事業内容
セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
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売上
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利益
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利益率
最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています
セグメント名 | 売上 (百万円) |
売上構成比率 (%) |
利益 (百万円) |
利益構成比率 (%) |
利益率 (%) |
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(単一セグメント) | 7,535 | 100.0 | 547 | 100.0 | 7.3 |
事業内容
3 【事業の内容】
当社グループは、当社(株式会社ほぼ日)及び関連会社1社(株式会社エイプ)(注)により構成されています。当社は、「やさしく、つよく、おもしろく。」を行動指針とし、「場」をつくり、「いい時間」を提供するコンテンツを企画、編集、制作、販売しています。
「場」では、コンテンツの作り手と受け取り手が出会います。当社が目指す「場」では、作り手だけでなく、コンテンツの受け取り手も前向きな姿勢で参加します。また、「場」に参加する者の役割は必ずしも固定されていません。作る者が、場にある別のコンテンツを楽しむ者にもなる。買い手が、次の機会には作るほうに回ることもある。作り手と受け取り手の、互いの関係がフラットで、役割が固定されすぎず、互いにリスペクトしあう能動的な当事者である。そのような「場」をつくる会社であろうとしています。
<当社がつくる様々な場>
(注)株式会社エイプは、関連会社で、ゲーム等のコンテンツに係る知的財産権の管理を主な業務としています。「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(1976年大蔵省令第28号)第10条第2項に照らし判断した結果、重要性が乏しいと判断したため、株式会社エイプは持分法非適用の関連会社としています。
<コンテンツを生み出すプロセス>
当社では、当社の独自性を生むカギとなるプロセスを模式化し、「クリエイティビティの3つの輪」と呼んでいます。「社会」が円環で示され、その内側が当社の活動です。
「クリエイティビティの3つの輪」で示したプロセスでコンテンツを企画、制作してきた結果として、生活者の気持ちに関する考察が蓄積され、当社の独自性を形作っていると考えます。
事業の系統図は、次のとおりです。
業績
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものです。
(1) 経営成績の状況
当社は、「夢に手足を。」つけて、歩き出させる会社であることを目指し、「やさしく、つよく、おもしろく。」を行動指針として、新しい価値を生み出し、人びとが集う「場」をつくり、「いい時間」を提供するコンテンツを企画、編集、制作、販売しています。コンテンツとはクリエイティブの集積であり、読みもの、動画、商品、イベントなど、すべてがコンテンツであるととらえています。具体的には、1998年の創刊から26年間、毎日更新をしているウェブサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」、有名無名を問わずあらゆるジャンルの人たちの話を聞くことができる動画サービス「ほぼ日の學校」、さまざまな体験を提供する場として渋谷PARCOで展開する「ほぼ日曜日」、ギャラリーショップの「TOBICHI」、犬と猫と人間をつなぐSNSアプリ「ドコノコ」、さまざまなアーティストやブランドとつくるお買いものフェス「生活のたのしみ展」、といった「場」をつくり、「ほぼ日手帳」をはじめとした生活のたのしみを提供する商品や動画、読みものなどのコンテンツを国内外へお届けしています。
当事業年度の経営成績は、次の表のとおりです。
当事業年度における当社を取り巻く事業環境として、EC市場規模の継続的な拡大があげられます。経済産業省の調査によると、2023年の日本国内のBtoC-EC市場規模は、24.8兆円(前年比9.23%増)と拡大し、内訳として物販系分野では前年比4.83%増と伸長しています。また、日本・米国・中国の3か国間における越境ECの市場規模は、いずれの国の間でも昨年に引き続き増加しています。
当社は従前より、主力商品の「ほぼ日手帳」において、幅広いユーザーの手にとってもらえるような新たなブランド、IPやアーティストとのコラボレーションを実施してきました。2024年版では『ONE PIECE magazine』やイラストレーターの北岸由美さん、2025年版では加えてTVアニメ『SPY×FAMILY』や「パディントン™」をはじめとした、多種多様なコラボレーションが実現しています。また、手帳の本体のみならず、カバーや下敷きなど周辺文具の新商品の拡充を進めています。
当事業年度においては、「ほぼ日手帳」が特に海外で市場を拡大していることを受け、直販ECサイトの機能改善による販売力の強化、積極的な英語版の商品開発と販路の拡大、海外向けの販売促進の強化を行いました。
