事業内容
セグメント情報
セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
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セグメント別売上構成
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セグメント別利益構成 セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
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セグメント別利益率
最新年度
セグメント名 | セグメント別 売上高 (百万円) |
売上構成比率 (%) |
セグメント別 利益 (百万円) |
利益構成比率 (%) |
利益率 (%) |
---|---|---|---|---|---|
情報基盤事業 | 35,207 | 65.5 | 3,973 | 67.9 | 11.3 |
アプリケーション・サービス事業 | 8,470 | 15.8 | 317 | 5.4 | 3.7 |
医療システム事業 | 10,092 | 18.8 | 1,560 | 26.7 | 15.5 |
事業内容
3 【事業の内容】
当社及び当社の関係会社は、当社、連結子会社9社及び持分法適用関連会社2社で構成されており、IT関連のソフトウェア、ハードウェア、ソリューションの販売並びにコンサルティング、保守等のサービスの提供を行っております。
当社と主要な関係会社の事業系統図は、次のとおりであります。(2024年3月31日現在)
(注)本報告書において「当社グループ」という場合、特に断りのない限り、当社及び連結子会社(9社)を指すものとしております。
当社グループのビジネスは、(1) お客様のニーズに沿った最適なITインフラとITライフサイクルをワンストップで提供する「情報基盤事業」、(2) 蓄積された業務ノウハウを実装したアプリケーションの提供により顧客の課題解決を実現する「アプリケーション・サービス事業」、(3) “医療情報をみんなの手に。そして、未来へ。”をテーマに健康な社会を支えるための医療情報インフラの構築に取り組む「医療システム事業」の三つの事業セグメントにより構成されております。
(1) 情報基盤事業
独自の目利き力を活かし、北米を中心に、高い技術力、競争力、成長力を持つ製品やサービスを見極め、単なる製品販売にとどまらない高付加価値なフルラインのサービスをお届けしております。
仮想化※1ソリューション、次世代ネットワーク、サイバーセキュリティ、ストレージ等、コスト競争力のある堅牢で可用性の高い情報基盤の構築を支援しております。加えて、企業向けシステム導入以降に必要となる保守、運用・監視サービス等、システムのライフサイクル全てをカバーするITサービスを自社の独自サービスとして提供しております。
連結子会社であるクロス・ヘッド株式会社及びOCH株式会社においては、ネットワークやサーバの運用・監視及びネットワークエンジニアの派遣、サイバーセキュリティ製品やストレージ製品の販売等を行っております。
企業のITシステム投資の方向性は、設備の「所有」とサービスの「利用」に二極化しております。当社グループでは、一般企業向けに加えて、通信キャリアや大手のITサービス事業者へ製品、サービスの提供を行うことにより、「所有」する企業に対しては直接的に、「利用」する企業に対しては間接的に情報基盤ソリューションを提供しております。
(2) アプリケーション・サービス事業
特定市場・特定業務向けのアプリケーション領域における豊富な業務ノウハウの蓄積を活かし、システム開発、アプリケーション・パッケージ、テスト・ソリューションに加えて、クラウドサービス(SaaS)等様々なアプリケーション・サービスを提供しております。受動的に顧客の要望に応えるのではなく、お客様の市場における競争を支えるため、ITを活用した業務改善・コスト削減提案を積極的に行っております。エンドユーザとの直接的なコミュニケーションを通じて、業務分析、設計、開発・構築、テスト、保守、運用・監視のトータル・サービスを提供しております。CRM、ソフトウェア品質保証、ビジネスソリューション、教育等の各分野において対面市場向けに付加価値の高いソリューションを提供しております。
① CRM分野
自社開発製品「FastSeries」を中心として、企業の顧客サービス向上を支援するシステムを提供しております。電話、メール、インターネット等による「顧客との接触履歴」と「顧客の声」を一元管理しコンタクトセンター運営を効率化するCRMシステムをはじめ、インターネットサイトを通じた自己解決型の顧客サービスシステム(FAQシステム)を提供しております。また、これらはクラウドサービス(SaaS)としての提供も行っております。また、AI技術を自社製品に取り込むことにより、更なる顧客満足の向上に取り組んでおります。
② ソフトウェア品質保証分野
ソフトウェアの品質向上のための、ソフトウェア開発過程の全ライフサイクルを支援するベスト・オブ・ブリード※2のツール及びエンジニアリングサービスを提供しております。情報家電、OA機器や携帯電話やスマートフォンのソフトウェアのみならず、高信頼性が求められる機能安全(IEC61508、ISO26262、IEC62304等)のコンプライアンスに対応する必要のある自動車、医療機器、ロボット等の組込みソフトウェア及び、金融システムのような24時間365日、止まらないことを要求されるミッション・クリティカルなソフトウェア等を対象としております。また、新規サービスとしてDevOps※3やOSS※4に対応した開発支援ツールの提供にも取り組んでおります。
③ ビジネスソリューション分野
お客様の経営戦略に応じた多種多様なシステムニーズを満たすシステム開発やクラウドサービス(SaaS)を提供しております。システム企画・立案におけるシステムコンサルティングや要件定義・設計から、システム標準化を実践する開発及びテスト、そしてセキュアで安定的なシステムの保守、運用・監視サービスに至るシステムのライフサイクル全てに跨るソリューションの提供をしております。
また、連結子会社であるアレクシアフィンテック株式会社において、金融機関の市場系業務ノウハウを活用し、市場リスク管理、信用リスク管理、ALMシステム※5等金融機関向けリスク管理業務に特化したシステムを提供しております。デリバティブを含む金融商品の時価評価、感応度分析、VaR計測※6機能等により金融機関のフロント・ミドルオフィス業務※7を支援しております。システム導入の過程では、リスク管理プロフェッショナルサービスチームによる業務支援を併せて行っております。
④ 教育分野
