2023年12月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります

(単一セグメント)
  • セグメント別売上構成
  • セグメント別利益構成 セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
  • セグメント別利益率

最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています

セグメント名 セグメント別
売上高
(百万円)
売上構成比率
(%)
セグメント別
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
(単一セグメント) 5,772 100.0 358 100.0 6.2

事業内容

3 【事業の内容】

当社グループは、当社、連結子会社3社(株式会社magaport、株式会社しょうわ出版、株式会社イデア)及び非連結子会社1社(Fujisan Magazine Service USA,INC.)により構成されております。

当社は、創業当時において、米国では一般的であった雑誌の定期購読サービスが、日本ではほとんど普及していなかったことをビジネスチャンスと捉え、2002年7月に雑誌の定期購読サービスの提供を専門的に行う会社として創業いたしました。2002年12月には雑誌定期購読サービスをワンストップで提供するWEBサイト「/~\Fujisan.co.jp」(以下、「Fujisan.co.jp」という。)を開設し、インターネットを活用した雑誌の定期購読サービスの提供を開始いたしました。

当社は、創業以来、「求めている読者に、求められる雑誌を」というスローガンのもと、書店数の減少に伴い出版社が購読者を獲得する機会が減少している環境下において、「Fujisan.co.jp」を通じて購読者と出版社を繋ぐ流通プラットフォームを提供して参りました。
 また、書店の減少に伴い、今後更なる多様性が求められる雑誌販売ビジネスの事業領域において、「雑誌 × IT」をビジネスドメインとして事業活動を行っております。

当社の事業は、サービスラインや取引形態は異なるものの、雑誌の定期購読に係る受注から配送までをサービス対象とした出版社向け支援サービスに係る単一事業に関するものであることから、雑誌販売支援事業の単一セグメントとなっております。

「Fujisan.co.jp」の取扱商品については、紙媒体のみならずデジタル雑誌も取り扱っており、一部の雑誌を除いて新刊からバックナンバーまで人々の様々なライフスタイル・趣味嗜好を反映した雑誌を取り扱っております。対応端末についてはPC、スマートフォン、タブレット端末に対応しております。また、当社ではApple Inc.が運営する「App Store」及びGoogle LLCが運営する「Google Play」において、「Fujisan.co.jp」のスマートフォン・タブレット端末向けのアプリである「Fujisan Reader」を提供しております。

「Fujisan Reader」では、デジタル雑誌を無料で読むことができる「タダ読み」サービスを提供しており、当社は、「Fujisan Reader」の提供を通じて、「Fujisan.co.jp」の登録ユーザーの獲得を促進しております。

 「Fujisan.co.jp」での定期購読サービスに係る決済方法については、年間購読代金を一括で支払う方法から、毎月、配送された分だけを支払う方法を選択することが可能となっております。

当社では個人の一般購読者のみならず、待合室を有する事業体(美容室、調剤薬局、携帯電話量販店、自動車ディーラー等)や、支店数が多い金融法人・事業法人、図書館、官公庁等、雑誌を大量購入する、または定期購読を行うことに潜在的なメリット・ニーズを有する法人向けに「富士山法人プレミアムサービス」を提供しており、従来のB2CビジネスからB2Bビジネスへ販路を拡大しております。

当社では、定期購読サービスに注力する意向が強い出版社をスペシャルパートナーと位置付け、定期購読者獲得のため、スペシャルパートナーと共同で一定期間定期購読を継続することを条件に、数ヶ月に亘り段階的に月額の課金金額を割り引く「月額段階割りキャンペーン」や、定期購読者限定で紙の雑誌コンテンツに加えて同内容のデジタル雑誌を提供する「バンドルサービス」、定期購読者限定の付録の提供といった各種キャンペーンを実施しております。また、継続的に書店等で雑誌を購入する購読者を定期購読に誘引するため、各雑誌の誌面に掲載する定期購読募集記事の企画、当該記事による定期購読者獲得に係る成果の検証、成功パターンの確立に向けた取組みについて、スペシャルパートナーと共同で行うことによって、取次サービスの拡大を促進しております。

