2025年3月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります

分譲住宅事業 注文住宅事業 その他
  • 売上
  • 利益
  • 利益率

最新年度

セグメント名 売上
(百万円)
売上構成比率
(%)
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
分譲住宅事業 12,431 84.2 998 89.5 8.0
注文住宅事業 2,227 15.1 140 12.5 6.3
その他 113 0.8 -23 -2.1 -20.2

事業内容

3【事業の内容】

当社は、分譲住宅の建築・販売、注文住宅の建築請負、マンション(区分所有)のリノベーションによる販売や既存住宅のリフォーム等を主たる事業としております。

なお、次の3事業は「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に掲げるセグメントの区分と同一であります。

 

(1) 分譲住宅事業

新築戸建住宅の企画・開発と販売を行っております。また、建築条件付宅地分譲及び宅地のみの更地分譲も行っております。

 

(2) 注文住宅事業

新築戸建住宅の建築請負を行っております。

 

(3) その他

区分所有のリノベーションによる販売や、既存住宅のリフォーム等を行っております。

 

[事業系統図]

以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。

 

 

業績

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

① 経営成績の状況

当事業年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善及びインバウンド需要の増加等により、緩やかな回復基調で推移しました。しかしながら、原材料価格やエネルギー価格の高騰、海外景気の下振れや金融資本市場の変動リスク等への懸念から、依然として先行きは不透明な状況が続いております。

当社の属する住宅業界におきましては、住宅ローン減税、子育てエコホーム支援事業等の政策がある一方、建築資材の高騰に加え、住宅ローン金利が上昇基調にあり、2024年の新設住宅着工戸数はリーマンショック直後の2009年以来15年振りに80万戸台を下回る等、厳しい状況となっております。

このような環境の中、主力の分譲住宅事業を中心に、一部価格調整を伴う販売活動等により利益率の低下は見られたものの、販売棟数が前年から増加したことで、売上高及びセグメント利益は前期を上回る結果となりました。また当社は、パーパス「都市に調和する快適で安心な戸建住宅の提供」のもと、自社設計・自社施工管理による高品質でリーズナブルな住宅の供給により、エリアでの供給実績を積み上げ、持続的成長基盤の強化に取り組んでおります。

これらの結果、当事業年度の売上高は14,771,438千円(前年同期比5.6%増)、営業利益は591,307千円(同126.2%増)、経常利益は524,347千円(同148.4%増)、当期純利益は550,784千円(同264.1%増)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

(分譲住宅事業)

分譲住宅事業におきましては、事業エリアの市況を踏まえ、厳選した土地の仕入れを行うとともに、販売価格を柔軟に変更する等して完成在庫の早期販売に注力、加えて東京23区の販売数が高まったことにより1棟当たりの販売単価が上昇した結果、引渡棟数、売上高は、前年実績を上回りました。引き続き、不動産の仕入れを厳選し、顧客ニーズに応じた供給を行うことで、新規エリアへの進出と既存営業エリアの深耕により収益性の向上を目指してまいります。

これらの結果、引渡棟数は295棟(前年同期比23棟増)、売上高は12,431,179千円(同10.1%増)、営業利益は997,899千円(同65.0%増)となりました。

なお、分譲住宅事業セグメントには、京都住宅事業部の実績、引渡棟数8棟、売上高320,824千円、営業利益6,532千円が含まれております。

 

(注文住宅事業)

注文住宅事業におきましては、集客面においてWEB広告の活用などを積極的に行い、様々なアプローチから受注獲得に取り組み、多様な顧客ニーズに柔軟に対応できるプランを提案するなど、受注棟数の増加を目指しておりましたが、残念ながら需要は伸びず、売上、利益は前年実績より減少いたしました。今後につきましては、モデルハウスを活用して新たなニーズの掘起こしと提案力を強化し、魅力ある住宅作りにつなげていく所存です。また、早期受注・早期着工・早期引渡を目標に、変化するお客様の価値観・行動様式に対応していくことで、中核事業である注文住宅事業の収益基盤をより一層強化し収益力の向上に努めてまいります。

これらの結果、引渡棟数は85棟(前年同期比15棟減)、売上高は2,227,247千円(同9.7%減)、営業利益は139,850千円(同17.1%減)となりました。

なお、注文住宅事業セグメントには、京都住宅事業部の実績、引渡棟数3棟、売上高72,399千円、営業利益3,352千円が含まれております。

 

(その他事業)

その他事業におきましては、主に京都住宅事業部において、マンション(区分所有)におけるリノベーションを行い、付加価値を高めたうえで一般顧客への販売を手掛けております。当事業年度は3戸の販売実績となりました。また、京都住宅事業部においては、分譲住宅事業及び注文住宅事業を合わせて展開しております。

