事業内容
セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
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売上
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利益
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利益率
最新年度
セグメント名 | 売上 (百万円) |
売上構成比率 (%) |
利益 (百万円) |
利益構成比率 (%) |
利益率 (%) |
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エンタープライズ事業 | 663 | 69.9 | 287 | 72.1 | 43.2 |
コンシューマ事業 | 285 | 30.1 | 111 | 27.9 | 38.8 |
事業内容
3 【事業の内容】
当社は「ヒラメキあふれる世界をつくる」をミッションとして掲げております。今後日本国内では労働人口の減少から人材獲得がより難しくなるとともに、事業環境の変化がますます速まることが予想され、事業に関わる社員等の育成や組織能力の向上は不可欠になると見込まれます。そして正解のわからない環境下において、多様かつ信頼できる知は、組織及びビジネスパーソンの選択肢を増やし、一人ひとりの歩みを強め、組織の成功や個人の活躍を導くと考えております。そのため当社は、知のエッセンスを伝わりやすい形で多くの人に届け、知の活用や連鎖による組織能力の向上と個人の活躍推進を促すプラットフォームを築き、社会に貢献することを目指しています。
当社の運営する「本の要約サービス flier(フライヤー)」は、本を読みたいけれども読み切れない、自分が必要としている本を見つけられないという2つの課題の解決を支援するサービスとして生まれました。年間6,000冊以上発刊されるビジネス書から厳選された本の要約コンテンツや動画、特集記事等を提供するサービスとして、創業時より一貫して継続運営しています。要約は1冊約10分で読める分量としていて、テキスト形式だけでなく、音声再生にも対応しています。通勤時間、休憩時間、就寝前等のすきま時間を有効活用し、教養やビジネススキルを身につけることができます。
全ての要約コンテンツは出版社や著者等の本の作り手の許諾を得たのちに原稿制作に着手し、制作した要約原稿も全て出版社等に確認いただいています。信頼性の高い媒体である本を元に、関係者の確認を経た要約を提供していることに、当社独自の特徴が表れています。
(1) 当社のビジネスモデルについて
「本の要約サービス flier(フライヤー)」は、クラウドサービスの形で提供しております。法人あるいは個人から継続的に対価を受領するサブスクリプション(月額課金)モデルです。法人向けには、社内利用促進や利用状況確認のための機能を合わせて提供するクラウドサービス「flier business」で、課金形態はサブスクリプションのSaaS(Software as a Service)型のビジネスモデルとなっています。2025年2月期において全社売上高の2/3超を占める法人顧客向けの事業(エンタープライズ事業セグメント)が当社の事業の中核を担っています。また、個人顧客向けの事業(コンシューマ事業セグメント)はビジネスパーソンを中心とした個人の自己研鑽に資するサービスとして安定的な成長を実現するとともに、当社ブランドの認知度向上に大きく貢献しています。
顧客ターゲットはそれぞれ、個人顧客向けでは学習欲の高いアーリーアダプター層、法人向けは学習欲の高い層に加え、あまり意欲的ではない学習欲中程度以下のボリュームゾーンも含めてターゲットとしています。個人顧客向けは、終身雇用制度の終焉、フリーランスの増加、雇用の流動化のトレンドの中で学習欲の高い層が増加していくことが予想されるため、コンテンツの質をさらに磨き続けることで継続的な利用と新規の利用を促します。法人向けでは、企業が社員の定着・優秀人材確保のために、継続的な研修・学びの機会を求めており、社員教育・研修を担当する人事研修担当者を通じて、間接的にボリュームゾーンへアプローチすることで、サービスの裾野を広げていきます。
(注)CAGRは2023年2月期~2025年2月期における売上高の年平均成長率を記載しています。
当社の組織は、主にエンジニアとコンテンツ編集者がサービスの基盤となり、セールス及びカスタマーサクセスがエンタープライズ事業セグメントを支え、出版社・著者等の知を生み出す方々との関係を強化するチームを有するという特性があります。
(2) 主要な事業の概要
<エンタープライズ事業セグメント>
企業における人材育成や福利厚生等を目的として従業員向けに提供する法人向け事業が中核となっています。そのほかにもインターネットカフェや公共図書館等の施設向けの事業、法人向けの研修事業、組織の人材投資に対する成果を見える化するスコアリングサービス「flier成長組織ナビ」等の新規サービスも積極的に展開しております。既出のグラフ「セグメント別売上高推移(四半期)」のとおり、エンタープライズ事業セグメントは直近の2年で約2倍の売上高となり、全体の2/3以上を占めるまでに拡大しています。累計法人契約社数は1,207社(注)となっています(2025年2月末時点)。
(注) エンタープライズ事業セグメントにおける有償の累計契約社数
◆ 「flier business」(法人向け)
