2024年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    2,829名(単体) 21,834名(連結)
  • 平均年齢
    45.8歳(単体)
  • 平均勤続年数
    23.2年(単体)
  • 平均年収
    7,690,000円(単体)

従業員の状況

5【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

 

2024年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(名)

マテリアル

10,051

(747)

繊維・製品

5,607

(353)

ヘルスケア

2,835

(553)

IT

902

(0)

その他

1,928

(266)

全社

511

(64)

合計

21,834

(1,983)

(注)1 従業員数は就業人員です。

2 従業員数欄の( )は、臨時従業員の年間平均雇用人員を外数で記載しているものです。

(2) 提出会社の状況

 

 

 

 

2024年3月31日現在

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

2,829

(252)

45.8

23.2

7,690

 

セグメントの名称

従業員数(名)

マテリアル

1,675

(131)

ヘルスケア

55

(5)

その他

588

(53)

全社

511

(64)

合計

2,829

(252)

(注)1 従業員数は就業人員です。

2 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでいます。

3 従業員数欄の( )は、臨時従業員の年間平均雇用人員を外数で記載しているものです。

 

 

(3) 労働組合の状況

特記すべき事項はありません。

 

 

(4) 女性活躍推進法及び育児・介護休業法に基づく指標

当社グループは、多様な人財を活用することが創造性を高めるとともにインクルーシブな企業風土を醸成すると考え、2000年より女性の活躍の推進等に積極的に取り組んできました。事業を取り巻く環境の変化、人々の価値観の変容を踏まえ、当社グループに集う多様な従業員が、それぞれの人間的成長や豊かな人生を実現できるよう、魅力的な働く環境を整備しています。

 

(管理職に占める女性労働者の割合に関する説明)

当社グループでは、女性リーダーの育成・登用促進に注力しております。日本においては、女性の採用強化、育児との両立支援、健康リテラシー向上セミナー等の様々なライフステージに応じて女性が自分らしく働き続けるための定着支援に加え、管理職手前層を対象に事業横断での女性リーダーシップ研修やメンタリング等によるキャリア支援強化にも取り組んでおります。

 

(男性労働者の育児休職取得率に関する説明)

  当社グループでは、性別に関係なく誰もが育児支援の制度を利用できる企業風土の醸成に取り組んでいます。当社では、2022年度に育児休職取得時に男女共に最大55日間給与が支給されるように制度を改定し、トップによる育休取得推奨のメッセージ発信や、男性の育児休業取得者の経験談を社内報やイントラ等で周知するなどした結果、男性の育児休業取得者の平均取得日数は7日(2022年度)から22日(2023年度)に増加しました。

 

(労働者の男女の賃金の差異に関する説明)

 (1)職級が高くなるに従い、同一職級の中でも女性比率が低くなります。このような労務構成が男女の賃金差異

に繋がっています。

    (2)基本給以外の諸手当の支給実績で男女差があるケースがあり、これが男女の賃金の差異に繋がっています。

当社では、世帯主に支給される家族手当や住宅手当、単身赴任者に支給される単身赴任手当や帰宅旅費手当

は、実態として男性に多く支給されており、これら手当の総支給額のうち、女性への支給額は全体の7%でし

た。

(3)育児や介護のための短時間勤務制度を利用する男性従業員は少なく、これが男女の賃金の差異に繋がってい

ます。当社では、育児短時間勤務・介護短時間勤務の男性の利用者割合は、それぞれ10%、0%でした。

 

上記のように男女の賃金差異を生じさせる原因を把握し、女性管理職の計画的な育成と登用、人事制度の改正及び性別役割意識の改善等を通じて賃金差異の縮小に継続的に取り組んでまいります。

 

当社(提出会社)及び連結子会社(国内)の多様性に関する指標は以下のとおりです。

 

 

①提出会社

女性管理職比率

男性育児休業の取得率

男女賃金差異

全労働者

正社員

パート・有期社員

6.6%

83.7%

77.9%

81.2%

58.0%

 

 

