2025年12月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

1.継続企業の前提に関する重要事象等

(1)継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況

当社グループは、当連結会計年度において、米国連結子会社であるTEN Holdings, Inc.(以下、「TEN」といいます。)の著しい業績の低迷とソフトウエアの減損損失の計上に加え、国内のイベントDX事業における収益性低下に伴う固定資産の減損損失を計上したこと等により、営業損失1,683,043千円及び親会社株主に帰属する当期純損失3,696,528千円を計上いたしました。その結果、前連結会計年度から継続して一部の借入金に付された財務制限条項に抵触するとともに、当連結会計年度末において純資産が△1,107,682千円と債務超過の状態となっており、当社株式は証券取引所の上場廃止基準に抵触し、今後上場廃止となる見込みであります。

また、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(追加情報) (特別調査委員会による調査及び米国当局による調査等について)」に記載のとおり、当社は、判明した一連の事項に関して、当社及びTENから独立した外部の専門家で構成される特別調査委員会による客観的な調査を行う必要があると判断し、2026年4月24日に特別調査委員会を設置いたしました。また、TENにおいても米国当局より同社の2025年2月の新規株式公開(IPO)等に関する召喚状を受領しており、調査を受けております。

特別調査委員会による調査及び米国当局による調査は継続中であり、調査等の結果によっては、連結財務諸表に重要かつ広範な影響を及ぼす可能性がありますが、その影響を反映させる場合における勘定科目、金額及び注記が明らかでないため、連結財務諸表には反映しておりません。

これらの一連の事象は、当社グループの収益の大半を占める国内事業の顧客や取引先への信用力及び事業継続に重大な影響を及ぼすものと認識しております。したがって、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。

 

(2)当該事象又は状況を解消し、又は改善するための対応策

当社は、当該状況を解消し、事業継続の安定化を図るため、以下の施策を最優先で実行してまいります。

 

・不採算事業の切り離しと収益構造の改革

 当社グループの業績悪化の主因であるTENについて、株式売却及び貸付金の回収によるグループからの切り離しを断行し、当社の国内事業の業績への負の影響を遮断いたします。国内のイベントDX事業についても、減損を機とした更なる固定費削減と収益拡大施策の実行により、早期の収益改善を図ってまいります。

 

・スポンサー選定による資本増強と非公開化

 新たなスポンサーを選定の上で、第三者割当増資等による資本増強及び有利子負債の圧縮を実施する方針です。あわせて、当社株式の非公開化を進めることで、上場廃止による影響を最小限に留め、抜本的な事業再建に注力できる体制を構築してまいります。

 

・金融機関との関係維持

 財務制限条項に抵触している借入金について、全取引金融機関に対し、上述のTENの切り離し及び資本増強を通じた有利子負債の削減による財務状況の改善計画並びに今後の事業計画を説明し、期限の利益の喪失の猶予及び継続的な支援について協議を行ってまいります。

 

(3)重要な不確実性が認められる旨及びその理由

 上記のとおり、当社はTENの切り離しやスポンサー選定による非公開化、及び金融機関との協議を進めておりますが、現時点においてこれら一連の手続は完了に至っておりません。また、特別調査委員会による調査及び米国当局による調査は継続中であり、当該事実及び調査等の結果がこれらの対応策の実現可能性に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 これらの施策が想定通りに進行しない場合には、事業継続に重大な影響を及ぼす可能性があり、現時点では継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められます。

 

(4)財務諸表への反映の有無

 なお、当連結財務諸表は継続企業を前提として作成されており、上記のような継続企業の前提に関する重要な不確実性の影響を連結財務諸表には反映しておりません。

 

 

2.当社の事業及び業界固有の重要なリスク

項目名

影響度

評価

前年

比較

2.当社の事業及び業界固有の重要なリスク

(1)AI技術の進展による事業への影響について

重要

(2)イベントDX事業の収益性低下に関するリスク

重要

(3)サードプレイスDX事業の市場環境の変化に関するリスク

注視

(4)エンタープライズDX事業の不確実性に関するリスク

注視

(注) 上記リスクはいずれも年間を通じて常時発生する可能性があると認識しております。

 

