2026年3月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります

(単一セグメント)
  • 売上
  • 利益
  • 利益率

最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています

セグメント名 売上
(百万円)
売上構成比率
(%)
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
(単一セグメント) 3,673 100.0 332 100.0 9.0

3【事業の内容】

 当社は、1999年の創業以来、一貫して「徹底的なユーザー視点」と「優れたデザイン思考」に基づき、ユーザーエクスペリエンス(ユーザー体験:以下、UX)を軸としたSIPS(Strategic Internet Professional Services)事業を展開しております。昨今の生成AI技術の飛躍的進展を、社会・経済構造を根幹から変革するパラダイムシフトと捉え、当社は「生成AIを活用して未来の社会を創造する」ことを経営方針に掲げております。Web、アプリ、CRM、データ分析など、あらゆるデジタル領域を統合・最適化することで、カスタマーエクスペリエンス(顧客体験:以下、CX)全体の高度化を支援しております。このCX高度化の一環として、従来の個別の接点の最適化に留まることなく、消費者の認知から購買、ファン化に至る全てのプロセスを繋ぐフルファネルマーケティングを通じて顧客企業の事業価値最大化を推進しております。こうした包括的な支援体制を基盤とし、デジタル領域における戦略立案から実装までの各プロセスに最新の生成AI技術を組み込むことで、データに基づいた迅速な意思決定を支え、顧客と共に事業成長を牽引する戦略的伴走パートナーを目指してまいります。当社が展開する主要な事業領域は以下の4つであり、それぞれを相互に連携させ、顧客の持続的な企業価値向上に寄与しております。

 

① サービスデザイン

 ユーザー中心主義に基づき、新規事業の立案や既存サービスの抜本的な再定義を、調査・構想段階から一貫して行います。単なる商品やサービスの提供に留まらず、すべてのユーザーとの接点におけるCXと持続的な価値提供を設定します。プロジェクトの構想段階から伴走し、優れたデザイン思考と独自のユーザーリサーチにより顧客価値を再定義します。特に、生成AI技術を前提とした全ファネル横断型のビジネスモデル開発や、将来の「ABAC(AI agent-Based Autonomous Communication)モデル」を見据えた次世代のコミュニケーション設計を行うなど、独自の専門性を活かした支援を展開しております。

 

② デジタルマーケティング支援

 創業以来培ったUXデザイン力により、Web、アプリ、CRM、MA、データ分析など、既存のマーケティングプロセスを統合・最適化します。単なるツール導入に留まらず、生成AIを活用した「AIO」等の最新手法をいち早く取り入れ、ユーザーの「買いやすさ」や「体験」を実現します。企業のマーケティングプロセスに生成AIを導入することで、CXの高度化と投資対効果の最適化を支援します。

 

③ デジタルプロダクト開発

 企業のブランド接点となる各種デジタルプロダクトを、最新の生成AIツールに適応したAIが解釈・活用可能な構造へと転換させます。従来のUI設計やサイト構築の知見をベースに、生成AI技術による生産性向上を図るとともに、ユーザーの検索行動の変化に対応した次世代のデジタル資産として、その価値を最大化しております。

 

④ 社会インパクト開発

 長年蓄積したUXデザインの知見を、公共空間のデジタルトランスフォーメーション(以下、DX)や地域活性化などの社会課題解決に役立てるビジネスインキュベーションを展開しております 。デジタル技術を駆使して社会課題を解消する仕組みを実装し、地域住民の生活満足度向上と、持続可能なビジネスモデルとしての構築を両立させます。自社でのサービス開発・運用を通じた試行錯誤の知見を活かし、企業の事業課題と社会課題を同時に解決するソーシャルビジネスの創出を推進しております。

 

 以上に述べた内容を事業系統図によって示すと次のとおりであります。

 

 