②連結子会社

会社名

女性管理職比率

男性育児休業の取得率

男女賃金差異

全労働者

正社員

パート・

有期社員

帝人コードレ(株)

0.0%

100.0%

75.0%

76.3%

73.1%

帝人フロンティア(株)

6.1%

35.3%

57.5%

58.8%

55.0%

帝人物流(株)

4.3%

-

-

-

-

帝人ファーマ(株)

8.0%

85.7%

47.5%

70.5%

31.1%

帝人ヘルスケア(株)

14.3%

53.3%

77.6%

78.8%

83.5%

インフォコム(株)

5.7%

42.9%

74.8%

77.6%

50.3%

(株)アムタス

16.7%

100.0%

77.2%

78.9%

94.3%

(株)ジェイマックシステム

3.1%

-

-

-

-

(株)ジャパン・ティッシュエンジニアリング

36.8%

116.7%

71.5%

74.0%

39.0%

帝人ナカシマメディカル(株)

2.9%

22.2%

64.0%

71.5%

55.3%

帝人エンジニアリング(株)

2.6%

-

-

-

-

帝人エコ・サイエンス(株)

-

0.0%

-

-

-

(注)1 対象期間:2023年度(2023年4月~2024年3月)。但し、女性管理職比率は2024年3月末時点の比率を示しています。

2 賃金:基本給、賞与、時間外労働手当のほか各種手当(通勤手当は除く)の合計額(退職手当は除く)

3 パート・有期社員:パートタイマー、嘱託等(派遣社員は除く)。なお、パートタイマーの人員数は労働時間をもとに換算して算定しています。

4 海外出向者: 出向先が実質的な賃金を負担しているため集計から除外しています。

5 男性育児休業の取得率は、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則第71条の4第1号に定める方法により算出しています。

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

帝人グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において帝人グループが判断したものです。

 

(1)マテリアリティ(重要課題)に関する取組

帝人グループは、社会・環境問題をはじめとするサステナビリティ(持続可能性)を巡る課題を経営課題と認識し、サステナビリティに関する方針のもと、自社にとっての機会とリスクを整理し、以下のとおり、重要課題を特定しました。それぞれにKPIを設定して取り組みを推進することで長期ビジョンの実現につなげています。

 

重要社会課題

1) 気候変動の緩和と適応

2) サーキュラーエコノミーの実現

3) 人と地球社会の安心・安全の確保

4) 人々の健康で快適な暮らしの実現

重要経営課題

5) 持続可能な経営基盤のさらなる強化

 

 

①ガバナンス

サステナビリティに関する方針やマテリアリティは、取締役会における決議事項であり、それらの方針に沿ったサステナビリティの取り組みは、執行側で管理指標も設定して進め、その対応状況については、適宜、CEOまたはサステナビリティ管掌から取締役会に報告され議論を行っています。

 

②戦略

重要社会課題を事業の成長機会と捉え、社会が必要とする新たな価値を創造・提供していくことで、事業と社会の持続的な発展を目指します。

1) 気候変動の緩和と適応

「気候変動の緩和」では、高機能・高付加価値材料によるモビリティの軽量化や高耐久化を中心としたソリューションを提供します。「気候変動への適応」では、高機能素材によるインフラ補強材や、ヘルスケアやIT等の技術やサービスを通し、自然災害発生時の被害低減と迅速な復旧に役立つソリューションの提供に取り組みます。また、事業活動に伴う地球環境への負荷低減として、脱石炭火力を図るとともに、省エネ・再エネ化の推進やプロセスイノベーション等の技術革新にも取り組みます。

2) サーキュラーエコノミーの実現

高性能タイヤ補強材やコンベヤーベルト等、製品の長寿命化につながる「高耐久・高品質素材」や、ポリエステル繊維やアラミド繊維等の「リサイクル技術」の提供を通じて、バリューチェーン全体での資源循環性の向上に貢献します。また、事業活動に伴う資源循環の取り組みとして、リユース、リサイクル等による廃棄物の削減や、水使用量の少ない製品の拡大と事業活動における水の効率的利用に努めます。

