リスク
3【事業等のリスク】
以下において、当社の事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクを取りまとめております。また、必ずしもリスクと考えられない事項についても、当社の事業活動を説明する上で投資家の判断基準になりうる事項については、積極的な情報開示を行っていく観点から記載しております。
当社は、リスクの発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でおりますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本項以外の記載事項も併せて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が独自に判断したものであります。そのため、将来発生しうる可能性があるすべてのリスク及び当社株式への投資に関するすべてのリスクを網羅したものではありません。
(1)事業内容に関するリスク
① 特定サービスへの依存について
「第一部 企業情報 第1 企業の概況 3 事業の内容」に記載のとおり、当社は、コールセンター向けの各種サービスを提供しておりますが、現在、「@nyplace」に売上高の多くを依存しており、当事業年度においても売上高全体の約64.6%を占めております。当社の業績が、特定サービスに依存することを好ましい状態とは考えておらず、中期経営計画に示している独自サービスの飛躍成長により、新たに当社の柱となる新規事業の創出に向け、積極的に販売拡大を実施しております。
しかしながら、現時点においては主要サービスである「@nyplace」が不測の環境変化等の事態に陥った場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
また「@nyplace」は、AVAYA社製IP電話交換機システムを使用しております。当社は、AVAYA社の日本法人である日本アバイア㈱の代理店を通じて、AVAYA社製IP電話交換機システム、周辺機器及び備品を調達しております。今後、何らかの理由によりAVAYA社が日本市場から事業撤退する等、予期せぬ事象が発生し、製品の調達が困難になった場合、「@nyplace」の継続的なサービス提供に支障が発生する可能性があり、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
② サービス提供の安定性について
クラウドサービス利用を検討する基準として、安定したサービス提供の可否が重要な事項の1つとなっております。当社におきましては、事業の信頼性及び安定したサービス提供の実現性の観点から、設備及びネットワークの管理に細心の注意を払っております。サービス提供に関連する設備は、当社の契約するデータセンターに設置し、機器構成による稼働負荷の物理的かつ理論的な軽減を行っております。また、万一トラブルが発生した場合においても、短時間で復旧できるよう復旧テストやリスク管理体制を整えております。
しかしながら、上記の取り組みにも関わらず、2011年3月に発生した東日本大震災のような想定を超える大規模な地震等により本社及びデータセンター設備が致命的に損壊し、電力供給の停止等の予測不能な事態が起こった場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ システム不具合について
当社は開発、保守及び運用体制の充実を図り、システム不具合の発生を未然に防ぐ体制の構築に努めております。しかしながら、一般的には高度なシステムにおいて、大小はあるものの欠陥発生を完全に解消することは不可能であると言われており、予期せぬシステム不具合が発生する可能性があります。
今後、当社サービス運用上に支障をきたすベンダーや開発言語の開発元等による潜在的かつ致命的な不具合が発覚し、当社が適切に解決できなかった場合、サービス提供に支障が発生する可能性があり、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 設備投資について
当社は、既存サービスの強化及び新規サービスの導入を図るとともに、クライアント数の増加に応じて継続的な設備投資を計画しております。
しかしながら、事業を継続する中で、過年度の実績を大きく上回る急激なアカウント数の増加、当社の予測を超えるインターネット技術等の進展に伴うシステム投資の発生等により、投資時期、内容、設備規模について変更せざるを得ない状況となった場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 事業拠点及び主要設備の集中について
当社の本社及び当社が契約するデータセンターは、東京都を中心とした首都圏近郊に集中しております。そのため、東日本大震災のような想定外の大規模災害等の発生により首都圏近郊の都市機能の一切が麻痺した場合、当社の事業継続が困難になる可能性があります。
また、インフラ麻痺等によるクライアント対応の遅延等、当社のサービス提供に大きな支障が発生した場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 新規事業及びサービスの開発について
