人的資本
OpenWork(社員クチコミ)-
社員数2,049名(単体) 25,118名(連結)
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平均年齢41.0歳(単体)
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平均勤続年数15.0年(単体)
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平均年収12,742,594円(単体)
従業員の状況
5 【従業員の状況】
(1) 連結会社の状況
2025年3月31日現在
(注) 従業員数は就業人員数(当社グループからグループ外への出向者を除き、グループ外から当社グループへの
出向者を含む。)であり、臨時従業員数は[ ]内に年間平均雇用人員数を外数で記載しております。
(2) 提出会社の状況
2025年3月31日現在
上記従業員数に海外支店・海外駐在員事務所の現地社員71名及び受入出向者32名を加え、海外現地法人及び事業会社への出向者540名を除いた提出会社の就業人員数は2,049名であり、セグメント別内訳は下記のとおりであります。
(注) 1 臨時従業員数は[ ]内に年間平均雇用人員数を外数で記載しております。
2 平均年間給与額には、賞与、超過勤務手当、基準外給与を含んでおります。
(3) 労働組合の状況
労使関係について特に記載すべき事項はありません。
(4) 女性活躍推進法等に基づく「女性管理職比率」、「男性の育児休業取得率」及び「男女の賃金の差異」
(注) 1 労働基準法第41条第2号で定める監督もしくは管理の地位にある者
2 アに対するイの割合
ア 2024年度中に子が出生した男性社員の数
イ 2024年度中に出生後1年に満たない子を養育する目的で初めて育児休業等を取得した男性社員の数
「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業などの取得割合を算出したもので、イには2023年度に子が出生した男性社員の数を含みます。
3 ウに対するエの割合
ウ 2024年度中に子が出生した男性社員の数
エ ウのうち、2024年度中に初めて育児休業等を取得した者と、2025年度において子の出生後1年以内に初めて育児休業等の取得を計画していることが確認できた者の合計
4 男性社員の年間平均賃金に対する女性社員の年間平均賃金の割合
5 有期雇用契約から無期雇用契約に転換した個別に雇用契約を締結する社員(契約社員)を含む
◆ 当社(提出会社)における男女の賃金の差異の要因について
当社の正社員は総合職と事務職で構成されています。総合職は基幹業務において主体的に役割を担い、事務職は総合職を補佐し事務処理業務全般を担う職種です。また、非正社員は主に定年再雇用社員です。当社では、それぞれの職種ごとに役割等級制度を採用し、年齢や性別を問わず、本人の資質や能力、取り組み意欲に応じて役割が決定されています。職務の内容や異動の範囲などが同じ役割等級では性別の違いによる賃金の差はありません(時間外勤務などの変動要因によるものを除く)が、賃金に差異が生じている主な要因は以下のとおりです。
① 当社では総合職において管理職層で女性社員の割合が低いことが挙げられます。現在、人材戦略の重要施策として、女性活躍推進に取り組んでいます。2030年代に全社員に占める女性社員比率50%程度、女性課長比率を50%程度にすることを目指し、新卒及びキャリア採用における女性総合職社員の採用増加に加えて、仕事と育児の両立環境の整備、各世代層のパイプライン形成と経験の蓄積やキャリア意識の醸成を積極的に進めています。今後は管理職層の女性社員増加により、この要因による男女の賃金の差異は縮小していくと考えています。
各世代層のパイプライン形成については、「1) 人材戦略基本方針①「自らの意思で挑戦・成長し続ける多様な個」● 女性活躍推進(41ページ)」をご参照ください。
② 総合職とは役割が異なる事務職において全員が女性社員(2025年3月31日現在)となっていることも、男女の賃金の差異の要因です。当社は事務職を多様な働き方の1つの形態と位置づけ、今後も採用を継続していく方針です。事務職は、性別に関わりなく選択可能な職種ですが、新卒採用・キャリア採用共に応募者は女性となっていることから、今後も男女の賃金の差異への影響は発生すると考えています。一方、当社では、総合職と事務職との間で相互に職種転換を可能とする制度を設けており、男女共に入社後に社員個人のキャリア・働き方に応じた職種転換が可能となっています。
③ 非正社員は、主に定年再雇用制度に基づき定年退職後(60歳定年制)に再雇用された社員、及び役員退任後に有期雇用社員として再雇用された社員です。定年再雇用者に対する賃金は、定年後に担う職種と役割・責任に基づき設定される役割等級に準じて決定されますが、定年前までの業務内容や経験に基づいた役割・責任に応じた設定となるため、非正社員での男女の賃金の差異に影響しています。
◆ 男女の賃金の差異の過去5年間の推移
サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)
2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】
(1) サステナビリティに関する基本方針
① サステナビリティに関する考え方
双日グループにとってのサステナビリティとは、「双日グループ企業理念」に基づき、ステークホルダーと共に事業を通じた「2つの価値(双日が得る価値と社会が得る価値)」の最大化を図り、当社グループと社会の持続的な成長を目指すことです。
この「2つの価値」の最大化に向けて、当社は中長期的に取り組むべき「マテリアリティ(サステナビリティ重要課題)」を定めました。このマテリアリティの策定にあたってはパリ協定や持続可能な開発目標(SDGs)などを参照し、当社グループと社会の持続的な成長のために対処すべき普遍的な課題として「人権」「環境」「資源」「地域社会」「人材」「ガバナンス」を抽出、設定しました。
このマテリアリティの中から、優先的に取り組むテーマを特定し2050年に向けた長期ビジョンとして「脱炭素社会実現への挑戦」と「サプライチェーンを含む人権尊重」の2本柱からなる「サステナビリティ チャレンジ」を策定しました。この長期ビジョンは中期経営計画をはじめとする成長戦略を策定する上での基盤にもなっています。
当社は、ステークホルダーとの対話などを通じ、当社グループにとってのリスクと機会の把握に努め、脱炭素社会実現に向けた対策や人権関連方針などの各種個別方針を策定しています。また、それらを「中期経営計画2026」にも反映し、具体的なアクションにつなげています。当社グループは2018年8月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の最終提言に賛同し、そのフレームワークを活用して積極的な情報開示と透明性向上に努めています。
当社は、取締役会、経営会議、サステナビリティ委員会といった会議体から構成するガバナンス体制を敷いています。サステナビリティ委員会は社長CEOが委員長を務め、年に4回以上開催されています。
サステナビリティ委員会では、サステナビリティに関する方針や考え方の整理、サステナビリティ推進体制の構築、リスクと機会の特定・評価、指標や目標の策定、機会を始めとする各取り組み状況のモニタリングなどを行っています。また、執行役員の中から、サステナビリティ全般を管掌する担当役員が任命されており、IR・サステナビリティ推進部が事務局としてサステナビリティ委員会の執行の実務を担っています。
サステナビリティ委員会の活動については、取締役会による監督が適切に図られる体制となっており、サステナビリティ委員会における活動や検討・協議された方針、課題などは、定期的に経営会議及び取締役会に付議・報告されます。
経営会議は社長CEOが議長を務め、原則毎月2回開催され、サステナビリティに関する全社方針や戦略などの重要事項の審議・決裁を行うほか、サステナビリティ委員会の活動報告を受けて、必要に応じてサステナビリティ委員会に対応の指示を行っています。取締役会はこれらのプロセスを定期的に監督しています。