教育業界向けに、これからの学びとコミュニケーションを創る、新しい形のスクール・コミュニケーション・プラットフォーム+校務支援システムである「ツムギノ(tsumugino)」をクラウドサービス(SaaS)として提供しております。子どもを中心に考えた独自の設計で、校内外にわたる充実したコミュニケーション機能に加え、学びの蓄積、教職員の校務支援機能までを一元化、学校教育をこれまでの全員一斉・受動型から、主体的・探究型へと進化させ、子ども一人ひとりの未来への可能性を広げる活動を支援しております。
(3) 医療システム事業
医療機関向けに、連結子会社である株式会社PSPが医用画像(CT、MRI、CR※8、PET※9等)の医療情報クラウドサービス「NOBORI」及び医療情報サービス「EV Insite」シリーズを提供しております。放射線分野だけに限らず医療施設内で発生する様々な医療情報(内視鏡、超音波、病理、心電図波形、動画)を一元的、横断的に管理します。医療施設内にある任意の端末からのこれらの格納情報の参照を可能とし、フィルムレス、ペーパレス運用をサポートしております。また、一般生活者をターゲットとしたPHR※10(パーソナル・ヘルス・レコード)サービスの開発や、医療機関・AIベンチャー・外部企業との連携による新規事業にも取り組んでおります。
さらに、広く診療、教育、研究を支援する症例データベース、連結子会社である合同会社医知悟による遠隔画像診断インフラ提供等、地域医療をサポートするソリューションを展開するとともに、同じく連結子会社である株式会社A-Lineがクラウド型の医療被ばく線量管理システムの開発・提供を行っております。
(事業別取扱製品)
業績
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における国内経済は、新型コロナウイルス感染症が経済に与える影響が縮小したことにより、経済活動が回復基調となったものの、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化に加え、中東情勢の緊迫化など地政学的なリスク、中国における貿易摩擦・国際関係の緊張・内需の低迷・過剰な債務などによる経済の減速、米国におけるインフレの高止まりや政治的対立による不確実性などにより、依然として先行き不透明な状況が続いています。また、為替水準については、当社の経営に大きな影響を及ぼすドル円相場において、日米の金利差を背景とした円安傾向が続いており、引き続き為替の動向を注視する必要があります。
情報基盤事業では、サイバー攻撃の頻度の高まり、攻撃手法の複雑化、法的規制、ガバナンスの強化に伴い、セキュリティ対策は経営課題としてとらえられており、サイバーセキュリティ対策製品やサービスの需要は依然として拡大しています。このような状況下、当社のコア事業である情報基盤事業においては、クラウド型セキュリティ対策製品の需要は引き続き好調に拡大しています。また、当社が提供する統合セキュリティ監視サービスも堅調で、付加価値向上に向けた戦略が進捗しつつあります。
アプリケーション・サービス事業では、CRM分野において、大手システム・インテグレーターやテレマーケティング・ベンダーとの協業により、ビジネスは堅調に推移しています。また、ここ数年に渡り計画的に取り組んできたライセンスのサブスクリプション化が着実に進展しています。海外においては、前期において実行したタイ現地企業との資本・業務提携や、今期に実施したタイでの現地法人の設立を足掛かりに、ASEAN市場での事業展開の加速に取り組んでいます。また、生成AI技術の活用による製品競争力の強化を目的に、モビルス株式会社と資本業務提携を実施しました。ソフトウェア品質保証分野では、企業向けシステムや組込ソフトウェアの品質を担保するためのテストツールの需要は引き続き堅調です。特に、自動車のIT化に伴い車載ソフトウェアなど組込みソフトウェアの品質向上の需要は底堅く、引き続き好調な受注環境を維持しています。ビジネスソリューション分野においては、独立行政法人向け等の実績の積上げにより、ビジネスを大きく伸ばすことができました。また、2023年7月に実施したアレクシアフィンテック株式会社(旧山崎情報設計株式会社)の完全子会社化と金融システム関連事業の同社への移管による事業再編が奏功し、営業推進体制の強化が進展しています。教育分野は、引き合いが順調に推移し、私立先進校を中心に導入実績は拡大しています。また、株式会社 教育と探求社との資本業務提携によるビジネスの拡大に引き続き取り組んでいます。
前期より新たに事業部門として独立させた医療システム事業では、2022年4月1日に新たにスタートした新生PSP株式会社にて、顧客基盤の統合、サービス・製品の集約と統合を進めるとともに、医用画像管理システム(PACS)のストック型ビジネス化を推進しています。また、ヘルスケアITソリューション事業領域でのキヤノンメディカルシステムズ株式会社との協業や、デジタル病理関連事業の推進を目的としたメドメイン株式会社との資本業務提携によるビジネスの拡大を進めています。さらに、新生PSP株式会社においても、株式会社NOBORIで推進していた個人向けのPHR(Personal Health Record)サービス※11の利用者拡大を進めています。AI医療画像診断支援サービス事業については、2022年4月1日に新生PSP株式会社とエムスリー株式会社との合弁会社として設立されたエムスリーAI株式会社を中心に、AIの診療現場への流通を加速させています。
「より良い未来を創造するITのプロフェッショナル集団」を企業理念とする当社は、2021年5月10日に新中期経営計画「BEYOND THE NEW NORMAL」を発表しました。今期は当中期経営計画の最終年度にあたります。今後、社会の隅々にまでデジタルがビルトインされ、デジタルを活用したビジネスモデルの変革であるDX(デジタルトランスフォーメーション)が急速に進む状況において、当社はデジタル化への急激なシフトと産業構造の劇的な変化を新たな成長機会と捉え、社会課題を解決するためのサービスの提供を通して持続可能な社会の創造に貢献することを目指します。新型コロナウイルスの感染拡大を契機に私たちの暮らしは「NEW NORMAL」と呼ばれる新しい様式へと変わりつつあります。新中期経営計画では「NEW NORMAL」の先に来る新しい社会を見据えてSDGsの観点も取り入れ、社会にとって必要不可欠な領域に向けて事業を加速していきます。
現中期経営計画「BEYOND THE NEW NORMAL」では、前中期経営計画「GO BEYOND 3.0」の中核的事業戦略を継続しつつ、7つの基本戦略を定めその実現に向けて取り組みました。
■中核的事業戦略(継続)
・クラウド関連事業の戦略的・加速度的推進
・セキュリティ&セイフティ(安全と安心)の追求
■7つの基本戦略
1)取引製品の拡大・新規サービスの立ち上げ
2)サービス化の加速(サービス比率拡大)
3)データの利活用(AIの利用を含む)
