2025年3月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります

(単一セグメント)
  • 売上
  • 利益
  • 利益率

最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています

セグメント名 売上
(百万円)
売上構成比率
(%)
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
(単一セグメント) 30,503 100.0 1,488 100.0 4.9

事業内容

3【事業の内容】

当社は、一般の中古住宅流通市場や不動産競売市場から仕入れた中古住宅(中古マンション・中古戸建)にリフォームを施し、住宅としての機能を回復・向上させたうえで販売する「中古住宅再生事業」を主たる事業としております。加えて「その他不動産事業」として不動産賃貸業やリゾート事業等の不動産関連事業を行っており、これらを含めた不動産事業を単一セグメントとして運営しております。

 

(1)中古住宅再生事業

当事業では、一般の中古住宅流通市場や不動産競売市場から仕入れた中古不動産にリフォーム等を施し、付加価値を高めて販売しております。取り扱う物件は、居住用物件としては1戸単位の中古住宅(中古マンション、中古戸建)を中心に、収益用物件として一棟賃貸マンションの取り扱いも行っております。

 

①居住用物件

 居住用物件は当社の主力商品であり、中古の区分所有マンションや一戸建を1戸単位で仕入れ、リフォーム等により付加価値を高めて再販しております。主な事業エリアは首都圏及び関西圏で、一次取得者層(若年のファミリー等、初めて住宅を購入する層)をメインターゲットとし、平均販売価格帯が2,000万円~3,000万円の物件を中心に取り扱っております。また、幅広い住宅需要を取り込むため、東京23区内の物件を中心とした比較的高価格帯の物件や、販売価格2億円超のハイグレード物件の取り扱いも強化しております。

  中古住宅再生事業の事業系統図は次のとおりであります

 

[事業系統図]

 

a.仕入活動

 居住用物件は、一般の中古住宅流通市場と不動産競売市場の2つのルートから仕入れております。一般の中古住宅流通市場からの仕入は、不動産仲介会社等からの情報をもとに、個人または法人の不動産所有者から任意に物件を買い取る形式であり、当社における主要な物件仕入ルートであります。不動産競売による仕入は、裁判所が実施する不動産競売を通じて物件を取得する方法で、当社ではそれぞれを「任売」「競売」と定義しております。また、物件は基本的に1戸単位で地理的に分散して仕入れているため、価格変動や事故・自然災害等のリスクが限定的であることも特徴です。

 

b.商品化(リフォーム)

 仕入れた物件にはリフォームを施し、住宅としての機能回復と付加価値の向上を図っております。リフォーム工事は、リフォーム協力会社へ発注し、当社が設計、工事監理、完了検査を行っております。リフォーム工事の内容については、建物の構造や築年数等、物件毎の状況に応じて決定しており、物件毎に適材適所のリフォームを実施しております。

 

c.販売活動

 当社では自社の直販部門を設けず、また特定の販売会社に依存することなく、各物件の地元不動産仲介会社に広く販売を委託しております。これにより、少人数による広域での事業展開が可能となっております。また、物件の仕入から販売までを一貫して同一の担当者が行うことで、物件情報に精通した担当者が、適切な物件管理、価格設定、市場調査等、販売戦略に集中して取り組む体制を構築しております。

 

②収益用物件

収益用物件は、主に一棟賃貸マンションを対象とし、個人投資家や法人向けの投資用不動産として、首都圏エリアを中心に仕入・再販を行っております。物件のバリューアップとして、物件に合わせた付加価値の高い内外装リノベーション工事やリーシング活動を実施し、空室率の改善や賃料の向上を図ることで、投資利回りの向上を目指しております。

また、収益用物件は、物件販売による売却益に加えて保有期間中の賃料収入も獲得できるという特性があり、これは居住用物件とは異なる利点であります。

近年は収益用物件の取扱規模も年々拡大しており、今後も物件の大型化を進めることで、さらなる事業拡大を図ってまいります。

 

(2)その他不動産事業

 その他不動産事業としては、不動産賃貸業やリゾート事業等の不動産関連事業を行っております。

 リゾート事業では、リゾート物件の企画・販売から貸別荘運営まで実施していく方針で、今後の事業拡大を見据え、関連ノウハウの蓄積に努めてまいります。

業績

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当事業年度(2024年4月1日~2025年3月31日)におけるわが国経済は、各種経済対策の効果により雇用・所得環境の改善が進み、インバウンド需要の増加も相まって、国内景気は緩やかな回復基調となりました。一方で、物価上昇や為替・金利の変動、米国の関税政策の動向等の影響により、依然として先行き不透明な状況が続いております。

