リスク
3 【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 商品調達と価格変動について
当社グループにおける商品の仕入ルートは、総合卸、総合商社等からの安定的な供給に加え、他業態(大手コンビニエンスストア等)における商品政策の変更等によりメーカーや商社等に返品された商品を相対的に低価格で買い付けるスポット仕入もあります。この結果、一般消費者に対しては価格訴求力のある商品を販売でき、かつ当社グループも適切な売上総利益を確保しております。
しかしながら、メーカーサイドにおけるフードロス等の抑制に伴う流通量の減少や物価高等の影響で総合卸、総合商社等からの仕入単価上昇などを要因に低価格でのスポット仕入の機会が減少する等のリスクが顕在化しております。
特に、主力商品である「ペットボトル飲料」については、連結子会社である株式会社尚仁沢ビバレッジにおいて倉庫を新設し、フル生産しても保管できる体制を構築し「ジェーソン」店舗への安定供給を実施しておりますが、メーカーサイドからの流通量減少や総合卸、総合商社等からの安定的な商品供給の減少等により低価格でのスポット仕入の機会が減少した場合には、仕入価格の高騰に伴う販売価格の上昇により、当社グループのロープライス戦略が変更を余儀なくされ、経営成績等に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(2) 競合の激化について
当社は主に、「EDLP(エブリディ・ロープライス)」及び「ショートタイムショッピング」をコンセプトとするバラエティ・ストア「ジェーソン」店舗を運営しております。「ジェーソン」店舗での取扱商品は、コンビニエンスストア、ドラッグストア、100円ショップ、スーパーマーケット等の異なる業態と重複するものも多く、加えて近年、EC市場の拡大が加速しており、常にこれらの業態と競合するリスクが顕在化しております。
ローコストオペレーションによる経費コントロールの徹底、「オリジナル商品」や「JV商品」等の継続的な投入などで収益性の高い魅力的な店舗作りを行うなど対策しておりますが、業種業態の垣根を越えた競合が激化し特に販売価格競争で優位性を失うような場合には、売上高の減少に伴う収益の悪化により、当社の経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 出店計画について
当連結会計年度末現在、「ジェーソン」店舗の出店状況は、直営店115店(千葉県33店、埼玉県29店、東京都26店、茨城県18店、群馬県5店、栃木県4店)及びFC店1店となっております。
現在、全店舗への商品の配送は、茨城県つくばみらい市及び埼玉県日高市にある物流センターから自社配送にて行っており、当面の出店予定地域は、両物流センターから2時間以内に商品配送できる地域を考えております。
出店先の選定については店舗の事業性および採算性をもっとも重視しており、初期投資額、敷金・保証金や賃借料等の出店条件、敷地面積、店舗面積、商圏人口等を考慮し、居抜き物件を中心に情報収集しておりますが、不動産市場の状況等により居抜き物件が減少する等のリスクが顕在化しております。
引き続き、付加価値の高い商品ラインナップを維持しつつ、ローコストオペレーションによる経費コントロールの徹底を継続し収益力を高め、魅力的な物件に対して賃料価格交渉での優位性を確保する所存ですが、居抜き物件が不動産市場に少ない場合や賃料価格が割高で当社の条件と合致しない場合は、出店計画を変更することもあるため、これに伴って将来の売上高の増加が見込めなくなり、当社の経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 固定資産の減損について
当社は、キャッシュ・フローを生み出す最小単位として、店舗を個別にグルーピングしております。
「ジェーソン」店舗は、競合の激化に伴う収益力の低下や、立上直後の店舗において様々な要因により開店当初の事業計画に到達しない等のリスクが顕在化しております。また、不動産市場の変化によっては土地等の時価が著しく下落するリスクが潜在しております。
ローコストオペレーションによる経費コントロールの徹底、「オリジナル商品」や「JV商品」等の継続的な投入などで、収益性の高い魅力的な店舗作りを行うなど対策を講じておりますが、収益力の低下や開店当初の事業計画から営業損益が著しく下方へ乖離している店舗が存在した場合は、当該固定資産等について減損会計を適用し、減損損失を計上し当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(5) PB商品について
当社は、主力商品である「ペットボトル飲料」についての需要増加等に対応するため、連結子会社である株式会社尚仁沢ビバレッジにおいてオリジナル商品「尚仁沢の天然水」の生産拡大および安定供給を実現しております。
今後、外部への製造委託やM&Aを通じて新たなPB商品の開発等による高粗利率を目指していく所存ですが、不測の事態の発生等による製品停止やPB商品の販売不振・依存度上昇等のリスクが潜在しております。
製造機械の定期メンテナンス等の徹底や新規PB商品に関する情報収集の強化など対策を講じておりますが、不測の事態が発生するなどの場合、オリジナル商品等に係る「ジェーソン」店舗での販売機会の喪失など、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(6) ITへの依存について
当社グループは、適正在庫の維持と商品発注に係る作業時間の短縮を目的とする商品自動補充発注システム「JIOS」やJPOSレジ等を自社開発しており、他社製品では発生するメンテナンス費用等を大幅に削減しております。しかしながら、近年増加しているランサムウェア等のサイバー攻撃やサーバーへの不正アクセス、従業員の過誤によるネットワーク障害等が発生することによって、店舗運営等に支障が生じ、場合によって自社ITシステムを維持できないリスクが潜在しております。