4)多様なアライアンス・M&A(既存事業の拡充と新規事業の創出)
5)海外市場での事業の拡大
6)グループ間連携の強化によるシナジーの創出
7)人材育成/組織開発(ダイバーシティの推進を含む)
当社グループでは、上記戦略に従い、以下の取り組みを行いました。
◇情報基盤事業部門
第1四半期連結会計期間
・タニウム合同会社より2022年度の「Most Dedicated Partner of the Year」を受賞
・日本プルーフポイント株式会社より「Partner of the year 2023」並びに「Deal Registration of the year 2023」を受賞
・Cohesityより「2022年 APJ マーケティング・パートナー・オブ・ザ・イヤー」を受賞
・クロス・ヘッド株式会社、kintoneの機能拡張プラグイン製品「CROSSPLugins シリーズ」の提供を開始
第2四半期連結会計期間
・Tenable, Inc.とディストリビューター契約を締結
・Tanium Risk Assessment無償キャンペーンの提供を開始
・クロス・ヘッド株式会社、業務改善プラットフォーム「kintone」の機能拡張向けプラグイン製品 「CROSSPLugins シリーズ」をラインアップに追加
第3四半期連結会計期間
・統合監視とインシデント対応を提供する「TPS」サービスの対象製品に「SentinelOne(R)Singularity(TM) Platform」を追加
・Dell Technologiesより「Channel Services Delivery Excellence Award」を受賞
・パロアルトネットワークス社の「2023 JAPAC Distribution Partner of the Year」を受賞
・クロス・ヘッド株式会社、「インプリムパートナーアワード Market Leader of the Year 2023 」を受賞
・OCH株式会社、AI技術を活用した多言語同時翻訳サービス「SmaLingual(スマリンガル)」の販売開始
・OCH株式会社、中小企業向け 新型UTM「SG-ONE TANDEM 2000」の販売開始
・OCH株式会社、PC画面盗撮や覗き見による情報漏洩を防ぐ!「J‘s Cutt(R)(ジェイズカット)」の販売開始
第4四半期連結会計期間
・クロス・ヘッド株式会社、業務改善プラットフォーム「kintone」の機能拡張製品「CROSSPLuginsシリーズ」に新たなプラグインの提供を開始
・OCH株式会社、ハイブリッドストレージ「Repli」電子帳簿保存法支援機能を付加したサービスの提供を開始
・OCH株式会社、中小企業向けオールインワンのUTM製品「SG-ONE 150」の販売開始
◇アプリケーション・サービス事業部門
第1四半期連結会計期間
・CRM分野:タイ王国バンコクに現地法人を設立
・ソフトウェア品質保証分野:セキュアコーディング学習プラットフォーム「Secure Code Warrior」の国内総販売代理店権を取得、販売を開始
・ソフトウェア品質保証分野:単体・結合テスト対応ファジングツール「Mayhem for Code」販売開始
・ソフトウェア品質保証分野:高速ソースコード解析ツール「Understand 6.3」日本語版の販売を開始
・ビジネスソリューション分野:アレクシアフィンテック株式会社を当社の完全子会社とした上で、当社のビジネスソリューション事業部の金融システム関連事業をアレクシアフィンテック株式会社に移管することを発表(効力発生日2023年7月1日)
第2四半期連結会計期間
・ソフトウェア品質保証分野:強力なオブジェクト認識能力を誇るオールインワン UI テスト自動化ツール Ranorex 10.7 の日本語版の販売を開始
・ソフトウェア品質保証分野:Java対応テスト自動化ツール「Jtest 2023.1」の販売を開始
・教育分野:クラウドSaaS型「ツムギノ」、文部科学省「次世代の校務デジタル化推進実証事業」に採択
・株式会社カサレアル、ソフトバンク監修のコンテナ・Kubernetes入門コースの提供を開始
・株式会社カサレアル、Spring Boot2からSpring Boot3へのバージョンアップに伴う移行を支援するトレーニングコースの提供を開始
第3四半期連結会計期間
・CRM分野:電話対応を自動化する「AI Messenger Voicebot」、コンタクトセンターCRMシステム「FastHelp5」と連携
・CRM分野:FastSeries の導入ユーザ 中日本高速道路株式会社様が「2023 CRM ベストプラクティス賞」を受賞
・ソフトウェア品質保証分野:テスト管理ツール「TestRail 8.0.1」の日本語版をリリース
・教育分野:愛媛県宇和島市が推進する「廃校の利活用」を通じた 地域創生プロジェクトへ参画
・教育分野:日本最大級の探究学習の祭典「クエストカップ 2024 全国大会」に参加
第4四半期連結会計期間
・CRM分野:モビルス株式会社との資本業務提携
・CRM分野:コンタクトセンター/カスタマーサービス関係者向けイベント「テクマトリックス CRM FORUM 2024」東京で開催
・ソフトウェア品質保証分野:バイナリ解析OSS※12管理ツール「Insignary Clarity」の販売開始
・ソフトウェア品質保証分野:DXを支えるマイクロサービスの開発とテスト自動化をサポートする、「SOAtest/Virtualize 2023.2」の販売を開始
・ビジネスソリューション分野:「在庫適正化ソリューション」 を提供開始
◇医療システム事業部
第1四半期連結会計期間
・PSP株式会社、聖マリアンナ医科大学病院と連携し、PHR(Personal Health Record)※11機能を含む患者向け公式アプリを公開
・PSP株式会社、デジタル庁主催マイナポータル活用ハッカソンプレイベントにパネリストとして登壇
第2四半期連結会計期間
・PSP株式会社、検体測定室における、QRコードによるスマートフォンとのデータ連携の運用を開始
第3四半期連結会計期間
・PSP株式会社、PHR(Personal Health Record)※11アプリの導入医療機関が増え、アプリ登録者数が順調に増加
第4四半期連結会計期間
・PSP株式会社、「NOBORI」に画像を保管している患者数が5,000万人を突破
以上の結果、当連結会計年度の売上収益は、533億3百万円と前期比73億52百万円(16.0%)の増加、売上総利益は182億2百万円と前期比18億33百万円(11.2%)の増加となりました。販売費及び一般管理費は、人件費などの増加のため、123億9百万円と前期比11億36百万円(10.2%)の増加となりました。この結果、営業利益は58億50百万円と前期比7億51百万円(14.7%)の増加となりました。