(1) AI技術の進展による事業への影響について

 AI技術の急速な進展により、当社グループが提供するコミュニケーションツールやソリューションが、AIエージェント等の新技術により代替される可能性があります。このような競合環境の変化は、当社グループの競争力に影響を与え、事業戦略の見直しや既存サービスの陳腐化リスクを引き起こすおそれがあります。当社グループでは、AI関連技術の動向を注視しつつ、新たな技術との連携や独自価値の訴求に努めております。

 

(2) イベントDX事業の収益性低下に関するリスク

 オンラインイベント市場においては、需要の鈍化やリアルイベントへの回帰傾向がみられており、当社グループのイベントDX事業の収益性に影響を及ぼす可能性があります。特に、特定の大型顧客や大型イベントへの依存度が高い収益構造においては、顧客方針やイベントの有無が業績に大きく影響することが懸念されます。また、価格競争の激化により、案件単価の値下げにより利益率が低下するリスクも存在します。当社グループでは、オンラインイベントへの付加価値の提供、ハイブリッド対応サービスの強化や案件ポートフォリオの見直しを通じて、収益の安定化を図っております。

 

(3) サードプレイスDX事業の市場環境の変化に関するリスク

 出社とテレワークを組み合わせたハイブリッドワークが定着する中で、社内外でのウェブ会議の実施機会が増加しており、静かな個室空間を求めるニーズが高まっております。当社グループが展開するサードプレイス型サービスは、こうしたニーズを捉えて拡大してきましたが、一方で一部企業ではオフィスへの完全回帰の動きもみられ、設置先の稼働率や導入意欲に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、設置環境の最適化や用途拡大に向けた取り組みを進めることで、稼働率と収益性の改善を図っております。

 

(4) エンタープライズDX事業の不確実性に関するリスク

 企業の働き方が対面中心に戻る動きが広がった場合、当社グループが提供するオンライン会議・配信ソリューションの利用率に影響を及ぼす可能性があります。特に、ZoomやQumu等のサブスクリプション型顧客の解約が進行した場合、売上高が減少し、収益性が悪化するリスクが懸念されます。これに対し、当社グループは機能改善や顧客接点の強化を図り、継続的な価値提供を目指しております。

 

 

3.技術及びシステムリスク

項目名

影響度

評価

前年

比較

3.技術及びシステムリスク

(1)技術革新及び市場変化のリスク

重要

(2)システム障害及び情報セキュリティのリスク

注視

(注) 上記リスクはいずれも年間を通じて常時発生する可能性があると認識しております。

 

(1) 技術革新及び市場変化のリスク

 インターネット関連市場では、新技術の導入やサービスモデルの転換が急速に進んでおります。当社グループのサービスがこれらの変化に迅速に適応できない場合、競争力が低下し、収益に影響を与える可能性があります。また、AIや先端技術への対応には、追加的な開発費用や人材投資が必要となることから、費用対効果の管理が課題となります。当社グループでは、先端技術のモニタリング体制を整備し、機動的な事業開発を推進しております。

 

(2) システム障害及び情報セキュリティのリスク

 当社グループが提供するサービスは、外部クラウドインフラに依存しており、これらの障害が発生した場合には、サービスの提供が一時的に停止し、顧客満足度や信頼性の低下につながる可能性があります。また、サイバー攻撃や内部不正等により、顧客情報の漏洩やデータ改ざん等が生じた場合、法的責任やレピュテーションリスクが顕在化するおそれがあります。これらに対しては、継続的なシステム監視体制の整備や外部監査の活用などを通じて、リスク管理の強化に取り組んでおります。

 