直販ECサイト「ほぼ日ストア」では、30以上の言語・100以上の通貨・150以上の決済手段への対応を可能にするDtoC越境EC向けサービス「Global-e」の導入により、購買体験の向上を実現しました。商品開発においては、2023年版からラインナップに加わった手帳本体とカバーが一体となった張り手帳「ほぼ日手帳 HON」の英語版及びサイズ・デザイン展開を拡充したことで、新規ユーザーが手に取りやすい商品が増加しました。販売促進においては、YouTubeやInstagramなどSNSのさらなる積極活用を進め、商品紹介だけではなく、使い方の提案や、ユーザーとのコミュニケーションを行った結果、各SNSでのフォロワー数が増加するだけではなく、ユーザーがSNS上で発信する「ほぼ日手帳」に関する投稿(User-generated Contents, UGC)も、Instagramでは前期比でおよそ3倍の規模に拡大しました。また、主要国に適した販路開拓、海外ユーザーとのリアルイベントでの交流等を通してユーザーとの接点増加に取り組みました。
結果として2024年版の販売部数は過去最高の90万部となり、累計販売冊数は1,000万部を突破しました。そして、「ほぼ日手帳」全体の売上高は国内外ともに伸長し、前期比19.5%増(国内9.6%増、海外30.2%増)となりました。国内では、インバウンドの増加等を背景に卸先であるロフト店頭での販売が好調に推移したほか、Amazon.co.jpや楽天市場などのECサイトでも売上が増加しました。海外では、直販売上で29.3%増、卸売上で35.7%増と、北中米・ヨーロッパを中心に大きく伸長し、「ほぼ日手帳」における海外売上高の構成比率は52.0%(前期比4.3pt増)と上昇しました。
ほぼ日手帳以外の商品の売上高は前期並で推移しました。当社初のキャンプのブランド「yozora」や、「ほぼ日MOTHERプロジェクト」における『MOTHER2 ギーグの逆襲』30周年記念の商品・イベントが好調に推移したほか、「ほぼ日曜日」では、スピッツの草野マサムネさんと画家のjunaidaさんによる歌画本の原画展をはじめとした多くのイベントが盛況となり、来場者数・売上金額ともに前年比で増加したのみならず、メディアの取材も多数受けるなど、幅広い層の方と出会うきっかけとなっています。一方で、「生活のたのしみ展」を当期中に開催していないことや暖冬により雑貨・アパレル関連の売上は軟調に推移しました。
これらの結果、売上高は7,534,785千円(前期比10.5%増)となりました。
売上原価については、「ほぼ日手帳」におけるプロダクトミックスの変化や、「ほぼ日手帳 2024」の在庫にかかる評価損が影響し、売上原価率は43.3%(前期比0.2pt増)となりました。※1
販売費及び一般管理費については、物流プロセスの見直し等でコスト削減に努めた一方で、海外市場の拡大に伴う費用の増加や、海外直営販路での売上増加に連動して販売手数料等が増加しました。また、コンテンツを生み出す基盤づくりの推進・海外市場の開拓・ユーザーとのコミュニケーション強化を目的に行った「ほぼ日の大開拓採用」により人員が増加し、人件費が増加しました。
その結果、当事業年度の営業利益は547,476千円(前期比7.2%減)、経常利益は543,812千円(前期比7.0%減)、当期純利益は399,197千円(前期比3.1%減)となりました。
その他の事業活動として、「ほぼ日刊イトイ新聞」では、プロフィギュアスケーターの羽生結弦さんとの対談「いつ世界が終わっても。」や、任天堂の宮本茂さんの対談「なにもできないからプロデューサーになった」など、読みものを中心にコンテンツを発信、「ほぼ日の學校」では解剖学者の養老孟司さんの授業「生死については、考えてもしょうがないです。」や俳優の中井貴一さんの授業「『じゃないほう』の、 中井貴一さん。」を動画コンテンツとして展開しました。また、「TOBICHI」では、さまざまなイベントの開催のみならず、インバウンドの増加により、来店者数・売上金額が増加しました。
このように、当社は運営する「場」において、生活のたのしみとなるような「いい時間」を過ごしていただけるよう、コンテンツを作り、編集し届けています。業績はこうしたすべての活動の結果だと考えています。なお、当社は単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しています。
※1 当事業年度における「ほぼ日手帳」の売上高・売上原価・売上総利益は次の表の通りです。
当事業年度においては、「ほぼ日手帳」の売上総利益が前期比18.3%増と成長しました。一方で、業績予想では「ほぼ日手帳」の売上原価率の低減を想定していたところ、実績は37.8%(前期比0.6pt増)となり、「ほぼ日手帳」の売上総利益率は62.2%(前期比0.6pt減)にとどまりました。さらなる成長を見込んで生産していた商品にかかる商品評価損の計上が主な要因です。
(生産、受注及び販売の実績)
当事業年度における販売実績は次のとおりです。なお、当社は単一セグメントのためセグメント別の記載はしていません。
(注) 1.主要な相手先別の販売実績は、総販売実績に対する割合が100分の10以上の相手先がいないため、記載を省略しています。
2.その他売上は主に送料売上、サービス売上、ライセンス収入等です。
(2) 財政状態の状況の概要・分析
(資産の部)
