2025年8月期有価証券報告書より
  • 社員数
    6,201名(単体) 11,688名(連結)
  • 平均年齢
    38.0歳(単体)
  • 平均勤続年数
    3.2年(単体)
  • 平均年収
    6,849,000円(単体)

従業員の状況

 

5 【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

2025年8月31日現在

セグメントの名称

従業員数(名)

ソフトウェアテスト関連サービス

6,541

〔1,562〕

ソフトウェア開発関連サービス

4,246

〔213〕

その他近接サービス

588

〔100〕

全社(共通)

313

〔103〕

合計

11,688

〔1,978〕

 

 

(注)1.従業員数は就業人員であります。

2.従業員数欄の〔外書〕は、臨時従業員の年間平均雇用人員(1日8時間換算)であります。

3.全社(共通)として記載されている従業員数は、特定のセグメントに区分できない管理部門に所属しているものであります。

 

(2) 提出会社の状況

2025年8月31日現在

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

6,201

〔1,222〕

38.0

3.2

6,849

 

 

セグメントの名称

従業員数(名)

ソフトウェアテスト関連サービス

5,888

〔1,119〕

全社(共通)

313

〔103〕

合計

6,201

〔1,222〕

 

 

(注)1.従業員数は就業人員であります。

2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

3.従業員数欄の〔外書〕は、臨時従業員の年間平均雇用人員(1日8時間換算)であります。

4.全社(共通)として記載されている従業員数は、特定のセグメントに区分できない管理部門に所属しているものであります。

 

(3) 労働組合の状況

一部の連結子会社において労働組合が結成されておりますが、労働組合との関係は円満であります。

なお、当社及び他の連結子会社では労働組合は結成されておりません。労使関係は円満であり、特記すべき事項はありません。

 

(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

① 提出会社

当事業年度

補足説明

管理職に占める女性労働者の割合(%)

(注)1

男性労働者の育児休業取得率(%)

(注)2

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注)1

全労働者

正規雇用労働者

パート・

有期労働者

6.1

73.0

71.0

69.7

102.6

 

(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

 

② 連結子会社

当事業年度

補足説明

名称

管理職に占める女性労働者の割合(%)

(注)1

男性労働者の育児休業取得率(%)

(注)2

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注)1

全労働者

正規雇用

労働者

パート・

有期労働者

ALH株式会社

27.8

96.8

86.0

86.4

66.9

株式会社ホープス

20.0

50.0

73.0

75.1

49.5

株式会社システムアイ

5.6

75.0

73.5

74.5

28.8

(注)3

株式会社分析屋

18.2

85.7

84.5

87.2

38.9

 

(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

3.管理職に占める女性労働者の割合は2025年9月30日時点の実績です。

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。なお、サステナビリティという観点から、今後も継続的にあるべき体制と管理すべきリスク、戦略の方向性を検討してまいります。

また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理

① ガバナンス

当社グループは、人材こそが最も重要な経営資源であるとの考えのもと『人的資本経営』の推進を掲げており、サステナビリティに重大な影響を及ぼすものと考えております。そのため創業メンバーのひとりがCHROを務め、人的資本(従業員)に関する情報については業績経営会議、及び取締役会において定期的な報告を行っております。詳細は、「(2) 当社グループの重要なサステナビリティ項目と指標及び目標並びに戦略」、「4.コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載のとおりであります。 

 

② リスク管理

人的資本に関連するリスク管理については、日本全体の労働市場や新卒就職活動者の情報を常に収集し、当社グループの適切な人材ポートフォリオ戦略を阻害することのないよう、注視しております。

また昨今AI技術の進歩による人材市場の変化についてもリスク項目の一面を持つと捉えており、その動向についても執行役員会議等で随時報告を行っています。

一方で、ITエンジニアの採用市場は激化しており、引き続きエンジニアの人材不足が謳われております。そのため、当社グループが人的資本経営を実践し、採用や人材定着の面で強化を進めることは、さらなる事業成長の機会創出につながるものと考えております。

