事業内容
セグメント情報
セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
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セグメント別売上構成
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セグメント別利益構成 セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
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セグメント別利益率
最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています
セグメント名 | セグメント別 売上高 (百万円) |
売上構成比率 (%) |
セグメント別 利益 (百万円) |
利益構成比率 (%) |
利益率 (%) |
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(単一セグメント) | 6,818 | 100.0 | 590 | 100.0 | 8.6 |
事業内容
3 【事業の内容】
当社グループは、当社(株式会社ほぼ日)及び関連会社1社(株式会社エイプ)(注)により構成されています。当社は、「やさしく、つよく、おもしろく。」を行動指針とし、「場」をつくり、「いい時間」を提供するコンテンツを企画、編集、制作、販売しています。
「場」では、コンテンツの作り手と受け取り手が出会います。当社が目指す「場」では、作り手だけでなく、コンテンツの受け取り手も前向きな姿勢で参加します。また、「場」に参加する者の役割は必ずしも固定されていません。作る者が、場にある別のコンテンツを楽しむ者にもなる。買い手が、次の機会には作るほうに回ることもある。作り手と受け取り手の、互いの関係がフラットで、役割が固定されすぎず、互いにリスペクトしあう能動的な当事者である。そのような「場」をつくる会社であろうとしています。
<当社がつくる様々な場>
(注)株式会社エイプは、関連会社で、ゲーム等のコンテンツに係る知的財産権の管理を主な業務としています。「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(1976年大蔵省令第28号)第10条第2項に照らし判断した結果、重要性が乏しいと判断したため、株式会社エイプは持分法非適用の関連会社としています。
<コンテンツを生み出すプロセス>
当社では、当社の独自性を生むカギとなるプロセスを模式化し、「クリエイティビティの3つの輪」と呼んでいます。「社会」が円環で示され、その内側が当社の活動です。
「クリエイティビティの3つの輪」で示したプロセスでコンテンツを企画、制作してきた結果として、生活者の気持ちに関する考察が蓄積され、当社の独自性を形作っていると考えます。
事業の系統図は、次のとおりです。
業績
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものです。
(1) 経営成績の状況
当事業年度の経営成績は、次の表のとおりです。
当社は、「夢に手足を。」つけて、歩き出させる会社であることを目指し、「やさしく、つよく、おもしろく。」を行動指針として、新しい価値を生み出し、人びとが集う「場」をつくり、「いい時間」を提供するコンテンツを企画、編集、制作、販売する会社です。コンテンツとはクリエイティブの集積であり、読みもの、動画、商品、キャラクター、イベント、すべてがコンテンツであるととらえています。具体的には、創刊から25年間毎日更新をしているウェブサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」、さまざまなアーティストやブランドとつくるイベント「生活のたのしみ展」、人に会い、話を聞くことから、誰もがたのしく学べる場である「ほぼ日の學校」、渋谷PARCOでさまざまな「表現」を提供する場である「ほぼ日曜日」、ギャラリーショップの「TOBICHI」、犬と猫と人間をつなぐ写真SNSアプリ「ドコノコ」といった「場」をつくり、ほぼ日手帳をはじめとした生活にまつわる商品や動画や読みものなどのコンテンツを国内外へお届けしています。
当事業年度における当社をとりまく事業環境として、EC市場規模の拡大があげられます。経済産業省の調査によると、2022年の日本国内のBtoC-EC市場規模は、22.7兆円(前年比9.91%増)と拡大し、内訳として物販系分野では前年比5.37%と伸長しています。また、越境EC購入額は日本・米国・中国の3か国間における市場規模がいずれの国でも増加しています。