当社は、サステナビリティ委員会を軸として、企業の社会的側面における姿勢や活動に対する社会からの期待や要請に応えるべく、横断的に連携して、サステナビリティ関連活動を推進しています。
<サステナビリティ推進・実行体制図>
<2024年度サステナビリティ関連の会議体における主な承認・報告事項>
<ステークホルダーダイアログの開催>
当社は、サステナビリティ経営を推進するにあたり、さまざまなステークホルダーとの対話を行い、外部からの意見と視点を尊重した事業活動を実践することが重要と考えています。そのため、サステナビリティ課題について大学教授、投資家、NGO等の社外有識者と、双方向に対話する場として、2018年より毎年ステークホルダーダイアログを開催しています。
当社は、「中期経営計画2026」における成長戦略にて、GX(グリーン・トランスフォーメーション)を掲げており、ネットゼロ社会の実現に向けた「機会」を捉え、サステナビリティ経営と成長戦略の両面から企業価値向上を図るべく、主に、以下観点から有識者のみなさまと議論いたしました。
● 企業の成長フェーズを踏まえたサステナビリティ(気候変動)への向き合い
● 投資家の視点や、当社における脱炭素事業やサステナビリティ全般への取り組みに対する評価
<参考>
過去に開催したステークホルダーダイアログのテーマ
ステークホルダーとの関わり|理念・長期ビジョン・方針|サステナビリティ|双日株式会社
https://www.sojitz.com/jp/sustainability/policy/stkholder/
IR・サステナビリティ推進部は、社内外の動向の把握、ステークホルダーとのコミュニケーション、外部専門家(弁護士や投資家等)や有識者からの助言・指摘等を通じて、当社グループにおけるサステナビリティに関するリスクの識別・特定・評価に関する情報を収集し、サステナビリティ委員会に報告しています。サステナビリティ委員会は、それらの報告を受けて、当社グループにおけるサステナビリティに関するリスクを特定・評価し、対応方針を検討・議論しています。
また、サステナビリティに関するリスクについては、「環境・気候変動リスク」、「人権リスク」を当社グループが認識するリスクとして特定しており、必要なリスク対応については、内部統制委員会が全社的リスク管理の枠組みの中で、その他のリスクと併せて対応状況のモニタリング、改善施策の協議、各担当部署への指示を行い、その結果については、定期的に経営会議、取締役会、監査等委員会に報告しています。加えて、当社グループの個別の投融資案件を審議する投融資審議会での審議過程において、サステナビリティに関するリスクの特定と評価を行っています。環境・社会に関するリスクについては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク (2)」個別のリスクについて ⑧環境・気候変動リスク(53ページ) ⑨人権リスク(54ページ)を併せてご参照ください。
② 気候変動対応
脱炭素社会実現への挑戦
当社は、再生可能エネルギー事業やトランジション期間を支える事業である「エッセンシャルインフラ」及び「エネルギー・素材ソリューション」を注力分野として掲げています。その戦略の基盤となるのが、脱炭素ロードマップです。このロードマップでは、「技術・社会動向の見立て」を年代ごとに想定し、それに対応した当社の新エネルギー・脱炭素プロジェクトや事業を具体的に記載しています。技術動向は常に変化しているため、リスクと機会を定期的に見直し、対応方針を更新しながら、自社の持続可能な成長と脱炭素社会の実現に貢献していきます。
脱炭素ロードマップにおける当社の考え方は以下のとおりです。
■ 脱炭素社会に向けた年代ごとの技術や社会動向を「機会」と捉えています。
■ 再生可能エネルギーの利用は今後も拡大し、将来的には余剰再エネ電力を活用したグリーン水素の利用が見込まれますが、脱炭素社会への移行には、再生可能エネルギーの普及に伴う不安定さを補完し、需給を下支えするトランジション期間が必要です。当社は、高効率のガス火力発電や省エネルギーサービス事業を推進することで、トランジション事業を通じて脱炭素社会への移行を事業機会につなげていきます。
■ 一方で、バイオ燃料・合成燃料、クリーン水素やアンモニア等の新エネルギーは、脱炭素社会に向けた中長期的な技術革新及び燃料転換の中心的な役割を担うものとして位置づけていますが、2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、技術開発・社会実装を進めていくことが不可欠です。
■ また、新エネルギー・脱炭素領域では、技術成熟度の違いや、収益化の時期も異なるため、それらの実情を踏まえながら、当社の強みを活かしたバリューチェーン構築やソリューション提供を目指すべく、最適な資源配分のポートフォリオを見極めながら推進していきます。
<脱炭素ロードマップ>
1) シナリオ分析
● 移行リスク
外部調査、内部分析も踏まえ、「リスク」と「機会」が、当社グループの経営戦略、事業活動、財務計画に対する影響がより大きいと考えられる事業分野について随時シナリオ分析を行い、財務への影響を分析しています。具体的には、GHG排出量の多いリスクのある箇所(サプライチェーン上のGHG排出量分析図(26ページ))の中で、特に影響が大きいと考えられる石炭権益事業と発電事業における移行リスクについてシナリオ分析を行いました。
<シナリオ分析>
● 物理的リスク
気候変動が抑制できず温暖化が進行した場合の物理的リスクについては、特に海岸洪水や河岸洪水などの水リスク(急性リスク)に注目して分析を行っています。具体的には、世界資源研究所(World Resources Institute)が提供する水リスク分析ツール「Aqueduct」の評価において、「Extremely High」及び「High」とされた地点に所在する事業・資産(製造・加工工場などの非オフィス)が水リスクにさらされていると考え、その2025年3月末現在の有形固定資産額(リース資産は除く)を財務影響額として分析しました。その結果、東南アジア地域を中心に、一部の事業拠点における海岸洪水・河岸洪水の水リスクが高いことを確認し、財務影響のある資産(有形固定資産)の額は約290億円になると算定しました。
2) Scope1、Scope2の削減
当社は、GHG排出の削減は脱炭素社会実現に向けた当社グループの責務であると考えています。そのため、当社グループはGHG排出(Scope1とScope2)の削減を加速し、脱炭素社会への耐性を高めると共に、この社会移行を新たな機会と捉え、幅広い分野におけるビジネスを進めていきます。2021年3月には、「サステナビリティ チャレンジ」を実践すべく脱炭素対応方針を策定し、Scope1とScope2の削減目標(後述)を設定しました。
中計2026では、Scope1とScope2の削減目標の達成に向けて、当社グループにおける脱炭素推進施策の実行と、それを後押しする仕組みを作りました。今後も脱炭素社会の実現に向けた取り組みの拡大を推進していきます。
3) Scope3、Scope4(削減貢献量)の計測と把握
脱炭素社会の実現には、当社グループのGHG排出(Scope1とScope2)削減に加えて、サプライチェーン全体のGHG排出(Scope3)削減が必要であると考えています。また、Scope3の多い産業とそのサプライチェーン上の工程においては現在または将来的に排出削減のストレスがかかる可能性が高いと考えています。一方で、当社は、国内外のネットワークを活用し、多岐にわたる分野で事業を展開していることから、Scope3の計測と把握は非常に複雑で困難です。その中で、外部専門家を起用して、当社のサプライチェーンにおいてScope3の多い箇所を、まずは特定しました。その結果、2021年3月期より当社グループへの影響が特に大きいと考えられた発電、製鉄分野から計測、その後順次計測セクターを拡大し、2024年3月期において全セクターの把握を実施完了しました。
