2024年9月期有価証券報告書より

リスク

 

3 【事業等のリスク】

本報告書に記載する当社の事業の状況及び経理の状況等に関する事項のうち、リスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を以下に記載しております。

また、必ずしもそのようなリスクとは考えていない事項についても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から以下に記載しております。

当社はこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本報告書中の本項以外の記載内容も併せて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。

なお、以下の記載のうち将来に関する事項は、特段の記載がない限り、本報告書提出日現在において当社が判断したものであり、不確実性が内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。また、以下に記載する事項は、将来を含めた当社の事業等のリスク全般を網羅するものではありません。

 

① 市場の動向について

ア.インターネット利用率について

当社が属するインターネット関連市場について、総務省「通信利用動向調査」によりますと、国内における個人のインターネット利用率は2009年以降80%前後で推移しており、特に13歳~59歳までのインターネット利用率は各年齢層で9割を超えており、既に多くの人が利用している社会インフラとなっております。また、通信方式としての5GやIoTサービスの拡大、企業におけるテレワークの導入が今後も普及を後押ししていくものと考えられ、それらによってインターネット上のさらなるデータ量の増大や、それによるAIの活用が見込まれております。しかしながら、インターネット関連市場において何らかの市場変動要因の発生、新たな社会インフラの確立など市場の変化が発生した場合には、当社の事業及び業績が影響を受ける可能性があります。

イ.インターネット広告市場について

当社の広告事業の属するインターネット広告市場について、株式会社D2C/株式会社サイバー・コミュニケーションズ(CCI)/株式会社電通/株式会社電通デジタルの共同調べによりますと、インターネット広告媒体費は、2022年から2023年にかけて前年比108.3%となる2兆6,870億円の規模にまで拡大しており、取引手法別では、運用型広告がインターネット広告市場全体の87.4%を占め、前年比110.9%となる2兆3,490億円と高い成長率を維持しております。しかしながら、インターネット広告市場における何らかの市場変動要因の発生、広告出稿元のマーケティング・販売促進等の予算縮小、広告代理店の営業戦略の変化が発生した場合には、当社の事業及び業績が影響を受ける可能性があります。

 

② 広告事業について

ア.競合について

当社が行っている広告事業は、多数の競合会社があり、新規参入も含め、今後はより競争が激化する可能性があります。当社は新規広告商品の開発、ならびに、広告主や媒体運営者への利便性やサービス向上をより重視し、競争力の維持向上に努めてまいりますが、有力な媒体を取扱うことができる等の競合他社以上の優位性を確立できる保証はなく、サービス提供が継続できなくなった場合には、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

イ.広告主との関係について

インターネット広告市場は拡大傾向にあり、今後も市場は拡大していくものと想定されます。しかしながら、企業の広告活動は景気動向の影響を受けやすいものであり、今後もテレビ、新聞、雑誌等、既存広告媒体との競合が継続していくと考えられております。今後何らかの理由により、広告主の出稿意欲の減衰など社会環境の変化があった場合には、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

ウ.新しい広告手法について

当社は、リスティング広告、行動ターゲティング広告等、多様な広告手法に迅速に対応し、サービスを提供しております。しかしながら、今後独創的な広告手法が考案され、その変化に対応するための技術開発に多大な費用が生じた場合、または、技術変化への対応が遅れることによって、当社の提供する広告サービスが陳腐化した場合には、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

エ.サービスの信頼性等について

当社では、広告サービスの信頼性確保のために、広告媒体の成果報酬の不正請求について、厳正に対応しております。また請求には手作業による集計等が一部で行われていることから、人為的なミス等から請求内容の誤謬が生じたりすることを避けるためチェックの徹底を行っております。そのほか、規約を設けて参加手続面での管理を実施、その後も必要に応じ広告媒体に関する調査を定期的に行うことで不正請求を排除し、サービスの信頼性向上に努めております。しかしながら、自然災害や事故等の予期せぬ要因によりこれらの対応に不備が生じ、広告主からクレームを受けた場合や収益計上が適切に行われない場合、あるいは、損害賠償を請求された場合には、当社の事業及び業績が影響を受ける可能性があります。

 

③ IoTヘルスケア関連のサービスについて

ア.IoTヘルスケア関連市場の成長について

当社は、今後の企業価値向上のために、2019年2月に開始したIoTに関連するサービスのノウハウを活かして、ヘルスケア分野に参入し、IoTヘルスケアに関連するサービスを開始しております。