3) 人と地域社会の安心・安全の確保

火災の高熱にも耐えるアラミド繊維、地震災害時の天井落下リスクを軽減する超軽量天井材あるいは安否確認システム等、高機能素材やITを駆使したソリューションを提供します。また、ナノレベルの微細技術を活用したフィルターや環境エンジニアリング等により、地球環境汚染の防止・浄化に貢献します。事業活動における生態系の破壊や環境汚染につながる有害化学物質については、把握と管理を徹底し、事業活動に伴う有害化学物質排出量を計画的に削減します。

4) 人々の健康で快適な暮らしの実現

医薬品・医療機器・医療材料・食品・ITサービス等を総合的に活用し、人々の健康的で快適な生活を支えるソリューションを提供します。特に、希少疾患・難病等疾患領域を中心に、より支えを必要とする患者、家族、地域社会の課題を解決するソリューションを提供していくことを目指します。また、安全と健康に配慮した職場環境を提供するため、労働災害の撲滅、長時間労働の是正、メンタルヘルスの向上に取り組みます。

 

③リスク管理

サステナビリティに関するリスクについては、TRMのグループ重大リスクと位置付けTRM体制のもとで管理しています。詳細は、「3 事業等のリスク」をご参照ください。

 

④指標と目標

環境関連課題に対して、下表の長期的なKPIを設定しています。自社グループ排出温室効果ガスの削減目標は「2℃を十分に下回る目標水準(Well-below2℃)」であるとして、パリ協定の定める目標に科学的に整合する温室効果ガスの排出削減目標「Science Based Targets(SBT)」の認定を受けており、長期目標達成のロードマップを設定して、ネット・ゼロの実現に向けて取り組んでいます。

 

 

   *1 CO2以外に、メタン、一酸化二窒素を含んでいます。

   *2 当社製品使用による、サプライチェーン川下でのCO2削減効果を貢献量として算出しています。

   *3 事業基盤を強化するKPIはいずれも2018年度を基準年とする目標値です。

   *4 スコープ3排出量のうち、カテゴリー1(購入した製品・サービス)の商社ビジネスを除く範囲を対象としています。

   *5 各指標の売上高原単位は、連結売上高を分母に適用して算定しています。

 

 

 

(2)人的資本(人材の多様性を含む)に関する取組

帝人グループは、「人財」を究極の経営資本と位置付けています。「帝人グループ 中期経営計画2024-2025」で示した経営戦略・事業戦略を「組織」と「人財」を通じて実現するため、また、社員の自律的なキャリア形成を支援するとともにグローバル適所適材を進めるため、次のとおり人的資本の考え方を再定義しました。

 

■帝人グループに集う多様な社員が、それぞれの人間的成長や豊かな人生を実現できるよう、会社は魅力的な働く環境を整備し、社員の自律的なキャリア形成を支援します。

■事業の成長には、組織と人財の能力開発・発揮が不可欠であり、それに必要な「組織設計」「採用」「配置」「人財開発」「評価・処遇」等といった一連の人事施策を通じて、適所適材を実現します。

 

① ガバナンス

帝人グループは、全経営役員をメンバーとする「グループ人事/D&I会議」(2023年度は15回開催)にて、役員及びグローバルレベルで重要なポジションにおけるサクセッションプランの検討状況の共有や個別アサインメントの検討、また経営者育成に向けた施策に関する議論を実施しています。

また、人的資本や多様性を含めた人事・人財育成に関わる事項のうち重要なものについては経営会議及び取締役会に報告されます。

これらの活動は、人事・総務管掌(CHRO)を責任者として、国内の人事部門の部長、事業本部の人事トップマネージャー等と連携して進めています。加えて、Global HR Leadership Meeting を四半期ごとに開催し、グローバルレベルでの人事戦略、人事施策の検討、各事業における人事施策の進捗状況や課題の共有等を実施しています。

 

② 戦略(人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針)