また、当社では、出版社のデジタル雑誌の販路拡大、デジタル雑誌販売のための利便性向上のため、当社が販売を委託されたデジタル雑誌について、連結子会社である株式会社magaportを通じて当社以外の電子書籍取扱いサイト等への取次業務を行っております。

 さらに、新事業領域として、デジタル雑誌の記事単位テキストデータの生成、記事データのキュレーションサイト等への提供、記事データを活用した雑誌単位のWEBメディア構築の支援及び定期購読者データを活用したECサイトの構築・運営支援業務も開始しております。

当連結会計年度末時点において、「Fujisan.co.jp」の取扱雑誌数は11,447誌であり総登録ユーザー数(一般購読者及び法人購読者の合計数)は4,128,129名、そのうち課金期間が継続している継続課金ユーザー(「Fujisan.co.jp」に登録しているユーザーのうち、当連結会計年度末時点で年間定期購読及び月額払い定期購読の申込みを継続しているユーザー並びに当月内に雑誌を購読したユーザーの合計数)は576,723名となっております。
 当社は、様々な購読者層のニーズに適合するサービスを提供しており、当該サービスの提供を通じて定期購読の利用を促進しております。
 

(購読者層と提供サービスのイメージ)


 

 なお、購読者及び出版社が「Fujisan.co.jp」を活用するメリットについては以下のとおりであります。

 

(1) 購読者にとってのメリット

一般購読者においては、「Fujisan.co.jp」でユーザー登録し、当社の定期購読サービスを利用することで、一部の雑誌を除いて、発売日までに指定した場所で最新号を受け取ることが可能となります。また、出版社から提供される定期購読者限定の付録等の各種特典、購入雑誌と同内容の電子雑誌のバンドル提供、定期購読限定の割引等により、一般的に書店で都度購入するよりもメリットがある購入をすることができます。

法人購読者においては、「富士山法人プレミアムサービス」を活用することで、1注文毎に支払処理を行うのではなく、当社より請求書を発行することで毎月の注文代金を一括して支払うことが可能となります。決済方法について、各店舗・支店等の拠点毎で支払う方法と本社で一括して支払う方法を選択することを可能としております。また、法人購読者の予算または希望に応じて、当社が選定した雑誌をパッケージで提供するサービスを提供しております。

これらのサービスを利用することによって、法人購読者は、事務負担を軽減することが可能となります。
 なお、当社が購読者に対して提供しているサービスメニューの具体的な内容は、以下のとおりであります。

 

   ① 定期購読サービス(有料)

   (一括払い購読)

一括前払いで購読料金をお支払いいただき、契約期間に応じて雑誌をお届けするサービスであります。一括前払いで料金をお支払いいただくため、月額払い購読に比べて割引率が高く、定期購読期間に応じて限定特典が入手できるといったメリットがあります。

 

   (月額払い購読)

購読者が定期購読を申し込んだ雑誌について、購読者から購読終了の申し出があるまでの期間において、毎月配送し、配送後、料金をお支払いいただくサービスであります。購読者は、一括払い購読と比べて初期費用が少額で定期購読を利用できるというメリットがあります。

 

  ② 一部売りサービス(有料)

「Fujisan.co.jp」で取り扱う雑誌について、号単位で販売する一部売りサービスを提供しております。購読者は、一部売りサービスを利用することによって、新刊、バックナンバーについて、号単位で必要な部数だけ購読することが可能となります。

 

  ③ デジタル雑誌の販売(有料)

「Fujisan.co.jp」において、PC、スマートフォン・タブレット端末向けにデジタル雑誌を提供しており、紙 媒体の購読を希望しない購読者に対してデジタル雑誌のみを販売しております。

   当連結会計年度末時点におけるデジタル雑誌の取扱数は3,842誌となっております。

 

   ④ バンドルサービス(有料)

定期購読の特典の一つとして、同一料金で紙媒体の雑誌とデジタル版の雑誌の両方を購読できるバンドルサービスを提供しております。バンドルサービスを利用することによって、購読者は利用シーン(在宅時、移動時等)に応じて、紙媒体の雑誌とデジタル版の両方を使い分けることが可能となります。 