日常における監視体制の強化やバックアップ体制の整備等、適切なセキュリティ対策を講じておりますが、自社ITシステムの停止等不測の事態が生じた場合には、多額なIT投資の発生や高額メンテナンス費用等が発生し、当社グループのIT戦略が変更を余儀なくされ、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 人材確保等について
当社グループでは、今後の事業拡大を図るため、パート社員を含めた優秀な人材の確保と育成が必要不可欠であると認識しております。しかしながら、雇用環境の変化等に伴い、小売業界においては優秀な人材の確保が困難となる可能性も想定されており、当社グループの今後の事業規模の拡大に応じた優秀な人材を確保できなくなるリスクが潜在しております。
賃上げ等による従業員への処遇改善や中途採用を含め多様な採用を進めるなど対策を講じておりますが、新卒採用の計画未達や商品仕入等に係る優秀な従業員の退職等が発生した場合には、募集費用の増加や商品仕入の停滞等によって当社の経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(8) エネルギーコストについて
当社グループは、「人々の生活を支えるインフラ(社会基盤)となる」ことを目指し、安くて便利なバラエティ・ストア「ジェーソン」を展開するため、ローコスト経営によって生み出される利益を販売価格に還元し続けることで、お客様から一定数の支持を頂いているものと認識しております。しかしながら昨今、円安の長期化等により輸入コスト等が高騰しており、これらの影響に伴って電気料金や燃料費等が高騰し、当社グループの強みであるローコスト経営の維持が厳しくなりつつある等のリスクが顕在化しております。
店舗等による徹底した節電や電気料金単価の見直し、自社物流においては配送効率の深化など対策しておりますが、今後、更に輸入コスト及びエネルギーコストが上昇した場合、営業利益の減少に直結するため当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 大規模自然災害等について
当社グループは、首都圏を中心に1都5県において「ジェーソン」店舗、物流センター及び飲料水製造工場を展開しております。近年特に、1年を通じた高温傾向による天候不順や大型台風の発生、集中豪雨による自然災害等が頻発しており、自然災害等が首都圏に集中することにより店舗運営等を停止せざるを得ないリスクが潜在しております。
損害保険に加入することなどの対応をしておりますが、大規模自然災害等が発生した場合には、「ジェーソン」店舗の一時的な閉鎖や改修費用の増大、物流センターの活動停止等により、店舗への商品供給能力に支障が生じ、欠品による販売機会の喪失が発生し売上高が減少するなど当社グループの経営成績等に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(10) 賃借物件について
当社は、投資額を最小限に抑えるために95%以上の「ジェーソン」店舗及び物流センターが賃貸借物件であり、契約時には賃貸人に対する与信管理を徹底しております。
賃貸借期間は当社と賃貸人との合意により更新可能でありますが、賃貸人側の事情による賃貸借契約の不更新等により、業績が好調な店舗等であっても契約条件によっては一定期間での閉店等を余儀なくされ、売上高の減少要因となる可能性があります。
また、当社は賃貸人に対して預託金を差し入れており、当該預託金には契約終了時に一括で返還される敷金と、数年から最長20年にわたり分割によって返還を受ける保証金(建設協力金)がありますが、賃貸人に生じた倒産その他の事由等によっては、回収ができなくなるリスクが潜在しております。
そのような場合には、貸倒損失を計上し、当社の経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(11) 法的規制等について
当社グループは、会社法、労働基準法等の一般的な法令に加え、「食品衛生法」、「容器包装リサイクル法」、「個人情報保護法」、「酒税法」、「消防法」、「下請法」、「障害者差別解消法」等、様々な法的規制を受けております。加えて今後については、地球環境問題における気候変動リスクが潜在しております。
現時点では、重大な法令違反又は経営戦略の変更が必要となるような法的規制はありませんが、既存法令の強化や新規法令の施行内容等によっては、新たな費用が発生することが考えられます。
これらの法的規制等に対応すべく社内を横断的に統括する「リスク管理委員会」を設置し予防策等を策定するなど対策を進めておりますが、今後、これに対応するための新たな費用の発生等により、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
配当政策
3 【配当政策】
当社は、株主の皆様への利益還元を経営の重要課題のひとつと考えており、将来の事業展開と財務体質の強化等のための内部留保を確保しながら、安定した配当を継続実施していくことを基本方針としております。
当社の剰余金の配当は、原則として年1回を基本的な方針としており、決定機関は株主総会であります。
当事業年度の剰余金の配当につきましては、上記方針に基づき、1株当たり13円(配当総額166,552千円)の配当支払いを2025年5月28日開催の定時株主総会において決議し、実施しました。この結果、第40期の連結配当性向は48.2%となりました。
内部留保資金の使途につきましては、将来の大きな投資への備えと店舗開発等に有効活用していくこととしております。
また、当社は、株主の皆様の日頃からのご支援に感謝するとともに、当社株式への投資の魅力を高め、より多くの方々に中長期的に当社株式を保有していただき当社のファンとなっていただくことを目的として、当事業年度において株主優待制度を拡充し、保有株式数500株以上で且つ保有期間1年以上の株主様を対象にした長期保有者制度を導入しております。
なお、当社は「取締役会の決議によって、毎年8月31日を基準日として中間配当をすることができる。」旨を定款に定めております。