人的資本
OpenWork(社員クチコミ)-
社員数23名(単体) 2,767名(連結)
-
平均年齢41.2歳(単体)
-
平均勤続年数8.0年(単体)
-
平均年収5,781,000円(単体)
従業員の状況
5【従業員の状況】
(1)連結会社の状況
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2025年2月28日現在 |
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セグメントの名称 |
従業員数(人) |
|
日本レストランシステムグループ |
1,432 |
(3,993) |
ドトールコーヒーグループ |
1,053 |
(3,740) |
その他 |
247 |
(404) |
全社(共通) |
35 |
(1) |
総計 |
2,767 |
(8,138) |
(注)1.従業員数は就業人員であり、臨時雇用者数は( )内に年間の平均人員を外数で記載しております。
2.全社(共通)として記載されている従業員数は、特定の事業に区分できない管理部門に所属しているものであります。
(2)提出会社の状況
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2025年2月28日現在 |
従業員数(人) |
平均年齢(歳) |
平均勤続年数 |
平均年間給与(千円) |
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23 |
41.2 |
8年 |
5ヶ月 |
5,781 |
(3)労働組合の状況
労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。
(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異
① 提出会社
提出会社は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。
② 連結子会社
2025年2月28日現在 |
当事業年度 |
|||||
名称 |
管理職に占める女性労働者の割合(%) (注1、4) |
男性労働者の育児休業取得率(%) (注2、5) |
労働者の男女の賃金の差異(%) (注1、3、4) |
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全労働者 |
正規雇用労働者 |
パート・有期労働者 |
|||
㈱ドトールコーヒー |
11.34 |
66.67 |
77.65 |
79.37 |
100.27 |
日本レストランシステム㈱ |
5.33 |
20.00 |
76.95 |
75.25 |
98.47 |
D&Nコンフェクショナリー㈱ |
11.11 |
- |
63.82 |
71.75 |
97.23 |
㈱サンメリー |
12.50 |
- |
64.58 |
83.94 |
99.87 |
日本レストランデリバリー㈱ |
公表対象外 |
公表対象外 |
65.22 |
80.61 |
77.71 |
エフアンドエフシステム㈱ |
公表対象外 |
公表対象外 |
80.27 |
90.78 |
99.68 |
㈱Les Deux |
15.79 |
- |
75.06 |
84.25 |
94.73 |
(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の割合を算出したものであります。なお、対象者がいない場合は「-」と記載しております。
3.当社グループの人事制度では、賃金制度・体系において性別による差異はありません。男女の賃金の差異は主に男女間の管理職比率および雇用形態の差異、パート・有期労働者の雇用契約内容の差異によるものです。
4.出向者は出向元の労働者として集計しております。
5.出向者は出向先の労働者として集計しております。
サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)
2【サステナビリティに関する考え方及び取組】
