リスク
3【事業等のリスク】
当社グループでは、リスクマネジメントコミッティが当社グループ全体のリスクマネジメント活動を推進する役割を担っており、定期的に当社グループにおけるリスクの抽出、当該リスクの顕在化する可能性及び経営成績等の状況に与える影響の内容の検討、当該リスクへの対応策の立案及び対応状況の進捗確認を行っています。また、リスクマネジメントコミッティはその活動内容を取締役会に報告しています。
経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクのうち、リスクマネジメントコミッティにおいて、特に重要なリスク及びその他重要なリスクに分類しているリスクは、以下のとおりです。
なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものです。
<特に重要なリスク>
(事業計画及び経営戦略に基づく事業戦略に関するリスク)
当社グループは、中長期的成長の実現のために中期経営戦略を策定していますが、中期経営戦略を実行し、目標を達成できる保証はありません。中期経営戦略の実行・目標達成のためには、企業買収、事業提携・資本提携による規模の拡大と、既存事業の成長とが必要となりますが、企業買収等の機会の獲得及び実行並びにその後の事業統合に際して当社グループが直面するリスク(企業買収及び事業提携・資本提携に関するリスク)に加えて、既存事業の成長の実現に関しても、中期経営戦略を実現できないリスクがあります。
(企業買収及び事業提携・資本提携に関するリスク)
日本や他の先進国市場及び新興国市場において新たな企業買収や市場参入の機会を見い出し、活用することは、当社グループの成長戦略の重要な要素であるため、当社グループは、大規模なものや重要性の高いものも含め、企業買収及び事業提携・資本提携の可能性を常に検討しています。このような企業買収等に関しては、以下に掲げるような問題が生じる可能性があります。
・ 企業買収等の適切な機会を見い出せないこと、又は、競合的な買収による場合を含め相手先候補との間で企業買収等に係る条件について合意できないこと
・ 企業買収等に関連して必要な同意、許認可又は承認を得ることができないこと
・ 必要資金を有利な条件で調達できないこと
・ 新たな地域又は商品カテゴリーに参入することにより、当社グループの事業内容が変化すること、また、当社グループが精通していない又は予測することができない課題に直面すること
・ 企業買収等の結果として、予期していた利益や経費削減効果を実現できないこと
当社グループの企業買収等が成功しない場合、当社グループの中長期的な成長目標を実現することができない可能性があります。
(経済情勢等に関するリスク)
日本その他の主要市場における将来の景気後退又は経済減速等の経済不振は、当社グループの商品に対する購買力や消費者需要に影響を及ぼす可能性があります。低迷する経済情勢の下では、消費者が買い控えを行い、又は低価格帯商品を志向する可能性があります。日本その他の主要市場における当社グループの商品に対する消費者需要の低下は当社グループの収益性を低下させ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
日本の長期的な人口動向は、全体として高齢化及び減少の傾向にあり、消費者需要に影響を与える可能性があります。仮に、日本の人口動向により当社グループの商品の需要が減少し、又は価格低下圧力が増加した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(当社商品の安全性に関するリスク)
当社グループは、飲料・食品メーカーとして商品の安全性を最重要課題として認識し、適用される規制を遵守し商品に要求される全ての品質基準を満たすよう努めています。更に、当社グループは、品質、環境、健康及び安全に関する様々な基準を採用しています。しかしながら、当社グループの努力にもかかわらず、商品がこれらの基準を満たさず、又は、その品質が低下し、安全性に問題が生じる可能性があります。このような問題は、当社グループにおいて生じ得るのみならず、当社の管理が及ばない販売先や仕入先・製造委託先において生じる可能性があります。これにより、多額の費用を伴う製造中止、リコール又は損害賠償請求が発生し、また、当社グループのブランド及び信用に悪影響を及ぼす可能性があります。更に、当社グループの信用は、根拠のない若しくは僅少な金額の損害賠償の申立て又は限定的なリコールによっても低下する可能性があります。
(商品開発及び商品供給に関するリスク)