当社は当事業年度において、主力商品の『ほぼ日手帳 2023』を例年通り2022年9月1日より、4月はじまり版の『ほぼ日手帳2023 spring』を2023年2月1日より販売開始しました。『ほぼ日手帳』はこれまでも、幅広いユーザーの手にとってもらえるようにブランド、IPやアーティストとのコラボレーションを実施してきました。当事業年度においては「ONE PIECE magazine」とコラボレーションした1日1ページの手帳本体やカバーが大きな反響を呼び、新たなユーザーの増加につながりました。今後も取組み先と当社の双方がより多くのユーザーに出会えるようなコラボレーションに取り組んでいきます。また、欧米での『ほぼ日手帳』への関心の高まりを受け、ほぼ日手帳関連のコンテンツやSNSの英語対応を強化し、販路の拡大を進め、英語版手帳本体のラインナップを大幅に拡充しました。これらの結果、海外売上高の前期比は直販売上で31.1%増、卸売上で44.4%増と北中米、ヨーロッパを中心に大きく伸長し、『ほぼ日手帳』における海外売上高の構成比率は47.7%(前期比1.7pt増)と上昇しました。8月には直販ECサイトの言語、通貨、決済手段の対応範囲を広げるDtoC越境EC向けサービスを導入しました。今後もユーザーにとって購買しやすい環境を整えることで、海外売上高の伸長を促進していきます。
新たに企画した手帳本体とカバーが一体となった張り手帳『ほぼ日手帳 HON』の発売もあり、新型コロナウイルス感染症等の影響で減少していた手帳販売部数は、2023年版手帳では増加に転じ約82万部となりました。
結果として『ほぼ日手帳』全体の売上高は国内外ともに手帳本体・カバーが好調に推移し、前期比28.3%増(国内24.2%増、海外33.1%増)となりました。
手帳以外の商品の売上高は前期並で推移しました。寝具を扱うブランド「ねむれないくまのために」が好調に推移したほか、4月29日から7日間「生活のたのしみ展」を新宿で開催しました。前回より開催期間を1日増やし、約70の店舗や企画が集まり、販売総額は過去最大となりました。一方で、アパレル関連の売上が減少しました。
これらの結果、売上高は6,818,424千円(前期比15.4%増)となりました。
売上原価については、『ほぼ日手帳』の売上構成比率が上昇した結果、売上原価率は43.1%(前期比1.3pt減)となりました。販売費及び一般管理費については、物流プロセスの見直し等でコスト削減に努めた一方で、海外直営販路での売上増加及び販売手数料率の引き上げによる販売費用の増加に加えて、国際物流コストの上昇により、物流費用が増加しました。
その結果、当事業年度の営業利益は589,670千円(前期比114.2%増)、経常利益は584,757千円(前期比101.1%増)、当期純利益は411,910千円(前期比100.2%増)となりました。
その他の事業活動として、動画サービス「ほぼ日の學校」(アプリ及びWEBで提供)では、「人に会おう、話を聞こう。」をコンセプトに、新しい学びの「場」をつくることを目指し、有名無名問わず様々なジャンルの講師による授業を配信しています。侍ジャパン前監督の栗山英樹さんや、作家の京極夏彦さん、連続起業家の孫泰蔵さんなど、2023年8月末までに300本以上の動画を公開しました。さらに夏休みには自由研究をテーマに、小学生とSDGsについて考えるリアルなイベントも行い、活動の幅を広げています。また全日本空輸株式会社(以下ANA)と業務提携を続け、ANAのお客様へ動画コンテンツを提供しています。ウェブサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」では俳優の大泉洋さんとの対談「まったく、大泉洋ってひとは。」や、美術館の常設展示を紹介する「常設展へ行こう!」が多くの方に読まれました。また、ほぼ日のさまざまな商品を生配信で紹介する「ほぼ日LIVEコマァ~ス」を開始したほか、LINEアカウントメディアなどの外部媒体でアーカイブの人気記事を配信しています。活字以外のメディアでもたくさんの方に楽しんでもらえるよう、オーディオブック「聞く、ほぼ日。」やYouTubeチャンネル「ほぼべりTUBE」など、音声や動画としてのコンテンツ提供にも力を入れています。
渋谷PARCO「ほぼ日曜日」では、7月1日から8月後半まで絵本作家・キャラクターデザイナーのコンドウアキさんのこれまでの作品を展示する「コンドウアキのおしごと展 作家生活20周年記念」を開催しました。200点以上の直筆原画の展示、絵本をイメージしたカフェスペース、キャラクターグッズのショップは多くの方で賑わいました。また、「TOBICHI」ではJR木次線・出雲坂根のジオラマを展示し鉄道にまつわるマンガを集めた「ジオラマと鉄道マンガ展 がんばれ!山を登る列車・木次線」などのイベントを開催しました。
このように、当社は運営する「場」において、生活のたのしみとなるような「いい時間」を過ごしていただけるよう、コンテンツを作り、編集し届けています。業績はこうしたすべての活動の結果だと考えています。
なお、当社は単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しています。
(生産、受注及び販売の実績)
当事業年度における販売実績は次のとおりです。なお、当社は単一セグメントのためセグメント別の記載はしていません。
(注) 1.主要な相手先別の販売実績は、総販売実績に対する割合が100分の10以上の相手先がいないため、記載を省略しています。
2.その他売上は主に送料売上、サービス売上、ライセンス収入等です。
(2) 財政状態の状況の概要・分析
(資産の部)
流動資産は、4,360,324千円と前事業年度末に比べて360,565千円の増加となりました。これは主に商品の増加499,821千円、売掛金の増加81,314千円、前渡金の増加41,581千円、現金及び預金の減少245,206千円によるものです。