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)ガバナンス
当社グループは、お客様、取引先、株主、従業員、それぞれのステークホルダーに満足頂き、食文化の創造と紹介を通じて環境・社会課題の解決と持続可能な社会の構築に貢献することを基本理念として、2022年3月、サステナビリティ委員会を設置いたしました。
サステナビリティ委員会は、当社取締役会で決定された6名で構成されており、委員長は当社取締役の中から選任されております。また事務局は、当社、株式会社ドトールコーヒー及び日本レストランシステム株式会社から選任され、取締役会で決定しております。
サステナビリティ委員会は、グループのサステナビリティ活動に関する全体計画の立案、マテリアリティを特定し、進捗状況のモニタリングなどを通して、定期的に取締役会へ報告・提言をしており、また、必要に応じてリスク・コンプライアンス委員会への報告を行うことで取締役会と連携しております。取締役会においては、進捗状況の妥当性等を議論・監督し、その内容を各種施策に反映しております。
(2)戦略
① マテリアリティ
当社グループは、お客様、取引先、株主、従業員、それぞれのステークホルダーに満足頂き、食文化の創造と紹介を通じて環境・社会課題の解決と持続可能な社会の構築に貢献することを基本理念としております。サステナビリティに関する施策を推進するにあたり、既存取り組みの整理とこれから行うべき取り組みをまとめ、当社グループにとってのマテリアリティを抽出いたしました。その上で、ステークホルダーにとっての重要度を取り入れるべく、お客様、取引先、株主、従業員をはじめとする様々なステークホルダーへのヒアリングを実施し、その結果を元にステークホルダーにとっての重要度と、当社グループにとっての重要度の2軸の観点でマテリアリティを特定し、取締役会にて決議いたしました。
特定した8つのマテリアリティは、基本理念に基づいた3つの重要課題領域(豊かな社会の実現、地域や地球の持続性、平和で公正な環境)に関連付けられており、当社グループはそれらを推進することで、基本理念の実現を目指しております。
重要課題領域 |
マテリアリティ |
主な取り組み |
豊かな社会の実現 |
製品の安全安心 |
製品の安全安心の追求 |
コーヒー産地の保全 |
コーヒー生産者の労働環境保護 |
|
コーヒー生産国の生産環境保護 |
||
地域や地球の持続性 |
気候変動への対応 |
温室効果ガス排出の削減 |
持続可能な調達 |
責任ある調達に関する基本方針の推進 |
|
環境保全に配慮した原材料の調達 |
||
資源循環型社会実現への貢献 |
脱プラスチックの推進 |
|
リサイクルの推進 |
||
食品ロス削減 |
流通在庫の食材廃棄削減 |
|
平和で公正な環境 |
多様な人材の活躍 |
人材育成の推進 |
ダイバーシティの推進 |
||
ワークライフバランスの推進 |
||
ガバナンスの強化 |
コンプライアンスの徹底 |
|
リスクマネジメントの強化 |
② マテリアリティ「製品の安全安心」に関する事項
当社グループは、「常に最高の品質を追求し、安全で安心な価値ある商品を提供する」ことを行動規範の一つとして掲げております。重大な製品事故の発生や法令違反、サプライチェーン上の品質管理不備といったリスクを認識し、これらを未然に防ぐために、製造から提供に至るすべてのプロセスで厳格な安全基準を適用するとともに、迅速な対応が可能な危機管理体制を構築しております。また、安全で高品質な製品の提供による企業価値の向上、迅速な危機管理対応による社会的信用の維持といった機会を捉え、継続的な改善に取り組んでおります。これらの取り組みを通じて、お客様に安全と安心を提供し、信頼関係を深めることで、企業価値の向上と持続的な成長を実現してまいります。
リスク |
機会 |
●重大な製品事故の発生による顧客の離反及び信用の低下 ●法令違反による制裁措置及び事業継続の困難化 |
○安全で高品質な製品の提供による企業価値の向上 ○迅速な危機管理対応によるリスクの低減 |
③ マテリアリティ「コーヒー産地の保全」に関する事項