その結果を示したものが26ページの<サプライチェーン上のGHG排出量分析図(Scope3、Scope4(削減貢献量))2025年3月期速報値ベース)>です。一方で、Scope3が多い所はGHG削減貢献を行う新たな事業創出の機会のある箇所でもあると捉え、削減貢献事業を推進し、その削減貢献量をScope4として定義し、計測と把握を行っています。
<参考>
当社グループの2024年3月期におけるカテゴリー別Scope3の全量データ
https://www.sojitz.com/jp/sustainability/sojitz_esg/e/data/
2025年3月期の実績値は、追って当社ウェブサイト及び統合報告書にて開示予定です。
<サプライチェーン上のGHG排出量分析図(Scope3、Scope4(削減貢献量)) 2025年3月期(速報値ベース)>
横軸に当社グループが関わる「GHG排出が多い産業」を、縦軸に「サプライチェーンの各工程」を配置し、当社にとってのリスクと機会を定性・定量的に分析・特定しています。
(下図の発電・製鉄セクターのScope3、Scope4(削減貢献量)は、有価証券報告書提出日現在の速報値)
リスク(Scope3):GHG排出が多い箇所ほど、濃いオレンジ色で示しています。一般的に「GHG排出削減の圧力」
や「代替される脅威」にさらされやすくなります。
機会(Scope4(削減貢献量)):最下段は代替となる新規事業の機会であり、当社は削減貢献量として積み上げていきます。
なお、WBCSDのガイダンス(注)に基づき、削減貢献量は、当社の脱炭素目標及びその進捗の排出量と相殺しておりません。
(注) World Business Council for Sustainable Development(持続可能な発展のための世界経済人会議)で公表された削減貢献量ガイダンスを指す。
(注) 1 2025年3月期データ(速報値ベース)。GHGプロトコルが定める、Scope3の15カテゴリーを簡略化して作成しています。
<詳細>
カテゴリー別
https://www.sojitz.com/jp/sustainability/sojitz_esg/e/data/
2 Scope4(削減貢献量)の計算方法:(IEAが公表する2023年の世界火力発電原単位(843g/kWh)-当社発電原単位)×発電量
当社は、前項で説明した当社グループの気候変動における移行リスクとその機会を評価及び管理するための指標と目標を脱炭素対応方針として設定しています。2025年3月期における進捗は、Scope1とScope2で4割程度削減、一般炭権益はすでに9割程度削減を達成しています。Scope1とScope2の削減目標の達成に向けて、当社グループは脱炭素推進施策を策定し、事業会社での脱炭素に向けた取り組み(再エネ・省エネなど)を促進する仕組みを整備しました。
また、サプライチェーン上のGHG排出量(Scope3)については全セクターの計測を完了しました。Scope3は当社にとって「リスク」であると同時に、サプライチェーン全体での削減貢献による新たな事業創出の「機会」であると捉え、自社の成長と紐づけた取り組みを推進すると共に、これらの取り組みを通じて削減貢献したGHG排出量(Scope4)を積み上げることで、事業を通じた社会課題の解決を自社の強みと収益機会につなげていきます。今後も、脱炭素社会の実現に向けた取り組みを推進していきます。
<脱炭素方針と進捗状況>
<Scope1、Scope2排出量の推移(2020年度以降の新規事業を含む総量)>
(注) 集計対象範囲の見直しの結果、過年度数値をリステートしています。
エネルギー起源CO2とは、石炭・石油・天然ガスなどの化石燃料を燃焼する際に排出される二酸化炭素を指します。
現在当社の脱炭素方針における削減目標はCO2を対象としています。
なお、上記の目標は、現時点の将来見通しに基づいたものであり、社会動向や技術革新の状況の変化に応じて柔軟に見直しを行います。また、2024年度のScope1、Scope2排出量は現時点の集計値(速報)であり、第三者保証を取得した数値については当社ウェブサイト及び統合報告書にて開示いたします。
③ サプライチェーンを含む人権尊重
当社グループはグローバルに様々な事業を展開していますが、その事業に関わるサプライチェーン上のどの国・地域においても人権尊重に努めるべく、人権リスクの把握及び低減を図っています。「国際人権章典」及び国際労働機関(ILO)の「労働における基本的原則及び権利に関する宣言」を支持し、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に則って人権尊重の対応を行っています。
対応にあたっては、ステークホルダーとの対話を行いながら「方針の策定・共有」「リスク評価」「改善・救済」「実績開示」というプロセスを踏んでいます。各プロセスの取り組み内容は、外部動向及び内部環境などを踏まえ、定期的に見直し、改善を図っています。また、リスク評価やグリーバンスメカニズムを中心として、一連のプロセスで改善すべき点が判明した場合は、速やかに是正を行っています。
当社グループは、「国連グローバル・コンパクト」の10の原則などを踏まえて、「双日グループ人権方針」や「双日グループ サプライチェーンCSR行動指針」などの方針を策定するとともに、定期的に見直し、必要に応じて改定を行っています。
また、サプライチェーン上の人権尊重においては、事業現場における認識と理解が重要であると考えています。そこで、グループ内でセミナーやeラーニングを実施するとともに、グループ各社の経営陣とIR・サステナビリティ推進部(サステナビリティ委員会事務局)間の対話を通じ、方針や取り組みの周知及び現場の対応状況の確認を行い、人権尊重意識の徹底と理解の浸透を図っています。また、取引先に対しても当社の方針を周知し、理解と実践を求めています。
<人権リスクセミナー>
2025年2月に、弁護士の大村恵実氏を招聘し、『「ビジネスと人権」の経営課題と対応』と題し、本部長向け勉強会を開催しました。営業本部及び職能組織の担当本部長15名が参加し、高リスク事業分野の留意点や日本企業が直面する取引先の人権課題などにつき受講しました。なお、同勉強会は、役職員約2,000名も動画で受講しています。
1) 新規事業投融資におけるリスク管理
新規投融資を行う際は、各事業分野における人権リスクの課題や対応のポイントに基づき、申請部署において強制労働、児童労働、先住民族への影響など想定されるリスクを洗い出し、対応策を策定しています。必要な場合はデュー・ディリジェンスを行い、人権リスクの洗い出しと対応策に漏れが無いように確認しています。
2) 既存事業及びサプライチェーンにおけるリスク管理
● 高リスク事業分野の特定
サプライチェーンを含む人権課題は様々であるため、特に人権対応が強く求められる事業分野を分析した上で、優先順位を付けて取り組むことが重要であると考えています。そのリスクベースアプローチの観点から、英国NGO「ビジネスと人権リソースセンター」が有する人権リスクの発生事例データベースをもとに、当社グループの事業の中でも特にリスクが高い高リスク事業分野を特定すると共に、サプライチェーン全体において一般的にどの工程で人権リスクが発生しやすいか、分析・確認をしています。高リスク事業分野は、最新の発生事例データベース、当社グループにおける事業環境・状況、外部専門家の意見などを踏まえ、定期的に見直しを行っています。
● リスク評価
リスク評価を効果的に行うため、高リスク事業分野における課題や対応のポイントを整理し、グループ内に周知しています。高リスク事業分野の事業を行う組織は、取引先に対してアンケート、ヒアリング、現地訪問などを行いながら対応状況を調査します。調査結果は、IR・サステナビリティ推進部と各組織の年次での対話にて共有し、重大な課題が発見された場合に備えて、現地訪問などによる調査体制を整備しています。対話やヒアリングで得られた気づきや、外部専門家の意見も取り入れ、課題や対応のポイントを随時更新しています。