経営戦略・事業戦略を実現するためには、組織及び人財の競争力を高める必要があります。そのため、人事戦略の大きな柱を、「戦略を実装する『適所』の確立と『適材』の確保」と「人財が活躍するための施策」としました。

1)「戦略を実装する適所の確立と適材の確保」を実現する上での主要な課題は、a.社内グローバル人財を最大限活用、b.人財ポートフォリオの最適化、c.社員のキャリア自律です。これら課題解決のため、日本を含むグローバルにおいては適所適材を実現するための施策、日本国内においては職務に基づく評価・処遇制度(いわゆるジョブ型の人事制度)への改定等を進めていきます。

2)「人財の活躍」を実現するための主要な課題は、d.多様な視点を合わせることによって、イノベーションを促進させること、e.社員エンゲージメント向上です。帝人グループの多様な人財が、自らの能力やスキルを最大限に発揮し生き生きと活躍できる環境を作るため、多様性をより一層富ませるとともに、社員エンゲージメントの阻害要因を特定し、改善アクションを設定、かつそれを実行していくことで、社員エンゲージメント向上を図っていきます。

 

当社は、グループ全体の経営戦略に基づき、各事業がそれぞれの事業戦略を策定、実行しています。戦略実行に適した組織を設計し、それぞれのポジションの職務を定義し、事業戦略を実行する人財を適所適材で確保し、グローバルで職務に適した処遇を行っていくことで、戦略の実現及び事業競争力強化を目指しています。

併せて、帝人グループに集う多様な人財が、それぞれの経験や価値観等からアイディアや考えを出し合い、時には衝突しながらも、それを乗り越えてより良いソリューションやイノベーションを創出していくとともに、多様な人財がエンゲージメント高く生き生きと活躍し、自分らしいキャリアを実現していくための施策を実行しています。

社員のキャリア自律を促すこと、グローバル適所適材を推進することにより、事業戦略に貢献する人財ポートフォリオを構築し、企業価値向上を図っていきます。

 

 人事戦略の全体像は、次のとおりです。

 

 上記を実現するために、2023年度は主に以下の取り組みを進めました。

 

1)グローバルでの適所適材の推進

a.戦略の実装に向けた組織設計

2023年4月に役員制度を改定し、経営役員と事業担当役員から構成される体制に改定しました。これに合わせて、ポジションにおける役割・責任と処遇の関連性を明確化するとともに、人事・評価のプロセスをより適切に整えることで、執行役員を担える人財を、グローバルレベルでより柔軟に任用・配置できる体制としました。

 

b.人財ポートフォリオの構築に着手

2023年度は、役員及び部門長クラスのサクセッションプランの目的、内容及びプロセスを全面的に改定し、トップ層の人財ポートフォリオ構築を実施しました。役員・部門長のポジションの職務と、サクセッサー候補の充足率を明確化し、そのギャップを埋めるための施策(採用、配置、人財開発)を実行しています。

今後は、2024年度から開始する新中期経営計画の事業ポートフォリオ変革を推進するため、事業本部と共同で必要な専門人財に関する人財ポートフォリオを策定し、最適化に向けた必要人財の獲得施策を検討・実施していきます。

 

c.コアポストのサクセッションプランの遂行

2023年度は、役員及び部門長クラスのサクセッションプランの目的、内容及びプロセスを全面的に改定しました。役員のサクセッションプランについては、各役員がサクセッションプランを策定した後、CEO及び人事・総務管掌との三者面談で確認、その後グループ人事/D&I会議にて議論をするというプロセスによって、サクセッションプランのアップデートを行います。またグループ人事/D&I会議の中で、役員ポジションを起点としたサクセッションプランにおけるコアポスト就任候補者の戦略的配置についても議論し、ポジションに就任させるまでの育成を加速しています。

部門長クラスのサクセッションプランについては、部門長本人がサクセッションプランを策定した後、各役員がサクセッションプランをアップデートさせ、人事・総務管掌と役員との事業別人事会議で議論を実施し、戦略的配置のほか、ポジション就任候補者の人財開発のための個別育成を実施しています。