当社グループが事業を展開する飲料・食品市場は、消費者嗜好の変化による影響を非常に受けやすい市場です。当社グループが収益及び利益を確保するためには、消費者の嗜好にあった魅力的な商品を提供することが必要となります。当社グループは、市場の変化を的確に把握するよう努めていますが、当社グループが消費者の嗜好にあった魅力的な新商品を開発できる保証はありません。また、当社グループは、健康志向を有する消費者にとって魅力的な商品を開発することを重要な商品戦略の一つとしていますが、他社が同様に健康を訴求する商品に注力し競争が激化する可能性があります。消費者の嗜好に何らかの重大な変化が生じた場合や、当社グループがこのような変化を的確に把握し、又はこれに対応することができない場合、当社グループの商品の需要が減少し、また当社グループの競争力が低下し、経営成績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります。
当社グループは、商品の供給に関して、消費者の嗜好等を踏まえて需要を予測し、需給計画を立案していますが、当社グループの予測を超える需要が発生した場合等、需要に適切に応じられない可能性があります。この場合、当社グループは販売機会を喪失し、また、当社グループのブランドイメージに悪影響を及ぼし、当社グループの商品の需要が低下する可能性があり、これらにより経営成績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります。
また、当社グループの事業の継続的な成否は、新商品の継続的な市場への投入、商品デザインや広告宣伝活動の更なる改善といった革新活動にも依存しています。当社グループは、ブランド力の強化及び新商品投入のために多大な経営資源を投入していますが、消費者環境の変化に伴い、当社グループの販売計画を達成できる保証はありません。当社グループが市場動向・技術革新に対応した有効な販売施策や適切な革新を実現できず、また、新たなヒット商品を市場に投入できなかった場合、当社グループのブランドイメージに悪影響を及ぼし、当社グループの商品の需要が低下する可能性があり、また、これにより、棚卸資産の評価減その他の費用が発生する可能性もあります。
(原材料調達に関するリスク)
当社グループは原材料として主に、アルミニウム製・スチール製の缶及び缶蓋、ガラス瓶、ペットボトル、キャップ、段ボール、コーヒー豆、茶葉、果汁、果物、甘味料、添加物等を使用しています。かかる原材料の価格は、天候や市場における需給の変化により影響を受けます。また、原材料から商品を製造するには、電気や天然ガスを使用します。これらの原材料及びエネルギーに係る費用は著しく変動する可能性があります。これらの原材料及びエネルギーの価格が継続的に上昇した場合、当社グループの原価を押し上げる可能性があります。増加した原価を販売価格に十分に転嫁できない場合や、高騰した原価の販売価格への転嫁により当社グループの商品に対する需要が減少する場合には、当社グループの事業並びに経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループが使用する原材料の中には、供給源が限られているものがあります。当社グループは、原材料の仕入先と強固な関係を築いていると考えていますが、仕入先が当社グループの要求に応えることができない場合、原材料不足に陥る可能性があります。仕入先が当社グループの要求に応えることができないという事態は、気候変動、天候、自然災害、火災、作物の不作、疾病、労働力不足、労働衛生・労働安全上の問題、ストライキ、製造上の問題、輸送上の問題、供給妨害、政府による規制、国家間の対立、戦争の勃発、政治不安、テロリズム及び各国のエネルギー危機等様々な要因により生じる可能性があります。かかるリスクは、仕入先又はその施設が、上記の事態が生じる危険性の高い国や地域に所在する場合により深刻な問題となる可能性があります。また、仕入先の変更には長期のリードタイムを要する可能性があり、原材料の供給が長期にわたり滞る場合、当社グループの事業並びに経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)サステナビリティに関する重点テーマの取組み」に記載のとおり、取組みを進めています。また、当社を含むサントリーグループが賛同を表明しているTCFDに沿った情報開示を拡充するとともに、原材料安定調達の取組みについても情報開示を行っています。
(水の供給に関するリスク)
水は当社グループのほぼ全ての商品の主要な原料ですが、世界の多くの地域において、水資源は、人口増加による消費量の増加、水質汚染、管理不足や気候変動に起因するかつてない難題に直面しています。世界中で水資源の需要が高まるにつれて、当社グループを含む、豊富な水資源に依存している企業は、製造コストの増加や、生産量についての制約に直面する可能性があり、その結果、長期にわたって当社グループの収益性又は成長戦略に影響を及ぼす可能性があります。
(天候に関するリスク)
当社グループが販売する商品の中には、天候により売上が大きく左右されるものがあります。当社グループの商品は、通常春から夏にかけての暑い時期に販売数量が最大となりますが、この時期に気温が低くなった場合、商品需要が落ち込み、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(サプライチェーンに関するリスク)
