2024年3月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります

不動産管理事業 不動産賃貸事業
  • セグメント別売上構成
  • セグメント別利益構成 セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
  • セグメント別利益率

最新年度

セグメント名 セグメント別
売上高
(百万円)
売上構成比率
(%)
セグメント別
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
不動産管理事業 4,350 43.3 466 25.5 10.7
不動産賃貸事業 5,700 56.7 1,358 74.5 23.8

事業内容

3【事業の内容】

 当社グループは、当社(株式会社長栄)及び子会社3社で構成されており、不動産管理事業及び不動産賃貸事業を営んでおります。

 当社は、10都府県で事業を展開しており、当事業年度末日現在の管理戸数は次のとおりであります。

 

 

近畿

京都府

滋賀県

大阪府

兵庫県

管理物件

21,341戸

1,173棟

1,357戸

49棟

1,974戸

52棟

141戸

2棟

内自社物件

1,995戸

68棟

698戸

13棟

1,242戸

19棟

141戸

2棟

 

 

中部

関東

愛知県

東京都

神奈川県

千葉県

管理物件

1,190戸

55棟

74戸

5棟

147戸

4棟

165戸

6棟

内自社物件

854戸

29棟

147戸

4棟

165戸

6棟

 

 

九州

合計

福岡県

熊本県

管理物件

288戸

5棟

23戸

1棟

26,700戸

1,352棟

内自社物件

288戸

5棟

23戸

1棟

5,553戸

147棟

 

 店舗数は管理センター24ヶ所、賃貸仲介センター3ヶ所、マンスリーマンションの受付センター2ヶ所となっております。

 当社グループの事業内容及び当社と関係会社の当該事業に係る位置付けは次のとおりであります。

 

〔事業系統図〕

 事業系統図によって示すと次のとおりであります。

(注)当社子会社のアリーズ一般社団法人は、当社が信託受益権を保有する不動産物件に関する信託を受託し、同物件の管理処分を行っております。

 

 当社では、不動産管理事業と不動産賃貸事業を両輪とする事業展開を行っており、各事業の具体的内容は以下のとおりであります。なお、両事業は「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に掲げるセグメントの区分と同一であります。

 

(1)不動産管理事業

 当社は、不動産オーナー様(以下、オーナー様とする)の安定した賃貸経営に資するべく、入居者管理はもとより、ビルメンテナンス、売買仲介、賃貸仲介(リーシング)及びリフォーム工事などの賃貸経営に必要なサービスを提供しております。その中でも、入居者様に長期に渡って住み続けていただくことがオーナー様の収益の最大化に繋がるとの観点から、『入居率120%(空室待ちが発生している状態、家賃が下がらない状態)』の実現を目指し、入居者満足度を上げ、テナントリテンション(入居者保持)を実現するための様々な施策を行っております。

 具体的には、入居者様のお困りごとに迅速に対応するため、京都府に19ヶ所(京都市18ヶ所、宇治市1ヶ所)、滋賀県(大津市)・大阪府(大阪市)・愛知県(名古屋市)・東京都(渋谷区)、千葉県(松戸市)に各1ヶ所の管理センターを設けており、休日夜間についても緊急受付の窓口を設けることで24時間365日お部屋のトラブルに対応しております。管理センター(ベルヴィ)については、管理専門のスタッフ(レジデンシャルクリエイター)をマンション毎の担当制で配置しており、入居者様をサポートする体制となっております。また、当社管理物件の入居者様を対象としたイベント・キャンペーンとして、数千名規模で花火大会等に招待する「ベルヴィ夏祭り」、懸賞金が当選する抽選会「長栄チャポン宝゛(だから)くじ」、お食事券等のプレゼントキャンペーン「アゲちゃうベルヴィ」などを実施しております。

 一方、オーナー様に対しては、賃貸経営に必要なサービスをワンストップで提供できる企業を目指し、賃貸管理本部、アセットマネジメント本部、入居促進本部、リフォーム事業本部、不動産本部、開発コンサルティング部を設けております。