以上により、税引前利益は58億54百万円と前期比7億88百万円(15.6%)の増加、親会社の所有者に帰属する当期利益は35億40百万円と前期比5億89百万円(20.0%)の増加となりました。
売上収益、営業利益、税引前利益、親会社の所有者に帰属する当期利益、すべて過去最高となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
① 情報基盤事業
当連結会計年度における情報基盤事業の業績は、サブスクリプション型のクラウド型セキュリティ対策製品の受注も含め、新規案件の受注が好調に推移しました。売上収益は、前期までの受注残実績に加え、新規案件の獲得により、順調に増加しました。営業利益については、円安の進行、要員数・販管費の増加などの影響をビジネスの伸長で吸収し、前期実績を上回る水準となりました。製品別では、ランサムウェア攻撃から守るためのメールセキュリティ対策製品や、セキュリティ意識向上トレーニング、企業や組織に内在する脆弱性を可視化するソリューションなどのセキュリティ対策製品への注目度が高まってきており実績も増加しております。
クロス・ヘッド株式会社は、売上収益、営業利益ともに前期実績を上回りました。中部事業所を開設し、東海地区における販路拡大にも取り組んでいます。
OCH株式会社は、売上収益は計画値をやや下回りましたが、営業利益は計画を上回りました。主力製品の一部において市場競争が激化しているため、新たにその代替となる中小企業向けの新型UTM(Unified Threat Management)※13製品を投入し、受注の回復に努めています。
以上により、同事業の売上収益は350億5百万円と前期比57億円(19.5%)の増加、営業利益は39億73百万円と前期比8億82百万円(28.6%)の増加となり売上収益、営業利益ともに過去最高となりました。
② アプリケーション・サービス事業
当連結会計年度におけるアプリケーション・サービス事業の業績は、受注高、売上収益、営業利益ともに好調で、前期実績を上回りました。ここ数年に渡りオンプレミスのライセンスからサブスクリプションへシフトを進めた結果、サブスクリプション売上の積み上がりが、売上収益、営業利益を押し上げる効果に繋がっています。
CRM分野では、受注高、売上収益、営業利益すべてにおいて計画値を上回りました。また前期からのサブスクリプションの積み上がりにより売上収益は増加しており、営業利益は前期実績を大きく上回りました。
ソフトウェア品質保証分野では、依然として車載分野でのテストツールの需要が旺盛で前期受注実績を上回りました。また、前々期からのサブスクリプションの積み上がりにより、受注高、売上収益、営業利益すべてにおいて計画値を上回りました。
ビジネスソリューション分野では、受注高、売上収益、営業利益すべてにおいて計画値を上回りました。独立行政法人向け等の開発や保守実績の積上げにより、営業利益は前期比で大幅に改善しています。アレクシアフィンテック株式会社(旧山崎情報設計株式会社)は、売上収益、営業利益ともに前期実績を上回りました。引き続き、2023年7月に実施した事業再編による金融システム関連事業の拡大、再構築に取り組みます。株式会社カサレアルでは、受注高、売上収益ともに前期実績を上回り順調に推移していますが、販管費の増加により営業利益は減少しました。IT研修などの教育事業は堅調です。
新規事業であるEdTech分野では、私立先進校への導入が進みました。公立校への当社クラウドサービスの導入を拡大するため、自治体の教育委員会向けの営業活動を強化しています。受注、売上共に順調に推移していますが、更なる製品開発への投資、営業・マーケティング要員や導入作業に携わる技術要員を増強するなど積極投資を継続した結果、営業損失は拡大しました。
以上により、同事業の売上収益は82億5百万円と前期比9億4百万円(12.4%)の増加となり、過去最高となりました。営業利益は3億17百万円と前期比3億2百万円(2,144.5%)の増加となりました。
③ 医療システム事業
当連結会計年度における医療システム事業の業績は、2022年4月1日に新たにスタートした新生PSP株式会社の医療情報クラウドサービス「NOBORI」の順調な受注が継続し、累積の契約施設数は増加しています。加えて、既存ユーザのサービス契約更新も取りこぼすことなく受注できています。また、一般の患者をターゲットとしたPHR(Personal Health Record)サービス※11の開発や、医療機関、AIベンチャー・外部企業との連携による共同開発等の新規事業への先行投資を継続し、順調に成果を上げています。前々年度末に前年度夏期賞与の引当不足を費用計上した結果として、前年度の営業利益が引き上げられたことの反動減や、新生PSPにおいて、2023年4月より人事制度を統一したことにより有給休暇やリフレッシュ休暇の費用計上を行ったことでIFRS調整が発生したこと、及び医用画像管理システム(PACS)のクラウドシフトによる短期的な売上収益の減少により、営業利益は前期比で減少しましたが、受注高、売上収益、営業利益すべてにおいて計画値を上回りました。
また、医療関連の連結対象子会社である合同会社医知悟の業績は、売上収益、営業利益いずれも計画値を上回りました。
同じく医療関連の連結対象子会社である株式会社A-Lineについては、医療機関の診療用放射線の安全管理体制に対する投資意欲の向上により、線量管理システム「MINCADI」の受注は増加傾向にあります。その結果、売上収益は順調に増加し、営業損失は大幅に縮小しました。
以上により、同事業の売上収益は100億92百万円と前期比7億47百万円(8.0%)の増加となりました。営業利益は15億59百万円と前期比4億33百万円(21.8%)の減少となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、272億65百万円と前期比71億93百万円(35.8%)の増加となりました。当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローについては、前連結会計年度と比較して、契約負債の増加等により、収入は89億82百万円と前期比26億34百万円(41.5%)の増加となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローについては、前連結会計年度と比較して、投資の取得による支出等により、支出は19億38百万円と前期比11億93百万円(38.1%)の減少となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローについては、前連結会計年度と比較して、その他の金融負債による収入等により、収入が1億47百万円と前期比14億47百万円(-%)の増加となりました。
(生産、受注及び販売の状況)
