事業内容
セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
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売上
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利益
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利益率
最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています
セグメント名 | 売上 (百万円) |
売上構成比率 (%) |
利益 (百万円) |
利益構成比率 (%) |
利益率 (%) |
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(単一セグメント) | 635 | 100.0 | -19 | - | -3.0 |
事業内容
3 【事業の内容】
当社は「ひとを科学し、寄り添いをつくる」をミッションとして掲げ、「人の身体性・精神性・行動をデータとロジックに基づき分析/可視化する。また、その技術を簡単に利用できるように、仕組みを開発し続ける。その仕組みによって、人と社会がより最適な状態で触れ合い、人のポテンシャルを解放したり、生活の質を高めたり、と心身豊かになれる世界をつくります。」を実現すべく、様々な事業に取り組んでおります。
当社の強みとする技術分野としては、AI及び3Dに関するものがあります。AIに関する技術分野としては、主に画像認識、自然言語処理(*5)、機械学習(*6)/深層学習(*7)を中心としております。また直近では、LLM(*8)や生成AI(*9)の活用を進めております。当社においてはこれらの技術を組み合わせ、さらに専門家との協同により付加価値の高い専門的な技術・ノウハウ等のナレッジを蓄積したデータを様々な形で提供できるアルゴリズム(*10)をもとにした「Expert AI」を中核として、顧客企業のニーズに合わせたプロダクト開発・プロダクト開発支援・コンサルティング等を行うAIソリューション、自社で開発したプロダクトを主にSaaS(*11)型で顧客企業に提供するAIプロダクトの提供を行っております。これらを総称してExpert AI事業と称しております。
Expert AIは、業務効率化を主な目的とするAIが「ノンコア業務(例えば、直接的に利益を生み出さない業務)を代替し業務効率化を図る」ことに対し、「AIで各領域の専門家ナレッジを再現・サポートし、コア業務(例えば、利益の創出に直結する業務)の価値をさらに増幅・拡張する」ものと定義しております。これまで当社はウェルネス領域の専門家(理学療法士、整形外科医、柔道整復師等)、セールス領域の専門家(コンサルタント等)等との協同によるExpert AIによりサービス提供を行っております。今後も、様々な領域の専門家との協同より、更なるExpert AIの強化や創出により当社事業の拡大に努めてまいります。
AIソリューション及びAIプロダクトのいずれも、それぞれ単体でサービス提供が可能となっておりますが、いずれもExpert AIを技術の源泉としており、その他の技術の共通化や、ノウハウの共有等により、売上の最大化や開発コストの低減が行えるといった特徴を有しております。
Expert AI事業全体を図示すると、以下のとおりであります。
(1)AIソリューション
当社の保有するAIや3D等の技術をもとにしたアルゴリズムモジュールを、顧客ごとの要件に合わせて組み合わせ、これら技術の活用ニーズがある業種業界向けのサービス提供(主にAI身体分析アルゴリズム)や、LLMを用いた生成AIモジュールを集客や営業・接客の場面で活用できるようにするサービス提供(主にコミュニケーションアルゴリズム)を行っております。また具体的には、営業・接客型化やシステム化、蓄積データのものづくりへの活用による製品開発支援等を行っており、当社技術を顧客ニーズに寄り添った形で、プロダクト開発・コンサルティングといった様々な形でサービスを提供しております。
AIソリューションの提供手法を図示すると、以下のとおりであります。
PoC:Proof of Conceptの略称であり、新しい手法などの実現可能性を見出すために、試作開発に入る前の検証をいう。
当社では顧客価値を最大化するために、様々なAIソリューションから最適なAIソリューションの導入を企画段階から全面的にサポートしております。また、AIソリューションの導入に伴うAI開発や実装だけでなく、その前段階の業務の整理や要件定義、業務フローの改善、導入後の保守運用等も行い、当社が一気通貫で対応することで顧客価値や費用対効果の最大化を目指しております。また、当社AIプロダクトのSaaSカスタマイズパッケージや、当社独自のExpert AI等を活用することで、より早期の開発・実装、より高い費用対効果を実現することも可能であると考えております。