 

d.グローバルジョブポスティングの拡充

社員がグローバルで自律的にキャリア形成できるよう、また、グローバルでの適所適材を推進する施策として、2023年度にトライアルとして社内公募をグローバルに展開しました。2024年度以降は、この実績を踏まえ、さらに海外グループ会社の対象範囲を拡大していく予定です。

 

 

2)日本における人事制度改革

a.職務に基づく評価・処遇の実現

2023年4月に役員層について、ポジションにおける役割・責任と処遇の関連性を明確にしたジョブ型人事・評価を導入しました。次いで、2024年4月に部門長以上の管理職について、職務の大きさ(幅、難易度、責任の重さなど)に応じて処遇を決める処遇制度に移行しました。

これらの制度改定により、ポジションの職務内容を明確化し、職務に応じた処遇を実現することで、優秀人財の採用、配置、人財開発を図ります。

さらに2024年度からは、部長以下の管理職についても職務基準の人事制度への改正について検討、実施していきます。

 

b. タレントアクイジション戦略

戦略を実現し、事業競争力を高めるためには、専門性の高い人財を獲得していく必要があります。2023年度は、キャリア入社者比率は40.9%(帝人、帝人ファーマ)でした。今後採用方法の多様化を進め、専門性の高い人財の確実な採用を図っていきます。

 

c.自律的なキャリア形成/成長支援

社員の自律的なキャリア形成を促すことは、会社と社員の健全な関係のベースとなるものであり、社員の社内・市場競争力を高めるための努力は、企業価値の向上に大きな貢献をするものであると考えています。日本では、1990年代から社内公募制度「ジョブチャレンジ制度」を実施しておりますが、社内公募の活性化とともに社内のキャリア機会を知ってもらう取り組み「ジョブポスティングウィーク」として、公募している部署の所属長が部署と仕事の魅力をPRするイベントを実施しました。その結果、国内の公募数は前年対比2.3倍に増加しました。

また、今後のキャリア形成について本人・上司が話し合う場としてのキャリア面談制度をトライアルとして開始しました。キャリア形成は自己責任ではあるものの、会社は社員のキャリア自律を最大限サポートする責任があります。2024年度以降は、全社に展開し、社員の自律的なキャリア形成・成長支援を行っていきます。

 

 

3)人財が活躍するための施策

グローバルで帝人グループに集う多様な社員が、自らの能力やスキルを最大限に発揮し生き生きと働き活躍することが必要です。社員が活躍できる環境を作るため、a.DE&Iの推進、b.エンゲージメント向上を進めています。

a.DE&Iの推進

帝人グループは、多様な人財を活用することが創造性を高め、イノベーションを促進すると考え、2000年より女性の活躍の推進、外国籍の社員の採用などに積極的に取り組んできました。事業のグローバル化に伴い、日本を中心とした取り組みを世界に広げ、役員層の多様性推進のためのKPIを設定しています。役員候補のパイプライン形成、また部課長として活躍している女性を増やすため、事業本部ごとに女性部課長の比率目標を設定し、事業本部内での計画的な育成と登用を実施しています。また、女性が自分らしいリーダーシップを発揮できるよう、2024年度よりトライアルとして異業種メンタリングを実施し、メンターからのアドバイスや示唆を受けて実際の業務の中で実行するというPDCAサイクルの中で、リーダーとしての成長を促していく予定です。

帝人グループでは、毎年エンゲージメントサーベイを実施していますが、2023年度に実施したサーベイの結果からDE&Iの方針や考え方のグローバルでの浸透度に課題があることが分かりました。そこで、国際女性デーに合わせて改めてトップメッセージを動画でグローバルに配信したほか、今後は、社員有志が実施しているDE&Iの活動をグローバルで情報共有するなど、トップダウンとボトムアップ双方の取り組みを継続しDE&Iの浸透と意識の向上を図っていきます。

これまでは、ダイバーシティ(多様性)とインクルージョン(包摂性)を推進しておりましたが、社員の属性やニーズがさらに多様化している状況の中、今後は、一人ひとりがパフォーマンスを出せるよう、個々に合わせて支援内容を調整し、公平な土台をつくり上げる「エクイティ」の施策も検討、実施していきます。