業績状況

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

①財政状態及び経営成績の状況

当事業年度における我が国経済は、緊迫する中東情勢や近隣諸国との外交関係を巡る地政学リスクの高まり、金融資本市場の変動や物価上昇の継続が実体経済に及ぼす影響など、依然として先行きを注視すべき状況が続いております。一方で、米国の通商政策の不透明感は残るものの、生成AIの普及に伴うデータセンター新設等のAI関連投資が拡大したほか、大手企業を中心とした雇用・所得環境の改善が下支えする形となり、総じて堅調に推移しました。このような環境下、当社が事業領域とするデジタルマーケティング分野におきましては、デジタル技術を用いて製品やサービス、ビジネスモデルを変革するDXに対する国内企業の投資意欲は底堅く、経済産業省の「サービス産業動態統計調査」によると、2026年1月の情報サービス業の売上高は、前年同月比9.1%増と堅調に推移しています。

このような事業環境のもと、当社は、顧客企業や行政機関のDX推進を幅広く支援してまいりました。特に、企業、団体のあるべきCXを実現するため、顧客企業がターゲットとする消費者の認知から購買、その後のロイヤルティ向上に至るまでの全プロセスを一気通貫で最適化するフルファネルマーケティング支援を強化し、マーケティング施策の最適化を通じて事業成果の最大化に取り組んでおります。

当事業年度においては、既存サービスの拡充に加え、生成AIを提案活動に組み込むタスクフォースを立ち上げ、顧客企業や行政機関の課題解決に向けた高付加価値サービスの展開を推進いたしました。また、親会社であるNTTデータとの協業強化やパートナー企業との共創を通じて多様なニーズへの対応力を高めるとともに、生成AI活用による社内の生産性向上を並行して進める方針に基づき、事業活動を展開してまいりました。

こうした方針のもと、顧客企業に対する積極的な提案活動を実施した結果、重要施策として掲げていた重点顧客の創出が進捗し、既存顧客の深耕及び新規顧客の獲得が寄与したことで、受注、売上ともに前事業年度を上回りました。利益面につきましても、売上原価率の改善や販売費及び一般管理費の抑制にも努めた結果、営業利益は前事業年度を大きく上回る結果となりました。

 

 以上の結果、当事業年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

a.財政状態

 当事業年度末の資産合計は、前事業年度末に比べ292百万円増加し、3,428百万円(前年同期比9.3%増)となりました。

 当事業年度末の負債合計は、前事業年度末に比べ160百万円増加し、654百万円(前年同期比32.5%増)となりました。

 当事業年度末の純資産合計は、前事業年度末に比べ131百万円増加し、2,773百万円(前年同期比5.0%増)となりました。

 

b.経営成績

 当事業年度の経営成績は、売上高3,672百万円(前年同期比8.7%増)、営業利益331百万円(前年同期比301.6%増)、経常利益337百万円(前年同期比306.2%増)となりました。当期純利益は、中長期的な企業価値向上を目的とした財務戦略検討費用として特別損失85百万円を計上、法人税、住民税及び事業税を91百万円、法人税等調整額を△14百万円計上したことから173百万円(前事業年度は当期純損失33百万円)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は、以下に記載の各キャッシュ・フローにより2,247百万円となり、前事業年度末に比べ59百万円増加いたしました。

 当事業年度における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前当期純利益251百万円を計上し、増加要因として、未払金の増加額33百万円、賞与引当金の増加額11百万円、減価償却費の計上6百万円等があり、また減少要因として、売上債権の増加額208百万円、法人税等の支払額17百万円等により、107百万円の収入(前年同期は74百万円の収入)となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、減少要因として、敷金及び保証金の差入による支出4百万円、無形固定資産の取得による支出1百万円により、5百万円の支出(前年同期は4百万円の支出)となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、減少要因として配当金の支払い42百万円により、42百万円の支出(前年同期は41百万円の支出)となりました。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社の事業内容に、生産に該当する事項がありませんので、生産実績に関する記載はしておりません。