法人向けサービスである「flier business」は、「本の要約サービスflier」を活用した人材育成サービスです。提供アカウント数に応じた月額固定費をお支払いいただくSaaSのサブスクリプション型のビジネスモデルで、従業員の自律的学習の推進や学びの文化形成等を目的として導入されています。また、事業の拡大に向け代理店網の開拓や様々な企業との協業を積極的に推進しています。
flier businessで提供するサービスの主な機能とその概要
(注) 1.Social Networking Serviceの略。Web上で社会的ネットワークを構築するサービス。
2.Security Assertion Markup Language/Single Sign On認証の略。インターネットドメイン間でユーザ認証を行うためのマークアップ言語をベースにした標準規格であり、特にSSOは一度のログインで複数のサービスへのログインを実現するための規格となります。
◆ 施設向け事業
施設向け事業に関しては、施設のWi-Fiにスマートフォンを接続することにより、その施設内での要約閲覧が可能になるサービスとして「本の要約サービス flier(フライヤー)」をカスタマイズしています。施設の滞在時間をより価値が高い時間にすることで施設の場の力をより高めることにつながります。他にも書店等で本のPOP(注)に2次元コードを添付することで、その本の要約が閲覧できる機能を提供しています。2025年2月末現在、全国の210店超の書店においてフライヤーの本の閲覧実績に基づいた特集陳列コーナーの「フライヤー棚」を提供しています。本取り組みは出版社・著者とのリレーション強化において、重要な役割を担っています。
収益形態は主に「flier business」同様SaaSのサブスクリプション型のビジネスモデルとなっています。
(注) Point Of Purchase advertisingの略。書店等の売り場における展示物。
◆ 法人向け研修事業
主にflier businessの利用企業向けに研修を提供しています。リーダー層向けに本を主題にして他企業の同階層の人とともに越境型学習を行い自分なりのリーダーシップを見つける「越境マネジメントプログラム」、第一線の講師の方と集中的に学ぶ講座、著者によるセミナー等がラインナップされています。実施された研修単位で料金が発生する収益形態となっています。
◆ 「flier成長組織ナビ」
「flier成長組織ナビ」は、従業員一人ひとりの成長環境を確保するための要素を独自に調査・分析し、従業員と企業を成長に導く新しい概念のサーベイです。「制度・関係性・循環・学びの姿勢・成長実感」という5つの項目から、「成長組織スコア」を構成し、人が育ち成長する「成長組織」への変革を支援します。
提供初年度である2025年2月期は無償トライアルを開始し、今後収益化を計画しています。
<コンシューマ事業セグメント>
◆ 「本の要約サービス flier」(個人向け)
話題のビジネス書や名著・ベストセラーを1冊約10分の要約で楽しめる自己研鑽サービスとして、個人向けに「本の要約サービス flier」を提供しています。要約が読み放題の月額2,200円(税込)のゴールドプラン、月5冊まで好きな要約が読める月額550円(税込)のシルバープラン、20冊程度のサンプルの要約が閲覧できるフリープランがあります。なお、要約の9割以上は音声で聞くこともできます。エンタープライズ事業セグメントの「flier business」と同様に、月額課金のサブスクリプションモデルとなっています。
◆ 「flier book labo」「flier book camp」(オンラインコミュニティ)
コンシューマ向けに読書好きが集まるオンライン読書コミュニティの「flier book labo」を運営しています(月額5,500円(税込))。会員同士の交流のほか、著者等の著名パーソナリティが開催する読者会や短期講座「flier book camp」(16,500円(税込)/講座※)を開催。2025年2月末現在、「flier book labo」に協力いただいている著名パーソナリティーは64名となり、「flier book labo」は本という共通の興味を持つ仲間と刺激し合う場を築いています。
※受講者はコミュニティ会員費とは別に「flier book camp」受講料の支払が発生します。
◆ 「flier公式チャンネル」(広告事業)
「flier 公式チャンネル」は本を軸にしたディープなインタビュー番組として、学びを深める多様な動画コンテンツを配信しています。アカデミア・クリエイター・ビジネス等の幅広い分野のトップランナーや著名人をゲストに迎え、今ビジネスパーソンに知ってもらいたい「学び」の動画を提供しています。
(3) 「本の要約サービス flier」コンテンツ概要
「flier」は、本の要約コンテンツ、動画コンテンツ、特集コンテンツの主に3種類の自社作成コンテンツを提供しています。
本の要約コンテンツを作成するにあたり、ビジネスパーソンが今おさえるべき話題の本やロングセラーの本を社内外の有識者を集めた選書委員会にて選出し、出版社や著者等の権利者の許諾を得て、要約を作成します(注1)。要約は、50名以上の外部の専門性の高いライターが主に作成し、当社編集者が確認・校正したものを権利者に確認いただいた上で、ユーザに公開します。全ての要約コンテンツがこの流れで作成され、事前の要約作成許諾及び要約原稿の確認を進めることにより、信頼性を高めることに努めています。2025年2月末現在、提携出版社数は190社超に及びます。そして、提供している要約の数は、毎日1冊以上、年間では400冊程度を追加しており、2025年2月末現在で3,900冊超となります。