 

   ⑤ タダ読みサービス(無料)

無料で読める雑誌のサンプルをスマートフォン・タブレット端末向けのアプリ「Fujisan Reader」上で提供しております。

読者は気に入った雑誌があれば、出版社の許諾が得られている雑誌について、当該雑誌の最新号を同サービス内で購入することが可能であります。

 

(2) 出版社にとってのメリット

出版社は、当社の「Fujisan.co.jp」を通じて、雑誌購読者を定期購読者として囲い込むことが可能となり、雑誌の購読部数の安定確保が可能となります。また、当社サイトは各種施策、ノウハウにより、取扱い雑誌平均で70%強の定期購読継続率を有します。更に定期購読に係る顧客管理、配送といった煩雑な業務を出版社に代わって当社が請け負うサービスである「Fujisan VCS(Value Chain Support)」を活用することによって、経営リソースの問題により定期購読販売に注力できなかった出版社でも定期購読サービスに容易に参入することが可能となります。

なお、出版社向けのサービスは、①取次サービス、②丸請サービスで構成されております。

 

① 取次サービス

当社が運営するWEBサイト「Fujisan.co.jp」を通じて、購読者の注文を出版社に取り次ぎ、購入代金の請求・回収を行うサービスのほか、他社へのデジタル雑誌の取次サービスを提供しております。当社は購読者より回収した購読代金のうち、出版社との契約で定められた料率(コミッション率)に基づき、購読代金にコミッション率を乗じた金額を業務報酬として収益計上しております。また、一部の外国雑誌等については、当社が直接、出版社または取次事業者から商品を仕入れて購読者に商品を販売しており、その場合、当社は購入代金の総額を収益計上し、出版社または取次事業者に支払う仕入代金を費用として計上しております。

取次サービスにおける当社の役割は、購読者からの注文を出版社に取り次ぎ、売上債権の請求・回収を行うことに限定されているため、購読者からの注文情報等の管理や決済手続きは当社が行いますが、商品の配送については原則として出版社または取次事業者が行っております。

 

② 丸請サービス

丸請サービスでは、取次サービスを利用する出版社の中で、経営リソースの問題により顧客管理や配送といった業務を自社で対応できない出版社に代わって当社がそれらの業務を請け負う「Fujisan VCS(Value Chain Support)」サービスを提供しております。
 丸請サービスでは、企画立案、制作、販売、配送、顧客管理に至るまでの雑誌販売事業におけるValue Chainの各フェーズに関する支援サービスを提供しております。具体的には紙媒体の雑誌をデジタル雑誌化するサービスや、顧客獲得のためのプロモーション支援サービス(「Fujisan.co.jp」における広告掲載サービス等)、梱包・配送業務の代行サービス、顧客管理業務の代行サービス(カスタマーサポートサービス、顧客情報のライブラリ管理等)等を提供しております。
 当社は、配送業務及び商品管理について、外部の物流事業者に業務委託しております。当社は出版社より委託業務に関わる業務委託報酬を収受しております。

 
  (雑誌販売支援事業におけるValue Chainと当社の提供サービス)

 


 

   当社の上記(2) ①取次サービス、②丸請サービスに係る取扱高(当社から出版社への定期購読の注文取次高、 
  当社の仕入販売高及び当社が出版社から配送業務、広告PR業務等を請け負った請負業務の取扱高の合計)の推移は、
  以下のとおりであります。

                                         (単位:千円)

 

2019年

12月期

2020年

12月期

2021年

12月期

2022年

12月期

2023年

12月期

取扱高

10,555,965

11,161,417

11,852,833

11,876,724

11,877,729

 

 

 

 当社グループの事業系統図は以下のとおりであります。


(注) 1.当社子会社のFujisan Magazine Service USA,INC.については、「Fujisan.co.jp」のシステム開発において当社より同社に開発業務の一部を委託しておりますが、重要性が乏しいため事業系統図では省略しております。