 

b.受注実績

 当事業年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

SIPS事業

3,801,908

5.6

1,017,462

14.6

合計

3,801,908

5.6

1,017,462

14.6

(注)当社は、SIPS事業の単一セグメントであります。

 

c.販売実績

 当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

SIPS事業

3,672,504

8.7%

合計

3,672,504

8.7%

(注)1.当社は、SIPS事業の単一セグメントであります。

2.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前事業年度

(自  2024年4月1日

至  2025年3月31日)

当事業年度

(自  2025年4月1日

至  2026年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

スターバックスコーヒージャパン株式会社

462,005

13.7

514,520

14.0

株式会社NTTデータ

869,158

25.7

489,123

13.3

株式会社モスフードサービス

296,549

8.8

386,210

10.5

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等

1)財政状態

(資産合計)

 当事業年度末における資産につきましては、前事業年度末に比べ292百万円増加し、3,428百万円(前年同期比9.3%増)となりました。主な増加要因は、現金及び預金の増加59百万円、売掛金の増加208百万円等によるものであります。

(負債合計)

 当事業年度末における負債につきましては、前事業年度末に比べ160百万円増加し、654百万円(前年同期比32.5%増)となりました。主な増加要因は、未払金の増加34百万円、未払法人税等の増加75百万円、未払消費税等の増加24百万円等によるものであります。

(純資産合計)

 当事業年度末における純資産につきましては、前事業年度末に比べ131百万円増加し、2,773百万円(前年同期比5.0%増)となりました。増加要因は、当期純利益173百万円の計上、また減少要因は配当金の支払い41百万円であります。以上の結果、自己資本比率は、前事業年度末の84.2%から80.9%となりました。

 

2)経営成績

(売上高)

 売上高は、前事業年度に比べ294百万円(8.7%)増加し、3,672百万円となりました。売上高の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。

(営業費用及び営業損益)

 売上原価は、諸経費の増加等により、前事業年度に比べ90百万円(3.4%)増加し、2,784百万円となりました。以上の結果、売上総利益は888百万円(前年同期比29.8%増)となりました。

 販売費及び一般管理費は、前事業年度に比べ45百万円(7.5%)減少し、556百万円となりました。主な要因は、人員減少に伴う労務費39百万円の減少、研究開発費18百万円の減少等によるものであります。以上の結果、営業利益は331百万円(前年同期比301.6%増)となりました。

(営業外損益及び経常損益)

 営業外収益は、前事業年度に比べ4百万円(273.8%)増加し、6百万円となりました。営業外費用は、前事業年度に比べ489千円(38.9%)減少し、768千円となりました。以上の結果、経常利益は337百万円(前年同期比306.2%増)となりました。

(特別損益及び税引前当期純損益)

 特別損失として、中長期的な企業価値向上を目的とした財務戦略検討費用85百万円を計上したことから、税引前当期純利益は251百万円(前年同期は税引前当期純損失6百万円)となりました。

(当期純損益)

 当期純利益は、法人税、住民税及び事業税を91百万円計上、法人税等調整額△14百万円を計上したことから173百万円(前年同期は当期純損失33百万円)となりました。

 

b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社は、顧客企業から依頼を受け、デジタルマーケティング関連のサービスを提供する受託型のビジネスモデルを主な収益源としております。デジタルマーケティングのコンサルティング、ウェブサイトやソーシャルメディアのコンテンツやデザインの制作、マーケティングシステムの開発や運用、データ分析等のサービスを、大企業を中心とする法人に対してプロジェクト形式で提供しております。

各プロジェクトの収益は、売上からプロジェクトに関わった人件費や外注費等を差し引いた額となります。プロジェクトの管理が適切に行われない場合、顧客企業の要望と当社が制作する成果物との間に不整合が生じ、既に制作した成果物の改修等に人件費、外注費等のコストを追加投入することになり、プロジェクトの収益は悪化します。また、売上総利益には人員の稼働率も大きな影響を及ぼします。当社の固定費は主に人件費であり、受注の低迷等によって稼働率が低下した場合、会社の収益性は悪化します。当社が安定的に利益を創出するためには、適正な稼働率を確保した安定的な受注と、プロジェクトの適切な管理が重要な要素になります。

