事業内容
セグメント情報
セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
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セグメント別売上構成
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セグメント別利益構成 セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
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セグメント別利益率
最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています
セグメント名 | セグメント別 売上高 (百万円) |
売上構成比率 (%) |
セグメント別 利益 (百万円) |
利益構成比率 (%) |
利益率 (%) |
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(単一セグメント) | 19,163 | 100.0 | 1,289 | 100.0 | 6.7 |
事業内容
3 【事業の内容】
当社グループは、日本全国に171店舗(2024年3月末時点)の自社店舗(直営52店舗、フランチャイズ・チェーン(以下、「FC」と呼称。)119店舗)を展開する食品製造販売事業を行っております。また、自社店舗(直営及びFC)以外にも、自社で構築したオンラインショップ(以下、「自社公式ECサイト」という。)や楽天サイトを通じた販売、また地方の生産者と消費者をつなぐオンラインマーケットプレイスを運営するEC事業、大手食品卸企業や小売企業に対するホールセール事業、そして米国を中心とするグローバル事業など、様々なチャネルを通じて製商品の販売を行っております。
当社グループ事業の特徴は、マーケティング、製商品の企画・開発、調達・製造、店舗設計、そして販売までの全てのプロセスを一気通貫で手掛ける、食のSPAモデルを有している点であります。これにより、当社グループの5つのブランドそれぞれに必要な要素を共通の世界観で構築することができるため、独自のグロッサリーストア(食料品店)の展開が可能となっております。
当社グループの商品は、その約90%が自社の開発部門によって企画・開発されたものであり、各ブランドのコンセプトを体現した独自性のある商品となっております。また、各店舗の商品点数は、小規模店舗で600アイテム以上、大型店舗で1,200アイテム以上に及び、いずれもネーミング、パッケージデザイン、及びおいしさにこだわって作り上げた商品であります。当社グループ工場及び協力メーカー工場では、店舗からのきめ細かな発注に応えられるよう、多品種少量生産に適した生産体制を構築しており、このような生産体制をとることで、消費者の需要に合わせた生産調整が可能となり、店舗では最適なボリュームでの商品陳列を実現しております。
(1) オリジナリティ溢れる5つのブランド
当社グループでは、「サンクゼール」、「久世福商店」、「MeKEL(メケル)」、「Kuze Fuku & Sons」、そして「Portlandia Foods」の5つのブランドを展開しております。各ブランドはコンセプトを明確に分けており、お客様に対してブランドごとに異なる商品を提供しております。
各ブランドのコンセプトと特徴は以下のとおりです。
(2) 食のSPAモデル
当社グループは、全国各地の優れた逸品を探し出し、様々な販売チャネルを通じて販売していく食のSPAモデル事業を展開しております。
①お客様からのフィードバックを直接取得するマーケティング
当社グループは食のSPAにおいて、お客様のフィードバックを素早く商品開発や売場改善に反映し、お客様の当社ブランドに対するロイヤルティの向上につなげていくことが、最も重要な要素であると考えております。当社グループでは、全国に有する自社店舗(直営及びFC)にご来店いただくお客様の声を直接聞き取り、その内容を「自社POS連動型ERPシステム」を通じて、遅滞なく本部に伝達する体制を整えております。また、2021年4月より開始した「久世福商店・サンクゼール公式アプリ」では、会員であるお客様の購買データを分析することで、ニーズの変化等をスピーディーに把握することに努めております。
さらに、2023年3月期からは、アプリ会員である一部のお客様に、当社グループが運営するコミュニティプログラム「Fan-Based Community」(以下「FBCプログラム」と言う。)にご参加いただき、定期的なアンケートやインタビュー等から、商品開発や売場改善に対するフィードバックを得る取り組みを開始しております。プログラム会員のみならず、自社店舗をご利用いただく全てのお客様に当社ブランドのファンになっていただけるよう、今後も継続して当該プログラムの活動に取り組んでまいります。
②独自性の高い商品開発力