提案/課題整理から保守運用/ライセンス提供まで、一気通貫でのAIソリューションの提供を可能としていることから、短期・中期におけるサービス提供に係る収益(提案/課題整理~実装)だけではなく、保守運用やライセンス収入といった長期間に渡る継続的な売上獲得も可能となっております。
AIソリューションにおいて注視している指標について、上位10プロジェクトの平均受注単価※1は2024年9月期18百万円(前期比7百万円増加)となり、継続率※2は2024年9月期90.0%(前期比4.3ポイント上昇)となり、いずれも順調に推移しております。
※1 当該期に新規受注したプロジェクトの受注額の平均値、2024年9月期は2023年10月から2024年8月までの平均値
※2 売上高100万円以上の取引先について、前期に売上計上があった取引先のうち当期にも売上計上があった取引先の割合、2024年9月期は8月末までの数値
これまでの実績として、以下のような事例があります。〔 〕内は、使用しているAIモジュール又は技術であります。
① 体型サイズ推定技術の提供 〔身体分析アルゴリズム 体型推定ソリューション〕
アパレル業界の顧客向けに、特別な採寸道具や全身写真なしに、オンライン上でアンケートに答えてもらうだけでお客様の体型を推定し、最適なセットアップの提案まで行えるオンライン完結の採寸システムを提供しております。
② 寝具購買促進 〔身体分析アルゴリズム 姿勢分析ソリューション〕
寝具業界の顧客向けに、性別・身長・体重・入眠時の姿勢といった設問への回答と、姿勢の撮影により、寝姿勢の特徴を分析し、おすすめの寝具を提案する購買促進につなげるソリューションを提供しております。
③ インタラクティブミラーを活用した店舗接客支援コンテンツの提供 〔身体分析アルゴリズム 顔分析
ソリューション〕
アパレル業界の顧客向けに、初のOMO型店舗(*12)出店時の企画/構想から、技術提供、開発/運用支援まで行っております。店舗に設置されたインタラクティブミラーに内蔵されたカメラでお客様を撮影し顔立ちやパーソナルカラーに合った商品提案を行い、その結果を紙やWebページで持ち帰れるソリューションを提供しております。
④ メールメッセージの自動生成 〔コミュニケーションアルゴリズム 文章生成支援ソリューション〕
不動産業界の顧客向けに、メールメッセージの文面を、商談内容に合わせたメール文面をAIが自動生成するソリューションを提供しております。自社の商材情報を事前に学習させ、お客様との会話内容を反映した自然な表現のメール文面を生成することができます。作成したメール文面については、そのままお客様に送信する、担当者が内容を変更して送信することもでき、メール文面の生成だけではなく一つのツールとして提供しております。
⑤ AIロールプレイング 〔コミュニケーションアルゴリズム 営業・商談トレーニングソリューション〕
宝飾品販売事業者向けに、販売スタッフに対する重点商品のAIロールプレイングを行うソリューションを提供しております。販売拡大のKSF(Key Success Factor)が販売スタッフの教育であることに着目し、よく売れているスタッフのトークスクリプトをAIにインプットし、AIが疑似顧客を演じて販売スタッフが疑似商談行い、その結果をAIが評価するものであります。
⑥ 孤独・孤立相談支援 〔コミュニケーションアルゴリズム 文章生成支援ソリューション〕
自治体及び認定NPO法人の官民連携でAI及びSNSを活用した孤独・孤立相談支援事業のモデル開発の推進しております。ソーシャルワーカー 、当社AIプロダクトの「カルティチャット」 による有人対応、AIによる無人対応により、24時間相談できる孤独孤立相談窓口を実現しております。
〈コミュニケーションアルゴリズム提案事例)
(2)AIプロダクト
AIプロダクトは、「カルティ」のブランドで主にSaaSによりサービスを提供しております。ひとを科学し、ノウハウを詰め込んだExpert AIにより接客・商談現場における"バラつき"を解消し、お客様とのコミュニケーションのAI・DX化を実現するクラウドサービス(カルティクラウド)であります。
現在リリースされている主なサービスとしては、「シセイカルテ」「マルチカルテ」「カルティチャット」「カルティセールス」であり、単一のサービスとしての利用のみならず、複数のプロダクトを組み合わせた提案やサービス提供も行っております。一般的なSaaSの場合、個別のカスタマイズを行うことはできませんが、当社のAIプロダクトにおいては個社ごとのカスタマイズ提供も可能となっております。中長期的には、ウェルネス業界の店舗DXを一気通貫でサポートできるようなオールインワンSaaSとしてのポジションを確立すべく、各サービスの機能拡充や相互利用できるような開発を進めております
