2024年3月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります

(単一セグメント)
  • セグメント別売上構成
  • セグメント別利益構成 セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
  • セグメント別利益率

最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています

セグメント名 セグメント別
売上高
(百万円)
売上構成比率
(%)
セグメント別
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
(単一セグメント) 27,417 100.0 1,066 100.0 3.9

事業内容

 

3 【事業の内容】

当社は、「安全と安心を優先に顧客に満足と感動を提供する。」という経営理念に基づき、国内の医療食、弁当仕出し、外食等のエンドユーザー向けに業務用冷凍食品の企画及び販売を主な事業として取り組んでおります。

当社は、食品業界の景気の変動による当社業績への影響を最小限にするため、商品については当社の検査基準を満たした製造先に委託するというビジネスモデル(いわゆるファブレス形態)をとっており、国内外(日本、中国、ベトナム、タイ)の協力工場において製造した自社ブランド商品を広く全国のユーザー及び問屋向けに販売しております。加えて特定のユーザー仕様に対応したPB商品も取扱っております。当社は外部業者に保管・物流の委託を行っており、1ケースからの翌日配送が可能なデリバリーシステムを構築し顧客の利便性向上を図っております。

当社の商品開発の特徴としては新商品の企画立案及び商品化の決定に特化していることが挙げられます。当社では新商品の導入、改良・新規開発に際して、社長、営業統括本部長、商品統括本部長、開発統括本部及び商品統括本部の各部門の開発担当者及び営業担当者から構成される特命商品開発プロジェクトにおいて、主に市場調査や商品開発に当たっております。営業担当者はエンドユーザーからの要望を社内で共有化し、開発担当者はそれらの要望を充足すべく商品の改良・新規開発を行い、毎月1回の会議において、委託製造先が作成した試作品をもとに新商品候補の選定・絞込みを行います。一方、PB商品においては、営業担当者と開発担当者を専任として任命し、特定ユーザーとの密接なコミュニケーションにより培われた特定ユーザーに特化した商品開発と、社外の検査機関や製造委託先工場と連携を図ることにより、特定ユーザーの要望に沿った商品のスピーディーな開発・商品化を行います。自社ブランド商品・PB商品を問わず、選定された新商品候補については、原則として年に2回開催される新商品選定最終会議に諮り、商品性、採算性等を踏まえ最終決定されます。 

また、新商品製造におきましては、当社はファブレス形態をとっておりますが、当社の商品開発部にて試作品を作成し、原材料の検討を行った後、委託製造先と協力しながら製造を進めます。当社では委託製造先ごとに専属の開発担当者を任命して、これらを円滑に行っております。

なお、当社は業務用冷凍食品卸売事業の単一セグメントであるためセグメント情報の記載を省略しております。

 

当社の事業内容を事業部門別に記載すると次のとおりであります。

 

(1)骨なし魚事業

当社は、「医療食・介護食用に魚の骨をすべて取り除いた商品を開発してほしい」というエンドユーザーからのご要望に応えるため「骨なし魚」の開発に着手し、エンドユーザーのところに開発担当者が自ら訪問し、真の要望を的確にとらえて試作を繰り返すなど当社の強みである商品開発力を生かして1998年には「骨なし魚」の開発に成功しました。その後、その加工技術について更なる改良開発を重ねた結果、「加熱処理した魚の製造方法」「凍ったまま調理できる冷凍魚の製造方法および冷凍魚」「湯せん・蒸し調理用魚介類包装冷凍食品及びその製造方法」「施設調理用冷凍揚物の製造方法及び施設調理用冷凍揚物」の4つの製造特許を取得しております。

当社の取り扱っている「骨なし魚」は、エックス線の残骨検査によりチェックしております。当社の「骨なし魚情報トレースシステム」は、協力工場の品質管理が向上するだけでなく、重大クレームが発生した場合に迅速な対応が可能となり、お客様に対する安全安心のために採用しております。海外の協力工場においては、日本人の常駐員または循環員の配置を義務付けているという特徴があります。また、取扱い魚種は、日本人になじみの深いサーモントラウトをはじめ、さけ、さば、かれい等、2024年3月時点で33種類を数えております。

当社の「骨なし魚」は、その加工技術力や豊富な魚種の取りそろえにより他社商品との差別化を図り、凍ったまま調理できて冷めても柔らかさが持続し、魚の生臭さが抑えられた「楽らくクックシリーズ」や、厳選した調味料の使用と手作り感のある仕上がりの「楽らく調味シリーズ」、楽らく処理を施していない「骨なし魚シリーズ」、骨を取り除いてエックス線検査と楽らく処理を施していない「骨取り魚シリーズ」などが、当社の主力商品となっております。今後は「調味シリーズ」や「ダイスカットシリーズ」など当社独自商品の販売強化と、工場と一体化した安価な骨なし魚の切身の開発に着手するなど差別化により販売を強化してまいります。

 

当社の骨なし魚の代表的な商品は以下のとおりであります。

 

