リスク
3 【事業等のリスク】
当社グループの事業、その他に関するリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項につきましては、投資家に対する積極的な情報開示の観点から以下に記載しております。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ではあります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。
1.事業に関するリスク
① IP投資育成事業
当社グループは、M&Aを含めた企業投資を促進し、投資したIP企業の価値を高めて最終的に株式を売却するまでの投資育成事業を重要な事業として位置づけ、投資したIP企業の価値を高めるべく支援等を行っております。投資育成事業は当社グループの事業成長には必要不可欠な要素であるものの、不確定な要素でもあります。計画どおりの効果が得られない場合、当社グループの事業展開、経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② ライフスタイルIP事業
ⅰ 商品開発・店舗運営について
当社グループは、キッチン周りを中心として暮らしを楽しむアイデアやライフスタイルを提案する生活雑貨の販売を行っております。
ライフスタイル商品は流行や嗜好が短期的に大きく変化することがあり、当社グループの開発商品が消費者の嗜好に合致しない場合や新商品の開発に遅れが生じた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
ⅱ 在庫管理について
当社グループの商品は流行や嗜好の変化、または気候の変動等に影響されることから、需要予測が不調であった時には、在庫が増加することとなります。このため商品仕入にあたっては、発注数量の最小化を促進するなど、在庫水準の適正化に努めております。しかしながら、当社グループの対応にも関わらず過剰在庫が発生する可能性があります。
また、当社グループは、滞留在庫について滞留期間や販売可能価額を基準として評価減を実施しているため、滞留在庫が増加するような場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
ⅲ 食の安心、安全について
当社グループでは一部の店舗において食品の提供を行なっておりますが、近年、食品業界におきましては、製品の規格や産地の偽装問題、消費または賞味期限についての虚偽表示や誤表示など、食の安心、安全を揺るがす問題が発生しております。消費者の食の安心、安全に対する関心はますます高まっており、この対応を誤れば危機的状況を招く社会情勢にあります。
このリスク回避のために当社では全社に及ぶ品質保証体制と各種品質関連マニュアルの徹底による事前防止システムを確立し、食の安心、安全について万全の備えで臨むとともに、万一発生した場合には損失を最小限に抑えるための対応マニュアルの整備に加え、生産物賠償責任保険へ加入しております。
しかしながら、予期せぬ製品の欠陥の発生や、仕入原料に不適切な物質の使用・混入あるいはその他の原因により、大規模な製品回収や製造物責任が発生した場合には、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
ⅳ 原材料について
当社グループの使用する原料は、主に農産物であり、天候不順、自然災害による収穫量の増減、需給状況などにより仕入価格が変動する可能性があります。輸入原料の場合には、為替変動によっても仕入価格が変動する可能性があります。
また、原油価格の変動により、石油製品である容器類、包装材料の仕入価格が変動する可能性があります。
こうしたリスクについては、安定供給先の確保、事前の価格交渉、適切なタイミングでの価格決定等によりリスクを回避する努力を行っております。
しかし、予期せぬ突発的事情により原材料の安定的調達ができなくなった場合や仕入価格が高騰した場合には、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
ⅴ 法的規制
当社グループは、食品衛生法、PL法(製造物責任法)、不当景品類及び不当表示防止法や環境・リサイクル関連法規など、各種の法的規制を受けております。これらの規制を遵守できない場合には、当社の活動が制限される可能性や、コストの増加を招く可能性があります。
当社グループとしては、各種規程の整備によるほか、各主管部門と管理部門が連携しすべての法的規制を遵守するように取り組んでおります。
しかし、予測外の法的規制の強化や新たな規制が発生し、当社グループの事業活動の制限やコスト増加が発生した場合には、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
ⅵ 小売事業について
当社グループは、生活雑貨ならびに衣類、レシピ本の百貨店や専門店による店頭販売に加え、消費者ニーズをより的確に捉えることが必要と判断し、直営店による小売事業ならびにオンラインショップによる通販を行っております。
今後も店舗開発ならびにウェブサイト改修への投資をしてまいりますが、計画に沿った成長ができなかった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ デジタルIP事業
当社グループは、エンターテインメントの潮流を見極め、多様なジャンルでの自社IP創出にチャレンジしております。自社IPにおいては、他社の知的財産権を侵害するリスク、不適切な管理によりIPのイメージダウンを招くリスク、海外展開時に文化や風習の違いでコンテンツが受け入れられないリスクなどが考えられます。また、デジタルIP事業において創出した自社IPがユーザーを惹きつけることができなかった場合には、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