当社グループは、自社のグループ工場で製造するオリジナル製品はもとより、OEMメーカーから仕入れた商品に独自性を加える等、商品の企画・開発に注力しております。当社グループはブランドごとに組織を分けており、各ブランドの商品開発チームが、新商品の開発及び定番商品の改良を行っております。商品の開発・改良については、ご来店いただくお客様からのご要望やFBCプログラムのフィードバックにより、お客様ニーズをスピーディーに反映しております。
また当社グループは、パッケージやラベルデザインについても専門デザイナーを自社におき、ブランドコンセプトに合致したデザインをタイムリーに仕上げることができております。
③日米の自社製造拠点
当社グループは、長野県上水内郡飯綱町に有する国内工場の他、米国子会社であるSt.Cousair,Inc.が所在する米国オレゴン州の海外工場で製品を製造しております。
・国内工場(株式会社サンクゼール 長野県上水内郡飯綱町)
飯綱町の製造工場では、サンクゼールブランド用のジャムやパスタソース等のほか、久世福商店ブランド用として、ごはんのお供シリーズ等の食品を製造しております。同一エリア内にある自社ワイナリーでは、国内外及び近隣農家から仕入れた果実を原料とするワインやシードルを製造しております。さらに飯綱町と協同し、町の特産品であるりんごを使用したブランデーの蒸留を行っております。飯綱町のりんごの特徴でもある豊かな風味と芳醇な甘みを感じることができるブランデーとして、2017年より「いいづなアップルブランデー」という商品名で製造を開始しております。
・海外工場(St.Cousair,Inc. 米国オレゴン州)
当社グループは2017年4月に米国オレゴン州の食品加工工場を買収し、米国子会社St. Cousair Oregon Orchards, Inc.(現St.Cousair,Inc.)を設立いたしました。オレゴン州は大規模な災害が少なく、年間を通して寒暖差が大きいことから、世界有数のベリー系果実原料の産地となっております。米国オレゴン州に工場を設置することで、新鮮で高品質な果実原料を安価に調達することができ、商品の品質向上及びコストメリットに大きく寄与しております。また、2017年の同工場買収時にUSDA(United States Department of Agriculture)によるオーガニック認証を取得し、以降も毎年更新を継続しております。これにより、当該認証ロゴの使用と、USDAオーガニックの基準に則った商品の製造・販売が可能となっております。
④日本全国の仕入商品メーカーとのネットワーク
当社グループは、2024年3月末時点で全国500社を超える食品メーカーとのネットワークを有しております。各食品メーカーは、それぞれの地域に根差した独自性の高い商品を展開しており、それらの商品に当社グループの各ブランドが持つオリジナリティを加えることで、より付加価値の高い商品を開発しております。地方に拠点を置く食品メーカーにとっては、当社グループの店舗を通じて、全国各地に商品を流通させることができるという利点があります。このように当社グループは、それぞれのブランドがプラットフォームとして機能し、各地域の食品メーカーとWin-Winの関係で、強固なネットワークの構築を実現しております。
⑤多様な販売チャネル
当社グループは、国内外の多様な販売チャネルを通して商品を販売しております。各チャネルの特徴は以下のとおりです。
ア. 直営及びFC
当社グループは、日本国内において直営及びFCでの自社小売店舗を有しております。
・本店(直営)
長野県飯綱町の本社エリアには、サンクゼール及び久世福商店の本店があります。エリア内には他にも、レストランやイングリッシュガーデンがあり、長野県飯綱町を見渡せる小高い丘の頂上に位置していることから、親しみを込めて「サンクゼールの丘」と呼ばれており、毎年、多くの近隣住民や観光客が訪れる場所となっております。この本社エリアは当社グループの創業の原点であり、創業者の想いを継いでいく場所、そして当社グループの経営理念を体現し、発信していく場所として、当社グループの事業における重要な拠点となっております。
・直営店
当社グループが店舗設備投資を実施し、当社グループの従業員が店舗を運営する形態であります。なお、直営店舗の中には、店舗運営業務のみを外部に委託する「OFC(オーナー・フランチャイズ・チェーン)」という形態の店舗も含まれております。
・FC加盟店
FC加盟企業と締結するパートナーシップ契約に基づき、店舗設備投資及び店舗スタッフの人件費を含む店舗運営に関わる全ての費用をFC加盟企業の負担により運営する形態であります。当社グループは、当社グループのブランド使用権及び本部サービス提供に対し、各FC加盟企業からロイヤリティ収入を収受しております。
自社小売店舗の販売に関する特徴は以下のとおりです。
・特徴①:多品種少量生産を可能とする商品供給体制
自社小売店舗の商品点数は、大型店舗で1,200アイテム以上にのぼります。多数の商品点数を確保するために、当社グループの自社工場及び仕入商品メーカーの各工場では、必要なときに必要な量をタイムリーに仕入れることができるよう、多品種少量生産を可能とする生産体制が構築されており、このようなこまやかな供給体制は、他社の参入を困難とする当社グループの強みとなっております。
また、全国に171店舗(2024年3月末時点)の自社小売店舗(FCを含む)を展開することにより、全国各地500社を超える仕入先メーカーからは、大きなロットでの調達による安価な仕入価格を実現することができ、価格戦略を含む店舗運営上の競争優位性の源泉となっております。
