事業内容
セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
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売上
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利益
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利益率
最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています
| セグメント名 | 売上 (百万円) |
売上構成比率 (%) |
利益 (百万円) |
利益構成比率 (%) |
利益率 (%) |
|---|---|---|---|---|---|
| (単一セグメント) | 530 | 100.0 | -629 | - | -118.6 |
3 【事業の内容】
(1) ミッション
当社グループは、「エネルギーデータの力で、暮らしの未来を変えていく。」をミッションとして、[エネルギー×AI]をコア技術に、エネルギー最適化ソリューションを提供することで、日本で、世界で、カーボンニュートラルの社会実装に挑み続けております。
(2) 事業の概要
当社グループは、当社、連結子会社(Informetis Europe Ltd.)及び関連会社(株式会社エナジーゲートウェイ)の3社で構成され、脱炭素やGXに取り組む企業向けに、エナジー・インフォマティクス事業を展開しております。
連結子会社であるInformetis Europe Ltd.は、地域的にAI(機械学習(注1))の学術的教育環境が整っており、最先端のAI研究者採用に有利なイギリス・ケンブリッジに設立された技術開発拠点であるとともに、欧州圏を中心とした営業拠点でもあります。
関連会社である株式会社エナジーゲートウェイは、当社と東京電力パワーグリッド株式会社で共同設立した東京電力パワーグリッド株式会社の子会社で、国内における当社電力消費者向けサービスの独占的販売代理店であるとともに、東京電力グループの事業領域を拡大し、同グループの競争力の強化と企業価値の向上に重要な役割を果たしております。
エナジー・インフォマティクス事業は、エネルギー関連データを独自のAIで解析し、①省エネルギーと快適生活の実現をするスマート・リビングサービスと②エネルギーの運用効率の最適化を実現するエネルギー・マネジメントサービスをSaaS(注2)型で提供するもので、その概要は、以下のとおりであります。
↓
↓
具体的には、電気を作る(発電)→電気を送る(送配電)→電気を小売りする(小売)→電気を消費する(消費)という電力供給の仕組みの中で電力利用効率の最適化を図るためには、電力供給に関わる設備の特徴を考慮しながら電力供給のバランスを維持しつつ、生活の質を保ち、不便を最小限に抑える必要があることを踏まえて、(ⅰ)電力消費者向けサービスの提供を通じて電力利用効率の最適化を図る「ienowa(イエノワ)」、「enenowa(エネノワ)」及び「hitonowa(ヒトノワ)」などのサービスと、(ⅱ)電力を供給する側である電力事業者向けサービスの提供を通じて電力利用効率の最適化を図る「BridgeLAB DR(ブリッジラボ ディーアール)」などのサービスを提供しております。
なお、当社グループは、エナジー・インフォマティクス事業を単一セグメントで展開しているため、以降の説明においてセグメント別の記載は省略しておりますが、事業領域は、事業を展開する地域により、①国内領域及び②海外領域に分かれております。
当社グループの収益モデルは、プラットフォーム上に構築されたサービスを利用する顧客企業数又は顧客企業のエンドコンシューマー数及びプラットフォーム上で稼働する各種アプリのエンドコンシューマー数が増加するにつれて、年々売上収益が積み上がり、累積的・継続的な発生を見込むことが可能なリカーリング型の収益(ストック型の収益)があり、「プラットフォーム・アプリ提供」がこれに該当いたします。
一方で、プラットフォーム上に構築されたサービスやプラットフォーム上で稼働する各種アプリの利用開始時には、起点として、電力センサーの機器販売代金、プラットフォーム上に構築されたサービスの初期設定費用やプラットフォーム上で稼働する各種アプリの初期設定費用などの一時的な収益(フロー型の収益)を伴うこともあり、「アップフロント」がこれに該当いたします。
「アップフロント」は、「プラットフォーム・アプリ提供」の起点となることから、当社グループでは、累積的・継続的な収益である「プラットフォーム・アプリ提供」のみならず、一時的な収益である「アップフロント」も重視しております。
なお、当社グループにおいては、見込顧客による実証実験が翌年以降の商業化に伴う収益につながっております。実証実験において、当社グループは、実証実験の設計、運営、データ分析やレポート作成などのプロセスの全部又は一部を見込顧客から受託し、委託料を受け取るのが一般的な収益モデルとなっており、「その他」がこれに該当いたします。
当社グループにおける収益区分の詳細は、以下のとおりであります。
① 国内領域
当社グループは、国内領域においては、以下のとおりサービスを提供しております。
② 海外領域
当社グループは、海外領域においては、英国に連結子会社(Informetis Europe Ltd.)を設け、欧州圏の現地企業や日本企業の現地法人などとの実証実験を行う等、欧州圏における本格的な事業展開に向けた準備を進めております。
特に、脱炭素化を背景に英国を筆頭とした欧州圏に広がるガスボイラー(ガス給湯器)からヒートポンプ(電気給湯器)への急速なシフトが直近で最大の事業拡大機会であります。
このヒートポンプ(電気給湯器)への急速なシフトが進む中、電気の消費が急激に増加することによる電力系統・電力網の安定運用への影響を管理・制御するため、家全体だけでなくヒートポンプ(電気給湯器)やその他制御可能な機器の詳細な消費エネルギーデータを取得したうえでのヒートポンプ(電気給湯器)の最適化制御が重要になります。
こうした状況を踏まえ、当社グループは英国において、電力消費の側面から電力利用効率の最適化を図るサービスを展開しております。2021年10月より、当社グループの電力センサーは、Daikin Europe N.V.の英国におけるヒートポンプ(電気給湯器)の付帯設備として導入され、実証的な取り組みを進めてまいりました。そして、2025年11月からは、これまでの実証的な取り組みを経て、当社グループの技術・サービスを活用した「Budget Control(バジェットコントロール)」サービスを搭載するヒートポンプ(電気給湯器)製品ラインナップ「UP Series(アップシリーズ)」の販売がDaikin Airconditioning UK Ltd.により開始され、欧州における商業展開が本格的に始動いたしました。