● 現地訪問による調査
当社グループは、人権リスクを調査・確認するために、必要に応じて個々の取引や事業において取引や事業が行われている現場に赴き、調査を行っています。
例えば、木材の調達(輸入)について、合法性の確認、環境への配慮、社会への配慮の3本柱からなる木材調達方針を定めており、年次調査にてトレーサビリティ及び環境・社会配慮等について確認しています。年次調査では、必要に応じて、現地訪問による調査や、懸念サプライヤーに対して外部専門家の関与する詳細デュー・ディリジェンスも実施しています。2024年度は現地訪問による調査をインドネシアで4件、中国で4件、マレーシアで3件、タイで1件、ベトナムで9件行いました。
また、2024年12月には水産品の調達方針を策定しましたが、これに基づき2025年度からリスク評価を開始し、2026年度以降、現地デュー・ディリジェンスを行う予定です。
● 外国人技能実習生に対する人権尊重
当社では一部のグループ会社において外国人技能実習生を受け入れていますが、当該グループ会社に対しては、2022年度より毎年アンケート調査を実施して関連法令の遵守の確認に加え、受入現場を訪問して労働現場を確認し、経営層、及び技能実習生と対話を実施することで、技能実習生の労働・生活環境を把握し、問題がないことの確認と同時にリスクの低減に努めています。
技能実習生を受け入れている当社グループ会社は、人権尊重に配慮するとともに、日本語学習の機会の提供、旅行やレクリエーションを開催するなど、技能実習生との円滑なコミュニケーションを意識した取組を行っています。
また、グループ会社間での情報交換会や、外部専門家による講演の開催、受入れに当たっての課題などに関する意見交換を行うなど、グループ内での意識向上を図っています。
● 改善・救済
リスク評価において問題が発見された場合、事実を確認の上、取引先などの関連するステークホルダーに問題の改善対応を求めます。
2024年度の高リスク事業分野に対するリスク評価においては、重大な問題がないことを確認しました。
一連のリスク管理体制は毎年見直しを行っており、リスク評価の過程で見つかった課題や外部専門家の意見を、社内制度へ反映するなど改善を重ねています。
<グリーバンスメカニズム>
サプライチェーン上の負の影響を早期に発見し、是正・救済を行うため、当社サプライチェーン上を含む全てのステークホルダーの方から人権に関する苦情やお問い合わせを受け付ける体制を整備しています。
1) 木材調達
当社グループの人権に関するリスク評価において、高リスク事業分野の一つである木材分野においては木材調達方針を策定しています。2024年3月には改定を行い、森林破壊のない(注1)サプライチェーンの構築を目指すことを掲げました。その方針に基づき、海外から調達(輸入)する木材については、原産地までのトレーサビリティと、環境・社会(人権)へ配慮した森林管理の適切性に応じて以下の4つのレベルに分けて評価し、調達比率を指標とした目標を定めています。
レベルA:認証材(注2)
レベルB:トレーサビリティに加え、認証以外で環境・社会(人権)に配慮した森林管理の適切性を検証済みの木材
レベルC:トレーサビリティが確保されている木材
レベルD:トレーサビリティの確保が不十分な木材
(注) 1 自然林転換及び保護価値の高い森林の毀損がないことを指します。
自然林転換とは、2020年12月31日より後に、自然林が人工林や森林以外の土地利用に転換されることを指します。
2 FSC(R)、PEFCなどによる認証木材
<各レベルでの調達比率推移>
(注) 1 2020年度以降はレベルAを認証材のみとしております(2024年度のレベルA比率は18%)。
2 上表における調達比率は、WWFジャパンの「林産物調達チェックリスト」を用いて当社が実施した評価に
基づいて決定した[レベルごとの木材(輸入材)の調達金額]÷[調査対象とした木材(輸入材)総調達金額]で算定しています。また2024年度調査対象結果は、前年度の2023年度における木材調達金額を基に算出しています。なお、2020年度より第三者保証を取得しています。
上表のとおり、2024年度には2025年度目標(レベルA+B材 100%)を前倒しで達成しました。今後もこれを維持するために、取引開始前の調査、年次調査、現地詳細デュー・ディリジェンス、認証材の取扱量拡大、サプライヤーへの認証取得の奨励、需要家を巻き込んだ環境配慮材の取扱推進などに取り組んでいきます。
<詳細>
当社グループの木材調達方針
https://www.sojitz.com/jp/csr/supply/lumber/
2)水産品調達
当社グループは、水産品の生産・調達・加工・販売を、日本のみならずアジア、米国などにおいてグローバルに展開しています。近年では、米国にて寿司テイクアウトチェーンや寿司レストラン運営会社を設立するなど、より消費者に近いリテール領域に注力し、サプライチェーンを拡大しています。その過程で、持続可能で責任ある水産品の調達を実現するため、当社及び当社グループの水産事業会社を対象とした、水産品調達方針を2024年12月に定めました。
本方針では、サプライチェーンにおけるIUU(違法、無報告、無規制)漁業の排除に努めることや、トレーサビリティ確保に努めること等を掲げています。
特にマグロ類について、調達・養殖・加工・販売活動をグローバルに行っており、持続可能なサプライチェーンの実現に対して一定の影響力を有し、重要な役割を担っていることを踏まえ、以下の目標を掲げています。
<詳細>
水産品調達方針
https://www.sojitz.com/jp/sustainability/policy/marine/
④ 自然資本・生物多様性への対応
● 生物多様性の基本的な考え方
当社グループは、事業活動において食料資源、水産資源、林産資源の取り扱いや資源開発、工場建設などを行っておりますが、これらの活動は森林、海洋、河川といった生態系に影響を与える可能性があります。また、事業活動・社会活動は自然資本に依存していることから、自然資本を棄損するとその恩恵を受けられなくなり、持続的な活動ができなくなる可能性があります。当社グループは、総合商社として広い地域で多岐にわたる事業を行っており、一部の事業においては直接的に自然資本を活用しているため、自然資本を尊重し、その恩恵を受け続ける必要があります。また、昨今の国際的な関心の高まりとともに、当社に対するステークホルダーの皆様の期待も高まっていることもあり、当社グループの持続的な事業活動及び企業価値向上には、生物多様性への配慮が欠かせません。双日グループはマテリアリティ(サステナビリティ重要課題)として「環境」と「資源」を定め、事業を通じた地球環境への貢献により、「社会課題の解決」を「自社の強み」に変え、事業基盤の拡充及び成長につなげていくことを目指しています。さらに、環境方針において、生物多様性への対応や事業に関わる環境負荷の最小化を掲げています。特に木材や水産品については、分野別のガイドラインを参照しながら考え方を整理し、個別の調達方針を策定しており、これらの方針に基づき、自然資本に配慮し、生物多様性の維持・保全を進めていきます。
当社グループは木材製品を取り扱う企業として、木材及び木材製品の合法性と環境及び社会への配慮を確保し、持続可能な社会の実現に貢献することが求められています。当社ではその重要性を強く認識し、合法性や環境・社会配慮を柱とする木材調達方針を制定しています。当社グループには約1,500社の木材関連の仕入先がありますが、その中でも特に原産地のカントリーリスクが高い国や、仕入金額が大きい仕入先の木材を特定しています。特定した木材に対して、原産地までのトレーサビリティと環境・社会への配慮を確認するために、WWFジャパンの『林産物調達チェックリスト』を採用しています。このチェックリストをカスタマイズして活用し、環境及び社会に配慮した適切な森林管理を確認しています。
上記取り組みに加えて、2024年度は、TNFD(注)ガイダンスを参照し、下図の手順に従って当社事業における自然への依存と影響を確認しました。