本書提出時点において、カルティクラウドにおいては以下の4サービスを展開しており、総アカウント数※3 は2024年9月末3,465アカウント(前事業年度末月比750アカウント増加)となっており、解約率※4 については2024年9月期0.82%(前事業年度比0.52ポイント低下)となっております。なお、4サービスのうち、「シセイカルテ」の売上高・アカウントがAIプロダクト全体の8割程度を占めております。
※3 カルティ シセイカルテ・カルティ マルチカルテ・カルティ セールスのアカウント数、及びカルティチャットの取引社数の合計
※4 カルティ シセイカルテ・カルティ マルチカルテ・カルティ セールスにおけるMonthly Gross Revenue Churn Rateの平均値(カルティチャットは取引件数の重
要性が低いことにより除外)、2024年9月期は8月末までの平均値
Monthly Gross Revenue Churn Rateは、月内に発生した解約やダウングレードによる損失金額をベースに、解約等が与える影響を示す指標をいう。
SaaSの一般的な特徴として、サービス開始まで一定の開発期間が必要であるものの、サービス開始後は契約期間において安定的な収益が獲得できる点にあります。例えば、当社のAIプロダクトのメインプロダクトである「シセイカルテ」の場合は、契約期間が1年間・2年間・3年間のプランがあり、2024年8月末時点の新規・更新契約を含めたプランの契約期間の平均は2年となっており、かつ契約期間においては原則として解約不可であることから、新規ユーザーの増加に従い収益がストック型で逓増するモデルとなっております。それにより、固定費を吸収し損益分岐点を突破することにより、高い収益率を確保することを見込んでおります。
① カルティ シセイカルテ(以下、「シセイカルテ」と記載)
「シセイカルテ」は、「AI姿勢・可動域・歩行分析」といった姿勢分析を主な機能とした、コミュニケーション支援ツールであり、SaaSプロダクトとしてサービス提供しております。「シセイカルテ」は、理化学療法士・整形外科医・柔道整復師等の身体の専門家から姿勢分析の専門ノウハウを再現したExpert AIをもとに、姿勢のゆがみ等をAIにより分析し、タブレット端末やスマートフォンにおいて可視化するツールであります。
シセイカルテは主に、以下の機能・特徴を有しております。
・ タブレット端末やスマートフォンのみで、体の歪みを数値化できる。
・ 体の歪みを3D技術で可視化することができ、利用者の行動変容を促すことができる。
・ 分析結果に対して、改善メニューをAIがレコメンドすることができる。また、レコメンド内容はカスタマ
イズ可能であり、事業者ごとのメニュー提供も可能である。
・ 施術履歴のデータベース機能を有しており、利用者の身体の変化を写真・数値・グラフで記録することが
できる。
〈シセイカルテ特徴及び分析の流れ)
シセイカルテの特徴及び分析の流れを図示すると、次のとおりであります。
本書提出時点における主なターゲット業種としては、整体院、接骨院、鍼灸院、フィットネス、歯科医院となっております。顧客においては、「姿勢」の可視化を通じた顧客とのコミュニケーションにより、利用者数の増加やリピート率の向上を目的としてご利用いただける事例が多くあります。
また、姿勢分析だけではなく、歩行分析及び動作分析機能を有しており、当該機能は介護施設がターゲットとなります。
なお、当社は、様々な不調と相関関係があると言われている「姿勢」に着目しており、2024年8月末時点で約140万回分の姿勢分析データを保有しております。当社では様々な専門家と、「姿勢×メンタル」「姿勢×栄養」といったように姿勢と姿勢に関連するテーマでオンラインセミナーを開催しており、これまでに累計3,500名以上の申込実績があるなど専門家からの関心も高い領域であると認識しております。
② カルティ マルチカルテ(以下、「マルチカルテ」と記載)
「マルチカルテ」は、利用者が自社の事業や業務の流れに沿って、マルチカルテ上に記録しておきたい顧客情報、施術記録、トレーニング記録、接客記録、顧客からヒアリングした事項といったすべての項目を、ノーコードで制限なく自由にカスタマイズ可能なカルテサービスであり、SaaSプロダクトとしてサービス提供しております。タブレット端末での利用を想定しており、タップ操作や手書き機能により、紙に書いているものと同じ内容を入力することができ、ペーパーレス化の実現にも寄与しております。
マルチカルテはシセイカルテとのセットでご利用いただくケースが多いですが、マルチカルテ単体でもサービス提供を行っております。分析・可視化のみならず、電子カルテ機能や施術履歴データベース機能も搭載しており、コミュニケーション支援のためのDX(*13)ツールとしても活用されております。