ここでは、Daikin Europe N.V.の英国におけるヒートポンプ(電気給湯器)の付帯設備として導入される電力センサーの販売料金が「アップフロント」に該当し、導入された電力センサーからのデータに基づいて、最適化サービスを利用する際に生じるランニング費用が「プラットフォーム・アプリ提供」に該当し、特別なシステム開発やコンサルティング等を行った場合に生じる費用が「その他」に該当いたします。
最後に、最近2連結会計年度の当社グループの事業領域及び後述の収益区分ごとの売上高は、以下のとおりであります。
(注) 「アップフロント」は、未実現利益調整後の金額となっております。未実現利益は、連結グループ会社間の内部取引から生じた利益のうち、期末までに実現していないものをいい、具体的には、当社が関連会社である株式会社エナジーゲートウェイに販売した電力センサーのうち、連結グループ外部へ販売されず、同社の在庫となっている(実現していない)ものについて、当該在庫に含まれる当社の売上総利益に当社持分の40%を乗じた金額を、連結売上高から消去いたします。この消去された利益は、その後、同社から連結グループ外部へ販売された(実現した)際に、再度認識されることとなります。
当社のミッションであるカーボンニュートラルの社会実装に挑み続けるためには、当社グループのサービスを社会基盤(インフラ)として確立することが不可欠です。そのため、当社グループでは、フロー型ビジネスからストック型ビジネスへの移行を推進しております。これにより、持続可能な収益を確保しつつ、エネルギー最適化ソリューションの提供を継続することが可能となります。
2025年12月期は、大口顧客との契約終了等の外部要因の影響を受け、原価負担の大きい取引の売上が減少した結果、売上規模は縮小した一方で、収益性の高いストック型ビジネスの構成比は高まりました。
一方で、当社グループの中長期の成長戦略の中核をなす次世代(第2世代)スマートメーターに関しては、次世代(第2世代)スマートメーターに関連する受託開発案件の受注増加を見込んでおり、短期的には、ストック型ビジネスの構成比が一時的に低下する可能性があります。
ただし、これらの受託開発案件は、次世代(第2世代)スマートメーター時代におけるストック型ビジネスへの展開基盤を構築する戦略的投資であることから、中長期的なストック型ビジネスの絶対額拡大及び収益性向上を最優先に推進してまいります。
[事業系統図]
当社グループの事業系統図は、以下のとおりであります。
(3) 事業の特徴
当社グループのエナジー・インフォマティクス事業の特徴は、2つのAI技術、すなわちNILMをはじめとした電力データ解析技術と数理最適化技術、を活かしたSaaS事業を根幹としており、前者の電力データ解析技術では、ソニー株式会社(現・ソニーグループ株式会社)から譲渡を受けた、電力波形データ分析(NILM)が大きな技術差異化要素となっております。
そのうえで、これまでに築き上げた事業実績として、①標準電力スマートメーターのデータ活用優位性、②SaaSモデル/リカーリング収入に支えられ逓増していく収益基盤、③世界トップクラスの電力AI技術(ソニー発)、④国内No.1電力会社を含む大手企業との強固なアライアンス戦略、⑤全世界で拡大するエネルギーデジタル市場で欧州でも新サービスで先行、という5つのポイントが挙げられます。
① 標準電力スマートメーターのデータ活用優位性
2026年から導入が進んでいる国内の次世代(第2世代)スマートメーターにおいては、その計量部において、従来のスマートメーターよりも大幅に高精細なデータ取得が可能となっており、当社の電力データ分析方式と互換性のある計測方式が仕様化されました。
これにより今後、高精細データの取得にあたって電力センサーを新たに設置することなく、最大8,361万台(注)にものぼる次世代(第2世代)スマートメーターから、当社のプラットフォームにエネルギーデータを収集して、サービスを提供することが現実的になります。
ここにおいては、当社が10年以上蓄積してきた当該方式で収集するエネルギーデータの分析ノウハウが大きな優位性となり、当社のサービスの普及を促し、当社のサービスの社会基盤(インフラ)化が大きく加速することを、当社グループは期待しております。
(注) 経済産業省 電力・ガス取引監視等委員会 電力取引の状況(令和7年11月分)
※2021年2月1日 資源エネルギー庁 「次世代スマートメーターの 仕様の検討状況について」7頁のデータからグラフを作成
当社グループでは、次世代(第2世代)スマートメーターの高精細電力データから安全性の異常可能性を検知した際に、それを電力会社に通知するサービスの技術開発を終えており、この技術に基づく商用サービスを次世代(第2世代)スマートメーターが導入される2026年以降にリリースした後、小売電気事業者向けにデマンドレスポンス(DR)支援サービス(平均10百万円程度/社/年の実績)や、次世代(第2世代)スマートメーターの活用により、導入しやすい価格設定による電力の見える化サービスや見守りサービス(大手企業が提供するサービスの10分の1程度の月額料金を想定)、ミドルデータ(家電別稼働データ、生活パターン/生活スタイルライフ分析、在宅推定/活動レベル)などのミドルデータ提供サービス(~100円程度/世帯/月を想定)への応用展開を考えております。
次世代(第2世代)スマートメーターの導入は、東京電力グループのみならず他エリアでも着実に前進しており、全国レベルでの本格展開に向けた環境が整いつつあります。実際に、関西電力送配電株式会社は2026年1月5日から次世代(第2世代)スマートメーターの設置開始を公表しており(出典:関西電力送配電株式会社「第2世代スマートメーターの設置開始について」2026年1月5日)、中部電力パワーグリッド株式会社も2026年1月から次世代(第2世代)スマートメーターの設置開始を公表しております(出典:中部電力パワーグリッド株式会社「第2世代スマートメーターの設置開始について」2025年12月8日)。こうした動きは、次世代(第2世代)スマートメーターを基盤とするデータ利活用・周辺サービスの需要拡大に向けた追い風となるものであり、当社グループは、この潮流を確実に捉え、事業機会の具体化及び収益化に向けて取り組んでまいります。
② SaaSモデル/リカーリング収入に支えられ逓増していく収益基盤
当社グループの収益構造は、フロー売上・収益(一回売り切りタイプの売上・収益)である電力センサーの販売が、将来のストック売上・収益(継続的に積み上がっていくタイプのリカーリング売上・収益)につながるリカーリングビジネスと呼ばれる収益構造であり、一度の販売で終わるのではなく、顧客企業が定期・継続的に利用料金を支払うことで、当社グループは安定した売上・収益が得られます。また、顧客企業の収益基盤が拡大することで当社グループの売上・収益も逓増していくため、長期的に安定した収益基盤になっていると当社グループでは考えております。
当社グループのようなリカーリングビジネスにおいて、解約率(チャーンレート)は非常に重要な指標となりますが、当社のサービスは顧客企業にとって重要なインフラとして機能しているため、解約率(チャーンレート)はこれまでほぼゼロを維持してまいりました。