 当社が属する中古住宅流通市場においては、公益財団法人東日本不動産流通機構(東日本レインズ)によると、2025年3月度における首都圏中古マンションの成約件数は4,991件(前年同月比31.0%増)となり、5ヶ月連続で前年同月を上回りました。また、成約価格は4,945万円(同2.6%増)となり、依然として上昇傾向が続いております。

 このような市場環境のもと、当社の仕入活動におきましては、住宅需要の高いエリアを中心に、収益性を重視した仕入を強化した結果、第2四半期以降に仕入件数が増加し、当事業年度における居住用物件の仕入件数は896件(前事業年度比8.2%増)となりました。第2四半期以降の仕入件数の増加は、次期に向けた収益性の高い物件の確保にも寄与しております。

 販売活動におきましては、長期保有物件の価格見直しによる販売促進策が奏功し、当第4四半期会計期間の販売件数は306件(前年同四半期比19.1%増)と増加しました。その結果、当事業年度における居住用物件の販売件数は928件(前事業年度比6.9%増)となりました。平均販売単価は、市場価格の上昇を受けて26,454千円(同3.9%増)となっております。また、収益用物件の販売活動も好調に推移し、当事業年度においては一棟マンション10棟を売却いたしました。収益用物件については、再生及び販売に関するノウハウの蓄積により、取引規模が拡大しつつあります。

 利益面においては、長期保有物件の販売価格見直しの影響により利益が減少し、当事業年度の売上総利益率は14.0%と、前事業年度の16.4%から低下いたしました。

 以上の結果、当事業年度の売上高は30,502百万円(前事業年度比11.6%増)、営業利益は1,487百万円(同26.1%減)、経常利益は1,239百万円(同32.9%減)、当期純利益は880百万円(同30.4%減)となりました。

 事業別の状況は次のとおりであります。

<中古住宅再生事業>

 中古住宅再生事業におきましては、居住用物件の販売による売上が24,549百万円、収益用一棟マンションを含む収益用物件の販売による売上が5,468百万円となり、物件販売による売上高は30,018百万円となりました。また、収益用物件の保有期間中の賃貸収入が341百万円となりました。その結果、当事業年度における中古住宅再生事業の売上高は30,421百万円(前事業年度比12.2%増)となりました。

<その他不動産事業>

 その他不動産事業におきましては、賃貸用不動産の賃貸収入等により、当事業年度におけるその他不動産事業の売上高は80百万円(前事業年度比60.6%減)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度に比べて326百万円増加

し、6,473百万円となりました。

 当事業年度における各キャッシュ・フローの状況と要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度の営業活動の結果、使用した資金は1,600百万円(前年同期は4,549百万円の獲得)となりました。これは主に、税引前当期純利益が1,239百万円、支払利息が227百万円であった一方で、棚卸資産が2,154百万円増加し、利息を259百万円、法人税等を474百万円支出したことによります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度の投資活動の結果、使用した資金は1,616百万円(前年同期は1,246百万円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得により1,509百万円を支出したことによります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度の財務活動の結果、獲得した資金は3,543百万円(前年同期は1,497百万円の使用)となりました。これは主に、新規の短期借入金13,878百万円、長期借入金6,395百万円を実行した一方で、短期借入金12,371百万円、長期借入金3,865百万円を返済し、配当金の支払いにより492百万円を支出したことによります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社は生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

b.仕入実績

 当事業年度の仕入実績を事業別に示すと、次のとおりであります。

事業別

当事業年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

前年同期比

(%)

仕入件数

仕入高

(千円)

中古住宅再生事業

居住用物件

896

17,523,798

29.4

収益用物件

9

5,639,705

744.6

小計

905

23,163,504

63.0

その他不動産事業

合計

905

23,163,504

63.0

(注)販売用不動産の仕入実態を明確にするため、上記仕入高には販売用不動産本体価格を記載し、リフォーム資材を含む仕入に係る付随費用等は除いております。

 

c.受注実績

 当社は受注活動を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

d.販売実績

 当事業年度の販売実績を事業別に示すと、次のとおりであります。

事業別

当事業年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

前年同期比

(%)

販売件数

売上高

(千円)