・特徴②:魅力的な売り場、世界観が統一された内装什器
当社グループは、自社小売店舗の内装・什器などの店舗設計全てを、社内の店舗設計チームが手掛けております。これにより、各ブランドの世界観を統一して表現することができ、商品の魅力を最大限に引き出せる売り場作りが可能となっております。
・特徴③:教育された店舗スタッフと接客力
当社グループはお客様の信頼を第一と考えており、お客様が快適に商品を購入できるよう、日々、店舗スタッフの接客力向上に取り組んでおります。当社グループには、各店舗の店長及び店舗スタッフの教育を専門業務とする教育チームが存在しており、毎月開催している店長会では、当該チームによる社内研修を実施しております。
また、当社グループは経営理念の中で、「オンリーワンを目指し、お客様に感動を与えるサービスを提供する」という方針を掲げ、この考えが店舗スタッフ一人ひとりに浸透するよう、経営理念の教育を徹底して行っております。お客様に喜んでいただくために必要な対応をその場で判断し実行に移すことで、お客様にとってより居心地のよい空間を作り上げることができるように、今後も店舗スタッフの教育を継続して取り組んでまいります。
イ. EC
当社グループは、「サンクゼール」、「久世福商店」、「Kuze Fuku & Sons」の3ブランドの商品を自社公式ECサイト及び楽天市場サイトで販売するほか、全国各地の生産者や食品メーカーと消費者を直接結び付けるオンラインマーケットプレイス「旅する久世福e商店」の運営を行っております。
・自社公式ECサイト及び楽天市場サイトでの販売
当社グループは、自社公式ECサイトに加え、楽天市場へ出店しております。ECでは売上高の50%以上がギフト商品で構成されております。ギフト商品に対するニーズにお応えするため、2022年4月からは当社公式ECサイト限定で、オリジナルメッセージカードの作成サービスを開始しております。
また、当社グループは、2021年4月から開始している「久世福商店・サンクゼール公式アプリ」の会員データと、店舗会員であるお客様データを共通で管理することで、自社小売店舗とECの連携による販売促進施策を行っております。例えば、アプリ会員のお客様向けに、自社小売店舗で実施する販促キャンペーン情報等を定期配信することで、リアル店舗への集客を促進する等の取り組みを推進しております。
・旅する久世福e商店
当社グループは2020年10月より、全国各地の生産者及び食品メーカーと消費者を直接結び付けるオンラインマーケットプレイス「旅する久世福e商店」の運営を行っております。生産者及び食品メーカーは、当社グループが開発したECサイトシステム上に自社のECサイトを構築し、同じく当社グループが開発したECプラットフォーム「旅する久世福e商店」に出店するという形でオンラインマーケットに参加します。一方、消費者は「旅する久世福e商店」に出店している生産者及び食品メーカーの各サイトを訪問して好みの商品を購入し、生産者及び食品メーカーは当該商品を直接購入者に届けます。その際、当社グループは、生産者及び食品メーカーの売上金額に対して販売手数料を収受いたします。
「旅する久世福e商店」のビジネスモデルは以下のとおりです。
(旅する久世福e商店ビジネスモデル)
ウ. ホールセール
当社グループは、自社製造商品を食品卸企業及び小売企業へ販売するほか、他社のPB商品のOEMを行っております。当社グループは、商品開発チーム、自社工場製造チーム、卸営業チームを1つの組織にまとめており、それぞれのチームが密に連携することで、開発・製造・販売のサイクルを高速回転させ、顧客ニーズを素早く商品に反映させる体制を構築しております。
エ. グローバル
当社グループの子会社である米国オレゴン州のSt.Cousair,Inc.がグローバル展開のヘッドクオーターとしての機能を持ち、米国内での販売に加えて、アジアやオセアニア地域の顧客に対する営業活動を行っております。前述のとおり、St.Cousair,Inc.の工場ではUSDAによるオーガニック製品の製造認証を得ており、近年、米国で拡大が続くオーガニック食品市場を重要なターゲット市場と位置付けて事業を展開しております。また、米国西海岸エリアは世界の食トレンドの最先端エリアであり、当社グループはSt.Cousair,Inc.での米国内マーケティングを通じて、最先端の食に関する情報収集を行っており、ここで入手した情報は素早く社内で共有し、新たな商品開発につなげる体制を整えております。
⑥食のSPAを支える内製化システム
商品開発から販売までを一気通貫でコントロールする食のSPAを展開するためには、それを支える高度なシステムが必要となります。当社グループで使用する「在庫管理システム」、「自社POS連動型ERPシステム」、「旅する久世福e商店及び自社公式ECサイトシステム」、「会員アプリ及び会員顧客分析データシステム」、そして「ECメッセージカードサービスシステム」等のシステムは、その大部分を社内のエンジニアチームが作り上げております。ゼロベースでシステムを開発することで、事業運営に必要な機能を柔軟に、且つ効率的に設計することができ、商品開発から販売に至るプロセスをスムーズに連携、コントロールすることが可能となっております。
