2024年3月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります

(単一セグメント)
  • セグメント別売上構成
  • セグメント別利益構成 セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
  • セグメント別利益率

最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています

セグメント名 セグメント別
売上高
(百万円)
売上構成比率
(%)
セグメント別
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
(単一セグメント) 27,322 100.0 2,013 100.0 7.4

事業内容

3【事業の内容】

 当社は、一般の中古住宅流通市場や不動産競売市場から仕入れた中古住宅(中古マンション・中古戸建)を、リフォームを施すことによって住宅としての機能を回復し、付加価値を向上させた中古再生住宅として販売する「中古住宅再生事業」を主たる事業としております。また、「中古住宅再生事業」以外の「その他不動産事業」として、不動産賃貸、リフォーム工事請負等の不動産関連事業を行っており、「中古住宅再生事業」と合わせて、不動産事業を事業内容とする単一セグメントであります。

 

(1)中古住宅再生事業

 当事業では、主に首都圏・関西エリアを中心に、一般の中古住宅流通市場や不動産競売市場から仕入れた中古住宅(中古マンション・中古戸建)を、リフォームを施すことによって住宅としての機能を回復し、付加価値を向上させた中古再生住宅として販売しております。

 取扱物件は、主として一次取得者層(若年のファミリー等、初めて住宅を購入する層)をメインターゲットとしたマンションや戸建等の居住用物件を中心としております。

 また、物件は基本的に1戸単位で地理的に分散して仕入れているため、価格変動、事故・自然災害等、リスクは対象の物件に限定されております。

 物件の仕入には、市中の不動産仲介会社等からの情報に基づき、一般の中古住宅流通市場における個人または法人の不動産所有者から物件を買取る任売による仕入と、裁判所が実施する不動産競売の入札に参加し、担保不動産を落札することで物件を取得する競売による仕入の2種類の方法があります。一般の中古住宅流通市場と不動産競売市場、双方の市場から仕入れることで、仕入の安定化を図っております。

 また、居住用物件の他にも一棟マンションをはじめとする収益用物件の取り扱いも強化しております。収益用物件のノウハウの積み上げや体制の整備を進めることで仕入を強化し、売却益だけでなく賃料収入の増加も目指しております。

 「中古住宅再生事業」の事業系統図は次のとおりであります。

 

[事業系統図]

 

① 仕入

 物件の仕入は大別して一般の中古住宅市場からの仕入と不動産競売による仕入を行っております

 各仕入の概要は次のとおりであります

 

a.一般の中古住宅流通市場からの仕入

 当社は、市中の不動産仲介会社等からの情報に基づき、一般の中古住宅流通市場における個人または法人の不動産所有者から物件を仕入れております。このような一般買取りによる仕入形態を、当社では「任売による仕入」としています。

 任売による仕入においては、市中の不動産仲介会社等との情報交換を密にし、仕入物件にかかる情報収集を図り、情報取得後は速やかに現地調査等を実施のうえ、迅速かつ適確に仕入可否や仕入価格を決定しております。早く高く売りたい中古住宅の売主と、安く綺麗な物件を求める買主との間のギャップを、当社が埋めることで中古住宅の流通を促進しています。

 

b.不動産競売による仕入

 不動産競売は、住宅ローン等の債権者が延滞となった債権を回収するため、民事執行法に基づき、裁判所に申し立てを行うことにより、裁判所が入札方式で担保不動産の売却を行う制度であり、当社における主要な物件仕入ルートの一つであります。

 不動産競売による仕入には、事前の現地調査時に建物内部を確認できない点、落札後も当該物件に占有者がいる場合は明渡交渉や裁判所への引き渡し命令の申立が必要となる点等、不動産競売に特有の事情がありますが、一般の中古住宅流通市場からの仕入と比較して、安価に物件を仕入れることができる可能性があるという大きなメリットがあります。これは、不動産競売で入札に参加する場合、不動産競売を実施する裁判所が、不動産鑑定士の評価に基づいて、市場価格よりも2~3割減価させた売却基準価額を定め、さらに売却基準価額を2割下回る価額を入札の下限価格(買受可能価額)と定めていること等によります。

 なお、近年では不動産競売の入札参加者が増加し、落札価格が上昇傾向にあることから、当社では仕入の中心を競売仕入から任売仕入にシフトしております。

 

② 商品化(リフォーム)

 仕入れた物件はリフォームを施して、住宅としての機能を回復し、付加価値を高めた中古再生住宅に仕上げております。リフォーム工事は全てリフォーム協力会社へ発注して、当社はその設計、工事監理及び完了検査にあたっております。リフォーム工事の内容については、建物の構造や築年数等、個々の物件の状況に応じて決定しており、物件毎に最適なリフォームを施しております。

 

