人的資本
OpenWork(社員クチコミ)-
社員数89名(単体) 16,124名(連結)
-
平均年齢44.6歳(単体)
-
平均勤続年数17.0年(単体)
-
平均年収5,983,168円(単体)
従業員の状況
5【従業員の状況】
(1)連結会社の状況
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2025年3月31日現在 |
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セグメントの名称 |
従業員数(人) |
|
ワコール事業(国内) |
5,109 |
[189] |
ワコール事業(海外) |
9,932 |
[28] |
ピーチ・ジョン事業 |
383 |
[21] |
その他 |
700 |
[86] |
合計 |
16,124 |
[324] |
(注)1.従業員数は就業人員(当社グループからグループ外への出向者を除き、グループ外から当社グループへの出向者を含みます。)であり、臨時従業員数は[ ]内に当連結会計年度の平均人員を外書きで記載しております。
2.臨時従業員にはアルバイト・パートタイマー等の3ヶ月程度の雇用者を含めております。
3.ワコール事業(国内)の従業員数が前連結会計年度末に比べ771名減少したのは、主に構造改革の一環として希望退職の募集を実施したことによるものであります。
4.その他の従業員数が前連結会計年度末に比べ250名減少したのは、主に㈱七彩株式の一部譲渡により同社を連結の範囲から除外したことによるものであります。
(2)提出会社の状況
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|
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2025年3月31日現在 |
従業員数(人) |
平均年齢(歳) |
平均勤続年数(年) |
平均年間給与(円) |
89 |
44.6 |
17.0 |
5,983,168 |
(注)1.従業員数は、就業人員を記載しております。
2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
3.当社の従業員は、全てワコール事業(国内)に属しております。
(3)労働組合の状況
提出会社の従業員は、㈱ワコールからの出向者にて構成されております。㈱ワコールには、ワコール労働組合が組織されており、全国繊維化学食品流通サービス一般労働組合同盟に属しております。
また、一部の子会社においてはそれぞれ、労働組合が組織されております。
なお、労使関係は、極めて安定しており、特記すべき事項はありません。
(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異
①提出会社
当事業年度 |
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管理職に占める女性労働者の割合(%) (注)1 |
男性労働者の育児休業取得率(%) (注)2 |
労働者の男女の賃金の差異(%) (注)1 |
||
全労働者 |
正規雇用労働者 |
パート・有期労働者 |
||
32.0 |
- |
62.2 |
61.5 |
65.0 |
(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。
3.パート・有期労働者は、契約社員と定年後再雇用者であります。
②連結子会社
当事業年度 |
補足説明 |
|||||
名称 |
管理職に占める女性労働者の割合 (%) (注)1 |
男性労働者の育児休業取得率 (%) (注)2 |
労働者の男女の賃金の差異(%) (注)1 |
|||
全労働者 |
正規雇用労働者 |
パート・有期労働者 |
||||
㈱ワコール |
38.6 |
66.7 |
49.1 |
49.9 |
52.7 |
(注)3、4 |
㈱ピーチ・ジョン |
82.6 |
- |
40.1 |
64.5 |
- |
|
㈱ワコールマニュファクチャリングジャパン |
0.0 |
0.1 |
92.1 |
92.7 |
88.9 |
|
㈱トリーカ |
22.7 |
0.0 |
52.1 |
54.3 |
86.2 |
|
ワコール流通㈱ |
0.0 |
- |
48.7 |
80.7 |
84.0 |
|
㈱ワコールキャリアサービス |
33.3 |
0.0 |
82.0 |
94.0 |
72.0 |
|
㈱ワコールアートセンター |
44.4 |
- |
46.7 |
56.4 |
- |
|
㈱Ai |
77.6 |
- |
50.8 |
81.6 |
29.3 |
|
(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。
3.女性活躍推進法による公表数値に合わせるため、各指標について㈱ワコールに提出会社を含めた数値を開示しております。
4.㈱ワコールの正規雇用労働者のうち「管理職」、「総合職」、「販売職」の「労働者の男女の賃金の差異」は以下のとおりであります。なお、「労働者の男女の賃金の差異」の詳細については、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (3)人的資本」に記載しております。
|
全正規雇用労働者 |
うち管理職 |
うち総合職 |
うち販売職 |
㈱ワコール |
49.9% |
90.0% |
72.7% |
- |
サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)
2【サステナビリティに関する考え方及び取組】
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。これらの将来予測には、不確定な変動要素が含まれており、実際の成果や業績などは、記載の見通しとは異なる可能性があります。
(1)サステナビリティ戦略
気候変動などの環境問題や人権問題はさらに深刻さを増しており、持続可能な社会に向けた取り組みが強く要請されています。当社グループでは、社会からの要請に応えることはもちろんのこと、複雑化・多様化する社会課題への取り組みを将来の「成長機会」として捉え、事業を通じて「社会課題の解決」と「持続的成長」の両立を目指す「サステナビリティ経営」を推進することで、企業価値の向上に努めていきます。
また、当社グループの企業価値向上を実現するためには、会社のあるべき姿や使命を明確にして行動できる社員を増やすことも重要な課題であります。経営理念の実践者を増やすことで、従業員一人ひとりの自己成長と企業成長を実現してまいります。
①ガバナンス
当社グループでは、「サステナビリティ経営」を推進し、事業を通じた「社会課題の解決」と「持続的成長」の両立を実現するため、2022年4月より、「サステナビリティ委員会」を設置しています。また重要なサステナビリティ課題への対応強化を図るため、「サステナビリティ委員会」傘下に、4つの「部会」を設置しています。「サステナビリティ委員会」は、定期的に取締役会と同日に開催し、サステナビリティ課題に対する具体的な取り組み施策の立案、進捗状況のモニタリング、達成状況の評価を行うこととしています。取締役会は、「サステナビリティ委員会」の委員長である代表取締役社長執行役員から報告を受け、当社グループのサステナビリティ課題への対応方針及び取り組みについて監督、指示を行います(サステナビリティ推進体制図については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要」をご覧ください)。
2025年3月期は、開催された取締役会17回の中で「サステナビリティ委員会」を合計5回開催しました。主に、「事業活動に伴う温室効果ガス排出量の削減」「資源循環型社会の実現に向けた取り組み」「責任ある調達活動の推進」「責任あるサプライチェーン等における人権尊重の取り組み」に対する課題共有と中期経営計画期間における目標設定ならびに具体的な活動内容について議論及び進捗管理を行いました。