当社グループの事業系統図は以下の通りです。
業績
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要
当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度の総資産は9,422,534千円となり、前連結会計年度末に比べ248,096千円増加いたしました。これは、売上高の増加により売掛金が478,376千円増加したこと、及びPortlandia Foodsブランドの買収に伴い無形固定資産が412,338千円増加したこと等によるものであります。
(負債)
当連結会計年度末の負債合計は4,680,457千円となり、前連結会計年度末に比べ267,968千円減少いたしました。これは、返済により短期借入金が202,591千円減少したこと等によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産合計は、親会社株主に帰属する当期純利益818,088千円の計上や剰余金の配当317,387千円の計上により、利益剰余金が前連結会計年度末に比べ500,701千円増加いたしました。その結果、株主資本は前連結会計年度末に比べ514,713千円増加し、4,628,454千円となり、純資産合計は、前連結会計年度末に比べ516,065千円増加し4,742,077千円となりました。なお、この結果、当連結会計年度末の自己資本比率は50.3%となりました。
② 経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症が5類感染症に見直され、消費は拡大傾向にありましたが、一方で円安や物価高騰の状況が継続しており、景気回復の鈍化が懸念される状況にあります。
食品製造及び食品小売業界におきましても、円安や原料価格の高騰を背景に食品価格の値上げが継続的に実施されており、消費者の経済的負担の高まりによる消費低迷が懸念されるなど、依然として先行き不透明な状況が続いております。
そのような状況において、当社グループは「愛と喜びのある食卓をいつまでも」というコーポレート・スローガンを掲げ、お客様の食卓に彩りを与え、お客様にご満足いただける商品やサービスの提供に注力しております。今後もお客様の声に徹底的に耳を傾け、お客様のニーズを起点とした商品やサービスを提供することにより、多くのお客様に当社グループのファンになっていただけるよう取り組んでまいります。
当連結会計年度のB to C販売チャネルである店舗(直営・FC)に関しましては、冷凍食品とアジア等の地域の食品を中心とする新業態である「MeKEL(メケル)」1店舗(直営店)を新規出店するなど、積極的に展開してまいりました。一方で、前連結会計年度に円安や原料価格の高騰等による商品価格の値上げを実施して以降、お客様数は微減傾向にありました。
そのような状況において当社グループは、お客様からの声に真摯に耳を傾け、お客様のニーズに真剣に向き合ってまいりました。
また、当社グループは、商品の開発、製造、販売を一気通貫で行う「食のSPA」モデルを採用し、自社製造商品に係る原材料の仕入れ、配合、製造工程の効率化等によって、製造原価高騰の影響を抑制することに継続して取り組んでまいりました。
当該モデルの強みを最大限に生かし、多くのお客様のご要望にお応えするために、当社グループは当連結会計年度中の2023年12月から2024年2月にかけて、「久世福商店」及び「サンクゼール」の売れ筋商品計149品目を、さらに同じく2024年1月に「MeKEL」の商品240品目の販売価格を、相次いで値下げいたしました。この結果、お客様数は徐々に増加しており、さらにお買い上げ点数の増加によりお客様単価も増加トレンドに転じております。
B to Bの販売チャネルであるホールセールに関しましては、主要取引先である大手小売チェーンに対する売上高が堅調に推移する一方、来期に向けた商品の入れ替えや新商品の投入に係る販促費等の増加により、売上高は前期比で微増となりました。グローバルに関しましては、米国及び台湾の大手小売チェーンに対する売上高が増加したことに加え、韓国への販売も開始されたこと等により、売上高が大幅に増加いたしました。
サステナビリティに関する活動としましては、本社である信濃町センター(長野県上水内郡信濃町)を囲む約110,000㎡もの広大な森林(通称「サンクゼールの森」)が、2024年3月に「民間の取り組み等によって生物多様性の保全が図られている区域」として、環境省の定める令和5年度後期の「自然共生サイト」に認定されました。この森林は毎年、信州大学教育学部森林生態学研究所の協力を得て、植生の調査及び森林整備を実施しており、多種多様な動植物が生息していることが分かっております。今後も「サンクゼールの森」を保護し、活用するためのプロジェクトを通じて、豊かな自然との共生を実現できるよう取り組んでまいります。
また、当社グループの創業者である久世良三氏及びまゆみ氏は、2023年12月に「一般財団法人サンクゼール財団」を設立いたしました。当社グループも両氏の支援活動に対する想いに共感し、共同して当該財団を設立、今後も様々な支援活動に参画してまいります。