2.当社子会社の株式会社しょうわ出版、株式会社イデアについては、重要性が乏しいため事業系統図では省略しております。

3.矢印は取引の流れ、点線矢印は資金の流れを示しております。

業績

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当社グループは単一セグメントのため、セグメント別の業績については記載しておりません。

(1) 経営成績等の状況の概要

① 財政状態及び経営成績の状況

a 経営成績の状況

  当連結会計年度におけるわが国経済は、バブル景気以来となる株式市場の活況、新型コロナウイルスの致死率低下等による感染症対策の緩和、外国からの旅行者数の回復等により個人消費、国内景気にとって明るい兆しは見えてきているものの、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化、米中間の対立、米露間の対立等、不安定な国際情勢の影響等及び米国長期金利の値上げ観測、インフレ率の上昇による物価上昇等、世界経済のさらなる悪化及び為替市場における更なる円安が懸念される中、景気についてもいまだ不透明な状況が続いております。 

 このような経済情勢の中、当社サービスの基盤となる、インターネット及びブロードバンド関連の環境につきましては、リモートワーク率の上昇、巣ごもり需要等を取り込み着実に増加しており、2023年9月末時点で固定系超高速ブロードバンド契約数が約4,454万(前期比0.4%増)とインターネットを利用する機会が広く普及しております。また、スマートフォンやタブレット端末の利用者の増加により移動系超高速ブロードバンド契約数(3.9-第4世代)は約1億2,292万(前年同期比1.8%減)と減少する一方、第5世代携帯電話契約数が8,054万(前期比7.7%増)を超えるなど、インターネットを利用する環境は引き続き拡大基調にあります(出所:総務省電気通信サービスの契約数及びシェアに関する四半期データの公表)。一方、2023年1月から12月の雑誌全体の販売状況は前年同期比約7.9%減の4,418億円となっており、また、書店からの返品率も42.5%(前年同期比1.3ポイント増)となり悪化しております(出所:公益社団法人全国出版協会 季刊出版指標2024年冬号)。
 このような環境の中、当社グループは、当連結会計年度においても、雑誌の定期購読者の囲い込み、新規読者の獲得のため、第21期事業年度に引き続き、各マーケティングチャネルの充実、SEO対策やリテンション対策による雑誌購読者の定期購読者化、新規受注高の増加及び継続率の上昇による継続受注高増加のための各種施策を実施して参りました。さらに、出版社の配送支援業務及びWEB経由以外で新規の雑誌定期購読者数を増やすために、出版社が管理する既存の定期購読顧客の管理を当社に移管し、当社グループが購読顧客の獲得、管理、配送までを一括で受ける「Fujisan VCS(Fujisan Value Chain Support)」の展開及び法人顧客開拓についても、引き続き注力して参りました。
 この結果、雑誌出版市場が大きく前年比で縮小する中、当社グループは当連結会計年度末において総登録ユーザー数(一般購読者及び法人購読者の合計数)は4,128,129名(前連結会計年度末比189,444名増加)、そのうち課金期間が継続している継続課金ユーザー数(「Fujisan.co.jp」に登録しているユーザーのうち、12月末時点で年間定期購読及び月額払い定期購読の申込みを継続しているユーザー並びに当月内に雑誌を購読したユーザーの合計数)は576,723名となり、当社グループ会員数は雑誌市場の減少にかかわらず着実に伸びているものの、ユーザーの増加率及び紙雑誌の定期購読サービス領域の新規顧客獲得については、1件当たりの獲得コストの効率化を進めていることもあり鈍化しております。また、アクティブユーザー数については、休刊誌の増加に伴い減少幅が大きくなっております。

 デジタル雑誌関連の事業(「第2の矢」事業)については、2018年第2四半期連結会計期間より、新たに株式会社電通と合弁で設立した株式会社magaportの事業開始に伴い、従来の「Fujisan.co.jp」上でのデジタル雑誌販売のみならず、他電子書店向けのデジタル雑誌取次分野及び派生するサービス領域事業に注力しております。本事業は主に雑誌読み放題サービスにおいて2022年度に引き続き、着実に成長を続けており、2023年12月末においては当社グループの売上の35.7%を占めるまでになり、第2の柱となっております。また、既存の雑誌読み放題サービスへの取次だけでなく、記事単位の提供サービスのトライアル、株式会社図書館流通センターと共同で電子図書館事業への参入を行う等、デジタル雑誌資源を用いた新たなサービス領域の開拓も行っております。