推進部会について:
(カーボンニュートラル部会)
ワコールグループの事業活動における環境影響・環境リスクを低減し、自主的かつ積極的に環境保全の活動を推進するため、気候変動対応やバックオフィスの環境負荷軽減など環境課題に関する活動方針や取り組み、環境保全に関連する戦略投資案件を審議するとともに、進捗状況のモニタリングを行います。
(資源循環部会)
資源循環型社会の実現に向けて、サプライチェーン上の資源・資材の持続可能な利用及び省資源対策、廃棄物の削減・リサイクルを推進するため、環境配慮型資材の調達方針や品質基準を審議するとともに、生産や調達活動における廃棄物削減の進捗状況のモニタリングを行います。
(CSR調達部会)
当社グループのCSR調達に関する計画立案と進捗確認の責任を担い、「ワコールグループCSR調達ガイドライン」に定める内容の遵守状況を、製造委託先や原材料調達先の自己評価等によるモニタリングから、分析・評価フィードバック、是正・改善計画、フォローアップという一連のサイクルを機能させることによって、的確に把握するとともに、継続的に是正・改善を行う取り組みを主導します。
(人権・D&I部会)
人権方針に基づく人権尊重の責務が果たされ、その業務執行が適正に行われるよう、人権擁護に関わる教育啓発活動、及び人権デュー・ディリジェンスの実行への助言・提言を行います。また、多様な社員を受け入れ、個々の能力を存分に発揮できる職場環境の実現に向けて、社内セミナーの開催をはじめとした各種施策を実施していきます。
②戦略
世界での人口増加、少子高齢化、デジタル革命の進行、グローバル化、気候変動や人権課題の深刻化など、将来の予測は難しくなっています。当社グループでは、中長期経営戦略フレーム「VISION 2030」の策定にあたり、マクロトレンドや多様なステークホルダーからの要請事項を考慮に入れつつ、2030年までに想定される事業課題と社会・環境課題を洞察し、「解決すべき社会・環境課題」と「事業成長」の両評価軸からマテリアリティ分析(重要度評価)を行ったうえで、以下のマテリアリティ(重要課題)を設定しています。
マテリアリティ(重要課題):
対象 |
目的 |
マテリアリティ(重要課題) |
顧客 |
顧客への提供価値の最大化 |
・パーソナライゼーションの追求による顧客体験価値の向上 ・事業領域拡大への挑戦 ・商品品質の深化とサービス品質の構築 |
従業員 |
従業員ひとりひとりの成長と、 働きがいの高い組織の構築 |
・自らの可能性を広げ、自信と誇りを持ち活躍できる人財への成長 ・共創・協業による高い成果を発揮できる組織づくり ・継続的な従業員の健康増進と健康意識の向上 |
環境 |
次世代に向けた地球環境の保全 |
・環境負荷を低減する事業活動の推進 |
社会 |
すべての人が自分らしく活躍できる社会の実現 |
・社会課題を解決する共創イノベーションの推進 |
ガバナンス |
持続的成長の実現に向けたガバナンスの強化 |
・透明性の高い経営の実践 ・リスクマネジメント体制の強化 ・収益性、資本効率の継続的改善 |
③リスク管理
当社グループの経営全般に関するリスクについては、代表取締役社長執行役員をリスク管理統括責任者とし、代表取締役副社長執行役員グループ管理統括担当を委員長とする「企業倫理・リスク管理委員会」(事務局はリスク主管部署である経営企画部)を設置し、重要リスクへの対応と定期的なモニタリングを行っています。また「企業倫理・リスク管理委員会」は、当社グループ全体のリスク管理体制の運営状況を毎年定期的に取締役会の議長でありリスク管理統括責任者である代表取締役社長執行役員へ報告を行っています。なお各事業部門や子会社で管理可能なリスクについては、各組織が事業活動の中で対応を行っています。詳しくは、「3 事業等のリスク (1)リスク管理体制」をご覧ください。
また、当社グループのサステナビリティ課題に係るリスクについては、「サステナビリティ委員会」及び傘下の各部会にて、直接操業及び一部上流・下流までを含むサプライチェーン全体への影響を短中長期的な視点で検証するとともに、それらの結果をさらに上部機関である「取締役会」に報告し、最終的に特定・評価するプロセスとなっています。また、それらのリスクの重要度については、事業への影響度や発生可能性、事業戦略との関係性などを勘案し評価しています。同時に、リスクの管理についても「サステナビリティ委員会」及び各部会におけるモニタリングや達成状況の評価を通して実施しています。
(参考)人権デュー・ディリジェンスの取り組みについて
人権デュー・ディリジェンスの運用開始に向けて、当社グループのサプライチェーンにおける潜在的な人権リスクの把握を行うため、社外専門家の知見を活用し、「人権リスクアセスメント」を2023年10月に実施しました。「人権リスクアセスメント」では、デスクトップ調査に加え、取締役、執行役員、マネジメント層が参加する部門横断型のワークショップを開催し、調達過程から販売、消費に至るまでの過程における人権リスクに関して、ディスカッションを行っています。その後、第三者機関との協議を経て、当社グループが優先的に取り組むべき人権テーマを特定しています。当社グループが今後取り組むべき人権テーマは、以下の3点です。
人権テーマ1 「調達サプライチェーン上の人権課題の継続的な把握」
人権テーマ2 「職場の従業員や店頭の販売員における職場環境の改善」
人権テーマ3 「消費者の人権と多様性の尊重」
2025年3月期は、人権方針で定める人権デュー・ディリジェンスの運用開始に向けて「CSR調達部会」「人権・D&I部会」が連携し、第三者機関を通じて調達活動におけるライツホルダーの実態調査と対話(インパクトアセスメント)を実施しました。その結果、工場内の掲示物の多言語表示対応など配慮すべき点が見受けられましたが、重大な人権問題は確認されませんでした。是正改善策については現在検討中であり、「CSR調達部会」においてモニタリングを実施いたします。また、人権方針で定める人権教育の実施を進めると同時に、継続して消費者の人権と多様性の尊重に向けた取り組みを推進してまいります。
④指標及び目標
当社グループは、「サステナビリティ経営」を推進し、事業を通じた「社会課題の解決」と「持続的成長」の両立を実現するため、11のマテリアリティ(重要課題)に対応する指標を設定しております。なお、目標数値について2025年3月期中に開示する予定でしたが、次期中期経営計画の策定に合わせて、マテリアリティ(重要課題)及び目標値についても再検討を行っています。
顧客:顧客への提供価値の最大化
|
マテリアリティ (重要課題) |
具体的な取り組み |
2030年までの非財務目標 |
1 |
パーソナライゼーションの追求による顧客体験価値の向上 |
お客さまの感動を生むために、お客さまとのつながりを増やし、お客さまから学ぶ |
当社グループとつながりを持つ顧客数の拡大 |
顧客体験を向上させるワコールならではのサービスの体験人数の拡大 |
|||
期待を超える商品と愛される商品をつくる |
顧客データを活用した新製品やサービス開発の推進によるインナーウェア事業の再成長 |
||
2 |
事業領域拡大への挑戦 |
お客さまをあらゆる角度でサポートするための、新領域への挑戦 |
レディースインナー以外の事業成長と収益力の向上 |
Well-being実現に向けた新規事業の創出 |
|||
社内リソースの新領域への展開 |
|||
世界のお客さまに感動を届けるための、グローバル成長の実現 |
海外での事業拡大 |
||
3 |
商品品質の深化とサービス品質の構築 |
時代の要求する品質管理体制及び、品質レベルの追求 |
商品品質の継続的な監視と改善活動の実施 |
店頭・デジタルサービス品質の維持・向上 |
従業員:従業員ひとりひとりの成長と、働きがいの高い組織の構築
|
マテリアリティ (重要課題) |
具体的な取り組み |
2030年までの非財務目標 |
4 |
自らの可能性を広げ、自信と誇りを持ち活躍できる人財への成長 |