 ① 賃貸管理本部

  賃料収納、入退去管理、契約更新などの入居者管理、エレベーター点検、消防設備保守点検、貯水槽清掃、共用部清掃などのビルメンテナンス、原状回復工事をはじめ、マンション管理全般を担当する当社の主要部署であります。マンション管理業務についてはレジデンシャルクリエイターが担当し、オーナー様の賃貸経営をサポートしております。

  このほか、マンスリーマンション京都及びマンスリーマンション大阪において短期滞在者様向けのマンスリーマンションの賃貸及び家具・家電等の貸出を行うレンタル事業を行っております。

 ② アセットマネジメント本部

  自社物件について収益の最大化を図るため改修・修繕等の各種業務を担当しております。

 ③ 入居促進本部

  「Bellevie Club」(入居者様向け会員組織)の運営や、留学生向け入居サービスなど入居率及び入居者満足度を向上させるための各種業務を担当しております。

  なお「Bellevie Club」では、会員優待サービス、エアコンクリーニング割引サービス、家具割引サービス等の入居者様向けサービスを行っております。

 ④ リフォーム事業本部

  外壁塗装、設備入替、貯水槽清掃等、賃貸マンションのリフォーム全般を行っております。

 ⑤ 不動産本部

  売買仲介、賃貸仲介(リーシング)を行っております。

 ⑥ 開発コンサルティング部

  自社物件の取得に関する業務及び不動産管理業務を受託するための営業活動を行っております。

 

(2)不動産賃貸事業

 当社の不動産賃貸事業は主としてアセットマネジメント本部が担当しており、自社物件及びサブリース物件の賃貸を行っております。

 自社物件の取得については、原則として全額金融機関からの長期借入金により資金調達を行い、家賃収入の範囲内で余裕をもって返済が可能な収益性の高い物件を取得し、入居者様に賃貸しております。当社は、不動産管理事業で得たノウハウにより入居率の改善又は家賃の維持が見込めると判断した物件については、比較的築年数の古いものであっても積極的に取得しており、入居率の上昇及び高い家賃水準の維持を実現するため、取得後の改修工事や設備入替等のリフォーム工事についても積極的に行っております。なお、当社のサブリース契約は当事業年度末において3契約のみであり、積極的な契約締結は行っておりません。

 当社の自社物件については、借入金の返済原資は入居者様からいただく家賃であるとの考え方に基づき、入居者ファーストを徹底する文化が形成されております。また、自社物件は、不動産管理事業におけるオーナー様向けサービスのテストの場としても活用しております。さらに、当社の不動産管理事業に関する評判が確立していない新しい地域に進出する場合は短期間でオーナー様から管理業務を受託することは難しいため、進出当初に自社物件を購入し管理戸数のボリュームを一定程度確保しながら管理拠点を出店する手法をとっております。

 

(3)不動産管理事業と不動産賃貸事業の関係

 不動産管理事業では自社物件の管理も行っており、不動産賃貸事業での自社物件の増加が管理戸数の増加につながり原価低減に貢献しております。また、自社物件の取得は不動産管理事業における新規進出エリアの管理戸数のボリュームを確保するための手段となっております。さらに、自社物件はオーナー様向けサービスのテストの場としても活用しており、管理ノウハウの蓄積が管理受託物件の入居率の向上につながっております。

以上のように、当社は、不動産管理事業と不動産賃貸事業の相乗効果を活かして事業展開しております。

 

業績

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 ① 財政状態の状況

(資産)

 当事業年度末における流動資産は10,633,259千円となり、前事業年度末に比べ2,666,871千円増加いたしました。これは主に自社物件を2棟売却したことで、現金及び預金が2,667,877千円増加したことによるものであります。

 固定資産は50,017,745千円となり、前事業年度末に比べ1,132,292千円増加いたしました。これは物件売却があった一方、主に自社物件を12棟取得したことにより、有形固定資産が1,037,042千円増加したことによるものであります。