(1) 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 金額は、製造原価によっております。
2 セグメント間取引については、相殺消去しております。
(2) 仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
(3) 受注状況
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
(4) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 売上割合が10%以上の取引先はありません。
2 セグメント間取引については、相殺消去しております。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
当連結会計年度の財政状態及び経営成績の分析は以下のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書の提出日現在において当社グループが判断したものです。
(1)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表の作成に用いた重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の判断、見積り及び仮定」に記載しております。
(2)経営成績の分析
情報基盤事業の売上収益は350億5百万円と前期比57億円(19.5%)の増加、営業利益は39億73百万円と前期比8億82百万円(28.6%)の増加となり、売上収益、営業利益ともに過去最高となりました。
当連結会計年度における情報基盤事業の業績は、サブスクリプション型のクラウド型セキュリティ対策製品の受注も含め、新規案件の受注が好調に推移しました。売上収益は、前期までの受注残実績に加え、新規案件の獲得により、順調に増加しました。営業利益については、円安の進行、要員数・販管費の増加などの影響をビジネスの伸長で吸収し、前期実績を上回る水準となりました。製品別では、ランサムウェア攻撃から守るためのメールセキュリティ対策製品や、セキュリティ意識向上トレーニング、企業や組織に内在する脆弱性を可視化するソリューションなどのセキュリティ対策製品への注目度が高まってきており実績も増加しております。
クロス・ヘッド株式会社は、売上収益、営業利益ともに前期実績を上回りました。中部事業所を開設し、東海地区における販路拡大にも取り組んでいます。
OCH株式会社は、売上収益は計画値をやや下回りましたが、営業利益は計画を上回りました。主力製品の一部において市場競争が激化しているため、新たにその代替となる中小企業向けの新型UTM(Unified Threat Management)※3製品を投入し、受注の回復に努めています。
アプリケーション・サービス事業の売上収益は82億5百万円と前期比9億4百万円(12.4%)の増加となり、過去最高となりました。営業利益は3億17百万円と前期比3億2百万円(2,144.5%)の増加となりました。
当連結会計年度におけるアプリケーション・サービス事業の業績は、受注高、売上収益、営業利益ともに好調で、前期実績を上回りました。ここ数年に渡りオンプレミスのライセンスからサブスクリプションへシフトを進めた結果、サブスクリプション売上の積み上がりが、売上収益、営業利益を押し上げる効果に繋がっています。
CRM分野では、受注高、売上収益、営業利益すべてにおいて計画値を上回りました。また前期からのサブスクリプションの積み上がりにより売上収益は増加しており、営業利益は前期実績を大きく上回りました。
ソフトウェア品質保証分野では、依然として車載分野でのテストツールの需要が旺盛で前期受注実績を上回りました。また、前々期からのサブスクリプションの積み上がりにより、受注高、売上収益、営業利益すべてにおいて計画値を上回りました。
ビジネスソリューション分野では、受注高、売上収益、営業利益すべてにおいて計画値を上回りました。独立行政法人向け等の開発や保守実績の積上げにより、営業利益は前期比で大幅に改善しています。アレクシアフィンテック株式会社(旧山崎情報設計株式会社)は、売上収益、営業利益ともに前期実績を上回りました。引き続き、2023年7月に実施した事業再編による金融システム関連事業の拡大、再構築に取り組みます。株式会社カサレアルでは、受注高、売上収益ともに前期実績を上回り順調に推移していますが、販管費の増加により営業利益は減少しました。IT研修などの教育事業は堅調です。
新規事業であるEdTech分野では、私立先進校への導入が進みました。公立校への当社クラウドサービスの導入を拡大するため、自治体の教育委員会向けの営業活動を強化しています。受注、売上共に順調に推移していますが、更なる製品開発への投資、営業・マーケティング要員や導入作業に携わる技術要員を増強するなど積極投資を継続した結果、営業損失は拡大しました。
なお、第1四半期連結会計期間より、報告セグメントの業績をより適切に評価するため、情報基盤事業とアプリケーション・サービス事業のセグメント間で一部費用の配賦方法を変更しております。また、前連結会計年度との比較は、変更後の算定方法により作成した結果と行っております。
医療システム事業の売上収益は100億92百万円と前期比7億47百万円(8.0%)の増加となりました。営業利益は15億59百万円と前期比4億33百万円(21.8%)の減少となりました。
当連結会計年度における医療システム事業の業績は、2022年4月1日に新たにスタートした新生PSP株式会社の医療情報クラウドサービス「NOBORI」の順調な受注が継続し、累積の契約施設数は増加しています。加えて、既存ユーザのサービス契約更新も取りこぼすことなく受注できています。また、一般の患者をターゲットとしたPHR(Personal Health Record)サービス※1の開発や、医療機関、AIベンチャー・外部企業との連携による共同開発等の新規事業への先行投資を継続し、順調に成果を上げています。前々年度末に前年度夏期賞与の引当不足を費用計上した結果として、前年度の営業利益が引き上げられたことの反動減や、新生PSPにおいて、2023年4月より人事制度を統一したことにより有給休暇やリフレッシュ休暇の費用計上を行ったことでIFRS調整が発生したこと、及び医用画像管理システム(PACS)のクラウドシフトによる短期的な売上収益の減少により、営業利益は前期比で減少しましたが、受注高、売上収益、営業利益すべてにおいて計画値を上回りました。
また、医療関連の連結対象子会社である合同会社医知悟の業績は、売上収益、営業利益いずれも計画値を上回りました。
同じく医療関連の連結対象子会社である株式会社A-Lineについては、医療機関の診療用放射線の安全管理体制に対する投資意欲の向上により、線量管理システム「MINCADI」の受注は増加傾向にあります。その結果、売上収益は順調に増加し、営業損失は大幅に縮小しました。
