2023年12月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経済状況等の影響について

 当社グループが属する不動産業界は、景気動向、金利動向、地価動向、建設価格動向及び税制等の経済市況の影響を受けやすい傾向にあります。当社グループの主要な事業エリアである福岡市、熊本市及び那覇市における賃貸相場の下落や入居率の悪化による賃貸収入の減少及び市場金利の上昇や金融機関の融資動向の変化により、投資家の投資意欲が低下した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)仕入に関するリスクについて

 用地情報の取得について

 当社グループは、賃貸マンション経営を検討するオーナー様に対して、当社で収集した用地情報の紹介・提案を行っております。しかしながら、地価の上昇や他社との競合等により、優良な用地情報を計画的に入手することが困難になった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)資金調達について

 当社グループは、収益用不動産の開発に係る用地仕入資金や収益用不動産を建売にて販売を行う場合の用地仕入資金及び賃貸マンション建設資金について、金融機関からの借入により調達をする場合があります。また、子会社である株式会社グッドライフエネルギーでは、既存のプロパンガス供給会社より供給設備を買い取る場合と建築工事の竣工時期に合わせて供給設備工事及び取付工事を完了させる場合があり、どちらの場合の設備投資も金融機関からの借入により調達する必要があります。

 当連結会計年度末現在、当社グループと金融機関との関係は良好でありますが、金融機関の融資動向は金融情勢次第で大きく変化する可能性があります。今後、何らかの理由で金融機関が融資申し込みに応諾せず、当社グループが開発資金調達の代替手段を見いだせなかった場合、事業が計画どおりに展開できない可能性があります。また、市場金利が上昇する局面においては、支払利息等の資金調達コストが増加することが想定されるため、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)在庫に関するリスクについて

 当社グループは、投資用新築一棟賃貸マンションの企画・販売を行うために、先行してマンション用地の仕入を行いますが、用地の販売契約・引渡時期までを短期間で行い、保有期間を短くしております。しかしながら、急激な景気の悪化、金融機関の金融情勢による金利の上昇及び住宅関連税制の改廃等の要因により、投資用不動産に対する需要が減退した場合、当社グループの販売計画の遂行が困難となり、プロジェクト計画の遅延による資金収支の悪化を招く可能性があります。また、「棚卸資産の評価に関する会計基準」により、時価が取得原価を下回った販売用不動産又は仕掛販売用不動産等について評価損を計上した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)建築に関するリスクについて

①建築工事の元請について

 当社グループは、賃貸マンション等の建築工事を元請として行っております。工事着手にあたっては、安全管理・施工品質管理を徹底し、入念な施工計画の立案等、安全な作業環境を整え施工を行っておりますが、万が一、重大な工事事故・品質事故・労働災害等が発生した場合、当社グループの社会的信用に影響を与え、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、工事途中での設計変更や手直し工事による予測が困難な追加原価の発生、建築資材の価格や建築工事にかかる人件費の上昇が想定を上回った場合等、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

②建築工事の外注について

 当社グループは、賃貸マンション等を建売で販売する場合、建築工事を建設会社に外注する場合があります。外注先である建設会社の選定にあたっては、施工能力、施工実績、財務内容等を総合的に勘案した上で行い、また、建設会社の監理においては、当社の監理者が、概ね隔週で行う定例会議による進捗把握、仕様確認、条例、建築基準法等の法定事項実施の確認を行っております。しかしながら、外注先である建設会社に倒産等の予期せぬ事象が発生した場合や、工事中の事故、物件の品質に問題が発生した場合には、計画どおりの開発に支障をきたす可能性があります。また、施工完了後、建設会社の経営破綻等が発生し、工事請負契約に基づく建設会社の瑕疵担保責任が履行されなかった場合、当社グループに補修等の義務が生じ、想定外の費用が発生して、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)ガス事故発生のリスクについて

 当社グループのエネルギー事業において、プロパンガスの供給や消費時に漏洩や爆発などの事故が発生した場合、直接的な損害に止まらず、社会的責任の発生等重大な影響を及ぼし、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)引渡時期等の変動による業績への影響と四半期損益の変動について