株式会社グローバルインフォメーションによるとヘルスケアIoT市場は2030年にかけて16.4%の年間平均成長率で拡大し、2030年には3,902億米ドルに達すると予測されております。しかしながら、拡大スピードの鈍化や市場の縮小等により、当初想定していた成果を挙げることができない場合、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

イ.提携先について

当社は、複数の開発企業と提携し、機器の販売、機器より取得したデータを蓄積、活用するためのシステム開発等を行っております。提携先の事業方針又は戦略が変化した場合、提携先との提携が解消された場合、提携先の経営状態等が著しく悪化し事業継続が困難となった場合には、当社の事業及び業績が影響を受ける可能性があります。

また、提携先であるヘルスケア分野の開発企業においては、計画に従って製品開発を進めておりますが、事業が計画どおりに進捗しなかった場合等には、当社の事業及び業績が影響を受ける可能性があります。

ウ.サービスや機器の不具合について

当社は、IoTヘルスケアに関連するサービスとして、プロダクト開発企業が持つ様々な機器、サービス等を、取引先や市場のニーズに応じて、営業、システム開発の両面から結合し、環境に適合させて提供してまいります。これらのサービスにおいては、安定稼動のために常に対策を講じておりますが、機器の不具合、コンピュータシステムや通信ネットワークの障害等によりサービスの停止を余儀なくされた場合には、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

④ トレカ関連のサービスについて

ア.業務提携先について

当社はトレカ販売・買取のノウハウを保有する業務提携先とトレカの販売に特化した自動販売機の共同運営を行っております。業務提携先の事業方針又は戦略が変化した場合、業務提携先との協業関係が解消された場合、業務提携先の経営状態等が著しく悪化し事業継続が困難となった場合には、当社の事業及び業績が影響を受ける可能性があります。

イ.商品の在庫と仕入れについて

当社は、一部の商品を需要予測に基づき在庫保有しております。しかしながら、市場の変化、顧客事情等により予測した需要が実現しない場合には、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

ウ.店舗の出店について

当社は、買取販売を強化する目的で出店計画に基づき複数の店舗展開を計画しております。しかしながら、今後の店舗出店が計画どおりに進まなかった場合には、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。また、当社が展開する店舗は賃貸借契約を締結することから、何らかの理由により契約が更新できない場合、または、契約更新時などに賃料が上昇した場合、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

⑤ 事業全般に係るリスクについて

ア.事業展開に関わる業務提携やM&A

当社は、既存事業の業容拡大や、新サービスを導入することにより将来的な成長に寄与すると判断した場合には、業務提携やM&Aを積極的に検討する方針であります。

これらの実行に関しては、ビジネス、財務、税務及び法務等に関するデューデリジェンスを行い各種リスクの低減に努めますが、予期せぬ事態の発生や様々な外部要因の変化により、提携事業又はM&A対象企業の事業等が計画通りに進展せず、想定した成果が上がらない場合には、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

イ.法的規制について

当社が展開している事業は、様々な法的規制の対象となっており、各法令には違反した場合の罰則規定等が定められております。当社では、常に法令遵守を意識した事業活動を行っており、現時点では各々の罰則規定等に抵触していないものと認識しております。しかしながら、今後の法改正次第では、何らかの法的規制を受ける場合や対応措置をとる必要性が生じる可能性があります。また、当社の事業活動に関連して、新たな法令施行により何らかの法的規制を受けることとなった場合には、事業活動が制限され、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

ウ.知的財産権について

当社が日常的な事業活動を行う過程において使用しているコンテンツ、ソフトウエア及びシステムは、第三者の知的財産権を侵害するものではないものと認識しておりますが、予期せぬ要因により当社が保有する又は使用許諾を得ているもの以外の知的財産権を侵害する可能性があります。そのような事態が生じた場合には、当社が第三者の知的財産権を侵害することによる損害賠償請求、もしくは、使用差し止め請求等の訴えを起こされる可能性、または、当該知的財産権に関する対価の支払い等が発生する可能性があります。

エ.個人情報の管理について

当社では、推進する事業の性質上、個人情報を取り扱っており、「個人情報の保護に関する法律」に規定される個人情報取扱事業者に該当いたします。個人情報の取り扱いにつきましては、既に認証を受けている情報セキュリティマネジメントシステムの一環として、「個人情報の保護に関する法律」に沿った対応をとり、社内ルール化と共に社内体制を整備しております。

