2025年2月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります

テナント事業 外販事業
  • 売上
  • 利益
  • 利益率

最新年度

セグメント名 売上
(百万円)
売上構成比率
(%)
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
テナント事業 45,884 48.8 2,132 69.3 4.6
外販事業 48,087 51.2 945 30.7 2.0

事業内容

3【事業の内容】

当社は、弁当・寿司・おにぎり・惣菜等の製造、販売を主たる業務としております。また、当社の関係会社(その他の関係会社1社)は、グループ会社株式保有によるグループ経営企画・管理、子会社の管理業務受託、不動産管理等を展開する株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングスであります。

当社の事業内容及び事業に係る位置付けは次のとおりであります。

セグメントの名称

事業内容

主要な取引先の名称等

テナント事業

スーパーマーケット等に総合惣菜店舗、寿司専門店舗及び洋風惣菜店舗を出店し、寿司・惣菜等の製造、販売を行っております。

また、外食店舗として、回転寿司の「回転割烹 寿司御殿」を運営しております。

 

ユニー株式会社

(注)

UDリテール株式会社

株式会社ドン・キホーテ

株式会社長崎屋

 

外販事業

コンビニエンスストアの加盟店向けに弁当・おにぎり・惣菜等の製造、納品を行っております。

株式会社ファミリーマート

(注)テナント事業及び外販事業においては、報告セグメント区分と同一であります。

ユニー株式会社、UDリテール株式会社、株式会社ドン・キホーテ及び株式会社長崎屋は、当社のその他の関係会社である株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングスの子会社であります。

 

業績

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

当事業年度におけるわが国の経済は、雇用・所得環境の改善やインバウンド需要の回復等により、緩やかな回復基調となりました。一方で、アメリカの政策動向や中東地域をめぐる情勢、資源価格の高騰や円安による物価高騰など先行き不透明な状況が続きました。

当業界においては、原材料価格の上昇や労働コストの増加、消費者の節約志向の高まり等を背景に引き続き厳しい経営環境となりました。

このような中、当社は、「深化・深耕」を当期経営方針に掲げ、事業の根幹の深堀りや業務の見直しに注力するとともに、株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(以下、「PPIH」という)との業務提携を基軸に、果敢なチャレンジと柔軟な変化対応に取り組み、事業規模の拡大及び企業価値の向上を図ってまいりました。

a.資産、負債及び純資産の状況

 

総資産(百万円)

純資産(百万円)

自己資本比率

1株当たり純資産(円)

2025年2月期

37,408

29,083

77.7%

3,005.61

2024年2月期

35,938

27,507

76.5%

2,843.13

当事業年度における総資産は、前年同期間末に比べ14億70百万円増加し、374億8百万円となりました。

この主な要因は、現金及び預金が4億82百万円、有形固定資産が9億82百万円それぞれ増加したことなどによります。

負債は、前年同期間末に比べ1億6百万円減少し、83億24百万円となりました。

この主な要因は、未払金が1億2百万円増加した一方で、買掛金が1億12百万円、未払法人税等が1億21百万円それぞれ減少したことなどによります。

純資産は、前年同期間末に比べ15億76百万円増加し、290億83百万円となりました。

この主な要因は、利益剰余金が15億80百万円増加したことなどによります。

これらにより、当事業年度末の自己資本比率は、前年同期間末の76.5%から77.7%となりました。

b.経営成績の状況

(テナント事業)

テナント事業においては、核となる単品開発及び販売強化を重点施策とした成果として、今期は日本唐揚協会が主催する「第15回からあげグランプリ®」において、「でら旨!しそ香るむね塩唐揚げ」が最高金賞を受賞、また日本食糧新聞社が主催する「惣菜・べんとうグランプリ2025」において「濃厚デミの幸せハンバーグとカニコロ御膳」が優秀賞を受賞するなど、対外的にも高評価を得ることができ、販売数増加に寄与しました。

店舗展開におきましては、総合惣菜店舗「Re’z deli(リーズデリ)」5店舗をはじめ計10店舗を新規出店したほか、18店舗の改装を機に中華惣菜の販売強化や本格ピザの導入、セルフバイキングの再開等、潜在需要の掘り起こしに努め、既存店舗の底上げを図ってまいりました。

これらの結果、テナント事業全体の売上高は前年同期間に比べ4.8%増収の458億83百万円となりました。利益面においては、原材料価格や人件費の高騰をはじめとするコスト増加の影響を大きく受けたものの、商品政策上の対応や運営オペレーションの見直し等の対策が寄与し、セグメント利益は前年同期間に比べ12.8%増益の21億32百万円となりました。

(外販事業)

外販事業においては、インバウンド需要や人流回復を背景に安定的に推移した一方、一部工場において政策的な生産体制の変更により、外部向けの納品量が減少となる工場もありました。