 当社グループの不動産投資マネジメント事業において、一取引当たりの金額は高額となっており、また、年間の各取引の件数等が現状では必ずしも多くない(直近3期間における年間平均竣工棟数14件)状況にあります。そのため、天災や不測の事態、当社グループがコントロールの出来ない外部要因によって、建築確認許可が下りる時期、土地及び建売物件の引渡時期、建築工事の竣工・引渡時期に遅れが生じ、計画していた時期での収益の認識ができなかった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 また、同様の理由により、各期における四半期毎の経営成績及び財政状態は大きく変動する傾向にあり、特定の四半期業績等のみによって通期の業績見通しを判断することは困難な状況にあります。

 

(8)自然災害のリスクについて

 当社グループが行う不動産投資マネジメント事業は、火災等の人的災害、地震・台風等の大規模自然災害の影響を受けやすい事業であります。当社グループの主要な事業エリアである福岡市、熊本市及び那覇市において、そのような自然災害が生じた場合、臨時又は追加的な支出を余儀なくされることや、建築資材等の確保が困難になる等の可能性があります。そのため、万が一の場合に備えて、各種保険への加入や、耐震性等に優れた賃貸マンションの開発及び外注業者等の複数化を図る等のリスクヘッジを行っておりますが、予測を超える事態が生じた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)事業運営体制のリスクについて

①特定経営者への依存について

 当社の代表取締役社長である髙村隼人は、当社設立以来、当社グループの経営方針及び経営戦略の決定等、事業活動の推進にあたり重要な役割を担って参りました。当社グループは、役員及び幹部社員の情報の共有化や権限の委譲を進め、同氏へ過度に依存しないような経営体制の整備を行っておりますが、同氏が職務を遂行できなくなるような不測の事態が生じた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

②人材の確保に関するリスクについて

 当社グループの事業では、用地仕入、企画、設計・監理、施工等の専門的な知識・経験及び資格が要求され、事業規模の拡大に伴って、更なる優秀な人材の獲得、有資格者の確保が重要であると認識しております。しかしながら、特定の役職員の社外流出や労働人口の減少に伴う高い求人倍率により計画どおりの採用及び育成ができない場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③システム障害のリスクについて

 当社グループは、賃貸管理、原価管理、会計システム等業務の遂行において大部分がコンピューターシステム及びそのネットワークを活用しております。システム障害によるリスクを十分に認識してサーバーの安定的運用環境の確保やバックアップ体制の強化等施策を施しておりますが、万が一、大災害、停電や機器の欠陥、コンピューターウイルス等不測の事態により障害等が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)サイバーセキュリティ関連リスクについて

 近年、サイバー攻撃の技術は日々高度化しており、その手法も多様化しております。当社グループは、IT資産管理ツールの導入による各種情報セキュリティ対策を実施しておりますが、不正アクセスやサイバー攻撃を受け、重要なシステムの誤作動や停止、保有する機密情報の流出が発生した場合、社会的信用の失墜、事業活動の混乱や停滞、取引先等への補償等が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)新規事業への投資リスクについて

 当社グループは、今後も継続的な成長を実現するために、新規事業の取組みを進めていく方針ですが、新規事業が安定して収益を生み出すまでには一定の時間を要することが予想されます。新規事業に対し、先行してシステムへの投資や人件費等、追加的な支出が発生することによって、当社グループの全体の利益率が低下する可能性があります。また、将来の経営環境の変化等により新規事業の拡大・成長が当初の想定どおりに進まない場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)法務に関するリスクについて

①法的規制について

 当社グループは、宅地建物取引業の免許及び特定建設業の許可を取得し、一級建築士事務所登録等を行って不動産販売や建築請負事業を展開しております。これに加え、プロパンガス販売事業を行っておりますが、これらを含む当社グループの事業は宅地建物取引業法、建設業法、建築士法、都市計画法、建築基準法、液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律、ガス事業法等多くの法令や自治体の定める条例等による規制を受けております。当社グループでは法令遵守を徹底し、免許等の取消事由や更新欠格事由が発生しないように努めておりますが、将来、当社グループの免許等が何らかの理由により取消し等になった場合には、当社グループの事業活動が大幅に制約されることとなり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