当社グループ及び当社グループの取引先は、世界各国で原材料を調達し、製造を行っています。サプライチェーンマネジメントにより適切な品質管理、経費削減及び収益性の向上を実現することは、当社グループの事業戦略の一つですが、当社グループは、当社グループの管理が及ばない要因による場合を含め、目標とする効率性を達成できない可能性があります。気候変動、天候、自然災害、火災、作物の不作、疾病、労働力不足、労働衛生・労働安全上の問題、ストライキ、製造上の問題、輸送上の問題、供給妨害、政府による規制、行政措置、感染症、国家間の対立、戦争の勃発、政治不安及びテロリズム等の事由により当社グループの製造又は販売活動に支障が生じる結果、当社グループの製造又は販売能力が損なわれる可能性があります。かかる事由の発生可能性を減少させその潜在的影響を低減するための十分な措置が取られない場合、又はかかる事由が発生したときに適切な対処ができない場合には、当社グループの事業並びに経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があるとともに、当社グループのサプライチェーンを修復するための追加的な経営資源の投入が必要となる可能性があります。
当社を含むサントリーグループでは、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)サステナビリティに関する重点テーマの取組み」に記載のとおり、「サントリーグループサステナブル調達基本方針」を制定し、取引先と連携して、人権・労働基準・環境等の社会的責任にも配慮した調達活動を推進しています。
(当社ブランドの信用に関するリスク)
当社グループにとって、当社グループの信用を維持することは極めて重要です。商品の汚染若しくは異物混入、供給元から調達する原材料及び含有物等に関するものを含め商品の品質、安全性及び完全性を高い水準で維持できないこと、真実であるか否かを問わず、商品の品質問題、不正表示若しくは汚染に関する疑惑、又は、マスメディアやインターネット上に流通するネガティブな評価により、当社グループの信用が損なわれ、また、当社グループの商品に対する需要の低下又は製造・販売活動への支障が生じる可能性があります。当社グループの商品が、一定の品質基準を満たさない場合、消費者等に損害を与えた場合又は商品について不正な表示がなされた場合、当社グループは商品を回収し、損害賠償責任を負わなければならない可能性があります。更に、当社グループの管理が及ばないサントリーホールディングス㈱及びそのグループ会社もサントリーブランドを使用して事業を行いますが、サントリーホールディングス㈱又はそのグループ会社において同様の問題が生じ、又はコンプライアンス違反があった場合や当社グループの業務委託先においてコンプライアンス上の問題等が生じた場合には、当社グループのブランドにも影響を及ぼす可能性があります。当社グループの信用が損なわれ、又は当社グループの商品に対する消費者の信頼を失った場合、当社グループの商品の需要の低下に繋がる可能性があり、また、当社グループの事業並びに経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼし、更には当社グループの信用を回復するための追加的な経営資源の投入が必要となる可能性があります。
(企業の社会的責任に関するリスク)
当社グループは、地球環境を経営資源の一つと認識して環境保全活動に真剣に取り組み、次の世代に持続可能な社会を引き渡すことができるよう努力しています。水使用量削減、GHG排出量削減、廃棄物再資源化、容器リサイクルの徹底を図り、事業を遂行していく上で、関連する各種環境規制を遵守しています。また、当社グループは、調達先と連携して、人権・労働基準・環境等の社会的責任にも配慮した調達活動を推進しています。しかしながら、当社グループの努力にもかかわらず、事業活動及びサプライチェーンにおいて、地球規模での気候変動や資源枯渇等による地球環境問題、海洋プラスチック問題、事故・トラブル等による環境汚染や、関係法令の改正等によって新規設備への投資によるコスト増加及び生産量の制約、労働安全衛生や児童労働等の人権に係る問題等が生じた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(情報システム及び情報サービスに関するリスク)