以上の結果、当連結会計年度の売上収益は、533億3百万円と前期比73億52百万円(16.0%)の増加となり、過去最高となりました。売上総利益は182億2百万円と前期比18億33百万円(11.2%)の増加となりました。販売費及び一般管理費は、主に人件費が増加したことにより、123億9百万円と前期比11億36百万円(10.2%)の増加となりました。その結果、営業利益は58億50百万円と前期比7億51百万円(14.7%)の増加となりました。
以上により、税引前利益は58億54百万円と前期比7億88百万円(15.6%)の増加、親会社の所有者に帰属する当期利益は35億40百万円と前期比5億89百万円(20.0%)の増加となりました。
(3)財政状態の分析
当連結会計年度末の流動資産の残高は、前連結会計年度末(以下「前年度末」という。)から186億91百万円(36.1%)増加し、704億62百万円となりました。前渡金が87億16百万円増加したことが主な要因であります。非流動資産の残高は、前年度末から13億73百万円(9.9%)増加し、152億94百万円となりました。持分法で会計処理されている投資が8億74百万円増加したことが主な要因であります。以上により、総資産は前年度末から200億64百万円(30.5%)増加し、857億56百万円となりました。
流動負債の残高は、前年度末から156億3百万円(43.3%)増加し、516億48百万円となりました。契約負債が131億90百万円増加したことが主な要因であります。非流動負債の残高は、前年度末から13億35百万円(23.3%)増加し、70億64百万円となりました。その他の金融負債が16億13百万円増加したことが主な要因であります。以上により、負債の残高は、前年度末から169億38百万円(40.5%)増加し、587億12百万円となりました。
資本合計の残高は、前年度末から31億25百万円(13.1%)増加し、270億43百万円となりました。利益剰余金が26億56百万円増加したことが主な要因であります。以上により、親会社所有者帰属持分比率は25.4%となりました。
(4)戦略的現状と見通し
当社は2024年5月9日に新中期経営計画「Creating Customer Value in the New Era」を発表しました。
日々進化を続けるAIなどの新たなテクノロジーの出現、少子高齢化に伴う国内労働人口の減少、企業が担うべき社会的責任の変化といった新たな時代が到来する中でも、テクマトリックスグループは「目利き力」と「業務ノウハウ」を詰め込んだソリューションで社会課題を解決し、より良い未来を創造する会社であり続け、「顧客価値」を向上させていくことを掲げ、新中期経営計画を策定しました。
「目利き力」とは、最先端のテクノロジーと解決すべき社会課題を発見することであり、発見した社会課題を「業務ノウハウ」で解決していきます。専門性を要する特定の業界・業務に対しては、数百・数千のお客様にご利用いただいた結果としての深い業務の知見を有していることが、当社グループの強みであると認識しています。
「顧客価値」とは、提供するソリューションやサービスだけではなく、それを提供する当社のブランディングイメージ、当社従業員のお客様への対応、当社とのお取引における手続きややり取りなど、お客様が感じる価値です。この顧客価値を提供するための基盤(具体的には事業を支える社内のインフラ)を強化すること、また、顧客価値の提供を通じて、社員一人一人が挑戦し成長できる環境を作り上げることに注力します。新たなテクノロジーの取扱い、社会貢献度の高い業種への参入、AI・自動化などによるお客様の運用支援などにより、新たな価値を創造することを顧客価値の源泉ととらえるとともに、顧客への手厚い支援に向けた粘り強い対応や、常に学び続ける姿勢などの信条・心ざし(企業文化)の両輪により取り組んでいきます。
■情報基盤事業部門
サイバー攻撃が常に高度化・巧妙化する中で、従来のセキュリティ対策製品では必ずしも対処できるとは限らないため、引き続き、最先端のセキュリティ関連技術の動向を先取りし、積極的に新規商材を発掘・展開していきます。また、セキュリティ対策製品は導入して完了ではなく、継続的に検知及び監視する運用が必要であるため、当社は、最先端のセキュリティ対策製品の提供に加えて、マネージドサービス等付加価値の高いサービスの開発に積極的に投資していきます。
これにより、同セグメントの業績予想につきましては売上収益400億円、営業利益44.4億円を見込んでおります。売上収益は、ストック型ビジネスの伸長により当期までに順調に受注残高が積みあがっている状況にあるため、安定的かつ継続的な伸長を見込んでおります。営業利益は、サポート体制の強化に向けた積極的な投資を計画していることや先行き不透明な為替の動向を勘案した見通しとなっております。
<新中期経営計画における主な基本戦略>
・取扱製品/サービスの拡大
・代理店(パートナー)と戦略アカウントの深掘り
・統合監視セキュリティサービス(TPS)の拡販及び脅威情報分析サービスのワンストップ提供
・中部、九州地区の事業拡大及びアジア地域での事業展開の模索
・顧客対応における運用・監視業務のAI活用
■アプリケーション・サービス事業部門
CRM分野、ビジネスソリューション分野、ソフトウェア品質保証分野それぞれにおいて、自社製品・ソリューションによる顧客価値の更なる向上を目指します。
CRM分野においては、前中期経営計画においても戦略的に進めてきたASEAN地域での事業展開をより一層加速させるとともに、生成AIを用いてコンタクトセンター業務の効率化を促進するための自社ソリューションの提供に取り組んでいきます。
ソフトウェア品質保証分野においては、様々な分野で機能安全の国際規格への対応が必要とされていることを背景に、組込みソフトウェアの品質向上は社会的にも非常に重要な課題と考えています。また、開発支援ツールをより効果的に利用してもらうための自動化・効率化を目的とした開発基盤の構築や導入支援サービスの提供を強化するとともに、自社の独自付加価値の向上に取り組んでいきます。
ビジネスソリューション分野においては、従来の特定顧客向け受託開発ビジネスで積み上げてきた技術力を活かし、公共分野のDX化とCX向上ソリューションの開発と提供に取り組んでいきます。
教育分野においては、前中期経営計画期間中に私立先進校を中心に、着実に導入実績を伸ばしました。今後は、私立校に加えて公立校への導入を進めていきます。
当該セグメントにおける連結子会社は、単体事業との事業シナジーを追求しつつ、それぞれが専門分野で事業の拡大を推進していきます。
これにより、同セグメントの業績予想につきましては売上収益92億円、営業利益6.1億円を見込んでおります。