なお、その他の事業には、京都住宅事業部のリノベーション事業の他、既存建物の小規模改修工事が含まれております。

これらの結果、売上高は113,011千円(前年同期比52.1%減)、営業損失は22,864千円(前年同期は営業損失32,575千円)となりました。

 

 

 

セグメントの名称

売上高(千円)

(前年同期比)

引渡棟数

(前年同期)

分譲住宅事業

[うち土地分譲]

12,431,179

(10.1%)

295

(272)

[286,701]

[38.0%]

[6]

[4]

注文住宅事業

2,227,247

(△9.7%)

85

(100)

その他

113,011

(△52.1%)

3

(5)

合計

14,771,438

(5.6%)

383

(377)

(注)[ ]は、土地分譲に係る内数であります。

 

② 財政状態の状況

(資産の部)

当事業年度末における流動資産は9,278,918千円となり、前事業年度末に比べて2,276,318千円増加しました。これは主に、販売用不動産が257,828千円減少した一方、仕掛販売用不動産が1,639,852千円増加、現金及び預金が776,344千円増加したことによるものであります。

固定資産は339,941千円となり、前事業年度末に比べて542,741千円減少しました。これは主に、建物が431,332千円減少、土地が117,021千円減少したことによるものであります。

この結果、総資産は9,618,860千円となり、前事業年度末と比較して1,733,577千円増加しました。

 

(負債の部)

当事業年度末における流動負債は5,532,920千円となり、前事業年度末に比べて1,688,368千円増加しました。これは主に、短期借入金が1,328,500千円増加、未払法人税等が266,080千円増加したことによるものであります。

固定負債は112,069千円となり、前事業年度末に比べ455,586千円減少しました。これは主に、長期借入金が460,113千円減少したことによるものであります。

この結果、負債合計は5,644,990千円となり、前事業年度末に比べて1,232,782千円増加しました。

 

(純資産の部)

当事業年度末における純資産合計は3,973,869千円となり、前事業年度末と比べて500,794千円増加しました。これは、当期純利益を550,784千円計上したこと及び配当金の支払いを49,990千円行ったことによるものであります。

この結果、自己資本比率は41.3%(前事業年度末は44.0%)となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当事業年度における「現金及び現金同等物」(以下「資金」という。)は、営業活動により736,508千円を使用、投資活動により840,371千円を獲得、財務活動により672,481千円を獲得したことにより、前事業年度末に比べ776,344千円増加し、当事業年度末には3,122,556千円となりました。

当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果使用した資金は、736,508千円(前年同期は791,359千円の獲得)となりました。これは主に、棚卸資産の増加1,382,024千円、固定資産売却益301,658千円による資金の減少があった一方で、税引前当期純利益の計上825,647千円、仕入債務の増加168,602千円による資金の増加があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果獲得した資金は、840,371千円(前年同期は411,634千円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の売却による収入847,915千円があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果獲得した資金は、672,481千円(前年同期は592,219千円の使用)となりました。これは主に、短期借入れによる収入7,866,000千円があった一方で、短期借入金の返済による支出6,537,500千円、長期借入金の返済による支出602,308千円があったことによるものであります。

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当社が営む分譲住宅事業及び建築請負を主体とする注文住宅事業では生産実績を定義することが困難であるため、「生産実績」は記載しておりません。

 

b.受注実績

当事業年度における住宅事業のうち建築請負の受注状況は次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

注文住宅事業

2,676,254

24.9

3,014,872

20.7

(注)上記以外のセグメントについては、提供するサービスの性格上、受注状況の記載になじまないため、記載を省略しております。

 

c.販売実績

当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

前年同期比(%)

分譲住宅事業(千円)

12,431,179

10.1%

注文住宅事業(千円)

2,227,247

△9.7%

その他事業(千円)

113,011

△52.1%

合計(千円)

14,771,438

5.6%

(注)1.主たる販売先は不特定多数の一般消費者であり、相手先別販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10以上の販売先はありません。

2.直近2事業年度の分譲住宅事業における地域別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。なお、地域別の分類は、物件の属する地域によって分類しております。

地域

前事業年度

当事業年度

売上高(千円)

割合(%)

売上高(千円)

割合(%)

東京都23区

3,741,525

33.2

4,095,358

32.9

神奈川県横浜市

4,566,041

40.4

5,709,509

45.9

神奈川県川崎市

2,906,213

25.8

2,305,486

18.6

京都府

72,117

0.6

320,824

2.6

合計

11,285,897

100.0

12,431,179

100.0

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。

この財務諸表の作成に当たり、重要な会計上の見積りにつきましては、十分検討して作成しております。会計上の見積りについては、過去の実績等を勘案し、合理的な基準により判断しておりますが、会計上の見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。