③ 販売

 物件の販売は、自社に直販部門を設けず、かつ特定の販売会社に依存することなく、各物件の地元の不動産仲介会社へ幅広く、物件販売の仲介を依頼する方法により行っております。これによって、少人数による広域事業展開を可能にしております。

 直接の販売活動は、地元の不動産仲介会社を介して行っておりますが、当社の物件担当者は担当物件の管理状態や販売動向等を確認し、必要に応じて販売価格の見直しを行う等、販売期間の長期化を抑止するための施策を講じております。

 

(2)その他不動産事業

 その他不動産事業としては、不動産賃貸、リフォーム工事請負等の不動産関連事業を行っております。

 当事業の事業規模はまだ僅少でありますが、将来の安定したストック収益(賃貸収入)基盤を構築するため、優良な賃貸用不動産の取得を進めております。

業績

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当事業年度(2023年4月1日~2024年3月31日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴う経済活動の正常化により企業収益や雇用状況が改善し、国内景気は緩やかな回復基調を取り戻しております。一方、為替変動による円安進行、物価高による内需の低迷が懸念される等、景気の先行きは不透明な状況が続いております。

 当社が属する中古住宅流通市場におきましては、公益財団法人東日本不動産流通機構(東日本レインズ)によると、2024年3月度の首都圏中古マンションの成約件数は3,810件(前年同月比10.7%増)となり、10ヶ月連続で前年同月を上回り、成約価格は4,821万円(同8.6%増)で46ヶ月連続で前年同月を上回りました。また、在庫件数も26ヶ月連続で前年同月を上回っております。

 このような市場環境の下、当社の仕入活動につきましては、物件価格の上昇に対して慎重に仕入を行った結果、当事業年度における居住用物件の仕入件数は828件(前事業年度比12.1%減)となりました。

 販売活動につきましては、長期保有物件を中心に販促を強化したことにより当第4四半期会計期間の販売件数が257件(前年同四半期比19.0%増)と増加した結果、当事業年度における居住用物件の販売件数は868件(前事業年度比0.3%増)となり、平均販売単価は2,425万円から2,546万円(同5.0%増)に上昇しております。また、収益用物件につきましては、一棟マンション6棟を販売しました。

 利益面につきましては、長期保有物件の販促において実施した価格見直しの影響により、居住用物件の利益率は低下しましたが、収益用物件の販売において利益率を確保した結果、当事業年度における売上総利益率は16.4%となりました。

 以上の結果、当事業年度における売上高は27,321百万円(前事業年度比6.0%増)、営業利益は2,013百万円(同23.9%減)、経常利益は1,845百万円(同24.9%減)、当期純利益は1,264百万円(同27.5%減)となりました。

 事業別の状況は次のとおりであります。

<中古住宅再生事業>

 中古住宅再生事業におきましては、居住用物件の販売による売上が22,102百万円、収益用一棟マンションを含む収益用物件の販売による売上が4,669百万円となり、物件販売による売上高は26,771百万円となりました。また、収益用物件の保有期間中の賃貸収入が285百万円となりました。その結果、当事業年度における中古住宅再生事業の売上高は27,116百万円(前事業年度比6.3%増)となりました。

<その他不動産事業>

 その他不動産事業におきましては、賃貸用不動産の賃貸収入等により、当事業年度におけるその他不動産事業の売上高は205百万円(前事業年度比23.9%減)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度に比べて1,805百万円増加し、6,146百万円となりました。

 当事業年度における各キャッシュ・フローの状況と要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度の営業活動の結果、獲得した資金は4,549百万円(前年同期は706百万円の使用)となりました。これは主に、税引前当期純利益が1,833百万円、棚卸資産が3,460百万円減少し、支払利息が202百万円であった一方で、利息を188百万円、法人税等を719百万円支出したことによります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度の投資活動の結果、使用した資金は1,246百万円(前年同期は1,548百万円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得により979百万円を支出したことによります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度の財務活動の結果、使用した資金は1,497百万円(前年同期は1,575百万円の獲得)となりました。これは主に、新規の長期借入1,710百万円を実行した一方で、長期借入金2,352百万円を返済し、配当金の支払いにより492百万円を支出したことによります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社は生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

b.仕入実績

 当事業年度の仕入実績を事業別に示すと、次のとおりであります。

事業別

当事業年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

前年同期比

(%)

仕入件数

仕入高

(千円)

中古住宅再生事業

居住用物件

828

13,545,807

△13.5

収益用物件

4

667,773

△72.8

小計

832

14,213,581

△21.6

その他不動産事業

合計

832

14,213,581

△21.6

(注)販売用不動産の仕入実態を明確にするため、上記仕入高には販売用不動産本体価格を記載し、リフォーム資材を含む仕入に係る付随費用等は除いております。

 

c.受注実績

 当社は受注活動を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

d.販売実績

 当事業年度の販売実績を事業別に示すと、次のとおりであります。

事業別

当事業年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

前年同期比

(%)