当社は、今後の更なる事業の成長に向け、従来サービスの強化に加えて、市場ニーズに対応した新たな機能及びサービスの開発・提供により、コールセンター周辺事業領域及びマーケティング事業領域等への事業の拡充を図っております。これらの取り組みにおいて、計画通りに開発が進捗しなかった場合、想定し得ないような技術革新が起きた場合、あるいは当初期待した通りの成果を上げることができなかった場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、新規事業領域への参入において、市場環境の変化や競争の熾烈化等により、事業活動が当初期待した通りの成果を上げることができなかった場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 人材育成及び採用について
クラウドサービス市場は、非常に技術革新が早く、競合他社との競争が激しい市場であります。そのため、専門技術に精通し、クライアントのニーズに的確に対応できる提案力や応用力を持った人材、また組織運営等のマネジメントに優れた人材の継続的な確保と育成が重要となり、かかる人材の育成又は採用ができなかった場合、将来にわたり当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、人員の育成、採用のための研修、その他のコストを追加的に負担する必要が生じる可能性があり、これらの追加的コストの発生により、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 企業買収及び他社との業務提携等について
当社は、経営の効率化と競争力強化のため、企業買収及び資本参加を含む投資、他社との業務提携等により、事業の拡大を行うことがあります。新しい製品やサービスを提供するにはこのような経営戦略が不可欠となりますが、活動が円滑に進まなかった場合、あるいは当初期待したとおりの効果が得られなかった場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当該他社が事業戦略を変更し、当社が資本参加、業務提携関係等を維持することが困難になった場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)事業環境に関するリスク
① インターネット環境について
クラウドサービスは、インターネット環境を通じてサービス提供を行うものであり、法人によるインターネット利用の更なる普及が、当社の成長のための必要な条件であります。
今後、インターネット利用の普及に伴い通信速度遅延、通信回線障害等の通信インフラに関する弊害や、悪質なハッカー等の第三者からの侵害等による弊害の広がり、インターネット利用に関する新たな法的規制の導入等、その他予期せざる要因が発生し、法人によるインターネット利用が縮小する状態となった場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 技術革新について
クラウドサービス市場は、技術革新の早い市場であります。そのため、当社は、クライアントへのアンケートや訪問・提案等の日々の営業活動の中でニーズを集約しながら、市場ニーズに対応した新たな機能及びサービスの開発・提供を行うことにより、競争力のある独自のサービスを構築していく方針であります。
しかしながら、競合他社等により先進的な技術革新があり、当社の対応が遅れた場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 市場競争について
クラウドサービス市場において、当社は早期に事業参入をしており、パイオニアとしてのメリットを活かしながら市場ニーズに合致するサービス提供を目指して開発を行い、競合他社との差別化を図っております。
しかしながら、今後の市場が拡大する中で、大手システムエンジニアリング会社や通信事業者等の競争力の高い企業を含む多くの新規参入企業が考えられ、それらの新規参入事業者の登場による技術革新、価格競争等の激化により当社の優位性が薄れた場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 顧客のクラウドサービスの利用方針について
当社のクラウドサービスは、コールセンターを所有するクライアントや販売促進活動を行うマーケティング部門を所有するクライアントを対象としており、インターネット網を介して当社が開発、構築したシステムを月額料金制で提供しております。企業が自社でシステムを構築する場合と比較して、大規模な設備投資が不要になるとともに、導入コストの低減及び導入期間の短縮が可能となります。
しかしながら、クライアントがクラウドサービスの利用方針を変更し、当社のサービスの利用から自社でのシステム運営に切り替えた場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)株価形成に関するリスク
① 潜在株式について
当社は、取締役、監査役及び従業員に対して、新株予約権を利用したストックオプション制度を採用しております。当事業年度末現在における当該潜在株式の総数は、発行済株式総数4,792,800株に対し、936,900株となっております。権利行使期間においてこれらの新株予約権が行使された場合、1株当たりの株式価値は希薄化する可能性があります。
