2024年9月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項につきまして、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下のとおり記載しております。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅することを保証するものではありません。

 

(1) 法的規制や訴訟に関するリスク

① 法的規制について

遊休資産活用事業においては、駐車場の設置等に関する法令として定めた「駐車場法」をはじめ、都道府県公安委員会による交通規制等を定めた「道路交通法」並びに自動車保有者等に対して自動車の保管場所確保等を定めた「自動車の保管場所の確保等に関する法律(車庫法)」等があります。

また、宅地建物取引業法では、駐車場として利用することを目的とする土地の貸借の媒介は、原則として宅建業法の適用がありますが、車1台ごとの月極駐車場の貸借の媒介については、業法の趣旨及び規制の実益等を考慮して、業法上の問題としては取り扱わない運用がなされております。

現在、当社グループが営む月極駐車場紹介サービス及び月極駐車場サブリースサービスの運営上、直接的な影響はありませんが、これらの法律が変更された場合、若しくは今後、都市部の自動車利用の制限につながるような法改正等がなされ、駐車場需要が減少した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

ビジュアライゼーション事業においては、著作権や肖像権等の知的創造物についての権利に係る知的財産基本法に関する法律等がありますが、新技術の普及に合わせ、法整備の議論が活発的に行われているため法改正等がなされた場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

② 訴訟リスクについて

遊休資産活用事業においては、駐車場を利用しているユーザーが機械式駐車場を破損した場合や事故等が生じた場合で、当社グループがユーザーへの使用説明を怠った場合等、当社グループの過失に起因する場合に、訴訟が発生する可能性があります。またビジュアライゼーション事業においては、著作権や肖像権などの知的財産権についての訴訟が発生する可能性があります。

なお、現在のところ訴訟等は生じておりませんが、今後、重大な訴訟事件等が提起された場合には、当社グループの信用力の失墜を招くとともに、損害賠償等によって当社グループの業績及び事業活動に影響を及ぼす可能性があります。

 

これらの法的規制や訴訟に関するリスクに対し当社グループでは、法令やその運用に係る改正が事業に与える影響を適時に把握すべく、また潜在的な係争案件に早期に対応すべく法務担当を設けるとともに、顧問弁護士からも適時に専門的な助言を受けることで、リスクの低減に努めております。

 

(2) 自然災害・気候変動などのリスク

 営業地域の限定について

当社グループが提供するサービスは現在、全国の主要都市を主体とした営業活動を行っております。主要都市を対象とする営業方針であることから、今後の事業拡大地域が限定される可能性があります。なお、各地区において、地震等の大災害やその他の不測の事態が発生し、当社グループが管理運営する物件が破損し、あるいは閉鎖となった場合等には事業活動に支障が生じ、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

これらに対し当社グループでは各主要都市において綿密な管理を実施できるようにブランチ展開をし、人員を配置することで、事業活動が極度に一地区へ集中することを避け、リスクを分散させるよう努めております。

 

(3) 駐車場市場変化のリスク

① 駐車場需要の減少について

ガソリン価格の急騰等により、国内の自動車保有台数が急激に減少する等の外的要因により駐車場需要が急激に減少することとなった場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

② 競合について

月極駐車場紹介サービスにおいては、当社グループ以外の検索サイトや店舗型不動産業者等、複数の競合相手が存在していることから、今後もユーザー獲得に向け検索サイトの情報の充実や利便性の向上、信頼性の強化を図り、他社との差別化に努めてまいります。また、当社グループの月極駐車場サブリースサービスにおいては、ユーザー獲得が可能な自社サイトを有しているという月極駐車場紹介サービスにおける集客力の強みを活かし、マスターリース台数の増加を図る方針であります。

しかしながら、月極駐車場紹介サービス及び月極駐車場サブリースサービスそれぞれにおいて、資本力を有する企業が新規参入した場合や競合他社の増加によるユーザー獲得競争が激化した場合には、紹介手数料や貸出価格における価格競争及びユーザー獲得コストの増加等によって、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

これらに対し当社グループでは、競合他社の動向を定期的にモニタリングする専属担当としてウェブマーケティング担当を設け、当社グループの競争力の向上につながるような適切なサービスが行えるよう努めております。

③ 駐車場オーナーに対する収入保証について

月極駐車場サブリースサービスは、土地や施設を保有せず、駐車場オーナーよりそれらを賃貸借契約により借り受ける形でサービスを行っております。また、月極駐車場サブリースサービスにおける駐車場オーナーとの契約の大半は、契約時に設定した固定賃料の支払いが毎月発生する内容となっております。当社グループは駐車場オーナーからの信頼獲得のため、契約上の義務ではないものの、可能な限り当社グループから賃貸借契約を解約しない方針をとっております。したがって、月極駐車場利用者のサブリース台数が計画どおり進まなかった場合や、月極駐車場利用者との既存契約の解約が増加した場合等には、当社グループの収入が減少する一方、駐車場オーナーへの固定賃料の支払は継続しなければならないことから、損失が発生する可能性があります。