有形固定資産は、291,329千円と前事業年度末に比べて42,407千円の減少となりました。これは主に減価償却による減少57,706千円、建物の取得による増加8,936千円、工具、器具及び備品の取得による増加6,363千円によるものです。
無形固定資産は、417,741千円と前事業年度末に比べて100,140千円の増加となりました。これは主に自社システムや「ほぼ日の學校」などのソフトウエア取得による増加85,776千円、ソフトウエア仮勘定の増加92,316千円、減価償却による減少77,820千円によるものです。
投資その他の資産は、778,158千円と前事業年度末に比べて114,018千円の増加となりました。これは主に長期前払費用の増加43,211千円、投資有価証券の時価評価額の増加42,376千円、繰延税金資産の増加17,191千円によるものです。
(負債の部)
流動負債は、1,430,869千円と前事業年度末に比べて172,827千円の増加となりました。これは主に買掛金の増加34,239千円、未払金の増加20,247千円、未払法人税等の増加78,368千円、賞与引当金の増加31,626千円によるものです。
固定負債は、216,383千円と前事業年度末に比べて22,759千円の増加となりました。これは主に退職給付引当金の増加14,927千円、その他に含まれる長期未払費用の増加10,182千円によるものです。
(純資産の部)
純資産の部は、4,200,299千円と前事業年度末に比べて336,731千円の増加となりました。これは主に利益剰余金の増加307,524千円と、その他有価証券評価差額金の増加29,018千円によるものです。
(3) キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物は1,373,312千円と前年同期末と比べ245,206千円の減少となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、162,658千円の純収入(前年同期は201,608千円の純収入)となりました。これは主に税引前当期純利益584,757千円、減価償却費の計上171,013千円による増加要因と棚卸資産の増加478,181千円、売上債権の増加81,314千円による減少要因によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、292,329千円の純支出(前年同期は255,079千円の純支出)となりました。これは主に有形固定資産の取得15,299千円、無形固定資産の取得185,059千円、長期前払費用の取得80,760千円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、106,927千円の純支出(前年同期は106,836千円の純支出)となりました。これは主に配当金の支払額104,439千円によるものです。
(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(注1)株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しています。
(注2)キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しています。
(注3)有利子負債は貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債(リース債務を除く)を対象としています。
(資本の財源及び資金の流動性について)
当事業年度末現在において、流動比率は305%、総負債額に対する現金及び現金同等物は0.8倍です。
当社は将来の経営環境への対応や将来の新規事業のために必要な資金を内部留保しています。
当社の運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入及び販売活動に伴い生じる諸費用、人件費のほか、配当金や法人税等の支払いです。このほか、中長期的な成長に必要な人材への投資等についても、自己資金でまかなうことを原則としています。
主力商品である『ほぼ日手帳』の販売開始時期には、一時的な売上債権、仕入債務、棚卸資産等の増加があり、営業活動によるキャッシュ・フローの増減に影響を及ぼす可能性があります。
また、有価証券の取得・売却が生じた場合には、投資活動によるキャッシュ・フローの増減に影響を及ぼす可能性があります。
(4)重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されています。この財務諸表の作成にあたり、経営者による会計方針の選択・適用、当事業年度末日における資産及び負債、会計年度における収益及び費用並びに開示に影響を及ぼす見積りを必要としています。これらの見積りに関しては、過去の実績等を勘案して合理的に見積りを行っていますが、見積り特有の不確実性のため実際の結果とは異なる場合があります。
当社の財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しています。