 以上の結果、当事業年度末における資産合計は60,651,005千円となり、前事業年度末に比べ3,799,164千円増加いたしました。

 

(負債)

 当事業年度末における流動負債は4,508,569千円となり、前事業年度末に比べ1,059,666千円増加いたしました。これは主に1年内償還予定の社債が260,000千円減少した一方、未払消費税等が500,212千円、未払法人税等が375,887千円及び1年内返済予定の長期借入金が178,856千円それぞれ増加したことによるものであります。

 固定負債は45,882,861千円となり、前事業年度末に比べ1,962,357千円増加いたしました。これは主に長期借入金が2,114,967千円増加したことによるものであります。

 以上の結果、当事業年度末における負債合計は50,391,431千円となり、前事業年度末に比べ3,022,024千円増加いたしました。

 

(純資産)

 当事業年度末における純資産合計は10,259,573千円となり、前事業年度末に比べ777,140千円増加いたしました。これは主に配当金の支払437,150千円により純資産が減少した一方、当期純利益1,256,294千円を計上したことによるものであります。

 

 ② 経営成績の状況

 当事業年度におけるわが国の経済は、社会活動が正常化したことによる経済活動の回復が一服して足踏みがみられたものの、雇用・所得環境が改善する中、緩やかな回復が継続しております。一方で、海外経済の回復ペース鈍化の影響によるわが国の経済への下押し圧力や、物価や賃金の上昇、金融政策の動向等については、引き続き注視が必要な状況です。

 このような環境の中、当社は自社物件の取得を積極的に進めました。また、管理獲得のための営業活動を推進し需要が回復したマンスリーマンション業務などに注力しました。

 これらの取組みの結果、当事業年度の経営成績は、売上高9,368,596千円(前期比2.3%増)となりましたが、前事業年度の収益に大きく貢献した不動産売買仲介案件の利益剥落の影響や過年度消費税の修正等で租税公課が増加したことにより、営業利益1,824,146千円(同21.7%減)、経常利益1,504,114千円(同24.9%減)、当期純利益1,256,294千円(同8.3%減)となりました。なお、当事業年度中に、自社物件2棟を売却しております。

 

 セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

 

(不動産管理事業)

 当社の不動産管理事業は、不動産オーナー様の安定した賃貸経営に資するべく、入居者管理に加えビルメンテナンス並びにリフォーム工事・賃貸仲介など、賃貸経営に必要なサービスを提供しております。入居者様に長期にわたり住み続けていただくことが、不動産オーナー様の収益の最大化に繋がるとの観点から、入居者満足度向上のための様々な施策を行っております。

 当事業年度の不動産管理事業においては、管理収入が堅調に推移したことに加えて、マンスリーマンションの需要が回復したことからマンスリー売上が増加した他、工事売上等も増加しましたが、前期に計上した大型不動産売買案件の仲介収入の影響などから減収減益となりました。これらの結果、売上高は3,797,210千円(前期比3.0%減)、営業利益は465,843千円(同45.0%減)となりました。

 

(不動産賃貸事業)

 当社の不動産賃貸事業は、物件の購入にあたって、資産効率が高い比較的築年数が経過している優良な物件を中心に、立地その他の条件や、概ね高い入居率が維持できるか等を総合的に勘案したうえで取得しております。物件取得後は、不動産管理事業で得たノウハウを活かした物件のリニューアル、地域に密着した店舗展開及び入居者サービス等で資産価値をさらに高めて、効率的な資産運用を行えるよう取り組んでおります。

 当事業年度の不動産賃貸事業においては、自社物件を12棟(愛知県4棟、福岡県2棟、京都府2棟、熊本県1棟、大阪府1棟、兵庫県1棟、千葉県1棟)取得したこと及び前事業年度に取得した物件が通年稼働したことにより増収となりましたが、租税公課増加の影響により減益となりました。その結果、売上高は5,571,385千円(前期比6.2%増)、営業利益は1,358,302千円(同8.4%減)となりました。

 

 ③ キャッシュ・フローの状況

 当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」とする)は、前事業年度末に比べ2,663,067千円増加し、9,802,653千円(前期比37.3%増)となりました。