このため当社グループでは、マスターリース台数、サブリース台数ならびに稼働率を業績管理指標として設定し、これらのバランスを適宜モニタリングすることにより、上記の損失発生リスクを管理しつつ、計画的にマスターリース台数を増加させております。

④ 預り保証金の返還について

サブリースしている駐車場を契約するユーザーから、契約締結時に1~2か月分賃料相当の保証金を受領しております。当該保証金については、保全措置の対象ではありませんが、一度に大量の解約等が発生した場合には、当社グループの資金繰りおよび財政状態に影響を与える可能性があります。

これに対し当社グループでは、適時に資金繰計画を作成・更新するとともに、手許流動性の維持等により流動性リスク(支払期日に支払いを実行できなくなるリスク)を管理しております。

⑤ ポータルサイト「カーパーキング」について

月極駐車場紹介サービスは、ポータルサイトである「カーパーキング」を中心とした事業を展開しており、事業の基盤は、多くのユーザーが「カーパーキング」に訪問することであります。

月極駐車場情報の掲載数増加やユーザーインターフェースの改善等によりユーザー数拡大を推進していく方針でありますが、ユーザー数が想定を下回る又は減少することにより、駐車場紹介件数及びサブリース件数が低下した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

⑥ 月極駐車場掲載件数について

ポータルサイト「カーパーキング」において、駐車場オーナーのアクセス数の減少や認知度の低下、あるいは空き駐車場自体の減少により、月極駐車場情報の掲載件数が増加しない又は減少する場合、紹介件数減少に伴う駐車場紹介手数料売上の減少等が想定されます。このように月極駐車場掲載件数が増加しない又は減少する場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

⑤及び⑥に記載のリスクに対し当社グループでは、ユーザー数や掲載件数といったポータルサイトに関連する指標を毎月の取締役会で報告し、事業戦略への迅速な反映が行えるように努めております

 

 

(4) ITシステムのリスク

① 「カーパーキング」への集客における外部検索エンジンへの依存について

「カーパーキング」への集客は、グーグルなどの検索サイトを経由したものが多くを占めており、検索エンジンの表示結果に左右されるといえます。

今後、検索エンジン運営者における上位表示方針の変更等により、当社グループサイトが検索結果の上位に表示されない場合には、「カーパーキング」における集客効果が低下し当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

これらに対し当社グループでは、外部検索エンジンにおける検索結果及びユーザー流入数を継続的にモニタリングし、検索エンジンの表示方針の変更に適時に対応できるよう努めております。

② システムについて

月極駐車場紹介サービスは、サービスの基盤をインターネット通信網に依存しています。したがって、自然災害や事故によりインターネット通信網が切断された場合には、サービスの提供が困難となります。また、当社グループの運営するポータルサイトへの予想外の急激なアクセス増加等による一時的な過負荷やその他予期せぬ事象によるサーバーダウン等により、当社グループのサービスが停止する可能性があります。これまで当社グループにおいて、そのような事象は発生しておりませんが、今後このようなシステム障害等が発生し、サービスの安定的な提供が行えないような事態が発生した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

このため当社グループでは、システムの安定性を確保すべく必要に応じてサーバーの増設を行うとともに、事業上重要なデータについては定期的にバックアップをとることにより、リスクの低減に努めております。

 

(5) 情報セキュリティに関するリスク

当社グループは、各事業において個人情報をはじめとする多くの機密情報を取り扱っております。不測の事態により、これらの情報が外部に流出するような事態が生じた場合は、当社グループの信用低下を招くとともに損害賠償請求訴訟の提起等により、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

これらに対し当社グループでは、情報セキュリティ方針や個人情報保護規程を定めており、規制環境等の変化に応じてこれらを見直しております。また、情報セキュリティ委員会を設置し、社内研修会を実施するなど情報セキュリティ等に対する社員の意識向上を図っております。また、2017年1月にプライバシーマークの認証、2023年12月に情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の国際規格「ISO/IEC 27001:2022」及び本規格をもとにJIS化された「JIS Q 27001:2023」の認証を取得しております。

 

(6) コンプライアンス・組織体制のリスク

① コンプライアンス体制について

当社グループは、今後企業価値を高めていくためにはコンプライアンス体制が有効に機能することが重要であると考えております。しかしながら、コンプライアンス上のリスクを完全に解消することは困難であり、今後の当社グループの事業運営に関して法令等に抵触する事態が発生した場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

このためコンプライアンスに関する社内規程を策定するとともに、適宜研修を実施し、コンプライアンス意識の向上及び周知徹底を図っております。

② 人材の確保及び育成について

当社グループでは、事業の性質上、営業人員及びシステムの増強・開発を行うエンジニアの確保及び育成が重要であります。しかしながら、十分な人材の確保及び育成を行えず、深刻なリソース不足が生じた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