 雑誌購読者情報を用いた事業(「第3の矢」事業)については、株式会社イデアが手掛ける出版社ECサイトの運営支援事業が主軸となっておりますが、当期については不採算となってしまっていたECサイトの運営終了、運営支援していた大手出版社サイトのクローズ等の影響により昨年度に続き営業赤字となりました。

 コスト面については、第3四半期連結会計期間に引き続き、主にマーケティングの効率化により発生するリスティングに関するコストを抑えておりますが、将来への投資である人件費及び新たなマーケティング施策の試験的な運用、SEO対策のためのWEBサイトのコンテンツ追加、新事業領域であるWEBサイト運営のための先行投資等により販売管理費は増加しております。

上記の施策の結果、当連結会計年度における取扱高(連結取引消去前における当社グループから出版社への定期購読の注文取次高、当社の仕入販売高、当社グループが出版社から配送業務及び広告PR業務等を受けた請負業務の取扱高の合計)は11,877,729千円(前年同期比0.0%増)となりました。売上高は5,771,519千円(同3.3%減)となりました。利益面につきましては、営業利益357,859千円(同19.3%減)、経常利益355,784千円(同19.6%減)、当期純利益239,729千円(同22.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益222,996千円(同22.6%減)となりました。

 

b 財政状態の状況
(資産)
 当連結会計年度末の総資産は5,823,768千円(前連結会計年度末比171,356千円増)となりました。総資産の内訳は、流動資産が4,964,044千円(同85,542千円増)、固定資産が859,723千円(同85,814千円増)であります。主な変動要因は、前連結会計年度末に比べ現金及び預金が87,521千円増加したこと、売掛金が31,401千円減少したこと、工具、器具及び備品が6,182千円増加したこと、ソフトウエアが63,083千円増加したこと等によるものであります。

 
(負債)
 当連結会計年度末における負債合計は3,474,888千円(前連結会計年度末比21,960千円減)となりました。主な変動要因は、前連結会計年度末に比べ未払金が16,503千円減少したこと、未払法人税等が9,144千円減少したこと、契約負債が2,937千円増加したこと等によるものであります。

 
(純資産)
 当連結会計年度末における純資産合計は2,348,879千円(前連結会計年度末比193,317千円増)となりました。主な変動要因は、当期純利益の計上に伴い利益剰余金が222,996千円増加したこと、配当金の支払いにより利益剰余金が63,087千円減少したこと等、自己株式の処分に伴い自己株式が73,948千円減少したこと等によるものであります。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ、87,521千円増加し、3,113,180千円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において営業活動の結果得た資金は、429,594千円(前年同期は435,215千円の収入)となりました。

これは、税金等調整前当期純利益355,700千円、減価償却費223,699千円、売上債権の減少額31,401千円、契約負債の増加額2,937千円等による資金の増加と、未払金の減少額23,838千円、法人税等の支払額128,279千円等による資金の減少によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において投資活動の結果使用した資金は、295,987千円(前年同期は239,816千円の支出)となりました。

これは、サーバ等の取得に伴う有形固定資産の取得に伴う支出11,648千円、ソフトウエア開発に伴う無形固定資産の取得による支出272,339千円、営業保証金の支払いによる支出12,000千円による資金の減少によるものであります。資金については、主に営業活動によるキャッシュ・フローを財源としております。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において財務活動の結果使用した資金は、46,085千円(前年同期は62,298千円の支出)となりました。

これは、配当金の支払いによる支出62,760千円、ストック・オプションの行使に伴う自己株式の処分による収入18,935千円、連結範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出2,259千円によるものであります。

 

