2025年8月期有価証券報告書より

リスク

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 事業戦略上のリスク

① ファッショントレンドや消費者ニーズの変化に伴うリスク

当社グループが扱うカジュアルファッションは、流行の変化により商品のライフサイクルが短い傾向にあります。消費者ニーズを満たすよう様々なブランドを並行展開することによって、当該リスクを低減しております。また、エステティック・リラックスサロン事業においても、消費者ニーズを満たすように前受ビジネスモデルからの転換を図っております。しかし、急激な景気悪化や顧客嗜好の変化に伴って、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 競合リスク

当社グループは、路面店、ファッションビル、ショッピングモール等において商品及びサービスを展開しており、近隣において競合企業が数多く出店しています。大都市近郊や集客力が高いショッピングモールへの出店方針に加えて、同業他社とは異なる店舗コンセプトに基づいて運営しておりますが、当社グループ出店エリアにおいて有力な競合他社が出店した場合、当社の業績及び事業展開に影響を与える可能性があります。

また、インターネット販売事業においては、商品の提供に特化するのみならず、消費者ニーズへの機動的な対応等に基づいて、競合企業との差別化を図っております。しかし、近年においては、インターネット通信販売市場の拡大に伴うさらなる競争激化が予想され、新規参入事業者による新たな高付加価値サービスの提供等が行われた場合、当社グループにおける競争力が低下する可能性があります。この場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

③ 店舗展開リスク

当社グループは、ショッピングモールを中心にテナントとして店舗展開しております。そのため、ショッピングモールにおける集客力の変化により影響を受ける可能性があります。また、アパレル事業における新規出店形態は、①新設されたショッピングモールへの出店、②既存のショッピングモールにおけるテナント入れ替えの2つに大別されます。両者において、ショッピングモール運営会社が店舗展開方針を変更するなどの事情により、計画に沿って新規出店を行うことができない場合があり、その結果、当社グループの業績及び事業展開に影響を与える可能性があります。

 

④ イオングループが運営するショッピングモールへの出店集中リスク

2025年8月31日現在、当社グループが展開している30店舗中、イオングループが開発運営するショッピングモール等において18店舗出店しております。そのため、イオングループにおけるショッピングモールへの出店が集中している状況です。

現時点において、同グループのショッピングモール等は高い集客力を保持していますが、今後における同グループを取り巻く事業環境の変化や業界再編等により、影響を受ける可能性があります。また、同グループにおける経営方針、出店政策等により、新規出店計画など当社グループの業績及び事業展開に影響を与える可能性があります。

 

⑤ 物流業務の外注委託リスク

当社グループにおける主な物流業務に関して、株式会社アルファ・クリエイトに外注委託しており、具体的には、一部の事業セグメントにおける商品保管業務、入出庫業務を委託しております。同社とは、各業務に関連するデータの授受について、システム及び通信回線を通じて行っており、システム障害や通信障害によってデータの授受が困難となった場合、当社グループの物流業務に支障が生じる可能性があります。また、大規模な震災等に加えて、その他不可抗力により同社からのサービス提供が中断・停止され、物流業務が機能しない場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 長期賃貸借契約によるリスク

当社グループは、全て賃貸借契約による店舗展開を行っております。

一部の賃貸借契約における契約期間は、5年を超える長期間にわたっております。また、賃貸借契約においては、一定期間の事前予告をもって解約できるものと定められており、当該撤退制約に反した場合は、中途解約に係る違約金などの支払いが必要となるため、当社グループの業績及び事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 市場リスク

① 気象状況や自然災害に伴うリスク

当社グループにおける店舗販売及びサービス事業は、気象状況による影響を受けやすく、自然災害のみならず記録的な大雨・大雪や度重なる台風などの天候不順によって販売不振となり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 自然災害、事故や戦争・紛争等のリスク

当社グループが出店している店舗施設の周辺地域において、大地震や津波、台風、洪水等の自然災害あるいは予期せぬ事故や戦争・紛争等が発生した場合、店舗施設に物理的な障害が生じる可能性があります。また、自然災害、事故や戦争・紛争、感染症の発生等によって当社の販売活動や物流、仕入活動において支障が発生した場合のみならず、人的被害等が生じた場合、通常の事業活動が困難となり、当社グループの業績及び事業展開に影響を与える可能性があります。

 

③ カントリーリスク

当社グループは、中国を中心とした海外から商品を仕入・生産しております。そのため、地域性に基づく市場リスク、信用リスク、地政学的リスクによって当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 為替リスク

「③ カントリーリスク」に記載のとおり、当社グループは輸入商品を取り扱っており、海外からの直接買付けを含めて為替相場の影響を受けております。そのため、為替相場の大幅な変動に基づいて、仕入価格・仕入数量に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 相場変動リスク

