2023年9月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)当社グループの事業について

① 当社グループの主要事業が採用する販売形態について

 当社グループの主要事業である住設・建材EC事業において販売する全ての商品は、当社グループの会員に対して、ウェブサイト、カタログ等において販売価格を明示しており、価格の透明性を確保しております。一方で、この販売形態は、相対取引の場において都度価格が決定される建築業界においては極めて異例の販売手法であり、価格が明示されることで、中間業者が介在する余地をなくし、また当社グループが関与しない取引の価格にも影響を及ぼす可能性があります。

 以上のことから、当社グループの主要事業が採用する販売形態は、建築業界における商慣習と相反するものであり、このことが当社グループの事業の成長を阻害する要因となる可能性があります。

 

② 競合について

 当社グループの主要事業と同様のビジネスモデルを採用して事業を行う会社は、当社グループ以外にも存在しておりますが、その多くが特定のジャンルの商品を取扱っており、当社グループのように、インターネット通信販売事業において住宅内装設備関係の数多くの建築資材を取扱う会社は極めて少ないと認識しております。

 当社グループは、商品の選定及び企画開発力にて競合他社との差別化を図る所存でありますが、当社グループが提供する商品よりも優れた商品を供給する競合会社が現れた場合、当社グループの競争力は相対的に低下することとなり、その結果、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 独占的契約について

 当社グループの主要事業が取扱う輸入品のうちヨーロッパから輸入する商品については、当社グループのみが取扱う商品でありますが、これは独占販売契約、代理店契約等の書面による契約によって確保されたものではなく、現地の商慣習によるものであります。

 当社は、この商慣習に従い現地の取引先からの仕入を行っておりますが、今後予測し得ない事態により、現在確保している独占状態を喪失した場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 商品・サービスの品質に対する責任について

 当社グループは、主要事業を中心に企画、開発、購買、販売の各段階での審査、監査等を通じて商品・サービスの品質を確保出来るよう、品質保証体制を構築しておりますが、万一、当社グループが提供する商品・サービスの品質に欠陥が生じた場合、当社グループの社会的信用は低下し、また損害賠償責任等の発生により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ システム障害について

 当社グループの主要事業での事業遂行においては、ウェブサイトによる販売活動はもとより、受発注業務、会計処理など、業務の大部分においてコンピュータシステム及びそのネットワーク(以下、総称して「システム」と称します。)を活用して経営効率を高めております。

 当社グループは、主要事業の事業遂行におけるシステム障害のリスクを低減するために、定期的なバックアップ、サーバーの二重化等の対策を施しておりますが、これらによりシステム障害を完全に回避することは困難であり、またインターネット回線など、当社グループが管理しない設備機器における障害の可能性も排除できないことから、万一、障害等が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 商品の供給体制について

 当社グループは、自らが企画した商品について、外部の取引先に製造を委託することによりオリジナル商品を供給しております。この外部の取引先は、商品の開発段階で信用力、生産能力等を確認のうえ選定を行っておりますが、何らかの事情で製造を委託した商品が供給されないこととなった場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)大規模災害による影響について

 当社グループの在庫商品の多くは特定の物流拠点に集約しており、ここで商品の納入から検品、配送まで一貫して行っております。在庫及び物流機能を特定の地域に集中させる理由は、在庫管理及び物流に関するコストの低減を図るという経営判断に基づくものであります。

 当社グループは、在庫商品に対し火災保険を付保しておりますが、地震等大規模災害により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)為替変動の影響について

 当社における仕入取引の10.8%(当事業年度実績)は外貨建の取引であり、また一方で、海外事業の推進により、今後は外貨建の販売が増加することが見込まれるため、為替変動は当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)個人情報の管理について

 当社グループは、事業活動の過程で取得した顧客情報を保有しており、かつこの顧客情報の中には個人情報も含まれております。これら顧客情報については、当社においては社内規程及び運用マニュアルなどを策定し内部管理体制を徹底するとともに、システムやセキュリティの強化などに取り組むことで厳重に管理しており、当社以外の当社グループ会社においても体制の強化を図っております。

 このように、顧客情報の取扱いについては細心の注意を払っておりますが、万一、個人情報の流出などの重大なトラブルが発生した場合には、当社グループに対する社会的信用が低下し、また損害賠償請求等により、当社グループの事業活動、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)有利子負債への依存と金利変動の影響について

 当社グループは、事業拡大のための資金を金融機関からの借入れに依存しており、当連結会計年度末における総資産に対する有利子負債依存度は、36.8%となっております。新規及び借り換え時の資金調達において金融機関等との折衝が滞り資金の調達に支障が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループの当連結会計年度末における有利子負債残高は3,347百万円となっております。現在は、当該資金を主として固定金利に基づく短期借入金等により調達しているため、一定期間においては金利変動の影響を受けないこととなりますが、新たに借り換え等を行う際、資金調達コストが変動している場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)原材料価格の上昇について

 当社グループが販売する商品の多くは木材、石油、金属等の資材価格の変動の影響を受けるものであります。当社グループは年間販売予定数量の取引先への開示、大量発注等により常に仕入価格の低減に努めておりますが、資材価格が急激に上昇して仕入価格の上昇が避けられない事態となった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)法的規制について