ユニー店舗やドン・キホーテ店舗などPPIHグループの店舗へは、惣菜ブランド「偏愛めし」を含め、おにぎりや弁当、パスタなど積極的に納品アイテムの拡充を推し進めたことで納品量の拡大を着実に進めました。

これらの結果、外販事業の売上高は前年同期間に比べ2.8%増収の445億97百万円となりました。一方利益面では、納品拡大を目的とした生産体制の見直しに伴う一時的なコスト増加となり、セグメント利益は前年同期間に比べ25.6%減益の9億45百万円となりました。

以上の要因により、当事業年度の売上高は前年同期間に比べ3.8%増収の904億81百万円となりました。また経常利益については、前年同期間に比べ3.3%減益の31億8百万円、当期純利益は、繰延税金資産の回収可能性のスケジューリングを見直したことにより前年同期間に比べ5.0%増益の19億48百万円となりました。

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フローの状況

 

営業活動によるキャッシュ・フロー

(百万円)

投資活動によるキャッシュ・フロー

(百万円)

財務活動によるキャッシュ・フロー

(百万円)

現金及び現金同等物

期末残高

(百万円)

2025年2月期

2,921

△2,066

△372

18,925

2024年2月期

3,148

△1,260

△401

18,443

当事業年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の残高は、前事業年度末に比べ4億82百万円増加し189億25百万円となりました。

当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は次のとおりであります。

イ.営業活動によるキャッシュ・フロー

営業活動により得られた資金は、前年同期間と比べ2億27百万円減少し、29億21百万円となりました。

この主な要因は、売上債権の増減額が10億71百万円増加した一方で、仕入債務の増減額が5億63百万円、その他の流動負債の増減額が3億40百万円減少したことなどによります。

ロ.投資活動によるキャッシュ・フロー

投資活動により支出した資金は、前年同期間と比べ8億6百万円増加し、20億66百万円となりました。

この主な要因は、有形固定資産の取得による支出が8億47百万円増加したことなどによります。

ハ.財務活動によるキャッシュ・フロー

財務活動により支出した資金は、前年同期間と比べ28百万円減少し、3億72百万円となりました。

この主な要因は、配当金の支払額による支出が29百万円減少したことなどによります。

(キャッシュ・フロー関連指標の推移)

 

2024年2月期

2025年2月期

自己資本比率(%)

76.5

77.7

時価ベースの自己資本比率(%)

89.3

83.6

自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

(注)株式時価総額は、自己株式を除く発行済株式数をベースに算出しております。

なお、取締役に対する株式報酬制度として「株式給付信託(BBT)」を導入しており、株式時価総額の算定上使用する発行済株式数から控除する自己株式には、「株式給付信託(BBT)」に残存する自社の株式を含めております。

b.資本の財源及び資金の流動性について

資本の財源について、当社の運転資金及び設備投資資金は、主として自己資金により充当し、必要に応じて借入金による資金調達を実施することを基本方針としております。なお、前事業年度及び当事業年度において、金融機関からの資金調達は実施しておりません。

当社を取り巻く事業環境は、長期化する国際情勢の不安定化や世界的な資源価格の高騰、金融資本市場の変動等の影響により、先行きは不透明な状況にはありますが、事業活動上で必要となる資金は、現金及び預金の水準等、十分な流動性を確保しており、当面の資金繰りに影響は無いものと考えております。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当事業年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自  2024年3月1日

至  2025年2月28日)

前年同期比(%)

テナント事業(千円)

45,883,939

104.8

外販事業(千円)

44,682,020

102.8

報告セグメント計(千円)

90,565,960

103.8

合計(千円)

90,565,960

103.8

(注)金額は販売価額によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

b.受注実績

当社は、外販事業において、受注生産を行っておりますが、翌日に製造し出荷しておりますので、受注実績についての記載は省略しております。

c.販売実績

当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自  2024年3月1日

至  2025年2月28日)

前年同期比(%)

製品

 

 

テナント事業(千円)

45,883,939

104.8

外販事業(千円)

44,597,431

102.8

報告セグメント計(千円)

90,481,370

103.8

合計(千円)

90,481,370

103.8

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前年同期間

(自  2023年3月1日

至  2024年2月29日)

当事業年度

(自  2024年3月1日

至  2025年2月28日)

金額(千円)

総販売実績に対する割合(%)

金額(千円)

総販売実績に対する割合(%)

ユニー株式会社

28,153,606

32.3

28,857,745

31.8

株式会社ファミリーマート

34,619,781

39.7

33,632,255

37.1

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

② 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当事業年度の売上高は、前年同期間に比べ3.8%増収の904億81百万円となりました。また経常利益は、前年同期間に比べ3.3%減益の31億8百万円、当期純利益は、前年同期間に比べ5.0%増益の19億48百万円となりました。

2025年2月期のテーマは「深化・深耕」でした。これは、外部環境が不確実性を増す中で、拡大路線に走るのではなく、足元を見つめ直しながら、既存事業の価値をより深く掘り下げ、同時に未来に向けた人財育成を着実に進めていこうという意志を込めたものでありました。