当社グループは、取引業務の遂行、顧客との連絡、経営陣への情報提供及び財務に関する報告書の作成等を正確かつ効率的に行うため、情報システムを利用しています。また、当社グループは、主要な情報システムの多くを、サントリーホールディングス㈱の子会社を含む外部業者に依存しています。当社グループは、情報システムの安全性を高めるための方策及び手続を実施していますが、情報システムは、ハードウェア、ソフトウェア、設備若しくは遠隔通信の欠陥・障害、処理エラー、地震その他の自然災害、テロリストによる攻撃、コンピュータ・ウイルス感染、ハッキング・悪意をもった不正アクセス等のサイバー攻撃、その他のセキュリティ上の問題又は供給業者の債務不履行等に起因する障害又は不具合に対して脆弱です。セキュリティ、バックアップ及び災害復旧に係る対策は、これらの障害又は不具合を回避する手段として十分ではない可能性があり、また、これらが適切に実施されない可能性もあります。これらの障害又は不具合が発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(法規制の遵守に関するリスク)
当社グループは、日本、アジアパシフィック、欧州、米州その他当社グループが事業を行う地域において、様々な法令による規制を受けています。これらの規制は、当社グループによる商品の製造、表示、輸送、宣伝広告及び販売等の事業活動の様々な側面に適用されます。特にかかる規制の不遵守や事故により環境汚染が発生した場合、当社グループは損害賠償請求や行政処分により多額の費用を負担することがあります。また、当社グループは国際的に事業を展開していることから、日本法及び外国法における腐敗防止規定を遵守する必要があります。当社グループに適用のある法規制に違反した場合、当社グループの信用が失われ、また、厳格な罰則又は多額の損害を伴う規制上の処分又は私法上の訴訟提起が行われる可能性があります。更に、当該法規制の内容が大幅に改正され、若しくはその解釈に大幅な変更が生じ、又はより高い基準若しくは厳格な法規制が導入された場合、コンプライアンス体制構築に係る費用が増加する可能性があります。
また、近時、多くの地域において、健康上の理由から、炭酸飲料等の加糖飲料の販売に関して、特別物品税の課税及び新たな表示の義務化又は商品の販売サイズの制限その他の規制等の導入若しくは導入の検討がすすんでいます。当社グループは、商品ラインナップについて、他の国際的飲料メーカーと比べて、非炭酸商品及び健康志向商品の割合が大きいと考えていますが、かかる規制措置により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります。
(経営陣及び従業員に関するリスク)
当社グループが持続的に成長するためには、リーダーシップのある経営陣及び有能な従業員を継続して雇用し、かつ、育成することが必要となります。また、当社グループは、新たな従業員を雇用し、教育し、その技術及び能力を育成しなければなりません。計画外の退職が生じ、又は現経営陣の適切な後継者の育成に失敗した場合には、当社グループの組織的ノウハウが失われ、当社グループの競争優位性が損なわれる可能性があります。また、ジェンダー、性的指向、年齢、障がい、国籍、文化、民族、宗教、信条、経歴、生活様式等のあらゆる多様性が受容されるとともに、従業員の人権問題が適切に予防・把握・対処されることで、多様な人材がパフォーマンスを発揮できる制度や職場環境を醸成できない場合には、当社グループのレピュテーションが損なわれる可能性及び優秀な人材を確保できず、多様性がもたらすイノベーション創出やリスク管理が達成できない可能性があります。
従業員の雇用に関する競争の激化、従業員の退職率の上昇、従業員の福利厚生費の増加に起因するコストの増加又は適切な労務管理ができないことによる従業員の健康阻害等が発生することにより、当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。
当社グループでは、人材評価をグループ全体及び地域毎に行い、人材の確保の観点も踏まえて、育成施策や配置を討議し、人材ローテーションやグローバル共通の人材開発に取り組んでいます。国内では、戦略領域での人材獲得をより一層進める等して事業経営人材を計画的かつ構造的に育成しています。
なお、人材育成方針及び社内環境整備方針については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)サステナビリティに関する重点テーマの取組み」に記載のとおりです。
<その他重要なリスク>
(競合に関するリスク)
当社グループが事業を展開している飲料・食品市場の競争は厳しく、当社グループは、当社グループと同様に国際的に事業を展開する大手の飲料メーカーや、特定の地域に根ざした事業活動を行う多数の飲料メーカーと競合しています。大手競合企業は、その経営資源や規模の活用による、新商品の導入、商品価格の値下げ、広告宣伝活動の強化により、競争圧力及び消費者嗜好の変化に迅速に対応することができます。また、当社グループは、独自ブランドを有し、特定の商品カテゴリー等において従来から強みをもつ様々な飲料メーカーとも競合しています。当社グループがこれらの競合企業との競争において優位に立てない場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(国際事業に関するリスク)