世代・役職関係なく、主体的に自己能力を高め、熱意をもってチャレンジする人財育成 |
自発的なキャリアデザイン、スキルアップの取り組みの強化 |
熱意を持ってチャレンジできる人財育成と環境の整備 |
|||
5 |
共創・協業による高い成果を発揮できる組織づくり |
多様な立場の人が協力し、ミッションを達成できる組織風土の醸成 |
多様な立場の人が協力できる労働環境の整備 |
会社のあるべき姿や使命を明確にして行動できる従業員の増加 |
|||
6 |
継続的な従業員の健康増進と健康意識の向上 |
従業員のこころと身体の健康増進 |
「生産性」「心身の健康」の向上 |
健康への理解力(リテラシー)の向上 |
環境:次世代に向けた地球環境の保全
|
マテリアリティ (重要課題) |
具体的な取り組み |
2030年までの非財務目標 |
7 |
環境負荷を低減する事業活動の推進 |
従業員・消費者双方における環境意識の醸成 |
事業活動におけるエコ活動の可視化 |
脱炭素社会の実現 |
CO2排出量の削減 |
||
廃棄物削減の推進 |
製品廃棄率の低下 |
||
資源循環型社会の実現 |
環境配慮型素材の使用率向上 |
※詳細については、「(2)気候変動への対応」をご覧ください。
社会:すべての人が自分らしく活躍できる社会の実現
|
マテリアリティ (重要課題) |
具体的な取り組み |
2030年までの非財務目標 |
8 |
社会課題を解決する共創イノベーションの推進 |
女性のQOL(Quality of Life)向上への貢献 |
ブレストケア活動の推進 |
女性のQOL向上に貢献するニーズ(商品・サービス)対応とシーズ開発 |
|||
ステークホルダーとの継続的な対話を通した女性のQOL向上への貢献 |
|||
ダイバーシティ&インクルージョンの推進 |
ダイバーシティ課題(ジェンダーなど)の理解に向けた社内啓発活動の推進 |
||
ダイバーシティ課題(ジェンダーなど)の解決に向けた外部ステークホルダーとの対話、共創活動の推進 |
|||
人権の尊重とCSR調達活動の推進 |
人権デュー・ディリジェンスの構築・実施、人権教育の推進 |
||
CSR調達活動の対象範囲拡大 |
ガバナンス:持続的成長の実現に向けたガバナンスの強化
|
マテリアリティ (重要課題) |
具体的な取り組み |
2030年までの非財務目標 |
9 |
透明性の高い経営の実践 |
実効性の向上を実現する最適なコーポレート・ガバナンス体制の維持・構築 |
コーポレートガバナンス・コードの実践 |
取締役会の機能発揮と多様性確保 |
|||
企業価値を向上させる役員報酬制度の継続的改善 |
|||
公正かつモチベーション向上につながる評価・報酬制度の構築 |
|||
10 |
リスクマネジメント体制の強化 |
法令遵守の徹底と高い倫理観を持った組織体の構築 |
企業活動における不適切な行動の防止、役員・従業員一人ひとりのコンプライアンス意識の向上 |
事業リスクへの着実な対応による組織レジリエンスの強化 |
重要リスクの選定方法や対応方針の見直し、DXや情報通信技術の運用に伴う情報セキュリティ対策の推進、事業継続体制(BCP)強化 |
||
11 |
収益性、資本効率の継続的改善 |
経営戦略の実行と役割権限の明確化 |
中長期戦略の実効性向上に向けた重要業績評価指標の管理強化と費用対効果の検証 |
成長の実現に向けた事業ポートフォリオマネジメントの実行 |
|||
適時適切な意思決定を行う執行体制の構築 |
(参考)サステナビリティ委員会(推進部会)の具体的な活動について
CSR調達部会:
目的・役割 |
CSR調達活動の推進(責任のある調達活動の推進) |
3カ年の活動方針(2024年3月期~) |
・「人権」「労働慣行」「環境」「倫理」など、社会的要求事項の的確な状況把握と継続的な是正・改善 ・実効性、合理性を伴った活動対象工場の拡大 |
2025年3月期 具体的な活動 |
・サプライチェーン上の人権課題に対する人権インパクトアセスメントの実施 ・CSR調達活動の実効性向上に向けたモニタリングの強化 |
人権・D&I部会:
目的・役割 |
人権尊重・D&Iの推進 |
3カ年の活動方針(2024年3月期~) |
・人権リスクの特定、人権デュー・ディリジェンスの実施体制の構築 ・改正障害者差別解消法、LGBTQ+顧客への対応方針の策定・実行 ・DE&I推進に関するロードマップ策定・開示 |
2025年3月期 具体的な活動 |
・サプライチェーン上の人権課題に対する人権インパクトアセスメントの実施 ・従業員に向けた、消費者の人権と多様なお客様への対応指針を作成、開示 ・DE&I推進に対するロードマップの策定 |
※カーボンニュートラル部会、資源循環部会の活動については、「(2)気候変動への対応」をご覧ください。
(2)気候変動への対応(TCFD提言への取り組み)
地球や企業活動に重大な影響を及ぼす気候変動は、当社グループの経営にとってリスクであると同時に、新たな事業機会をもたらすものと考え、健全な企業としての発展と持続可能な社会の実現を目指して、環境課題の解決に向けた取り組みを推進するとともに、環境情報に関する開示の拡充に取り組んでいます。
温室効果ガス排出量の削減に向けて:
脱炭素社会の実現に向けた取り組みを進め、サプライチェーンにおける温室効果ガスの排出量削減をより確実なものにするため、2021年よりワコール事業(国内)のサプライチェーン全体における温室効果ガス排出量(Scope3)の算定を開始しました。また、2030年に向けた国内事業所における温室効果ガス排出量(Scope1&2)の削減目標を開示したほか、2022年6月には、ワコール事業(国内)のサプライチェーン全体における温室効果ガス排出量(Scope3)の削減目標も開示しています。
削減プロセス:
現在、サステナビリティ委員会傘下のカーボンニュートラル部会が中心となり、温室効果ガス排出量の削減目標の達成に向けた具体的な行動計画を検討しています。目標として掲げる国内事業所の温室効果ガスの排出量実質ゼロに向けては、ワコール流通センターやワコールマニュファクチャリングジャパンに太陽光発電システムを導入するほか、既存事業所においても順次再生可能エネルギーへの切り替えを進める方針です。一方、サプライチェーンにおける排出量の削減に向けてはサプライヤーとの協働が不可欠となります。削減に向けた行動計画やプロセスを検討するとともに、サプライヤーへの温室効果ガス排出量削減の働きかけを行う予定です。
気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)への対応:
当社グループは、2021年9月、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言へ賛同を表明しました。また、TCFDの提言に沿った、「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」の4項目についての情報については、2022年6月末より開示しています。
①ガバナンス
気候変動に関するガバナンスは、サステナビリティ戦略のガバナンスに組み込まれています。詳しくは、「(1)サステナビリティ戦略 ①ガバナンス」をご覧ください。
②戦略
当社グループでは、事業への影響が高いと考えられるリスクと機会から優先的に、現時点での入手可能なデータに基づいたシナリオ分析を実施し、気候変動問題の影響評価に取り組んでおります。
今後も、分析可能なデータの収集に努め、シナリオ分析の精緻化とともに、分析対象範囲の拡大に取り組んでまいります。
リスク:
当社グループの事業・戦略・財務計画などに影響の大きい物理リスクとして、暴風雨、洪水など異常気象の激甚化による店舗や工場、物流倉庫への影響を想定しております。
また、移行リスクとしては、政策・法規制面として、炭素税価格上昇などに備える必要があると考えております。
機会:
