2024年3月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。当社はこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針であります。また、有価証券報告書に記載した事項は事業等に関連するリスクを全て網羅するものではありませんので、この点ご留意ください。

 

(1)法令・税制の変更に係るリスク及び許認可等について

 [発生可能性:低  発生可能性のある時期:特定時期なし  影響度:大]

 当社の事業に関しては、主として不動産・建築等に関連する各種の法令や条例による規制を受けております。当社が事業に関し取得している許認可等は以下のとおりであります。

許認可等の名称

有効期間

法令違反の要件及び主な許認可取消事由

許認可(登録)番号

賃貸住宅管理業登録

2021年8月13日から

賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律第23条

国土交通大臣登録(02)第0000400号

2026年8月12日まで

宅地建物取引業免許

2024年3月10日から

宅地建物取引業法第66条

国土交通大臣免許(8)第5066号

2029年3月9日まで

一般建設業許可(注)

2024年5月9日から

建設業法第29条

京都府知事許可(般-6)第30640号

2029年5月8日まで

一級建築士事務所登録

2022年6月28日から

建築士法第9条

京都府知事登録(04A)第01479号

2027年6月27日まで

住宅宿泊管理業者登録

2023年6月15日から

住宅宿泊事業法第42条

国土交通大臣登録(02)第F00072号

2028年6月14日まで

(注)一般建設業許可は、建築工事業、大工工事業、屋根工事業、タイル・れんが・ブロック工事業、鋼構造物工事業、塗装工事業、内装仕上工事業であります。

 

 当社は、法令遵守に留意した事業活動を行っており、提出日現在において、当該許認可等が取消となる事由は発生しておりませんが、今後、何らかの理由により許認可等の取消等があった場合、当社の事業活動に支障をきたすとともに、当社の経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 また、将来において当社事業に関連する各種法令等の改廃や新設があった場合や、各種税制の変更があった場合、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)不動産市況動向等に係るリスク

 [発生可能性:中  発生可能性のある時期:中期的  影響度:大]

 賃貸住宅需要は景気の動向やそれに伴う雇用環境等に影響を受けやすく、景気の後退やマンションの供給過剰等により、不動産市況が停滞あるいは下落した場合、賃貸住宅用不動産の入居率又は賃料水準が低下することが考えられます。

 この場合、不動産管理事業においては、管理物件にかかわる管理収入が、不動産賃貸事業においては、自社物件の家賃収入が減少する等、当社の経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

 

(3)自然災害、人災等に係るリスク

[発生可能性:中  発生可能性のある時期:特定時期なし  影響度:大]

 近年では、地球温暖化の影響と考えられる風水害等の気象災害や、震度5を超える大きな地震が全国各地で発生していることから、自然災害における被害が激甚化する傾向にあります。当社は、全国各地に管理物件及び自社物件を有していることから、風水害や地震等の自然災害による物件の毀損や滅失又は劣化が想定されます。また、事故・火災・戦争・暴動・テロその他の人災が発生した場合も、自然災害と同様に管理物件及び自社物件が毀損・滅失又は劣化することが想定されます。

 管理物件及び自社物件が、毀損・滅失又は劣化することにより管理収入・家賃収入が減少し、自社物件については修復のための費用負担が発生する可能性があり、当社の経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)情報セキュリティに関するリスク

[発生可能性:中  発生可能性のある時期:特定時期なし  影響度:中]

 当社は、事業を行うにあたりオーナー様、入居者様等の個人情報や当社と取引関係にある企業の営業上の情報及び当社の経営に関する情報等を保持・管理しております。コンピュータウイルスの感染や当社サーバーへの不正アクセス等により、これらの情報が漏洩又は消失等した場合は、信用の失墜、損害賠償請求、業務の中断、復旧費用等の発生により、当社の経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 なお、当社は、情報セキュリティの脅威に対して、基幹システムをクラウド化することでリスクを分散、EDRによる検知アラート・収集情報の全体調査及び能動対処等により不正アクセスやマルウェア感染に対する24時間監視体制を築き、発生時の被害を最小限に留める等の対策を講じております。