2.財務リスク
① 事業投資の回収可能性に関するリスク
当社グループは、M&Aを含めた企業投資を促進し、投資したIP企業の価値を高めて最終的に株式を売却するまでの投資育成事業を重要な事業として位置づけ、投資したIP企業の価値を高めるべく支援等を行っております。投資育成事業は当社グループの事業成長には必要不可欠な要素であるものの、不確定な要素でもあります。計画どおりの効果が得られない場合、当社グループの事業展開、経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 減損リスク
当社グループは「固定資産の減損に係る会計基準」を適用しており、保有資産の将来キャッシュ・フロー等を算定し、減損の測定等を実施しております。今後、保有資産から得られるキャッシュ・フローの状況等によっては当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
3.情報セキュリティ及びシステムに関するリスク
当社グループは、サービス及びそれを支えるシステム、並びにインターネット接続環境の安定した稼働が、事業運営の前提であると認識しております。
従って、常時データバックアップやセキュリティ強化を実施しているほか、サーバそのものをセキュリティが、厳しく安定的なシステム運用が可能な外部事業者が提供するデータセンターに設置するほか、運用効率が良く、且つ、セキュリティが堅牢な外部事業者のクラウドサービスを選定して利用する等の体制の構築に努めております。
また、事業活動において顧客等の個人情報や技術情報及び他社の機密情報などを受け取ることがありますが、機密情報に関して適切なセキュリティ対策等、必要な措置を講じております。
2021年4月26日提出の臨時報告書のとおり、当社グループ内で発生しました外部からの不正アクセスによる情報漏えいに対しては、徹底した事実調査及び原因究明を実施し、被害の拡散防止に努めるとともに、再発防止策を実施するなど必要な措置を継続しております。
しかしながら、デジタル技術の浸透や、情報セキュリティシステムへの攻撃の高度化かつ巧妙化により、当社グループの対策が十分に機能せず外部からの不正アクセスを防止できなかった場合や、従業員の故意又は過失等によって、新たな情報漏えい事故やサービス停止が発生した場合には、当社グループの信用やブランド価値が毀損され、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
4.法的規制・制度動向によるリスク
個人情報保護に関連する法的規制について
当社グループでは、インターネットサービスの提供を通じ、利用者本人を識別することが出来る一定数の個人情報を保有しており、「個人情報の保護に関する法律」が定める個人情報取扱事業者としての義務を課されております。
当社グループは、個人情報の外部漏洩・改ざん等の防止のため、個人情報の管理を事業運営上の重要事項と捉え、個人情報を取り扱う際の業務フローや権限体制を明確化し、個人情報保護規程をはじめとした個人情報管理に関連する規程や規則等を制定しております。
5.人員体制に関するリスク
当社グループは、安定した事業継続及び更なる事業拡大のためには、各分野における適切な人材確保及び人材配置が必須であると考えております。特に、IPの創出およびコンテンツ企画、ライフスタイル商品企画・開発に携わる優秀な人材確保が重要だと考えておりますが、技術革新が著しく、豊富な経験を保有する人材の絶対数が少ないことから、優秀な人材確保は容易ではないと認識しております。従って、適切な人材確保及び人員配置ができなかった場合、または人材が流出した場合には、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
6.自然災害等に関するリスク
地震・台風等の自然災害やその他の事業活動の継続に支障をきたす事象が発生した場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。こうした事態が発生した場合に備え、事業継続プランを検討しており、状況に応じ事前の対策を実施する予定でありますが、災害等による物的・人的被害が予想を大きく超える規模になった場合には、事業の継続が困難になる可能性があります。
7.継続企業の前提に関する重要事象等
継続企業の前提に関する重要事象等を解消するための対応策等
当社グループは2015年12月期より、9期連続して営業損失、経常損失および親会社株主に帰属する当期純損失を計上しており、当連結会計年度においても、営業損失、経常損失および親会社株主に帰属する当期純損失を計上したことから、継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在していると認識しております。
当社グループは、足元の業績改善を進めることにより当該状況を解消するために、以下の対応策を講じることにより、事業面については収益の確保および費用の削減を進めるとともに、財務基盤の一層の安定化に取り組んでおります。
事業・経営基盤の安定化
当社グループは、新たなIP(知的財産)をクリエイターと共につくりだし、持続的なグループ循環を実現する「クリエイター共創経営」を推進する中、前連結会計年度からIP投資育成事業、ライフスタイルIP事業、デジタルIP事業の3つの事業セグメントにおいて、それぞれ以下のことを目指しております。また、当連結会計年度から、投資先の企業価値の管理およびグループ経営基盤の強化を目的に、経営管理室の人員の増強、管掌取締役を新たに就任させることでガバナンスの強化を図っております。
IP投資育成事業