実際、この方針の下、組織体制の再編を行い、業態別の営業支援・商品企画機能の明確化に取り組みました。

特に「立地ロケーションに応じたMD」の再定義を図り、サプライチェーン全体の運営精度と反応速度を高めることに取り組みました。

また、リスクマネジメント本部の設置によって、品質管理やコンプライアンス、社内の安全・安定性を一段階引き上げることができたと評価しております。

こうした取り組みの成果として、下期にはテナント事業の既存店売上が回復し、現場と本部が、より一体となって取り組む文化が根づきはじめたと評価しております。

数値では語りきれない“社内の空気の変化”こそが、当社にとっての最も重要な成果であったと捉えております。

長期化する原材料価格高騰の中で、特に米価の急上昇は当社の原価構造に極めて大きな影響を及ぼしました。

外販事業では、対応の初動がやや遅れたことで売上総利益が一時的に圧迫されましたが、納価の見直し、納品量の確保、さらには原材料の共同仕入れといった改善策を講じてまいりました。

一方、テナント事業においては早期のスペック変更や価格改定を行うことで、一定の売上総利益水準を確保することができました。

当社は「単に価格を上げる」のではなく、「価値ある構成に見直す」「納価を精査する」ことでお客様に納得いただける商品の提供に努めてまいりました。

テナント事業は、構造改革とブランド戦略が実を結び、売上・利益ともに前事業年度を大きく上回る結果となりました。中華惣菜の販売強化や本格ピザの導入が、ユニー店舗を中心に展開並びに拡大が進み、売上拡大に大きく寄与したと評価しております。

また、内製化を推進したことで店舗オペレーションの効率が高まり、人手不足への対応力が向上した点も大きな成果であると捉えております。

引き続き、消費者ニーズや消費行動の変化への対応が重要な課題であり、DX投資や各店舗の営業活動を通して得たデータの分析に基づくマーケティングの強化に努めてまいります。また、サステナビリティの観点からも、これらのデータを活用することにより、製造・販売計画の最適化を図り、フードロスの削減も図ってまいります。

外販事業においては、2023年3月より本格化した株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングスとの協業深化を背景に、工場間の生産アイテムの調整を行なうなどし、同社向け専用体制として4工場を再編成しました。

さらに、冷凍ラインやチルドラインの整備など、設備投資を通じて製造キャパシティの再構築を図り、商品特性に合わせた専用オペレーションを確立しております。

これらの取り組みにより、外販事業全体としての事業基盤の強化と将来的な成長ポテンシャルの拡大に繋がるものと捉えております。

外販事業の今後の事業成長に向けては、特に設備投資が重要な経営課題であり、同時にその投資における合理性の検証と投下資本に対するリターンの検証は、必要不可欠なものだと認識しております。

さらに、大きな設備投資が必要となる局面においては、直ちに業績に貢献するものではなく、先行投資的な側面を有する場合もあるため、それを支える財務基盤も重要な経営課題であります。

現状において、テナント事業及び外販事業における設備投資を進める上での基盤となる財政状況については、財務指標等から、その健全性が保たれていると考えております。

事業成長を支える上で、また、想定していない状況下においても事業を安定的に進めることができる強固な財務基盤の堅持に努めてまいります。

当事業年度末の自己資本比率は、77.7%であり自己資本利益率は、6.9%であります。

当社は資本コストについては、一般的に妥当とされている計算方法から算定しておりますが、資本コストは、算定方法が様々であるほか、算定の基礎となる数値の採用においても一義的に定まるものではないため、現時点においては開示をしていないものの、資本コストを意識した上で、収益性を高め、更なる自己資本利益率の向上と持続的な企業価値の向上に注力してまいります。

また、当社の経営成績に重要な影響を与える要因として、「事業等のリスク」にも記載しておりますが、テナント事業においては店舗の出店を行っている主要な総合スーパーであるユニー株式会社及びUDリテール株式会社(当社のその他の関係会社であります株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングスの子会社)が属する流通業界の動向及び同社の出店政策、外販事業においては製品の納品を行っている主要なコンビニエンスストア加盟店舗のフランチャイザーである株式会社ファミリーマートが属するコンビニエンス業界の動向及び同社の出店政策等があります。そのため、今後も主要取引先以外での出店や納品については出店モニタリング等も行い、臨機応変に対応していく考えであります。

当社の運転資金需要の主なものは、テナント事業及び外販事業における材料費、労務費、店舗及び工場における設備等の維持管理費等であります。また、当社の事業活動における運転資金は主として自己資金により充当し、必要に応じて借入金による資金調達を実施することを基本方針としております。

運転資金使途の内、設備投資資金需要としてテナント事業においては、店舗の新設及び改装並びに経常的な設備の更新等が、外販事業においては、生産体制の均一化や省人化を図るための設備の取得や更新等がそれぞれあります。