(注) Taskforce on Nature-related Financial Disclosuresの略。国連開発計画(UNDP)などによって設立された「自然関連財務情報開示タスクフォース」の略称であり、企業が投資家や市場に対して自然に関連するリスクや機会等を開示するためのフレームワークを策定しています。
● 自然への依存と影響の重要度が高い事業・分析対象を特定
TNFDのガイダンスを参照し、分析ツールのひとつであるENCORE(注)を活用し、まずは世の中一般の事業が自然資本にどのように依存し、また、どのような影響を及ぼす可能性があるかを確認しました。その結果、ENCOREで依存・影響の重要度が高いと評価されている25事業を特定し、さらに「依存」「影響」ともに水に関する項目のスコアが一般的に高い傾向を確認しました。特定した事業のうち、当社が注力領域として掲げている水産バリューチェーン(マグロの養殖を行う双日ツナファーム鷹島、水産品加工を行うマリンフーズとトライ産業など)をTNFDのLEAP(Locate、Evaluate、Assess、Prepare)アプローチによる分析の対象としました。
(注) 民間企業による自然関連の依存や影響の大きさを把握することを目的に、国連環境計画・自然資本金融同盟(UNEP-NCFA)などが共同開発した分析ツール
<詳細>
ENCOREを用いた当社ポートフォリオにおける概観分析図及びその抜粋(依存・影響ヒートマップ)
https://www.sojitz.com/jp/sustainability/sojitz_esg/e/biodiversity/
● 水産バリューチェーンのLEAP分析を実施
Locate 自然との接点の発見
双日ツナファーム鷹島の自社養殖、上流の飼料・種苗調達、及び下流のトライ産業やマリンフーズといった国内加工工程を対象とし、生物多様性や生態系サービスの質の低下につながるリスクが大きい箇所を優先地域として特定し、各地域の特徴を整理しています。
Evaluate (自然との依存・影響の診断)
Locateで特定した優先地域について、リスク要素や分析ポイントを洗い出しました。さらにそれらポイントについて、まずは自社養殖である双日ツナファーム鷹島における自然の状態の確認や規制の調査、及び事業会社へのヒアリングによる実態把握を実施しました。
Assess (重要なリスク・機会の評価)
以上を踏まえ、TNFDのセクター別ガイダンスに沿ったリスク・機会の洗い出しを実施した結果、重要性が高いと評価されたリスク・機会と当社グループの取り組みは次のとおりです。
(注) Integrated Biodiversity Assessment Tool(IBAT): IUCNレッドリスト、保護地域、生物多様性上重要地域(KBA)などのデータベースへのアクセスが可能な地理空間データを提供するツール。
Prepare (対応と報告の準備)
双日ツナファーム鷹島では、飼育にICTを積極的に導入し、「国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)」との産学連携によるスマート養殖システムの構築を進めています。また、国立大学法人九州大学と赤潮の発生予測アプリの開発及び実証を開始しました。これらの技術を双日ツナファーム鷹島に限らず、他の養殖場が抱える課題の解決にも活用し、サステナブルな海洋資源の保全に取り組んでいます。
今後は、LEAPアプローチによる分析を通じて得た知見を個別事業の運営に活用していくとともに、分析対象を上流の飼料・種苗調達、及び下流のトライ産業やマリンフーズといった加工工程に拡大します。また引き続き、自然資本(生物多様性・水リスク)を注視し、事業ポートフォリオに対する依存・影響を見極めていきます。
● その他取り組み
当社グループは鉱山などの上流資源の開発や採掘に当たって、自然資本の毀損や生態系への影響を想定した適切な環境・社会影響評価、管理やモニタリング計画に加え、閉山計画も含めた事業計画を策定し、国や地方自治体の定める法令の順守や必要な許認可取得を通じ、環境保全に配慮した活動を行っています。
開発段階では対象地域の生物多様性への影響を最小限に抑えるように環境負荷の低減に努めながら進め、操業段階への移行後では採掘域内に流れる小川の水流を維持すべく移転工事を実施するなど、定期的な環境影響のモニタリングと共に万が一に備えた防止策なども十分に講じた上で活動しています。終掘後のリハビリテーションにおいては、閉山を待たず採掘活動と並行しながら植林や緑化活動をすべての鉱山において徹底することで、自然資本の毀損リスクの顕在化や拡大の未然防止を図り、環境負荷の低減と環境保全を進めています。
具体的には、豪州に保有するグレゴリー炭鉱や、ミティオ・ダウンズ・サウス炭鉱の露天掘操業では、採掘の為に剥がした表土を別の場所で一時保存し、採掘終了に併せて再度その表土で覆い被せながら再緑化を行うことで、採掘前の状態に回復させる取り組みを行っております。さらに、両炭鉱の敷地内や周辺地域において、開発・操業活動で影響を受けかねないライチョウバトやキンググラスなどの希少動植物の生息区域を関連法令に則って確保し、かつ承認された計画通りの保全活動を行っています。
2004年に制定した双日グループ環境方針において、気候変動防止に向けたCO2をはじめとする温室効果ガスの削減、生物多様性への対応など、事業にかかわる環境負荷の最小化に取り組むことを掲げています。以下については、個別の指標と目標を定めています。
・木材調達
③サプライチェーンを含む人権尊重の指標と目標をご参照ください。
・水産事業
上述の評価結果を踏まえて、必要に応じて、追加の分析や指標と目標を検討していきます。
<参考>
生物多様性
https://www.sojitz.com/jp/sustainability/sojitz_esg/e/biodiversity/
(ご参考) 外部評価の推移
当社グループの事業を通じた当社のサステナビリティ課題解決の取り組みは、外部評価機関にも継続的に高く評価されています。2024年度は前年度に引き続いて、S&P Global Sustainability Award(サステナビリティ格付)において、Trading Companies & Distributorsセクターにおいて「Top 1%」に選定されました。
(注) CDPでは、企業からの申請に基づきスコアアピールの制度が設けられており、当社は2024年度気候変動スコア
「B」に対して現在アピールを行っています。本スコアは見直しの結果、変更される可能性があります。
<参考>
サステナビリティ全般に関する取り組み
Sojitz ESG Book
https://www.sojitz.com/jp/sustainability/sojitz_esg/
(2) 人材戦略に関する基本方針
全社方針として掲げる2030年の目指す姿「事業や人材を創造し続ける総合商社」の実現に向け、価値創造の源泉である多様性と自律性を備えた個の成長を、組織の成長、会社の成長につなげています。
「中期経営計画2026」を支える人材戦略
「中期経営計画2026」の人材戦略では、当社グループの人材戦略基本方針として、双日らしい成長ストーリーの実現に向けた「事業創出力」と「事業経営力」の強化を目指します。
「中期経営計画2026」基本方針に掲げるNext Stage(当期利益2,000億円、ROE15%超)に向けた基盤の確立には、強みある事業群への進化、高い収益性の確保が不可欠であり、既存事業の拡大と新規事業投資を通じたグループの拡大、ネットワーク活用による共創の促進を中心に「グループ・グローバルへの取り組み」を強化していきます。自らの意思で挑戦・成長し続ける多様な個の強化とそれを組織力向上につなげるミドルマネジメントの強化、環境変化を先読みした機動的な人材配置・抜擢の加速により、「事業創出できる」「事業経営できる」ヒト(組織・人材)を持続的に創出していきます。
持続的な価値創造に向けた「事業基盤」と「人的資本」の強化を支える土台として、「双日らしいカルチャー」の醸成、「Digital-in-All」の実践、「データを活用した対話」の浸透により、新たな事業創出や生産性向上につなげ、当社スローガン"New way, New value"を体現していきます。挑戦や思考の柔軟さといった双日らしい独自の風土・文化を深化させ、社員が徹底的に対話することを通じて、事業創造につなげていきます。