しかしながら、2025年12月期においては、創業以来初の大口顧客との契約終了が発生し、売上規模が大幅に縮小、業績は大幅赤字となりました。
それでも、他顧客においては、当社のサービスは特に小売電気事業者にとって重要なインフラとして機能しているため、解約率(チャーンレート)がほぼゼロを維持しており、収益モデルの本質的な競争力は健在です。
今後は、顧客基盤の多様化と解約リスク管理体制の強化を最優先に、持続的成長基盤の再構築に取り組んでまいります。
③ 世界トップクラスの電力AI技術(ソニー発)
当社グループの電力AI技術は、ソニー株式会社(現・ソニーグループ株式会社)が時間と資金を投じて開発したもので、創業者である只野太郎が同社からカーブアウトして、当社を設立した際に有償にて譲渡されたものであります。
一般的に電力データの取得は、現行スマートメーターや事業者独自開発のエネルギーマネジメントシステム(EMS)用電力センサーなどにより行われております。
現行スマートメーターは、電力料金徴収を目的として、既に多くの家庭や施設に設置済みであることから、追加のコストが生じない(低コスト)というメリットを有している一方で、30分ごとの電力使用量を計測するものであることから、電力データの計測精細度(粒度)は、粗いものになるというデメリットを有しております。
一方、事業者独自開発の電力センサーは、当社グループと同様の方向性を持つ競合企業(主に海外)があり、その中には、例えば1秒間に100万回の頻度(サンプリング周波数=メガヘルツ(MHz))といった高い精細度、高サンプリング周波数で計測し、電力データの計測粒度や特徴量抽出が、非常に高精細なものになるというメリットを有するものもありますが、高い精細度、高いサンプリング周波数で計測するためには、これを計測するための電力センサーで使用する部品が高性能、高価になるため、電力センサーの製造コストが高くなるというデメリットも有しております。
そこで、当社グループでは、高精細なNILM(Non-Intrusive Load Monitoring)技術に必要な、十分に高い粒度の電力データの計測と、低コストを両立した独自の電力波形センサリング技術を開発し、これを搭載した電力センサー(以下の画像参照)を開発いたしました。
この電力センサーは、現行スマートメーターのハードウェアに使用されている部品の性能で実現可能な最大サンプリング周波数である約8kHz(1秒間に8,000回の頻度)での計測を設計仕様とすることで、現行スマートメーターと比べると1,000万倍以上粒度の高い計測を行いながらも、スマートメーターはじめ汎用製品等で大量に流通している部品を流用できるため、電力センサーの製造コストを低く抑えることが可能であります。
当社の技術は、すべてのクラスにおいて、現行スマートメーターで対応可能な(=コストアップにならない)範囲で、一番高い粒度の電力の測定データが測定可能であるクラスに位置づけられており、上記の費用対効果の優位性の客観性が担保されております。
上記ポジションをまとめると、以下のとおりであります。
(公開情報の分析をもとにした当社グループ調べ)
(注) 電力会社から一般家庭に供給されている電気は、交流といわれ、電気の流れる方向が1秒間に何十回も変化しております。この流れの変わる回数を周波数(Hz:ヘルツ)といいます。
メガヘルツ(MHz)は、「1秒間に100万回振動する」ような周波数を表し、メガヘルツ(MHz)波形を計測するということは、1秒間に100万回の電力データを取得するような細かさで計測していることになります。
キロヘルツ(kHz)は、「1秒間に1,000回振動する」ような周波数を表し、キロヘルツ(kHz)波形を計測するということは、1秒間に1,000回の電力データを取得するような細かさで計測していることになります。
そして、独自の電力波形センサリング技術で収集される、家庭や施設の総電力データから家電ごとの詳細な状態をリアルタイムで推定するのがNILM技術であります。
NILMは、各家庭や各施設の総電力の入口である主幹部分に設置した1つの電力センサーにより総電力データを取得し、主幹電力波形をAI(機械学習)等により分析することで、各家電には直接触れずに(個別計測や個別の仕組みは不要)、間接的にどの家電が、いつ、どれくらい使われていたかをリアルタイムで見える化することを可能にいたします。
当社グループでは、NILMを中核としたAI関連技術を活用して、エネルギーデータを価値のあるデータに加工しております。
このようなNILMは世界的にも最先端技術であるため、応用可能性に関する議論が不足し、また、技術検討及び比較が容易でなく、グローバルスタンダードが一切存在しませんでした。しかし、当社グループは、経済産業省からの6年にわたる受託事業を通じて、NILMの国際規格案の国際標準規格化を国際的に推進することに貢献し、2025年6月25日に国際電気標準会議(IEC)(注11)にて、正式に国際標準規格として発行されました。この規格では、高精細なNILMに必要な、十分に高い粒度の電力の測定データについて、電力データを測定する期間(データサンプリング周波数)、電力データを出力する周期(出力周期)及び分析データの大きさ(データビットレート)のテーブルごとにクラス分けを定義し、それに応じた用途、スマートメーターへの搭載実現性などに合理的な方式選定が行えるよう、NILM向けの計測データを出力する測定機器には出力可能なクラスを明示することを義務付けております。
特筆すべきは、当社グループが採用する計測方式が、このクラス分けにおいて、世界中のスマートメーターへの搭載実現性が高い方式として、国際規格上に明確に位置づけられている点であります。
当社グループによる電力データの価値あるデータへの加工例は、以下のとおりであります。
④ アライアンス戦略
当社は、電力等のデータを収集・分析・加工するIoTプラットフォームサービスの提供を事業目的として、2018年3月に東京電力パワーグリッド株式会社と株式会社エナジーゲートウェイを共同設立(当社出資比率40.0%)しております。
当社は、代理店契約に基づき、株式会社エナジーゲートウェイを日本国内における当社の電力消費者向けサービスの独占販売代理店としております。同社との間では、電力センサーの年間最低購入数量を定めるとともに、東京電力グループの知識・経験に基づく事業・業務ノウハウを背景として、複数年契約を前提に営業活動を推進しております。特に、1顧客当たりの電力センサー総購入台数が数万台から数十万台規模に及ぶ大型顧客を中心に、国内展開を進めております。
さらに、当社は東京電力パワーグリッド株式会社との協業を推進し、東京電力グループの知見及び蓄積されたデータを活用することで、技術・サービス開発のスピードを一層向上させております。加えて、事業戦略、アライアンス、開発面においても、株式会社エナジーゲートウェイを支援しております。