マルチカルテは主に、以下の機能・特徴を有しております。
・ カルテのすべての項目がノーコードでカスタマイズ可能となっており、自社専用のオリジナルカルテを作
成することができる。そのため、あらゆる情報を一元管理することができ、利用者間でのスムーズな連携
が行える。
・ ヒアリングや施術が理想的なフローとなるように項目をカスタマイズすることが可能であり、実際の流れ
に沿って項目を変化させることができるため、理想的なフローの型化をすることができる。
・ 接客内容の音声記録、文字起こし、要約、箇条書き変換を自動で行うLLMを活用した「AIカルテ」機
能(オプション)
・ 利用者のスマートフォン等から、事前に必要事項の入力が行え、来店時の業務を効率化できる。
・ 画像・表・グラフなど様々な表現方法が選択でき、円滑な顧客とのコミュニケーションを促進することが
できる。
・ 手書き入力機能を有しており、同意書の手書き署名や、利用者の状態を手書きで補足説明できる。
上記のように、カルテのすべての項目を自由にカスタマイズできることで、シセイカルテのような特定の業界だけではなく、より広い業種・業態での利用が可能となっております。
本書提出時点における主なターゲット業種としては、シセイカルテと同様ですが、すべての項目のカスタマイズが可能であるため、カルテを利用する業種であればターゲットとなります。
〈マルチカルテ特徴)
マルチカルテの特徴を図示すると、次のとおりであります。
〈シセイカルテ/マルチカルテ)
シセイカルテ及びマルチカルテは合わせて使用することが可能であり、概要図は次のとおりであります。
③ カルティセールス
接客・商談時の担当者を、カルティセールスによりナビ・サポートをすることでフローを標準化し、成約率を上昇させることを目的とした商談支援ツールであります。
カルティセールスは主に、以下の機能・特徴を有しております。
・ ヒアリング・商談時に、聞くべきことが漏れなく聞くことができる。
・ 顧客の回答内容に合わせて深掘り質問や提案を表示することができる。
・ ヒアリング時にシートへの入力を進めるだけで、ハイパフォーマーのヒアリングから提案の流れを再現す
ることができる。
④ カルティチャット
接客支援システムである「カルティチャット」について、当該プロダクトによるマーケティングの戦略設計からアカウント運用・分析まで一気通貫で提供できるサービスを行っております。「カルティチャット」は、LINE、Instagram、Web、Facebook Messengerなどのメッセージアプリ上で稼働する、チャットBOT(*14)と有人チャット接客システムを組み合わせて提供できるシステムであります。
カルティチャットは主に、以下の機能・特徴を有しております。
・ LINE、Instagram、Web、Facebook Messengerなどのマルチメディアを一括で管理し、運用することができ
る。
・ 顧客の成果につながるような、チャット設計や改善支援を行う。
・ 有人対応について、当社でサポートすることができる。
以上述べた事項を、事業系統図によって示すと、次のとおりであります。
[事業系統図]
* 用語集
業績
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
なお、当社はExpert AI事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
① 経営成績の状況
新型コロナウイルス感染症の影響も薄らぎ経済活動の正常化が進み、また各種政策の効果もあり、国内経済は緩やかに回復しております。一方で、世界的な金融引き締めに伴う影響や物価上昇などもあり国内外における経済的な見通しは不透明な状況が続いております。
当社を取り巻く環境としましては、企業のAI・DX(デジタルトランスフォーメーション)投資の拡大が当社サービスの追い風になることを期待しております。国内AIシステム市場においては2023年の4,930億円から2027年には1兆1,034億円への拡大が見込まれており(出典:IDC Japan 株式会社「2023年 国内AIシステム市場予測」)、国内DX市場の規模は2022年度に2兆7,277億円の見込みに対して、2030年度には6兆5,195億円への拡大が見込まれております(出典:株式会社富士キメラ総研「2023 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望 市場編、ベンター戦略編」)。
当社は「ひとを科学し、寄り添いをつくる」のミッションの下、AIソリューションにおいては既存取引先との継続的な取り組みや、各種アルゴリズムを用いた新規案件獲得に注力しております。また、AIプロダクトにおいては他社との差別化ツールや市場拡大が著しいDXツールとして「シセイカルテ」「マルチカルテ」を中心としたカルティプロダクトの拡販を進めております。また全社としては、今後の成長に向けた先行投資を継続しており、AIプロダクトの開発、認知度向上のためのマーケティング、及び人材獲得等に注力いたしました。
