で、一人ひとりがイキイキと働ける環境づくりを進めています。

 

指標

目標

2023年実績

対象範囲

人材育成方針

当社グループで自分自身のキャリアを築いていく様々なチャンスの機会についての好意的回答割合

2030年目標

80%

70%

※1

当社グループの企業理念の意味合いの理解についての好意的回答割合

2030年目標

95%

93%

社内環境整備方針

DEI推進

女性管理職比率

2030年目標

30%

8.7%

※2

男性育休取得率

2024年以降

100%以上維持

113.0%

健康経営の

推進

再検査・精密検査受診率

2030年目標

100%

90.0%

※1

プレゼンティーイズム※3

2030年目標

90%

79.7%

従業員エンゲージメント

当社グループで働く誇りについての好意的回答割合

2030年目標

90%

88%

※1

※1 当社の雇用する従業員(一部の海外グループ会社への出向者等を除く)が対象

※2 当社の正規雇用従業員(当社から他社への出向者を含み、他社から当社への出向者を除く)が対象

※3 病気やケガがない時を100%とした場合の仕事の生産性 4週間の平均