 投資関連事業におけるビットコインの価額は、需給の動き、規制及び政策の変更、メディアの影響、技術的変化、国内外を問わず広範な経済動向及び政治動向など、様々な要因によって大きく変動します。この変動は、当社グループの財務の健全性と経営成果に大きな変動をもたらす可能性があります。その結果、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

⑥ 原価上昇リスク

当社グループが取り扱う商品の多くは、中国を始めとする海外において生産されており、仕入原価は直接又は間接的に、当該仕入国における経済情勢による影響を受けております。そのため、現地における原材料費や人件費が大幅に上昇した場合、生産コスト・商品供給に影響を及ぼし、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

⑦ 少子化リスク

アパレル事業が取り扱う商品には、①10代後半~20代までの客層をターゲットとしたレディスカジュアル、②3歳~中学生までをターゲットとしたキッズ・ジュニアがあります。少子化が急激に進行し、キッズ・ジュニア市場が著しく縮小した場合、当社の業績に影響を与える可能性があります。

 

(3) コンプライアンスに関するリスク

① 個人情報漏洩リスク

当社グループは、個人情報を含む多くの顧客情報及び機密情報を取得し管理しております。当社では、個人情報の取扱い及びその管理に細心の注意を払い、情報管理の重要性を周知させるよう全従業員に対して研修等を行い、社内でのルール化やその手続の明確化を徹底しております。

また、情報セキュリティについては外部からの不正アクセス、コンピュータウイルスの侵入防止について、システム対策を講じております。

しかしながら、外部からの不正アクセス、システム運用における人的過失、従業員による故意的な顧客情報の漏洩、消失、改竄又は不正利用等が生じる可能性があります。また、当該事態に適切に対応することができず、信用の失墜又は損害賠償請求によって損失が発生した場合、当社グループの業績及び事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 法的規制リスク

当社グループにおける各事業は、「知的財産法」「製造物責任法」「家庭用品品質表示法」「不当景品類及び不当表示防止法」「公正競争規約」「特定商取引に関する法律」「金融商品取引法」等による法的規制を受けております。

社内管理体制の充実によってこれら法令を遵守する体制を整備しており、また個人を含む取引先に対しては契約内容に基づいて当該法令の遵守を徹底しております。しかし、これら法令に違反する行為が行われた場合、若しくは法令の改正又は新たな法令の制定が行われた場合、当社グループの事業展開に影響を与える可能性があります。

 

(4) 財務上のリスク

① 差入れた敷金及び保証金や預け入れた売上代金等の貸倒リスク

当社グループが運営する店舗は全て賃貸物件であり、出店に際して敷金及び保証金を差入れております。また、ファッションビル及びショッピングモール運営会社との賃貸借契約により、入店している店舗の一部売上金を一定期間預け入れることとなっております。

2025年8月31日現在において、ファッションビル及びショッピングモールに対する敷金及び保証金の残高は187,135千円(総資産に対する比率は1.0%)であり、売掛金の残高は84,809千円(同0.5%)であります。

したがって、当社グループが賃貸借契約を締結しているファッションビル及びショッピングモール運営会社の業績等によって、上記債権の全部又は一部が貸倒れる可能性があります。

 

② 新株予約権による希薄化効果リスク等

2025年12月1日の提出日現在、潜在株式数は34,000,000株となり、発行済株式総数39,954,400株の85.1%となります。当該新株予約権の行使により、株式価値の希薄化や株式売買需給への影響が発生し、株価形成に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 当社の組織、管理上のリスク

① 人材リスク

当社グループは今後の事業拡大に伴い、継続して人材を確保する必要があると考えており、優秀な人材の育成に努めていく方針であります。しかし、採用計画が予定通りに進まなかった場合、又は在籍する人材の多くが流出する等の状況が発生した場合、競争力の低下や事業拡大計画の変更等を余儀なくされ、当社グループの業績及び事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

 

② システム障害リスク

当社グループは、オンラインショップのサイト運営においてコンピューターシステムを利用しており、自然災害や事故等によって通信ネットワークが切断された場合、また、設備の不備、開発運用ミス、電力供給の停止など予測不能な様々な要因によってコンピューターシステムが停止した場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

また、当社グループのコンピューターシステムは、適切なセキュリティ手段を講じて、外部からの不正アクセスを回避するよう取り組んでおりますが、コンピューターウイルスやハッカーの侵入等によってシステム障害が発生した場合、当社グループの業績及び事業展開に影響を与える可能性があります。

 