また、東京電力グループを含む旧一般電気事業者(以下、「旧一電」という。)との協業は、東京電力、関西電力、中部電力、中国電力及び四国電力の計5社に上ります。加えて、他の電力会社とも新たな協業に向けた協議を進めており、旧一電とのパートナーシップは着実に拡大しております。こうした旧一電との豊富な協業実績は、当社グループの信頼性向上につながるとともに、さらなるビジネス機会の創出にも寄与しております。
加えて、当社は設立以来、東京電力パワーグリッド株式会社、関西電力株式会社、株式会社日立製作所、ダイキン工業株式会社、株式会社博報堂DYホールディングス、日本郵政キャピタル株式会社、伊藤忠エネクス株式会社、ヒューリック株式会社および株式会社フォーバルなど、国内外のエネルギー関連企業や各業界を代表する企業と事業・資本提携を推進してまいりました。これにより、秘匿性の高いデータを活用しつつ、業務提携から生まれる新たなサービスの創出を進めております。
その一環として、2024年5月には、伊藤忠エネクス株式会社のグループ会社である株式会社エネクスライフサービスとともに、簡易電力使用状況見える化サービス「テラりんアイ(AI)」の提供を開始し、サービスの裾野拡大を図っております。
⑤ 欧州でのアライアンスによる事業拡大
前述のように、脱炭素化を背景に英国を筆頭とした欧州圏に広がるガスボイラー(ガス給湯器)からヒートポンプ(電気給湯器)への急速なシフトが進んでおります。
このような状況の中、当社グループは、ダイキン工業株式会社と資本業務提携して、同社の欧州子会社であるDaikin Europe N.V.の英国におけるヒートポンプ(電気給湯器)の付帯設備として、当社の電力センサー及び消費者等の電力コスト負担を自動的に軽減するサービスが導入されております(Daikin Europe N.V.は、2028年には年間約60万台の設置台数が見込まれる欧州ヒートポンプ市場(注1)で20.8%のシェア(注2)を誇っております。)。
こうした状況を踏まえ、当社グループは英国において、電力消費の側面から電力利用効率の最適化を図るサービスを展開しております。2021年10月より、当社グループの電力センサーは、Daikin Europe N.V.の英国におけるヒートポンプ(電気給湯器)の付帯設備として導入され、実証的な取り組みを進めてまいりました。そして、2025年11月からは、これまでの実証的な取り組みを経て、当社グループの技術・サービスを活用した「Budget Control(バジェットコントロール)」サービスを搭載するヒートポンプ(電気給湯器)製品ラインナップ「UP Series(アップシリーズ)」の販売がDaikin Airconditioning UK Ltd.により開始され、欧州における商業展開が本格的に始動いたしました。
また、英通信最大手のBritish Telecom(現BT Group)と協業し、見守りサービスの実証実験を開始し、高齢者の住居の電力データを利用して、活動状況を分析し、異常があれば家族や関係者に通知する仕組みを構築しております。
(注1) National Audit Office(英国会計検査院)プレスリリース「Low heat pump uptake slowing progress on decarbonising home heating」(Date: 18 Mar 2024)
(注2) EUROPE HEAT PUMP MARKET(2024), Mordor Intelligence,2024
(4) 当社グループが解決を目指す課題
① GX(グリーントランスフォーメーション)
日本政府は、2020年10月26日に、2050年カーボンニュートラルの実現という国際公約を掲げ、気候変動問題に対して国家を挙げて対応する強い決意を表明いたしました。さらに、2021年4月には、当時の菅内閣総理大臣は、地球温暖化対策推進本部及び米国主催の気候サミットにおいて、「2050年目標と整合的で、野心的な目標として、2030年度に、温室効果ガスを2013年度から46%削減することを目指す。さらに、50%の高みに向けて、挑戦を続けていく」ことを表明いたしました。
それ以降、我が国では、その実現に向けて、グリーン成長戦略、第6次エネルギー基本計画等の各種戦略を策定、また、それらの実行に向けた施策を検討するため、GX実行会議等が開催されてまいりましたが、2022年12月22日の第5回GX実行会議において「GX実現に向けた基本方針 ~今後10年を見据えたロードマップ~」が公表され、今後10年を見据えた取組の方針をまとめられた後に、2023年2月10日に閣議決定がなされ、GX基本方針として発表がなされました。
このGX基本方針は、2050年カーボンニュートラルや、2030年度の温室効果ガス排出削減目標の達成に向けた取組を、経済成長の機会として捉え、温室効果ガス排出削減と経済成長・産業競争力向上の同時実現に向けて、経済社会システム全体を変革させるグリーントランスフォーメーションの実現に向けた基本方針となっており、そこでは、徹底した省エネの推進、再生可能エネルギーの主力電源化などが盛り込まれております。
また、第7次エネルギー基本計画のもとで、再生可能エネルギーの導入拡大や電力系統の整備、蓄電システム・分散電源の整備といったGXに資する基盤整備が進められているほか、電力需給の柔軟性確保としてデマンドレスポンス(DR)支援サービスの活用など、需給調整力強化の取り組みが拡大しております。
② エネルギーの4D
地球環境変化に向けた世界的な危機意識や技術の進化、経済合理化を背景として、エネルギー業界では以下の大きなイノベーションが進んでおり、これを国内では「エネルギーの4D」と呼んでおります。
1つめは、脱炭素化(Decarbonization)であり、地球温暖化への対策として、再エネの導入が進み、それに伴う予測困難な出力変動への対応が求められております。
2つめは、分散化(Decentralization)であり、先述した再エネ導入も含め様々な規模の分散型発電や蓄電、さらには電気自動車との連携も加わり、系統運用の複雑化が急速に進んでおります。
3つめは、自由化(Deregulation)であり、電力小売自由化による市場経済化など様々な規制緩和が進められ、競争が活性化しております。
4つめは、デジタル化(Digitalization)であり、スマートメーターの導入とIT技術の進化に伴い、電力系統運用でもDXが進んでおります。
③ GXとDX(注12)の関係
GX基本方針において、GXに向けた脱炭素の取り組みの1つとして、再生可能エネルギーの主力電源化が掲げられております。
再生可能エネルギーの導入拡大には、電力の需要と供給のバランスを取る「需給バランス調整」が、非常に重要となります。
電力系統は、需要と供給のバランスが崩れることにより周波数や電圧の変動が起こり、場合によっては停電につながりかねないため、常に時間ごとの電力の需要と供給を一致させる必要があります。特に、天候によって発電量が左右されがちな太陽光や風力などの自然由来の再エネの増加によって、電力の需要と供給のバランスを取る「需給バランス調整」は、より難易度が上がります。