骨なし魚事業

商品名

楽らくクックシリーズ

楽らく骨なしサーモントラウト

楽らく骨なし皮なしからすがれい

楽らく骨なし切身がれい

楽らく骨なし銀さけ

楽らく骨なしメヌケ

楽らく調味シリーズ

楽らく調味骨なし切身がれい(生)煮付

楽らく調味骨なしUSA赤魚(生)煮付

楽らく調味骨なし赤魚(生)酒粕漬焼

楽らく調味骨なし赤魚(生)西京漬焼

楽らく調味骨なし白糸だら(生)煮付

 

骨なし魚シリーズ

骨なし皮なしからすがれい

骨なし皮なし切身がれい

骨なし切身がれい

骨なしとろさば

骨なしさわら

 

骨取り魚シリーズ

骨取りあんこう

骨取りあんこう打粉付

 

 

(2)ミート事業

当社は、「骨なし魚」の開発で培った加工技術をミート事業分野にも応用し畜肉商品の開発に取り組んだ結果、凍ったまま調理ができて冷めても柔らかい「楽らくクックシリーズ」の特性に加えて、肉の臭みが抑えられるという特徴も兼ね備えた画期的な畜肉商品「楽らく匠味シリーズ」の開発に成功しました。

「楽らく匠味シリーズ」は、当社オリジナルの特殊加工(下処理)を行うことにより肉の臭みを軽減し、肉の食感を残しつつ柔らかく、冷めても柔らかさが持続するというものであります。現在では「楽らく匠味鶏もも皮なし切身」「楽らく匠味牛もも切り落とし」「楽らく匠味豚肩切り落とし」といった商品のほか、「楽らく匠味パック入り豚角煮」「楽らく匠味鶏そぼろ」「楽らく匠味ふわふわ鶏だんご」など調理品も取り揃え、商品群の充実を進めております。

ミート事業では匠味シリーズのほか「弁当ミニドック」や「スチーム皮なし鶏もも角切」「肉詰いなり」などの商品も取り扱っており、今後は主力商品である「楽らく匠味シリーズ」で、大手取引先のPB商品を開発するなど販売強化を図ってまいります。

 

 

(3)その他事業

その他事業では、従来より、製造委託先からの提案を受けて商品開発をして販売してきた惣菜等の調理冷食と冷凍野菜、魚フライ、練り製品、水産品などを主に取り扱っております。惣菜等の調理冷食は、製造委託先とタイアップして取引先・ユーザーのニーズを満たす商品の開発を進めております。大手ユーザーとの直接商談によるPB商品開発販売が順調に推移しており、今後も積極的に取り組んでまいります。また、前期に工場移管トラブルなどで販売が軟調でありました直接貿易によるえび製品の販売につきまして、新たな取引先の獲得など再度拡販を図ってまいります。

当社のその他事業の代表的な商品は以下のとおりであります。

 

その他事業

商品名

味付切身・干物

しらす干し

秋さけ塩焼

魚フライ

ごちそうえびフライ

サーモンフライ

調理冷食

ちくわ磯辺天ぷら

かに玉グラタン

練り製品

スライス蒲鉾

はんぺん

冷凍野菜

グリーンアスパラ

むき栗

水産品

バナメイ尾付のばしえび

むきえび

 

 

 

事業の系統図は、次のとおりであります。

 


 

業績

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 経営成績等の状況の概要及び経営者の視点による分析・検討内容

当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」といいます。)の状況の概要及び経営者の視点による分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社が判断したものであります。

 

(1) 経営成績

   (事業別売上)

    (単位:千円)

 

前事業年度

当事業年度

増 減

増減率(%)

 骨なし魚事業

10,234,634

10,437,145

202,511

2.0

ミート事業

2,414,650

2,421,787

7,137

0.3

その他事業

14,590,377

14,557,913

△32,463

△0.2

 

 

   (経営成績)

    (単位:千円)

 

前事業年度

当事業年度

増 減

増減率(%)

 売上高

27,239,662

27,416,847

177,185

0.7

 営業利益

1,525,232

1,066,297

△458,934

△30.1

 経常利益

1,537,291

1,104,883

△432,407

△28.1

  当期純利益

1,023,938

766,904

△257,033

△25.1

 

 

当事業年度における我が国経済は、2023年5月に新型コロナウイルス感染症が感染症法上の5類に移行され、日常生活の制約や社会活動への制限が緩和され、消費活動が正常化に向かい、緩やかな回復傾向が見受けられております。しかしながら、海外景気の下振れリスクや歴史的な円安、原材料・エネルギー価格の高騰が長期化するなど、先行きは不透明な状況が続いております。

国内食品業界におきましては、コスト上昇に対応した価格改定が相次いだことにより、消費者の節約志向は一段と強まっており、引き続き業界全体で厳しい経営環境が続くことが予想されます。