動画コンテンツは、著名人の人生に大きな影響を与えた本をその方自身が紹介するDigTalkシリーズ(注2)と、ビジネスパーソンが知るべきリベラルアーツを専門家が語るサブ・アカデミアシリーズ(注3)等を展開しています。
その他に、著名人へのインタビュー記事や、当社編集部による本の推薦記事、出版社からの推薦記事等の特集コンテンツを展開しています。
(注) 1.出版社・著者は宣伝機会・販売機会等の一環としており、許諾取得に際して著作権使用料の支払いは発生しません。
2.各分野のトップランナーをゲストに招き、人生において大きな影響を受けた本を紹介する約10分間の動画コンテンツのシリーズ
3.自分らしい人生を生きるために必要な問いを「リベラルアーツ」から学べる約10分間の動画コンテンツのシリーズ
(4) 当社の強み
当社の事業は、エンタープライズ事業セグメント、コンシューマ事業セグメントともにサブスクリプションモデルの収入を主としており、中でも主力であるエンタープライズ事業の解約率(Net Revenue Churn Rate(注1))は0.95%と低く抑えられているため、将来の収益が見通しやすいという点が強みであると考えております。エンタープライズ事業セグメント、コンシューマ事業セグメント合わせた累計会員数は123万人(2025年2月末時点)、メールマガジンの購読者数は約57万人(2025年2月末時点)となっており、拡大傾向にあります。
ユーザ数の拡大により、出版社・著者等の知の生産者にとっての魅力が高まり、魅力が高まることにより出版社・著者等の協力関係が強固となり、より多くの質の高いコンテンツを発信することができ、コンテンツがサービスの魅力を量と質ともに高めることで、さらにユーザ数の拡大に寄与します。これらは相互に作用しながら、資産として蓄積されることで高い参入障壁を形成しフライヤーの競争優位を築いているものと認識しています。
さらに、出版社及び著者やユーザ企業との関係が継続的に拡大する傾向があることから、新しい企画や取り組み時にも活かしやすいという点も強みであると考えております。
加えて、特にエンタープライズ事業セグメントにおいては、ユニットエコノミクス(売上案件ごとの顧客獲得コストに対する将来期待収益(ライフタイムバリュー)(注2))が約6.6倍を記録しており、営業活動においても費用に対して高い収益効果を実現している収益構造となっている点が強みであると考えております。
(注) 1.(月次の新規受注額+既存顧客の金額変更―既存顧客の解約額)/(前月末の既存顧客に対する継続課金残高)をレベニューチャーンレートとして月次解約率の指標として用いています。数値は2024年3月~2025年2月における各月の月次解約率の平均値となります。
2.ユニットエコノミクスの計算式は、売上案件ごとの将来期待収益(ライフタイムバリュー)÷ 売上案件ごとの顧客獲得コストとなります。また、売上案件ごとの将来期待収益(ライフタイムバリュー)は、売上案件ごとの月次平均売上額÷ Net Revenue Churn Rateにて算出しています。
グラフ(左):累計会員数推移(エンタープライズ事業セグメントとコンシューマ事業セグメントの合計)
グラフ(右):累計法人契約社数推移(「flier business」に加えて施設向け事業も含めた法人契約社数)
[事業系統図]
業績
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、海外情勢の緊迫化や資源・エネルギー価格の高騰、それに伴うインフレ傾向等、依然として不透明かつ不安定な状況にありました。一方で、デジタル技術の進化やDX推進の加速に伴い、インターネットを通じたサービスへの需要は引き続き堅調に推移しました。
情報通信業界においては、生成AIの急速な普及や活用、5G(第5世代移動通信システム)をはじめとする通信インフラの高度化等、技術革新のスピードが加速しています。こうした変化に対応するため、企業におけるDX推進や人材育成の重要性が一層高まり、SaaS(Software as a Service)市場も継続的な成長を見せています。また、経済の先行き不透明感から、個人のスキルアップや自己投資への関心も継続しており、インターネットサービスや書籍を通じた学習ニーズは未だ増加傾向にあります。
このような環境の中、当社は要約コンテンツを主軸とした人材育成サービス「flier business」を主力事業とし、商談組成のためのリード獲得や新卒採用による人材確保のための先行投資を継続しつつ、アプリ機能の改善や利便性向上を意識した画面のリニューアル等、エンタープライズ事業セグメント向けのユーザ体験の向上を図った機能強化を推進してまいりました。その他にも、レコメンドエンジンの実装等、AIをはじめとする新しい技術の活用も進めています。コンシューマ事業セグメントでは、オンライン読書コミュニティ「flier book labo」の高付加価値サービスとして提供している「flier book camp」では、講座企画と集客施策の改善により参加者を拡大しています。
さらに、次年度以降の更なる事業拡大に向け、YouTubeチャンネルの育成や新規事業の有償化準備、「flier business」の全国規模の販売網構築等の準備を進めました。以上の結果、当事業年度の売上高は948,496千円(前年同期比20.8%増)、経常利益は2,048千円(前年同期は経常損失136,139千円)、当期純利益は11,039千円(前年同期は当期純損失136,669千円)となりました。当社は創業以来、事業の拡大を遂行するための先行投資が続いておりましたが、通期黒字を計上する運びとなりました。