当社グループは、高い感性と品質で支えられた製品を提供し、消費者に長く愛される製品づくりを実践することにより、製品ライフサイクル全体での環境負荷を軽減することができ、結果、温室効果ガス排出の抑制に繋がると考えております。また、その実現のために「安全性・耐久性・取扱性・着用性・外観性」など、多様な側面から徹底的に検査・管理をしています。
今後、低炭素型商品や、資源循環が可能な商品への志向の高まりなど、消費者や社会の環境に対する意識の高まりは、当社グループの売上拡大の機会になると考えています。
TCFD提言に基づくシナリオ分析:
当社グループは、TCFDの提言に従い、2023年3月期に気候変動に対するシナリオ分析を実施して公表しておりましたが、2025年3月期に改めてリスクと機会の洗い出しを行い、サプライチェーン上流も含めてシナリオ分析の範囲を拡大しました。2025年3月期のシナリオ分析ではグループ全体に対する売上高の比率が最も高いワコール事業(国内)を対象に、2℃及び4℃の気温上昇時の世界を想定し、リスク・機会の抽出と対応策を検討しました。シナリオ分析の結果、2℃上昇時は環境意識の高い消費者からの支持の獲得などポジティブな影響がある一方で、炭素税の導入や原材料コストの上昇などの移行リスクが事業にネガティブな影響を及ぼす可能性があることがわかりました。また、4℃上昇時は暴風雨、洪水をはじめとする異常気象の激甚化などの物理的リスクが事業にネガティブな影響を及ぼす可能性があることがわかりました。リスクと機会の種類、その具体的な内容、影響度及び対応策は以下のとおりです。今後も順次シナリオ分析の範囲を拡大し、グループ全体として詳細なリスク分析を行えるよう取り組みを進める予定です。
リスク・機会の種類 |
例 |
影響 |
対応策 |
||||
2℃ |
4℃ |
||||||
移行 |
政策・法規制 |
炭素税の導入 |
リスク |
炭素税(※1)、温室効果ガス排出の抑制のための機器導入など、対応コストの増加 |
中 |
- |
・再生可能エネルギーの導入とともに、省エネ・創エネ活動などの推進により、コスト増加を回避または軽減 (導入済みの設備) 太陽光発電システム(ワコール流通㈱守山流通センター、㈱ワコールマニュファクチャリングジャパン長崎雲仙ファクトリー) ・サプライヤーと協働でCO2排出量削減を推進 ・よりエネルギー効率の良い機器への切り替えを行うことで、導入後のコストを低減 ・モーダルシフトの活用など、輸送の効率化 |
製品・ サービス |
規制強化による原材料コストの上昇 |
リスク |
環境配慮型素材の使用比率上昇による製品原価の上昇 |
中 |
- |
・原材料使用点数の集約によるコスト抑制・業界各社との連携や協業などによる環境配慮型素材のコスト削減 |
|
評判 |
環境意識の高まりによる消費者意識の変化 |
機会 |
環境配慮型製品の提供による消費需要の拡大 |
中 |
中 |
・品質の高いものづくりを推進し消費者に長く使用いただくことで、製品廃棄の削減へ貢献 ・環境配慮型製品を拡充し、環境意識の高い消費者への販売を拡大 ・マーケティング戦略と連動した環境配慮型商品の訴求やブラリサイクル活動などを通じて、サステナビリティに対する企業姿勢を発信 |
|
物理的 |
急性 |
異常気象の深刻化・増加 |
リスク |
異常気象増加に伴う店舗被害による損害、及び店舗営業日減少による売上減少 |
小 |
中 |
・国内ではEC事業拡大と強化によるビジネスモデルの変革を図り、店舗の売上減少をECでカバーできる販売体制を構築 (EC比率の目標値)(※2) 2022年時点:20% 2030年目標:40% |
異常気象増加に伴う工場被災による損害、及び工場停止による販売機会の損失 |
中 |
中 |
・BCP基礎計画に基づき災害等の発生時に被害を最小限にとどめるとともに、即急なる操業回復に努めることで、事業のレジリエンスを高める ・工場停止による売上減少に対しては、工場の複数拠点化によるリスク分散を図ることで被害を最小化 |
||||
異常気象増加に伴う物流倉庫被災による損害及び販売機会の喪失 |
大 |
大 |
・BCP基礎計画に基づき災害等の発生時に被害を最小限にとどめるとともに、即急なる操業回復に努めることで、事業のレジリエンスを高める |
||||
慢性 |
降雨日の増加や平均気温の上昇 |
リスク |
豪雨や気温上昇に伴う在宅需要、酷暑に伴う外出機会の減を受け、店舗売上が縮小 |
- (※3) |
- (※3) |
・自社ECの利便性向上及び他社EC含めたEC事業の拡大と強化により、消費者の購買機会及び意欲の低下リスクを軽減 |
|
機会 |
豪雨や気温上昇に伴う在宅需要、酷暑に伴う避暑需要の増を受け、新たな製品の需要が拡大 |
- (※3) |
- (※3) |
・酷暑や豪雨による消費者ニーズの変化を認識し、ニーズに対応する機能性製品の開発を強化 ・ノンワイヤー商品など、在宅ニーズに対応する製品開発を強化 ・災害時の備えとして、インナーウェアの重要性についての啓発活動を行う |
営業利益に対する影響:大(5億円以上)、中(1億円以上)、小(1億円未満)
(※1)炭素税にかかるコストについては、2030年時点でScope1&2のカーボンニュートラル達成により回避できる想定。
(※2)2023年11月発表の中期経営計画(リバイズ)Appendixに掲載のVISION 2030におけるEC比率目標。
(※3)慢性的なリスク及び機会については、現時点では厳密な影響度の算出が困難なため評価しておりません。
③リスク管理
気候変動に関するリスクは、サステナビリティ戦略のリスクに含めて管理しています。詳しくは、「(1)サステナビリティ戦略 ③リスク管理」をご覧ください。
④指標と目標
当社グループは、気候変動問題の解決と脱炭素社会の実現に向けた取り組みを進めるため、2030年に向けた独自の環境活動目標「環境目標 2030」を掲げています。
環境目標 2030
1.自社排出量(Scope1&2)「実質ゼロ」<対象:国内事業所>
温室効果ガスの自社排出量(Scope1&2)実質ゼロを目指し、順次再生エネルギーへの切り替えを実施
2.製品廃棄「ゼロ」<対象:㈱ワコール>
製品廃棄ゼロを目指すとともに、工場での残材料破棄削減に向けた取り組みを推進
3.環境配慮型素材の使用比率「50%」<対象:㈱ワコール>
再生繊維やリサイクル糸などに切り替えるなど、環境配慮型素材の使用比率を「50%」までに高める
4.サプライチェーン排出量(Scope3)「20%削減」<対象:ワコール事業(国内)>
温室効果ガスのサプライチェーン排出量(Scope3)20%削減を目指し、パートナー企業との取り組みを推進
なお、当社グループのCO2排出量は以下のとおりです。
日本国内 CO2排出量の推移(単位:t-CO2)
|
2020年3月期 |
2023年3月期 |
2024年3月期 |
2025年3月期 |
Scope1 |
1,784 |
1,701 |
1,578 |
1,513 |
Scope2 (マーケット基準) |
4,658 |
4,179 |
4,245 |
3,987 |
合計 |
6,442 |
5,880 |
5,823 |
5,500 |
対2020年3月期 |
- |
△9% |
△10% |
△15% |
(日本国内の対象範囲:自社保有の事業所・工場・流通センター)
海外工場 CO2排出量の推移(単位:t-CO2)
|
2022年3月期 |
2023年3月期 |
2024年3月期 |
2025年3月期 |
Scope2 |
11,203 |
11,476 |
10,040 |
8,798 |
(海外の対象範囲:自社工場)
※海外事業については、縫製工場及び原材料製造工場における自社排出量(Scope2)の把握を開始しました。2025年3月期には、対象工場における排出量削減ポテンシャルの調査を開始しています。2026年3月期は、削減ポテンシャルの評価を行い、削減目標を開示する計画です。なお、評価結果を踏まえ、次期中期経営計画に基づき、目標開示時期については見直しを行う可能性があります。
※その他の環境データについては、当社ウェブサイトをご覧ください。
https://www.wacoalholdings.jp/sustainability/environment/activities/