流動資産は、4,700,416千円と前事業年度末に比べて340,092千円の増加となりました。これは主に商品の増加208,773千円、売掛金の増加306,450千円、現金及び預金の減少178,717千円によるものです。
有形固定資産は、265,833千円と前事業年度末に比べて25,495千円の減少となりました。これは主に減価償却による減少54,494千円、建物の取得による増加10,219千円、工具、器具及び備品の取得による増加14,196千円によるものです。
無形固定資産は、687,625千円と前事業年度末に比べて269,883千円の増加となりました。これは主に自社システムや「ほぼ日の學校」などのソフトウエア取得による増加193,128千円、ソフトウエア仮勘定の増加168,774千円、減価償却による減少94,656千円によるものです。
投資その他の資産は、838,884千円と前事業年度末に比べて60,725千円の増加となりました。これは主に「ほぼ日の學校」の授業制作による長期前払費用の増加82,852千円、償却による減少50,419千円、投資有価証券の時価評価額の増加41,536千円、繰延税金資産の減少13,254千円によるものです。
(負債の部)
流動負債は、1,741,265千円と前事業年度末に比べて310,395千円の増加となりました。これは主に仕入の増加による買掛金の増加256,357千円、未払金の増加79,530千円、前期は未収だった消費税が未払ポジションとなったことによる未払消費税等の増加74,602千円、未払法人税等の減少119,256千円によるものです。
固定負債は、227,963千円と前事業年度末に比べて11,580千円の増加となりました。これは主に退職給付引当金の増加20,509千円によるものです。
(純資産の部)
純資産の部は、4,523,530千円と前事業年度末に比べて323,230千円の増加となりました。これは主に利益剰余金の増加294,795千円と、その他有価証券評価差額金の増加28,364千円によるものです。
(3) キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物は1,194,594千円と前年同期末と比べ178,717千円の減少となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、401,591千円の純収入(前年同期は162,658千円の純収入)となりました。これは主に税引前当期純利益543,812千円、減価償却費の計上199,570千円、仕入債務の増加256,357千円による増加要因と棚卸資産の増加249,941千円、売上債権の増加306,450千円による減少要因によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、467,331千円の純支出(前年同期は292,329千円の純支出)となりました。これは主に有形固定資産の取得29,231千円、無形固定資産の取得351,871千円、長期前払費用の取得86,236千円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、106,447千円の純支出(前年同期は106,927千円の純支出)となりました。これは主に配当金の支払額104,167千円によるものです。
(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(注1)株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しています。
(注2)キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しています。
(注3)有利子負債は貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債(リース債務を除く)を対象としています。
(資本の財源及び資金の流動性について)
当事業年度末現在において、流動比率は270%、総負債額に対する現金及び現金同等物は0.6倍です。
当社は将来の経営環境への対応や将来の新規事業のために必要な資金を内部留保しています。
当社の運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入及び販売活動に伴い生じる諸費用、人件費のほか、配当金や法人税等の支払いです。このほか、中長期的な成長に必要な人材への投資等についても、自己資金でまかなうことを原則としています。
主力商品である「ほぼ日手帳」の販売開始時期には、一時的な売上債権、仕入債務、棚卸資産等の増加があり、営業活動によるキャッシュ・フローの増減に影響を及ぼす可能性があります。
また、有価証券の取得・売却が生じた場合には、投資活動によるキャッシュ・フローの増減に影響を及ぼす可能性があります。
(4)重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されています。この財務諸表の作成にあたり、経営者による会計方針の選択・適用、当事業年度末日における資産及び負債、会計年度における収益及び費用並びに開示に影響を及ぼす見積りを必要としています。これらの見積りに関しては、過去の実績等を勘案して合理的に見積りを行っていますが、見積り特有の不確実性のため実際の結果とは異なる場合があります。
当社の財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しています。