 ③ 資本の財源及び資金の流動性

当社グループが事業を展開している雑誌定期購読市場は成長率が鈍化傾向にあるものの、WEB雑誌市場、WEBコンテンツ市場は急速な成長を続けております。

このような環境の中、既存事業の成長を継続させるために積極的にシステム開発投資を続けるとともに、アライアンス、M&Aや戦略投資を効果的に活用することで非連続的な成長の実現を目指しております。売上の成長や事業規模の拡大により市場シェアを高めていくことが中長期的な企業価値向上に資すると考えております。

 

当社グループではこれらの資金需要については、原則的には当社グループの既存主力事業である雑誌定期購読支援 事業において生み出されている営業キャッシュ・フローで賄っております。2023年12月期における当社グループの営 業キャッシュ・フローは429,594千円となり、2023年12月期における投資活動によるキャッシュ・フロー295,987千円を賄えております。

 

 ④ 生産、受注及び販売の状況

a 生産実績

当社グループは生産活動を行っていないため、該当事項はありません。

 

b 仕入実績

当連結会計年度における仕入実績を示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

仕入高(千円)

前年同期比(%)

雑誌販売支援事業

2,676,957

△2.0

合計

2,676,957

△2.0

 

(注) 金額は、仕入価格によっております。

 

 

c 受注実績

当社グループは受注活動を行っていないため、該当事項はありません。

 

d 販売実績

当連結会計年度における販売実績を示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

雑誌販売支援事業

5,771,519

△3.3

合計

5,771,519

△3.3

 

(注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

 

相手先

前連結会計年度

(自 2022年1月1日

  至 2022年12月31日)

当連結会計年度

(自 2023年1月1日

  至 2023年12月31日)

業務報酬(千円)

割合(%)

業務報酬(千円)

割合(%)

楽天ブックスネットワーク株式会社

900,637

15.1

892,191

15.5

 

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

② 経営成績の分析

(取扱高)

当連結会計年度における取扱高(連結取引消去前における当社グループから出版社への定期購読の注文取次高、当社の仕入販売高、当社グループが出版社から配送業務及び広告PR業務等を受けた請負業務の取扱高の合計)は11,877,729千円(前年同期比0.0%増)となりました。

定期購読の注文取次高及び子会社である株式会社magaportが手掛ける雑誌読み放題向けの取次は引き続き増加しているものの、配送請負業務の受注及び子会社である株式会社イデアにおいて、不採算事業の整理により、取扱高が低下しているため前年と変わらない水準となりました。

 

(総登録会員数)

当社グループは当連結会計年度末において総登録ユーザー数(一般購読者及び法人購読者の合計数)は4,128,129名(前連結会計年度末から189,444名増加)、そのうち課金期間が継続している継続課金ユーザー数(「Fujisan.co.jp」に登録しているユーザーのうち、12月末時点で年間定期購読及び月額払い定期購読の申込みを継続しているユーザー並びに当月内に雑誌を購読したユーザーの合計数)は576,723名となり、継続課金ユーザー数は雑誌の休刊数の増加により減少したものの、当社グループ会員数は雑誌市場の減少にかかわらず着実に伸びを続けております。

 

(営業利益率)

当社グループでは、安定成長型のサブスクリプションビジネスである雑誌の定期購読を主軸に事業を展開しております。当社では売上と売上を獲得するために費やしたコストを管理するために営業利益率を主要なKPIとして管理しております。当連結会計年度における営業利益率は6.2%(前年同期は7.4%)となりました。

 

  (売上高)

 当連結会計年度においては、雑誌配送請負サービスの受注額の減少、子会社である株式会社イデアの不採算となっていたECサイトの運営終了、運営支援していた大手出版社サイトのクローズ等の影響により売上高は5,771,519千円(前年同期比3.3%減)となりました。

 

  (売上総利益)

当連結会計年度においては、売上総利益は1,728,152千円(前年同期比6.7%減)となりました。また、売上総利益率は29.9%(前年同期比1.1ポイント減)と悪化しております。この原因は雑誌配送請負サービスの受注額の減少や配送コストの増加、雑誌定期購読サービスに比べて利益率が低いデジタル雑誌読み放題サービスを中心に売上高が拡大したためであります。

 

  (営業利益)