これらの結果、当期における当社の経営成績は以下のとおりとなりました。
売上高については、AIソリューションにおける既存プロジェクトの進捗やコミュニケーションアルゴリズムを中心とした新規プロジェクト獲得、AIプロダクトにおけるメインプロダクトである「シセイカルテ」「マルチカルテ」のアカウント数の増加等により634,946千円(前年同期比50.8%増)となりました。AIソリューションにおいては生成AI技術を用いたコミュニケーションアルゴリズムの提案を、AIプロダクトにおいては「シセイカルテ」だけでなく「マルチカルテ」も合わせて積極的な拡販を行っており、両プロダクトの導入が期待できるフィットネス・パーソナルトレーニングといった業界に向けた積極的な営業活動をいたしました。
売上総利益については、売上高の増加及び当期よりソフトウエア資産を計上したこと等により382,375千円(前年同期比33.4%増)となりました。
販売費及び一般管理費については、2023年11月に実施した本社移転、事業拡大のための先行投資として研究開発や人材・マーケティングへの投資を行った結果、401,443千円(前年同期比7.6%減)となりました。なお、販売費及び一般管理費が前年同期比減少した理由としては、前年同期において研究開発費に計上されていたような費用の一部が、ソフトウエア資産として計上されるようになったことによるものであります。
営業利益以下の各段階利益について、主に先行投資の結果、営業損失は19,068千円(前年同期は147,761千円の営業損失)となり、加えて2024年4月に実施した第三者割当増資に伴う株式交付費及び東京証券取引所グロース市場への上場のための費用といったスポット的な営業外費用の計上等により、経常損失は28,542千円(同147,236千円の経常損失)、当期純損失は29,057千円(同147,415千円の当期純損失)となりました。各段階利益はいずれも赤字となりましたが、赤字幅は大幅に縮小いたしました。
② 財政状態の状況
(資産)
当事業年度末における資産合計は452,020千円となり、前事業年度末に比べ186,582千円増加いたしました。これは主に、現金及び預金が63,875千円増加したこと、事業拡大に伴い売掛債権が36,407千円増加したこと、ソフトウエアの資産計上開始によりソフトウエアが82,012千円増加したことによるものであります。
(負債)
当事業年度末における負債合計は284,268千円となり、前事業年度末に比べ234,072千円減少いたしました。これは主に、関係会社短期借入金を全額返済したことによるものであり、返済原資としては2024年4月に実施した第三者割当増資の資金の一部、短期借入金及び自己資金であります。
(純資産)
当事業年度末における純資産は167,752千円となり、前事業年度末に比べ420,654千円増加いたしました。これは主に、2024年4月に実施した第三者割当増資により資本金及び資本準備金がそれぞれ224,856千円増加したこと、当期純損失29,057千円によるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は220,228千円となり、前事業年度末に比べ63,875千円増加いたしました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における営業活動による資金は31,907千円の減少(前期は177,148千円減少)となりました。主な減少要因は税引前当期純損失28,542千円、売上高の増加に伴う売上債権の増加36,407千円であり、主な増加要因は減価償却費9,005千円、仕入債務の増加9,729千円、未払消費税等の増加9,334千円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における投資活動による資金は99,664千円の減少(前期は31,753千円の減少)となりました。減少要因はソフトウエアの取得(自社開発)に伴う支出89,834千円、オフィスの移転に伴うインフラ整備及び業務で使用するPCの取得に伴う支出9,830千円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における財務活動による資金は195,448千円の増加(前期は187,223千円の増加)となりました。増加要因は株式の発行による収入447,788千円及び事業資金確保のための短期借入による収入200,000千円であり、主な減少要因は短期借入金の返済による支出450,000千円であります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a 生産実績