 当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果増加した資金は3,218,611千円(前事業年度は2,015,688千円の増加)となりました。これは、税引前当期純利益1,876,067千円、減価償却費1,413,498千円などを計上したことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果減少した資金は2,016,124千円(前事業年度は5,657,977千円の減少)となりました。これは、有形固定資産の売却による収入3,097,886千円などがあった一方、有形固定資産の取得による支出5,128,033千円などにより資金が減少したことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果増加した資金は1,460,580千円(前事業年度は2,658,382千円の増加)となりました。これは長期借入金の返済による支出3,932,075千円、配当金の支払額437,150千円及び社債の償還による支出260,000千円などにより資金が減少した一方、長期借入れによる収入6,225,900千円などにより資金が増加したことによるものであります。

 

 ④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社が行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

b.受注実績

 当社が行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

c.販売実績

 当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

(単位:千円)

セグメントの名称

当事業年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

前期比(%)

不動産管理事業

3,797,210

97.0

不動産賃貸事業

5,571,385

106.2

合計

9,368,596

102.3

 (注)セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

 ① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この財務諸表の作成にあたって、損益又は資産の状況に影響を与える見積り、判断は、過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 当社の財務諸表は固定資産の比率が高いことから、当社の財務諸表で採用する重要な会計上の見積りのうち特に影響が大きいものは、固定資産の減損会計であります。詳細については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」をご参照ください。

 

 ② 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当事業年度の経営成績等の状況については、前述の「(1)経営成績等の状況の概要」をご参照ください。

 当社は、家賃収入の範囲内で余裕をもって返済が可能な収益性の高い物件を原則として全額借入金により取得することを不動産賃貸事業の成長戦略の柱としておりますので、物件取得が進むに従い自己資本比率は低下しますが、前述の「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 ② 財務健全性の確保」に記載のとおり、当社の財務健全性は高いと考えております。

 

 ③ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当事業年度のキャッシュ・フローの状況については、前述の「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 長期借入れによる収入6,225,900千円が、有形固定資産の取得による支出5,128,033千円を大幅に上回っているのは、前事業年度末に取得した賃貸物件(契約金額700,000千円)の借入実行(780,000千円)が当事業年度となったことによるものであります。

 

 ④ 経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社の報告セグメントは、不動産管理事業セグメント及び不動産賃貸事業セグメントから構成されます。

 不動産管理事業セグメントの主な収益は、管理受託契約に基づく管理収入、管理業務に附随する業務(リフォーム工事、不動産の売買仲介・賃貸仲介)などから得られる収益であり、経営成績に影響を与える要因は管理物件戸数及び管理物件の入居率であります。

また、不動産賃貸事業セグメントの主な収益は、家賃収入から得られる収益であり、経営成績に影響を与える要因は自社物件戸数及び自社物件の入居率であります。なお、自社物件の採算が悪化した場合、固定資産の減損会計が当社の経営成績に重要な影響を与える要因となる可能性があります。その他、経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであると認識しておりますが、各種対応策を実施することでリスク要因の低減を図ってまいります。

 

 ⑤ 経営者の問題意識と今後の方針について

 当社は、収益拡大及び原価低減を図るため管理物件戸数及び自社物件戸数の増加を重視する方針です。また、当社は入居者様の満足度を向上させ長期に渡って住み続けていただくことでオーナー様の収益の最大化を図ることを目標としており、具体的な指標として入居率の上昇を目指しております。

 

 ⑥ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標について

 当社の不動産管理事業における管理物件戸数と入居率及び不動産賃貸事業における自社物件戸数と入居率の推移は、次のとおりであります。

 

セグメント

 

2023年3月末

2024年3月末

増減

不動産管理事業

管理物件戸数(戸)

20,863

21,147

284

入居率(%)

96.2

97.1

0.9

不動産賃貸事業

自社物件戸数(戸)

5,141

5,553

412

入居率(%)

98.0

98.3

0.3