なお、その他の当社グループのリスクに関する詳細は、「3.事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

(2) 当社グループの重要なサステナビリティ項目と指標及び目標並びに戦略

① 重要なサステナビリティ項目

当社グループは、「新しい価値の概念を追求し、誠実に世の中に価値を提供する」という企業理念のもと、「スマートな社会の実現」に向け、IT業界のみならず社会全体の改善を目指して事業活動を行い、直接的・間接的に環境・社会課題の解決に貢献することを目指しております。

社会課題の中で当社グループが強く意識し、その解決に貢献できる事項として、日本の生産年齢人口の減少、及び日本全体の事業会社の売上高の減少が予想されることがあげられます。そのためDXによって日本の事業会社の生産性を向上させていくことが必要不可欠といえますが、それを担うIT人材が日本には圧倒的に不足していると認識しております。


これらの課題解決のため、当社グループではIT人材を増やしていくことが使命であると考え、IT業界の成長を阻害する要因を取り除くことに力を入れております。またこれらの課題は当社グループにおけるサステナビリティに対する重大なリスクであると同時に、その解決は企業成長のチャンスであると捉えております。そのため、当社グループで注力すべき領域の一つとして「人事/採用」を掲げており、人的資本経営を推し進めることがサステナビリティに寄与するものと考えております。

上記の社会課題の解決のために当社グループが担うべきと考える役割は、以下のとおりであります。


 

また現在、AI技術の発展は目覚ましく、これを活用したサービスの拡大、品質向上、生産性向上は必須となります。当社グループでは『AI時代における人的資本経営』への発展を目指しております。そしてそれは、当社グループが掲げる「社会課題の解決:高い労働生産性・国際競争力強化を実現」に適うものと考えております。


 

当社グループがIT業界における社会課題の解決のために担うべき役割と、その社会課題の解決に向けて現在取り組んでいる戦略の一例、並びにその効果測定のための指標の主な関係を図示すると以下のとおりとなります。

社会課題の解決に向けて担うべき役割

戦略の一例

指標及び目標

●IT業界の構造課題である多重下請け構造を打破する

●DXを担うITエンジニアの人数を大幅増加

●ITエンジニアの働く環境・やりがいを追求

●ITエンジニアの待遇(給与)を向上し参画者を増やす

 

IT業界に雇用を生み出し、ITエンジニアの採用・育成により、アウトプットを最大化する仕組みづくり

〇新卒・未経験者採用

〇中途採用

□人口流入数

(採用人数)

社内エンゲージメントを向上し、長く働き続けられる組織づくり

〇従業員が重視するポイントの把握

〇組織での制度設計・施策

□社内のエンゲージメント(退職率)

多様な経験・スキルを持つ人材が評価され、給与が上がる仕組みづくり

〇ヒトログ・評価制度

□年間昇給率

市場価値と直結した育成の仕組みづくり

〇教育制度(トップガン)

トップガン検定合格人数(※)

 

※ キャリアUP制度「トップガン」とは当社グループ従業員を対象とした社内制度であり、それに含まれる検定を指す。以下同様。

 

また、これらの社会課題と戦略は、必ずしも1対1の関係にあるものではないと考えております。例えばヒトログ・評価制度や育成の仕組みによって社内のエンゲージメントが高まることで、当社グループからの人口流出を最小化(退職率の低下)でき、その結果ITエンジニア不足の解決に寄与する効果があると考えております。

 

② 指標及び目標

当社グループでは、ITエンジニアにとって魅力的な環境の構築を目指しているからこそ多くのITエンジニアが集まり、さらに従業員の離職が少ない環境を作り出せていると考えております。従業員がやりがいを持って働くことができ、人的資本を最大化することが当社グループの人事施策の原点であります。

 


当社グループで考える人的資本経営とは、ITエンジニアを人的資本と捉え、そのITエンジニアが在籍期間にわたって生み出す利益を最大化するために投資を行う考え方です。

人的資本から生み出される利益を最大化するためには、当社グループへの人口流入を最大化し、同時に当社グループからの人口流出を最小化すること、そして在籍する従業員それぞれの人的資本価値を向上させることが必要であると考えております。そのため、当社グループにおけるサステナビリティ戦略における重要指標は、以下の4つとしております。