サブスクリプション型ビジネスへの移行が進展しサブスクリプション売上が順調に積み上がっていることにより、安定かつ継続的な売上収益、営業利益の伸長を見込んでいます。
<新中期経営計画における主な基本戦略>
・教育事業における公立校への本格展開 <EdTech事業>
・ASEAN地域への事業拡大 <CRM事業>
・生成AIを用いたコンタクトセンターの効率化事業 <CRM事業>
・開発基盤の構築、導入支援サービスの提供(自動化、効率化) <SE事業>
・自社開発製品の投入による開発データ分析事業への参入 <SE事業>
・公共ビジネスのDX化とCX向上ソリューションの開発と提供 <BS事業>
■医療システム事業部門
2022年4月1日に新たにスタートした新生PSP株式会社が、顧客基盤の統合、サービス・製品の集約と統合を進めるとともに、旧PSP株式会社によって導入された医用画像管理システム(PACS)のクラウド化によりストック型ビジネスへの転換を推進しております。
また、医療画像データの利活用を進展させるAIプラットフォーム事業の推進、メドメイン株式会社との協業による病理分野のDXにより創造される新マーケットの発掘、コンシューマ(患者)をターゲットとしたPHRサービスの利用者拡大に取り組んでまいります。
これにより、同セグメントの業績予想につきましては売上収益98億円、営業利益14.5億円を見込んでおります。
医用画像管理システム(PACS)のクラウドシフトは、短期的な売上・営業利益の減少要因となりますが、将来を見据えた経営判断として断行すること、また、事業拡大に向けた人員の拡充を含め積極的な開発投資を行うことを勘案した業績の見通しとなっております。
<新中期経営計画における主な基本戦略>
・PHRによるB2B2Cビジネスモデルの構築
・病理分野のDXから創造される新マーケットの発掘
・自社開発AIの商品化
・AI画像診断支援サービスの事業拡大
・アジア地域での事業拡大
・PACS事業におけるクラウドシフトによるストックビジネスの強化
(5)資本の財源及び資金の流動性についての分析
① キャッシュ・フロー
キャッシュ・フローの状況については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
② 資金需要
当社グループの資金需要のうち主なものは、運転資金、取扱い製品であるネットワーク関連機器の保守用機材の購入等の設備投資資金及び販売用ソフトウェアの開発費等であります。
③ 資金の源泉
当連結会計年度末において272億65百万円の現金及び現金同等物の残高があり、当面の資金需要に充当し得る十分な資金を保有しております。
なお、資金の機動的かつ安定的な調達枠を確保するとともに、より一層の財務基盤の強化を図ることを目的として取引銀行5行との間に総額57億40百万円の当座貸越契約及びコミットメントライン契約を締結しております。
(6)経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループが成長を続けていくためには多くの課題が残されていると考えております。具体的には、①業界動向や顧客ニーズ等の「外部環境変化への対応力強化」と、②人材面や業務プロセスの効率化等の「内部の課題解決」の二つに大別されます。
① 外部環境変化への対応力強化
・為替変動への対応
当社グループの取扱い製品のうち、海外から仕入れた製品の大部分は米ドル建で契約しております。為替相場の急激な変動があった場合等には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。そのため為替変動によるリスクをヘッジする目的で先物為替予約を行っております。また販売先に対して為替相場の状況に応じた価格交渉を行っております。
・大型の継続取引における資金繰り
昨今、サイバーセキュリティ分野においてもクラウドサービス化が進み、複数年にわたるサブスクリプション契約など顧客との継続取引契約が大型化する傾向にあります。その際は、顧客よりの資金回収が単年度毎となり、一方で、海外ベンダーへの支払いが一括前払いとなるケースがあり資金繰り負担が発生する可能性があります。そのため、回収サイクルと前渡金負担のギャップを注視し、計画的な資金繰りを行って行きます。
・持続的な成長シナリオの構築
現在、当社グループの事業セグメントにおいては、ニッチ市場ながらも競争力の高い製品やサービスを展開しておりますが、今後も持続的に成長するためには、市場ニーズに対応した新しい製品やサービスを切れ目なく立ち上げていく必要があります。
・ビジネスモデルの多様化
企業のITシステム投資の方向性が、設備の「所有」からサービスの「利用」へと加速度的に変化しております。IT資産においてもオフバランス化が進み、「持たざる経営」がITの分野にも浸透しつつあります。
これまで、企業はITシステム(ハードウェア、ソフトウェア、開発)を資産として購入・運用してきましたが、ITシステムを資産として保有せず、外部事業者のサービスをインターネット越しに活用するクラウドサービスの利用が広がっております。これにより、企業側はITシステムの初期投資や運用・保守等の負担を低減することができます。当社グループでは、アプリケーション・サービス事業において、自社開発ソフトウェア・パッケージの販売、保守を行ってまいりましたが、これらソフトウェアの機能をインターネット経由のサービスとして提供するクラウドサービス事業に参入しております。売り切り販売中心のフロー事業に加え、継続的に収入が得られるサービス事業によるビジネスのストック化をさらに推進します。クラウド時代の顧客企業ニーズの変化に積極的に対応し、ストック型ビジネスを中心戦略とした「持たざる経営」を支えるサービス・プロバイダー、サービス・クリエーターとしての地位の確立を進めてまいります。
・サービスのフルライン化
上述のとおり、IT業界ではクラウドという新しいビジネスモデルへの対応が必要となる一方で、従来どおりITシステムの自社所有を希望する企業があります。このため、当社グループは、システム導入以降に必要となる保守・運用サービスについても積極的に拡充し、システムのライフサイクル全てをカバーするフルラインのサービス提案を行ってまいります。また、グループ経営を一層強化することにより、システムのフルアウトソーシングの請負にも注力し、継続的な取引機会の確保に努めてまいります。24時間対応のオンサイト保守やリモート監視業務については、外部委託からクロス・ヘッド株式会社への委託へ切り替え、グループ内での機能の自活、内製化を進めております。また、株式会社カサレアルの完全子会社化によりソフトウェアの開発要員を拡充しておりますので、開発業務についても同社技術力を活用した効率化を進めます。以上の取り組みにより、グループの総合力を発揮するとともに、サービスのフルライン化を進めます。
・業界構造