② 配当政策について
当社は、財務体質の強化と事業拡大のための内部留保の充実等を図ることが重要であるとの考えに基づき、過去において配当を実施しておりませんが、株主に対する利益還元も経営の重要課題であると認識しております。
今後、収益力の強化や事業基盤の整備を実施しつつ内部留保の充実状況及び企業を取り巻く事業環境を勘案したうえで、株主に対して安定的かつ継続的な利益還元を実施する方針ですが、現時点において配当の実施の可能性及びその実施時期等については未定であります。
(4)事業体制に関するリスク
当社は、今後大きく成長するにあたり、事業拡大に伴う人員の拡充、人材育成を行うとともに、経営判断及び業務執行の体制を充実させていく必要があると考えております。また、体制構築にあたってはコーポレート・ガバナンスを十分に機能させるために、内部統制システムの整備、運用及び各業務プロセスの管理体制の構築を同様に推進していく必要があると考えております。
しかしながら、事業の急速な拡大等により、適切な経営・事業体制の整備が遅れ、十分なコーポレート・ガバナンス体制での業務運用が困難となった場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)法令遵守に関するリスク
① コンプライアンスについて
当社は、クラウドサービス事業者及び個人情報取扱事業者として、インターネットに関連する規制である電気通信事業法及び各種個人情報の取り扱いに関する法規制等の遵守は、当社が社会的な責任を果たすために重要な事項であると考えております。
当社は、上記の対応として、コンプライアンス体制の構築及び維持に努めております。プライバシーマーク制度やISMS適合性評価制度の認証の取得、コンプライアンス研修の実施、機密情報取扱に関する研修等の社内教育の充実、各業務プロセスの管理、改善を行う体制構築と、法令遵守に向けた内部管理体制の構築を推進しております。
しかしながら、今後進むとみられる法改正への対応の遅れ、予期せぬ自然災害、人的ミスの影響等による機密情報の流出、管理体制の不備等による役員及び従業員の法令違反等が発生した場合、当社の社会的な信用の低下、あるいは情報流出防止対策、損害賠償等の多額の費用の発生等により、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 知的財産権の侵害について
現在、当社はオープンソースを利用したシステム開発等によりサービス提供を行っております。過去もしくは現時点において、当社に対し第三者からの知的財産権の侵害等による訴訟が発生した事実はありません。しかしながら、今後、当社の認識の範囲外で第三者が新たに取得した知的財産権等の内容によっては、当社に対する損害賠償等の訴訟が発生する可能性も否定はできず、その場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 個人情報及び企業情報の保護について
当社では、業務に関連して多数の個人情報及び企業情報を保有しております。当社は情報管理に関する全社的な取り組みとして、個人情報保護方針、情報セキュリティ基本方針の公表及び諸規程を規定するとともに、社内教育による情報管理への意識向上等の施策を実施しております。また、個人情報についてはプライバシーマークの認証を取得しているほか、情報資産の漏洩や改ざん、不正利用等を防ぐため情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の認証を取得し、社内の情報資産に関しリスク分析を行い、リスクがある事項に関しては改善策を講じ、情報漏洩の防止に努めております。
しかしながら、情報機器の誤作動や操作ミス等により個人情報や企業情報が漏洩し、損害賠償責任の負担、社会的信用の失墜等が発生した場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6)自然災害等に関するリスク
地震、台風、津波等の自然災害、火災、各種感染症の拡大等により、当社の事業拠点及び契約するデータセンターに被害が発生した場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
配当政策
3【配当政策】
当社は、財務体質の強化と事業拡大のための内部留保の充実等を図ることが重要であると考え、過去において配当を行っておりませんが、株主に対する利益還元も経営の重要課題であると認識しております。
今後の配当政策の基本方針としましては、収益力の強化や事業基盤の整備を実施しつつ、内部留保の充実状況及び企業を取り巻く事業環境を勘案したうえで、株主に対して安定的かつ継続的な利益還元を実施する方針であります。内部留保資金につきましては、事業拡大を目的とした中長期的な事業原資として利用していく予定であります。
なお、剰余金の配当を行う場合、年1回の期末配当を基本方針としており、配当の決定機関は株主総会となっております。また、当社は中間配当を取締役会の決議によって行うことができる旨を定款に定めております。