   当連結会計年度においては、営業利益は357,859千円(前年同期比19.3%減)となりました。

雑誌配送請負サービスの受注額の減少や雑誌の休刊等に起因する売上高の減少により、体制強化に伴う固定費の増加を賄いきれなかったことによるものであります。

 

(経常利益)

当連結会計年度において、受取精算金の発生等により、営業外収益は650千円(前年同期は2,879千円)となりました。また、支払利息が発生したことにより、営業外費用が2,725千円(前年同期は3,752千円)となりました。

この結果、当連結会計年度における経常利益は355,784千円(前年同期比19.6%減)となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度において、法人税、住民税及び事業税118,820千円、法人税等調整額△2,849千円を計上した結果、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は222,996千円(前年同期比22.6%減)となりました。

 

 ③ 財政状態の分析

財政状態の状況の分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

④ キャッシュ・フローの状況の分析

キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

⑥ 経営者の問題意識と今後の対応について

当社グループは、既存事業の雑誌の定期購読サービスについては、「雑誌のFujisan」のブランド構築を実現し、定期購読市場の拡大、定期購読市場内でのシェアの拡大を実現するため、出版社に対する定期購読サービス推進のためのサポートの促進、購読者獲得ノウハウの確立、定期購読ユーザーの継続率向上を図って参ります。また、出版社の雑誌編集、制作機能以外の業務、特に配送、コールセンター関係の業務について、請負業務を拡大して参ります。

更に、新規事業である雑誌のWEB化、記事抽出の技術開発、出版社に対してWEB記事を活用する基盤であるCMSの提供等を進めて参ります。また、電子図書館等、デジタル雑誌の販売先の開拓にも注力して参ります。

当社グループの会員データを用いたEC等のサービスにおいては、前事業年度に引き続き、収益基盤の確立に力を注ぐとともに、大口顧客の開拓に注力して参ります。

上記施策の実行のためには、市場環境に即応できる組織体制の構築、技術力の強化、システム安定性の確保、情報管理体制の強化等により、組織としての体力を高めていくことが経営上の課題であると認識しております。これらの課題に対応するために当社の経営陣は、最大限入手可能な情報に基づき現在の事業環境を確認し、最善の経営方針を立案するよう努めて参ります。

 

セグメント情報

(セグメント情報等)

【セグメント情報】

当社グループの事業セグメントは、雑誌販売支援事業のみの単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しております。

 

【関連情報】

前連結会計年度(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日

1. 製品及びサービスごとの情報

単一の製品・サービス区分の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超えるため、記載を省略しております。

 

2. 地域ごとの情報

(1) 売上高

本邦の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超えるため、記載を省略しております。

 

(2) 有形固定資産

本邦以外に所在している有形固定資産がないため、該当事項はありません。

 

3. 主要な顧客ごとの情報

                                       (単位:千円)

顧客の名称または氏名

売上高

関連するセグメント名

楽天ブックスネットワーク株式会社

900,637

雑誌販売支援事業

 

 

当連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日

1. 製品及びサービスごとの情報

単一の製品・サービス区分の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超えるため、記載を省略しております。

 

2. 地域ごとの情報

(1) 売上高

本邦の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超えるため、記載を省略しております。

 

(2) 有形固定資産

本邦以外に所在している有形固定資産がないため、該当事項はありません。

 

3. 主要な顧客ごとの情報

                                       (単位:千円)

顧客の名称または氏名

売上高

関連するセグメント名

楽天ブックスネットワーク株式会社

892,191

雑誌販売支援事業

 

 

【報告セグメントごとの固定資産の減損損失に関する情報】

   前連結会計年度(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日

    該当事項はありません。

 

   当連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日

    該当事項はありません。

 

【報告セグメントごとののれんの償却額及び未償却残高に関する情報】

      前連結会計年度(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日

      当社グループは単一セグメントであるため、記載を省略しております。


     当連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日
      当社グループは単一セグメントであるため、記載を省略しております。

 

【報告セグメントごとの負ののれん発生益に関する情報】

   前連結会計年度(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日
     該当事項はありません。
 
    当連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日
      該当事項はありません。