以上の結果、当連結会計年度における連結業績は、売上高が19,162,919千円(前期比7.3%増)となりました。営業損益は、売上高が増加した一方で、売上総利益率が低下したこと等の影響により、1,289,191千円(前期比19.4%減)の営業利益となりました。経常損益は、為替差益90,906千円等の営業外収益140,470千円を計上した一方で、支払利息23,026千円等の営業外費用28,026千円を計上したことにより、1,401,636千円(前期比13.5%減)の経常利益となりました。親会社株主に帰属する当期純損益は、税金費用527,589千円を計上したことにより、818,088千円(前期比22.7%減)の親会社株主に帰属する当期純利益となりました。
出店政策に関しまして当社グループは、商圏人口、賃貸条件、ROIC等の指標を総合的に勘案し、新規出店を行っております。当連結会計年度におきましては、「久世福商店」業態で13店舗(全てFC加盟店)、新業態の「MeKEL」業態で1店舗(直営店)を新規出店いたしました。一方、当連結会計年度において、「久世福商店」業態で1店舗(FC加盟店)を退店いたしました。その結果、当連結会計年度末における店舗は直営店52店舗、FC加盟店119店舗、計171店舗となりました。
当連結会計年度における業態別の店舗数は以下のとおりです。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は657,522千円減少し2,660,149千円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度におきましては、税金等調整前当期純利益が1,345,995千円となった一方で、売上債権が470,432千円増加したこと等により、営業活動のキャッシュ・フローは681,924千円の収入(前連結会計年度は1,055,311千円の収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、Portlandia Foodsブランドの事業譲受による支出が443,110千円、有形固定資産の取得による支出が318,842千円となったこと等により、778,154千円の支出(前連結会計年度は243,430千円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金が190,670千円減少したこと、配当金の支払額が317,387千円となったこと等により、605,586千円の支出(前連結会計年度は1,235,225千円の収入)となりました。
④ 生産、受注及び販売の状況
ア. 生産実績
イ. 受注実績
当社グループは需要予測に基づく見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
ウ. 販売実績
当社グループは、食品製造販売事業の単一セグメントであるため、販売チャネル別に記載しております。
(注) 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合
※前連結会計年度の株式会社イートスタイルの販売実績は、総販売実績の10%未満であるため記載を省略しております。
・直営
当連結会計年度における直営の既存店客数は前年同期を下回ったものの、商品の値下げ施策によりお客様一人あたりの購買点数が増加し、お客様単価は前年同期を上回って推移いたしました。新規出店に関しましては、2023年9月に新業態の「MeKEL」1号店を出店いたしました。当該店舗は冷凍食品とアジア等の地域の食品を中心とする新業態となっております。
以上の結果、直営売上高は6,455,786千円となり、前年同期比で1.4%の減少となりました。
・FC
当連結会計年度におけるFCの既存店客数は前年同期を下回ったものの、商品の値下げ施策によりお客様一人あたりの購買点数が増加し、お客様単価は前年同期を上回って推移いたしました。現在は、新規出店の多くがFCによる出店であることから、当連結会計年度末のFC加盟店の店舗数は119店舗となり、前連結会計年度末と比較して12店舗増加しております。
以上の結果、FC売上高は7,027,083千円となり、前年同期比で12.6%の増加となりました。
・EC
ECにおきましては、アプリやECサイトを通じてブランドのファンであるお客様の獲得に努めており、ECの利用者数が継続して増加いたしました。一方で秋口以降は、前年同期に多くのテレビ番組に取り上げていただいたことの反動や、お客様の節約マインドの高まり等が影響し、売上高の伸びが鈍化いたしました。
以上の結果、EC売上高は1,111,681千円となり、前年同期比で1.5%の増加となりました。
・ホールセール
当連結会計年度におきましては、主要取引先である大手小売チェーンに対する売上高が堅調に推移したものの、第4四半期において、来期に向けた商品の入れ替えや新商品の投入等による販促費が増加いたしました。
以上の結果、ホールセール売上高は3,181,343千円となり、前年同期比で4.0%の増加となりました。
・グローバル