(参考)サステナビリティ委員会(推進部会)の具体的な活動について
カーボンニュートラル部会:
目的・役割 |
脱炭素社会の実現(環境負荷の低い事業活動の推進) |
3カ年の活動方針(2024年3月期~) |
・国内:温室効果ガス排出量の削減に対する行動計画の策定・実行 ・海外:温室効果ガス排出量の試算、削減目標の策定 |
2025年3月期 具体的な活動 |
・国内事業所の温室効果ガス排出量削減に向けて、影響度の高い事業所から削減プログラムを実行 ・海外工場におけるEMS管理体制の見直しと排出量削減ポテンシャルの調査開始 |
資源循環部会:
目的・役割 |
資源循環型社会の実現と廃棄物削減の推進(㈱ワコール対象) |
3カ年の活動方針(2024年3月期~) |
・環境配慮型素材の使用比率の引き上げ(2023年3月期の使用比率17%を、20%まで引き上げ) ・製品廃棄の削減:1.1%水準(2020年3月期水準)へ回帰 ・工場、仕入先における残材料の廃棄削減(目標:2021年3月期に対して約3割を削減) |
2025年3月期 具体的な活動 |
・環境配慮型素材使用比率の向上と環境配慮型素材の基準策定 ・製品に関する環境負荷の低い廃棄方法の検討・実施とモニタリングの強化 ・残材料の削減に向けた施策の立案・実施 |
※経営環境を鑑み中間目標(26/3期目標)を26%から20%に修正しています。なお、環境目標2030に変更はありません。
(3)人的資本
基礎研究、商品の企画・開発から材料調達、生産、販売に至るまでのバリューチェーンについて、その大半をグループ内のリソースによって築いている当社グループにとっては、「人財」を資本と捉え、その価値の最大化を目指すことは、経営上の重要な取り組みとなります。当社グループの従業員が「やりがい・働きがい・生きがい」を感じながら働ける魅力ある企業風土を実現することで、社員一人ひとりが持つ能力を最大限に発揮し、生産性や競争力の向上といった組織の成果に結びつき、持続的な成長につながっていくものと考えています。
①ガバナンス
各事業会社が各社の事業戦略に基づき人事戦略を展開していくうえでは、個社の人事部門が主体となって、人事課題に対する具体的な取り組み施策を立案、実行し、進捗状況のモニタリング、達成状況の評価検証というサイクルを回しています。一方、グループ全体の人的資本に関するガバナンスを有効に機能させるために、人権・DE&Iやコンプライアンスの観点を中心に、各社の取り組み、整備の状況について定期的にモニタリングを行い、状況に応じた指示や要請を行っています。
②戦略
事業環境の不確実性がますます高まる中、ビジネスモデルの変革を早期に進めていくうえで、担い手となる人財に関する戦略の重要性は増すばかりです。とりわけ日本国内においては少子高齢化による労働力人口の減少が進み、これまで以上に人財獲得競争が激化しています。魅力ある企業であるための人財戦略を策定、実行していく必要があります。当社においては、果断な構造改革と成長戦略の策定・実行を並行して、またスピードを上げて進めていくためにも、従業員個人のさらなる成長に資する施策に加え、個の力を組織の力に結びつけるための環境や風土への変革を併せて進めています。
なお、当社グループにおいては従業員の所属が各事業会社(本籍が当社の従業員は0)であり、人事戦略・施策は個社の事業戦略に連動して策定し、またそれぞれの労使関係において協議、協定の上実行、検証しているため、連結会社ベースでの開示を行うことは困難であり、現時点では中核事業会社である㈱ワコールの戦略、施策の実行状況を記載しています。連結ベースでは、グループの人的資本に関するガバナンスの強化、具体的には人権・DE&Iやコンプライアンスの観点が主たる課題と捉えており、その課題に関する取り組みが進んだ段階では、連結会社を含む開示を行うよう、引き続き検討してまいります。
人的資本戦略における重点取り組み(対象:㈱ワコール)
基本方針 |
個の成長に加え、個の力を組織の成果に結びつけるための取り組みにより注力し「会社の成長」と「人的資本への投資・人財の成長」の好循環を実現する。 |
人的資本戦略における 重点取り組み |
Ⅰ.人財獲得 対応するマテリアリティ:5 共創・協業による高い成果を発揮できる組織づくり |
Ⅱ.成長支援(人財育成・キャリア形成) 対応するマテリアリティ:4 自らの可能性を広げ、自信と誇りを持ち活躍できる人財への成長 |
|
Ⅲ.マネジメント力の強化 対応するマテリアリティ:5 共創・協業による高い成果を発揮できる組織づくり |
|
Ⅳ.DE&Iの推進 対応するマテリアリティ:5 共創・協業による高い成果を発揮できる組織づくり |
|
Ⅴ.Well-beingの実現 対応するマテリアリティ:6 継続的な従業員の健康増進と健康意識の向上 |
Ⅰ.人財獲得
当社グループは、先人たちが前例にこだわることなく今日の企業グループを築いてきたように、今後も大胆に、また果敢にチャレンジする風土を大切にしながら、新風を吹き込み新しい価値を創造する多様性の尊重こそが競争の源泉になると考えています。また少子高齢化、労働力人口減少の環境下で、人財のリテンションにも力を入れる必要があります。その具体策として、「役割等級制度への移行」「職群の撤廃と処遇の統一」「評価と処遇」人事制度の三要素を改訂しました。これによって、社内人財のリテンションと外部からの人財獲得に繋がると考えております。新卒採用に加え、第二新卒やキャリア採用などの経験者採用にも注力しており、今後も経営幹部候補人財やグローバル・EC・DX・新規事業等の専門人財の獲得を目的に、総合職の採用人員のうち3~5割程度を経験者採用とする方針を継続しています。また、多様な人財との早期接点を強化するため、短期インターンシッププログラム「Wacoal Career Journey」を新たに開催しています。このプログラムでは、参加者が実際にワコール社員と交流し、リアルな働き方や価値観に触れることで、当社で働く意義や文化を肌で感じてもらうことを目的としています。これにより、入社前から職場との相互理解を深めるとともに、ワコールが目指す共創と革新の土壌づくりにつなげています。
一方、複数ある職種の中でも特に人財確保が困難であるビューティーアドバイザー職(販売職)については、人財獲得・定着施策として、2020年8月から、地域限定採用である販売職が自己都合で転居した場合でも、一定の条件を満たせば転居先への勤務地変更を可能にし、就業継続できるしくみを整えています(2025年4月末時点の制度利用者累計:46名)。また、2022年4月からは退職者のネットワーク「BANK(BA Alumni Network)」の運用を開始し、各種の情報提供や復職支援、友人のご紹介等、退職後も関係を継続できるしくみを構築しています(2025年4月末時点の登録者:92名)。2025年10月からは、自社の社員が友人や知人を紹介し、その紹介によって採用に至る「リファラル採用」を導入する予定をしており、ワコールに親和性の高い社員を向かい入れることにも取り組んでまいります。
㈱ワコールの主たる職群の採用状況
職群 |
区分 |
性別 |
2023年3月期 |
2024年3月期 |
2025年3月期 |
総合職 |
経験者 |
男性 |
4 |
1 |
8 |
女性 |
6 |
15 |
8 |
||
合計 |
10 |
16 |
16 |
||
新卒 |
男性 |
6 |
2 |
6 |
|
女性 |
10 |
10 |
12 |
||
合計 |
16 |
12 |
18 |
||
経験者採用比率 |
38% |
57% |
47% |
||
販売職 |
経験者 |
男性 |
0 |
0 |
0 |
女性 |
6 |
14 |
58 |
||
合計 |
6 |
14 |
58 |
||
新卒 |
男性 |
0 |
0 |
0 |
|
女性 |
16 |
14 |
19 |
||
合計 |
16 |
14 |
19 |
||
経験者採用比率 |
27% |
50% |
75% |
||
クリエイター職 技術・研究職 |
経験者 |
男性 |
0 |
0 |
0 |
