事業内容
セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
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売上
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利益
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利益率
最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています
| セグメント名 | 売上 (百万円) |
売上構成比率 (%) |
利益 (百万円) |
利益構成比率 (%) |
利益率 (%) |
|---|---|---|---|---|---|
| (単一セグメント) | 8,678 | 100.0 | 617 | 100.0 | 7.1 |
事業内容
3 【事業の内容】
当社グループは、当社(株式会社ほぼ日)及び関連会社1社(株式会社エイプ)(注)により構成されています。当社は、「やさしく、つよく、おもしろく。」を行動指針とし、「場」をつくり、「いい時間」を提供するコンテンツを企画、編集、制作、販売しています。
「場」では、コンテンツの作り手と受け取り手が出会います。当社が目指す「場」では、作り手だけでなく、コンテンツの受け取り手も前向きな姿勢で参加します。また、「場」に参加する者の役割は必ずしも固定されていません。作る者が、場にある別のコンテンツを楽しむ者にもなる。買い手が、次の機会には作るほうに回ることもある。作り手と受け取り手の、互いの関係がフラットで、役割が固定されすぎず、互いにリスペクトしあう能動的な当事者である。そのような「場」をつくる会社であろうとしています。
<当社がつくる様々な場>
(注)株式会社エイプは、関連会社で、ゲーム等のコンテンツに係る知的財産権の管理を主な業務としています。「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(1976年大蔵省令第28号)第10条第2項に照らし判断した結果、重要性が乏しいと判断したため、株式会社エイプは持分法非適用の関連会社としています。
<コンテンツを生み出すプロセス>
当社では、当社の独自性を生むカギとなるプロセスを模式化し、「クリエイティビティの3つの輪」と呼んでいます。「社会」が円環で示され、その内側が当社の活動です。
「クリエイティビティの3つの輪」で示したプロセスでコンテンツを企画、制作してきた結果として、生活者の気持ちに関する考察が蓄積され、当社の独自性を形作っていると考えます。
事業の系統図は、次のとおりです。
業績
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものです。
(1) 経営成績の状況
当社は、「夢に手足を。」つけて、歩き出させる会社であることを目指し、「やさしく、つよく、おもしろく。」を行動指針として、新しい価値を生み出し、人びとが集う「場」をつくり、「いい時間」を提供するコンテンツを企画、編集、制作、販売しています。コンテンツとはクリエイティブの集積であり、読みもの、動画、商品、イベントなど、全てがコンテンツであるととらえています。具体的には、1998年の創刊から27年間、毎日更新をしているウェブサイト「ほぼ日」、有名無名を問わずあらゆるジャンルの人たちの話を聞くことができる動画サービス「ほぼ日の學校」、さまざまな体験を提供する場として渋谷PARCOで展開する「ほぼ日曜日」、ギャラリーショップの「TOBICHI」、犬と猫と人間をつなぐSNSアプリ「ドコノコ」、さまざまなアーティストやブランドとつくるお買いものフェス「生活のたのしみ展」といった「場」をつくり、「ほぼ日手帳」をはじめとした生活のたのしみを提供する商品や動画、読みものなどのコンテンツを国内外へお届けしています。
当事業年度の経営成績は、次の表のとおりです。
当事業年度における当社を取り巻く事業環境として、EC市場規模の継続的な拡大があげられます。経済産業省の調査によると、2024年の日本国内のBtoC-EC市場規模は、26.1兆円(前年比5.1%増)と拡大し、内訳として物販系分野では前年比3.70%増と伸長しています。また、日本・米国・中国の3か国間における越境ECの市場規模は、いずれの国の間でも昨年に引き続き増加しています。
当社は当事業年度において、主力商品の『ほぼ日手帳2025』を例年どおり2024年9月1日より、4月はじまり版の『ほぼ日手帳2025 spring』を2025年2月1日より販売開始しました。
「ほぼ日手帳」においては幅広いユーザーの手にとってもらえるような新たなブランド、IPやアーティストとのコラボレーションを実施してきましたが、2025年版では、2024年版に引き続き『ONE PIECE magazine』やイラストレーターの北岸由美さん、2026年版では新たに「たまごっち」や『ムーミン』をはじめとした、多種多様なコラボレーションが実現しています。また、カバーや下敷き、シールなど周辺文具の拡充を進め、2025年版は新作アイテムが手帳と文具あわせて350以上となる過去最大のラインナップとなりました。