中古住宅再生事業

居住用物件

928

24,549,534

11.1

収益用物件

14

5,468,735

17.1

その他収入

-

403,487

16.9

小計

942

30,421,756

12.2

その他不動産事業

-

80,956

△60.6

合計

942

30,502,712

11.6

(注)1.販売実績を明確に表示するため、中古住宅再生事業の売上高は、居住用物件、収益用物件及びその他収入を区分して表示しております。なお、その他収入は短期賃料収入、固定資産税及び都市計画税精算金による売上であります。

2.総販売実績に対する割合が10%以上の相手先はありません。

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

② 財政状態の分析

 当事業年度末における総資産は、31,285百万円となり、前事業年度末の26,851百万円から4,433百万円の増加となりました。

 (流動資産)

 当事業年度末における流動資産は、29,192百万円となり、前事業年度末の25,412百万円から3,780百万円の増加となりました。これは主に、現金及び預金が384百万円、販売用不動産が3,116百万円、前渡金が150百万円増加したことによります。

 (固定資産)

 当事業年度末における固定資産は、2,092百万円となり、前事業年度末の1,439百万円から653百万円の増加となりました。これは主に、有形固定資産が607百万円増加したことによります。

 (流動負債)

 当事業年度末における流動負債は、9,980百万円となり、前事業年度末の8,475百万円から1,504百万円の増加となりました。これは主に、短期借入金が1,507百万円増加したことによります。

 (固定負債)

 当事業年度末における固定負債は、9,811百万円となり、前事業年度末の7,292百万円から2,518百万円の増加となりました。これは主に、長期借入金が2,506百万円増加したことによります。

 (純資産)

 当事業年度末における純資産は、11,493百万円となり、前事業年度末の11,082百万円から410百万円の増加となりました。これは主に、利益剰余金が387百万円増加したことによります。

 

 

③ 経営成績の分析

(売上高)

 当事業年度の売上高は、30,502百万円となり、前事業年度の27,321百万円から3,180百万円の増加(前事業年度比11.6%増)となりました。その主な要因は、居住用物件の販売による売上が2,447百万円増加したことによります。

(売上原価、売上総利益)

 当事業年度の売上原価は、26,238百万円となり、前事業年度の22,851百万円から3,387百万円の増加(前事業年度比14.8%増)となりました。その主な要因は、売上高の増加及び仕入価格・リフォーム費用の上昇に伴うものであります。

 以上の結果により、当事業年度の売上総利益は、4,263百万円(前事業年度比4.6%減)となりました。

(販売費及び一般管理費、営業利益)

 当事業年度の販売費及び一般管理費は、2,776百万円となり、前事業年度の2,457百万円から319百万円の増加(前事業年度比13.0%増)となりました。その主な要因は、売上高の増加に伴う仲介手数料の増加や人件費が増加したことによります。

 以上の結果により、当事業年度の営業利益は、1,487百万円(前事業年度比26.1%減)となりました。

(営業外損益、経常利益)

 当事業年度の営業外収益は、受取利息等の計上により、11百万円となりました。また、当事業年度の営業外費用は、支払利息等の計上により、260百万円となりました。

 以上の結果により、当事業年度の経常利益は、1,239百万円(前事業年度比32.9%減)となりました。

(当期純利益)

 当事業年度の当期純利益は、880百万円となり、前事業年度の1,264百万円から384百万円の減少(前事業年度比30.4%減)となりました。

 

④ 経営成績に重要な影響を与える要因について

 「3 事業等のリスク」をご参照ください。

 

⑤ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

(資金需要)

 当社の資金需要は、主として販売用不動産の仕入のための仕入資金があります。また、設備資金としては賃貸用不動産の購入資金があります。

(財務政策)

 販売用不動産の仕入資金は、主に物件毎に短期借入金で調達しておりますが、機動的かつ効率的に調達するため、各金融機関と当座貸越やコミットメントラインを活用しております。

 設備資金につきましては、融資条件等を慎重に比較検討のうえ、案件毎に借入先金融機関を決定しております。賃貸用不動産の購入資金は、原則として長期借入金または社債(私募債)で調達しております。

 

⑥ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗情報

 当社は、2025年3月期から2027年3月期までの第3次中期経営計画において、資本効率性の向上と財務健全性維持を両立させるため、自己資本利益率(ROE)を12%以上、自己資本比率を30%以上とすることを目標にしております。

計画初年度である当事業年度におきましては、ROEは7.8%、自己資本比率は36.6%となり、ROEの改善が課題となっております。翌事業年度は中古住宅再生事業の規模拡大と収益力の強化を図り、ROEの向上に努めてまいります。