「需給バランス調整」は、従来、供給側(発電側)においては火力発電がその役割を担っておりましたが、4Dの1つめの「脱炭素化」に向けて、予測が困難かつ不安定である自然由来の再エネによる供給の増加が見込まれると同時に、火力発電による供給の割合が低下し、火力発電のみによって需給バランスの調整を行うことが難しくなることが見込まれております。
また、4Dの2つめの「分散化」に関連して、電力業界では、発電、送配電及び小売の分離並びに自由化という電力システム改革によって、大手電力会社がこの3部門のサービスを一括して提供する1地域・1電力会社制による集中管理体制から「発電」、「送配電」及び「小売」という各部門へ多数事業者が参加したことによる複数社による分散管理体制に移行している現在においては、電力のやりとりは複雑化し、需給バランスの調整を行うことがさらに難しくなることが見込まれております。
加えて、電力消費者側は、従来は、電気を消費するだけでありましたが、現在は、4Dの3つめの「自由化」に関連して、太陽光発電等により発電することも増えており、余剰電力を売電することによる電力消費者側からの「逆潮流」も発生しております。
そこで、リアルタイムでの「需給バランス調整」が不可欠である電力の世界においては、従来の「供給側調整」に加えて「需要側調整」を目途として、当社の電力センサーで電力消費者の詳細な電力データを取得し、NILMを活用して、どの家電が、いつ、どれくらい使われていたかをリアルタイムで解析・分析を行い、DX(4Dの4つめである「デジタル化」)、この結果から発電・需要予測などの有益情報や価値ある知見を抽出(エネルギーデータの価値創造)し、制御するための情報技術革新が必要になります。
④ 当社グループがターゲットとする市場
当社グループの事業ドメインとして、当社グループが一次ターゲットとしているエネルギーデジタルビジネス/DX関連市場は、2025年度には5,003億円に、2035年度には9,092億円に及ぶと見込まれております(出所:株式会社富士経済、エネルギーデジタルビジネス/DX市場の現状と将来展望 2022)。
中でも、太陽光発電設備は、2021年度には277億円の見込みであったものが、2035年度には2,553億円に及ぶと見込まれております(出所:株式会社富士経済、エネルギーデジタルビジネス/DX市場の現状と将来展望 2022)。また、送配電・需給調整領域は、2021年度には125億円の見込みであったものが、2035年度には713億円に及ぶと見込まれております(出所:株式会社富士経済、エネルギーデジタルビジネス/DX市場の現状と将来展望 2022)。さらに、エネルギー利用領域(蓄電池サービスも含む)は、2021年度には135億円の見込みであったものが、2035年度には615億円に及ぶと見込まれております(出所:株式会社富士経済、エネルギーデジタルビジネス/DX市場の現状と将来展望 2022)。
また、電力利用効率の最適化には、「需給バランス調整」のような発電・送配電・電力消費者設備という電力システム全体で最適化するサービスを当社グループが一次ターゲットとしているエネルギーマネジメントシステム関連市場において提供することが必要になりますが、電力+αの付加価値も同時に実現することで、当社のサービスの普及を促し、当社のサービスを社会基盤(インフラ)化することも必要になります。
この観点から、当社グループが二次ターゲット市場としている市場は、パートナーとのアライアンスによって、電力データに新たな価値を創り出すことによってアクセス可能になるものでありますが、現在は、ヘルスケア業領域、社会インフラ業領域、公共/教育業領域、インターネット広告市場など、様々な分野・新市場へ進出を予定しております。
進出を予定している市場の規模は、以下のとおりであります。
ヘルスケア業領域 953億8千万円
(出所:株式会社富士キメラ総研、2022 人工知能ビジネス総調査より2027年の業種別市場動向予測)
社会インフラ業領域 1,802億6千万円
(出所:株式会社富士キメラ総研、2022 人工知能ビジネス総調査より2027年の業種別市場動向予測)
公共/教育業領域 1,506億2千万円
(出所:株式会社富士キメラ総研、2022 人工知能ビジネス総調査より2027年の業種別市場動向予測)
インターネット広告市場 3兆6,517億円
(出所:株式会社電通、2024年 日本の広告費より2024年(1~12月)の実績)
[用語解説]
(注) 1.機械学習:人間が有する学習能力に類似した機能をアルゴリズムに持たせることにより、学習し進化する技術手法、技術名のこと。具体的には、教師データ(学習の元になるデータ)に基づいてアルゴリズムが学習することで、類似の状況において、学習により構築したパターンに基づいて、アルゴリズムが精度の高い推定や判断を行うことが可能になる。
2.SaaS:「Software as a Service」の略語で、ソフトウエアやアプリケーションの機能をサービスとして、クラウド上で提供し、利用者がネットワーク経由で利用するモデルのこと。
3.IoTデータプラットフォーム:「Internet of Things」(モノのインターネット)を活用するために必要な様々な機能をひとつのシステムとして提供するサービス基盤のこと。
4.IoT機器:「Internet of Things」(モノのインターネット)における「モノ」のことで、インターネットに接続されたテレビ・センサー類・照明などのこと。
5.スマート家電コントローラ:例えば、家庭内のエアコンなどの電化製品をアプリや声で操作したり、時間やセンサー、インターネットの情報をもとに自動制御するコントローラのこと。代表的なスマート家電コントローラとして、米国GoogleのGoogle Nestデバイスと Google Homeデバイスが挙げられる。
6.V2H:「Vehicle to Home」の略語で、EVなどの大容量バッテリーに蓄えられた電気を車(Vehicle)から家(Home)に戻して活用するシステムのこと。
7.エナジー・リソース・アグリゲーション・ビジネス:バーチャルパワープラント(VPP)(電力消費者側エネルギーリソース、電力系統に直接接続されている発電設備、蓄電設備の保有者もしくは第三者が、そのエネルギーリソースを制御することで、発電所と同等の機能を提供すること)やデマンドレスポンスを活用して、一般送配電事業者、電力消費者、再生可能エネルギー発電事業者といった取引先に対し、調整力、インバランス回避、電力料金削減、出力抑制回避等の各種サービスを提供する事業のこと。
8.レジリエンス:元に復元する能力(回復力)のこと。
9.データマイニング:大量のデータから有用な情報や知識を見つけ出す技術のこと。