女性 |
0 |
0 |
0 |
||
合計 |
0 |
0 |
0 |
||
新卒 |
男性 |
0 |
0 |
0 |
|
女性 |
0 |
0 |
4 |
||
合計 |
0 |
0 |
4 |
||
経験者採用比率 |
0% |
0% |
0% |
Ⅱ.成長支援(人財育成・キャリア形成)
当社グループでは、従業員一人ひとりの個性や強みが発揮される企業への変革を目指し、学びの機会の提供やキャリアアップの支援など、一人ひとりの成長を支援する各種研修制度を整えています。
<人財育成>
㈱ワコールは人財育成体系「WACOAL TERAKOYA」の運用を開始以来、継続的なアップデートを行ってきました。昨今の消費行動やニーズの急激な変化を受け、新たなビジネス環境に対応可能な人財の育成に向け、教育・研修体系の抜本的見直しを実施しました。新体系では、階層別研修を画一的な内容から脱却し、個々の成長段階に応じた選択型プログラムへと再設計しました。さらに、組織の専門性強化を目的とする「部門別マスタリープログラム」を新設し、個の成長が組織成果に直結する仕組みを強化しております。また、異業種との学びや交流を促す、手上げ型の外部プログラムへの参加機会を拡充し、多様な視点を取り入れ革新性の高い人財育成を図っています。加えて、外部との接点を通じた視座の拡張を目的に、短期ビジネススクールへの派遣も開始しました。選抜された社員が経営・戦略・マーケティング等の先進的な知見を習得し、帰任後にその学びを組織内で還元する仕組みを整備しています。これらの取り組みにより、経営理念の実践と新たな価値創造を担う人財の育成を通じて、ワコールの持続的成長の実現を目指します。
販売職の育成においては、より多様化するお客さまのニーズに応え、ご満足いただくために「顧客対応力(実学)」と「人間力(道学)」の両面の向上に取り組んでいます。具体的には、2022年4月より㈱グロービスの「GLOPLA LMS (Learning Management System)」という自律的な学びのプラットフォームを活用し、成長機会の提供、キャリアアップ意欲の醸成につなげています。2014年からタブレット端末を活用した人財育成にも取り組み、商品情報や販売促進に関するデータの共有からスタートしました。2020年以降はリモートでの研修やミーティングの機会が増え、事業所から離れたメンバーにもリアルタイムで情報共有ができる環境を整えています。2025年4月から、半月に1回、朝の1時間を活用し、接客販売に関する塾をオンラインで開講しました。毎回100名程度が参加し、お客さまへの接客販売スキルの向上や新たにスタートした取り置き・取り寄せサービスの拡大にも取り組んでいます。加えて、コーチングスキルに特化した研修もスタートし、2025年3月期には販売職の所属部門長と販売職の役割任用者152名が受講し、「働く仲間、一人ひとりがお客様を想って自律的に考え行動していくことを尊重できる組織風土づくり」にも取り組んでいます。コミュニケーションのあり方を変え、社員が成長することで会社が成長することを目指しています。
人財育成プログラムの例
(内勤社員実績)
プログラム名 |
実施目的 |
一人当たりの 研修時間 |
年間参加人数 |
||
2024年3月期 |
2025年3月期 |
||||
階層別研修 |
役割・資格の変化に伴う、期待役割の認識及びマインドセットを目的に実施します。同時に会社の方向性と自身のキャリアビジョンを考える機会とします。 |
1~6日 (研修による) |
252名 |
349名 |
|
ビジネススキル |
ビジネスマンとして求められる必須スキルを、社内のみならず社外人財との交流を通して学ぶことで、社内外で通用する普遍的なビジネススキルを体得できます。 |
7.5時間 |
38名 |
35名 |
|
部門別マスタリー プログラム |
ワコールにおける社内ナレッジの共有、知識伝承、組織開発等を目的に社内外の講師による研修・セミナーを開催します。 |
7時間~ |
881名 |
1,390名 |
|
セルフラーニング |
Eラーニングを活用した「いつでも、どこでも」学べるコンテンツ提供と主体的な能力開発・自己研鑽を支援する制度があります。 |
自己啓発援助制度 |
- |
30名 |
38名 |
通信教育・Eラーニング |
- |
741名 |
470名 |
(販売職実績)
プログラム名 |
実施目的 |
一人当たりの 研修時間 |
年間参加人数 |
|
2024年3月期 |
2025年3月期 |
|||
昇格時研修 |
各等級への期待値や役割行動を理解すると同時に、経営理念の浸透を図り、必要なマインドやスキルを習得することで、組織全体のパフォーマンス向上と円滑なチーム運営につなげます。また、昇格を機会に自身のキャリアについて考える機会としています。 |
6時間~ |
149名 |
75名 |
役割任命時研修 |
役割任用者(スーパーバイザーや店長等)としての店舗管理、人財育成に関する責任を理解し、人財育成に関わるマインドセットを行い、効率的な業務志向と組織目標の達成を支援します。 |
6時間~ |
47名 |
78名 |
シーズンビジネス トレーニング |
販売チャネルごとのシーズン戦略や商品知識の理解、接客シミュレーションを通して接客手法を学び、LTVの最大化を目指します。 |
6時間~ |
1,292名 |
830名 |
スタンダード トレーニング |
接客の基本を身に付けた中堅クラスのスタッフを対象とし、ブランドイメージを体現する接客(会話力、提案力)を習得し、更なる顧客満足度向上と売上拡大を目指します。 |
6時間~ |
574名 |
250名 |
<キャリア形成>
㈱ワコールでは、従業員が自らのキャリアを主体的かつ前向きに切り拓いていくことを目的にした、キャリア形成に伴う多様な制度・仕組みを拡充し、キャリア自律を促進することによって働きがいの向上と組織の活性化を目指す「Meet My Careerプログラム」を導入しております。このプログラムでは、従来型の自己申告やキャリア面談、研修・自己啓発、異動に加えて、「社内公募制度」や、自ら異動先を希望できる「社内ジョブチャレンジ制度」、グループ外の企業や団体への出向によって社内では得られない経験を可能にする「社外キャリア留学」、所属部門に籍を置いたまま他部門の業務を体験できる「社内インターン制度」、長期休職制度、副業支援など、従業員が主体的にキャリア・可能性を切り拓くための選択肢を体系的に示すことで、従業員に対して多様な働き方の能動的な実践を促し、同時に今までと異なるスキルを身につけ、磨く機会を供し、個々人の多様なキャリアの実現を促進することを目指しています。「社内公募制度」についてはグループ会社も対象とする事によってキャリアの選択肢をより広げるとともに、従業員と組織の双方が積極的にキャリア開発や人財獲得に取り組める仕組みを取り入れています。
さらに、従業員一人ひとりのキャリアをより丁寧に支援するため、社内外のキャリアコンサルタントによるキャリア面談を段階的に実施しており、従業員の内省と将来設計を促進する機会を提供しています。また、若年層向けに、早期段階から自律的なキャリア形成を意識づける「キャリアデザイン研修」を実施しており、自らの強みや志向性を見出し、将来的なキャリアビジョンを描く力の醸成を図っています。
販売職においては、50歳を迎える社員を対象に「キャリア研修」を実施しており、2025年3月期は25名が参加し、リタイアメントライフデザインについて学び、定年に向けた準備を考える機会を提供しています。また、2021年4月から販売職の中の一つの役割として、国家資格キャリアコンサルタントを保有するメンバーが担う「キャリアコーディネーター」という役割を設けて、キャリア面談にも積極的に取り組んでいます。2025年3月期では120件の面談を実施し、ビューティーアドバイザー一人ひとりと一緒にキャリアを考える機会を提供しています。
今後も、従業員が自発的にキャリアを広げる機会を提供し続け、多様な人財の育成に取り組んでまいります。
プログラム名 |
実施目的 |
人数(人) |
|
2024年 3月期 |