なお、本報告書に記載したリスク要因は、当社グループの持続的な成長を図る上での重要な課題であり、取締役会等においても随時検討を行いながら、引き続き適切な対策を講じてまいります。

 

4.内部統制に係るリスク

当社は、コンプライアンス重視の経営を行っていくほか、財務報告に係る内部統制の整備及び運用を重要な経営課題のひとつとして位置付け、グループを挙げて関係会社の管理体制等の点検・改善等に取り組むことにより、これらのリスクの回避及び最小化に努めております。

当連結会計年度において識別した経営者による内部統制の無効化を防止すべき取締役会による監督・監視機能及び子会社管理並びに決算・財務報告プロセスに係る内部統制における開示すべき重要な不備を是正するため、以下の対応策を策定しています。

なお、特別調査委員会による調査及び米国当局による調査の結果、以下の対応策に変更が生じる可能性があります。

 

(1) ガバナンスに対する意識・コンプライアンス意識の改善

(2) 経理部門における子会社管理体制の強化

(3) 監査部門によるモニタリング体制の強化

(4) 規程に沿った経営実施のための教育

(5) 社外取締役による監督体制の強化

 

 

5.適正決算に係るリスク

連結子会社であるTEN Holdings, Inc.(以下、「TEN」といいます。)は、2025年2月のNASDAQへの上場に際し、上場後の資本政策等に関する業務委託報酬(合計約5.4M USD、円換算額808,434千円)の支払を行いましたが、当時の当社の代表取締役であった間下直晃氏が、当社取締役会の承認を経ることなく、当該業務委託報酬の支払に関し当社がTENへの財務的支援を行う旨の書面を当社名義でTENに差し入れていた事実が判明いたしました。また、当該業務委託報酬の契約先と支払先の相違や当該取引に係る役務提供の実態が確認できない等の事実も判明いたしました。

当社は、これらの一連の事項に関し、当社及びTENから独立した外部の専門家で構成される特別調査委員会による客観的な調査を行う必要があると判断し、2026年4月24日に当該委員会を設置いたしました。

また、TENは、2025年10月27日付で米国連邦検事局(USAO)より、同社の2025年2月の新規株式公開(IPO)に関する大陪審召喚状を受領いたしました。また、2026年3月10日には、米国証券取引委員会(SEC)よりIPO及びその他の事項に関する資料提出を求める召喚状を受領いたしました。

現時点において、特別調査委員会による調査及び米国当局による調査は継続中であり、調査等の結果によっては、連結財務諸表に重要かつ広範な影響を及ぼす可能性があります。

 

主要な対応策

当社は特別調査委員会による調査に対して全面的に協力するとともに、TENは米国当局による調査に対して全面的に協力してまいる方針です。現時点において、特別調査委員会による調査及び米国当局による調査は継続中です。調査等の結果、不適切な事象が判明し次第、速やかに原因の究明と分析を行い、再発防止策の策定及び実施を迅速に行います。また、過年度及び当年度の連結財務諸表等に訂正すべき重要な虚偽表示が識別された場合には、有価証券報告書の訂正等を含め、適切な対応を行う方針であります。その際には、訂正の内容、影響額等を速やかに開示いたします。

 

配当政策

3【配当政策】

 当社は、利益配分につきましては、安定した配当を維持することを基本としながら、財務体力等を総合的に勘案し決定する方針をとっております。

 配当の基本方針としては、NOPLAT(Net Operating Profit Less Adjusted Taxes、みなし税引後利益)に対して20%の配当性向を目指し、将来的には30%を目標としております。内部留保資金につきましては、財務体質の強化及び成長のための投資に充当したいと考えております。

 当社は、年1回の期末配当を基本的な方針としており、配当の決定機関は株主総会であります。また、当社は、取締役会の決議によって、毎年6月30日を基準日として中間配当をすることができる旨を定款に定めております。

 なお、当事業年度の配当につきましては、当期純損失を計上したこと等から配当を実施しないことを決定いたしました。