10.次世代(第2世代)スマートメーター:2014年から本格導入が開始された毎月の検針業務の自動化や電力使用状況の見える化を可能にする電力量メーター(=現行スマートメーター)に代わり、2026年から順次交換が始まる予定である電力メーターのことで、『「次世代(第2世代)スマートメーター」=「電力DX推進に向けたツール」』として位置づけられている(出所:経済産業省・資源エネルギー スマートメーター制度検討会 次世代スマートメーターの標準機能について(中間取りまとめ))。
11.国際電気標準会議(IEC):国際電気標準会議(International Electrotechnical Commission)のこと。電気及び電子技術分野の国際規格の作成を行う国際標準化機関で、各国の代表的標準化機関から構成される。
12.DX:「Digital Transformation」の略語で、企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。
業績状況
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要
当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は1,648,439千円となり、前連結会計年度に比べ345,915千円の減少となりました。これは主に、現金及び預金の減少379,466千円、売掛金の減少156,633千円、ソフトウエアの増加213,024千円によるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は1,062,657千円となり、前連結会計年度に比べ342,063千円の増加となりました。これは主に、短期借入金の増加300,000千円、長期借入金(1年以内返済予定含む)の増加37,064千円によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は585,781千円となり、前連結会計年度に比べ687,979千円の減少となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純損失721,633千円を計上したことによる利益剰余金の減少、新株予約権行使に伴う新株発行により資本金が10,840千円、資本剰余金が10,840千円増加したことによるものであります。
② 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国の経済は、賃上げの継続や雇用環境の改善を背景に、個人消費が底堅く推移するなど、緩やかな回復基調で推移いたしました。一方で、海外経済の減速、米国の通商政策動向の不透明感、為替変動などの影響により、依然として先行き不透明な状況が続いております。
当社グループが関連するエネルギー業界においては、再生可能エネルギーの導入拡大が第7次エネルギー基本計画のもとで引き続き加速し、系統安定化に向けた蓄電システム及び分散型電源の整備が第4四半期以降一段と進展しております。また、電力需給逼迫リスクへの対応として、デマンドレスポンス(DR)支援サービスの活用が第3四半期以降さらに拡大し、需給調整力確保に向けた取り組みが一層強化されました。
こうした事業環境のもと、当社グループは、脱炭素社会の実現及びグリーントランスフォーメーション(GX)の推進を図るとともに、電力利用効率の向上に資する各種サービスの提供に注力してまいりました。具体的には、(ⅰ)消費者向け電力見える化サービスとして「ienowa(イエノワ)」、「enenowa(エネノワ)」及び「hitonowa(ヒトノワ)」、(ⅱ)電力事業者向けエネルギーマネジメントサービスとして、デマンドレスポンス(DR)支援サービス「BridgeLAB DR(ブリッジラボ ディーアール)」、簡易電力見える化サービス「NILM Lite(ニルム ライト)」及び次世代(第2世代)スマートメーターに関連する受託開発等の取引拡大に努めました。
一方で、第4四半期に当社グループにおいて、主要取引先(大口顧客)である大手賃貸事業者との取引が当社グループの想定に反して急遽終了することとなり、これにより当該大口顧客向けの2025年12月期以降の「アップフロント」領域の売上及び2026年4月以降の「プラットフォーム・アプリ提供」領域の売上について、継続的な計上を見込めなくなりました。また、「プラットフォーム・アプリ提供」領域では、「NILM Lite」の引き合いは堅調であったものの、新規顧客の獲得及び導入スケジュールが後ろ倒しとなりました。さらに、「その他」領域では、各電力会社における次世代(第2世代)スマートメーターの導入計画自体は予定どおりであるものの、次世代(第2世代)スマートメーターのデータを活用する付随的な応用サービスの開発・導入スケジュールが後ろ倒しとなりました。
これらの状況を踏まえ、当社グループでは、収益基盤の安定化及び新たな収益創出力の向上を重要な経営課題として位置づけ、各種施策に取り組んでまいりました。
特に、電力需給逼迫リスクへの対応としてデマンドレスポンス(DR)支援サービスへの追い風が吹く中、「BridgeLAB DR」において、法人顧客が導入しやすい成果報酬型メニューを設定し、導入拡大を図りました。これにより、第4四半期の大幅伸長で、「BridgeLAB DR」の受注済契約数が前年の第4四半期比約2倍に増加いたしました。
加えて、「BridgeLAB DR」導入済法人顧客を起点に、DR運用で取得・蓄積されるデータをそのまま活用できることから、追加のデータ取得等を要さず導入できるアップセルとして、法人向けエネルギーマネジメント診断サービス及び「NILM Lite」による電力利用の簡易可視化・分析機能の開発・提供を進めました。
さらに、2024年12月に締結した株式会社フォーバルとの業務提携に関する契約に基づき、小規模法人向け脱炭素化支援サービスの商業展開を2025年12月に開始し、2026年12月期以降には全国展開を計画しております。
また、英国においては、2025年11月から、当社グループの技術・サービスを活用した「Budget Control(バジェット コントロール)」サービスを搭載するヒートポンプ(電気給湯器)製品ラインナップ「UP Series(アップ シリーズ)」の販売が、Daikin Airconditioning UK Ltd.により開始され、欧州における本格的な商業展開の第一歩となりました。
最後に、当社グループの中長期の成長戦略の中核をなす次世代(第2世代)スマートメーターに関しては、東京電力グループが次世代(第2世代)スマートメーターに関連する取り組みやカーボンニュートラルの実現に向けた各種施策を引き続き推進する中、当社グループは、東京電力グループとの合弁会社である株式会社エナジーゲートウェイを通じ、緊密な協力関係のもと、これらに関連するエネルギーインフラの開発を推進してまいりました。次世代(第2世代)スマートメーターのデータを活用した応用サービスの開発及び新規受託案件は一部で当初計画を下回ったものの、これまでの協働を礎に、東京電力グループとともに次世代(第2世代)スマートメーター時代に向けた取り組みを着実に進展させた意義ある一年となりました。