当社グループは、国際的に事業を展開しており、先進国市場のみならず、新興国市場に対しても投資を行っていますが、これにより、当社グループは以下に掲げるものを含む国際事業一般に内在するリスクを負っています。
・ 通常と大きく異なる又は十分に整備されていない法制度・税制
・ 経済、政治情勢の悪化
・ 為替レートの変動
・ テロリズム、政治不安若しくは暴動等の非常事態又は感染症の流行による混乱
また、当社グループは、当社又は当社の主要な海外子会社が有する商品開発技術及び既存の商品ラインナップを活用して、他の地域に商品を展開していくことを予定しています。しかしながら、当該地域における競争、価格、文化の相違その他の要因により、当社グループの商品が当該地域において受け入れられない可能性があります。当社グループにとって経験が乏しい新規市場において、消費者嗜好に合致した商品を開発することができない場合、当社グループの成長目標を達成できない可能性があります。
(為替の変動に関するリスク)
当社グループは、原材料の一部を、主に米ドルを中心とした、日本円以外の通貨建てで海外から調達しています。当社グループは、為替相場の変動リスクを軽減するためにデリバティブ取引を利用しているものの、かかるヘッジ取引によっても全ての為替相場の変動リスクを回避できるわけではなく、為替の変動が当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。更に、当社グループの連結財務諸表は日本円により表示されているため、海外子会社の収益及び費用並びに資産及び負債の金額を、各決算期の期中平均又は期末における為替レートに基づき日本円に換算する必要があります。したがって、外国通貨の為替変動は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(販売チャネルに関するリスク)
当社グループは、卸売業者及び大手小売業者を含む多数の販売チャネルを通じて商品を販売しています。日本においては、自動販売機等もまた重要な販売チャネルとなっています。このような販売チャネルに関して、当社グループが直面する課題には以下のものが含まれます。
・ 多くの市場において卸売業者同士又は小売業者同士が合併・統合することにより、価格設定及び販売促進活動に関して強い交渉力を有する大規模卸売業者又は大規模小売業者が誕生し、当社グループがこれらの重要な販売先を何らかの理由で喪失したり、これらの業者との間の価格設定その他の条件について不利益な変更を余儀なくされたりすること
・ 国内外において、小売業者が価格競争力のあるプライベートブランド商品を導入しており、これにより価格競争が激化していること
・ 日本には多数の自動販売機が既に設置されており、今後の増設の余地が限られていること。更に、コンビニエンスストアの店舗数の増加に伴い、コンビニエンスストアでの商品の販売量が伸長することにより、自動販売機一台当たりの売上が減少する可能性のあること
販売チャネルに関するこのようなリスクが、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(金利の変動に関するリスク)
当社グループは、必要資金の一部を有利子負債で調達しており、将来的な資金需要に応じて今後も金融機関からの借入や社債発行等による資金調達を行う可能性があります。また、当社グループは将来の企業買収等のための資金調達を行う可能性があります。金利の変動リスクを軽減するために、固定金利での調達やデリバティブ取引を利用しているものの、金利の大幅な上昇があった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(のれん、無形資産に関するリスク)
2023年12月末日現在、当社グループののれんは2,782億円、無形資産は4,953億円あります。無形資産のうち商標権が3,788億円を占めています。
のれんの大部分はOrangina Schweppes Holding B.V.及びその子会社並びに㈱ジャパンビバレッジホールディングス等の株式の取得に関するものです。また、無形資産の大部分は商標権であり、商標権の大部分はGlaxoSmithKline plcより譲り受けた「Lucozade」「Ribena」の製造・販売事業に関するもの及びOrangina Schweppes Holding B.V.及びその子会社の買収により取得した「Schweppes」「Orangina」「Oasis」等の製造・販売事業に関するものです。
当社グループが将来新たに企業買収等を行うことにより、新たなのれん、無形資産を計上する可能性があります。