許認可等の名称

許認可登録番号

有効期間

許認可等の取消事由

宅地建物取引業免許

国土交通大臣

(2)第8754号

2020年2月20日から

2025年2月19日まで

宅地建物取引業法

第66条、第67条

特定建設業許可

熊本県知事許可

(特-4)第17313号

2022年8月20日から

2027年8月19日まで

建設業法第29条

国土交通大臣許可

(特-2)第27792号

2020年5月29日から

2025年5月28日まで

一級建築士事務所登録

福岡県知事登録

第1-62020号

2021年4月6日から

2026年4月5日まで

建築士法第26条

液化石油ガス販売事業登録

九州経済産業局

九州産業保安監督部

第57A0055号

液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律第25条、第26条

液化石油ガス保安機関認定

九州産業保安監督部

第57A0126RA号

2021年1月5日から

2026年1月4日まで

液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律第35条

特定液化石油ガス設備工事事業者

福岡県

2福中振第7号-5

ガス小売事業者登録

九州経済産業局

第K0244

ガス事業法第10条

 

②訴訟等の可能性について

 現在、当社グループには将来の業績等に影響を及ぼす可能性のある訴訟の事実や顧客又は近隣住民との大きなトラブルはありません。賃貸マンション建設にあたり、関係する法令、各自治体の条例等を十分検討した上、周辺環境と調和した不動産開発を行うために、近隣住民に対する事前説明会等を実施しており、近隣住民との関係を重視して開発を行っております。しかしながら、建設中の騒音や日照問題、プライバシーへの配慮等を理由に近隣住民とのトラブルが発生する可能性があり、工事遅延や追加工事が発生する場合、計画の中止や変更が生じ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③瑕疵担保責任について

 当社グループは、当社施工の販売物件について瑕疵担保責任を負っており、瑕疵に備え住宅瑕疵担保責任保険に加入しております。しかしながら、当社グループが販売した物件に、当該保険の対象にならない重大な瑕疵があった場合、損害賠償請求や建替・補修工事費用が発生し、当社グループの社会的信用に影響を与え、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13)個人情報の漏洩リスクについて

 当社グループは、賃貸マンションの管理運営及びプロパンガスの供給を行う上でオーナー様(オーナー候補者を含む。)や入居者様の個人情報を保有しております。個人情報の管理については、関連する社内規程を整備し、役職者に係わらず当社グループ全体で個人情報保護に関する教育・研修を実施すること等により、情報管理の徹底に努めております。しかしながら、これらの対策にも係わらず、個人情報が外部に漏洩した場合、当社グループの社会的信用に影響を与え、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(14)ストック・オプション行使による株式価値の希薄化について

 当社グループでは、取締役及び従業員に対するインセンティブを目的としたストック・オプション制度を採用しております。これらの新株予約権の目的となる株式の数は、2024年2月29日現在126,300株となり、潜在株式数を含む発行済株式総数の2.87%となっております。現在付与している新株予約権について行使が行われた場合、保有株式の価値が希薄化する可能性があります。

 

(15)配当について

 当社グループは、株主に対する利益還元を経営の重要課題の一つとして認識しておりますが、財務体質の強化を図るため、これまで配当を実施しておりません。将来的な利益還元については、経営体質の強化と事業拡大のために必要な内部留保を確保しながら、継続的かつ安定的な配当を実施していく方針であります。しかしながら、現時点において配当実施の可能性及びその実施時期等については、未定であります。

 

配当政策

3【配当政策】

 当社は、将来の事業展開と経営体質の強化のために必要な内部留保を確保しつつ、株主各位に対する適切な利益還元を実施していくことを基本方針としております。一方で、当社は現在成長過程にあり、将来の事業拡大に向けた内部留保の充実を図ることが必要な段階にあることから、設立以来剰余金の配当を実施しておりません。今後は、業績や配当性向、将来的な成長戦略等を総合的に勘案して決定していく方針ですが、現時点において配当実施時期については未定であります。内部留保資金につきましては、今後予想される経営環境の変化に対応できる経営体制強化及び事業拡大のための投資等に充当していく予定であります。

 なお、剰余金の配当を行う場合、年1回の期末配当を基本方針としており、期末配当の決定機関は株主総会となっております。また、取締役会の決議によって、中間配当を行うことができる旨を定款に定めております。