当社は、国内におけるCookieの利用規制等を含む個人情報に関連するさまざまな保護規制やEU一般データ保護規則(GDPR)、Cookieに関する規制等の諸外国における個人情報に関する保護規制について、最新情報を収集し、適宜、対応しております。

しかしながら、当社が保有する個人情報等につき、何らかの要因で個人情報の漏洩があった場合には、適切な対応を行うための相応なコスト負担、当社への損害賠償請求、信用の低下等によって、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

オ.システム障害について

当社は、サービスに適応した通信ネットワークシステムやインフラの安定稼動が事業の前提であると認識しております。自然災害や事故等、電力供給の停止等の予測不可能な様々な要因によって通信ネットワークの切断やコンピュータシステムのダウンが生じた場合には、当社の事業及び業績が影響を受ける可能性があります。また、当社のコンピュータシステムは、適切なセキュリティ手段を講じて外部からの不正アクセスを回避するよう努めておりますが、コンピュータウィルスやハッカーの攻撃等によりシステム障害が生じた場合には、当社の事業及び業績が影響を受ける可能性があります。

 

 

⑥ 経営管理全般に係るリスクについて
ア.人材の確保及び育成について

当社において優秀な人材の確保、育成及び定着は重要課題であり、事業戦略に基づく採用活動、人事評価制度の整備等の施策を通じ、人材の確保、育成及び定着に取り組んでおります。しかしながら、自然災害等の予期せぬ要因により当社が企図する採用活動や人材育成が困難になった場合には、適正な人材配置が困難となり、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

イ.コンプライアンスについて

当社は、役職員に法令、定款、社内規程、行動規範及び社会倫理の遵守を徹底させるため、コンプライアンス委員会を組織し、役職員への啓蒙・教育を実施しております。しかしながら、万が一法令等に抵触する事態が生じた場合には、信用低下を招き、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

ウ.訴訟について

当社は、役職員に対する法令遵守の教育活動を通じて法令違反行為等の低減に努めておりますが、予期せぬ事態により、取引先、役職員その他第三者とのトラブルが発生し、訴訟等が発生する可能性があります。その場合、訴訟内容や賠償金額によって、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

エ.資金使途について

当社は、2024年11月に、トレカ事業拡大における新規出店及びECサイト構築等に関する費用、M&A及び資本業務提携に関する費用、ヘルスケア事業拡大における共同事業推進に関する費用を資金使途として、後述の「注記事項(重要な後発事象)(第三者割当による第29回新株予約権(行使価額修正条項付)及び第30回新株予約権の発行並びに第2回無担保転換社債型新株予約権付社債の転換価額及び第23回新株予約権の行使 価額の調整)」に記載のとおり、資金調達を行っております。しかしながら、急速に変化する経営環境に柔軟に対応していくため、最適な時期に最適な分野へ資金を投じる等、資金調達時点の計画以外を資金使途とする可能性があります。また、計画に沿って資金を使用したとしても、想定通りの投資効果が得られなかった場合、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

オ.新株予約権の行使による株式価値の希薄化について

当社では、転換社債型新株予約権付社債及び新株予約権を発行しております。当該新株予約権が権利行使された場合、当社の株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化することになり、将来における株価への影響を及ぼす可能性があります。2024年11月末日現在、当該新株予約権による潜在株式数は16,582,589株であり、2024年11月末日現在における発行済株式数10,846,300株の152.89%に相当しております。

カ.投資有価証券の減損について

当社では、資本業務提携先などの投資有価証券を保有しております。取締役会にて四半期毎に投資先の財務状況等の把握に努めておりますが、市場環境の急激な悪化や競争環境の激化による投資先の財務状況等の悪化などにより、投資価値が毀損し、かつ回復の可能性がないと判断した場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

キ.グロース市場上場維持基準への抵触のリスクについて

当社は、株式会社東京証券取引所にて2022年4月適用の新市場区分についてグロース市場を選択しておりますが、2024年9月末時点におけるグロース市場の上場維持基準への適合状況は、「時価総額」については基準を充たしておりません。2025年9月期までに上場維持基準を充たすため、各種取組みを進めてまいりますが、財政状態及び経営成績並びに市場環境や経済情勢によっては、2025年9月期までにグロース市場の上場維持基準を充足できない可能性があります。