<エンタープライズ事業セグメント>
当事業年度は、前事業年度に引き続き当社の主力事業である「flier business」の成長に注力しました。契約単価の高い大企業向けの販売を強化すべく、商談の創出への投資やSSO(Single Sign On)連携の開発と並行して、ユーザの利用率向上を図り、法人内で公開する学び投稿機能(学びメモ)の改善や、ログインの簡素化、リマインド通知等、法人向けの機能の拡充を実施しました。このような背景から、新規契約企業数は順調に推移し、解約率も1%水準を維持できたことにより、当事業年度におけるセグメント売上高は663,058千円(前年同期比33.8%増)、及び、セグメント利益は286,531千円(前年同期比67.1%増)となっております。
<コンシューマ事業セグメント>
当事業年度は、個人向けのサブスクリプションサービスの市場が成熟しつつある中、安定的な成長を目指し更なるサービス改善に注力いたしました。既存機能のアップデートのほか、アプリにおける利用体験の改善に取り組んでいます。また、オンライン読書コミュニティの「flier book labo」、及び、厳選された講師によるオンライン・リアルタイムの研修としての「flier book camp」の運営も継続しております。サービス改善活動に注力する一方で、コストの効率化を積極的に推進したことにより、当事業年度におけるセグメント売上高は285,437千円(前年同期比1.5%減)、及び、セグメント利益は110,713千円(前年同期比24.8%増)となっております。
② 財政状態の状況
(資産)
当事業年度末における流動資産は507,464千円となり、前事業年度末に比べ154,312千円増加いたしました。これは主に現金及び預金が156,543千円増加したことによるものであります。固定資産は83,820千円となり、前事業年度末に比べ4,220千円増加いたしました。この結果、総資産は591,285千円となり、前事業年度末に比べ158,532千円増加いたしました。
(負債)
当事業年度末における流動負債は248,786千円となり前事業年度末に比べ14,372千円減少しました。これは主に契約負債が36,313千円増加し、短期借入金が50,000千円減少したことによるものであります。固定負債は116,000千円となり前事業年度末に比べ10,174千円減少いたしました。この結果、負債は364,786千円となり、前事業年度末に比べ24,546千円減少いたしました。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は226,499千円となり、前事業年度末に比べ183,079千円増加いたしました。これは主に利益剰余金が11,039千円増加したこと、及び、資本金及び資本剰余金が172,040千円増加したことによるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は425,913千円と前事業年度末と比べ156,543千円の増加となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は59,772千円となりました。これは主に、税引前当期純利益2,048千円の計上、契約負債の増加額36,313千円、未払金の増加額1,462千円、売上債権の減少額1,472千円、減価償却費5,668千円、敷金償却1,412千円の計上があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果得られた資金は542千円となりました。これは主に、敷金及び保証金の回収による収入750千円があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は96,228千円となりました。これは増加要因として、株式の発行による収入172,040千円があった一方で、減少要因として短期借入金の純減額50,000千円、長期借入金の返済による支出22,664千円及び上場関連費用の支出3,147千円があったことによるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a 生産実績
当社は、生産に該当する事項がありませんので、生産実績に関する記載はしておりません。
b 受注実績
当社は、受注から役務提供の開始までの期間が短いため、受注実績に関する記載は省略しております。
c 販売実績
第11期事業年度、第12期事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
重要な会計方針及び見積り当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この財務諸表の作成に当たり、決算日における財政状態及び会計期間における経営成績に影響を与える見積りを必要とします。経営者はこれらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、この見積りと異なる場合があります。当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項重要な会計方針」に記載のとおりであります。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・結果内容