障がい者活躍に関しては、特例子会社の帝人ソレイユで野菜・バラ・胡蝶蘭を中心とした農業事業と、オフィスサポート事業を実施し、障がい者一人ひとりの特性に応じた活躍の場を作っています。ハンディキャップがあっても農業において能力を発揮することで、会社・事業に貢献するだけでなく、自らが経済社会を構成する労働者の一員であることに“やりがい”と“誇り”を感じられることを目指しています。また、帝人ソレイユでは農業事業において売上増加及び営業利益黒字化を目標に販売拡大に取り組んでいます。なお、2024年3月時点での帝人・帝人ファーマ・帝人ヘルスケア・帝人ソレイユにおける障がい者の雇用率は2.62%で、法定雇用率である2.3%を上回っています。

LGBTQ+当事者の活躍のため、2017年以降、①会社としての方針明示、②社員への啓発活動、③当事者に配慮した人事給与の制度改定、④当事者への支援の取り組みを実施してきました。①及び③は既に実施済であることから、社員への啓発活動と当事者への個別支援に重点を置いております。2023年度はLGBTQ+当事者を理解するためのイベントや階層別研修でのLGBTQ+当事者についての研修を実施しました。数はまだ多くないものの、当事者からの個別相談が増えてきています。このような取り組みが評価され、Work with Pride のPride指標で4年連続Goldを受賞しました。

 

b.社員エンゲージメントの高い競争力ある企業へ

事業戦略の実現には、社員エンゲージメント向上が必要です。毎年1回サーベイを実施し、結果を分析して課題を特定し改善アクションを実施するというPDCAサイクルでエンゲージメント向上を図っています。2023年度は、日本・海外のグループ社員約19,500人を対象として実施し、回答率が71%と前年対比+3%増加したものの、エンゲージメントスコアは62と前年対比2スコアダウンしました。サーベイの結果分析から、サーベイ後の行動(改善アクション)に課題があるということが分かりました。2024年度以降は、部課長の改善アクション設定率をKPIに設定し、部や課といったフロントラインの組織でそれぞれ異なる課題に対して改善アクションを実施していくことでエンゲージメント向上を図ります。

 

 

 

③ リスク管理

人的資本に関するリスクについては、TRM体制のもとで対応すべきリスク領域として位置づけ管理しています。詳細は、「3 事業等のリスク」をご参照ください。

 

④ 指標及び目標

人事戦略の柱の一つである「人財が活躍するための施策」の状況を測るため、役員層・管理職層の多様性と社員エンゲージメントに関する指標を設定しています。計画的な育成と登用で役員層・管理職層の多様性を改善し、エンゲージメント改善アクションの設定と実行で社員エンゲージメントを向上させ、目標の達成を目指します。

 

 [多様性に関するKPI]

 

 

 [社員エンゲージメントに関するKPI]

*1 取締役、監査役、グループ執行役員

*2 日本を含めたグローバルでラインポストに就く役職者

*3  前年9月実施分

 

 

(3) 社会貢献活動

帝人グループ社会貢献基本方針に則り、自然との調和を大切にし、地域コミュニティとともに発展するため、よき企業市民として事業特性や地域性を尊重した適切な社会貢献活動を推進しています。学術・教育、スポーツなどを通じた次世代の育成の支援としては、若き科学技術者の育成を目的に創設した公益財団法人帝人奨学会による帝人久村奨学金制度を通じ、70年にわたり約1,700人の理工系学生を支援しています。また、「全国高校サッカー選手権大会」への協賛や、公益財団法人日本ユニセフ協会「子どもの権利とスポーツの原則」への賛同など、青少年のスポーツ支援に取り組んでいます。その他、「令和6年能登半島地震」の被災地に対する復興支援や、社員のボランティア活動を支援する休職制度や社員参加型プログラムなどの様々な仕組みを継続的に運用しています。