当社グループは、のれん及び耐用年数を確定できない無形資産について償却は行わず、毎期又は減損の兆候が存在する場合には、その都度、減損テストを実施し、その結果によって減損損失を計上する必要があり、かかる減損損失の計上は当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(退職給付債務に関するリスク)
当社グループにおける従業員の退職給付費用及び退職給付債務並びに制度資産は、割引率等数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されています。実際の結果が前提条件と相違した場合又は前提条件が変更された場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(知的財産権等に関するリスク)
当社グループは、サントリーホールディングス㈱からサントリーブランドの使用許諾を受けており、今後も引き続き使用許諾を受ける予定です。今後、当社がサントリーホールディングス㈱の子会社でなくなったこと等を理由として当該使用許諾が終了した場合、当社グループの企業イメージやマーケティング活動に影響を及ぼす可能性があり、当社グループの独自ブランドを構築するために莫大な投資を行わなければならない可能性があります。
また、当社グループは他にも様々な商標に関する使用許諾を第三者から受けるとともに、当社グループが所有する商標の使用を第三者に許諾しています。
当社グループが第三者から使用許諾を受けている商標等については、ライセンス契約等が解約された場合、関連する商品が製造・販売できなくなる可能性があります。重要なライセンス契約等が解約された場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループが第三者に使用を許諾している商標等については、当該第三者による商標等の使用や関連商品に問題が生じた場合、当社グループによる当該商標等の使用や当社グループのブランドに影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社グループが商標を登録していない地域において当社グループの商標と同じ又は類似する商標を、第三者が所有又は使用していることがあります。当該第三者による商標等の使用や関連商品に問題が生じた場合、当社グループのブランドに悪影響を及ぼし、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは、当社の事業にとって重要な知的財産権を所有しています。かかる知的財産権には、商標権、著作権、特許権その他営業秘密が含まれます。当社グループと第三者との間で、知的財産権に関する紛争が生じる可能性があります。こうした紛争が生じた場合、当社グループの事業に支障を及ぼし、当社グループの権利保護又は相手方からの主張に対する防御のために多額の費用を費やさなければならない可能性があります。当社グループは、その知的財産権保護のために講じる措置が十分であり、又は第三者が当社グループの権利を侵害し若しくは悪用しないことを保証することはできません。当社グループがその知的財産権を保護できない場合、当社グループのブランド、商品及び事業に損害が生じる可能性があります。
(親会社が支配権を有することに伴うリスク)
本書提出日現在において、当社の親会社であるサントリーホールディングス㈱は当社発行済普通株式の59.48%を所有し、当社取締役の選解任、合併その他の組織再編の承認、重要な事業の譲渡、当社定款の変更及び剰余金の配当等の当社の基本的事項についての決定権又は拒否権を有しています。株主総会の承認が必要となる全ての事項の決定に関して、他の株主の意向にかかわらずサントリーホールディングス㈱が影響を与える可能性があります。なお、サントリーホールディングス㈱の事前承認事項はなく、当社が独自に経営の意思決定を行っています。
当社とサントリーホールディングス㈱及びその子会社との間の主な関係等についての詳細は、以下のとおりです。
① サントリーグループとの取引関係について
当社グループは、サントリーグループに属する会社と取引を行っています。
当連結会計年度における主な取引は次のとおりです。
(単位:百万円)
取引内容 |
取引先 |
金額 |
取引条件等の決定方法 |
製品輸送業務の委託 |
サントリーロジスティクス㈱ |
28,243 |
品質及び類似サービスの市場相場価格を勘案し、両者協議のうえ決定 |
ブランドロイヤリティの支払 |
サントリーホールディングス㈱ |
24,129 |
ブランド価値等を勘案し、両者協議のうえ使用対価として妥当な料率を決定 |
コーヒー豆の仕入 |
サントリーコーヒーロースタリー㈱ |
16,294 |
品質及び類似商品の市場相場価格を勘案し、両者協議のうえ決定 |
ウーロン茶葉・コーヒーエキスの仕入 |
三得利貿易(香港)有限公司 |
15,557 |
品質及び類似商品の市場相場価格を勘案し、両者協議のうえ決定 |