なお、財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

② 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

分譲住宅事業におきましては、立地・価格・品質のベストバランスを追及した商品力の強化に加え、営業人員の戦力化が進んだことにより、引渡棟数は前年実績を上回り、通期では増収増益となりました。

他方で、用地仕入におきましては、事業化可能な用地情報が例年より少なく、買い取り競争が高まっていることから一定程度の困難は伴っているものの、将来の成長を加味した上での用地の取得は、概ね計画通り進捗しております。そのため、前事業年度と比較して、仕掛販売用不動産が増加しており、これらの調達資金となる有利子負債も増加しております。

また、当社の経営成績に重要な影響を与える要因として、金利の上昇及び金融機関の不動産への融資姿勢の硬直化があります。金融機関の不動産への融資姿勢の硬直化は、当社の用地仕入時の資金調達に影響し、当社の成長のボトルネックとなる可能性があります。当社といたしましては、このような影響をヘッジするため、金融機関が、融資に取り組みやすい東横線沿線や東京23区の人気エリアに注力した用地仕入をすることや、より高い利益率を想定してプロジェクト事業計画を立案することなどの施策を講じております。

当社の資本の財源及び資金の流動性については、用地取得の競争環境が厳しくなる中で適正な資金水準の維持と財務の健全性を考慮した有利子負債のバランスを適切に保つことが非常に重要であると考えております。

今後につきましては、扱う物件数が増加していることや物件の竣工時期に偏重があることなどから、資金の流動性をより確保することが必要であるため、適切な資金計画のもと、金融機関からの機動的な運転資金の確保に向けた取引金融機関の増加の検討をしております。

売上高は12,431,179千円(前年同期比10.1%増)、営業利益は997,899千円(同65.0%増)となりました。

 

注文住宅事業におきましては、住宅着工戸数の前年比割れが続き、また消費者物価指数の上昇傾向が続き、実質賃金は低下傾向にあり、近年の建築費用の急速な伸びによる住宅販売価格の上昇により、住宅需要は低迷した状況が続いております。なお、注文住宅の請負工事につきましては、契約の締結から着工・竣工までが通常長期間に及ぶため、売上実績に反映されるまでタイムラグが生じることになります。その結果、受注棟数、販売棟数が前期比で減少という結果となりましたが、原価上昇分を販売価格に転嫁できており、売上総利益率は維持できております。

その結果、売上高は2,227,247千円(前年同期比9.7%減)、営業利益は139,850千円(同17.1%減)となりました。

 

その他事業の中古マンションのリノベーション事業につきましては、中古マンション等を1戸単位で仕入れ、内装のリフォーム工事を行った後に販売を行っております。このリノベーション事業は、将来の事業展開に備えて継続してまいりますが、本格的に事業化するためには、更にノウハウの蓄積を行う必要があるものと見込まれます。当事業年度の販売実績は3件となりました。

その結果、売上高113,011千円(前年同期比52.1%減)、営業損失は22,864千円(前年同期は営業損失32,575千円)となりました。

 

③ 経営成績に重要な影響を与える要因

当社の経営成績に重要な影響を与える要因として、法的規制、自然災害等のリスクなどがあります。なお、各々の内容については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しております。

 

 

④ キャッシュ・フローの状況の分析・資本の財源及び資金の流動性

当社は、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としており、運転資金及び設備資金につきましては、内部資金または、借入により資金調達することとしております。また、運転資金の効率的な調達を行うため取引銀行と当座貸越契約を締結しております。

当社の運転資金需要のうち主なものは、事業用地等の取得に係るプロジェクト資金や、住宅建築に係る材料費及び外注費のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。

なお、当事業年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は4,360,385千円となっております。また、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は3,122,556千円となっております。

当社は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するよう努めておりますが、特に主要な事業である分譲住宅事業において、いかに立地の良い土地を適正な価格で数多く仕入れることができるかを最重要課題のひとつとしており、当社の属する不動産・住宅業界が特有なビジネス環境の変化に影響を受けやすいことを鑑みますと、事業用不動産等の取得に係るプロジェクト資金の調達を機動的かつ安定的に行う必要があるとともに、事業環境変化のリスクに備えるため資金調達手段の多様化を図る必要があると認識しております。

分譲住宅会社はその調達に当たり、プロジェクトの期間に応じた短期借入での調達が一般的であり、当社も短期を中心とした資金を調達しております。

なお、キャッシュ・フローの状況の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載しております。