2025年3月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものです。

(1) 競合について

 当社は、自社開発のソフトウエアと世界の先進技術や製品を組み合わせたソリューションを開発することにより、競争力の高い製品・サービスを提供しております。インターネットやデジタル放送の黎明期よりこれらの技術を培ってきたことにより、現時点では、他社に対して優位性を有していると考えております。

 しかし、大手の同業他社や新規参入企業との競争の激化等により、当社の業績に影響を与える可能性があります。

(2) 技術革新への対応

 当社は、システムを構築する上で重要なOSやネットワーク・機器などシステムの基盤に関するコンサルティングからシステム開発及び運用保守まで一貫したサービスを提供しており、あらゆる業種の顧客に対して総合力で対応できることが強みです。この領域では技術革新のスピードが速いため、先進のノウハウとシステムを保有し、かつそれらを継続的にアップデートしていく必要があります。

 当社においては迅速な環境変化に対応できるような組織運営を進めてはおりますが、当社の想定している以上の技術革新等による著しい環境変化等が生じた場合は、当社の業績に影響を与える可能性があります。

(3) 知的財産権について

 当社は、当社の事業分野において特許権の成立の可能性がある独自技術について特許の申請を検討しますが、第三者の知的所有権を侵害する事態を可能な限り回避すべく特許事務所等にて適時確認をするなど最善の努力をしております。

 しかしながら、当社が事業の展開を進めている分野においてすでに成立している特許権の全てを検証し、さらに将来どのような特許権その他知的財産権が成立するかを正確に把握することは困難であります。このため当社事業に現在、または将来利用する技術と抵触する特許権などの知的財産権を第三者がすでに取得している可能性も否定できず、万一そのような場合には、当社が当該知的財産権侵害に関する訴訟の提起を受け、当社に損害賠償義務が発生するなどして、当社の事業展開及び業績に影響が生じる可能性があります。

(4) システムトラブル等について

 当社が提供するソリューションにおいて、当社の責務のある原因で不具合(誤作動・バグ・納期遅延等)が生じた場合、損害賠償責任の発生や顧客からの当社に対する信頼を喪失することにより、当社の業績に影響を与える可能性があります。

 また、当社は、社内のコンピュータシステムに関し、バックアップにより災害対策を講じておりますが、地震や水害等の大規模広域災害、火災等の地域災害、コンピュータ・ウィルス、電力供給の停止、通信障害、通信業者に起因するサービスの中断や停止など、現段階では予測不可能な事由によりシステムトラブルが生じた場合には、当社の業績に影響を与える可能性があります。

 

(5) 管理体制強化について

 当社の内部管理体制は当該規模に応じたものとなっております。今後は、より効率的な組織運営を行う上で、また更なる事業拡大に伴い、人員の増強と内部管理体制の一層の充実を図る方針であります。

 しかし、管理体制強化のための人材確保が計画通りに進まなかった場合は、適切な組織的対応が出来ず、事業の効率的な運営に支障が生じる可能性があります。

(6) 人材の確保について

 当社が今後の安定的な成長を実現していくためには、各部署において、優秀な人材を確保していくことが重要な課題であります。当社は、事業の適性にあわせた組織を構築することを人事方針として定め、優秀な人材を確保するための努力を行っております。

 現在のところ人材採用計画は順調に推移しておりますが、今後当社の求める要件を満たす人材の確保・育成が計画通りに進まない場合には、当社の事業展開及び業績に影響が生じる可能性があります。

(7) 外注先技術の活用について

 各種サービスの提供に際しては、一部協力会社を活用してビジネスを行っておりますが、今後の当社におけるビジネスの拡大に伴い、それに見合う優秀で適正なコストの協力会社が不足する場合には、当社の事業展開及び業績に影響が生じる可能性があります。

(8) 請負契約によるシステム開発について

 当社は、請負契約によるシステム開発案件については、想定される工数、難易度、リスク等を考慮の上で受注金額を決定し、策定されたプロジェクト計画から乖離が生じないよう工数管理を行っておりますが、予想できないトラブルの発生や進捗遅れ等により、開発工数が当初計画を大幅に超過し、プロジェクトの採算が悪化する場合があります。

(9) 新型コロナウイルス感染症について

 新型コロナウイルス感染症は、感染症法上第5類へ移行しましたが、感染再拡大等により長期の行動制限が生じる場合、景気悪化によるIT投資の減少や、サプライチェーンの停滞による輸入部材の納期遅延等により、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

(10) 営業損失の計上について

 当事業年度は、決済ソリューション事業において、新製品であるAndroid端末によるタッチ決済ソリューション「Tapion」シリーズ及び多機能モバイル決済端末「Incredist Premium Ⅲ」の開発費用が発生したこと、並びに当事業年度に売上を計画していた「Incredist Premium Ⅲ」の大口案件が翌事業年度の納品予定になったこと等により、前事業年度以上に営業損失が拡大することになりました。また、2期連続の経常損失となっており、コミットメントライン契約(当事業年度末の借入実行残高はゼロ)に付されている財務制限条項の一部(経常損益を2期連続で損失にならないようにすること)に抵触しております。

 そのため、当事業年度末では、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況となっておりますが、当事業年度の営業損失298百万円の主な原因が新製品開発に係るソフトウエア等の減価償却費196百万円の計上によるもので、営業キャッシュ・フローのマイナスは75百万円程度であること、並びに現時点では追加の資金調達について金融機関と合意に向けて交渉中であることから、提出日(2025年6月25日)時点において、資金繰り上の懸念はないと考えております。

 なお、翌事業年度においては、「Incredist Premium Ⅲ」の大口案件が売上計上される予定であり、営業損失は解消される見通しであります。

 

配当政策

3【配当政策】

 当社は、株主に対する利益還元と株主資本利益率の向上を経営の最重要課題の一つとして位置づけております。

 利益配分については、安定的かつ継続的な配当を実施することを基本とし、業績の進展状況に応じて配当性向等を勘案の上、増配等の方策により株主に対し積極的に利益還元を行う方針であります。

 内部留保資金につきましては、今後予想される経営環境の変化に対応すべく、今まで以上にコスト競争力を高め、市場ニーズに応える技術・製造開発体制を強化するために有効投資してまいりたいと考えております。

 当社は、「取締役会の決議により、毎年9月30日を基準日として、中間配当を行うことができる。」旨を定款に定めており、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことができますが、売上が下半期偏重となっている現況に鑑み、期末配当のみを実施することを基本方針としております。これらの剰余金の配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会であります。

 しかしながら、当期純損失を計上し、多額の累積損失があることから、誠に遺憾ながら当期の配当は無配とさせていただきます。

 今後につきましては、業績の回復に全力で取り組み、早期に復配できますよう努力してまいる所存であります。