2030年の目指す姿の実現に向け、Next Stageを実現していくために重要なのは人材のギアチェンジです。社員一人ひとりがどこよりも挑戦・成長できる環境を目指して、報酬の引き上げを含む人事制度(役割等級・評価など)の見直しを実施し、新たな人事制度を2024年4月から導入しています。双日らしい成長ストーリーを実現するヒトの魅力(ちから)を強化し、社員一人ひとりの成長が、組織の成長・活性化につながり、会社の成長・企業価値向上を実現させるという当社らしい人的資本経営を加速させていきます。
(注) 1 ミドルマネジメント:対話を通じて個の力を組織力に変える本社課長(及び候補)、海外・グループ会社キーポジション(及び候補)
を対象とするもの
2 人材マネジメント: 人材の計画的な育成を通じて事業創出(Value creation)・事業経営(Value up)につなげる
商社にとって価値創造の中核であり最も重要な資本は「人材」です。自ら変革し新たな価値を創造し続けられる「個」の集団を形成し、価値創造につなげる「人的資本経営」を次の実行体制のもとで推進しています。
人的資本経営の実行体制として、取締役会で経営視点で方針を議論し、重要な人事事項は、社長が議長を務める人事審議会で審議・決裁しています。具体的な取り組みである人材KPIの進捗状況や人事施策の効果・課題などは経営会議と取締役会で定期的に議論・決定しながら進めています。
リスクの早期発見・対処のため、コンプライアンスホットラインや社内目安箱の設置に加え、エンゲージメントサーベイや360度サーベイなどからも現場の意見を吸い上げ、モニタリングする体制を整え、持続的な企業価値向上の推進力を高めていきます。
<人的資本経営 実行体制図>
人的資本価値の毀損「リスク」と、価値向上のための「機会」という「攻めと守り」の両面から各重要課題にアプローチすることによって、企業価値向上につなげています。また、2030年の目指す姿の体現に向け、足元の課題のみならず、将来を見据えて今着手すべき課題に対しても取り組みを開始しています。
1) 人材KPI(動的)
2030年の目指す姿に向けて双日らしい成長ストーリーを実現するためには、「事業創出力」と「事業経営力」を備えるとともに、"Digital-in-All"を実践できるヒト(組織・人材)の育成・強化が必要となることから、人材KPIを設定し、各種施策の効果を測っていきます。
具体的には、「事業創出力」「事業経営力」の向上に向けた「双日らしいカルチャーの醸成(挑戦指数、風通し指数)」、「多様な人材活躍(女性総合職 海外・国内出向経験割合、海外グループ会社CxO(現地人材)比率、デジタル応用人材)」に取り組んでいきます。また、一部KPIでは、定期的に実施しているエンゲージメントサーベイ(注)の回答率を用いることで社員の声を定点観測し施策につなげていきます。
(注) 2025年3月期の数値は現時点の集計値であり、第三者保証を取得した数値については当社ウェブサイト及び統合報告書で開示いたします。
<参考>
エンゲージメントサーベイ
https://www.sojitz.com/jp/sustainability/sojitz_esg/s/human_resources/
Next Stageに向けた「中期経営計画2026」における当社グループの人材戦略基本方針として、「自らの意思で挑戦・成長し続ける多様な個」「多様な個の力を最大化するミドルマネジメントの強化」「環境変化を先読みした機動的な人材配置・抜擢」の3点を掲げています。
1) 人材戦略基本方針①「自らの意思で挑戦・成長し続ける多様な個」
「多様性を競争力に」をテーマに、人材の多様性を、変化の激しい市場環境に対応し、常にスピード感をもって事業創造できる組織の力へと変えることで、「事業や人材を創造し続ける総合商社」を目指しています。ジェンダー、現地人材、高い専門性を持つキャリア採用者など、多様な人材の獲得と活躍機会の提供を積極的かつ継続的に行いながら、それぞれの特性や能力を最大限に活かせる職場環境整備、マネジメント層の教育など様々な取り組みを実施しています。
● 女性活躍推進
組織の意思決定に関わる女性社員を増やすため、ダイバーシティマネジメントを担う組織を中心に人材パイプライン拡張や、ライフイベントを見越した「キャリアを止めない」環境作りに取り組んでいます。2030年代には男女間の差がなく適所適材が実現している状態を目指します。
多様性をイノベーションの創出といった競争力につなげていくために、女性活躍推進を人材戦略の最重要テーマの1つと位置づけています。「中期経営計画2026」の最終年度には課長に占める女性の比率を20%程度とし、2030年代には、これを50%程度へ引き上げていきます。2016年度以降、女性の採用人数を増やしてきた結果、すでに20代の社員比率は約半数を女性が占めている中、パイプライン形成に向けて、成長機会の提供やキャリア支援に取り組んでいます。
将来、意思決定を担う人材を育成するための施策として、2021年度から「キャリアの早回し」として、ライフイベントと重なりにくいタイミングで若手社員を国内外の事業会社にトレーニーとして派遣し、挑戦の機会を提供しています。さらに、管理職に求められるミッション遂行や意思決定など難易度の高い経験を積むことを目的に、2024年度から「駐在・出向経験割合」を新たなKPIに設定し、国内外の事業会社において役員などを担う女性社員を増やしています。
2024年7月には、人材パイプライン強化のために、会長を含む経営と現場が一体となり施策を議論、提案を行う会議として「女性活躍推進コミッティ」を創設しました。社外有識者を招聘し、「ワークとライフの両立の難しさ」などの女性活躍を巡る課題や施策を多角的に議論しています。また、自らの意思で挑戦・成長する意欲のある社員の活躍を後押しするために、女性執行役員が主催するラウンドテーブルを開催し、社長も参加して、女性社員との直接対話を行いました。また、女性活躍推進を含む人材施策の進捗は取締役会や経営会議に報告しています。
- 女性課長比率は、2026年度20%程度とした目標に対し、2025年3月31日現在で10%
- 女性総合職の新卒採用比率は2018年度以降継続して30%以上を維持 (2025年度入社:40%)
- (ご参考)女性総合職の海外・国内出向経験割合については、人材KPI(40ページ)をご参照ください。
- (ご参考)取締役11名のうち4名が女性取締役(2025年3月31日現在で女性取締役比率:36%)
- (ご参考)女性執行役員は3名、うち1名は取締役 専務執行役員(2025年3月31日現在で女性役員比率:18
%)
これらの女性活躍の取り組みにより、当社は女性活躍推進に優れた上場企業として「なでしこ銘柄2025」に選定されました(2017年3月以降、8度目)。
<参考>
双日、「なでしこ銘柄」に8回目の選定 ~女性活躍をさらなる競争力に
https://www.sojitz.com/jp/news/article/topics-20250324.html
ジェンダーに関わらず仕事と育児を両立することについて、職場全体が理解・応援できる環境を整えることは、女性がライフイベントを経てもキャリアを中断することなく活躍できる企業風土醸成のために重要であり、男性社員を含めた育児休暇取得率100%の維持を目指しています。その中で、業務効率化やチームマネジメント力の強化に向けた取り組み、早期復職支援や両立支援策の推進により、社員のキャリア形成を支援しています。
男性の育児休業取得率については、「第1 企業の概況 5 従業員の状況 (4) 女性活躍推進法等に基づく「女性管理職比率」、「男性の育児休業取得率」及び「男女の賃金の差異」(11ページ)をご参照ください。
● ビジネスへのデジタル実装に向けたデジタル人材育成