IP投資育成事業については、関連会社との共同事業やバックオフィス業務支援を通じて、投資先の価値を向上させ、戦略パートナーへの譲渡による投資リターンを目指すというIP投資育成事業の拡大を目指すにあたり、当連結会計年度から投資先の戦略的パートナー開拓を目的とする専門の部署を新たに設けました。そして、当連結会計年度において保有する営業投資有価証券(「米国法人エンハンス」株式)の一部を譲渡し、営業利益の計上を実現することができました。また、急成長を遂げるD2C(Direct to Consumer)市場の波に乗り、2024年10月からグループ間シナジーを生み出す手段として当社グループにおけるライフスタイルIP事業のアパレル部門との隣接点が多いファッション事業を新たに開始いたしました。今後も引き続き保有する営業投資有価証券の譲渡と新たに開始したファッション事業により、更なる収益獲得を目指してまいります。
ライフスタイルIP事業
ライフスタイルIP事業については、株式会社ゆとりの空間は、当連結会計年度より掲げた①デジタルマーケティ ングの加速、②クリエイティブデザインの再活用、③データドリブンなアパレル受注販売の3つを意識した「販売戦略」、ユーザーデータを活用したマーケットイン型ものづくりを意識した「開発戦略」、そして、従来の案件に続くライセンスモデルの拡大を意識した「ライセンスビジネス」の3つの成長戦略の下、キッチン雑貨「share with Kurihara harumi」を全国の百貨店およびECサイト、アウトレット等で販売する他、料理家の栗原はるみ氏、栗原心平氏による企業様へのオリジナルレシピの提供や共同開発等のプロデュース事業および出版物のIPコンテンツ事業に力を入れてまいりました。当連結会計年度においても、従来から進めてきたお客様に買い物を楽しんでもらえるような店舗づくりおよび商品開発、自社ECサイトの新規会員獲得等を継続し、売上伸長に努めてまいりました。また、商品に関するプロデュース事業および出版物IPコンテンツ事業におけるロイヤリティ収入も引き続き好調で、全体の売上高に寄与しております。加えて、購買、在庫管理の徹底を継続することにより売上原価、販売費及び一般管理費における主要コスト削減の効果の持続を目指し、今後も3つの成長戦略の下、更なる収益獲得を目指してまいります。
デジタルIP事業
デジタルIP事業については、株式会社X-VERSEは、従来はグループ戦略を基にライセンスIPを使用したモバイルゲーム事業の他、エンターテインメントの潮流を見極め、多様なジャンルでの自社IP創出にチャレンジしてまいりました。近年は開発費の高騰や人気ライセンスIPの獲得競争が激化するなど、売れるゲームの開発が困難になってきていることもあり、今後の成長戦略を追求していく中で戦略に沿わない既存事業であるライセンスIP事業については経営資源の投入を制限するという戦略的判断の下、当連結会計年度はじめにおいてライセンスIP事業を譲渡いたしました。そして、当連結会計年度において「デジタル分野でのリストラクチャリング(再構築)を完了させ、自社IP創出へのチャレンジの推進」を成長戦略として掲げ、その第一歩として競馬専用SNSと競馬ゲームの融合したコミュニティを開発する株式会社クラウドホースファームを吸収合併、商号をNINJIN株式会社に変更しデジタルIP事業における成長の加速化を目指しております。その中で、2024年10月には同社が開発運営する競馬ファン向け次世代型スマートフォンアプリ「オシウマチャンネル」の配信を開始しました。
財務基盤の安定化
財務基盤の安定化については、当連結会計年度において、従来から実現を目指していた保有する営業投資有価証券(「米国法人エンハンス」株式)の一部譲渡を実現することができ、約250百万円の収入を得ることができました。この他、連結子会社である株式会社X-VERSE(現NINJIN株式会社)の既存ライセンス事業の一部を新設分割により設立した会社に移管し、その会社の株式を株式会社テンダへ譲渡したことによる譲渡代金50百万円の収入がありました。今後においては、2024年10月4日付適時開示「第三者割当による第35回新株予約権(行使価額修正条項付)及び第1回無担保社債(私募債)の発行並びに新株予約権の買取契約(コミット・イシュー)の締結に関するお知らせ」にてお知らせしましたとおり、EVO FUNDを割当予定先とする新株予約権および社債の発行並びに買取契約を締結し、200百万円の社債の発行並びに689百万円の新株予約権の発行および行使による資金調達が見込まれ、財務基盤の安定化を維持することができております。しかしながら、今後の経済情勢等がこれらの施策に影響を及ぼし収益が計画どおり改善しない可能性があり、資金繰りに重要な影響を及ぼす可能性があるため、現時点では継続企業の前提に関する不確実性が認められます。
なお、連結財務諸表は継続企業を前提として作成されており、継続企業の前提に関する重要な不確実性の影響を連結財務諸表に反映しておりません。
配当政策
3 【配当政策】
当社グループは、株主に対する利益還元策を重要な経営課題の一つであると認識しており、企業体質の強化と将来の事業展開のために内部留保を確保しつつ、配当を実施していくことを基本方針と考えておりますが、今期は、当期純損失であること、また、将来的な業容拡大のための投資等を実施し、一層の事業拡大を目指すことが、株主に対する最大の利益還元策となると考えておりますことから、無配とさせていただきます。
将来的には、財政状態及び経営成績を勘案して、各期の株主に対する利益還元策を決定していく予定でありますが、現時点において配当実施の可能性及びその実施時期等については未定であります。
当社は、中間配当、期末配当及びその他に基準日を定めて、剰余金の配当を行うことができる旨を定款に定めております。なお、当社は、連結配当規制適用会社であります。
配当の決定機関は、取締役会であります。