2025年 3月期 |
||
ジョブチャレンジ制度 社内公募制度 |
自律型人財形成の一環として 「ジョブチャレンジ」自らの意思と意欲を前提に自己異動希望を示す者に、ジョブローテーションの機会を支援し、組織全体の活性化につなげる。 「社内公募」組織自らが求める人財を得ることで部門の強化を図り、社内組織全体を活性化につなげる。 |
25 |
11 |
社外キャリア留学 |
変化の激しい時代において、社外での就業経験を通して多様な視点や価値観を取り入れ、知識のアップデート、リスキルを行うことで、適応力やレジリエンスを高めることにつなげる。 |
42 |
31 |
副業制度 |
1.社外での活動に携わる中で、自身のスキル・能力・専門性を高め、本業での発揮能力を高める。 2.今後のキャリアを見据えたうえで、社外ネットワークの構築及び新たな知見、スキルを獲得する。 3.自分の趣味や興味のあることに取り組み、更なる収入を得ることで多様なライフの充実を実現する。 |
30 |
29 |
長期休暇制度 |
「自己啓発・自己開発を目的とした場合」と「配偶者が転勤、または遠隔地に居住する者と婚姻した後」において、一定期間の休職を認めることにより、就業継続を支援する。 |
10 |
11 |
Ⅲ.マネジメント力の強化
経営の実効性を高めるために、的確かつスピーディーに意思決定を行い、組織の成果に貢献するためのマネジメント力の強化は極めて重要な課題であり、改めてサクセッションプランに基づくマネジメント人財の発掘、育成、任用に取り組みます。また、組織力の強化の観点からは、健全なフィードバック文化の醸成も必要であると認識しています。ビジョンの実現と戦略を実行でき、かつ個の力を組織の成果に結びつけるためにメンバーを動機づけることができるマネジメント人財の確保・育成の取り組みを推進していきます。
2024年11月より、経営戦略・事業運営に関する知見を実践的に学ぶ機会として執行役員がメンターを務める「経営視点実学プログラム」を導入しました。本プログラムは経営に必要な視座と意思決定プロセスを現場課題と紐づけながら体得することを目的としており、次世代リーダーの意識変革と視野の拡張に寄与しています。さらに、部長に対しては、外部研修機関との連携による経営層向けプログラムへの参加を推進し、社外視点の獲得と経営力のさらなる強化を図っています。
組織力の強化のためには、エンゲージメントの向上にも継続的に取り組んでいます。経営層と従業員の対話の機会であるタウンホールミーティングを今後も継続的に実施し、経営方針、事業戦略の理解浸透と現場の実態を共有する場として有効に機能させていきます。併せて、新人事制度を中心とした人事部門との対話の機会の設定、また本部単位の人財開発会議の設置により、より現場に根ざした人財育成、組織力向上を可能にする風土を形成していきます。
Ⅳ.DE&Iの推進
当社グループは、従業員一人ひとりの働きがいを高める仕組みを追求しつつ、人的資本の量的・質的な適正化を図ることによって、健全な企業風土と強固な経営体質の構築を進めております。多様な人財や価値観を受容し相互に信頼関係を深め、従業員一人ひとりが能力を最大限に発揮できる職場環境の実現を目指しております。引き続き、多様なキャリアパスや働き方の選択肢を拡充させるほか、変化の激しい市場に対する組織の意思決定において、従業員の多様性を活かすことができる人財施策を実行してまいります。
<女性活躍>
㈱ワコールは、お客様そして従業員の多くが女性であること、より多様な価値観を経営の意思決定に反映する必要があることから、女性の活躍推進が重要な経営課題であると捉えています。そのため、女性特有のライフステージに応じた就労環境を整備し、より柔軟な働き方を促進するとともに、性別や年齢に拘らず能力や成果に応じて昇格・登用されるしくみを整備しています。
<女性の管理職への登用>
㈱ワコールでは、女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画を2024年9月に新たに策定しました。課長級以上の管理職に占める女性比率は2025年4月1日時点では38.6%と女性管理職比率としては30%を上回っていますが、より重要な意思決定に関わる部長級以上に占める女性比率が依然として低いという課題があるため、2028年度中に管理職(部長級以上)に占める女性割合30%以上に向けて取り組むことを目標としています。より重要な意思決定に関わる部長級以上の女性比率を高めることで、多様性を向上し意思決定の最適化を目指します。
多様な人財の価値観を経営の意思決定に反映するため、性別を問わず、早い段階からリーダー適性の高い人財の発掘を行い、経営幹部候補への育成機会の提供をさらに進めています。また社員の自律的な成長をサポートしつつ、様々な事業、職務の経験を促して、継続的にキャリア意識の醸成に取り組み、経営幹部を担う人財の育成を進めてまいります。
(詳しくは当社ウェブサイトに掲載しておりますのでご参照ください)
:女性活躍推進法に基づく行動計画
https://www.wacoalholdings.jp/sustainability/resource/diversity/
:ESGデータ集(ダイバーシティ&インクルージョンほか)
https://www.wacoalholdings.jp/ir/library/esg_presentation/
:(厚生労働省HP) 女性の活躍企業データベース・「株式会社ワコール」
https://positive-ryouritsu.mhlw.go.jp/positivedb/detail?id=284
<男女間の賃金差異>
女性活躍の一つの指標である男女の賃金の差異は、当社・㈱ワコールで49.1%(正社員49.9%、パート・有期社員52.7%、総合職72.7%、管理職90.0%)となっています。当社では、同一の役割であれば男女で賃金の格差は設けていないため、この差は、当社・㈱ワコールで①管理職における男性比率が61%程度あること、②総合職採用、特に新卒採用における女性比率が年々高まっており、結果として管理職未満の層で入社10年以下の社員においては女性社員の比率が高いこと(10年以下134名、59.2%、10年超43名、42.6%)、③女性社員に占める割合が、相対的に賃金水準が高い総合職に対し販売職のほうが圧倒的に比率が高いことによるものです。
男女の賃金の差異の解消に向けて、総合職における新卒採用や経験者採用で女性比率を高めているほか、年齢や性別に関係なく能力による登用を行い、管理職や役員の女性比率を高めてまいります。
<外国人の管理職への登用>
当社グループは、世界の国や地域で事業を営む企業グループとして、米国や欧州をはじめとする海外各法人の代表(社長)及び重要な経営ポストに現地人財を登用しております。また、㈱ホンコンワコール及びフィリピンワコール㈱の代表(社長)は女性が務めております。今後も引き続き、海外各市場での顧客視点による事業拡大、競争優位性の強化のために、国籍を問わない多様な現地人財の採用と重要な管理職ポストへの登用を継続的に推進してまいります。
<ワークライフバランス>
㈱ワコールでは、従業員が豊かな人生を送り、仕事において持てる能力を最大限に発揮できる職場環境の整備に取り組んでいます。この取り組みの一つ、仕事と育児の両立支援では、当事者だけでなく周囲でサポートするメンバーの双方にとって働きやすく働きがいのある職場を目指し、制度や風土の整備に取り組んでいます。また、次世代育成支援対策推進法(次世代法)に基づいた行動計画を策定し、目標達成に向けて取り組みを行った結果、2018年には3回目の「くるみん」認定に加え、「プラチナくるみん」の認定を取得しました。従業員が仕事と家庭だけでなく社会とのつながりを積極的に持つことによって、従業員個人の中での経験やスキルの多様性を増し、仕事におけるイノベーション創出につなげられるよう、従業員が自身の時間の使い方を柔軟にできるような仕組みを引き続き作っていく予定です。
<障がい者雇用>