当社グループは、持続可能な事業活動を実現するための基盤として、コーヒー産地の保全をマテリアリティの中でも優先課題と位置づけております。気候変動の影響により、2050年にはアラビカ種コーヒーの栽培地が半減する可能性が指摘される「コーヒーの2050年問題」をはじめ、生産地の環境負荷や労働環境の悪化などにより、持続的な調達が困難になるリスクが高まっております。特に、生産量の減少に伴う供給不足は調達コストの上昇を招き、事業運営への影響が懸念されます。こうしたリスクに対応するため、当社グループは、気候変動の影響を受けにくい生産地からの調達を含めた調達地域の多様化を検討し、安定供給の確保を図ってまいります。同時に、生産者支援の強化や森林保全などの環境対策を推進し、持続可能な生産基盤を整えることで、コーヒー産地の保全にも取り組んでまいります。これらの取り組みには一定のコストが伴いますが、公正価格での取引や生産者の生活環境の改善を通じて農園の生産性向上につなげることで、長期的にはコスト上昇リスクの抑制にも寄与すると考えております。一方で、公正価格での取引の推進や環境負荷の低減、生産者の労働環境改善を通じて、安定的なサプライチェーンの構築や企業価値の向上といった機会の創出にも取り組んでまいります。今後も、調達パートナーや現地コミュニティとの連携を一層強化し、コーヒー豆の持続可能な調達と企業価値の向上を実現してまいります。
リスク |
機会 |
●コーヒー生産地の減少による調達の不安定化及びコストの上昇 ●労働環境の悪化による生産者の離脱及び生産量の低下 |
○パートナーシップ強化によるコーヒー豆調達の安定化 ○公正価格取引や環境対策の推進による企業価値の向上 |
④ マテリアリティ「気候変動への対応」に関する事項
当社グループの事業は、コーヒー豆をはじめとする原材料の調達や生産・物流プロセスにおいて、気候変動の影響を受ける可能性があります。気候変動は世界的な課題であり、当社グループの事業や中長期的な戦略にも大きな影響を及ぼすため、重要課題の一つとして認識しております。そのため、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言を踏まえ、シナリオ分析を実施し、気候変動がもたらすリスクと機会を評価いたしました。今後も、分析結果をもとに対応策を適宜検討し、具体的な取り組みを強化してまいります。
(ア)シナリオ分析の前提
当社グループは、気候変動に伴うリスクと機会について、その重要性に応じて短期・中期・長期の視点から特定いたしました。今後も、社会環境の変化を踏まえ、定期的に分析・評価を見直してまいります。リスクと機会の特定にあたっては、国際エネルギー機関(IEA)などの公表するシナリオを活用し、当社グループ事業への影響を評価いたしました。その際、移行リスク・物理リスク・機会の3つに分類し、それぞれのカテゴリーごとに想定される事象、事業への影響、影響度と発現時期、及び対応策を整理しております。
(イ)特定したリスク及び機会
リスク・機会 |
事業への影響 |
影響度 |
発現 時期※ |
対応策 |
||
移行リスク |
法規制・政策 |
炭素税の導入による素材コストの上昇 |
包装資材や原材料価格の上昇に伴う売上原価の増加 |
中 |
中期 |
・代替素材の活用を検討 ・サプライヤーとの連携によるコスト上昇の抑制 ・再生可能エネルギーの活用推進 |
エネルギーコストの上昇 |
脱炭素化の進展によるエネルギー需給の変化に伴う、石油や電力の価格高騰を背景とした、店舗や工場のエネルギーコスト上昇による事業運営への影響の恐れ |
中 |
中期 |
・エネルギー効率の改善 ・省エネルギーの推進 |
||
市場 |
環境に配慮した商品に対する消費者のニーズ拡大 |
環境配慮型商品の需要増加への対応不足による、消費者支持の喪失、競争力の低下及び収益減少の可能性 |
中 |
長期 |
・環境配慮型商品の開発強化 ・環境配慮型商品の認知向上 |
|
気候変動対応の遅れに対する顧客・株主の懸念の高まり |
気候変動への対応不足による、企業評価の低下、企業価値の毀損及び株価下落リスクの発生 |
中 |
中期 |
・気候変動対応の体制整備と、ステークホルダーへの適切な情報開示 |
||
物理リスク |
サプライチェーン |
異常気象による自然災害の頻発・甚大化 |