なお、2025年9月期までに上場維持基準を充足できない場合には、2025年10月より、1年間の改善期間に入ります。さらに、改善期間内に基準に適合しなかった場合には、一定の監理銘柄(確認中)指定期間及び整理銘柄指定期間を経て上場廃止となります。

ク.自然災害等について

当社の本店所在地は東京都であり、他の地域に拠点を分散しておりません。そのため、東京都において大地震、台風等の自然災害や火災等の事象により、役職員の負傷、設備の損壊、電力供給の停止又は制限等の不測の事態が発生した場合には、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

 

⑦ 筆頭株主との関係について

株式会社ウィズ・パートナーズが無限責任組合員を務めるウィズ AIoT エボリューション ファンド投資事業有限責任組合は2024年9月末現在、11.98%の当社株式を保有しており、第2回無担保転換社債型新株予約権付社債及び第23回新株予約権の潜在株式を含めますと発行済株式総数の33.08%に相当いたします。同社とは投資契約を締結し、同社が保有しているノウハウやネットワークを活用して事業の進展を図ることで協力関係を維持しておりますが、将来において同社の保有方針が変更され、協力関係が解消された場合には、当社の財政状態、事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

⑧ 継続企業の前提に関する重要事象等

当社は、当事業年度において、重要な営業損失、経常損失及び当期純損失を計上いたしました。このような状況により、当社は、継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しているものと認識しております。今後、当社は当該状況をいち早く解消し、経営基盤の安定化を実現するために、以下の対応策に取り組んでまいります。

ア.利益確保の体制の強化

各取引について精査を行い、継続的に売上原価の低減を図り、利益率の向上に取り組んでまいります。また、随時販売費及び一般管理費の見直しを実施し、販売費及び一般管理費の削減を推進し、利益の確保に努めてまいります。

イ.資金調達

当社は、後述の「注記事項(重要な後発事象)(第三者割当による第29回新株予約権(行使価額修正条項付)及び第30回新株予約権の発行並びに第2回無担保転換社債型新株予約権付社債の転換価額及び第23回新株予約権の行使価額の調整)」に記載のとおり、2024年11月11日付でCantor Fitzgerald Europe及びジーエフホールディングス株式会社が出資するG Future Fund1号投資事業有限責任組合に対して本新株予約権を発行いたしました。今後、 本新株予約権が行使された場合には、総額1,211百万円を調達できる見込みであります。なお、調達資金の額は、本新株予約権の発行価額の総額と、全ての本新株予約権が行使されたと仮定して算出(本修正型新株予約権については、当初行使価額に基づき行使されたと仮定して算出)された行使価額の合計額です。本新株予約権の権利行使期間内に行使が行われない場合又は当社が本新株予約権を消却した場合には、調達資金の額は減少いたします。

ウ.収益構造の改善

当社は、広告事業において収益基盤を確保しながら、利益率の高いヘルスケア事業および成長が見込めるトレカ事業を推進し今後の新たな事業の柱に育て、事業全体を高利益率の事業構造に変換していくことを成長戦略としております。当社の広告事業をとりまく事業環境は悪化しているなかでも当該成長戦略を推進し、事業全体をより早期に高利益率の事業構造に転換することを加速させるため、「トレカ事業の拡大」および「ヘルスケア事業の拡大」を目的とした資金調達を実施いたしました。M&A及び資本業務提携を含めた戦略的な拡大も視野に入れ、速やかな収益構造の改善に努めてまいります。 

 

しかしながら、上記対応策は実施途上にあり、効果を十分に得ることができない可能性も想定されること、また、新株予約権の行使による資金調達は未確定であることから、継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められます。

配当政策

3 【配当政策】

当社は、事業拡大のための内部留保の充実を勘案しつつ、業績に応じた安定的な配当を行うことを利益配分に関する基本方針としております。

当社は会社法第459条第1項の規定に基づき、配当の決定機関を取締役会としております。毎事業年度における配当の回数は、期末配当の年1回を基本方針としておりますが、必要に応じた配当回数増加にも柔軟に対応出来るよう、期末配当の他にも基準日を定めて配当を実施する事が出来る旨を定款に定めております。

当期(2024年9月期)の配当につきましては、業績を勘案し、収益基盤の確立に向けた適切な投資を行い、利益体質を構築する必要性があると判断したことから、無配とさせて頂きました。

事業展開の状況を勘案し、安定的な収益確保ができたタイミングでの復配の実現を目指してまいります。