 

(5)金利上昇リスク

[発生可能性:中  発生可能性のある時期:特定時期なし  影響度:中]

 当社は、不動産賃貸事業において、自社物件を購入する際にその全額を金融機関からの借入金にて調達し購入していることから、当社の有利子負債比率は一般的に適正とされる比率よりはかなり高い水準となっております。そのため、金利の急激な上昇が発生した場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社の基準に見合う利回りが確保できる物件がない場合や、資金面で当社が求める基準での調達ができない場合は、計画どおりに新規に物件を取得することが難しくなり、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)固定資産の減損リスク

[発生可能性:中  発生可能性のある時期:特定時期なし  影響度:中]

 当社の保有資産について、固定資産における賃貸用不動産が多く占めております。不動産市況の著しい悪化により、保有資産の時価の著しい下落が認識された場合、減損会計を適用することとなり、当社の経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)競合について

[発生可能性:中  発生可能性のある時期:長期的  影響度:中]

 不動産管理事業においては、既存競合他社が多数存在し、競争激化による影響を受けやすい業界構造となっております。当社は、管理物件はもとより自社物件についても管理を行っているため、スケールメリットによる原価低減及びノウハウの蓄積等により不動産管理について高い競争力を有していると自負しておりますが、競合他社の動向によっては当社の経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)少子高齢化リスク

[発生可能性:高  発生可能性のある時期:長期的  影響度:中]

 当社が保有・管理している不動産は単身者向けの比率が高く、大多数は学生人口の多い京都府にあります。

 日本国内では少子高齢化が進んでおり、今後18歳人口の減少を受けて、学生数が減少する可能性があります。そのため、単身者向け賃貸物件の供給過剰状態が加速することにより、家賃を値下げすることや空室率が上昇することで、家賃収入及び管理収入が減少する可能性があり、当社の経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)不動産の欠陥・瑕疵について

[発生可能性:低  発生可能性のある時期:特定時期なし  影響度:中]

 不動産賃貸事業において、当社が不動産の取得を行うにあたっては不動産の権利、構造、環境等に関する欠陥や瑕疵等により予期せぬ損害を被る可能性がないよう、当該不動産の綿密な調査を行い、慎重な対応に注力しておりますが、取得した不動産に欠陥や瑕疵等があった場合には、瑕疵の修復などの追加費用等が生じる場合があります。

 一方で、当社の保有する不動産を売却する場合において、当該不動産の欠陥や瑕疵等について当社の責任が問われた場合には、買主より契約解除や損害賠償請求を受け、また、瑕疵の修復などの追加費用等が生じることにより当社の経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)地域偏在に係るリスク

[発生可能性:低  発生可能性のある時期:特定時期なし  影響度:中]

 当社が保有・管理している不動産は、近畿、中部、関東、九州に所在しておりますが、その大多数が京都府にあります。そのため、この地域の条例の規制(例えば京都市の景観条例による建築物、屋外広告物等の規制)がより厳しくなった場合、対応するための費用が発生する可能性があり、当社の業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 また、当該地域における地震その他の災害、地域経済の悪化等により、管理収入、家賃収入が減少する等、当社の経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)代表取締役への依存について

[発生可能性:高  発生可能性のある時期:特定時期なし  影響度:中]

 当社の代表取締役である長田修は、当社の創業者であり、創業以来、経営者として経営方針や経営戦略を決定すると共に、新規事業の事業化に至るまでの重要な役割を担っております。

 当社では、役員及び幹部社員の情報共有や経営組織の強化を図り、長田修に過度に依存しない経営体制の整備を進めておりますが、何らかの理由により長田修の業務執行が困難になった場合には、当社の経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)人材の確保及び育成について

[発生可能性:低  発生可能性のある時期:特定時期なし  影響度:中]

