2023年9月期有価証券報告書より

リスク

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した当社の事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中における将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1) 取扱商品の特殊性について

当社は、まんが古書籍をはじめ、まんが、アニメーションに関する商品、TOY、同人誌のほか、あらゆるコレクターアイテムとカルチャーに関わるアンティーク品を取扱商品としております。

これらのアンティーク品は、その価値、流通量ともに極めて流動的であり、マニアにとっては特に要望の高い初版、限定版、絶版物から、さらにはかつて人気も高く低価格で多数生産されたために、大量消費社会においては大切にされることなく、損耗にまかせられた量産品が現代ではむしろ注目を集めて高額評価を得るに至った、いわゆるデッドストック品まで、その画像と価格がネット上などで一般に認知されるに従い、一層の価格高騰と流通量の減少を招きかねません。

アンティーク品におけるこのような流動性の低下は、有限のオリジナルに対するコレクターの欲求程度に応じた当社の仕入、販売両面における価格統制力と流通コントロールに機能不全を起こす場合があり、仕入の減少あるいは販売の鈍化などによって当社の業績に影響を生じる可能性があります。

この特殊性に対して、当社はホームページのほか、各種広告などを通じ、当社が取り扱う商品の認知度を高め、その価値を喧伝することにより、商品の流動性確保と円滑化をともに図ってまいります。

(2) 仕入について

当社が取り扱う商品は、その特殊性から特に一般のお客様のニーズに大きく左右され、まんがにおいてはアニメーション化、実写化、TV放映あるいは劇場公開などのメディア化に伴い購買意欲は急激に上昇して、当該原作のみならず関連商品における当社の販売価格ならびに買取価格向上を招来いたしますが、そのメディアの終息を受けて一般のお客様における購買意欲は減退するにとどまらず「まだ人気のある間に売り抜こう」という商品売却意識が急速に強まるため、当社は仕入の量的コントロールを要し、先んじて適切な価格統制を機能させる必要に迫られます。

当社の仕入価格に対する統制は、当社が取り扱う商品ごと豊富な知識と経験を有する仕入担当者を中心に、日々見直しを行っておりますが、これらの担当者の不足さらには商品情報の入手遅延あるいは不全などある場合、当社の売上高確保にあって必要不可欠である適切な仕入活動に停滞を生じかねず、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

仕入につきましては、常に当社の在庫数量と、一般的な流通量に注目し、適切な買取価格の提示と買取強化の告知を欠かさず行い、また更新を続けることによって、安定した仕入活動を展開してまいります。

(3) 代表取締役会長への依存について

当社の業務内容全般、特に商品仕入において高度に希少且つ特殊性を極めた原稿、原画、色紙等に対する価値評価に際しては当社の代表取締役会長である古川益蔵に対する依存度が高く、当社といたしましては代表取締役会長へ過度に依存することなき業務体制への移行を進めておりますが、現時点において代表取締役会長に不慮の事態など起こることあれば、当社の業績が影響を受ける可能性があります。

当社は、代わって代表取締役社長に就任いたしました田中幹教をはじめ、全ての役員が各々の知識と経験を活かして、これまで古川益蔵が培ってきた業務の分担を図り、その依存の軽減を進め、いずれは脱却してまいります。

(4) 在庫管理のデータベースについて

当社は、取り扱う商品の種類、数量の拡大に対しPOSシステムの機能拡充をもって対処を推進しております。

当社が有する膨大な種類、数量の商品については、新入荷あるいは新たな種類の商品取扱開始に伴うデータベースの追加とPOSシステム機能強化による管理体制の向上が、継続して求められる環境となっております。商品個別管理を行うシステムの永続稼動によってこそ在庫管理は徹底され、営業面においても多大なる貢献が期待されます。

従いまして、在庫管理のデータベースの追加と管理プログラムの機能拡充は常に継続して求められており、この追加登録、機能拡充に対応するシステム強化、開発、投入稼動が予定どおり進捗しない場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社は、システムに関する人材と資金の投下を怠らずに、その維持と強化を図ってまいります。

 

(5) 出店及び通販展開について

当社は現在、日本国内において東京都中野、渋谷、秋葉原、池袋、栃木県宇都宮および北海道札幌、愛知県名古屋、大阪府梅田、日本橋、福岡県福岡、小倉の11地点で13店舗を展開しておりますが、さらに大都市圏を中心に各都府県の主要商業地域への出店を計画、推進してまいります。