次世代(第2世代)スマートメーターの導入は、東京電力グループのみならず他エリアでも着実に前進しており、全国レベルでの本格展開に向けた環境が整いつつあります。実際に、関西電力送配電株式会社は2026年1月5日から次世代(第2世代)スマートメーターの設置開始を公表しており(出典:関西電力送配電株式会社「第2世代スマートメーターの設置開始について」2026年1月5日)、中部電力パワーグリッド株式会社も2026年1月から次世代(第2世代)スマートメーターの設置開始を公表しております(出典:中部電力パワーグリッド株式会社「第2世代スマートメーターの設置開始について」2025年12月8日)。こうした動きは、次世代(第2世代)スマートメーターを基盤とするデータ利活用・周辺サービスの需要拡大に向けた追い風となるものであり、当社グループは、この潮流を確実に捉え、事業機会の具体化及び収益化に向けて取り組んでまいります。
以上の結果、売上高は530,019千円(前年同期比46.0%減)、営業損失は628,704千円(前年同期は49,517千円の営業利益)、前述の大口顧客との取引終了を見据え、関連会社が保有するセンサー在庫について、その回収可能性を慎重に検討し、評価損を認識した結果、持分法による投資損失が61,133千円となったことを主因の一つとして、経常損失は717,785千円(前年同期は55,133千円の経常利益)、親会社株主に帰属する当期純損失は721,633千円(前年同期は56,471千円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。
なお、当社は、エナジー・インフォマティクス事業を単一セグメントで展開しているため、セグメント別の記載は省略しておりますが、事業領域は、事業を展開する地域により、①国内領域及び②海外領域に分かれております。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の残高は417,679千円となり、前連結会計年度末に比べ379,466千円減少しました。各キャッシュ・フローの状況とその要因は、以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動により使用した資金は、440,022千円(前年同期は12,509千円の獲得)となりました。これは主に、減価償却費132,932千円、売上債権の減少158,985千円があった一方で、税金等調整前当期純損失720,683千円があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動により使用した資金は、284,922千円(前年同期は318,774千円の支出)となりました。
これは主に、無形固定資産の取得による支出264,751千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動により得られた資金は344,277千円(前年同期は638,071千円の獲得)となりました。
これは主に、短期借入金の純増減額300,000千円、長期借入れによる収入400,000千円、長期借入金の返済による支出362,936千円によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の状況
当社グループの事業は単一セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた記載はしておりません。
a.生産実績
当社グループは、生産活動を行っていないため、該当事項はありません。
b.仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.金額は、仕入価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c.受注実績
当社グループは、需要予測に基づく見込生産を行っているため、該当事項はありません。
d.販売実績
当連結会計年度の国内領域及び海外領域をあわせた販売実績は、次のとおりであります。なお、当社グループの事業は単一セグメントであるため、収益区分ごとに売上高を記載しております。
(注) 1.金額は、売上高によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.「アップフロント」は、未実現利益調整後の金額となっております。未実現利益の調整額は、株式会社エナジーゲートウェイの販売状況に影響を受けます。
4.その他の主なものは、次世代(第2世代)スマートメーターを中心とする受託開発です。
5.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、以下のとおりであります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態
財政状態の分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態の状況」に記載のとおりであります。
b.経営成績
各項目の経営成績の状況は、以下のとおりであります。
なお、当社グループは、エナジー・インフォマティクス事業を単一セグメントで展開しているため、セグメント別の記載は省略しておりますが、事業領域は、事業を展開する地域により、イ.国内領域及びロ.海外領域に分かれております。
(売上高)
イ.国内領域
「アップフロント」による売上高は、主要取引先(大口顧客)である大手賃貸事業者との取引が当社グループの想定に反して急遽終了することとなったものの、ハウスメーカーや住宅設備商社などへの電力センサーの販売が安定して継続し、需要の広がりを着実に捉えたことにより、15,091千円となりました。
また、「プラットフォーム・アプリ提供」による売上高は、「ienowa」、「enenowa」及び「hitonowa」が利用者数の増加を背景に順調に推移したことにより、299,950千円となりました。なお、「BridgeLAB DR」につきましては、成果報酬型メニューの導入により、受注済契約数が前年の第4四半期比で約2倍に増加するなど、取り組みの成果は既に出ておりますが、報酬金額の確定が2026年12月期後半に確定するため、売上・利益への本格的な貢献は2026年12月期後半を見込んでおります。
さらに、「その他」による売上高は、次世代(第2世代)スマートメーターに関連する受託開発を中心に201,791千円となりました。
この結果、当連結会計年度の国内領域の売上高は516,832千円となりました。
ロ.海外領域
2025年11月から、当社グループの技術・サービスを活用したDaikin Airconditioning UK Ltd.のヒートポンプ(電気給湯器)製品「UP Series」の英国販売が開始され、海外市場開拓が具体化いたしました。
この結果、当連結会計年度の海外領域の売上高は13,186千円となりました。
(売上原価、売上総利益)