このため、WEB媒体等を活用し継続的に人材を募集するとともに、福利厚生面の充実や必要な教育研修等を実施することで人員の確保及び育成に努めております。

③ 特定の人物への依存について

創業者であり代表取締役社長である菅田洋司は、当社グループの経営方針や事業戦略の決定及びその遂行において極めて重要な役割を果たしております。しかしながら、同氏が何らかの理由により当社グループの業務を行うことが困難となった場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

当社グループは、各部門長への情報共有のより一層の強化を図るとともに、権限委譲を適宜行っていくことで、同氏に過度に依存しない経営体制の整備を進めております。

④ 小規模組織であることについて

当社グループは、小規模な組織であり、現在の人員構成における最適と考えられる内部管理体制や業務執行体制を構築しております。これらの施策に対し十分な対応ができなかった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

このため当社グループは、今後の業容拡大および業務内容の多様化に対応するため、人員の増強および内部管理体制及び業務執行体制のより一層の充実を図ってまいります。

 

(7) その他のリスク

① 新規サービスや新規事業について

当社グループは、今後の事業規模の拡大と収益の多様化を図るため、積極的に新規サービスや新規事業に取り組んでいく方針であります。これにより、人材やシステムへの追加投資による支出が発生し、利益率が低下する可能性があります。また、新規サービスや新規事業が計画どおりに進まない場合には、当社グループの業績及び事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

これらに対し当社グループは、新規サービス及び新規事業を開始する際には、事前に入念な予備調査を行い、事業の収益性・成長性やその潜在的なリスクを評価し、当初想定していた計画から新規サービス及び新規事業の実績が乖離しないよう努めてまいります。

② 販売用不動産の評価損について

当社グループは、販売用不動産の評価について、個別法による原価法(貸借対照表価額については収益性の低下に基づく簿価切下げの方法)によっており、収益性の低下した販売用不動産については、正味売却価額をもって貸借対照表価額としております。なお、正味売却価額は、販売見込額から販売経費等見込額を控除して算出しております。

販売用不動産の正味売却価額の見積りの基礎となる販売見込額は、物件ごとの現況に応じて、公示価格、周辺の売買取引事例、外部業者による価格査定結果等を踏まえ、算出しております。なお、物件ごとに特性があり、景気動向、金利動向及び地価動向等の影響を受けて、その見積りは変動する可能性があります。その結果、販売用不動産の正味売却価額の見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、翌連結会計年度の連結財務諸表における販売用不動産の金額に重要な影響を与える可能性があります。

これらに対し当社グループは、業績の定期的なモニタリング及び不動産売買市場の動向を注視し、早期にリスクを把握することで、懸念事項に対して適時に対応してまいります。

③ のれんを含む固定資産の減損損失及び子会社株式の評価損について

当社グループは、当連結会計年度末の連結貸借対照表に39,354千円ののれんを計上しております。当該のれんは2019年9月に事業譲受により取得した、貸し会議室やジム、スタジオ等のレンタルスペースの運営サポートを提供するWEB予約システム「スマート空間予約」に係るものであり、システムの新規導入室数の伸び悩み及びこれに伴うカスタマイズ対応案件の受注の低迷、解約数の増加により、将来事業計画で期待した成果が得られず、減損損失の計上が必要と判断される場合には当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。なお、当該のれんは遊休資産活用事業セグメントに含まれております。

また、当社が保有する子会社株式の評価基準は原価法によっておりますが、時価のない株式については財政状態の悪化等により実質価額が著しく下落した場合、子会社株式の減損処理が必要となり、個別財務諸表の業績に影響を与える可能性があります。

これらに対し当社グループでは該当する事業の業績を定期的にモニタリングし、早期にリスクを把握することで、懸念事項に対して適時に対応してまいります。

④ 為替変動について

連結決算において、海外子会社の業績に外国為替変動の影響が生じます。また、外貨建ての仕入・販売・サービスの提供など個別の取引においても、仕入高・販売高に為替変動の影響が生じ当社グループの業績及び事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

これらに対し当社グループでは海外子会社の業績及び為替変動を定期的にモニタリングし、リスクの増大を適時に把握し、必要な対応を行ってまいります。

 

配当政策

3【配当政策】

 当社は、企業価値の向上と株主の皆様への利益還元を実施することを経営の重要政策の一つと位置付けております。配当につきましては、業績動向、財務状況、将来の事業展開に必要な内部留保の充実等を総合的に勘案しながら業績に応じた安定的な配当の継続を基本方針としております。

 この方針に基づき当事業年度の剰余金の配当につきましては、1株当たり25円(中間配当はなし)としております。

 期末配当の決定機関は株主総会となっております。また、当社は、会社法第454条第5項に規定する中間配当制度を採用しており、中間配当を取締役会の決議によって行うことができる旨を定款に定めております。

当事業年度に係る剰余金の配当は、次のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額

(千円)

1株当たり配当額

(円)

2024年12月20日

147,713

25

定時株主総会決議