(a) 当社グループへの「人口流入数(採用人数)」

(b) 当社グループからの人口流出を示す「社内のエンゲージメント(退職率)」

(c) 在籍する従業員の多様な経験・スキルをフェアに評価した結果としての「年間昇給率」

(d) 在籍する従業員への育成の結果としての「トップガン検定合格者数」

また、これらの指標の2025年度の実績及び今後の目標は以下のとおりであります。


 

a.人口流入数(採用人数) ※グループ連結

 


2025年度に新たに当社グループで採用した人数(人口流入数)はグループ連結で2,217人(※)となりました。今期は営業との需給バランスを考慮し、特に上期において採用人数を抑制してまいりました。しかし下期以降は需要の高まりとともに採用にも力を入れ、期初計画としていた2,100人を超える人員の採用ができました。

2026年度においては、再び採用に注力し、2,500人を超える採用を目指しています。またその中で新卒採用にも注力し、500人の採用を見込んでいます。事業局面の見極めは引き続き重要であるため、事業部門と連携の上、さらなる確変成長のための準備を行っています。

(※)採用数に含まれる対象は正社員及び契約社員とし、ITエンジニアだけではなく、人事や管理部門といった人口流入数の最大化や社内エンゲージメント(退職率)の最小化に直接的・間接的に貢献するポジションの人員も含みます。

 

 

 

b.社内のエンゲージメント(離職率)

 


当社では社内エンゲージメントの向上施策を継続的に行っており、それを総合的に評価・定量化する指標として、離職率を設定しております。離職率は正社員を対象とし、期中の正社員の離職者数を期末時点の正社員在籍数で除して計算しております。

 

2025年度の離職率は6.6%となりました。前年度に比べ若干上昇していますが、目標レンジ内に収まる範囲となっています。

2026年度以降については、引き続きエンゲージメント向上のための施策を継続する一方で、グループ会社のPMIにも力を入れ、連結での離職率低下を図ります。その中で引き続き離職率を5%から8%の範囲内にコントロールしていくことを目標としております。

 

 

 

c. 年間昇給率

 


2025年度における年間昇給率は5.6%となりました。2年連続で昇給率は下降しているものの、年間で2回、役員が計1,200時間以上をかけ、評価会議にて人的資本の向上とともに、各自の処遇を決定しており、しっかりとした議論を基にした結果となります。

IT業界平均の年間昇給率が数%といわれる中、継続的に年収が上がっていくことは従業員の心理的安全性を高めると同時に、採用市場における訴求強化にもつながると考えております。

昇給率自体は結果指標であるため目標値の設定は行っていません。今期においては目安レンジを下回る水準となっていますが、引き続き10%前後を目安として取り組んでまいります。

 

 

d. トップガン検定合格者数

 


当社では「従業員が自分自身で学習する目的を見つけ、会社はその目的を達成するための場を提供する」という考え方に基づいて、当社独自のキャリアUP制度「トップガン」を中心とした各種検定を作成しております。

2025年度のトップガン検定合格者数(※)は877人となりました。若手社員を中心とし、キャリアは自ら作るものとの認識が定着し始め、新卒及び未経験入社者の受験者が増加しております。また、より上位検定に挑戦する従業員も増え、自らのキャリア形成が進むとともに、顧客提供価値の向上に寄与しております。

 

検定合格者数については今後も目標は定めないものの、重要指標として注視してまいります。

 

※トップガン検定合格者数は2020年度より集計しております。

 

 

 

 

③ 戦略

サステナビリティに関する重要な指標に対し、目標達成のために多くの施策に取り組んでおります。これらの施策のうち、現在重点的に取り組んでいるものの一例は以下のとおりであります。