当連結会計年度の売上原価は255,661千円となりました。これは、「アップフロント」の売上高において、センサー販売が発生しなかったことによる減少によるものであります。
この結果、売上総利益は274,358千円となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は903,062千円となりました。これは、管理費用の増加に加え、上場維持に係る費用の発生、上場準備期間中に抑制していた人件費の見直し(給与水準の適正化)に伴う人件費の増加及び外注費用の増加等によるものであります。
この結果、営業損失は628,704千円となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)
当連結会計年度の営業外収益は587千円、営業外費用は89,669千円となりました。営業外費用の主なものとしては、前述の大口顧客との取引終了を見据え、関連会社が保有する電力センサー在庫について、当連結会計年度において回収可能性を慎重に検討し、評価損を認識した結果、当連結会計年度における持分法による投資損失として61,133千円を計上したことによるものであります。
この結果、経常損失は717,785千円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純損失は721,633千円となりました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの資金の状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループは、事業上必要な資金を手許資金で賄う方針でありますが、事業収益から得られる資金だけでなく、株式市場からの必要な資金の獲得や銀行からの融資等を通して、安定的に開発に必要な資金調達の多様化を図ってまいります。資金の流動性については、資産効率を考慮しながら、現金及び現金同等物において確保を図っております。資金需要としては、継続して企業価値を増加させるために、主に継続した技術開発や必要な運転資金となります。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
④ 継続企業の前提に関する重要事象等を改善するための対応策等
当社グループは、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク (28)継続企業の前提に関する重要事象等」に記載のとおり、当該事象を解決するための対応策を実施しているため、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと認識しております。
⑤ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業 の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)目標とする経営指標」に記載の通り、当社は、当社グループのSaaS型事業の成長率を正しく評価するための基準として、ARR(注1)を経営指標として位置付けております。
前連結会計年度末(2024年12月末)の数値は487百万円、当連結会計年度末(2025年12月末)の数値は、345百万円となっており、前年比で29.1%減となりました。この減少は、前述のとおり、当社グループの主要取引先(大口顧客)である大手賃貸事業者との取引が2026年3月末をもって終了することとなっていることに伴い、新規のユーザーの加入が停止した結果、退去等に伴うサービス加入者の自然減が発生していることにより、当該期間中に継続的な収益として計上される金額が抑えられたことによるものです。この取引の終了により2026年4月以降、ARRは一時的に大きく減少する見込みですが、「ienowa」による収入増及び成果報酬型メニューで受注した「BridgeLAB DR」による収入が2026年12月期後半から売上及び利益に本格的に寄与することにより、2026年12月期後半に向け回復していく見込みです。
注1 ARR(Annual Recurring Revenue):日本語で「年次経常収益」と呼ばれ、毎年繰り返し得られる収益・売上のことをいい、各期末の直前の6か月間のMRR(注2)の平均値を12倍して算出しております。
注2 MRR(Monthly Recurring Revenue):日本語で「月次経常収益」と呼ばれ、毎月繰り返し得られる収益・売上のことをいい、当社グループでは、「プラットフォーム・アプリ提供」に区分される収益・売上に加え、「その他」に区分される収益・売上のうち、繰り返し得られる収益・売上も含んでおります。
セグメント情報
(セグメント情報等)
【セグメント情報】
前連結会計年度(自 2024年1月1日 至 2024年12月31日)
当社グループの事業セグメントは、エナジー・インフォマティクス事業のみの単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しております。
当連結会計年度(自 2025年1月1日 至 2025年12月31日)
当社グループの事業セグメントは、エナジー・インフォマティクス事業のみの単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しております。
【関連情報】
前連結会計年度(自 2024年1月1日 至 2024年12月31日)
1 製品及びサービスごとの情報
単一の製品・サービスの区分の外部顧客への売上高が、連結損益計算書の売上高の90%を超えるため、記載を省略しております。
2 地域ごとの情報
(1) 売上高
本邦の外部顧客への売上高に区分した金額が連結損益計算書の売上高の90%を超えるため、地域ごとの金額の記載を省略しております。
(2) 有形固定資産
本邦に所在している有形固定資産の金額が連結貸借対照表の有形固定資産の金額の90%を超えるため、地域ごとの金額の記載を省略しております。
3 主要な顧客ごとの情報
当連結会計年度(自 2025年1月1日 至 2025年12月31日)
1 製品及びサービスごとの情報
単一の製品・サービスの区分の外部顧客への売上高が、連結損益計算書の売上高の90%を超えるため、記載を省略しております。
2 地域ごとの情報
(1) 売上高
本邦の外部顧客への売上高に区分した金額が連結損益計算書の売上高の90%を超えるため、地域ごとの金額の記載を省略しております。
(2) 有形固定資産
本邦に所在している有形固定資産の金額が連結貸借対照表の有形固定資産の金額の90%を超えるため、地域ごとの金額の記載を省略しております。
3 主要な顧客ごとの情報
【報告セグメントごとの固定資産の減損損失に関する情報】
該当事項はありません。
【報告セグメントごとののれんの償却額及び未償却残高に関する情報】
該当事項はありません。
【報告セグメントごとの負ののれん発生益に関する情報】
該当事項はありません。