 当社の将来の成長は人的資源に大きく依存するため、専門性の高い不動産管理の知識と豊富な経験を有する人材の確保と育成が不可欠であります。したがいまして、今後も中途採用並びに新卒採用、人事制度の充実等により、優秀な人材の確保と育成に積極的に取り組んでいく方針でありますが、当社の求める人材の確保・育成が充分にできない場合や、当社の役職員が大量に社外に流出した場合には、当社の経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13)外国人留学生について

[発生可能性:中  発生可能性のある時期:短期的  影響度:小]

 当社の事業は、留学生などの外国人顧客の動向により少なからず影響を受けております。

 外国人顧客は、日本の留学生受入政策、経済状況、為替相場、外交政策による対日感情、自然災害、事故、疫病等の影響を受ける可能性があり、これらの状況の変化により外国人顧客が減少した場合、当社の経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(14)レピュテーションリスク

[発生可能性:中  発生可能性のある時期:特定時期なし  影響度:小]

 当社は、法令遵守、当社事業におけるサービスの品質・安全性の確保に努めております。しかしながら、報道やSNSを含むインターネット等により当社の風評が拡散された場合、または、当社が属する業界において重大な問題が発生した場合、当社のイメージや社会的信用が低下し、当社の経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(15)外注業務について

[発生可能性:低  発生可能性のある時期:特定時期なし  影響度:小]

 当社は管理物件及び自社物件の大修繕工事、原状回復工事等について、外注比率が高いため、当社の選定基準に合致する外注先を十分に確保できない場合や、外注先の経営不振や繁忙期等により工期が遅延する場合、あるいは、労働者の不足に伴い外注価格が上昇する場合等には、当社の経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(16)業務運営に係るリスク

[発生可能性:低  発生可能性のある時期:特定時期なし  影響度:小]

 当社の事業の事務処理は煩雑で件数も膨大であり、業務運営上の事務処理リスク、また管理業務上の事務リスクや不正リスクなどのオペレーショナルリスクが存在します。

 当社では、これらのリスクの軽減を図るため、システム管理等の業務基盤の整備を進めるとともに、業務管理体制の強化を図っておりますが、事務処理における事故・不正等が発生することにより、当社の経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(17)訴訟の可能性について

[発生可能性:低  発生可能性のある時期:特定時期なし  影響度:小]

 当社は当事業年度末現在において、重大な訴訟を提起されている事実はありませんが、事業活動の遂行過程において、取引先及び従業員等により提起される訴訟その他の法的手続の当事者となるリスクを有しております。これらの手続は結果の予測が困難であり、多額の費用が必要となることや、当社の責任を問うような判断がなされた場合には、当社の経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(18)労務管理について

[発生可能性:低  発生可能性のある時期:特定時期なし  影響度:小]

 当社は、法令に基づく適正な労務管理などにより、労務関連リスクの低減に取り組んでおりますが、労務関連のコンプライアンス違反(雇用問題、ハラスメント、人権侵害等)が発生した場合、争訟の発生、会社イメージの低下等により、当社の経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

配当政策

3【配当政策】

当社は、株主の皆様に対する利益還元を経営の最重要課題のひとつと位置づけ、財務体質の強化と積極的な事業展開に必要な内部留保の充実を勘案のうえ安定した配当政策を実施することを基本方針としております。また、配当につきましては、年1回期末配当にて剰余金の配当を行うことを基本方針としており、今後も中長期的な視点に立って、成長が見込まれる事業分野に経営資源を投入することにより、持続的成長と株主価値の増大に努めてまいります。

これらの剰余金の配当の決定機関は期末配当については株主総会、中間配当については定款に基づき取締役会であります。

当事業年度の期末配当金につきましては、1株につき107円の配当(通常配当80円、特別配当27円)の実施を決定いたしました。

内部留保資金につきましては、今後の持続的成長のための投資原資として活用する予定であります。

 なお、当社は取締役会の決議により毎年9月30日を基準日として中間配当を行うことができる旨を定款に定めております。

 当事業年度に係る剰余金の配当は次のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額

(千円)

1株当たり配当額

(円)

2024年6月26日

467,718

107

定時株主総会決議