(売上高)
当事業年度の売上高は、948,496千円(前年同期比20.8%増)となりました。
売上高の分析・検討内容につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」に記載のとおりであります。
(売上原価、売上総利益)
当事業年度の売上原価は、187,322千円(前年同期比5.7%減)となりました。この結果、売上総利益は、761,174千円(前年同期比29.7%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業損益)
当事業年度の販売費及び一般管理費は、753,070千円(前年同期比4.6%増)となりました。これは主に人件費の増加によるものであります。この結果、営業利益は、8,103千円(前年同期は営業損失132,970千円)となりました。
(営業外損益及び経常損益)
当事業年度において、助成金収入3,200千円及びその他に含まれる雑収入611千円により営業外収益が4,414千円、上場関連費用8,235千円及び支払利息2,227千円により営業外費用が10,470千円発生しております。この結果、経常利益は、2,048千円(前年同期は経常損失136,139千円)となりました。
(特別損益、法人税等及び当期純利益又は当期純損失)
当事業年度における特別利益及び特別損失の発生はありませんでした。法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額を合算した法人税等は△8,991千円となりました。この結果、当期純利益は、11,039千円(前年同期は当期純損失136,669千円)となりました。
なお、財政状態の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に、キャッシュ・フローの状況については、「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
③ 資本の財源及び資金の流動性
当社の運転資金需要のうち主なものは、その大部分を運転資金が占めており、その内訳としては人件費、商談獲得費用等の営業費用となっております。当該資金需要に必要な資金は自己資金を中心としながら、必要に応じて金融機関からの借入及びエクイティファイナンス等で資金調達していくことを基本方針としておりますが、今後の資金需要の額や使途に合わせて資金調達方法は柔軟に検討を行う予定です。なお、当事業年度末において、現金及び現金同等物は425,913千円であり、十分な資金の流動性を確保しております。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
⑤ 経営者の問題意識と今後の方針に関して
当社は、「ヒラメキあふれる世界を作る」をミッションに掲げ、事業を拡大してまいりました。当社がこの理念の下、長期的な競争力を維持し持続的な成長を図るためには、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の様々な課題に対して、経営者は常に事業環境の変化に関する情報の入手及び分析を行い、最善の経営方針を立案していくことが必要であると認識しております。
⑥ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は主要な事業においてサブスクリプション・SaaS型で売上高及び利益が経常的に積み上がっていく事業モデルを採用しています。その達成状況を適切に判断するために、主な経営指標としてKGIは全社における売上高、営業損益、営業損益率、売上成長率、MRR、主要な成長セグメントであるエンタープライズ事業セグメントにおける売上高、売上成長率、エンタープライズ事業売上高比率を重視しております。また、SaaS型の事業モデルであるエンタープライズ事業の売上高の成長や目標に対する達成状況を適切に判断するために、KPIとしてはエンタープライズ事業セグメントにおける主要サービスである「flier business」のMRR、契約社数、ARPA、Net Revenue Churn Rateを重視しております。当事業年度における各指標の四半期推移は次頁のとおりであり、引続き対処すべき経営課題の改善を図りながら、経営戦略を推進してまいります。
(KGI)
(注) 売上高成長率は対前年同四半期に対する割合を記載しています。
(KPI)
(注) 1.全社MRR(Monthly Recurring Revenue)
当社が提供する月額課金サービスにおいて、顧客から毎月継続的に得ることのできる月次収益額。
2.flier business MRR
「flier business」の契約において、法人顧客から毎月継続的に得ることのできる月次収益額。
3.flier business 契約社数
「flier business 」の契約のうち、3か月以上の継続取引における契約社数。
4.flier business ARPA(Average Revenue Per Account)
「flier business 」の契約における月次平均単価。
5.Net Revenue Churn Rate
(月次の新規受注額+既存顧客の金額変更―既存顧客の解約額)/(前月末の既存顧客に対する継続課金残高)を算出し、月次解約率の指標として用いています。上記の四半期ごとの数値は、直近12か月間の月次解約率の平均値として算出しています。販売契約のうち「flier business」の契約を対象としています。