工場や店舗の浸水リスクの高まりによる、操業停止や撤退の可能性に加え、資産損害発生の恐れ |
大 |
中~ 長期 |
・洪水リスク評価に基づく防災対策の強化 ・事業継続計画(BCP)に基づくリスクマネジメント体制の整備 |
甚大な自然災害によるサプライチェーン分断に伴う、店舗営業の停止及び販売先への供給不全の発生 |
大 |
中~ 長期 |
・仕入先や物流ルートの多様化による代替手段の確保 ・サプライヤーとの連携強化によるリスクの分散 ・BCPの整備と定期的な見直し・訓練 |
|||
異常気象による、小麦・パーム油などの生産量減少に伴う原材料価格高騰の可能性 |
中 |
中~ 長期 |
・調達先の多様化による供給リスクの分散 ・代替原材料の活用 ・気候変動リスクを考慮した長期的な調達戦略の策定 |
|||
異常気象によるコーヒー豆生産量の減少及び調達困難化に伴う売上原価高騰の恐れ |
大 |
長期 |
・生産地支援の強化 ・主要サプライヤーとの関係強化 ・供給元の多様化 |
|||
機会 |
商品 |
気候変動に対応した商品の需要拡大 |
・気候影響度の低い生産地で収穫された原料や、気候変動に強い品種を活用した商品開発による差別化と収益向上 ・気温上昇に伴う商品の需要拡大に対応した、コーヒー・飲料等の開発による市場機会の創出 |
中 |
長期 |
・熱中症対策商品の開発・販売の強化 ・消費者への啓発活動を通じた市場の創出 |
サプライチェーン |
サプライチェーン全体における輸送の効率化 |
AI・IoTを活用したサプライチェーンの大規模な最適化や、電池など電動車関連技術の採用による物流の変革 |
中 |
中期 |
・サプライチェーンパートナーとの連携強化やデータ可視化による効率化・コスト削減 ・エコ物流の推進(低炭素輸送手段の導入、輸送ルートの最適化など) |
※ 発現時期:●短期 3年以内、●中期 2030年度まで、●長期 2050年度まで
⑤ マテリアリティ「持続可能な調達」に関する事項
当社グループは、サプライチェーンにおける環境・社会課題への対応が求められる中、調達プロセスの透明性欠如による信用低下、環境負荷の高い原材料使用による規制対応コストの上昇といったリスクを認識しております。一方で、持続可能な調達基準の導入による競争優位性の確立、エシカル消費の拡大による市場機会の創出、環境配慮型原材料の採用によるコスト最適化と規制対応の推進といった機会も見出しております。これらのリスクを回避し、機会を最大限に活かすため、当社グループはグループ全体で「調達ガイドライン」の策定を進めております。そのガイドラインに基づきサプライヤーとのエンゲージメントを深めることで、調達プロセスの透明性と公正性を確保し、人権や労働環境への配慮、地域社会との共生を重視した取り組みを推進してまいります。また、環境保全に配慮した原材料の積極的な採用を通じて、温室効果ガスの削減や生態系の保護に努め、次世代に向けた持続的な発展を目指してまいります。
リスク |
機会 |
●サプライチェーンの透明性欠如による信用の低下 ●環境負荷の高い原材料使用による規制対応コストの上昇 |
○持続可能な調達基準の導入による競争優位性の確立 ○エシカル消費の拡大による市場機会の創出 ○環境配慮型原材料の採用によるコストの最適化と規制対応の強化 |
⑥ マテリアリティ「資源循環型社会実現への貢献」に関する事項
当社グループは、資源循環型社会の実現に向けた取り組みを推進するにあたり、環境対応に関する規制強化に伴う対応負担の増大、資源枯渇に伴う調達リスクの拡大、さらに環境負荷への対応不足に対する批判による企業イメージの低下をリスクとして認識しております。一方で、環境意識の高まりに伴う市場機会の拡大、資源利用の効率化によるコストの削減、資源循環の促進による企業価値の向上を機会と捉えております。これらのリスクと機会に対応するため、当社グループは使い捨てプラスチック容器や包装資材の使用量削減を進めるとともに、紙製やバイオマスプラスチックといった環境配慮型の代替素材への切り替えを推進しております。また、廃棄物削減やリサイクルの促進を通じて資源の効率的な活用を図り、自社工場では食品廃棄物のリサイクル率向上や製造工程の改善に努めております。さらに、これらの取り組みにより、環境負荷の低減だけでなくコスト削減にも寄与し、資源循環の促進による企業価値の向上にもつなげてまいります。持続可能な社会の実現に貢献するとともに、企業価値を高めることで、お客様や社会からの信頼を獲得し、資源循環の促進を一層推進してまいります。