 

a. 人事領域におけるAIとの共存・共栄

当社グループではサービス部門、営業、バックオフィスそれぞれでAIの業務適用を進めております。こと人事領域においては、人事本部内にAI開発部隊を設置し、HRプロダクトの内製を進めています。その目的は単なる効率化にはとどまらず、これまで人の手では到底及ばなかった施策の実現となります。AIの活用により、「SHIFT3000」の早期達成はもとより、その時の企業体 従業員3万人・年間5,000人採用を想定した人事のあり方を模索しております。


その一つのアプローチとして、従業員の深層心理に迫る対話型AIメンター『めん太くん』を開発し、単体正社員全5,200人を対象として活用を進めています。


AIメンター『めん太くん』と5,200人の対話結果に対するピープルアナリティクス分析により、これまでキャッチできていなかった悩みを抱える要ケア従業員150人の存在が明らかになりました。この150人の従業員に対しては人事及び上司からの面談やフォローを行うことが可能となり、結果として約8割に当たる110人のポジティブな変化を生むことにつながりました。


それ以外にも採用プロセスへのAI活用として、職務経歴書アナライザー『Resumiru』やオファーツール『kitene』の活用により、候補者の可能性をさらに高めるポジションの提案などにつなげてまいります。


 

 

b. エンジニア採用と人材の多様性の確保

当社グループでは日本一ITエンジニアが集まり、やりがいを感じる会社を目指して、業績拡大により雇用を生み出すこと、そして当社グループにおける採用力を強化することに注力しています。


 

現在国内のITエンジニアは108万人といわれる中、ITエンジニアがどのようにIT業界内外を移動するのかを考え、それぞれに対して打ち手を講じています。具体的には以下3つが重要なポイントであると考えております。

(ア) 新たに『業界へのエントリーを増やす』こと

(イ) キャリア人材がさらに活躍するために『中途採用を増やす』こと

(ウ) 『魅力的な環境を作り、業界から去る人を減らす』こと

 

IT業界へのエントリーを増やすために、昨年度に続いて新卒入社人数は増加しております。

IT領域における就職企業人気ランキングでも上位に定着し、採用力も拡大した結果、2025年新卒は380人、来期においては500人の採用を見込んでおります。特に社内外における採用イベントを多数実施することで、多くの就職活動生との接触機会を増やした結果、過去最大のエントリー数を獲得しています。

また入社後には多くの新卒入社者の活躍が見られております。入社年次が浅いメンバーの中にも経験者と同等以上の単価を獲得しながら、コンサルタントやPMOとして案件に参画しているメンバーが多数在籍しています。


 

また、経験を積んだIT人材がさらに活躍するために、引き続き中途採用にも投資を続けています。2025年度においては需要に合わせた採用人数のコントロールを続けており、引き続きプロフェッショナル層の採用に注力しました。その中でも採用Fee率はコントロールを続けており、採用競合企業との争いもある中で、採用Fee率は微増にとどまっています。今後はさらなる成長に向け、3,000人規模採用を目指した採用力強化を進めていきます。


 

c. 社内エンゲージメントの向上

当社の人事施策は、社内エンゲージメントを高め、人員流出を抑えるため、個に着目した『従業員一人一人に着目した情報収集』と、組織に着目した『それを基にした制度設計・施策遂行』で成り立っています。

 


 

(ア)離職率低下のための取り組み

グループ企業とのPMIを進め、SHIFTで活用している人材マネジメントツール「ヒトログ」の活用などにより、グループ会社全体の離職率は大きく低下しております。その結果、単体での離職率は微増しておりますが、連結での離職率は低下しております。

今後は引き続きPMIを強化し、AI活用なども進めながら、連結離職率6%台を目指してまいります。


 

(イ)あらゆるエンゲージメント施策の実施

当社グループの継続的な従業員エンゲージメントの維持・向上に向け、多くの施策を進めています。その施策決定には前述のLTV向上につながることを基準としており、「各施策が人的資本の何に(どこの指標に)影響し、その結果LTVがどれだけ向上するか」を計算しながら、施策実施要否・優先度選択を行っています。

今後も従業員3万人規模の企業体を見越し、必要な施策を行っていきます。