販売件数

売上高

(千円)

中古住宅再生事業

居住用物件

868

22,102,500

5.3

収益用物件

8

4,669,133

8.4

その他収入

345,102

50.1

小計

876

27,116,736

6.3

その他不動産事業

205,216

△23.9

合計

876

27,321,952

6.0

(注)1.販売実績を明確に表示するため、中古住宅再生事業の売上高は、居住用物件、収益用物件及びその他収入を区分して表示しております。なお、その他収入は短期賃料収入、固定資産税及び都市計画税精算金による売上であります。

2.総販売実績に対する割合が10%以上の相手先はありません。

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

② 財政状態の分析

 当事業年度末における総資産は、26,851百万円となり、前事業年度末の27,425百万円から574百万円の減少となりました。

(流動資産)

 当事業年度末における流動資産は、25,412百万円となり、前事業年度末の24,738百万円から673百万円の増加となりました。これは主に、現金及び預金が2,077百万円、販売用不動産が548百万円増加した一方で、仕掛販売用不動産が1,826百万円減少したことによります。

(固定資産)

 当事業年度末における固定資産は、1,439百万円となり、前事業年度末の2,687百万円から1,248百万円の減少となりました。これは主に、有形固定資産が1,264百万円減少したことによります。

(流動負債)

 当事業年度末における流動負債は、8,475百万円となり、前事業年度末の9,032百万円から557百万円の減少となりました。これは主に、短期借入金が361百万円減少、未払法人税等が185百万円減少したことによります。

(固定負債)

 当事業年度末における固定負債は、7,292百万円となり、前事業年度末の8,088百万円から795百万円の減少となりました。これは主に、長期借入金が776百万円減少したことによります。

(純資産)

 当事業年度末における純資産は、11,082百万円となり、前事業年度末の10,304百万円から778百万円の増加となりました。これは主に、利益剰余金が778百万円増加したことによります。

 

 

③ 経営成績の分析

(売上高)

 当事業年度の売上高は、27,321百万円となり、前事業年度の25,785百万円から1,536百万円の増加(前事業年度比6.0%増)となりました。その主な要因は、居住用物件の販売による売上が1,121百万円増加したことによります。

(売上原価、売上総利益)

 当事業年度の売上原価は、22,851百万円となり、前事業年度の20,729百万円から2,121百万円の増加(前事業年度比10.2%増)となりました。その主な要因は、売上高の増加及び仕入価格・リフォーム費用の上昇に伴うものであります。

 以上の結果により、当事業年度の売上総利益は、4,470百万円(前事業年度比11.6%減)となりました。

(販売費及び一般管理費、営業利益)

 当事業年度の販売費及び一般管理費は、2,457百万円となり、前事業年度の2,411百万円から45百万円の増加(前事業年度比1.9%増)となりました。その主な要因は、売上高の増加に伴う仲介手数料の増加や人件費が増加したことによります。

 以上の結果により、当事業年度の営業利益は、2,013百万円(前事業年度比23.9%減)となりました。

(営業外損益、経常利益)

 当事業年度の営業外収益は、移転補償金及び受取保険金等の計上により、90百万円となりました。また、当事業年度の営業外費用は、支払利息等の計上により、258百万円となりました。

 以上の結果により、当事業年度の経常利益は、1,845百万円(前事業年度比24.9%減)となりました。

(当期純利益)

 当事業年度の当期純利益は、1,264百万円となり、前事業年度の1,744百万円から479百万円の減少(前事業年度比27.5%減)となりました。

 

④ 経営成績に重要な影響を与える要因について

 「3 事業等のリスク」をご参照ください。

 

⑤ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

(資金需要)

 当社の資金需要は、主として販売用不動産の仕入のための仕入資金があります。また、設備資金としては賃貸用不動産の設備投資があります。

(財務政策)

 販売用不動産の仕入資金は、主に物件毎に短期借入金で調達しておりますが、機動的かつ効率的に調達するため、各金融機関と当座貸越やコミットメントラインによる極度額の設定を進めております。

 設備資金につきましては、融資条件等を慎重に比較検討のうえ、案件毎に借入先金融機関を決定しております。賃貸用不動産購入資金は、原則として長期借入金または社債(私募債)で調達しております。

 

⑥ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗情報

 当社は財務健全性と資本効率性を重視し、2022年3月期から2024年3月期までの中期3か年計画において、自己資本比率を30%以上、自己資本利益率(ROE)を12%以上とすることを目標にしており、計画最終年度である当事業年度におきましては、自己資本比率は41.1%、ROEは11.9%となりました。

 また、2024年5月20日に発表した第3次中期経営計画では、2025年3月期から2027年3月期までの3か年における自己資本比率を30%以上、ROEを12%以上とすることを引き続き目標にしております。