このような状況のもと当社は、直接貿易で調達したえび商品の販売や取引先展示会での新商品の販売など、積極的に営業活動を進めてまいりました。以上の結果、骨なし魚事業におきましては、「ダイスカットシリーズ」など当社独自商品の拡販や原料値上げに伴う販売価格改定により売上高10,437,145千円(前年同期比2.0%増)、ミート事業におきましては、「楽らく匠味シリーズ」の販売強化により売上高2,421,787千円(前年同期比0.3%増)、その他事業におきましては、大手ユーザーの商品拡販などにより売上高14,557,913千円(前年同期比0.2%減)となりました。これにより当期の売上高は27,416,847千円(前年同期比0.7%増)となりました。

損益面につきましては、粗利率の低下は想定通りに推移したものの、えび商品の販売軟調や滞留在庫消化による値引金額増加により、営業利益は1,066,297千円(前年同期比30.1%減)、経常利益は1,104,883千円(前年同期比28.1%減)、当期純利益は766,904千円(前年同期比25.1%減)となりました。

 

販売実績

当事業年度における販売実績は、次のとおりであります。

 

事業の名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

業務用冷凍食品卸売

27,416,847

100.7

合計

27,416,847

100.7

 

 

仕入実績

当事業年度における仕入実績は、次のとおりであります。

 

事業の名称

仕入高(千円)

前年同期比(%)

業務用冷凍食品卸売

23,165,379

101.8

合計

23,165,379

101.8

 

        (注) 1.金額は、仕入価格によっております。

 

 

(2) 経営指標

                                   (単位:%)

 

前事業年度

当事業年度

増 減

 経常利益率

5.6

4.0

△1.6

 ROE

11.4

8.1

△3.3

 ROA

12.6

8.2

△4.4

  配当性向

34.6

46.2

11.6

 

 

当社は、1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等に記載のとおり、「売上高」「経常利益」「経常利益率」「ROE」「ROA」「配当性向」でそれぞれの経営数値目標を掲げ、収益の安定と財務体質の強化、資本効率の向上を目指してまいります。当事業年度は、直接貿易による安価なえび商品の拡販に取り組みましたが、滞留在庫消化による値引金額増加などにより粗利率が低下したことにより、前年同期比で経常利益率△1.6%、ROE△3.3%,ROA△4.4%、配当性向+11.6%となりました。2024年度は、コロナ禍での社会経済活動の更なる回復と、新商品の販売、新規取引先の獲得が順調に推移すると見込んで増収増益の目標を掲げておりますが、利益確保を最大の課題とし、大手ユーザーとの取り組み拡大と新たな取引先の獲得などにより、目標達成に向けて取り組んでまいります。

 

(3) 財政状態

    (単位:千円)

 

前事業年度末

当事業年度末

増 減

増減率(%)

 資産

12,826,813

14,040,312

1,213,498

9.5

負債

3,516,569

4,315,301

798,731

22.7

純資産

9,310,244

9,725,010

414,766

4.5

 

 

総資産は14,040,312千円となり、前事業年度末と比較して1,213,498千円増加となりました。これは主に前渡金が230,901千円減少した一方で、現金及び預金が1,216,820千円、売掛金が126,838千円増加したことによるものです。

負債合計は4,315,301千円となり、前事業年度末と比較して798,731千円増加となりました。これは主に未払法人税等が310,863千円減少した一方で、買掛金が1,151,753千円増加したことによるものです。

純資産合計は9,725,010千円となり、前事業年度末と比較して414,766千円増加となりました。これは主に配当金の支払を354,580千円、当期純利益を766,904千円計上したことにより利益剰余金が412,324千円増加したことによるものです。

 

 

(4) キャッシュ・フロー

    (単位:千円)

 

前事業年度

当事業年度

差 額

 営業活動によるキャッシュ・フロー

322,668

1,631,997

1,309,328

 投資活動によるキャッシュ・フロー

△316,749

△72,572

244,176

 財務活動によるキャッシュ・フロー

△93,058

△366,233

△273,174

 現金及び現金同等物に係る換算差額

1,001

23,628

22,626

 現金及び現金同等物の増減額

△86,137

1,216,820

1,302,958

  現金及び現金同等物の期末残高

2,657,108

3,873,928

1,216,820

 

 

当事業年度における現金及び現金同等物は3,873,928千円と前事業年度末と比べ1,216,820千円の増加となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりとなります。

営業活動によるキャッシュ・フローは、1,631,997千円の収入(前期は322,668千円の収入)となりました。売上債権の増加が141,359千円あった一方で、税引前当期純利益が1,104,883千円、仕入債務の増加が1,151,753千円ありました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、72,572千円の支出(前期は316,749千円の支出)となりました。貸付金の回収による収入が27,093千円あった一方で、貸付金の支出が74,144千円ありました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、366,233千円の支出(前期は93,058千円の支出)となりました。配当金の支払が354,580千円ありました。

 

当社の資本の財源及び資金の流動性についてですが、事業活動にかかる運転資金は営業キャッシュ・フローで獲得した資金を主な財源としております。なお、当面の予定はありませんが、多額の設備資金については、第三者割当増資、社債の発行、長期借入金等の検討を行うこととしております。
 また、当社は取引銀行5銀行で短期借入金枠41億円を設定しており、資金の流動性は十分に確保されております。

 

(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
 財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。