 当社グループの主要事業は一般消費者を含めたお客様への通信販売事業であり、当社グループのカタログやウェブサイトに掲載された商品情報については、「特定商取引に関する法律」、「消費者契約法」、「不当景品類及び不当表示防止法」及び「不正競争防止法」等の規制を受けております。また、当社グループの取扱商品及び提供役務の一部に関しましては、品質等に関する問題について「製造物責任法」「建設業法及び関連法」等により規制を受けております。上記規制以外にも、商品輸入に関連した貿易関連法令や商品開発に係る商標権や意匠権等、産業財産権関連法令等の規制も受けております。

 当社グループでは、社員教育の徹底、コンプライアンス体制の整備、販売管理体制の構築、また適宜、顧問弁護士のアドバイスを受ける等、法的規制を遵守する管理体制を整備しておりますが、法令に違反する行為がなされた場合及び法令の改正や新たな法令の制定が行われた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)内部管理体制について

 当社グループは今後、事業の拡大に応じて必要になる人員を適時に補充し、内部管理体制の一層の充実を図りますが、人員補充の遅れや優秀な人材の流出により、当社グループの業務運営に支障をきたす可能性があります。

 

(9)住宅事業について

 住宅事業において、当社グループは建売住宅の販売、注文住宅の販売、不動産を購入の上、リノベーションを実施し、再販するビジネスに取り組んでおりますが、物件仕入れが期待どおりに進捗しない場合や販売用不動産が長期にわたり滞留した場合、また所有不動産の時価が大幅に下落した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)固定資産の減損について

 当社グループは、固定資産の減損に係る会計基準等に従い、不動産、ショールームの内装、設備、什器等を含む保有資産について定期的に将来キャッシュ・フロー等を算定し減損損失の認識・測定を行っており、固定資産の減損損失を計上することにより、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)ストックオプション等株式報酬の提供による株式価値の希薄化について

 当社グループは、取締役及び従業員の業績向上へのインセンティブを高めることを狙いとして、譲渡制限付株式報酬制度及びストックオプション制度を採用しております。今後も同様のインセンティブ・プランを継続する可能性があり、その場合は、当社グループの1株当たりの株式価値は希薄化する可能性があります。

 

(12)投資有価証券の評価損の計上について

 当社グループは、中長期的な企業価値の向上に向けて、事業の展開上必要と思われる企業への出資を行っており、今後もその可能性があります。そのような有価証券への投資においては、株価の著しい下落あるいは投資先企業の著しい業績低迷等が生じた場合、投資有価証券評価損が発生し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13)サイバーセキュリティについて

 近年、サイバー攻撃の技術はますます高度化しており、その手法も多様化しております。標的となるリスクのある当社においては、ネットワーク及び設備の監視を始めとする各種情報セキュリティ対策を実施しており、当社以外の当社グループ会社においてもセキュリティレベルの引き上げを図っておりますが、不正アクセスやサイバー攻撃を受け、重要なシステムの誤作動や停止、保有する機密情報の流出が発生した場合、社会的信用の失墜、事業活動の混乱や停滞、取引先等への補償等が発生し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(14)国内外の個人情報に関する新たな規制の導入について

 インターネット上のプライバシー保護の観点から、OS事業者によるCookie規制、GDPR、eプライバシー規則、カリフォルニア州消費者プライバシー法(CCPA)等の国内外の個人情報に関する新たな規制の導入などを受け、規制強化がなされた場合に、インターネット広告での集客に支障をきたし、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(15)決済方法とセキュリティについて

 当社グループの主要事業は、商品販売の決済にクレジットカード決済を利用しておりますが、不測の事態により、利用者のクレジットカード情報が漏洩した場合、あるいは盗用されたクレジットカードが当社グループの決済に不正使用されることが増加した場合、信用低下による取引の縮小や停止、損害賠償が発生するなど当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(16)M&Aについて

 前連結会計年度に子会社化した株式会社ベストブライトは、今後、当社グループの業績に大きく貢献するものと見込んでおります。しかしながら、事業環境の変化等により当初の想定を下回る場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

配当政策

3【配当政策】

 当社は、株主に対する利益還元を経営の最重要課題の一つとして位置付けており、経営成績の進展等を勘案しながら利益還元に努めることを基本方針としております。また、内部留保資金につきましては、財務体質の強化と今後の事業展開に備え確保し、将来にわたる株主利益の向上に努めていく所存であります。

 なお当社は、会社法第459条第1項に基づき、9月30日及び3月31日を基準日として、取締役会の決議により剰余金の配当を実施することができる旨を定款に定めております。株主の皆様への利益還元と内部留保のバランスを総合的に判断し、経営成績と市場動向に応じた柔軟な対応を行っていく所存でありますが、現時点において毎事業年度における配当の回数についての方針及び具体的な実施時期等は未定であります。

 これらの方針に基づき、当事業年度の期末配当金につきましては、1株当たり10円とさせていただきました。内部留保資金につきましては、今後予想される経営環境の変化に対応すべく、国内事業の収益基盤強化や海外事業展開、新事業の創造など企業価値を高めるための有効投資として活用してまいります。

 

 なお、当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額

(千円)

1株当たり配当額

(円)

2023年11月24日

183,125

10

取締役会決議