販路については、自社ECサイト「ほぼ日オンラインストア」のみならず、Amazon(国内・海外)や楽天市場、天猫国際など外部ECサイトでの取扱を拡充するほか、国内外の取り組み先への卸販売を通して、より多くのユーザーが普段利用する場所で「ほぼ日手帳」を購入できる環境を構築しています。また、ニューヨークやロンドンなどの海外主要都市にて現地ユーザーとの交流イベント「ほぼ日手帳ミーティングキャラバン」を開催し、販売拡大が続く海外販路におけるプロモーションを強化しました。このような取り組みに加え、SNS上ではユーザー生成コンテンツ(UGC)が海外で特に増加しており、ユーザーの広がりを見せています。
結果として、「ほぼ日手帳」の国内売上高は2,777,166千円(前期比17.0%増)、海外売上高は3,072,835千円(前期比19.6%増)と国内外ともに伸長し、国内外合計で5,850,001千円(前期比18.4%増)となりました。海外売上高の構成比率は52.5%(前期比0.5pt増)と増加しました。当事業年度の2025年版の販売部数は、過去最高の販売部数となった2024年版の90万部を超えて96万部となっています。
「ほぼ日手帳」以外の商品については、売上高は2,282,585千円(前期比9.9%増)となりました。特に、コンテンツのフェスティバル「生活のたのしみ展」に加え、「ほぼ日オンラインストア」で「自己買い物肯定感の向上」がテーマの「Hello! Good Buy!(ハロー・グッバイ!)」セールを実施したことにより、好調に推移しました。さらに「ほぼ日曜日」では、過去最高となる約20,000人のお客様にご来場いただいたかくれんぼ絵本『ミッケ!』を体験できる展覧会、全国から70種以上のご当地アイスを取り寄せた「冬なのにご当地アイスまつり」、渋谷PARCO6階での期間限定ポップアップショップ「MOTHERのおみせ。」と同時開催した「MOTHERのかたち。」などが大盛況となりました。
これらの結果、売上高は8,677,878千円(前期比15.2%増)となりました。
売上原価については、「ほぼ日手帳」の原価率は37.1%(前期比0.7pt減)と改善している一方、「ほぼ日手帳」以外の原価率は55.0%(前期比1.2pt増)と上昇し、全体の売上原価率は43.0%(前期比0.3pt減)となりました。
※1
販売費及び一般管理費については、「生活のたのしみ展」による一時的な費用発生のほか、海外直営販路での売上増加による販売費用上昇などにより増加しました。また、コンテンツを生み出す基盤づくりの強化を目的に行った「ほぼ日の『いわゆる管理部門の』大開拓採用」により人員が増加し、人件費が増加しました。
その結果、当事業年度の営業利益は616,897千円(前期比12.7%増)、経常利益は651,043千円(前期比19.7%増)、当期純利益は448,354千円(前期比12.3%増)となりました。
その他の事業活動として、ウェブサイト「ほぼ日」では、「老いと死」特集のコンテンツとして公開した元ほぼ日乗組員へのインタビュー「笠井さんが老人ホームに入った。」は大きな反響を呼びました。加えて、糸井重里が自身の手がけた広告コピーについて語る「まずは状況から話そうか。糸井重里のコピー10 」、私立灘高等学校の生徒からの依頼メールにより実現した「僕たちは、たいしたことなくてかけがえない希望。」などのコンテンツを、ウェブサイト「ほぼ日」では読みものコンテンツとして、「ほぼ日の學校」では動画コンテンツとして展開しました。
また、「TOBICHI」では、さまざまなイベントの開催のみならず、「ほぼ日手帳」をはじめとする商品を実際に手に取れる場所として来店者数と売上金額が増加しました。このように、当社は運営する「場」において、生活のたのしみとなるような「いい時間」を過ごしていただけるよう、コンテンツを作り、編集し届けています。業績はこうしたすべての活動の結果だと考えています。
なお、当社は単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しています。
※1 当事業年度における「ほぼ日手帳」の売上高・売上原価・売上総利益は次の表の通りです。
当事業年度においては、「ほぼ日手帳」の売上総利益が前期比19.7%増と成長しました。また、売上原価率においては、実績は37.1%(前期比0.7pt減)となり、「ほぼ日手帳」の売上総利益率は62.9%(前期比0.7pt増)と微増しています。
(生産、受注及び販売の実績)
当事業年度における販売実績は次のとおりです。なお、当社は単一セグメントのためセグメント別の記載はしていません。
(注) 1.主要な相手先別の販売実績は、総販売実績に対する割合が100分の10以上の相手先がいないため、記載を省略しています。
2.その他売上は主に送料売上、サービス売上、ライセンス収入等です。
(2) 財政状態の状況の概要・分析
(資産の部)
流動資産は、4,889,692千円と前事業年度末に比べて189,275千円の増加となりました。これは主に『ほぼ日手帳2026』関連商品の入荷による商品の増加380,171千円、海外販路への一部出荷に伴う売掛金の増加255,024千円、現金及び預金の減少439,418千円によるものです。