当社グループでは、全員がいきいきと働き続けるために必要な研修の実施や、一人ひとりの声を聴くための個別面談を通じて、環境改善、就労支援をしています。また、外部の支援機関と積極的に連携することで、専門家の知見を得て定着支援のための当事者へのサポートや全従業員を対象に障がい理解促進の為の研修を実施しています。2018年2月には、障がい者の雇用促進と活躍機会の創出を目的にワコールアイネクスト㈱を設立し、2018年12月に障害者雇用促進法に定める特例子会社の認定を受けました。
ワコールアイネクスト㈱では、業務範囲を限定せず、一人が複数の業務を担当する「マルチタスク」や、業務を分業して複数で請け負う「ワークシェア」など、個々人の能力開発を促す柔軟な働き方を採用し、一人ひとりがやりがいを持ち、成長を実感できる職場の実現を目指しています。法定雇用率を守ることは企業として必要なことですが、数値としての目標ではなく、ワコールの掲げる相互信頼のもと、すべての人が活躍し、成長できる職場づくりにグループ全体で取り組むことで、多様性を活かす社会の実現に貢献していきます。
:障がい者雇用や再雇用制度等については、当社ウェブサイトをご参照ください。
https://www.wacoalholdings.jp/sustainability/resource/diversity/
<多様なお客さまへの対応方針に基づく対応>
2024年度より、多様なお客さまへの対応方針(インクルーシブな売場づくり)を明確にし、ワコールが人権尊重の取り組みに向き合っている姿勢を表現していきます。その為に、販売部門の管理職、役割任用者を対象に説明会を実施し、「ビジネスと人権」の社内啓発活動をスタートさせています。
Ⅴ.Well-beingの実現
中長期経営戦略フレーム「VISION 2030」で掲げる「高い感性と品質で、ひとりひとりのからだとこころに、美しさと豊かさを提供し、『世界のワコールグループ』として進化・成長する」ことを実現するには、重要なステークホルダーである従業員のやりがいを高め、組織全体の生産性を向上させることが不可欠です。
㈱ワコールでは、従業員一人ひとりの働きがいの向上こそ、高い生産性を実現する原動力と捉え、従業員とのエンゲージメント向上の一環として、Well-beingの実現のための施策を実行していきます。
<多様な働き方の推進>
㈱ワコールは、フレックスタイム制勤務の促進をするために、コアタイムなしのスーパーフレックスタイム制の導入、勤務地限定制度の運用、京都地区事業所再編により※ワコール版ABW化を進め、労働生産性の意識を高め、行動変容を求めた取り組みを推進しています。また、長期自己啓発休暇制度等、多様なライフスタイルに対応した制度を導入しております。実績・成果を重視する組織改革を進める一方で、多様な価値観を認め合いビジネスパートナーとして個々を尊重する組織風土づくりに注力しています。
※ワコール版ABW:
ABW=「Activity Based Working」とは業務に応じて時間と場所を自律的に選択できるワークスタイルです。ワコール版ABWは役職や職種に関係なくフリーアドレスを前提(一部例外あり)とします。業務内容や業務時間、協働ワークする相手に応じて、自律的かつ柔軟に執務フロアやエリアを選択し、「フロアやエリアに縛られない働き方」のメリットを最大限発揮できるような働き方(ワークスタイル)と定義します。
<健康経営>
㈱ワコールでは「社員の健康は、持続的成長のための重要な資産」と位置づけ、会社・健康保険組合・労働組合が三位一体となって、健康経営を戦略的に推進しています。「VISION 2030」では、「継続的な従業員の健康増進と健康意識の向上」をマテリアリティ(重要課題)の一つとして掲げています。健康経営の推進に向けて、策定した「ワコールGENKI計画2025」では、従業員の心身の健康状態を高めるとともに、それらの成果を「生産性の向上」や「従業員エンゲージメントの向上」につなげていくことを目標としています。健康経営の取り組みの一例として、男性の経営層へ「生理痛」を疑似体験していただくことで女性の健康課題を理解し行動変容につなげることを目的とした取り組みを行いました。引き続き、「生活習慣病対策」「がん対策」などこれまでの健康維持増進に向けた施策を継続しつつ、特に大きな課題となっている販売職のメンタルヘルス向上や女性の健康課題への取り組みを強化しております。
:ワコールGENKI計画2025に関しては、当社ウェブサイトをご覧ください。
https://www.wacoalholdings.jp/sustainability/resource/wellbeing/
③リスク管理
人的資本に関するリスクは、サステナビリティ戦略ならびに経営全般のリスクに含めて管理しています。詳しくは、「(1)サステナビリティ戦略 ③リスク管理」をご覧ください。
④指標と目標
経営戦略に基づく 人的資本の課題 |
人的資本の最大化に向けた取り組み |
指標と目標(KPI) |
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指標 |
目標 |
2025年3月期実績 |
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会社の成長を担う人財の獲得・育成・登用
対応するマテリアリティ:5 |
Ⅰ.人財獲得 Ⅱ.成長支援(人財育成・キャリア形成) |
経験者採用の状況(総合職) |
総合職採用数のうち、3~5割を経験者採用にする |
採用総数:34名 内、経験者採用16名(47.1%) |
人財育成・研修への投下費用 研修参加者数、学びへの時間投資(労働時間対比) |
未策定(2026年3月期中に策定) |
・仕事を効果的に行うために必要なトレーニングを受けている:50.4% |
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従業員エンゲージメントスコア(主体的なキャリア形成の実現の貢献を測るため) |
キャリア実現に関するポジティブ回答が60%以上 |
多様なキャリアの選択肢やチャレンジ機会が提供され、活用できる環境がある:42.8% ・総合的にみて、私は当社でキャリア上の目標を達成できると感じている:33.0% ・自分のキャリア開発について直属上司と有意義な話し合いをしている:22.4% |
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個の力を組織の成果に結びつけるためのマネジメント力の向上
対応するマテリアリティ:4 |
Ⅲ.マネジメント力の強化 |
従業員エンゲージメントスコア(持続的成長につながるマネジメントの貢献を測るため) |
将来性、未来志向に関するポジティブ回答が60%以上 |
・当社の将来は有望であると信じている:19.9% ・経営層の未来志向:42.3% ・部課長層の未来志向:46.5% |
エンゲージメント・心理的安全性の高い組織風土の醸成
対応するマテリアリティ:4、5 |
従業員エンゲージメント(フィードバック文化醸成の貢献を測るため) |
承認・称賛、正当な評価に関するポジティブ回答が60%以上 |
・良い仕事をしたときに、きちんと認めてもらっている:55.8% ・我々は、チーム間の協力がうまくいったとき、それをしっかり称賛(賞賛)している:57.4% ・担当業務に対して公正な報酬を得ている:30.8% ・給与は、個人業績にしっかり連動している:23.9% |
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Ⅳ.DE&Iの推進 Ⅴ.Well-beingの実現 |
女性の管理職登用 |
2028年度中に管理職(部長級以上)に占める女性割合30%以上 |
17.5%(2025年3月時点) |
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障がい者雇用 |
2025年度法定雇用率2.5% |
2.68%(2025年3月時点) |
※マテリアリティ(重要課題)
4:自らの可能性を広げ、自信と誇りを持ち活躍できる人財への成長
5:共創・協業による高い成果を発揮できる組織づくり