当連結会計年度におきましては、米国及び台湾に加え、韓国での販売も開始された大手小売チェーンに対する売上高が増加いたしました。さらに、2023年6月(当社米国子会社における第2四半期)に買収したPortlandia Foodsブランド商品の売上を計上したことにより、グローバル売上高は1,387,024千円となり、前年同期比で50.2%の増加となりました。
国別の内訳は、米国顧客への売上高が862,477千円、台湾顧客への売上高が483,876千円、その他の地域への売上高が40,670千円であります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
① 経営成績等に関する認識及び分析・検討内容
(売上高)
当連結会計年度の売上高は、19,162,919千円(前期比7.3%増)となりました。チャネル別でみると、直営において前期を下回る結果となりましたが、その他のFC、EC、ホールセール、グローバルチャネルは売上高が前期を上回りました。特にグローバルチャネルにおいては前期比50.2%と大幅な伸びとなり、グループ全体の売上高を牽引いたしました。各チャネルの詳細につきましては以下のとおりであります。
ア. 直営及びFC
直営及びFCの売上高に関しましては、直営が前期比1.4%減、FCが前期比12.6%増となりました。
店舗数はFCを中心に新規出店を進め、前期末と比較して13店舗増加し、さらに新業態である「MeKEL」で1店舗(直営店)を新規出店いたしましたが、2023年秋口以降からお客様数が減少トレンドとなり、既存店のお客様数は前期比で3.1%減少しました。さらに、前期に実施した商品の値上げに対するお客様からのご意見が増加したことも踏まえて、2023年12月から2024年2月にかけて「久世福商品」及び「サンクゼール」の売れ筋商品計149品目と、「MeKEL」の商品240品目の値下げを実施いたしました。これにより、2024年3月期第4四半期にはお客様数及びお買い上げ点数が再び増加トレンドとなり、売上高は前年同期比で7.3%増加いたしました。
イ. EC
ECの売上高は前期比1.5%と微増となりました。前期に多くのテレビ番組に取り上げていただいたことによる反動に加え、食品価格の高騰によるお客様の節約志向の高まり等が主な要因であります。
ウ. ホールセール
ホールセールに関しましては、主要取引先である大手小売りチェーンにおいて、来期に向けた商品入れ替え及び新商品の投入に係る販促費等の増加により、主に2024年3月期第4四半期の売上高が前期比で大きく減少いたしましたが、通期の売上高は前期比で4.0%と伸長いたしました。
エ. グローバル
グローバルに関しましては、米国の大手小売りチェーン向けの売上高が伸びたことに加え、2023年6月に事業譲受した「Portlandia Foods」ブランドの売上高が計上されたことにより、売上高が前期比で50.2%と大幅に伸長いたしました。また、台湾における大手小売りチェーン向けの売上高が堅調に推移したほか、オーストラリアや香港に加えてカナダや韓国での取り引きも始まり、当社グループの売上高を牽引する成長ドライバーとなっております。
(売上原価、売上総利益)
当連結会計年度の売上原価は、売上高の増加に伴い、12,109,171千円(前期比11.8%増)となりました。
売上総利益率は36.8%となり、前期比で2.5ポイント低下いたしました。その主な要因は、チャネル別売上構成比の変化、商品の値下げ施策による影響、そしてホールセールチャネルでの販促費の増加であります。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、5,764,556千円(前期比6.2%増)となりました。この主な要因は、ベースアップ及び新規採用に伴う人件費が前期比で4.1%増加したことによるものです。その他、ブランディングやマーケティングに関する費用、株主関連費用等も増加要因となっております。この結果、当連結会計年度の営業利益は、1,289,191千円(前期比19.4%減)となり、売上高営業利益率は6.7%と前期比で2.3ポイント悪化いたしました。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)
当連結会計年度の営業外収益は、主に為替差益90,906千円や受取利息13,020千円等を計上したことにより、140,470千円(前期比58.8%増)となりました。また、当連結会計年度の営業外費用は、主に支払利息23,026千円を計上したことにより、28,026千円(前期比58.6%減)となりました。
以上の結果、当連結会計年度の経常利益は1,401,636千円(前期比13.5%減)となりました。
(特別利益、特別損失、法人税等、親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の特別利益は、St.Cousair,Inc.の土地売却による固定資産売却益8,308千円を計上いたしました。また、当連結会計年度の特別損失は、当社が保有する一部の投資有価証券の実質価額が下落したことにより投資有価証券評価損63,949千円を計上いたしました。