有形固定資産は、254,668千円と前事業年度末に比べて11,164千円の減少となりました。これは主に減価償却による減少48,796千円、工具、器具及び備品の取得による増加22,070千円、建設仮勘定の増加13,593千円によるものです。
無形固定資産は、871,432千円と前事業年度末に比べて183,807千円の増加となりました。これは主に「ほぼ日手帳アプリ」開発などによるソフトウエア仮勘定の増加371,667千円と減価償却による減少177,054千円によるものです。
投資その他の資産は、902,318千円と前事業年度末に比べて63,433千円の増加となりました。これは主に「ほぼ日の學校」の授業制作による長期前払費用の増加95,267千円、償却による減少68,746千円、投資有価証券の時価評価額の増加39,360千円、繰延税金資産の減少14,102千円によるものです。
(負債の部)
流動負債は、1,799,765千円と前事業年度末に比べて58,500千円の増加となりました。これは主に未払金の増加38,418千円、未払法人税等の増加91,524千円、買掛金の減少14,577千円、未払消費税等の減少67,283千円によるものです。
固定負債は、224,782千円と前事業年度末に比べて3,181千円の減少となりました。これは主にその他に含まれる長期未払費用の減少12,779千円、長期リース債務の増加5,487千円、退職給付引当金の増加4,111千円によるものです。
(純資産の部)
純資産の部は、4,893,564千円と前事業年度末に比べて370,033千円の増加となりました。これは主に利益剰余金の増加343,946千円と、その他有価証券評価差額金の増加24,706千円によるものです。
(3) キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物は755,176千円と前年同期末と比べ439,418千円の減少となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、158,468千円の純収入(前年同期は401,591千円の純収入)となりました。これは主に税引前当期純利益651,043千円、減価償却費の計上295,665千円による増加要因と、仕入の早期化や販売規模拡大に伴う棚卸資産の増加342,161千円、卸先への販売数量増加に伴う売上債権の増加255,024千円、未払消費税等の減少65,922千円、法人税等の支払による減少115,403千円による減少要因によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、485,578千円の純支出(前年同期は467,331千円の純支出)となりました。これは主に有形固定資産の取得30,489千円、無形固定資産の取得346,843千円、長期前払費用の取得96,603千円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、105,049千円の純支出(前年同期は106,447千円の純支出)となりました。これは主に配当金の支払額104,177千円によるものです。
(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(注1)株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しています。
(注2)キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しています。
(注3)有利子負債は貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債(リース債務を除く)を対象としています。
(資本の財源及び資金の流動性について)
当事業年度末現在において、流動比率は272%、総負債額に対する現金及び現金同等物は0.4倍です。
当社は将来の経営環境への対応や将来の新規事業のために必要な資金を内部留保しています。
当社の運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入及び販売活動に伴い生じる諸費用、人件費のほか、配当金や法人税等の支払いです。このほか、中長期的な成長に必要な人材への投資等についても、自己資金でまかなうことを原則としています。
主力商品である「ほぼ日手帳」の販売開始時期には、一時的な売上債権、仕入債務、棚卸資産等の増加があり、営業活動によるキャッシュ・フローの増減に影響を及ぼす可能性があります。
また、有価証券の取得・売却が生じた場合には、投資活動によるキャッシュ・フローの増減に影響を及ぼす可能性があります。
(4)重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されています。この財務諸表の作成にあたり、経営者による会計方針の選択・適用、当事業年度末日における資産及び負債、会計年度における収益及び費用並びに開示に影響を及ぼす見積りを必要としています。これらの見積りに関しては、過去の実績等を勘案して合理的に見積りを行っていますが、見積り特有の不確実性のため実際の結果とは異なる場合があります。
当社の財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しています。