当社は生産活動を行っておらず、該当事項はありません。
b 受注実績
当社が提供するサービスは、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
c 販売実績
当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.当社はExpert AI事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づいて作成されております。この財務諸表の作成にあたっては、当事業年度末における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要とされております。当社は、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。しかしながら実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社の財務諸表を作成するにあたって採用する重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社は、Expert AI事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
売上高については、AIソリューションにおける既存プロジェクトの進捗やコミュニケーションアルゴリズムを中心とした新規プロジェクト獲得、AIプロダクトにおけるメインプロダクトである「シセイカルテ」「マルチカルテ」のアカウント数の増加等により634,946千円(前年同期比50.8%増)となりました。AIソリューションにおいては生成AI技術を用いたコミュニケーションアルゴリズムの提案を、AIプロダクトにおいては「シセイカルテ」だけでなく「マルチカルテ」も合わせて積極的な拡販を行っており、両プロダクトの導入が期待できるフィットネス・パーソナルトレーニングといった業界に向けた積極的な営業活動をいたしました。
売上総利益については、売上高の増加及び当期よりソフトウエア資産を計上したこと等により382,375千円(前年同期比33.4%増)となりました。
販売費及び一般管理費については、2023年11月に実施した本社移転、事業拡大のための先行投資として研究開発や人材・マーケティングへの投資を行った結果、401,443千円(前年同期比7.6%減)となりました。なお、販売費及び一般管理費が前年同期比減少した理由としては、前年同期において研究開発費に計上されていたような費用の一部が、ソフトウエア資産として計上されるようになったことによるものであります。
営業利益以下の各段階利益について、主に先行投資の結果、営業損失は19,068千円(前年同期は147,761千円の営業損失)となり、加えて2024年4月に実施した第三者割当増資に伴う株式交付費及び東京証券取引所グロース市場への上場のための費用といったスポット的な営業外費用の計上等により、経常損失は28,542千円(同147,236千円の経常損失)、当期純損失は29,057千円(同147,415千円の当期純損失)となりました。各段階利益はいずれも赤字となりましたが、赤字幅は大幅に縮小いたしました。
③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社の主な資金需要は、労務費(AIソリューション及びAIプロダクトの開発(研究開発に該当するものを除く)・運用保守に関与するものに係る人件費)及び人件費(労務費以外の人件費)といった人材に関するもの、マーケティングを目的とした広告宣伝費及びその他の経費等の販売費及び一般管理費等となっております。当社において一過性かつ多額の資金需要は多くなく、少なくとも3か月程度の資金需要は把握できております。
足元の運転資金は第三者割当増資及び金融機関からの借入により調達しており、月次キャッシュ・フローに対して十分な水準を確保できております。加えて、ストック収益の積み上がりにより自己資金でカバーできる範囲が拡大していく想定であります。一過性かつ多額の資金需要が発生する場合に備えて、金融機関と更なる関係強化により、機動的な資金調達ができるよう進めてまいります。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
⑤ 財政状態の分析
財政状態の分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に記載しております。
⑥ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおりであります。