リスク
3【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のようなものがあります。
当社では、リスク管理委員会においてリスクを重要度や発生可能性により評価・分類した上で、リスクの影響を最小化するための活動を推進しております。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものでありますが、以下の記載は当社の事業等及び当社株式への投資に係るリスクを全て網羅するものではありません。
(1)中古商品の仕入について
① 中古商品の安定的な買取確保
リユース事業における中古商品の買取は、当事業の収益を大きく左右する要素でありますが、中古品は新品と異なり仕入量の調整が難しいという特性を有しております。環境問題意識の高まりを背景にリユース業界全体が注目される中、当社においても、買取リピート客の増加施策や、大手提携先との買取業務提携など、商品調達ルートの多様化を図ることで、より強固な買取基盤の構築を図っております。しかしながら、近年はCD・DVD・ゲームソフト等のメディア・ソフトについては、ネット配信市場の規模拡大による一次流通市場の縮小が懸念されており、同業他社との買取における競合についても年々厳しさを増してきております。これらの状況が発生した場合、将来にわたって質・量ともに安定的な中古商品を確保できるとは限らず、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 不正な中古商品の買取リスク
当社グループでは、ブランド品や貴金属等の高額商品も取り扱っておりますが、古物営業法において、買取中古商品に盗品または遺失物が含まれていた場合には、一年以内であれば被害者等にこれを無償で返還することとされております。当社グループでは、法令遵守の観点から、被害者への無償返還が適切に行える体制を整えておりますが、その場合には、買取額相当の損失が発生する可能性があります。
また、近年の中古商品の流通量増加に伴い、ブランド品のコピー商品の流通が社会的にも大きな問題としてクローズアップされております。当社グループでは、豊富な専門知識と経験を持つ社員から他のバイヤーへ真贋チェックに関する指導を行いながら、その能力を養い育成することで、コピー商品など不正な商品の買取防止に努めております。しかしながら、中古のブランド商品を取り扱う当社グループにおいては、常にこのトラブルが発生するリスクを含んでおり、コピー商品の取り扱いが判明した場合には、当社の取扱商品全体に対する信頼性が低下し、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)為替変動に関するリスクについて
当社グループは、連結子会社を海外に有しております。当社連結財務諸表において海外子会社の外貨建ての財務諸表金額は日本円に換算されるため、為替相場変動の影響を受けます。このため、為替予約取引によりリスクヘッジを行っておりますが、これにより当該リスクを完全に回避できるものではありませんので、為替相場が異常な変動をした場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3)古物営業法について
当社グループの中古品の買取及び販売事業は古物営業法の規制を受けており、監督官庁は営業所の所在する都道府県公安委員会となります。古物営業法及び関連法令による規制の要旨は次の通りです。
・古物の売買または交換を行う営業を開始する場合は、所在地を管轄する都道府県公安委員会の許可を受けなければならない。(古物営業法第3条)
・古物の買取を行う場合は、相手方の住所、氏名、職業、年齢が記載された文書の交付を受けなければならない。(古物営業法第15条)
・古物の買取を行った場合は、取引年月日、古物の品目及び数量、古物の特徴、相手方の住所、氏名、職業、年齢等を帳簿等へ記載しなければならない。(古物営業法第16条)
古物営業の許可には、古物営業法により定められている有効期間はありません。現在までに、許可の取消し事由(例えば、法人役員が罪種を問わず禁錮以上の刑に処せられた場合など)は発生しておりませんが、万一古物営業法による規則に違反した場合は、営業の許可の取消しまたは営業停止等の処分を受ける可能性があり、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(4)各都道府県の条例による規制について
各都道府県では、青少年保護育成条例を定め、有害図書類の青少年に対する販売や青少年からの古物の買い受け等を規制しております。当社は、条例を遵守し、青少年の健全な育成に寄与することに努めておりますが、青少年への有害図書類の販売等が判明した場合、信用の失墜等による売上の減少により、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)個人情報保護法による規制について
当社グループは、当社サイトを通じて、顧客から住所・氏名・年齢・職業・性別などの個人情報を取得し、これらを帳票等に記載又は電磁的方法により記録・管理を行っております。これらの個人情報を適正かつ安全に保護するため、当社においては、社内規程等のルール整備、社員教育指導の徹底、情報システムのセキュリティ強化などを行っており、個人情報保護のマネジメント機能を向上させることで、個人情報の漏洩防止に努めております。しかしながら、これらの対策にも関わらず、個人情報が漏洩した場合は、社会的信用の失墜による売上減少や、損害賠償請求への対応を迫られ、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(6)小型家電リサイクル法の認定取消リスクについて
当社グループの小型家電リサイクル事業は、小型家電リサイクル法における認可を受けて行っておりますが、法律で定められた欠格要件に該当した場合(例えば、委託会社も含めた役員が罰金刑等に処せられた場合など)には認可が取り消されます。その場合には業務の継続が困難となり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(7)法律の改正及び新たなリサイクルに関する法律の制定について
小型家電リサイクル法は新しい法律であり、情勢の変化等により改正され、または新たなリサイクルに関する法律が制定される可能性があります。これらの改正や新規立法の内容が不利な内容であった場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(8)障害者総合支援法による規制について
当社は、障がいのある方を対象に就労継続支援B型事業所及びグループホームの運営を行っており、「障害者総合支援法」による規制を受けております。そのため、法令・諸規則遵守の強化を図るため、内部管理体制の整備・強化に努めておりますが、今後、これらの法律の改廃、法的規制の新設、適用基準の変更等がなされた場合、また、何らかの事情により法律に抵触する事態が生じた場合には、当社グループの事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。また、各事業は、国からの報酬を主な収益源としており、3年ごとに実施される報酬改定にて下方の改定や予期しない改定が行われた場合には業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
各事業所ともに、拠点単位で都道府県知事、政令指定都市市長、中核市市長から設置の指定を受けるものであり、指定に際しては、人員、設備、運営に関する基準が規定されております。現時点において、当社グループの運営する事業所に指定取消しや営業停止は発生しておりませんが、今後、何らかの原因によりこれらの指定が取消された場合や営業停止となった場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。(注1)
特に、各事業所には、指定を受ける際に利用定員が定められております。「障害者総合支援法」において定員は省令(注2)にて、事業者は、利用定員を超えてサービスの提供を行ってはならないが、災害、虐待その他やむを得ない事情がある場合は、この限りではないことが定められております。また、厚生労働省の通知(注3)において、報酬の減算対象は単日で定員の150%、3か月の平均が定員の125%(ただし、定員が11人以下の場合は130%)を超過する場合と定められております。そして、各都道府県知事は、減算の対象となる定員超過利用については指導すること、また、指導に従わず、減算対象となる定員超過利用を継続する場合には、指定の取消しを検討するものと定められており、その運用は各自治体に委ねられております。更に厚生労働省の通知(注4)においては、原則として利用定員の超過は禁止だが、適正なサービスの提供が確保されることを前提とし、地域の社会資源の状況等から新規の利用者を受け入れる必要がある場合等、やむを得ない事情が存在する場合に限り、可能である旨が定められております。当社グループでは、上記の省令や通知事項等を遵守し、運営を行っております。今後何らかの事情により、各自治体の運用や各種通知事項の内容に変更があった場合には、従来どおりの運営が困難となり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(注)1.各事業所が受けている指定
取得 |
所管官庁 |
指定名称 |
指定内容 |
有効期限 |
主な許認可取消事由 |
各事業所 |
都道府県 |
指定障害福祉 サービス |
障害者総合支援法の 就労継続支援 |
6年毎の更新 |
障害者総合支援法第50条 (指定の取消等) |
障害者総合支援法の 共同生活援助 |
2.「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等
の人員、設備及び運営に関する基準」
3.「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービス等及び基
準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準等の制定にともなう実施上の留意事項について」
4.「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等
の人員、設備及び運営に関する基準について」
(9)人材の確保及び育成について
当社は、就労継続支援B型事業所及びグループホームの運営は、知的障がいのある方や精神障がいがある方を主たる対象としており事業の継続や新規拠点の開設に専門的な知識や指導技術を持った人材の確保が急務となっております。このため、引き続き採用を推進するとともに、人材を育成に取り組んでおります。
しかしながら、今後、人材の確保と育成が拠点開設のスピードやサービス開発のスピードに追いつかない場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(10)特定商取引に関する法律による規制について
当社は、インターネットを活用した通信販売を行っており、「特定商取引に関する法律」による規制を受けております。そのため、社員教育の徹底、コンプライアンス体制の整備など管理体制の構築等により法令遵守の体制を整備しております。しかしながら、法令の改正や新たな規制が設けられる場合、あるいはこれらの規制を遵守できなかった場合、企業イメージの悪化などが想定され、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(11)カンボジアでの許認可規制について
当社グループの海外事業は、複数の子会社が許認可を必要とする事業を行っております。CHAMROEUM MICROFINANCE PLC.及びMOBILITY FINANCE(CAMBODIA) PLC.は、カンボジアの金融機関法(Law on Banking and Financial Institutions)におけるマイクロファイナンス機関及びリース会社の認可を受けて営業しております。両社は、監督官庁であるカンボジア中央銀行の規定に基づき、適正なガバナンスの整備等が求められ、カンボジア中央銀行に定期報告しております。またRENET (CAMBODIA) HR CO.,LTD.は、カンボジア労働職業訓練省の省令に基づく人材会社として認可を受けております。日本政府とカンボジア政府との二国間協定の下、人材の採用・教育及び日本への送り出しに関する業務は労働職業訓練省の認可を受けた人材会社が実施できることになっております。しかしながら、法令の改正や新たな規制が設けられる場合、あるいはこれらの規制を遵守できなかった場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(12)システムのトラブルについて