リスク |
機会 |
●環境対応に関する規制強化に伴う対応負担の増大 ●資源枯渇に伴う調達リスクの拡大 ●環環境負荷への対応不足に対する批判による企業イメージの低下 |
○環境意識の高まりに伴う市場機会の拡大 ○資源利用の効率化によるコストの削減 ○資源循環の促進による企業価値の向上 |
⑦ マテリアリティ「食品ロス削減」に関する事項
当社グループは、食品廃棄の削減と食材の有効活用を通じて、環境負荷の低減と持続可能な社会の実現に取り組んでおります。食品ロスの問題に対して、リスクと機会の両面から認識し、適切な対応を進めております。リスクとして、食品ロスの規制強化に伴う対応負担の増大や、消費者意識の変化に伴う企業イメージの低下などが挙げられます。これに対応するため、当社グループでは消費期限の見直しや調理プロセスの改善を行い、食品廃棄の削減を推進するとともに、サプライチェーン全体で取引先と連携し、需要に応じた最適な流通量を確保する取り組みを進めております。一方、機会としては、適切な在庫管理や調理プロセスの最適化によるコストの抑制、フードバンクへの寄付などを通じた企業価値の向上などが挙げられます。これらの機会を最大限に活用するため、当社グループは食品ロス削減に向けた新たな施策の導入や、取引先との協力関係の強化を進め、環境負荷の低減と企業価値の向上を両立させてまいります。今後も、食品廃棄の削減を継続的に図り、お客様の信頼を高めるとともに、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを一層強化してまいります。
リスク |
機会 |
●食品ロスの規制強化に伴う対応負担の増大 ●消費者意識の変化に伴う企業イメージの低下 |
○適切な在庫管理や調理プロセスの最適化によるコストの抑制 ○フードバンクへの寄付などを通じた企業価値の向上 |
⑧ マテリアリティ「多様な人材の活躍」に関する事項
当社グループは、人的資本経営に関して以下の方針のもと、「人材育成の推進」「ダイバーシティの推進」「ワークライフバランスの推進」に取り組んでおります。
(ア)人材育成方針
当社グループは、「飲」と「食」の融合による新しい食文化の創造を通じ、全てのステークホルダーに対して「やすらぎ」と「活力」を提供することを経営理念とし、外食産業のエクセレント・リーディングカンパニーの地位確立を目指しております。その実現には、経営理念を体現できる人材の育成が不可欠であり、特に、当社グループの売上の約7割を占めるコーヒー関連事業においては、社員のコーヒーに関する知識・スキル向上が事業成長の鍵となります。しかしながら、人材の流出や採用難による事業成長の停滞や、業務品質のばらつきによる顧客満足度の低下が生じるリスクを認識しております。このリスクへの対応として、グループ全社員向けの「ドトール・日レスコーヒーアカデミー」を開設し、研修機会を提供するとともに、役職・役割に応じたスキルアップ支援を行っております。また、業態ごとの接客コンテストを実施し、社員だけでなくパート・アルバイト(以下、パートナーとする)も含めた全従業員が経営理念を体現できる環境を整備し、組織の一体感を醸成することで、エンゲージメント向上を図っております。さらに、ジョブローテーションや管理職研修を通じて成長機会を均等に提供し、多様な人材の活躍を促進することで、企業競争力の向上につなげております。これらの取り組みにより、従業員が自身の成長を実感し、自社への誇りを醸成することで、モチベーションの維持・向上を図り、優秀な人材を確保・定着させ、持続的な成長を実現してまいります。
(イ)社内環境整備方針