以上に加えて、法人税、住民税及び事業税538,395千円、法人税等調整額(貸方)10,805千円、非支配株主に帰属する当期純利益317千円をそれぞれ計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は818,088千円(前期比22.7%減)となりました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
資本政策につきましては、経営基盤の強化及び積極的な事業展開のために内部留保を図り、財務体質の強化と事業拡大のための投資に充当するとともに、配当に関しましては、年間配当総額を前事業年度における当社単体決算の当期純利益30%を目安とした金額となるように実施してまいります。
また、当社グループにおける資金需要の主なものは、原材料費・労務費・製造経費・商品仕入高・販売費及び一般管理費等の事業に係る運転資金であります。当社グループは必要な資金について、主に自己資金及び金融機関からの借入金により対応してまいります。
資金の流動性に関しましては、2024年3月末時点で取引金融機関6行との間で合計1,450,000千円の当座貸越契約を締結しており、急な資金需要や不測の事態に備えております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者により、一定の会計基準の範囲内で、かつ合理的と考えられる見積りが行われている部分があり、資産・負債及び収益・費用の金額に反映されております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果と異なる場合があります。特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があると考えております。
(繰延税金資産の回収可能性)
当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得を見積り、回収可能性があると判断した将来減算一時差異等について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
④ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の進捗について
当社グループは、経営上の目標の達成状況を売上高営業利益率を重視して判断しております。
当連結会計年度の売上高は、直営を除いたFC、EC、ホールセール及びグローバルで売上高が前期比を上回って推移いたしましたが、チャネル別売上構成比の変化、商品価格の値下げ、ホールセールにおける販促費の増加等により売上総利益率が低下いたしました。さらに、人件費や株主関連費用等により販売費および一般管理費が増加したことで、売上高営業利益率は6.7%となり、前期比で2.3ポイント悪化いたしました。
⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に含めて記載しております。
⑥ 経営者の問題意識と今後の方針について
経営者の問題意識と今後の方針につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。
セグメント情報
(セグメント情報等)
【セグメント情報】
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
当社グループの事業セグメントは、食品製造販売事業のみの単一セグメントであり重要性が乏しいため、セグメント情報の記載を省略しております。
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
当社グループの事業セグメントは、食品製造販売事業のみの単一セグメントであり重要性が乏しいため、セグメント情報の記載を省略しております。
【関連情報】
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
1 製品及びサービスごとの情報
2 地域ごとの情報
(1) 売上高
本邦の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上の90%を超えるため、記載を省略しております。
(2) 有形固定資産
3 主要な顧客ごとの情報
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
1 製品及びサービスごとの情報
2 地域ごとの情報
(1) 売上高
本邦の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上の90%を超えるため、記載を省略しております。
(2) 有形固定資産
3 主要な顧客ごとの情報
【報告セグメントごとの固定資産の減損損失に関する情報】
当社グループの事業セグメントは、食品製造販売事業の単一セグメントであり、記載を省略しております。
【報告セグメントごとののれんの償却額及び未償却残高に関する情報】
当社グループの事業セグメントは、食品製造販売事業の単一セグメントであり、記載を省略しております。
【報告セグメントごとの負ののれん発生益に関する情報】
当社グループの事業セグメントは、食品製造販売事業の単一セグメントであり、記載を省略しております。