当社は社内外のパートナーと共にデジタルを活用することで、ビジネスモデルや業務プロセスの変革を実践できるデジタル人材を育成するため、スキル分野・スキルレベルの設計と研修カリキュラムの独自開発を行いました。既に、入門・基礎による全社員のリテラシーレベルの底上げが完了し、上位の応用人材も「中期経営計画2023」の目標であった300人の育成を24年3月末時点に達成(実績:321人、そのうちエキスパート:60人)しました。これらのデジタル人材(注)を活用することで、鉱物取引における価格最適化、水産事業会社の商品販売戦略などのデータ分析や、本マグロ養殖事業のデジタルツインによる尾数推定方法の特許出願など、ビジネス課題への実践を着実に進めています。また、エキスパートとなった管理職を営業本部・コーポレートの各組織内のデジタル専門部隊のマネジメントに抜擢し、"Digital-in-All"の実現に向けて強固な体制を築いています。
「中期経営計画2026」においては、全社のデジタルリテラシーの更新・底上げを継続しつつ、応用人材の研修カリキュラムの強化と育成人数のさらなる拡大を進めていきます。応用基礎では、データとテクノロジーをビジネスモデルにどのように組み入れるかを構想するためにビジネスアーキテクチャ研修(約20時間程度)を24年8月に新設しました。応用人材は全総合職の50%程度(約1,000名)、そのうち全総合職の10%程度(約200名)はエキスパートとして育成することで、全組織に応用人材が配置され、同人材を基軸とした全社レベルでの"Digital-in-All"の実現を目指します。詳細は17~18ページをご参照ください。
(注) 当社ではデジタル人材の育成において、独自の5段階レベル(入門、基礎、応用基礎、エキスパート、ソートリーダー)と2つのスキル分野(データ分析、ビジネスデザイン)を設定しています。
<参考>
DX戦略
https://www.sojitz.com/jp/corporate/strategy/dx/
● キャリア採用者の活躍
当社では、経営人材、DXなどの専門人材、ジェンダー、現地人材などの多様性強化に向けたキャリア採用に注力しています。2025年3月末現在で、管理職ポストにおけるキャリア採用者の割合は24%、役員ポストにおいては39%を占めています。なお、2024年度の採用に占めるキャリア採用者の比率は26%でした。今後も、年間の新規採用者数の30~40%程度をキャリア採用者としていく予定です。また、2030年代の女性社員・課長職比率目標を50%程度に引き上げたことを踏まえ、新卒・キャリアともに女性の採用目標も50%へ引き上げました。キャリア入社の活躍としては、2025年4月に営業本部で初の部長職に女性キャリア採用者が就任しました。また、社外から迎えた専務執行役員 CDO 兼 CIO 兼 デジタル推進担当本部長は、2024年6月に取締役に就任しており、今後も他社で培った経験を経営や現場との対話に活かし、双日グループの新規事業の創出と事業モデルの変革につながるデジタルの実装を加速していきます。
● 現地人材の活躍
海外事業会社を起点に現地ネットワークに入り込み、事業領域の拡大や新規事業の創出につなげるため、現地人材のCxOポストをさらに拡大し、2022年3月末に40%だった海外事業会社の現地人材CxO比率が、2025年3月末現在で48%となりました(注)。2025年度までに50%と設定していた目標値を、「中期経営計画2026」では60%に引き上げ、さらなる現地化を目指しています。域内での意見交換/情報共有によるマーケットイン・事業機会発掘の強化、共創と共有を推進するための海外地域における取り組みとして、海外事業会社CxOで構成するアドバイザリーボードを米国で開催しており、当時の社長も参加し、米州の事業会社のCxOと今後の成長戦略に関して積極的に議論しました。2024年度は他地域でも同様の会議が拡大しており、このような交流を通じ、当社グループが持つ多種多様な事業と掛け合わさることにより、事業拡大につなげ、グループ力強化を目指しています。
(注) 2024年度の数値は現時点の集計値であり、第三者保証を取得した数値については当社ウェブサイト及び統合報告書にて開示いたします。
● トレーニー制度
当社では、400社を超えるグループ会社を通じて多様なビジネスを展開しており、それぞれの事業会社の経営を担う人材の育成は重要な課題です。将来の経営人材の育成・確保のため、トレーニー制度を設け、若手社員を国内外へ派遣しています。2020年度からは所属部署とは異なる分野の事業会社に社員をトレーニーとして派遣する制度を開始しました。社員が新たな経験を通じて、多角的な視野を身に付け、知識や人脈に加え社員の幅出しのきっかけとなる成長の機会となっています。また、エンゲージメントサーベイの結果から、女性は20代のうちに海外を経験することで、30代以降、海外経験に対する意欲が低下しづらくなることがわかったことから、「キャリアの早回し」を促す派遣も行っています。2024年度は18ヶ国に派遣した海外トレーニーのうち47%が女性社員です。今後も活躍の場を広げる機会を提供し、社員一人ひとりのさらなる成長を後押しします。
<参考>
女性総合職海外・国内経験割合について(人材KPI)統合報告書2024 51ページ
http://s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/sojitz-doc/pdf/jp/ir_202405/reports/annual/ar2024j_all.pdf
● 発想×双日プロジェクト(通称:Hassojitzプロジェクト)
当社における「さらなる成長」を考え、未来構想力や戦略的思考を定着させるべく、2019年に新規事業創出プロジェクト「発想×双日プロジェクト」を開始しました。第1回目に社長賞を受賞した「ワイヤレス充電」案件は、2023年3月より公道での実証実験を開始しています。開始から6年目となる2024年度は「先を読み、新たなKATI(カチ)を共に創る」をテーマに、外部の有識者やアルムナイメンバーとのディスカッションを行い、発想を起点とした事業創出力の強化を継続(発想の実現に主眼を置き実施)しています。Hassojitzプロジェクトでは起業家精神の醸成と自律的に事業創出ができる人材の育成を促進しています。
<参考>
ワイヤレス充電事業
https://www.sojitz.com/jp/newway_newvalue/article/nwnv_post_11.html
● 多様な個の力を競争力に変える企業風土・文化醸成
当社グループの価値創造の源泉である人材同士の活発なタテ・ヨコ・ナナメのコミュニケーションは、多角的な意見・情報共有(風通し)による意思決定の質向上、自由な発想や組み合わせによるイノベーション創出、目標達成に向けた挑戦・貢献意欲・組織エンゲージメント向上など、会社・組織の成長と発展に重要な役割を果たすと考えています。
多様性と自律性を備える「個」それぞれが当社らしさを考え、行動に変えていくことが人的資本経営の先にあるべき姿と考え、2023年4月、全社を巻き込んだ対話型プロジェクト“双日らしさの追求プロジェクト”を立ち上げました。社内外へのヒアリングを通じた現状認識、全組織から選抜されたコアメンバーによるワークショップや経営陣とのラウンドテーブルで意見交換・議論を繰り返し、将来と現在、会社と個人などの観点から、当社らしさやありたい姿を言語化しています。2030年の目指す姿の実現について社員一人ひとりが“自分ごと”として言語化することにより、社員の日々の行動と経営目標の方向性を合致させ、挑戦意欲を高め人材の力が会社の力につながるよう、全社をあげて取り組んでいます。
● 双日アルムナイ
<詳細>
双日アルムナイ活動内容
https://sojitz-alumni.com/page
● 多様なキャリアプラン実現に向けた支援(双日プロフェッショナルシェア株式会社)
<詳細>
双日プロフェッショナルシェア
https://www.sojitz.com/jp/corporate/strategy/jinzai/
2) 人材戦略基本方針②「多様な個の力を最大化するミドルマネジメントの強化」