当社グループは、多様な価値観を持つ人材が、それぞれのライフステージに応じた柔軟な働き方を選択できることが、企業の持続的な成長につながると考えております。しかしながら、働き方の多様化は、組織運営の複雑化や業務効率の低下を招くリスクを伴い、対応が遅れることで社会的評判の悪化や企業価値の低下を引き起こす可能性もあります。このリスクを回避し、企業競争力の向上を図るため、地域限定社員や時短勤務、在宅勤務制度の導入に加え、長期就業を支援するLTD保険制度やパートナー退職金制度など、多様な人材が安心して働ける環境整備を進めております。また、勤務年数に応じた永年表彰制度や、経営理念に基づく優秀社員表彰制度を通じ、従業員のエンゲージメントを高め、組織の一体感を強化することで、モラルの低下や働く意欲の減少による生産性の低下を防いでまいります。さらに、企業文化の浸透を図ることで、自社への誇りを醸成し、社会的評判の向上を通じて優秀な人材の確保につなげてまいります。これらの取り組みにより、企業の持続的成長を支えてまいります。
リスク |
機会 |
●人材の流出や採用難による事業成長の停滞 ●業務品質のばらつきによる顧客満足度の低下 ●働き方の多様化への対応遅れによる社会的評判の悪化と企業価値の低下 ●モラルの低下や働く意欲の減少による生産性の低下 |
○多様な人材の活躍による企業競争力の向上 ○エンゲージメントの向上による従業員定着率の向上 ○社会的評判の向上による優秀な人材の確保 ○企業文化の浸透による組織の一体感の強化 |
⑨ マテリアリティ「ガバナンスの強化」に関する事項
当社グループは、ガバナンスの強化を通じた持続可能な企業経営を推進し、長期的な企業価値の向上を目指しております。このため、法令遵守の欠如による法的制裁や企業の信頼喪失、危機管理体制の不備による事業継続リスクの増大や経済的損失の発生、経営の透明性の欠如によるガバナンスの弱体化をリスクとして認識しております。一方で、コンプライアンス体制の強化による企業の信頼性向上、リスクマネジメントの徹底による事業継続能力の向上、適切な内部統制の確立による持続可能な経営基盤の強化といった機会を活かすことで、さらなる企業価値の向上を図ります。これらのリスクと機会に対応するため、当社グループは「コンプライアンスの徹底」と「リスクマネジメントの強化」を基盤とした堅固なガバナンス体制を構築しております。具体的には、コンプライアンス違反の未然防止に向けた内部統制の徹底に加え、突発的な危機的状況への対応能力を強化するため、グループ全体で事業継続計画(BCP)の策定を進めており、組織の回復力向上に努めております。これにより、ステークホルダーからの信頼を確保し、企業価値を高めるとともに、事業の安定性と持続可能な成長を実現してまいります。
リスク |
機会 |
●法令遵守の欠如による法的制裁や企業の信頼喪失 ●危機管理体制の不備による事業継続リスクの増大や経済的損失の発生 ●経営の透明性の欠如によるガバナンスの弱体化 |
○コンプライアンス体制の強化による企業の信頼性向上 ○リスクマネジメントの徹底による事業継続能力の向上 ○適切な内部統制の確立による持続可能な経営基盤の強化 |
(3)リスク管理
当社グループでは、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)を踏まえた環境問題や人的資本への対応など、中長期的なリスク管理、目標管理等、グループ全体のサステナビリティに関するリスク及び機会を、サステナビリティ委員会で一元管理しております。また、サステナビリティ委員会で把握したリスク及び機会は、適宜ワーキンググループを開催し、検討する仕組みとなっております。
その内容は、取締役会及びリスク・コンプライアンス委員会に報告し、連携しながらリスク及び機会を認識・評価、適切な対応を図るなど、サステナビリティ経営の徹底と社会的信用の向上を図っております。
(4)指標及び目標
上記マテリアリティに対する主な取り組みの、指標、目標及び達成年度は以下のとおりです。
重要課題領域 |
マテリアリティ |
主な取り組み |
指標 |
目標値 |
達成年度 |
2024年度 実績 |
豊かな社会の実現 |
製品の安全安心 |
製品の安全安心の追求 |
重大な食品事故件数(注1) |
0件 |
毎年度 |
0件 |
コーヒー産地の保全 |
コーヒー生産者の労働環境保護 |
サステナブル調達基準に基づいたコーヒー調達率(注2) |
100% |
2035年度 |
サステナブル調達基準策定に着手 |
|