サントリーホールディングス㈱を含むサントリーグループとの取引・行為等については、社内規程に従い、取引・行為等を実施する部署において、また、法務部門及び財務・経理部門において、サントリーホールディングス㈱からの独立性の観点も踏まえ、必要性・合理性、条件等の妥当性、公正性について、事前に確認を行うこととしています。更に、一定金額以上の取引、及び、ブランド・人材・重要な資産・情報等の当社の企業価値の源泉となる経営資源に関する取引・行為等(以下、合わせて「重要取引・行為等」という。)については、特別委員会の事前審議・答申を経た上で、取締役会において、その重要取引・行為等の必要性・合理性、条件等の妥当性、公正性について十分に審議した後、意思決定を行います。事前の審議に加え、事後、審議の内容に基づいた取引・行為等が行われたかどうかについて、社内規程に従い、法務部門、財務・経理部門、内部監査部門によるチェックと、監査等委員会による監査を実施します。また、重要取引・行為等については、特別委員会及び取締役会に実施状況を報告し、実施結果を確認することとしています。これらの体制により、サントリーグループとの取引・行為等の公正性・透明性・客観性を確保していきます。
② サントリーホールディングス㈱との人的関係について
当社の取締役(監査等委員である取締役を含む。)9名のうち、サントリーホールディングス㈱の執行役員である宮森洋氏が、当社の取締役に就任しています。これは、同氏の有する、サントリーグループの飲料事業・酒類事業における豊富な海外での経営経験と、法務・リスクマネジメント部門の部門長としての高い見識が、当社取締役会の更なる機能強化に資すると判断したためです。
また、当社では、サントリーホールディングス㈱より受け入れる従業員につきましては、出向ではなく、転籍としています。
③ 商標権、特許権、包括ライセンス契約等について
当社グループは、サントリーホールディングス㈱との間でコーポレートブランド「サントリー」についての使用許諾契約を締結しており、これに基づき「サントリー」の名称・ブランドを使用することを許諾されています。当該契約に基づく「サントリー」の使用については、当社がサントリーグループに属していることが条件となっています。なお、当社は当該契約に基づきサントリーホールディングス㈱にロイヤリティの支払を行っています。
また、当社グループの事業に関連する特許権、意匠権、商標権等の知的財産権については、サントリーグループにおける知的財産権の有効活用の促進及び維持管理集中化による効率化のため、一部をサントリーホールディングス㈱が保有し、当社はサントリーホールディングス㈱から独占的実施権等を付与されています。なお、当社はサントリーホールディングス㈱に当該独占的実施権等に伴うロイヤリティの支払を行っていません。また、当該許諾関係が終了する場合には、これらの知的財産権についてはサントリーホールディングス㈱から当社に無償で譲渡されることになっています。
配当政策
3【配当政策】
当社は、持続的な利益成長と企業価値向上につながる戦略的投資及び設備投資を優先的に実行することが、株主の利益に資すると考えています。加えて、株主への適切な利益還元についても経営における最重要課題の一つとして認識し、安定的な配当の維持と将来に備えた内部留保の充実を念頭におき、業績、今後の資金需要等を総合的に勘案した利益還元に努めます。
具体的には、親会社の所有者に帰属する当期利益に対する連結配当性向40%以上を目安に、利益成長による安定的な増配を目指します。
なお、親会社の所有者に帰属する当期利益に対する連結配当性向の目安については、当事業年度まで30%以上としていましたが、株主への利益還元をより拡充すべく、2024年度から40%以上に引き上げました。
当社は、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としています。
中間配当の基準日は、毎年6月30日と定款に定めています。
当社は、不測の事態の発生により、定時株主総会を開催することが困難な状況となっても株主総会決議を要さずに機動的に剰余金の配当等を行うことを可能とするため、「剰余金の配当等会社法第459条第1項各号に定める事項については、法令に別段の定めのある場合を除き、取締役会の決議によって定めることができる」旨を定款に定めており、株主総会及び取締役会のいずれにおいても配当等について決議することが可能な体制としています。
当事業年度の配当につきましては、1株当たり80円の配当(うち中間配当40円)を実施することを決定しました。
内部留保資金については、上述のとおり、戦略的投資及び設備投資等に充当します。
なお、当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりです。
決議年月日 |
配当金の総額 (百万円) |
1株当たり配当額 (円) |
2023年8月9日 |
12,359 |
40 |
取締役会決議 |
||
2024年3月27日 |
12,359 |
40 |
定時株主総会決議 |