当事業年度におきましては、既存サービスの拡充に加え、生成AIを提案活動に組み込むタスクフォースを立ち上げ、顧客企業や行政機関の課題解決に向けた高付加価値サービスの展開を推進いたしました。また、親会社であるNTTデータとの協業強化やパートナー企業との共創を通じて多様なニーズへの対応力を高めるとともに、生成AI活用による社内の生産性向上を並行して進める方針に基づき、事業活動を展開してまいりました。

こうした方針のもと、顧客企業に対する積極的な提案活動を実施した結果、重要施策として掲げていた重点顧客の創出が進捗し、既存顧客の深耕及び新規顧客の獲得が寄与したことで、受注、売上ともに前事業年度を上回りました。利益面につきましても、売上原価率の改善や販売費及び一般管理費の抑制にも努めた結果、営業利益は前事業年度を大きく上回る結果となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フローの状況・検討内容

当事業年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前当期純利益251百万円を計上したことを主な要因として107百万円の収入となりました。当事業年度末における現金及び現金同等物は2,247百万円であり、通常の運転資金として不足のない水準と認識しております。2026年度における当社の主な短期的な資金需要としましては、営業活動上の運転資金の他、配当支払い等を見込んでおります。

当社の短期的な資金調達の源泉は、主に営業活動によって獲得した現金となります。また緊急に資金が必要となる場合や金融市場の混乱など不測の事態に機動的に対応するため、金融機関との間で当座貸越契約を締結し、資金の流動性を確保しております。2026年度の経済見通しにつきましては、不安定な国際情勢や円安、物価の高騰に伴う購買意欲の変化等の流動的な要因により、景気の先行きは不透明な状況が続くと予想される一方、DXに対する企業の投資意欲は底堅く、当社の事業領域におけるニーズは引き続き高い状態が続くと期待され、将来の予測可能な資金需要に対して不足が生じる事態に直面する懸念は少ないと認識しております。

 

b.資本の財源及び資金の流動性

当社の事業活動における運転資金需要の主なものは、人件費及び外注費であり、運転資金については、主に内部資金により調達しております。また、当社では、サービスの拡充に向けた体制強化や、中長期的な資本集約型ビジネスの開拓を目的として必要に応じてM&Aを行っていくことを方針としており、将来的な資金需要が発生する可能性がありますが、報告日現在において、発表すべき事象はございません。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。作成においては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。当社は、特に次の重要な会計方針が当社の財務諸表の作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。

 なお、財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

a.貸倒引当金

 当社は、売上債権等の貸倒損失に備えて回収不能となる見込額を貸倒引当金として計上することとしております。

 将来、顧客企業の財務状況が悪化し支払能力等が低下した場合には、引当金の計上又は貸倒損失が発生する可能性があります。

b.受注損失引当金

 当社は、顧客企業より受注済みの案件のうち、当該受注契約の履行に伴い、翌事業年度以降に損失の発生が見込まれ、かつ、当該損失額を合理的に見積もることが可能なものについては、将来の損失に備えるため翌事業年度以降に発生が見込まれる損失額を受注損失引当金として計上することとしております。

c.固定資産の減損処理

 当社は、「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき、減損の要否を検討しております。

 将来の事業計画や市場環境の変化により、減損の兆候が発生した場合、減損損失を計上する可能性があります。

d.繰延税金資産の回収可能性の評価

 当社は、繰延税金資産の回収可能性を評価するに際して、将来の課税所得を合理的に見積っております。

 繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存しますので、その額に変動を生じた場合には、繰延税金資産の取崩し又は追加計上により、利益が変動する可能性があります。