コーヒー生産国の生産環境保護 |
||||||
地域や地球の持続性 |
気候変動への対応 |
温室効果ガス排出の削減 |
温室効果ガス排出量削減率 (注3) |
スコープ1.2の排出量を2013年度対比46%削減(注4) |
2030年度 |
▲31.4% (注4) |
持続可能な調達 |
責任ある調達に関する基本方針の推進 |
調達ガイドラインに基づいた調達 |
主要取引先と運用できている状態 |
2028年度 |
調達ガイドライン策定に着手 |
|
環境保全に配慮した原材料の調達 |
お客様に提供する主な紙資材の認証紙採用率 |
100% |
2030年度 |
49.6% |
||
資源循環型社会実現への貢献 |
脱プラスチックの推進 |
お客様に提供する主なプラスチック資材の使用量削減(注5) |
2018年度対比 30%以上削減 (注6) |
2028年度 |
▲15.3% (注6) |
|
リサイクルの推進 |
自社コーヒー焙煎工場の製造過程で生じる廃棄物のリサイクル率 |
100% |
2030年度 |
91.5% |
||
食品ロス削減 |
流通在庫の食材廃棄削減 |
食材廃棄率(注7) |
0.1% |
毎年度 |
0.08% |
|
平和で公正な環境 |
多様な人材の活躍 |
人材育成の推進 |
コーヒー研修受講率(注8) |
30%以上 |
2030年度 |
15.3% |
ダイバーシティの推進 |
女性管理職比率 |
30%以上 |
2030年度 |
9.0% |
||
ワークライフバランスの推進 |
男性の育児休暇取得率 |
50%以上 |
2030年度 |
45.5% |
||
ガバナンスの強化 |
コンプライアンスの徹底 |
経営に重大な影響を与え、企業価値を大きく毀損するコンプライアンス違反件数(注9) |
0件 |
毎年度 |
0件 |
|
リスクマネジメントの強化 |
BCPに基づいたリスクマネジメント |
BCPに基づいたリスクマネジメントが運用できている状態 |
2028年度 |
BCP策定に着手 |
※ 本一覧に記載の指標は、原則として当社及び連結子会社を対象としております。ただし、指標によっては、事業規模や目標値への影響を踏まえ、全体に対する影響が軽微な事業会社は対象に含めておりません。なお、特に説明が必要な指標については、対象事業会社を明記しております。
(注1) 消費者の健康や安全に直接的かつ深刻な影響を与える可能性があり、広範囲でリコール等緊急対応が必要な事案
(注2) 自社基準を満たし、調達パートナーのサステナブル認証プログラムや第三者認証を経て調達したコーヒー豆の、店舗事業における自社ブランドの仕入重量に占める割合
(注3) 「エネルギーの使用の合理化等に関する法律(省エネ法)」及び「地球温暖化対策の推進に関する法律(温対法)」における温室効果ガス排出量の報告義務のある3社(株式会社ドトールコーヒー、日本レストランシステム株式会社及び株式会社サンメリー)を対象
(注4) 省エネ法・温対法における温室効果ガス排出量定期報告に基づく2023年度の実績
(基準年度:2013年度91,936t-CO2、実績年度:2023年度63,109t-CO2)
(注5) お客様に提供する量が多く、「容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律(容器包装リサイクル法)」における容器包装利用の報告義務のある3社(株式会社ドトールコーヒー、株式会社サンメリー、D&Nコンフェクショナリー株式会社)を対象
(注6) 容器包装リサイクル法等に基づく2023年度の実績をもとに算出
(対比年度:2018年度1,694t、実績年度:2023年度1,434t)
(注7) 食材廃棄率=年間食品仕入総重量に対する廃棄重量比率
事業特性上多くの食材を仕入れ、長期にわたり流通在庫を抱える必要のある株式会社ドトールコーヒーを対象
(注8) コーヒー研修は、年間60名程度を選出し一定期間に渡り座学及び実技研修を実施
コーヒー研修受講率=コーヒー研修受講者数累計÷年度末在籍社員数×100
(注9) 法令・規制・倫理基準の逸脱により、巨額の損失、信用の失墜、取引停止、従業員士気の低下など、事業継続や成長に深刻な悪影響を及ぼす行為の件数