多様性と自律性を備える「個」の成長(Will/Can)を組織と会社の成長(Shall)、企業価値向上につなげるためには、経営層と現場社員の結節点・橋渡し役として戦略遂行とエンゲージメント向上を担うミドルマネジメント層の強化が不可欠と考えています。
● ミドルマネジメントの強化による組織力向上
当社の価値創造の源泉である人材の力を最大化するため、対話を通じて社員の力を引き出し組織力の向上につなげるマネジメント力の強化が重要であると考えています。エンゲージメントサーベイ結果(2024年度回答率99%)を分析し、部課長の中で最も現場に近い課長職が組織エンゲージメントに大きな影響を与えることがわかりました。組織エンゲージメント向上においては、部長職と比べて課長職の影響力が高いため、課長職を中心としたミドルマネジメント層の強化に取り組んでいます。
また対話力の高い課長職の組織は、「風通し」「挑戦意欲」「成長実感」が高い傾向にあることがデータから明らかになりました。当社におけるミドルマネジメントの強化は「対話力向上が最重要」と位置づけ、研修の実施など強化施策を実行しています。今後、対話の質をより向上させ、組織の統率力向上、「事業創出力・事業経営力」の強化につなげます。
<参考>
統合報告書2024>双日らしい人的資本経営の追求>組織力向上につなげるミドルマネジメントの強化
https://s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/sojitz-doc/pdf/jp/ir_202405/reports/annual/ar2024j_all.pdf
● 活躍し続けられる人材育成(研修プログラム)
<詳細>
研修プログラム
https://www.sojitz.com/jp/sustainability/sojitz_esg/s/human_resources/
3) 人材戦略基本方針③「環境変化を先読みした機動的な人材配置・抜擢」
テクノロジーの発展や地政学リスクなどの著しい環境変化や多様な顧客ニーズに対応し続けるため、機動的かつ計画的な人材配置や育成・抜擢を行い、2030年の目指す姿の実現に向け事業創出力と事業経営力を高めていきます。
● 多様な経験機会による人材育成(ジョブローテーション制度、社内公募制度)
<詳細>
ジョブローテーション制度、社内公募制度
https://www.sojitz.com/jp/sustainability/sojitz_esg/s/human_resources/
● 機動的・計画的な人材配置や育成を支える人材の可視化
「個」と「組織」の強化をさらに進めるべく、人材データを活用(データサイエンス)しています。エンゲージメントサーベイや360度サーベイなど、定期的に実施する全社サーベイや人事データを多角的・多面的に分析しデータドリブンな人材戦略の遂行につなげています。また、全社でタレントマネジメントシステムを活用し、タテ・ヨコ・ナナメの対話促進、適所適材の実現、公正・公平な評価フィードバック、社員の成長を可視化するなど、社員個人と組織をデータでつなぎ、人的資本経営の基盤を充実させていきます。また24年度から管理職向けに実施しているアセスメント結果を用いて、事業本部ごとにキーポジションの人材を見える化し、経営と議論を開始しました。
4) 多様な人材の活躍を支える制度・取り組み
当社グループの成長は社員と共にあると考え、多様な価値観やキャリア志向を持つ全ての社員が、挑戦・成長を積み重ねることで、高いモチベーションを維持しながら自律的に働き続けられる環境を整えていきます。
● グループ全体で企業価値向上を加速させる取り組み(従業員持株会・株式の付与)
当社は、グループ全体で持続的な企業価値向上及び株価上昇に向けた意識醸成を企図し、株主への利益還元だけではなく、当社を支える社員への株式の付与を通じて社員一人ひとりの会社への帰属意識と企業価値向上に向けたモチベーションを高めていきます。2023年5月には、従業員持株会の会員である社員に対して、特別報酬として1人あたり100株を付与しました。2025年3月現在で、当社における社員の持株会加入率は90%程度となり、収益の拡大による資金の循環を人や事業の成長につなげるべく、グループ全体で企業価値向上に向けた取り組みを加速させていきます。「中期経営計画2026」の数値目標を双日グループ一丸となって達成した際は、社員に対して特別報酬を付与する予定です。
● 健康経営
当社グループにとって最大の資本である社員とその家族が心身共に健康であり、社員が働きやすさと働きがいを持てる健全な職場環境づくりは、会社の重要な責任の1つと考え、『双日グループ健康憲章 “Sojitz Healthy Value”宣言』を策定しています(2018年3月)。疾病の未然予防・健康増進に加え、仕事と治療の両立を図るべく、健康推進担当の組織体制を強化し、各健康関連施策を実施しています。2022年度に策定した健康経営戦略マップをもとにフィジカルヘルス対策/メンタルヘルス対策/女性の健康対策を主軸として健康施策を実行し、それらの取り組みが評価され、「健康経営銘柄」に2年連続3度目の選定を受けています。定期健康診断の一次受診率100%を継続しつつ、疾病の早期発見・予防を目指し、2023年度まで二次健診受診率を人材KPIとして定め、目標の70%を上回る77%まで向上しました。2024年度以降は、引き続き社内でのモニタリングを継続し、84%となっています。
<参考>
Sojitz ESG BOOK 労働安全衛生(「双日グループ健康憲章」)
https://www.sojitz.com/jp/sustainability/sojitz_esg/s/health/
健康経営戦略マップ
https://www.sojitz.com/pdf/jp/sustainability/sojitz_esg/s/health/strategymap.pdf
フィジカルヘルス対策では、健康に対する社員の意識と行動の変容を促すことを目的に、2023年度に引き続き、「双日健康フェス」を開催しました。2024年度は「睡眠」をメインテーマとし、「睡眠×運動」、「睡眠×食事」など睡眠に関するセミナー、その他体力測定会など10種類の施策を実施し、社長を含む経営層も参加しました。
双日健康フェスの様子
メンタルヘルス対策では、精神科産業医をはじめ、社内・社外カウンセラーなど複数の相談窓口を設置し、メンタル不調者の早期発見・早期治療に取り組んでいます。所属長が産業医からアドバイスを受け、不調者のケアや職場復帰を支援するなど、産業保健スタッフと所属組織が連携して行っています。ストレスチェックの組織分析の結果、課題のある組織に対しフィードバックを実施していますが、これらの組織はエンゲージメントサーベイの積極肯定回答率が低いという傾向も見られ、働く環境の改善に取り組んでいます。加えて、国内と比較して負荷のかかりやすい海外勤務者に対しては、毎月ヘルスチェックを実施する事で、自身の健康状態を振り返り、必要に応じて産業医や外部相談窓口に相談する機会とし、早期発見や発症予防につなげています。
女性の健康対策については、2022年4月以降、子宮頸がん・乳がん検診の対象の全年齢への拡大、社内診療室への婦人科嘱託医の配置、不妊治療に関わる相談窓口の設置、外部企業と契約し、医師や専門家による女性の健康に関するオンラインセミナーの配信など、施策を強化しています。不妊治療と仕事との両立の難しさなど、本人のみならず、所属組織の理解を深める事に加え、女性社員が自身の健康やキャリア形成についてのリテラシーを向上させることを目的としたセミナーを実施するなど、一人ひとりの社員が活躍できる環境整備を進めています。
エンゲージメントサーベイの結果から、「健康施策に対する社員の満足度」、「社員のヘルスリテラシー」に対する肯定回答率(注)も上昇しており、着実に健康経営が社内に浸透しています。今後も健康経営を推進し、社員一人ひとりが心身健康な状態を維持し、誰もが挑戦を当たり前にする環境づくりを進めていきます。
(注) 回答選択肢6択のうち、「①とてもそう思う」「②そう思う」「③どちらかといえばそう思う」の回答割合
<多様な人材の活躍を支える主な制度・取り組み一覧>