当社の取扱商品は多岐にわたり、さらに種類、量ともに増加が見込まれる現況から店舗の規模は大型化を余儀なくされており、また来店客数の最大化を期待いたしますうえで大都市ターミナル駅近辺を出店の第一選択肢に挙げることから、このような当社要望に沿う物件確保ができない場合、当社の出店計画は変更せざるを得ず当社の業績が影響を受ける可能性があります。

新型コロナウイルス感染症の影響下におきましては、適切な出店地域の選定と出店の準備を徹底いたします。

また、全ての店舗におきまして通信販売を行っており、お客様のご来店にのみ頼ることなく、通販への商品掲載とお客様への商品宣伝を欠かさずに、店頭と通販との両面で売上の最大化を常に図ってまいります。

(6) 借入金への依存度について

当社は、商品の買取りに対応するための運転資金をはじめ、機動的な出店対応を図るための資金調達等を、主として金融機関からの借入金によっており、当事業年度末においてその残高は6,146百万円を計上しております。

当社は、この借入金の返済原資として既存店舗運営と新規開店店舗の業績を早期に安定させることによって得られる営業キャッシュ・フローを予定しており、従いまして既存店舗の業績が予想を大きく下回り、また新規出店が計画どおりに進捗できない場合、当社の業績は借入金の依存度に応じた影響を受ける可能性があります。

このような状況にあって、常に金融機関との関係強化を図り、安定した支援を受けてまいります。

(7) 当社出版物等の委託販売制度について

当社の出版物等は、業界慣行に従って当社が取次に配本等を行った後、原則として約定期間(委託期間)内に限り、返品を受け入れることが条件となる委託販売制度を採用しております。

この方式により当社は出版物等の納品後、返品の受入も生じ、これらの返品された出版物等に対しては、その販売可能性を検討したうえで会計上は製品評価損失を計上、さらに返品在庫が大幅に過大と判断される状況にあっては廃棄処分も余儀なくされるため、委託販売制度に従い大量返品を受け入れ、在庫処分を要する場合、当社の業績が影響を受ける可能性があります。

当社は、出版を前に適正な販売予測をたて、適切な出版部数とすることにより、返品の圧縮を図ります。

(8) 古物営業法に関する規制について

当社の商品は、一般個人からの買取が仕入の大部分であり、仕入に際しましては、古物営業法の規制に従って取引相手方の確認義務を実践しております。

最近の著作権に対する考え方の変化などから、今後の古物営業法改正等により新たな規制が設けられた場合、その規制内容によっては当社の仕入活動に支障をきたし、結果として取扱商品が減少するなど、当社の業績が影響を受ける可能性があります。

当社は、古物業の講習に欠かさず参加し、常に最新の情報収集を行い、また関係する官公庁と円満な関係を求めることで、古物営業法への適切な対処と、当社事業の健全な展開を両立してまいります。

(9) 個人プライバシー情報の管理について

当社では、ユーザーからの通信販売注文等によって取得したプライバシー情報等を保有いたしております。

当社はこれらのプライバシー情報につきまして保護のための規約を設け、その遵守に努めておりますが、管理の瑕疵等により、これらのデータが外部に漏洩した場合、当社への損害賠償請求や当社に対する信用の低下等によりまして、当社の業績が影響を受ける可能性があります。

当社は、システム開発と強化の一環として、情報管理機能を重視しており、最新で強力な情報保護を追求してまいります。

 

配当政策

 

3 【配当政策】

当社は、株主各位への利益還元を最重要な経営課題のひとつと認識しており、企業価値の最大化に向け、財務体質の強化と積極的な事業展開に備えた資金を確保しつつ、経営成績および財政状況に応じて安定した配当を継続していくことを基本方針としております。

当社の剰余金の配当は、中間配当及び期末配当の年2回を基本的な方針としております。配当の決定機関は、中間配当は取締役会、期末配当は株主総会であります。

当事業年度の剰余金の配当につきましては、当期業績は店頭販売、Web通信販売ともに売上の伸びを堅持しておりますものの、次期以降も懸念される世界的な経済環境の先行き不透明感を背景として、今後の投資活動に向けた内部留保を考慮しながらも、株主各位への安定した利益還元を重視し、1株につき普通配当1円00銭といたしました。

内部留保につきましては財務体質強化と収益性の向上に向け、当社において最も効果的な投資活動を適切に判断、推進することにより、一層の事業拡大を図り、安定した経営基盤確保に努めてまいります。

なお、当社は「取締役会の決議によって、毎年3月31日を基準日として、中間配当を行うことができる。」旨を定款に定めております。

 

(注) 基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額
(千円)

1株当たり配当額
(円)

2023年12月22日

定時株主総会決議

6,624

1.00