当社グループの事業は、社内ITシステムとインターネットによる通信システムへの依存度が高いため、保守運用作業と様々なセキュリティ対応策を恒常的に実施しております。しかしながら、自然災害等により通信システムのトラブルが発生した場合、当社のコンピューターシステムに予期せぬ障害が生じ、長時間システムの復旧が行われない場合、または、当社のサイトへのマルウェアの侵入などによる不正なアクセスが行われ、重要なデータの破損等が発生した場合は、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(13)自然災害の発生について
当社グループは、物流センター等主要な事業拠点を愛知県大府市及び名古屋市に構えておりますが、当該地域で暴風雨・落雷・洪水等の自然災害が発生した場合、当社グループの物流拠点、商品在庫及び什器備品等に対する物的損害が想定されます。当社ではそのための備えとして、損害保険契約の締結により相当の損失補償を確保しておりますが、地震等大規模な災害により、想定以上に長期間にわたって事業運営ができない事態に陥った場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
※新型コロナウイルス感染症拡大について
新型コロナウイルス感染症拡大により、当社グループの各本社、商品センター等において新型コロナウイルスの感染が発生した場合、一定期間商品の供給や営業等の事業活動に支障をきたす可能性があります。新型コロナウイルス感染症の収束の時期は未だ不透明であり、経済活動への影響を現時点では予測できない状況となっております。これらの環境下において、新型コロナウイルス感染症拡大による影響は、翌期以降の当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があります。
当社グループでは、感染状況の確認、安全衛生の徹底、在宅勤務、WEB会議の活用などの感染防止策を講じながら、顧客と従業員の安全の確保を図っております。
(14)集荷ならびに配送について
当社は、集荷ならびに配送に係る業務を配送業者に依存しており、特に、リサイクル事業においては、佐川急便株式会社との業務提携継続が前提となっております。したがって、配送業者において、台風、地震等の自然災害や、その他の理由による配送の中断、停止があった場合、または配送業者との契約が当社にとって不利な内容へ変更され当社グループが代替策を講じることが出来なかった場合は、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(15)海外事業に関するリスクについて
当社グループでは、カンボジアで車両割賦販売事業、リース事業、マイクロファイナンス・マイクロ保険事業、人材の送り出し事業を展開しておりますが、今後、同国において、政治体制の変動、経済成長の鈍化、個人消費の停滞、法律や政策の変更、大規模な自然災害等の事項が発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(16)マイクロファイナンス事業における不正融資リスクについて
当社グループでは、カンボジアでマイクロファイナンス事業を展開しており、融資業務に必要な社内規程である与信ポリシーはもとより、リスク管理規程、内部監査規程等、内部統制やコンプライアンスに関する種々の規程も整備するとともに、専門性と独立性のある監査委員会、同委員会の下部組織としての監査部も設置・運営する等、不正融資の発生に対する施策を行っていますが、融資実行手順等において権限付与者の不正関与、集団的な不正等により業務プロセスを侵された場合には、一定の不正融資のリスクが発生する可能性があります。
(17)在庫の増加やロス率の上昇について
当社は、在庫管理を適切に行い、在庫の必要以上の増加やロス率の上昇等を抑える方針ではありますが、消費者マインドの急激な変化が起こった場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(18)流行による陳腐化等における取扱商品価値の急激な変動について
当社は、流行による陳腐化や単独の商品種類の価値の変動等によって、取扱商品の価値が急激に変動したとしても、取扱商品は多岐にわたっており、これを他の商品で補完し、その影響を回避することは可能であると考えております。しかしながら、取扱商品の価値が当社の想定を超えるような急激な変動があった場合には、その影響を補いきれない可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(19)貸倒れに関するリスクについて
当社グループは、カンボジアにおいてファイナンス事業を展開しており、同国における基準又は回収不能見積額に沿った貸倒引当金を計上しております。しかし、想定以上に不良債権残高が増加した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(20)資金調達に関するリスクについて
当社グループは、成長戦略等に必要な資金の多くを主に金融機関からの借入れにより調達しております。当社グループは資金調達手段の多様化と、取引先金融機関と良好な関係を構築・維持し、安定的な資金調達を行っております。しかしながら、景気の後退、金融収縮など全般的な市況の悪化や、格下げ等による当社グループの信用力の低下、事業見通しの悪化等の要因により、当社グループが望む条件で適時に資金調達ができない可能性がありますこれらの要因により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(21)有利子負債への依存について
当社グループは、総資産に対する有利子負債の比率が相応の水準にあります。取引先金融機関との関係は良好であり、安定的な資金調達ができております。一方で、金融情勢の変化等により市場金利が予想以上に上昇した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
配当政策
3【配当政策】
配当政策の基本方針としましては、収益力の強化や事業基盤の整備を実施しつつ、内部留保の充実状況及び企業を取り巻く事業環境を勘案した上で、株主に対して安定的かつ継続的な利益還元を実施する方針でおります。
剰余金の配当を行う場合、配当の決定機関は取締役会となっております。
しかしながら当社は今後の事業展開及び財務基盤強化といった、内部留保の充実を図るため、設立以来配当を行っておらず、第24期事業年度の剰余金の配当につきましても無配としております。今後の配当実施につきましては、業績及び財政状態等を勘案し決定する予定でありますが、現時点では未定であります。内部留保につきましては、経営基盤の長期安定に向けた財務体質の強化及び事業の継続的な拡大発展を実現させるための資金として、有効に活用していく所存であります。