一般的に、ソフトウェア開発会社は人的資源中心のビジネスであり、大規模な初期投資を必要としないことから、少人数の企業から大手のシステム・インテグレーターまで多数の企業が存在します。業界全体が多重の下請け構造になっているため、下請け構造の下層に位置する企業は、規模の大小にかかわらず苦しい経営を強いられております。このため、生き残りを図るためには、付加価値の高いサービスを提供し、顧客企業への直販、直接契約を志向することが重要であり、フルラインでのサービス提供と総合力の発揮、一定規模の開発体制が求められます。当社グループは、今後もM&Aの活用を経営の選択肢に取り入れ、スピード感を持って付加価値の向上、総合力の発揮、規模の拡大を目指してまいります。
② 内部の課題解決
・人材の採用と育成
当社グループは、これまで即戦力の中途入社社員の採用により事業の拡大を図ってまいりましたが、中堅社員層の比率が相対的に高くなっているため、将来的なコストアップを防ぐためにも、今後は、若手社員の拡充に軸足を移し、新卒や第二新卒の採用活動に力を入れていく必要があります。
また、一般的な労働集約型ビジネスではない、高付加価値なストック型ビジネスの拡大や、新規事業の創発等の事業戦略の実現に向け、今後のITの技術革新や業界を取り巻く環境変化にキャッチアップし、2023年4月に新たに策定した「経営戦略を実現する人事戦略」に沿って、新たな価値を創造できる人材育成計画の策定及び実現を進めてまいります。
・ 品質カイゼン活動
ITシステムは、社会インフラ化しており、また、企業経営にとっても経営戦略を具現化するためのツールとして、ITシステムの果たす役割は一層重要性を増しております。ITシステムを構成するハードウェアの性能は日進月歩で向上しておりますが、人的資源に依存するソフトウェアの開発においては、依然として属人的な要素が少なくありません。開発プロセスの標準化や科学的手法によるテストの合理化、既存ソフトウェア部品の有効活用等、さまざまな努力を重ね、ソフトウェア品質、サービス品質の向上に努めなければなりません。高品質な製品・サービスの提供は勿論のこと、企業業績の安定化のためにも、品質カイゼン活動を積極的に推進してまいります。
・ 社内ITシステムの充実
業務プロセスを効率化、合理化していくため、また、事業上の迅速な意思決定を促進するためにはITシステムの積極的な活用が不可欠であると認識しております。経営者のリーダーシップのもと、当社のIT推進部において、デジタル技術の活用による社内生産性の向上及び事業活動の質の向上に向けて自社ITシステム戦略を策定しております。また、月次単位の定期会議を開催し、経営者や他部署を交え、課題の把握及び今後の施策の検討を行っております。具体的には以下のような取り組みテーマがあります。
1 開発・導入のスピードアップ、品質向上
2 人材の育成、充実、体制の再構築
3 能動的な企画・提案活動
4 投資対効果の計測
5 クラウド化の促進
6 セキュリティの安心・安全の追及
上場企業として求められる内部統制を着実に実行していくためにも、ITによる業務統制は重要な役割を担っていると考えております。当社グループは、社内ITシステムの継続的な開発を通じて、業務プロセスの効率化、企業活動の可視化を図ってまいります。
セグメント情報
6.セグメント情報
(1) 報告セグメントの概要
当社グループの報告セグメントは、当社グループの構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、経営者が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものであります。
当社グループは、各社に製品・サービス別の事業部を置き、各事業部は取り扱う製品・サービスについて包括的な戦略を立案し、事業活動を展開しております。
従って、当社グループは事業部を基礎とした製品・サービス別のセグメントから構成されており、「情報基盤事業」、「アプリケーション・サービス事業」、「医療システム事業」の3つを報告セグメントとしております。
「情報基盤事業」は、当社及び子会社のクロス・ヘッド株式会社、OCH株式会社から構成されており、ネットワーク、セキュリティ、ストレージ等の製品販売、インテグレーション、保守・運用・監視等のサービスを提供しております。「アプリケーション・サービス事業」は、当社及び株式会社カサレアル、アレクシアフィンテック株式会社、TechMatrix Asia Holdings Co., Ltd.、TechMatrix Asia Co., Ltd.から構成されており、ビジネスソリューション、ソフトウエア品質保証、CRMの対面市場向けに、システム開発、アプリケーション・パッケージ、クラウド(SaaS)サービス、テスト等の付加価値の高いアプリケーション・サービスを提供しております。「医療システム事業」は、PSP株式会社、合同会社医知悟、株式会社A-Lineから構成されており、医療市場向けに医療関連のソフトウェア開発・インテグレーション及びクラウドサービス等を提供しております。
(2) 報告セグメントの変更等に関する事項
当連結会計年度より、報告セグメントの業績をより適切に評価するため、一部費用の配賦方法を変更しております。
なお、前連結会計年度のセグメント情報は、変更後の算定方法により作成したものを開示しております。
(3) 報告セグメントの情報
報告セグメントの会計処理の方法は、当社グループの要約四半期連結財務諸表作成の会計方針と同一であります。報告セグメントの利益は、営業利益ベースの数値であります。セグメント間の内部売上収益は市場実勢価格に基づいております。
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
(注) 1.セグメント間の売上収益の調整額は、セグメント間取引消去によるものであります。
2.セグメント利益の合計は、連結損益計算書の営業利益と一致しております。
3. 非金融資産の減損損失の主な内訳は、注記「15.非金融資産の減損」に記載されております。
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
(注) 1.セグメント間の売上収益の調整額は、セグメント間取引消去によるものであります。
2.セグメント利益の合計は、連結損益計算書の営業利益と一致しております。
(4) 製品及びサービスに関する情報
製品及びサービスの区分が報告セグメント区分と同一であるため、記載を省略しております。
(5) 地域別情報
① 売上収益
本邦の外部顧客への売上収益が連結損益計算書の売上収益の大部分を占めるため、記載を省略しております。
② 非流動資産(金融資産及び繰延税金資産を除く)
本邦に所在している非流動資産の金額が連結財政状態計算書の非流動資産の金額の大部分を占めるため、記載を省略しております。
(6) 主要な顧客に関する情報
売上収益の10%以上を占める単一の外部顧客との取引はありません。