③ 減損会計の適用リスク

当社グループは、固定資産の減損会計を適用しております。当連結会計年度において、当社グループが保有する固定資産について減損損失を計上し、当面減損会計の適用リスクは限定的と考えておりますが、今後も経営環境の変化や収益性の低下等により減損損失を計上することになる場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) その他のリスク

(継続企業の前提に関する重要事象等)

当社グループは、当連結会計年度末時点においては純資産が12,644,935千円となり債務超過を解消しておりますが、2020年8月期以降6期連続で、営業損失、経常損失、親会社株主に帰属する当期純損失を計上しております。

このような状況において、当社グループは、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる事象又は状況であるとの認識であり、早期に是正すべく以下の施策を実施しております。

 

(資金繰りについて)

当社は、2024年8月期におきまして、2,077,147千円の債務超過となっておりましたが、産業競争力強化法に基づく特定認証紛争解決手続において、当社より提出しました事業再生計画案について全ての取引金融機関に同意を得て、事業再生ADR手続が成立(同年7月31日)いたしました。また、同年10月31日付にて全ての取引金融機関に対する残債務の弁済を完了し、これに伴い、債務免除の効力が発生いたしました。さらに、2024年11月26日開催の当社第33回定時株主総会における新株式及び新株予約権の発行及び2025年7月18日開催の当社臨時株主総会における新株式及び新株予約権の発行の決議による、新株式及び新株予約権の払込み完了によりまして、当連結会計年度末時点における純資産は、上述のとおり当連結会計年度末時点において債務超過を解消しております。また、資金使途としましては、子会社への事業資金として適切に配分することにより、当社グループの事業基盤の確保、収益基盤の獲得を進めております。このため、期末の資金残高は748,005千円となりました。

今後につきましては、業績の改善を図りながら、新たな資金調達の手段及び有効な資金使途を検討してまいります。

 

(自己資本の脆弱性について)

当社グループは、当連結会計年度末時点で、純資産残高が12,644,935千円となり債務超過を解消し、2026年8月期におきましても財務体質の健全性を維持してまいります。

 

(売上高減少や収益力の低下について)

当社グループは、経営体制を刷新し、経営管理を目的とした株式会社ANAPホールディングスを親会社としたホールディングス体制に2025年4月1日に移行いたしました。商品及びサービスを扱う子会社では、ブランド顧客の年齢層や嗜好性に合わせたリブランディングを推進し、時代の変化に即応した新たなコンセプトのもと、ターゲット層を明確化した商品及びサービスの展開の試みを開始し、消費者ニーズに寄り添った価値の提供に注力しております。また、商品及びサービスの原価率の見直しを進め、売上総利益の改善を図るとともに、当社グループオリジナルの商品及びサービス力を高めることで、競合他社との差別化を目指しております。

さらに、SNSを活用した広告手法を強化することでデジタルマーケティング戦略を積極的に展開し、ECシステムの全面的な見直しを行い、顧客体験を向上させる取り組みを進め、オンライン販売の強化を図っております。

今後とも事業ポートフォリオの転換を含め、全社的な構造改革を継続的に進めてまいります。

 

(事業領域の拡大について)

株式会社ANAPの事業と親和性が高く、収益性の高い新規事業への参入、事業再編等を図り当社グループの事業基盤の確保、収益基盤の獲得を進めております。このため、投資関連事業である「株式会社ANAPライトニングキャピタル」及び美容サロン関連である「株式会社ARF」と「株式会社AEL」の事業子会社3社を設立いたしました。「株式会社ANAPライトニングキャピタル」でのビットコイン事業については、2025年8月31日時点で1,017BTCを保有し、時価評価益は1,218,561千円に達するなど、順調に規模拡大を進めております。

 

上記のとおり、事業再生に向けた取り組みを行っているものの、これらの対応策は実施途上であり、現時点においては、継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められます。連結財務諸表は継続企業を前提として作成されており、継続企業の前提に関する重要な不確実性の影響を連結財務諸表には反映しておりません。

配当政策

3 【配当政策】

当社は、将来の事業展開などを総合的に勘案しつつ、株主各位に対する利益還元である配当、事業機会に即応できる体質強化を図った内部留保、そして経営活性化を目的とした役員及び従業員へのインセンティブに配慮して、適正な利益配分を実施していくことを基本方針としております。また、当社は中間配当及び期末配当の年2回の剰余金の配当を実施することができ、会社法第454条第5項の規定に基づいて取締役会の決議により、毎年2月末日を基準日として中間配当を行うことができる旨を定款に定めております。剰余金の配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会であります。

上記基本方針のもと、2025年8月期の期末配当につきましては、当期純損失を計上することとなったことから、無配とすることといたしました。可能な限り早期に復配ができるよう業績の改善に尽力してまいります。